こちらには
『きょうせい、きょうめい』
のネタバレがあります。
参加キャラクター

佐倉 光
佐倉から言葉を取ったら何が残るのか。
よろしくお願いします!
KP
よろしくお願いします!

KP
ではまず、開始前に前回の精神治療処理を行います。

一~二週間程度を集中的に治療に当てたということで、1回の精神治療処理を行います。
1d100を1回振ってください。ファンブルしなかった場合、1d3の正気度 を回復します。
それどころではなかったので、シナリオ外成長はありません。
牧志 浩太
1d100 牧志の Sasa 1d100→33
1d3 Sasa 1d3→3
SAN 36 → 39
佐倉 光
1d100 Sasa 1d100→13
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 37→38

佐倉 光
そわそわと落ち着かなかったり、妙に自暴自棄になりがちだった期間は、過ぎてみるとやはり異常だったのだと思った。
佐倉 光
牧志が帰ってきてくれて、その顔を見て心底安心した。
佐倉 光
とはいえ、俺のこの状態が正常なのか?
俺にはよくわからなくなってきている。
牧志 浩太
「ただいま」
牧志はあなたの顔を見て、心の底から安堵したように笑う。
あなたの眼を見ても我を失わない。あなたを害さない。害しようとしない。

あの異常な無警戒ではなく、いつもの日常の無警戒の横に、素直にいられること。
それが、ただ嬉しいようだった。
佐倉 光
「おかえり」
牧志の言葉に奇妙な欲望の響きも後ろめたさも感じないこと、
そして思考の隅に常に死がちらつかないことを、ふと『これが普通だった』と気付く。
普通ってのは壊れやすく、本当にかけがえないものだ。
KP
……傷ついた日常を送るあなた達は、正常なのだろうか。
いや、正常などという瞬間が、今のあなた達に、あったのだろうか。
佐倉 光
もう既に『正常』じゃなくなっているのかも知れない。
KP
その何か壊れやすいものを抱えて、大事に抱えて。
あなたは今日も、目を閉じる。

KP
……冷たい風が、耳元でひょうひょうと鳴っている。
ぞうぞうと、遠くから木の葉の揺れる音。
ひんやりとした感触が、あなたの背をだきとめた。

虫が鳴いている。
ああ、ここはひどく冷たい。
近くに人のいる気配が、あなたの心をさわがせた。
だというのに、どこか孤独で、寂しい。
まるで、胸にまあるい、穴でも開いたかのように。



きょうせい、きょうめい

入須間 / あやめがさね 様



KP
あなたは、ふっと目を覚ます。
目を閉じている。柔らかな寝床に入って目を閉じたはずが、背に当たる感触は堅い。
冷たい風が頬を撫で、木々の揺れる音と虫の声が耳に入る。

どうやらここは屋外だ。
そして、傍らに誰かの気配がある。
佐倉 光
「…………」
佐倉 光
「……?」
眠った場所と違う場所で目覚めることはたまにある。
そういう時は大体碌な事がない。
病院で目が覚めるときは大体悪魔にやられている。
そうじゃない時は、存在すら掴めないものに弄ばれるときだ。
今いるのは屋外か? どこだ。見覚えがある場所か?
KP
あなたは目を開く。
あなたは暗闇の中、細いベンチのようなものに腰かけていた。
すぐそばのポールに掛けられたランタンが、柔らかく少し、頼りなさげに周囲を照らしている。
その光は闇を吹き払うには足りず、暗さに変わりはない。
少し、肌寒い。今は、夜なのだろうか。
佐倉 光
隣にいるのは誰だ?
姿を確認する。
牧志 浩太
隣を見れば、そこに牧志が腰かけていた。
牧志 浩太
ふわぁ、と小さく欠伸をして、寝ぼけた視線があなたに合う。
佐倉 光
牧志。
異常な状況で牧志といる、となるともうこれは『いつものアレ』だろう。
今回は何だっていうんだ?
牧志に声をかけようとする。

そちらの知っている状況は俺と同じか?
牧志 浩太
牧志は数度まばたきをすると、口を開こうとする。
牧志 浩太
「あえうああえ?」
しかしその口から出たのは、曖昧で無意味な、アクセントも区切りもない音の塊だった。
KP
あなたは声をかけようとする。
あなたの望む言葉は、喉から出なかった。
あなたの喉から出るのもまた、曖昧で無意味な音の塊だ。
佐倉 光
「ぁあ? う」
KP
わからないのだ。
言葉が、ではない。頭の中でそらんじる言葉は、いつも通りだ。
だというのに、いざ口に出そうとすると、どう口を動かして発音していたのか分からなくなる。
どの単語がその言葉に結びつくのか、途端に分からなくなる。

まるで声と言葉が、言葉と意味がばらばらにされてしまったかのようだ。

失語症。
そんな言葉が、頭に過るかもしれない。

しかしあなたは頭の中で独り言を言うことはできた。言葉にできるのだ。
にもかかわらず、口に出そうとするとその「言葉」は霧散してしまう。
牧志 浩太
「えうああいああえああうあ」
牧志ははっと喉を押さえ、もう一度何かを言おうとする。
しかしその唇から出てくるのは、やはり規則性のない音に過ぎない。
佐倉 光
「ああぁあ」
佐倉 光
なんだこれ? 話し方が分からない。
佐倉 光
「おおぉおおあ」
暫く試してみて無駄だなと悟る。何か意思疎通に使える物はないだろうか。
自分の今の格好は? 持ち物は何かあるだろうか。
KP
見れば、あなたは外出するときの格好……、
夜中にふらっとコンビニへ出るときのような、そんなような格好をしていた。

ふっ、と記憶が蘇る。
そういえば夜中にふと目が覚めた。
小腹が空いて、コンビニでも行こうと、牧志と一緒に外へ出たのだ。
こんなふうに暗い夜の道を歩いていたところで、今度こそ記憶が途切れている。
KP
そのようなシチュエーションで持っているような品物であれば、持っていてよい。
佐倉 光
それならスマートフォンくらいは持っている。電源は入っているだろうか。
入っていれば、テキストが打てるアプリを立ち上げて、言葉を打とうと試みる。
牧志 浩太
牧志も同じ格好だ。
同じことを考えたのか、ジャケットのポケットから彼の手帳を取り出す。
KP
電源は入っている。
電波は圏外になっているようだが、テキストアプリは通常通り立ち上がる。

あなたは言葉を打とうとキーボードに手を伸ばして……、
何をどう打っていいのか、わからなくなる。
「gfd8b8asdj」
思いつくものを打てば、そこにあるのはランダムな文字列だ。
牧志 浩太
牧志が手帳に何かを書こうとするが、そこにあるのは文字ですらない無意味な線だ。
何度書き直しても、線は上下左右へと奔放に暴れ、規則的な形を描いてくれない。
それどころか、紙面の中で罫線さえ無視して踊り狂う。
佐倉 光
くそ、二人して出力狂ってやがるな。脳になんかされたのか?
スマートフォンのキーボードを出して、喋りたい言葉を指さそうと試みるが……
佐倉 光
どの文字が何だったか分からねぇ!
佐倉 光
やめやめ。諦めが肝心。
スマホをポケットに戻す。
あとできること、といえば身振り手振りだ。
佐倉 光
口パクで……は通じないだろうなぁ。
牧志の手に文字を書く、のも無理そうだ。
ダメ元でやってみよう。
KP
口を動かして言葉を形にしようとすれば、どう動かせばいいのか分からなくなる。
口がふにゃふにゃと動いてしまう。
牧志 浩太
牧志も口を動かして返そうとするが、ふにゃふにゃと無意味に口が動くばかりだ。
真剣な表情の中で口だけがもごもご動くさまは、変な冗談のようにすら見える。
KP
手に文字を書こうとすれば、文字が何だったのかも分からなくなるような感覚に見舞われる。
ぐらりと頭が揺らぐ。
漢字をど忘れして出てこない時のような、もどかしい感覚だけが指先を詰まらせる。
KP
あなた達は、言葉によるコミュニケーションを失ってしまったのだ。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D3》。
佐倉 光
1d100 38 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 58→失敗
1d3 Sasa 1d3→1
SAN値 38 → 37
牧志 浩太
1d100 39 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 39→成功

佐倉 光
ああああもどかしい。思っていることが表現できないって凄まじいストレスだ。
何なんだ、この状況は。
頭を掻いて大袈裟に地団駄を踏む。
これで苛立ちくらいは通じるだろう!
牧志 浩太
牧志は眉を寄せて怒りの表情を形作り、喉を押さえながら、大きく頷いてあなたの挙動をまねた。
通じた……、のだろうか?
牧志 浩太
それから心細そうに眉を下げ、困ったように首を振る。
なんと情報量が少ないのだろう。
今のあなた達が外界へ発することができるのは、そんな曖昧な表象だけなのだ。
▼二人の状態について
あなた達は言語コミュニケーション能力を失い、会話や筆談ができなくなっている。
ただし本を読むことはできる。インプットはできるがアウトプットができない状態である。
キーボードや本に書かれた文字を組み合わせて会話を試みることはできない。
(組み合わせようとした途端に、どの文字を組み合わせていいか分からなくなる)
佐倉 光
なんだか悪意を感じるな。
小さなため息をついた。
まあ無理なもんは仕方ない。この場所の情報を集めよう。
牧志 浩太
牧志がついた溜息は、どこか心細そうでもあった。
あなたの指先に視線が合う。
指先から、拳から、僅かな情報量から最大限の情報を取ろうとして視線が這うのを感じられ、少しばかり居心地が悪くも感じるだろう。
佐倉 光
牧志の視線を感じて、意味もなく印を組んでみたりする。
マジで意味はない。
牧志 浩太
???
牧志 浩太
???
牧志が眉根を寄せた。恐らく困惑している。
印の意味を解釈しようとしているらしい。
佐倉 光
オカルトに成功したら分かるんじゃないかな?
リンピョートーシャ……ってあれだ。
佐倉 光
……いや、今正しい意味で結べてるか分かんないな。
牧志 浩太
なるほど、その意味を探ってみよう。
1d100 54 〈オカルト〉 Sasa 1d100→ 83→失敗
牧志 浩太
???
困惑顔。
彼がその印を分からなかったのか、あなたが正しく印を結べていないのかもよく分からない。
佐倉 光
まあ明らかに手話じゃないって事は分かるよな。
牧志 浩太
ぐるりと周りを指さして、見渡す。
何か気になるものは見えるだろうか。聞こえるだろうか。
どんな環境だろう。
KP
周囲を見回せば、鬱蒼と草木の茂る森の中だった。
切り開かれた小さな広場にあなた達はいて、辺りを照らすランタンとベンチの他には、何も見当たらない。
地面は石畳やアスファルトなどではなく、少しばかり草を切り払っただけのなまの土だ。
少し先の地面に少々の傾斜を感じる。山の中だろうか。

景色に見覚えはなく、見渡しても街の光などは見当たらない。
どこを見回そうと街の光が届かない山中とは、連れてこられたのだとしたら随分と遠くに来てしまったものだ。
牧志 浩太
「あうあ」
牧志が足元に視線を向けた。
そこには、草木をわずかに払っただけの、道のようなものがある。
道はどこかに向かって延びているが、どこに続いているのかは分からない。
佐倉 光
牧志の声と視線を元に道を辿る。
なるほどこっちへ行けって事らしいな。
本編見る!
KP
ふと、ランタンの光以外のものが、地面に影を作っているのに気づく。
それは月の光だった。
木々の隙間から、よく晴れた夜空が見える。
降るような星々とまん丸の満月が、あなた達を見下ろしていた。
KP
【知識】または〈天文学〉で判定。
佐倉 光
1d100 85 【知識】 Sasa 1d100→ 14→成功
牧志 浩太
1d100 73〈天文学〉 Sasa 1d100→ 96→致命的失敗ファンブル
KP
oh。
佐倉 光
あらまあ
牧志 浩太
1d100 12 【POW】 Sasa 1d100→ 77→失敗
牧志 浩太
牧志はあなたの視線につられ、空を見上げて……、
牧志 浩太
訝しげに眉根を寄せる。
何度かまばたきして、その大きな月を見上げ、そして首を振る。
KP
そんな牧志の仕草と大きな満月を見上げていて、思い出したことがある。
月について
KP
そんなことを思い出すと、普段より月が明るく、大きいように見えた。
佐倉 光
これはスーパームーンなのか?
月は狂気を呼ぶっていうよなぁー。勘弁してくれよ、治ったばかりなのに。
佐倉 光
お化け騒ぎを思い出させるな。
ランタンは外せるだろうか。外せるなら持っていきたい。
KP
ランタンはベンチのそばに立っているポールに掛けられている。
近寄ると、電池式らしいと分かる。
本物の火のように揺らめく雰囲気のある品だが、本物の火ではないようだ。

ポールの高さは腕の位置程度で、取り外して持ち歩くことができそうだ。
佐倉 光
とりあえずランタンを指さして身振りではずそう、と伝える。
背が届くなら外してしまおう。
こういう時は『誰の』とか気にしても仕方ないんだ。
牧志 浩太
牧志は頷く。そこは同じ意見らしい。
KP
ランタンはポールから外れ、あなたの手に収まった。
鉄製の、少し重みのあるランタンだ。かっこいい。
降り注ぐ月明かりと合わせれば、ひとまず行く先や足元くらいは照らせそうだ。
佐倉 光
シャッター付きかな? 傾けても大丈夫なタイプかな?
構造を簡単にチェックする。
KP
シャッターはついていないようだ。
ガラスの筐体が鉄製の本体で支えられ、上部の蓋に排気口が設けられたオイルランタン……、を模した形の電池式ランタンだ。
光に指向性はないが、電池式なので傾けて困ることもないだろう。
内蔵の充電池で動くタイプらしく、電池を取り外したりすることはできそうにない。
佐倉 光
雰囲気アイテムか。ないよりは全然いいな。
佐倉 光
龕灯作った人賢すぎる。
KP
わかる。あれはいつ見てもすごいなって思う。
佐倉 光
重いので牧志に渡す。
すまない。俺の筋力じゃこんなのでも辛いんだ。
牧志 浩太
牧志はランタンを受け取り、片手で提げる。
承諾の意を示すように、微笑みをつくった。
佐倉 光
道の先に行ってみよう、と指さす。
牧志 浩太
腕を伸ばして進行方向にランタンを差し掛け、様子を見る。
そして、指さした方向に一歩踏み出す。
KP
〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 99〈目星〉 Sasa 1d100→ 32→成功
牧志 浩太
1d100 99〈目星〉 Sasa 1d100→ 28→成功
牧志 浩太
牧志が足を止めると同時に気づく。
KP
道の傍らの草むらの中に、何か落ちている。
小冊子か何かだ。
佐倉 光
何か落ちてるな。
しゃがんで手を伸ばす。拾い上げてみる。
牧志 浩太
牧志がランタンの光を差し掛ける。
佐倉 光
表紙などには何か書いてあるだろうか?
KP
小冊子の表紙には、しっかりと繋いだ手のイラストが描かれていた。
[非言語行動と身体接触]とある。
どうやら、本を読むことはできるらしい。
佐倉 光
本を広げてみる。何が書いてあるんだろう?
題名から少し、希望を持ってしまったのは事実だ。
[非言語行動と身体接触]
牧志 浩太
牧志がランタンを差し掛けながら本を見下ろし、あなたと文章を交互に見る。
その様子を見ていると、牧志も本を読むことはできるようだ。
佐倉 光
人の表情や声、身ぶりから考えていることを読むことが、ある程度は可能だ。
当たり前と言えば、当たり前だな。

手を取れば伝わるものがある。まあこれも経験からよく知っている。
心が伝わる、なんてオカルトじゃなくて、人の体温や感触や気配が孤独感を打ち払う。
人間は群れの生き物だから、それが意外とよく効く。セロトニンなんかも出る。

効果は確実にある。俺はそれをよく知っている。
佐倉 光
確かにこういう時は繋ぐべきかもしれない。
急に何か起きたとしても、互いの状況が伝わりやすくなるだろう。
佐倉 光
牧志に手を繋ごうと右手を出す。
そういえば最初の事件で繋いだほうだ。以来何かというとこちらの手を出している気がする。
一人でやっていた時は絶対に塞ぎたくなかった利き手だ。
いつから、塞がれても気にならなくなったんだっけ?
牧志 浩太
牧志は差し出された手に視線を合わせて微笑んだ。
頷いて、左手を差し出す。
KP
指先が触れる。
右手と左手を繋ぐ。
あなたは利き手を塞がれるが、代わりに牧志の利き手がその向こうにある。
そうしているとまるで一つの生き物になったようで、

ぱん。
心の水面に、何かの雫が落ちて波を立てた。
牧志 浩太
『佐倉さん』
KP
それは牧志の声だった。意味のある声だ。
あなたの名を呼ぶ声だ。

どうしてだろうか。
こうしていれば、互いに話ができるような気がした。
こうしていれば、名を呼べる気がした。

心の底に冷たく居座っていた孤独を、あなたは自覚する。
意識せずとも、あなたは孤独と不安を感じていたのだ。
こんな所で。言葉を交わす力を奪われて。

その孤独に声という雫が落ち、表面を溶かす。
孤独が少し和らいだ。
あなた達は、深い安心感を覚える。
KP
二人とも、正気度 を1d3回復。
★PL情報 接触について
佐倉 光
「うあ!?」
思わず声を上げた。
牧志? 牧志の声が言葉で聞こえる!?
佐倉 光
『今、話しかけた?』
意思を伝えよう、という想いを込めてみる。

もしかしたら俺はこの異様なほどの孤独感のあまり、ありもしない幻聴を……
幻幻聴? を作り出しているのかも知れないから。
佐倉 光
1d3 Sasa 1d3→2
SAN 37 → 39
牧志 浩太
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 39 → 40
牧志 浩太
『伝わる……、んだな。分かるんだな。
うん。名前を呼んでた、ずっと』
踏みしめるように一言一言。
意思を伝えようという思いに乗って伝わるそれは、確かに牧志の応答だった。
彼の不安が、孤独感が、それがゆるく溶けていくのが、声のまわりに伝わる。
繋いだ手に力が籠った。
佐倉 光
『いつかと同じか。手を繋いでいるときだけ通じる。
まあ、これならちょっと不便ではあるけど問題はないな』
ほっとした。自分でも笑えるほど。
どうやら俺はとんでもなく不安になっていたらしい。
牧志 浩太
『だな。
これなら、大丈夫そうだ』
牧志の声があなたの心に触れる。
通じ合っている。
繋いだ手から安心と喜びがやってくる。
佐倉 光
しかし。
佐倉 光
『意図的に落としてあるとしか思えないな、この本。
俺たちをここに呼んだ奴らはこうやって手を繋ぐように誘導しているんだ。
何が目的なんだろうな?』
牧志 浩太
『確かにな……』
牧志は本が落ちていた草むらに視線を落とした。
牧志 浩太
『わざわざ言葉を奪って、手を繋ぐようにさせているのか? 何のために』
牧志は眉根を寄せて考える。
しかし結論は出ないようだった。
佐倉 光
『考えたって答えが出るわけがない。行こうぜ』
道の先を指して歩きだそうとする。
牧志 浩太
『それはそうだな、行くか。
不味いことになりそうなら、その時考えればいいんだ』
牧志 浩太
牧志が前を向く。
KP
集中はそう長時間続くものではない。
心の水面に直接触れあっていた牧志の心が、集中が途切れるとともに離れていくのを感じる。

寒々しい孤独と不安が、再びあなたの身を包む。

しかし先程までと違うのは、手を繋いで望みさえすれば、いつでもこの孤独を癒せると分かったことだ。
佐倉 光
俺はいつからこんなに孤独に弱くなったんだろう。
この手を繋いでからか。
それとも力を得てからか?
最初からこうだっただろうか。

いつもはこうではないように思う。
やっぱり俺たちは異常なんだろう。
佐倉 光
俺より孤独を嫌がる牧志にとっては辛い状態かも知れないな。
歩を進めよう。
牧志 浩太
心が離れても、牧志は手を離すことはなかった。
いつでも心を通わせられる、ということに縋るように。

KP
あなた達は月の青い光に照らされて、ランタンの光を頼りに頼りない道を踏む。
道を見失って逸れてしまえば戻れない、そう思うほどに深い森だった。

遠くに何かの影が見えるようで、ただの見間違い。
そんなことを何度か繰り返す。
佐倉 光
まるで海の中を歩いているようだ。
いつか俺がぶっ壊れていたときのことを思い出す。

手を離さずにいれば、溺れずに済むだろうか。
KP
〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 99〈目星〉 Sasa 1d100→ 82→成功
牧志 浩太
1d100 99〈目星〉 Sasa 1d100→ 5→決定的成功クリティカル)!
KP
おやクリティカル
では、牧志はもう少し詳細なことが分かるとします。

KP
自分の前方、木々の向こうに人影が見える。
どうやら2人の人間のようだ。小さな明かりを持ち、手をつないでどこかへと足早に歩いていく。
牧志 浩太
「?」
同時に牧志が後方を振り返った。
そちらに何か見えたのだろうか。
振り向いた方向からして、牧志はあなたと違うものに気づいたようだ。
佐倉 光
『牧志、前に人が』
佐倉 光
『どうした?』
前の影から目を離さないようにしながら問いかける。
KP
再度会話を行って情報を伝えるなら、二人とも【POW】×5で判定。
どちらかが成功すれば心を通じ合わせることができる。
佐倉 光
1d100 75 【POW】 Sasa 1d100→ 67→成功
牧志 浩太
1d100 60 【POW】 Sasa 1d100→ 10→成功
KP
牧志は〈神話〉知識/5で判定。
1d100 9 〈神話〉知識 Sasa 1d100→ 17→失敗
KP
あなた達は心を通わせることに、深い安心感を覚える。
ああ、これが本来の状態だ、本来の……。

正気度 が1d3回復する。
牧志 浩太
1d3 Sasa 1d3→2
SAN 40 → 42
佐倉 光
1d3 Sasa 1d3→1
SAN 39 → 40
牧志 浩太
しかし牧志ははっと顔を上げ、落ち着きなく周囲を見回した。
佐倉 光
『どうした、牧志?』
牧志 浩太
牧志の心があなたの心に触れ、彼の声が聞こえる。
『後ろの方で人影が見えたんだ。一人だ。
黒いローブのような……、そんな服を着てた。
俺が気づいたのに気づかれたんだろうな。
さっと木の間に隠れてどこかへ逃げた。

でもそれとは別に、見られてる気がしたんだ。
どこからか、ずっと見られてる。気味が悪い』
佐倉 光
『人がいる?』
佐倉 光
なんかおる……
KP
なんかいます。
牧志 浩太
『もしかして、前の方にも誰かいたのか?』
佐倉 光
『ああ、俺たちと同じ。手を繋いでランタンを持った人影が早足に歩いてった』
佐倉 光
『今回はここまでで俺たち以外に4人はいるってことかな。
それにしちゃあ随分と寒々しい感じがするけど』
牧志 浩太
『ああ。
俺達と同じようにしてる人達もいるって?

ああ。後ろの方に見えた奴は明らかに俺達の様子を窺ってた。
今感じる視線も、そいつの仲間のものかもしれない。

ああ、そうなるな。
それだけ人数がいるのに寒々しいって、随分広いな、ここ。

その人達が歩いていった道があるってことは、ここ以外にも道があるのか』
佐倉 光
『そうかも知れない、木の向こうだった、この道の先じゃないみたいだ』
あいつらも言葉を奪われているんだろうか。
佐倉 光
『嫌な感じだな……』
牧志 浩太
『ああ……、推定他にもいる犠牲者と、監視者か。
嫌な感じしかしないな』
佐倉 光
警戒しながら進むことにする。
佐倉 光
そういえば、COMPは働くかな。
KP
COMPは動くようだが、コマンドを入力しようとして気づく。

コマンドが打てない。
何を打てばいいのか分からない。
佐倉 光
「…………ぅ」
くそ、そうだった、こいつも文字入力じゃねぇか!
筆にしたって同じだ、何を書いていいか分かんねぇ!
音声入力にしても駄目だ。
牧志 浩太
『あああ、なるほど? 文章が打てないとコマンド入力もできないし、文字を描いて入力もできないのか。

不便過ぎる、そんな問題があるなんて』
佐倉 光
『不便だ……』
佐倉 光
《アナライズ》くらいできるかと思ったけど、仕方ないな』
進もう。

KP
不確かな道をしばらく辿っていく。
そういった人影を目にすることはもうなく、静寂と孤独の気配だけがあなた達の間に漂っていた。

そうしてさらに道を辿っていくと、道の先にチラチラと明かりのようなものが見えてくる。
佐倉 光
「おぉ」
前を行く犠牲者だろうか? 目をこらす。
KP
それは動きはせず、止まった明かりだ。
よく目を凝らしていると、家屋か何かの明かりのようにも見える。
牧志 浩太
「あう」
牧志もそちらを見る。
佐倉 光
調べてみよう、と意思を伝える。
KP
そちらへ近づくなら、道をこのまま歩いていくことになる。
更にしばらく歩くと、二階建ての屋敷が姿を現した。

洋館のようなつくりの屋敷を、門が取り巻いている。
明かりはその窓から漏れていたのだ。

門から玄関に向かって、石畳がまっすぐ続いている。
明かりがついているということは、人がいるのだろうか。
牧志 浩太
山の中に突然現れた洋館を見て、牧志は少し渋い顔をした。
佐倉 光
山の中の洋館。とても嫌な思い出がある。
牙を突き立てた思い出と、突き立てられた思い出。どちらも忌まわしいものだ。
門に名前などは書いてある?
KP
何も書かれていないが、門に鍵はかかっていないようだ。
玄関の扉は閉じている。
佐倉 光
周囲をぐるりと回って様子を見る。
窓から中が見られるようなら中を確認。
必要なら牧志と意思疎通をはかる。
KP
夜間だからか窓はカーテンが閉じており、中の様子は分からない。
明かりはカーテンの隙間から漏れている。
勝手口のたぐいもないようだ。

門の中に入り、カーテンの隙間を覗く?
佐倉 光
やめとこうかな。
呼び鈴があるなら押してみよう。
もし覗いているのが中の人間にバレた場合、友好的に話ができなくなる可能性が高いからな。

KP
玄関のドアベルを鳴らしてしばらく待つと、小綺麗な身なりをした男性があなた達を出迎えた。
屋敷の主人というよりは、使用人のような印象だ。

「こんばんは、どうされましたか?」
佐倉 光
「ああ……」
自分の喉を押さえて口をパクパクさせ、『話せない』ということを伝えようとする。
そしてできる限り困った顔をする。
何とかこの人を手を掴めば、意思の疎通ができたりしないかな?
KP
その様子を見て、彼はおや、と眉を上げた。

「おや、あなた達もお話ができないのですか。
先程も同じような方々をご案内したのですよ。不思議な巡り合わせもあるものですね」
佐倉 光
ぐるぐると辺りを見回すようなアクションをし、足元を指差し、首を傾げる。
『ここはどこ?』だ。
KP
あっ。痛みチェック忘れてた。
佐倉 光
お。そういえばそう。
ここで痛みでぶっ倒れたら自然に中に入れる!?
KP
入れるかも!
KP
あなたがジェスチャーで現在地を聞こうとした時……

【CON】×5で判定。
佐倉 光
1d100 35 【CON】 Sasa 1d100→ 11→成功
佐倉 光
うーん。そうかぁー。
KP
ずきりと頭が痛み、引き裂くような痛みが胸を刺した。
しかし幸い、その痛みはあなたの行動を奪うほどの強さにならないうちに去っていく。
佐倉 光
反射的に胸元でお守りを握りしめ、痛みを逃がす呼吸をする。
指先が震え、呼吸が乱れる。身体が痛みで硬直して縮こまる。牧志の体に体重を乗せてしまう。
しかし幸いのたうち回ったり行動不能に陥るほどじゃなかった。
牧志 浩太
牧志が急いで手を出し、あなたの身体を支える。
KP
「具合がお悪いのですか?
こちらでお休みになりますか」
痛みに顔をしかめたせいか、ジェスチャーを誤って解釈される。
佐倉 光
むしろこれは話が省けてラッキーだ。首を縦に振る。
KP
「それは大変です。こちらへおいで下さいませ」

彼が玄関の扉を開き、あなた達を室内へ案内する。
あの寒々しい外とは違った、暖かい空気と柔らかな光が漏れた。
佐倉 光
頭を下げて感謝を示し、中に入る。
丁度いい、休ませて貰うと同時に情報も手に入るかも知れない。
ひとまずここはどこか、どういう所か、ってことは知りたいな。

コメント By.佐倉 光
二人は見知らぬ地でことばを失ってしまった。
どうすればいい?
このままでは相談もままならない!

プレイ日:2025年8月6日 ~ 2025年12月16日

作者名: あやめがさね/入須間

配布・販売サイト: きょうせい、きょうめい

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」



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それとも、現実という悪夢か。

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