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こちらには『忌胎』
『ヒナドリ・イングレイヴド』
ネタバレがあります。
また、かなり大きな改変がありますので、
プレイ参考にはしないでください。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
巻き込まれ体質らしい。

とある事件により、別の次元で自分以外が全て失われた世界の『隻眼隻腕の牧志』の精神を内部に抱えている。彼は神の呪いによって永遠に滅びることはない存在と化してしまっていた。
佐倉はその存在を感知したり話したりすることはできないが、いることは信じている。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。


元々のシナリオからそうですが、描写・設定盛りにより、虫・グロ嫌いの方に激しくお勧めできない感じのリプレイになっております。
ご注意下さい。
開始前の、結果的にバレあり確認
牧志 浩太
あ、そうだ。次やる予定の「忌胎」について、ちょっと確認というか相談したいことがありまして。
佐倉 光
はい。
なんかひどいめにあうとか重大な選択させられるとか何とか?
牧志 浩太
このお話、
・佐倉さんが「牧志と牧志を天秤にかけないといけない」シーンが必ず発生します。
・完全なハッピーエンドにはなりません。
・佐倉さんにとってはめちゃくちゃ辛いと思います。
・牧志がえっらいことになります。牧志らしくないことをするかも。
・KPが佐倉さんを演じるシーンがあります。

っていうのがあって、そのへんOKだったらこちらとしては面白そうだなと思ってるんですが、OKかどうか確認したくて。
佐倉 光
なんだかよくわからない!?
どっちも本物だけどどっちかを選ばなきゃみたいなヤツかなぁ。
牧志 浩太
ぶっちゃけるとそういうやつです。
佐倉 光
なんか良く分かんないけどOk!
↑佐倉に怒られる台詞
牧志 浩太
ありがとうございます!
あ、あと、これまた葛藤が大いに重くなりそうなのと佐倉さんのソロ行動多めなので、置きでやった方が面白いと思ってます。
こちらは下読み終わってて、いつからでも準備イエスオッケー!! なのですが、いつごろから始めるのがいいでしょう?
佐倉 光
ラスト一行(KPが佐倉を演じる)がワケワカラン。
いつでも大丈夫です。
牧志 浩太
ありがとうございます!
さすがに直後だと二人とも可哀想に過ぎるから、雰囲気で春ごろにしようかな。
うちは雑食なので割合何でも楽しくいただいてしまうしなんなら酷い要素を盛りもしますが、こういった確認はやはり場合によっては必要だと思います。
楽しく遊ぶためにはKP・GMとPLの信頼関係と意思疎通はやはり必須なのです。
今回はどんな酷い要素なんだろう、怖い怖い。

その人は床に倒れ伏し、胎を抑えていた。
苦痛に顔を歪め、脂汗を浮かべながら彼は言う。

「蟲が體を這うような、不快で生暖かくて
もどかしい感覚が、もうずっと全身を犯してるんだ」

夜のしじまを破った嗚咽を咎めるのであれば、
貴方はその人を、暴かねばならない。

――裂いて、暴いて、そして最後に俺を選んで。


クトゥルフ神話 TRPG 非公式シナリオ

「忌胎」

R・Uwavami 様


佐倉 光
よろしくお願いします!
こわいわー
KP
よろしくお願いします!

KP
あの思い出したくもない出来事から、数か月ほど経っただろうか。

あなたは今も注射針の鋭さ、降り注ぐ声、与えられる悍ましい苦痛と削り取られていく己を、偶に夢に見る。
魘されて跳ね起きては、牧志があなたの汗ばんだ手を取った。

そんな夢を見る頻度も、ようやく大分減ってきたところだ。
痛みを伴う寒さもようやく緩んできて、春の気配が近づいてきた。

あなた達二人が住む部屋には、なにかと物が増えてきた。
すっかり二人とも細々した物を使い慣れて、貸し借りしたりすることもあるかもしれない。

そういえばこの間、シャンプー切らしたから貸して、と牧志が言ってきたか。

あなたには最近、すこし気がかりなことがある。
牧志が最近、どうも体調が悪いようなのだ。

腹が痛い、気持ち悪い、と彼は訴える。
体調が悪いせいか、悪い夢を見るのだとも。
病院にも行って、レントゲンも撮ってもらったが、何も異常はなかったのだという。
牧志視点(ネタバレ)
KP
あなたは、ずっと空腹を抱えていた。
空腹と、痛みと、不随意に軋む全身の感覚と。胎の中を埋め尽くし、餌を欲して蠢く無数の何か。
いつもなら気にならない頭の奥の羽音までもが、空腹にささくれ立った思考を苛立たせる。

あなたは、こちらに来てからというもの、ずっと空腹を抱えていた。
あなたのいた世界に一番近い世界。あなたが彼を喪う前の、まるで時間だけを跳んだかのように近い世界。
平行世界の牧志
最初は、ひと目彼の姿を見られればいいと思っていた。
少しだけ、何もかも終わってしまう前の時間を、味わえればいいと思っていた。

けど、そんなの、無意識でついた嘘に過ぎなかった。

ここにいたい。
時間を過ごせば過ごすほど、焼けつくような願いが胸を叩いた。

ここにいたい。
あまりにも近い世界が、心を迷わせた。
近すぎる世界は、身体を持った二人が同時にここにいる、なんて夢を許さなかった。
KP
あなたはずっと、空腹を抱えていた。
平行世界の牧志
耐えられなかった。
ここにいたかった。ここにいるのは俺でもいいんじゃないか、そう思ってしまった。
首尾よく雛を見つけてしまった。

俺が直接手を下せば、佐倉さんは必ず俺に辿り着くだろう。

でもさ。
俺達、何度も何度も色んなことに巻き込まれたよな。
だからさ、何だか分からない蟲のせいで、俺が死んでしまって。
その後に同じ俺が現われたら、もしかしたら。

俺の手を取ってくれないかな。
KP
あなたはずっと、空腹を抱えていた。
平行世界の牧志
それが俺の意思なのか、空腹のせいで血迷ってしまっただけなのか、もう分からなかった。
雛を俺の腹に突っ込んで喰わせる。殖やす。ばら撒く。
あの俺の腹を裂いて、埋め込んだ。それで死んでしまえばいい。
KP
あなたはずっと、空腹を抱えていた。
こんなに腹はぱんぱんに張っているのに、なにひとつあなたの糧はない。
平行世界の牧志
一日あれば育つはずの雛は、二日経っても腹を喰い破らなかった。
空腹で目が回る。違うのか。この世界の雛は、こんなに力ないのか?
空腹に思考が奪われていく。胎の奥で蟲が骨をかじっている。

堪らず空の光を求めて、降りてきたビルの屋上によじ登った。
空を仰ぐ。
その果てにいる同胞たちに、助けを求めた。
KP
あなたはこの世界を、同胞たちに荒らし回らせることにした。
あなたが愛していたはずの世界を。
平行世界の牧志
同胞たちは俺と違って、宿主が警察に捕まろうが、死のうが気にしない。
その間に紛れて、俺も、肉を……。
KP
あなたはずっと、空腹を抱えていた。

牧志視点(ネタバレ)
KP
牧志。
十日前位からだろうか、あなたは奇妙な腹痛に悩まされている。

腹痛、と言ってよいものだろうか。
呼吸する度に腹の中でごろごろと空気が動くような感覚があり、大層気持ちが悪い。

最近では、それは空気どころか何か実体のあるものが這うような感覚に変じ始めている。あなたが食べ物を口に入れ、水を喉の奥に流し込む度に、胎の底で何か不快で生暖かい熱を持った塊が神経を這うような、背骨の中を粘性のある膿が伝い落ちるような、痛みを伴う耐え難い不快感が蠢くのだ。
牧志 浩太
「う、うぁ、ああ、」
食べ物を口に入れることさえ少し恐く感じた。
口にした物の味や満腹感が、腹の中を這う熱の気持ち悪さに塗り潰されていく。

気持ち悪い。
腹の中で不随意に蠢くぞわぞわとした不快感を、呼吸する毎に意識する。
KP
それと同時期だろうか。
以前から見ていた悪夢が、次第に強く、恐ろしい、悍ましい内容になり、あなたを悩ませ始めていた。

眠ろうとする間も体内を苛む感覚が邪魔になり、恐ろしい夢への恐怖感が目を閉じても開かせてしまい、あなたはここ最近満足に眠れていない。

あなたは病院に行ったが、異常は見つからなかった。精神的なものだろうと痛み止めと合わせて睡眠薬などを貰ったが、あの夢のことを思うと飲む気になれなかった。
牧志 浩太
病院でも精神的なものだろうと言われた。
あの出来事が後を引いているだけだと思っていたけど、いくら何でもきつくなってきている。

もしかしたら、病院では分からないような何かが、また俺に悪さしているのかもしれない。
まだ続くようなら、明日あたり佐倉さんか先輩に相談してみよう。

佐倉 光
「なんだよ、風邪かなぁ」
ディスシック渡したりしてみたかもしれない。
佐倉 光
「疲れてるとか……変な物食ったとか?」
牧志 浩太
「特に、変な物食べたりしたりはしてないんだけどな……」
佐倉 光
どれくらいの間苦しんでいるんだろう。
KP
十日ほど前からだっただろうか。

最初は少し腹がゴロゴロするような、食べ過ぎたかなとか、そんな程度のものだった。
彼もなかなか治らないな、と不思議そうにしていた。

それが最近、苦しそうな顔で繰り返し繰り返し気持ち悪い、違和感がある、と訴え続ける。
まるで、身体の中を何かが這っているような── 蟲が體を這うような、不快で生暖かくてもどかしい感覚が、そこにあるのだと。
佐倉 光
「さすがになげぇしおかしいな。
病院……行ったんだったな、呪いか何かか?」
牧志 浩太
「ああ……。何もないって言われた。いっそ綺麗なくらいだ、って」
佐倉 光
心配はするが、風呂涌かしたり《アナライズ》したりおかゆ作る程度しかできないな。
おかゆは……レトルトかな。
牧志 浩太
「ごめん、ありがとう、佐倉さん……」
KP
不快感のせいで少し食欲も落ちているのか、いつもより覚束ない手つきでお粥を口にする。
佐倉 光
気持ち悪いって時に腹触ったりできるだろうか。
KP
あなたは腹に触れてみただろうが、手に触れるようなものはないように思えた。
《アナライズ》を試みれば、何か反応があったような気もしたが、彼の首筋から胸までをべったりと侵す痣が反応するせいで、よく分からない。
佐倉 光
《アナライズ》の結果を見て渋面になる。
何かありそうなのに見えない。気持ち悪い。
ここに引っ越してすぐの時に遭遇した異変を思い出した。
あれもまた、正体が分からない何かが、どうしてかこちらに干渉してきていたのだ。
何かがいるのに分からない。見えない。どうすることもできない。
少し前の思い出したくもない事件の時の牧志の気持ちが少し分かった気がした。
牧志視点(ネタバレ)
KP
そんな、ある日のことだった。
重く強くなりつつある不快感と腹痛、睡眠不足による疲労を抱えて大学へ向かおうとしたあなたを、突如急激な腹痛が襲った。

神経を舐る無数の気配が、突如牙を立てて噛みついたかのような。内臓と血管の間に無理やり入り込まれ、引き剥がされるかのような。

耐え難い痛みのあまりに、あなたの足が滑る。
床に倒れ込み、腹を抱えて悶えることしかできない。
牧志 浩太
痛い。痛い痛い痛い痛い!
頭の中が痛みで塗りつぶされる。何も考えられなくなる。何も見えない。痛い痛い痛い痛い!

痛みのあまりに叫び声が迸る。
助けを求めようと、スマートフォンを握りしめる。

救急車の番号を押しかけて、一瞬だけ迷って、佐倉さんの連絡先を呼び出した。
KP
激痛に意識が白く腫れ上がる。持っていかれる。
牧志 浩太
最後の力で辛うじて、メッセージを送った。
『たすけて』と。

KP
そんなある日のことだった。

具合が悪い、と言いながら身体を引きずって大学へ行く彼のことが心配にもなっただろうが、そんなあなたにも仕事が入る。

夜に出てくる小さな悪戯者どもを懲らしめるだけの、簡単な仕事だ。

それが終わった頃に、あなたはふとスマートフォンの通知に気づく。牧志からのメッセージだ。
佐倉 光
メッセージをチェックしてみる。
最近具合悪いのが続いているし、原因も対処法も分からないんだ、正直心配だ。
KP
そこにはたった、ひとこと。シンプルに。

 『たすけて』

それだけだった。
佐倉 光
え、何だ? 何が起きた?

牧志に電話をかける。
今の時間あいつはどこにいる?
KP
あなたは牧志に電話をかける。
しかし、電話が取られる様子はない。
機械的な呼び出し音だけが、あなたの耳元で空しく響いた。

【アイデア】
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→68→成功
佐倉 光
「くそ、どうしたんだ」
メッセージに「何があった、どこにいる、何をしたらいい」と送り返す。
KP
メッセージには、既読すらつかない。

牧志はどこにいる。
必死に思考を巡らせ、あなたは不意に昨晩の会話を思い出す。

寝る前の彼もひどく調子が悪そうだった。
どうにか夕食を腹に入れたあと、あなたに心配をかけまいとしてか。
牧志 浩太
「明日は昼からだから、しばらく寝てるよ」
KP
そんなことを言っていた気がする。
……あなたが仕事に出た時、彼はまだ眠っていた。
まだ、家にいるのではないか。
佐倉 光
家か? 既読も付かないって、何があった?
慌てて帰宅する。
脳溢血とか、そういうヤツじゃないだろうな?
KP
あなたは街の人込みをかき分けながら、家へと急ぐ。
ひた走るあなたの耳に、雑踏の中で煌々と光を放つ大型ビジョンのニュースが聞こえてきた。

〈聞き耳〉
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→56→成功
KP
『先日、都内で起きた空震についての続報です。関係者は「隕石落下の衝撃波の可能性が極めて高い」と発表しました。一部の建物では窓ガラスが割れるなどの被害が出ています。また、この隕石の影響により、15名が腕や顔をガラス片で切るなどの怪我を負いましたが、いずれも命に別状はありませんでした。続いてのニュースです……』

あなたは、垂れ流されるニュースを雑音として耳に入れながら、家へ向かってひた走る。
佐倉 光
最近たまに聞くニュースだ。
内容を気にする余裕はない。
KP
上向きに続く大通りを住宅街へ、
見慣れた道を駆け抜け、
アパートの階段を駆け上がる。

自宅の扉はもうすっかり知った佇まいで、いつものように静寂を湛えていた。
佐倉 光
胸が痛い。
息が苦しい。
乱れた呼吸を整えるのももどかしく、物理鍵を出して差し込み回す。電子錠のボタンを押す。
KP
開ける動きさえもどかしく、あなたは扉を開ける。
佐倉 光
「牧志!」
部屋のなかに声をかけながら足早に中へ。
KP
探していた人は、すぐそこに倒れていた。

固い床の上に、俯せに身体が投げ出されていた。
最後の力を振り絞ってあなたに助けを求めたのだろう、手のすぐ横にスマートフォンが落ちて、画面を光らせていた。
反対側の手は、腹を強く押さえ込むように回されていた。

辺りは異様な静寂に包まれていた。
あなたの鼓動と呼吸ばかりが、空気をかき乱す。
ぴくりとも動かない。

あなたは一瞬、

死んでいるのではないか。

と、反射的に思ってしまう。
底冷えするような恐怖が、ぞくりと背を這った。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
佐倉 光
1d100 70 SAN ☆ささぼっと☆ 1d100→92→失敗
SAN 70→69

「おい……おいおい嘘だろ!」
全身から血の気が引いた。
叫んで駆け寄り、まず脈を取る。声をかける。

スマートフォンが光っているということは、直前まで操作をしていたということになるが……
KP
あなたの動きに反応して、ぴくり、と僅かに指先が動いた。
彼の中を流れる血の脈動が、あなたの指先に触れる。
牧志 浩太
「さく、ら……、さん、」

うっすらと目が開かれた。
腹を押さえた手が、痙攣するように動く。
うう、ああ、ううう、と苦しげに呻きながら、彼は必死に頭を擡げ、あなたに向かって自らの意識を引き起こそうとする。
額に脂汗が浮いていた。
佐倉 光
ほっと息をついて、牧志の部屋から掛け布団と枕を持ってこよう。
残念ながら俺の力で牧志を動かすのは無理だ。

「救急車呼ぶか?」
呼んだ方がいいかもしれないな、これは。
牧志 浩太
彼は弱々しく頷き、布団を被せられて胎児のように身体を丸めた。

襲ってくる痛みか何かに必死に耐えているのだろう、眉根を強く寄せ、下腹部を震える手で押さえていた。
KP
救急車が到着するまで、少しの間会話をしたり、彼の容態を見たりすることができるだろう。
佐倉 光
水を持って来たり、話しかけたり、熱を測ったり、自分にできる限りのことをする。
KP
彼はあなたの手から僅かに水を飲んでは、痛みに、苦しみに呻く。
辛うじて嚥下はできるようだった。
佐倉 光
「大丈夫、何とかなる。もうすぐ救急車が来る」
病院では何も見つからなかったと牧志は言っていた。だったらこれは人の手に負えない何かかも知れない。そうだとしてもそれを言葉にはしない。
牧志 浩太
彼は縋りつくように片手を伸ばして、あなたの服を掴もうとした。
佐倉 光
本質的には何もできないもどかしさに、牧志の手をとる。
少し前、果てのない悪夢にうなされた時に彼がそうしてくれたように。
KP
手を取ればひどく汗ばんでいて、熱を感じた。微熱が出ているようだった。

彼はあなたの手に縋り、絶え間ない苦痛に口元を震わせながら、微かに安らぐように一瞬、口角を上げた。
佐倉 光
腹が痛くなった前後に何か特別なことはなかったのだろうか、本当に?
おそらく何度も調べたり問いかけたりしたことのある疑問を口にする。
牧志 浩太
「わか、らない、突然、痛み、だして……、」

彼はどうにか言葉を繋ぎ、あなたに自らの身を襲う苦痛を説明しようとする。
牧志 浩太
「腹が、痛くて、腹だけじゃない、全身が、俺のじゃなくなったようで、」
牧志 浩太
「まるで、神経を何かが這ってるみたいな、内臓が剥がれていくみたいな、」
佐倉 光
腹には相変わらず触れても何もないのだろうか。
KP
あなたは彼の腹に触れる。喘ぐ呼吸に合わせて伸び縮みするそこに、しかし触れる異常はなかった。

〈医学〉または〈目星〉。同一情報。
合わせて、牧志が【アイデア】を振ります。
牧志 浩太
1d100 90
☆ささぼっと☆ 1d100→97→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
ここでまさかのファンブル! 波乱の予感です!
まあ……状況から言って仕方ない。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→16→成功
KP
あなたはその一瞬、見た。彼の皮膚の下で何かが蠢くのを。
いや、見間違いだろうか。血管が脈打っただけだろうか、

その直後、
牧志視点(ネタバレ)
KP
あなたは思い出してしまった。
夕暮れの中で出会ったもうひとりの自分を。

腹に凶悪な刃物が食い込む感触を。
引きちぎられこじ開けられていく己の中身を。血と体液に濡れ、てらてらと光る内部を。

自分自身の手が掴んでいた、絶えず蠢く無数の蟲を、無数の蟲が寄り集まってできたような、白い膿に似た蜘蛛のような生き物が脚を伸ばすさまを。

見るだけでも悍ましいそれが、自らの腹の中にねじ込まれるのを。
血塗れの肉にそれが直接触れ、内臓を引っ掻く無数の脚を直接感じさせられるのを。
気が狂うような感触が少しずつ体内へと入り込んでいくのを。

あなたの中で蠢いていたのは。
この十日間、不快なもどかしい熱としてあなたの中に存在していたのは。

見るも悍ましい、それ、だったのだ。

牧志 浩太
「あ、」
彼の眼がぐわりと見開かれた。
1d100 76 ☆ささぼっと☆ 1d100→58→成功
1d5 ☆ささぼっと☆ 1d5→5
1d100 90 ☆ささぼっと☆ 1d100→19→成功
SAN 76 → 71
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
それ、が、いる。
見るも悍ましいそれが、俺の腹の中にいる。

知覚してしまった。はっきりと。
蠢いている。内臓を無数の脚で引っ掻き、神経に沿ってもぞり、もぞりと這っている。

俺が呼吸をする度に、それが蠢く。
俺が何か食べる度に、それが蠢く。
腹の中で、不随意に、びくびくと、内臓に食らいつきながら、今も動いている!

耐えられない。
出さないと、早く、あの時のように腹を裂いて、早く、早く早く早く早く!!

牧志 浩太
「あ、ああああ、あああああ……!」
突然、彼は激しく喚きだす。
牧志 浩太
「蟲が、」
牧志 浩太
「蟲が蟲が蟲が、腹が、中に、裂いて、俺が、あああ、動いて、動いてる佐倉さん、びくびく言ってる、何で、何で俺忘れてて、出さなきゃ、こいつ、」

急に彼は激しく錯乱しだす。
暴れる手でジャケットのポケットから引き抜いたのは家の鍵だった、彼はそれを自らの腹に突き刺そうとする。
思い出した
KP
急激に何かを思い出してしまい無事《SANチェック》盛られました。
佐倉 光
ナンダロォ
一年前の出来事カナー
KP
もっと最近の出来事デスネー
佐倉 光
ヒナドリ……じゃないとすると佐倉が知らないヤツかなー。
KP
ないやつですね。

佐倉 光
「おい、やめろ!」
叫んで彼の手を掴み止めようとする。

異常な行動、異常な発言、錯乱しているから?
いやもし彼が言っていることが正しかったら?
佐倉 光
「中に何かがいるにしたって鍵じゃどうにもならない。万一刺さっても酷い怪我になってしまうだけだ! せめて消毒した刃物……とにかく鍵は駄目だ!」
KP
止めようとするならば、〈精神分析〉〈心理学〉、または任意の〈交渉技能〉

失敗しても止めること自体はできますが、どれだけ冷静に話が聞けるかが変わります。
佐倉 光
一番芽があるのが〈心理学〉57だな。
オープンで振って良いですか。
KP
オープンでokです。
KP
こういうとき佐倉さんでは【STR】で牧志を止められないのが結構重い。
佐倉 光
1d100 57〈心理学〉!  ☆ささぼっと☆ 1d100→54→成功
KP
あなたは腹を刺そうとする彼の手を掴み、必死に呼びかける。
力の入らない手から弾みで鍵が落ち硬質な音を響かせた、彼はなおも自らの爪で腹を引っ掻こうと、引き裂こうとする、中にいるという「何か」を取り出そうとするように、あなたは錯乱する彼の訴えを認める言葉をかけ、あなたの手を振り切ろうとする手にしがみつきながら、呼びかける。
喚き立てる彼の眼が身を襲う苦痛に震えながら、少しずつ光を取り戻していった。
牧志 浩太
「あ、あ……、ごめ、佐倉さん、ありがとう、俺、俺……、」
KP
遠くからサイレンが聞こえる。
ようやく救急車が来てくれたようだ。
救急隊がここに到着するまでの間、少しなら彼に話を聞くことができる。
佐倉 光
「牧志、頼む、いつ何があったか話してくれ。
何がいると思ってるんだ? どうしたらいい?
救急車ではどうにもならないやつか?

中に何かいるとしても、単純に切るのは危険だ。
できる限りでいい、教えてくれ」

牧志が突き刺そうとしていた腹を露出させて観察しながら、
焦る気持ちを抑えてゆっくり発音する。

スマートフォンの録音操作をする。
一言たりとも聞き逃すわけには行かない。

牧志をこんな風にしたのは何だ。何が入り込んでいる。
蟲と言ったが、何のことだ?
寄生生物? 蟲に似た何か? たたみかけたいのを我慢して言葉を待つ。
KP
思い出してしまった悍ましい何か。
絶えず襲う苦痛と嫌悪、今すぐにでもまた我を失って喚きだしそうになる程のそれが彼の中を渦巻くのが、あなたには分かった。

あなたの声と手に、彼は縋る。
牧志 浩太
「十日、前」

縋って、息を吸って、吐いて。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
息を吸って、吐く度に、腹の中を這う悍ましい感触を味わわされながら。

牧志 浩太
「大学の、帰りで。色々あったから、あんまり薄暗い道は、通らないようにしてて、でも、ふっと人が途切れて」
牧志 浩太
「俺が、いたんだ」
牧志 浩太
「目の前に、俺が」
牧志 浩太
「そのあと何があったか覚えてない、気づいたら地面に引き倒されてて、俺が何か持ってて、拳くらいの大きさだった、無数の蟲が集まったみたいな、ぬるぬると蠢いて縺れて、縮んで、膨れて、」
牧志 浩太
「腹が刺されて痛くて裂かれて無理矢理こじ開けられて、血塗れでぬるついて、その中に押し込まれて、あれを、あいつ、あ、あああ、中にいる、今も蠢いてる、這ってる、脚を伸ばして、俺が呼吸するとそれも蠢くんだ、たくさんたくさんいて、まるで俺の中身がそれになったみたいで、」
好きだから……
佐倉 光
なかなかきつい感じになってるね牧志……
なんとなく何を選ばされるか想像すると怖いぞ。
KP
・このシナリオ同居PCあんまり想定していなくて
・牧志と佐倉さんの雰囲気に合わせるために色々調整して

などなどで結構調整をかけてまして、その結果と筆の勢いで牧志の大変さが増してます。ごめんな。
佐倉 光
またシナリオ想定以上に自PC虐めてる!!
KP
ごめんな!!(その結果見える二人の色んな顔を見たいんだ)
あと描写は盛り倒しているけど普通にシナリオの時点で大変なことにはなってます。
佐倉 光
分かりすぎる。→結果見える顔が見たい
KP
これだけやってもまだ新しい顔が見えるんだもの。

佐倉 光
「……」
理解するのが難しい。
いや、分かる。分かるが分からない。

自分と同じ見た目の奴が現われて、腹を裂かれて蟲を入れられた?
それからそいつらに寄生されてた、ということか?
それが医者に行っても発覚しなかった。
俺の目にも見えない。
……とすると完全にアウトなやつだ。人間にどうこうできる奴じゃない。

幻覚?
幻覚で十日間も腹が痛むか?
腹を切れば出てくるのか?
出てくるとして、その時牧志はどうなる?

頭の中で思考がぐるぐると渦巻いた。

いや、それでも今調べても何も出ない、とは言い切れない!
KP
その時、階段を駆け上がる音がした。
救急隊が到着したのだ。

掴み続けた緊張の糸が切れたのか、彼は一度びくりと身体を震わせて気を失った。
佐倉 光
階段を駆け上がる音を聞いてすぐ玄関を開ける。
佐倉 光
「うちです! 牧志です! 早く来て下さい!」
KP
玄関を開けると、担架を持った救急隊が目の前にいた。
彼らは目を閉じたまま苦しげに呻く牧志の姿を見つけると、彼に声をかけながら素早く担架に乗せ、救急車へと運ぶ。

あなたは牧志の氏名、いつから苦しみだしたのかなどの状況、既往症、アレルギーの有無など処置に必要なことや、服用している薬がないかなどを聞かれるだろう。
佐倉 光
必要な情報を手早く伝える。
既往、アレルギーの有無は、知る限りは伝えるけど完璧ではない。
牧志の失われた記憶の向こうはどうしようもない。さすがに大きな病気は家族から聞いているんじゃないかと思うけど、逐一俺も知っているわけじゃない。
服用薬は……病院に行ったとき出してもらっているかも知れないな。知っていれば伝える。
KP
あなたは彼らを見送ることもできるし、付き添いとして病院についていくこともできる。
佐倉 光
当然付き添いで行くぞ! って言うか多分同居ならまず間違いなく付き添い頼まれると思うし。

救急車の中でも牧志に時折声をかけたり、変化がないか見ておく。こっそり行うのは難しいと思うが、《アナライズ》も。
KP
あなたは彼と共に救急車に乗り込む。
牧志 浩太
「……」
偶に、彼はうっすらと目を開け、苦しそうな顔で微かにあなたの名を呼ぼうとしていた。
KP
保険証などを求めて彼のベルトポーチを探ると、応急手当キットなどに混じって薬袋が出てくる。
病院の薬袋。あなたにとって何となく古い嫌な思い出を呼び起こすそれには、三種類の薬がまとめて入っているようだ。
しかし、使われた形跡があるのはそのうち一種類だけだ。
救急隊員はそれらの薬を、薬袋と合わせてあなたから預かるだろう。

あなたはそれらの薬について、
〈医学〉または〈図書館〉(ネットで調べる)で調べることもできる。
佐倉 光
「保険証保険証……持ってるかな……」
一応開けるぞと声をかけてからポーチを開ける。
佐倉 光
あ、薬だ。出してもらったって言ってたかな、そういや?
使ったのは一種だけか。
これだけ苦しんでいて必要ない薬っていうと、解熱剤とかかな……
名前で検索かけよう。
1d100 85 〈図書館〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→26→成功
KP
それはよく使われる腹痛向けの痛み止め、それから抗不安薬と睡眠薬だった。
成程、痛みで眠れないという時に使われそうな組み合わせだ。
しかし、減っているのは痛み止めだけだ。
佐倉 光
睡眠薬が減ってないのか……

随分と意外に思った。
抗不安薬はともかく……あれだけ苦しんでいたら眠るのも辛そうだが。
夜、声がしていたら牧志の部屋を覗くことはあったかと思うが、その時眠れていそうだっただろうか。(駄目なら最近仕事忙しくて夜は見てなかったとかで)
KP
あなたが見たとき牧志は眠っていたが、何となく眠りが浅いように見えた。
物音に気づいて目を覚ますことは、あの事件からのここ数ヶ月よくあったが、それとも少し違った。
苦しげな声が聞こえて部屋を覗いたとき、額に汗を浮かべていることがあった。

そういえば。
牧志 浩太
「体調が悪いからかな。何だか夢見が悪くて」
そんなことを、こぼしていたような気がする。
KP
ちなみに「ここ数ヶ月~」は、「ピリピリしなくても」って言われたすぐ後にあんな事件が起きちゃったから、また無意識に気を張るようになった牧志です。
佐倉 光
眠りは浅いようだし苦しんでいたようだが、薬が必要なほどじゃなかったのか?
日中は随分辛そうだったけどな……

夢見が悪い、と言われたときにもっと詳しく聞いておくんだったと思う。
夢は今までになんども奇妙な出来事の入り口になっている。
この一年何もなかったから、俺も平和ボケしているらしい。
KP
あなたはこっそりと腕輪を起動し、《アナライズ》を行う。

【ERROR】
【対象を選択してください】

そんなエラーが繰り返し表示された。牧志の腹にまっすぐ向けているはずなのに、何か複数のものが対象に入るのだ。
佐倉 光
《アナライズ》の結果を見て、確信する。
牧志は本当のことを言っている。
腹の中に何かがいる……それも、複数。
病院で何か分かるか、進展するといいのだが……
KP
救急車がサイレンを鳴らしてひた走る。
その光景を中から眺めるというのは、少し不思議な気分でもあっただろう。
目の前で苦しんでいる牧志にとっては、それどころではないが……。
佐倉 光
おい牧志、勝手に死ぬんじゃないぞ。
今まで色々乗り越えてきたのは、こんな終わりを迎えるためじゃないんだ。

苦しげな牧志の顔を見ていると、自分に何も分からず何もできないことが歯がゆくてならなかった。
口の中に血の味がして、ふと気付くと唇を噛んでいた。

コメント By.佐倉 光
牧志が大変なことになっている!
しかしどうにかできる手がかりもなく、途方に暮れる佐倉。

佐倉が大変なことになって牧志が道に迷う話の次は、
牧志が大変なことになって佐倉が道に迷う話です!

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