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こちらには『禁獄ノ糸』
のネタバレがあります。

本編見る!
牧志は針を発見する。
牧志 浩太
それは布団のどの辺りに落ちていただろうか?
佐倉さんが寝ていた辺りか、自分が寝ていた辺りか、首の辺りか。
KP
佐倉が寝ていた方向だろうか。
枕の下に隠れるように落ちていたので気付かなかったのだ。
牧志 浩太
枕と布団を剥がして下を見てみる。

その針には何か付着していないだろうか?
また、針以外のものは落ちていないだろうか?
KP
その下には特に何もないようだ……

布団の中を探していると、急激に脱力感が襲ってくる。
あなたの視界が目まぐるしく回る。
以前にも体験したことのある、急激な眠りに向かう際の不快感だ。
牧志 浩太
視界がぐるぐると回り、目の前の布団で一杯になっていく。

中にいる奴のせいなのか、何かされているのか、でも昨日は食事を摂らなかった、色々なことを考えながら、抗えずに布団へと落ちていく……。



【4日目】


KP
腹の奥で何かが蠢いている。痛みが内側からあなたを蝕む。
ぼこぼこと腹は内側からの力で膨れ上がって無秩序に飛び出している。
内側からの圧を受ける度に激しい痛みが走る。
今にも風船のように膨れた腹がはち切れてしまいそうだ。
佐倉 光
「元気そうだ……俺たちの子が、出てくるんだな」
KP
横に座った佐倉がうっとりと囁いて、あなたの腹を優しく撫で、優しく抱きしめた。
佐倉 光
「待ちきれない。牧志」
佐倉 光
「俺も、牧志が食べたい」
KP
佐倉はあなたをなだめるように、囁こうとするように、あなたの耳元に顔を近づけた。

突如、頬にかっと燃えるような熱が発生する。
耳元から咀嚼音が聞こえる。
ごくり、と喉が鳴る音も。

佐倉があなたの頬の肉を喰らっている。

何が起きたかを理解してようやく、随分と遅れて、痛み。
熱を持った頬に手を触れれば、いつもの自分の肌ではなく、
ぐちょりと温かい液体が手に触れて、痛みが広がっていく。

▼1d100
牧志 浩太
1d100 Sasa 1d100→11
佐倉 光
「もっと啼けよ」
KP
佐倉はあなたを抱きしめると、首元へと噛みついた。
柔肌に食い込む歯の感触と熱から逃れようと、あなたは彼にしがみ付くように抱きついた。
それでも逃れられない痛みに意識を手放すその瞬間、彼の囁くような声が耳に聞こえたのだ。
佐倉 光
「早く見つけてもらえるようにさ」
KP
《SAN値減少》
牧志 浩太
「あ、ああ、ああ、」
その時自分は何を思っていたんだったか。

「子供」を迎えられる幸せ?
佐倉さんに自分をあげられる歓喜?
俺の心臓を求めてもがく、あの苦しみをようやく癒せる喜び?

それとも、耐え難い痛みへの、ただただ恐れと怒り?
牧志 浩太
どうだったとしても、とにかくその時の自分は、その痛みに驚き、逃れたがっていた。

そんなものを求めてなんていなかった。
→合計4
SAN値 41 → 37

KP
目が覚める。
頭が痛い、身体が重い。
部屋に佐倉の姿はない。

体を起こせば吐き気も感じた。
牧志 浩太
「あ、ああ、ああ……、」
がたがたと身体が震える。
頭が痛くて、身体が重い。

首を喰い破られた痛みが、違う、悔しさと悲しさが、まだ頭の端に重く残っている。
牧志 浩太
名を呼びたくて堪らないのに、佐倉さんはここにいない。
俺を守るって言ってくれたくせに、いない。

それが、佐倉さんは俺を守ろうとなんてしていないことをより強く感じさせて、悔しくて悔しくて堪らなかった。
KP
腹部に鈍い痛みを感じてそこを見ると、昨日より自分の腹が膨らんでいた。
SANチェック
牧志 浩太
1d100 37 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 98→致命的失敗ファンブル
SAN値 37 → 35
牧志 浩太
腹の辺りが重いような気がして、嫌な予感がして服をめくる。
牧志 浩太
「あ、」
腹が、膨らんでいた。
あの夢と同じように。
KP
体調が悪い以外、あなた自身に外傷などはない。
頬も首も嫌な汗にまみれているものの、血や肉や赤い粘液などはついていない。
あれはやはり悪夢に過ぎなかったのだ。

だが膨れた腹はやはりあなたの内部で何かが起きていることを否応なく突きつけてきた。
牧志 浩太
へばりついた汗が、身体がずるずると溶けていくような錯覚を呼び起こした。

膨らんだ腹は実際以上に大きく見えて、何かに触れれば弾けてしまいそうな気がして怖い。
牧志 浩太
「う……、」
吐き気を堪えて、腹を庇いながら恐る恐る身を起こす。
襲ってくる鈍い痛みが、怖い。

あらゆる棘を取られた部屋の中は、まるで幼虫のための繭みたいだった。
牧志 浩太
室内に何か変化がないか、室内をぐるりと見回す。
扉の外であの時のような話し声や物音がしないか、扉に耳をそばだててみる。
KP
状況に変化はないか。
生きるための行動を始めようとしたあなたの指先に、何か硬い物が当たった。
固い板状の物。見たことがないスマートフォンだ。
普段佐倉が「あそこは駄目だ」と言っているメーカーのものなので、
恐らく彼のサブスマホではないのだろう。
牧志 浩太
「これ……、」
はっ、と気づいてそれを拾い上げる。佐倉さんのスマホじゃない。

誰かが落としていったものかもしれない。
牧志 浩太
そう思った瞬間に行動を起こしていた。

布団の上に身を横たえて、布団で隠すようにしてスマホに触れてみる。
ネットは繋がっているか。何か分かることはないか。得られる情報はないか。
牧志 浩太
重い身体を布団に横たえ、腹を庇っていると、まるでそれを守っているみたいだった。
KP
温められた腹が食事を求めて啼く。
KP
手に取ると画面がついた。ロックはかかっていないようで、すぐにホーム画面が飛び込んでくる。
充電は一桁になっており、何かの作業をすれば電池が切れてしまうかもしれない。
インターネット・電話なども使えそうではあるが、数分がせいぜいだろうか。
KP
※電話、インターネットによる調べ物、スマートフォン内の情報を見るなど、ひとつアクションが取れます。
牧志 浩太
助けが、呼べるんじゃないか。
一瞬、思った。

首を振る。
これは佐倉さんのスマホじゃない。
誰かが残していったかもしれないものだ。
牧志 浩太
だとすれば、情報があるかもしれない!
助けも欲しいけど、間に合わないかもしれない。
打開のきっかけになる情報なんてないかもしれない。助けを求めた方が確実で、いや。でも。

一瞬だけ迷って決断した。
少なくとも、迷ってる暇はない。
牧志 浩太
▽スマホ内の情報を確認する。
残されていたデータには奇妙な文様が描かれていた。
牧志 浩太
「ぐっ……、」
腹がばくんと跳ねたような気がして、呻く。
KP
日付を見れば、二週間ほど前からやりとりをしているようだ。
牧志 浩太
佐倉さんの……、知り合い? それにしては、何だ、これ?

二週間前。
この時の佐倉さんは、正気か?
痛みを意識から追いやり、充電が切れる前にスマホの中身を追いかける。
KP
二週間前から、このスマートフォンの持ち主が佐倉に指示をしているようだ。
簡素な指示に『はい』という返事だけが続く。
KP
一番最初のメッセージで、『どこへ行った』との問いかけに佐倉は『異界化した家屋にいます』と返答している。メッセージには地図がついていたが、それを表示する前にスマートフォンの電池が切れた。
牧志 浩太
「あっ……!」
くそ、しまった!
ここが何かは分かったけど、地図を表示する前に切れてしまった。
舞台が自宅ではない理由
KP
だってKPC自宅だと色々都合が悪くて。
子供は同居してるし、ちょっとでも不審なことがあったら悪魔連れて救出に来るお兄さんや、力業で全てをハッピーエンドにできそうなお兄さんが乗り込んできそうなんだもん。
牧志 浩太
確かにそれはそう。
シローいるし、二人が何かと巻き込まれやすいことを知っている人もいますしね。

偶像の時もそうだったけど、こういう時に異界……、便利!
KP
行方不明長すぎたら波照間以外の佐倉の同僚も動きそうだしさー。
異界と悪魔すっごく便利。
牧志 浩太
なんですよねぇ。
一般成人だとそうそう行方不明になっても探されなかったりするけど、悪魔使いの同僚は動いてしまうし探せてしまうからなぁ。
そう便利。
KP
地味に、簡単に『警察に頼ろう』になりづらいのも便利なところ。
↑アングラなお仕事
牧志 浩太
ですね。警察に助けを求めよう! もし辛くなるし、警察が足取りを追えない理由にもなる。便利ィ。
KP
それはそうと次……回復シナリオ回した方が良さげ?
牧志 浩太
そんな気がします。SAN値が盛大に削れてる。
KP
前世のヤツは高SAN値推奨なんですよね。
牧志 浩太
ああー、とすると回復挟んだ方がよさそうですね。
KP
60くらいで高いSAN値扱いになるかどうかもシナリオ読まないと分からないけど。
牧志 浩太
ですねぇ。

牧志 浩太
分かったのは、二週間前には佐倉さんはもうおかしくされてたってこと。
きっと、俺もそのときからここにいて、こうなっているんだろうということ。
それから、あの迷路。
牧志 浩太
状況は絶望的だ。異界の中じゃ、助けを求められない。
分かったことのうち、役に立ちそうなのはあの迷路くらいだ。
牧志 浩太
焦りが腹の中に落ちて、せき立てるように餌を求めて腹が疼いた。
牧志 浩太
指示している内容の中に、気になる内容はあっただろうか?
また、ここに迷路の画像を描きとめておけるような物はあるだろうか?
KP
ペンや鉛筆のような物は一切ない! 恐らく尖っているからだろう。
あなたは「酷かも知れない」と佐倉が言っていたことを思い出すだろう。

だが、書き留める物を探していたあなたは、より気になるものを発見する。
扉の横に外れた南京錠が落ちているのだ。
牧志 浩太
扉の横に外れた錠。
その状況は、もしかしたら扉が開くんじゃないか、と思わせるには十分だった。

ここに誰かが入ってきて、迂闊にも閉じ忘れたのかもしれない。
佐倉さんが開けてくれたのかもしれない。

頭の中に一気に希望が渦巻いた。
油断してはいけない、いけないと思っても、止まってくれない。
KP
どくり、どくりと心臓が早鐘を打っている。
少し熱があるようで、視界がくらりと薙いだ。
牧志 浩太
「う……、」
視界が傾ぐ。身体が重く、怠い。
出られるかもしれない、もしかしたら出られるかもしれないのに。
牧志 浩太
重い腹と身体を抱えて、充電の切れたスマホを持って扉に近寄り、扉を開けようとしてみる。
KP
扉は手前へと開く。
当然その向こうには廊下が……なかった。

廊下へ続く空間が全て、糸で、布で、テープで、木の板で、
部屋から外が見えないくらいに塞がれている。
それはあまりにも狂気じみて、強い執念によって形作られた繭を内側から見るかのようだった。
これを排除しようとするなら間違いなく音がしてしまうだろう。
SANチェック
牧志 浩太
1d100 35 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 29→成功
SAN値 35 → 34
牧志 浩太
「あ、ああ……、」
へなりと脚が崩れ落ちた。

廊下の外は繭だった。
扉が開いたのに、開いたのに、外はまだ繭に覆われていた。

開いた理由は迂闊じゃなかった。
もう、鍵なんて要らなくなったんだ。
繭が出来上がってしまったから。

希望が見えたのに、続かない。
道はあるのに、出られない。
希望が見えては折り取られるのは、何もないより堪えるってことを自覚させられる。

絶望がじわりと忍び寄った。
膨らんだ腹がじくじくと痛み、存在を主張する。身体が重い。
まるでその腹が俺そのものであるみたいに、痛みが訴えかけてくる。
牧志 浩太
「くそ……、」
呟く声には力がない。それでも諦められなかった。
怒りは力をなくし、諦めたくないという力のない気持ちだけがある。

室内を見回す。他に、他に何か変化はないか。
繭を見る。どこか穴を開けられそうな場所はないか。
丁寧な攻撃
牧志 浩太
諦めない牧志に希望を見せてからの絶望を、孤独が苦手な牧志に「佐倉さんが繭の中に自分をひとりで置いていった」なんて仕打ちを、なんてひどいことを。
青に染色→巨大化→この流れ、偶然にも牧志を丁寧に折りに来てるようなとこある。
KP
今の佐倉は「こうされると牧志は辛い思いをする」ということを知っているけど、「こうすべきだから」やってるんですよね。
牧志 浩太
認識や感情がなくなってるわけじゃなくて、その上に「すべきだから」が重なってるんだなぁ。
それはどっちにとっても辛いな。

KP
一縷の望みをかけて『繭』を観察するあなたを、黒い瞳が見つめていた。
繭の隙間から、目だけをぎょろりと覗かせて見ていた。

いつからそこにいたのだろうか。
その白目は充血して赤く、肌は白を通り越して蒼い。
佐倉 光
「どうした?」
KP
平坦な声が問いかける。
まるで自分の不調には気づいていないように。
牧志 浩太
「佐倉さん……、」
ようやく名を呼べたのに、出た声は涙を湛えて萎れた声だった。
こちらを見つめる黒い眼は、見えた希望を折り取る絶望でしかなかった。
牧志 浩太
「ずっと、そこにいたんだな。俺をずっと見てたんだ……。

佐倉さん、顔が真っ白だよ。
そのままじゃ、佐倉さんも死んじゃうよ」
牧志 浩太
「佐倉さん、思い出してよ。
ここにいるのは身体じゃない、俺だよ。
佐倉さん、幼虫なんか守る必要ないんだよ。なんで外から見てるんだよ。こっちに来てよ。これ開けてよ」

ぼろぼろと涙がこぼれる。ぐずぐずと涙声になる。

今の佐倉さんはおかしくされてるんだから、こんなことを言ってもしょうがない。
佐倉さんにぶつけることじゃない。
それよりもあの画像について聞くべき。情報を得るべき。

分かっているのに声が止まらないのは、勝算とか、佐倉さんが我に返ってくれるんじゃないかとか、そういう理由じゃなかった。

半分、諦めそうになっていただけだった。

諦めたくないのに、何も見つからないんだ。絶望しかないんだ。
助けてほしかった。この絶望をぶつけたかった。それだけだった。
KP
暫く佐倉は返事をしなかった。
ややあって外からベリベリ、と力任せに『繭』を破壊する音がする。
外から形作られた物だ、外からの破壊の方が早い。
破壊を続けながら、ようやく開いた僅かな隙間から、佐倉は傷だらけの腕を差し伸べてきた。
赤に。青に。黄色に。破壊された組織を纏わせた腕は、あなたを招いていた。
佐倉 光
「ここから出たい? 牧志」
牧志 浩太
「佐倉さん……」
今の佐倉さんは俺を助けてくれない。
今の佐倉さんには俺より優先するものがある。
今の佐倉さんがすることは、何一つ、俺のためじゃない。

そう分かっているのに、その手を掴まずにはいられなかった。
牧志 浩太
「出たい。出たいよ。決まってるじゃないか。
でも、それ以上に」
牧志 浩太
「佐倉さんが死んじゃうのがいやなんだよ」
牧志 浩太
牧志が「助けてほしい」を佐倉さんにぶつけるの、実は結構レア。
ここまで弱って吐き出したのがそれ?? >佐倉さんが死んじゃうのがいやなんだよ
佐倉 光
「大丈夫だ、心配は要らない」
KP
ばり、と一際大きな音がして繭が人一人抜けられる程度破壊され、佐倉が入ってくるや、あなたを抱きすくめた。
佐倉 光
「ここにいるんだ。俺が守るから」
KP
あなたの頬に彼の手が触れる。
その手がひんやりとしているのは、自身の体温のせいだろうか、それとも……

何故だろうか。体が動かない。
あなたの全てを花の香りが埋め尽くしている。
絶望も希望も、果てなく咲き乱れる花の中に埋もれてゆく。
牧志 浩太
「あ、ああ、ああ」

激しい喉の渇きを覚えた。
腹の底でずくずくと空腹が疼いている。
孤独が、淋しくて淋しくて堪らなかった心が、助けてくれた腕を欲しがってやまない。

助けてくれた。
来てくれた。
何一つ違うのに、心が目の前の腕を求めている。
佐倉 光
「俺を呼んだのは、どうしてだ?」
KP
喉の渇きを自覚する。
飢餓感をおぼえる。
押し流される。
牧志 浩太
「違う、違う、取り戻したかったんだ、元に戻ってほしかったんだ、死んでほしくないんだ」

叫ぶ声が甘い香りの上を滑っていく。
あまい、あまい、何も考えられない。腹がずくずくと疼いている。まるでそれが俺そのものであるみたいに。

目の前の腕を俺が、それが、同時に喜んでいた。
俺が、目の前の腕を欲しがっていた。
KP
そんな牧志に最悪の流れでごめんな。
丁寧に踏み踏みしようねぇー
牧志 浩太
こんな弱ったところにそんな手の差し出され方したら縋っちゃうよねっていう。
KP
〈目星〉
〈聞き耳〉
別情報。
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 14→成功
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 61→成功
佐倉 光
彼の目は虚ろで、あなたを捉えていないように感じた。
件の人物に何かされたのかもしれない。
KP
佐倉から、甘い香りがした。
その匂いが頭を満たしていき、思考が保てない。

理性が本能に塗りつぶされてゆく。
目の前の彼は、そんなあなたを気にも留めず嬉しそうに微笑んでいる。

この場には狂気しか存在しない。
しかし、それを止める者もない。
もはやあなたは喰らうことしか考えられない。
KP
すみません抵抗不能です。
シナリオに血を啜る描写はあるけど、折角だからお任せしよう。
ひっどい流れだな!
牧志 浩太
「佐倉さん」
名を呼ぶ。その腕を掴む。
その腕を欲しがっていたのは俺で、それだった。

ひとつの本能とひとつの心が、その腕を求めていた。
牧志 浩太
「佐倉さん、ごめん」
その腕を引く。口から滑り出るのはもう、焦りに浮かされた譫言でしかなかった。
牧志 浩太
「ごめん」
牧志 浩太
「食べたい」

はっきりと一言、口にした。
それで俺と俺でないものの境界線がなくなった。

心が求めるままに、その身体に抱きついた。
腹の底の疼きが求めるままに、その胸に食らいついた。
牧志 浩太
悔しくて悔しくて何かが泣き叫んでいた。
どうにもならない身体の奥で泣き叫んでいた。
KP
鼻腔を血の香りが満たしてゆく。
痛みを逃がすようについた頼りない吐息があなたの耳にかかった。
あなたが啜るほんの少し先に、佐倉のいのちが脈打っているのが聞こえてくる。
甘美なその味が喉を流れ落ちると乾きと飢えは少しずつ満足感へと変わっていった。

顔に血がつくのもかまわず一心不乱に体液を啜るあなたの髪の毛に、細くひんやりした指がそっと滑り込み、頭を撫でつけていた。
その心地よさにあなたの意識は薄くなってゆく。
牧志 浩太
佐倉さんがそこにいる。すぐ近くにいてくれる。
嬉しくて嬉しくて泣きたかった。ぼろぼろ泣いていた。
ほんの少し先にある命を、舌先で、歯で、口全体で、喉で、胃袋で、腹の底で、一心に抱えて、味わっていた。

そっと頭を撫でてくれる細い指先の感触に、また少し、泣きたくなった。
泣きたくなる理由は分からなかった。
牧志 浩太
いやぁひっどい流れですね!
吸血鬼の時もそうでしたが、牧志は追い詰められると境界線消し飛ばしちゃうな。
波照間のそれは人間から向こうへ踏み越えるだけど、牧志は融合/反転してそのものになっちゃう。
いやぁ佐倉さんが牧志に弱点攻撃かけるとここまで効くんですね。さすが相棒。(?)



【5日目】


KP
体の内側から溢れる痛みに身体が跳ね、反射的に自分を抱きしめていた佐倉を突き飛ばしていた。
佐倉 光
「牧志……?」
KP
どうして、と言いたげなその表情は、あなたの良く知るいつもの彼のようだ。

頭上からふっと影が落ちた。
大きな何かが上にいる。それは一つの足らしきものをゆっくりと持ち上げた。
痛みなど忘れてしまうほどの恐怖に、あなたは身体を震わせることしかままならないでいると、彼は口を開く。
佐倉 光
「ああ、やっと見つけてくれたんだ」
KP
それをぼんやりと見上げる彼は、まるで生きようとすることを放棄しているようだった。
牧志 浩太
はっ、と、佐倉さんを突き飛ばしてしまったことに気がついた。
牧志 浩太
「佐倉……、さん」
がたがたと身体が震える。あまりにも大きな、大きな。
動けない。あまりの恐怖に全身が押しつけられるようだ。
佐倉さんが。目の前で、佐倉さんが、きっと死んでしまうのに、身体が、動かない。

あきらめたくなんかないのに。
佐倉 光
「牧志、ごめ―――」
KP
振り向いた彼が言葉を言い終わるよりも前に、持ち上げられた体躯が彼を圧し潰す。

あなたの鋭い視覚がありありととらえてしまったのは、轟音と同時に赤と黒と白が歪んで砕けて潰れる姿。
SAN値減少
発狂
牧志 浩太
→合計5
SAN34 → 29
KP
発狂か!?
ぎり不定ではないか。
牧志 浩太
不定ではないですね。ここで一時的発狂は発生しますか?
KP
発生はしてもいいです。ただ夢の中で終わります。
牧志 浩太
1d10 じゃあ発生だけしよう(種別) Sasa 1d10→3
短期3:感情の噴出。
KP
【アイデア】振ってないけどまあいいか。
牧志 浩太
あ、忘れてた。
1d100 90 Sasa 1d100→ 63→成功

牧志 浩太
「あ、ああ、ああ、ああ、……ああ、あは、あはは、あははは、」
そのとき覚えた感情はあまりにも強い慟哭だったのだ。
佐倉さんが、ああ、佐倉さんが、佐倉さんが、
牧志 浩太
「ああ、あは、あははは、」
あまりにも強い慟哭が脳をバグらせて、だらだら涙をこぼしながら、強烈な感情を処理しきれずに笑いという反応に化ける。

佐倉さん。佐倉さん。佐倉さん。
今度こそ、否定も、覆すことも、何も出来ずに、何も出来ないまま、死んで、死んでしまった。
牧志 浩太
「ああああ……!!」
ようやく反応が追いついてきて泣き叫んだ。

もう、もう二度と名を呼べない。
もう、もう二度と手を取れない。
もう、二度と。目の前で、呆気なく。
牧志 浩太
「佐倉、さん……、」
ふらふらと近寄ってその破片をかき集めようとする。
もう何もできることなんて、ないというのに。
牧志 浩太
なんだか『しんでなんかないよ』の時を彷彿。
KP
集めても集めても足りなかった。
かき集めて、かき集めて、大きな塊に触れた、ところで目が覚めた。

あなたが触れていたのは、目を閉じた佐倉の顔だった。
真っ黒なくまを刻んで蒼白の佐倉が、あなたの横に横たわっていた。
牧志 浩太
「佐倉さん……」
ああ、生きてる。
ここにいる。
まだそこにある体温を感じたくて手を伸ばす。

でも。このままだと、きっとあの夢の中みたいに、死んじゃうんだ。
そうでなくても、傷だらけになって、俺に食べられて死んじゃうんだ。

その胸に触れ、傷の様子を確かめる。
昨日、俺が食べてしまった傷。
KP
あなたが眠る前に噛みついた胸の部分は新たな怪我となって痕になっている。
かなり広範囲な傷が治療されることなく残り、体液をしみ出させていた。

佐倉は弱々しく呼吸をしている。まだ、生きている。
牧志 浩太
ああ。まだ、生きている。
最高にひどい
KP
彷彿としてしまう配置。
牧志 浩太
ひどい流れでいいと思います。
しかしこの、ずっと「佐倉さん死んじゃう」としか言わない牧志……。
KP
さしあたって死にそうなのは君だからな?
ついでに佐倉も死ぬだろうけど。
牧志 浩太
さしあたって死にそうなのは牧志だし夢の中でも牧志も死にそうだったはずなんですけどね。

あの状況で叫ぶ内容が「佐倉さんが死んじゃうのがいやなんだよ」なんだもんなぁ。

牧志 浩太
服を巻きつけるなどして、その傷を処置することはできるだろうか?
KP
満足な道具がない。治癒するのは難しいだろう。
幸い血は止まっている。傷に触れたり動いたりしなければ大丈夫だろう。
牧志 浩太
また、扉と昨日破壊された「繭」はそのままの状態だろうか?
KP
扉は開き、繭は佐倉が破ったことで破壊されている。
薄暗い廊下と、そこから部屋がいくつか見える。
牧志 浩太
「……佐倉さん」
一度、弱々しく眠る彼を振り返る。
まだ生きている体温を感じていたいけど、目を覚ます前に出た方がいいだろう。

何もできない痛みを感じてしまったから、もう死なせたくないんだ。
だって、まだ生きている。
生きてるってことは、まだおしまいじゃないってことを、あの夢で思い知った。
牧志 浩太
「ありがとう、佐倉さん。守ってくれて」

この向こうに続くのがまた絶望でも、希望がもう出てこなくなるまでは、やっぱり諦めたくない。
牧志 浩太
あのスマホを持って、薄暗い廊下へと踏み出す。
扉は元のように閉めておく。

牧志 浩太
廊下に出たら辺りを見回し、物音に耳を澄ませる。
ようやく戻ってきた習慣が、少し心を落ち着かせてくれた。
牧志 浩太
これが習慣になってるのは割とおかしい。
KP
おかしいな。
KP
宅内に物音はない。どうやらこの『家』には、あなたがいた部屋以外にもいくつか部屋がある。
窓から外を見ると、書き割りのような町が見えた。
窓硝子に近寄るほどにそれはぼやけ、窓に顔を寄せると外にはもやもやとした赤い渦しか見えなくなってしまう。
【探索場所】の提示
牧志 浩太
俺の状態を考えるとあまり時間はない。

また倒れてしまったら、佐倉さんか、最悪『あいつ』に連れ戻されるかもしれない。

異界じゃなければ外に出たい所だけど、この調子じゃ外に出ても意味はない。

そうなると……まず何かありそうなのは、寝室かリビングだ。
牧志 浩太
▽寝室を調べる。
KP
1d100 30 Sasa 1d100→ 57→失敗
牧志 浩太
おっなんだろう。誰かの〈聞き耳〉かな。

KP
恐らくここは佐倉が寝ていた部屋なのではないだろうか。
ベッドのほか、ほこりをかぶった本が雑多に積まれている。
棚にあなたのブレスレットをはじめ、日記帳や鞄が綺麗に纏めて置いてあった。
それから何日分かの食事。その部屋のゴミ箱にいくつか市販品のおにぎりのカラが捨ててあった。
佐倉の部屋だ、としても随分と簡素だ。部屋は殺風景でPCもない。

〈目星〉または〈図書館〉
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 72→成功
牧志 浩太
「あ……、」
俺の持ち物だ。
見つけたそれは、俺を俺に戻してくれるような気がした。
KP
その部屋に一冊新しいガーデニング雑誌が落ちている。
とあるコラムにドッグイヤーされていた。
【ガーデニングの虫対策】

(情報略。香りで虫に対策する場合の知識が書かれている)
牧志 浩太
積まれている本が気になった。
ここが、ああなってからの佐倉さんの“寝床” だとすれば、何か関係のある本があるかもしれない。

そう思って手に取った本は、ガーデニングの本だった。
牧志 浩太
……こんな時にガーデニング?
いや……。佐倉さんのことだ。これが、何か関係あるのかもしれない。
例えば、俺や佐倉さんをおかしくしているのが、“虫”なんだとすれば……。
牧志 浩太
全部仮定でしかないのが頼りないな。
でも佐倉さんはガーデニング趣味じゃない。
それなら、多かれ少なかれこの現状に関係がある、と見てもいい。
牧志 浩太
ブレスレットと鞄、日記帳を持っていく。
本やゴミ箱の中など、他に気になる物はないだろうか?

無いようなら、予定を変更してキッチンへ向かう。
KP
本やゴミ箱にはほかには特に気になるようなものはないようだ。
〈忍び歩き〉〈隠れる〉【DEX】×4
いずれかを振ってください。
牧志 浩太
1d100 32【DEX】 Sasa 1d100→ 89→失敗
佐倉 光
1d100 40 Sasa 1d100→ 12→成功
1d100 79 Sasa 1d100→ 1→決定的成功クリティカル)!
KP
あらあら。
牧志 浩太
おおっと。
KP
ともあれキッチンに到着。
牧志 浩太
こわいなぁ。

牧志 浩太
辺りの物音に耳を澄ませつつ、人影などがないようならキッチンに足を踏み入れる。

全体を見回してから、先ほどの本に書かれていたような林檎やレモンの芳香剤、薄荷油などがないか探す。
KP
なるほど。では〈聞き耳〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 97 〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 61→成功
KP
キッチンは最近使われた形跡がない。
だが蓋付きのゴミ箱には少しゴミが捨てられているようだった。
わずかな腐敗臭の中に、あなたはほんのかすかな柑橘系の香りを感じ取る。
牧志 浩太
ゴミ箱を漁って柑橘の香りの源を探す。
牧志 浩太
我ながら躊躇いないなと思うが、気にしてる場合じゃない。
KP
ゴミ箱を開けると、魚の骨などの奥に何重にもかたく縛られたビニール袋が入っていた。
先ほど香った柑橘の香りがこの袋から漏れたものだとあなたは気付くだろう。
あなたの嗅覚なればこそ、この不自然なまでに厳重に閉められた袋から盛れた香りに気付いたのだ。

あなたがビニール袋を手にしたとき、入り口に人の気配が現れた。
あなたは、それが誰なのか振り向かなくとも分かる。
佐倉 光
「牧志、こんなところにいたんだな!」
KP
佐倉が不安に震える声であなたに呼びかけていた。
佐倉 光
「ここは危ない、早く部屋に戻ろう」
牧志を折る
KP
今回は佐倉は参加しているようでしていないのでクリティカルだけど成長はしません。
牧志 浩太
はーい。
その判定値やっぱり佐倉さんだよなー。
KP
実は判定大分厳しくなっていたんだけど、あっさり起きちゃったな。
牧志 浩太
そこで成功クリティカルするとはなぁ。
KP
本当は牧志君が判定失敗すると、佐倉が〈聞き耳〉で判定して成功したら即起きて追って来るんですが、それじゃあすぐ起きちゃうのでCON判定挟んでました。
牧志 浩太
なるほど。
KP
正直シナリオのここの流れはどうしたらいいのか良く分かんないので適当にコネコネします。
牧志 浩太
はーい。ありがとうございます。

KP
丁寧に牧志君を叩き潰す話だった。
誘っているのかなってレベルでいいタイミングで希望に縋ってくれるんだもの。
牧志 浩太
丁寧に丁寧に牧志を折って叩き潰す話だった。
いいタイミングで出てくる希望が全部いい感じに潰されるんだもの。
それなりに「切り抜けてきた」牧志にとって、掴んだ希望が次々潰されるのは何もないより堪えるんですよ。
しかも佐倉さんが佐倉さんのまま敵に回っているし。
KP
てきじゃないよまもってるんだよ
牧志 浩太
でもそのままじゃ佐倉さん死んじゃうよ。
それに「牧志を」守っているわけじゃないのがはっきり示されちゃったし。
この話本当にイベントのタイミングがよくて。
KP
本当にめちゃくちゃいいタイミングでメチャクチャいい感じの感想を抱いてくれて、「ごめんね牧志」と思いながらやってました。
直後に起きるイベント決まっているのに、丁寧にそれに対してのフラグ立ててくれるんだもの。
牧志 浩太
PLも知らないのに偶然にも全てが綺麗なフラグになってて、ちょっとこれはすごい。
牧志が丁寧に丁寧に潰されていく。
KP
繭破るところとか凄かったねー
牧志 浩太
あそこは凄かった。牧志が縋るべきじゃないと分かっているのにその手を取りたくなる所まできれいに追い込まれた。
その結果本能と弱った心の望みが一致してしまって境界が溶けた。
KP
明日には終わるかしら……
牧志 浩太
終盤かぁ。
KP
途中で「傷は大丈夫」と言っていたのはディア応急手当が使えるから、ですね。
いつも通り操られている状態じゃ魔法は使えないから放置されてるけど。
牧志 浩太
ああー、なるほど。《ディア》使えるつもりだったから。
KP
ヴァンパイアの時と違って普通に人間の歯で囓ってるから、もう佐倉の体は大変なことになっていると思われます。
刃物持って歩いたら牧志が危ないから、刃物で傷つけて与えるのもナシになっちゃったから。
牧志 浩太
ですよね。人間の歯でこれだけ齧りついたんだし。もう数週間やってるようだし。

佐倉さんのHPはギリギリになってそうだし、牧志の中身もそれなりに長期間育てられてるよなー。
生還しても傷痕だらけになりそう。
KP
いやー楽しいけどただただ牧志君が本当に可愛そう。
牧志 浩太
PLはすごく楽しい。
牧志の心に『しんでなんかないよ』に続いてSAN値回復しても戻らない傷がつきそう。
KP
また佐倉は体に傷を負い、牧志は心に傷を負うのか。
牧志 浩太
そんな気がする。
元の二人にまた戻れなくなっていく。

牧志 浩太
その気配を感じ取っただけで、誰だか分かった。
ビニール袋を握りしめて振り返る。
起きちゃったか、さすが佐倉さんだな。敵に回したくなかった。
牧志 浩太
「佐倉さんこそ、ひどい傷だろ。
戻って寝てないと死んじゃうよ。

俺は後で戻るから、先に寝ててよ」

その声を聞いて、また涙が出そうになった。
そんな偽物の不安に震えさせられて、死にそうなの、佐倉さんなんだよ。
佐倉 光
「俺なんかのことより……」
KP
何かいいかけた佐倉は、あなたの手にある袋を見て目を見開いた。
佐倉 光
「だ、だめだ、それは、駄目だ、棄てないと、棄てないと」
KP
叫んで袋に手を伸ばす。

ひとつアクションできます。
牧志 浩太
ビニール袋を開いて、開いた方を佐倉さんに向けることはできますか?
KP
できます!

牧志 浩太
半分賭けだった。
でも間違いない。

佐倉さんはこれを恐れている。
ビニール袋を開き、開いた方を佐倉さんに向ける。
牧志 浩太
「俺なんか、なんて言うなよ」
佐倉 光
手を伸ばす。袋を奪い取ろうと。
KP
だがあなたが袋を開ける方が早い。
袋に閉じ込められていたレモンとハッカの香りが空間に広がる。
佐倉 光
「……?」
KP
佐倉は困惑したような顔をし、不快そうな表情で鼻を手で押さえる。
それから一歩さがり、首を振って、喉の奥から、おご、というような何とも言い難い声を発した。
不安定に息を吸う。二度。三度。
そして
佐倉 光
大きなくしゃみをした。
KP
佐倉は顔を手の甲でこすって顔を上げた。
何が何だか分からない、という顔であなたを見、周囲を見回した。
佐倉 光
「……牧志? なんだ、その格好?」
佐倉 光
「ここどこだ?」
KP
その言葉も終わらないうち、佐倉は腕をこすって悶絶し始めた。
佐倉 光
「……! 痛い! 痒い!!」
KP
全身血が出るほど噛んだ噛み跡(まともに治療してない)だらけなんて痛痒いに決まってんだよなぁ!
牧志 浩太
そりゃそうなんだよなぁ!
牧志 浩太
「佐倉さん!」
駆け寄って、首筋の針の跡にビニール袋を向ける。
佐倉 光
「なんだよ、レモン? あぁぁぁぁぁもう何なんだよ、噛み跡? なんでこんな?」
佐倉の目には光が戻っていた。
牧志 浩太
「よかった……、気がついたんだな、佐倉さん」
牧志 浩太
「よかった」
ああもう泣きたい。泣きたい。
まだ泣くべき時じゃない。何も終わっていない。

でも今度こそ本物の希望だと思いたかった。
佐倉さん。
佐倉さんがちゃんとここにいる。

俺が俺に戻る。
佐倉さんが、佐倉さんに戻る。

風船に息を吹き込むように、心が力を取り戻す。
牧志 浩太
辺りに視線を走らせる。
さっきのくしゃみで、何か出てきたものが這っていたりはしないか?
KP
とくに何かが出てきたようには見えないが、佐倉は完全に正気に戻っているように見える。
佐倉 光
「うわぁぁぁひでぇ膿んでる! やべぇってこれ!」
KP
佐倉は涙目で自分に回復魔法ディアをかけながら、あなたに問いかけてくる。
佐倉 光
「一体何がどうなっているんだ?」
佐倉 光
「異界? 異界だな、ここは」
牧志 浩太
一度、息を深く吸う。
服をめくり、膨らんだ腹を見せる。
牧志 浩太
「俺は何かを植えつけられてる。
佐倉さんは何か薬を入れられて、そんな俺を守らされていた。

佐倉さんは誰かに指示されてそうしていた。
佐倉さんはそいつの命令を聞いていた。
俺が分かるのはこれくらい」
KP
佐倉はあなたの腹を見て顔色を変えた。
佐倉 光
「なんだこれ?
そういえばずっと何かを守らないとと思っていた気もする」
KP
佐倉は自らの額に手を当て少し考える。
佐倉 光
「……牧志じゃない誰かに頻繁に会っていた気もする。
俺に外出した記憶はあまり、ない。
誰かに見つけて欲しいと思っていた……気がする。
くそ、記憶が飛んでる? いや、思い出せない?」
佐倉 光
「俺が会っていたヤツなら解決方法を知っているかも知れないけど、
俺たちはそいつに一度やられているということだろう?
無策で会うのは危険だろうな。
かといってその腹、放置もできない」
牧志 浩太
「ああ。
俺も妙に記憶が曖昧なんだ。ショックでやられただけかと思ってたけど、佐倉さんもそうなんだな。
何か、されたのかもしれない。

この家、まだ見てない場所がある。
佐倉さん、動けそう?
動けるなら一緒に確認しよう」

そこまで言って、勝手に唇が緩んだ。
血を失って青白い手に、手を重ねる。握りしめる。
佐倉 光
1d100 24 〈医学〉 Sasa 1d100→ 50→失敗
佐倉 光
「ああ、なんか目茶苦茶眠くてしんどいし熱もあるみたいだし全身殴られたみたいに痛いけど、まあなんとかなる」
牧志 浩太
「佐倉さん、俺さ、
今ほど嬉しい時はないんだ。現金だよな、あんなに凹んでたのにさ」

ああ、今ならその手を取れる。
KP
佐倉はあなたに取られた手を握り返した。
佐倉 光
「早いとこ片付けて帰ろうぜ!」
牧志 浩太
「ああ!」
その手を強く握って立ち上がる。
希望
牧志 浩太
牧志が希望に対してちょっと疑い深くなった。
KP
ひどいめにあいすぎた
牧志 浩太
希望に縋っては折られすぎた。
でも「佐倉さんと話せる状態」に戻ると風船に空気いれたように元気になる。
KP
おちおち死んでられないな佐倉。
牧志 浩太
おちおち死んでられませんね。

佐倉 光
「くそ、COMPがあればそこになにかいるのか位は分かるのにな……」
牧志 浩太
「そうだ、そいつのらしいスマホがある。
充電切れてるけど、佐倉さんケーブル持ってる?
合うやつあれば、充電できるかもしれない」

COMPの言葉で思い出して、持ってきたスマホを取り出す。
佐倉 光
「ああ……モバイルバッテリーなら、多分」
KP
佐倉は鞄の中を探す。
佐倉 光
「なんだ、PC入ってないな。……」
KP
あなたにモバイルバッテリーを渡すと、渋面で鞄から紐が縺れたヒランヤとクリオネと勾玉を取り出した。
牧志 浩太
「よかった、やっぱりそれがないとな」
モバイルバッテリーをスマホに繋ぎ、一緒に自分の鞄に収める。
牧志 浩太
「充電してる間に他、見よう。
そうだ佐倉さん。
佐倉さんが元に戻ったから大丈夫かもしれないけど、俺の中のこいつは佐倉さんを齧りたがってた。

もしかしたら、また佐倉さんを齧ろうとするかもしれない。気をつけて」

そう言いながら……、佐倉さんの前には立たない。
必ず自分が後ろに立つ。

まだ、少しだけ、疑っている。
今のこの状況も、そいつの手の内なんじゃないかと。
佐倉さんは元に戻ってなど、いないんじゃないかと。
KP
気をつけて、と言いつつ背後に立つあなたに、佐倉は暫く沈黙してから、
佐倉 光
「ごめん」
と呟いた。
牧志 浩太
「俺こそごめん。
さっきはレモンの香りが効いたけど、いつまで効いてるか分からないし、またおかしくなるかもしれないと思ってさ」
洗脳
牧志 浩太
佐倉さん、おかしくなってた時のこと(牧志の叫びとか)を覚えてないっぽくてよかたね……。
情報的には覚えてなくて残念だけど。
KP
今回の洗脳解くの簡単な割に変に重いんですよね。
大事なところだけピンポイントで書き換えるから、ある程度佐倉自身の判断に依った行動をさせつつ、正気に戻ると記憶から消えちゃう。
牧志 浩太
なるほどなぁ。判断能力はそのまま利用して一番大事な所だけピンポイントで書き換える、手軽な割に効果の高すぎる洗脳なのか。
牧志にとって一番きついパターンだ。そこにいるのは佐倉さんだもんな。
そして牧志の挙動の理由をすぐに察知するあたり、相棒。
で、疑ってる範囲を全部は言わないあたりが牧志。
この流れ見ていると、「そりゃ佐倉さん失ったらああ・・(某シナリオ)なるよな」って思う。

佐倉 光
「……わかった。まだ見ていないのはどこだ?」
牧志 浩太
「リビングと玄関。それから、ここも落ち着いて見てはいないな」
KP
この部屋に他に気になるものは見当たらない。

コメント By.KP
希望にすがってそれが絶望であると気付く時、人は奈落に落ちる。

TRPGリプレイ CoC『風のさびしく、呼ぶ声』佐倉&牧志 4

「隠したいと思う理由って大体碌でもないでしょ?
で、今回の事件に関係があるとしたら。だいぶキナ臭い」

CoCキャットゥルフ『それは月の明かりの下で』 ユキ 4

「知ってるよ、こういうのを誰も幸せにならないって言うんだ」

TRPGリプレイ CoC『レッド・グランド・セパレート』牧志&子供佐倉 2

本当に余裕がなかったのかもしれない、俺は。
まあ、今はまた余裕がなくなることが起きてるわけだけどさ。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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TRPGリプレイ BEAST BIND 月が見ている 第三章 第一場

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TRPGリプレイ【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 1

「おはよう牧志。
……どうしたのさ、怖い顔しちゃって。また悪い夢でも見たの?」

TRPGリプレイ CoC『地獄はやさしい』 佐倉 1(参加者限定公開中)

悪魔使いに、悪魔を使わずに戦えってのかよ……