こちらはオリジナルシナリオです。


KP
あなた達は彼の家へと向かう。
周囲は、驚くべき速度で雪に包まれつつあった。
佐倉 光
「埋まる埋まる。雪ってこんなもんか?
やっぱ異常なのか?
こんなの遭難するわ」
牧志 浩司
「普段はこんなのじゃない。一番雪の深い時期でも、ここまでじゃないよ」
佐倉 光
「まだ年越してねぇしな。
さすがに雪深いっつってもな」
浩司の跡を追う。
靴の穴を踏んで進む。
「荷物持って雪道ってしんどいなー」
牧志 浩司
「まあな、これだけ降ってると……、っ、一歩一歩がしんどい」
佐倉 光
割と余裕がないな佐倉。
変換が変
佐倉 光
ずっと「佐倉」一択だったのに、最近いきなり「桜」って変換するようになってきたんだよなぁ。
本当に変換がおかしい。学習データをネットから持ってくる機能が悪さしてるのかなぁ。
KP
何かの具合に学習データが飛んじゃったか、クラウド機能が悪さしてるか、その両方か それは困るなぁ
佐倉 光
学習データが飛んだというより、変な単語が辞書に追加されまくってる感じがしますね。
桜くらいなら別になんだけど、漢字の送りが変なの勘弁して欲しい。
KP
むむ。終わるの変換もそうですけど、クラウド機能に変な単語が入ってるのかな。AIで自動で拾ったりしてるんですかね?
そういう自動化してたとしたら、変な文章吸っちゃってみたいなのはありそう
佐倉 光
AIも使えば使うほど馬鹿になるっていいますしねー
KP
どうしても人間が介在しないと、データが偏ってたり変だったりするのをそのまま食べちゃいますからねぇ。

KP
ひどい雪に、外出する人の姿はほとんどない。
まるで、辺りから音が消えたようだった。
佐倉 光
「急がねぇと。後どれくらいだ!?」
牧志 浩司
「もうちょっとだ。すぐ」
佐倉 光
最悪悪魔の力を、と思ったけど、仲魔ラミアさんだからものすごく嫌がられそう。
氷結弱点じゃないけど。

KP
一歩が永遠に思える。
うんざりとしてきた頃、ある家の前で彼が立ち止まった。邸宅と言う程大きくはないが、落ち着いた佇まいの和風の家だ。
佐倉 光
「手の感覚がない……顔が痛い……」
牧志 浩司
彼は鍵を取り出すと家の扉を開け、両親と二言三言話すと、あなたを招く。
佐倉 光
「お邪魔しまーす、佐倉っていいます」
牧志 浩司
「昼に来てくれた佐倉さん。兄貴のことが心配で、もう一日こっちに居るらしいんだ」
佐倉 光
「あ、お構いなく、僕は浩司くんの部屋の隅っこ借りますんで。
食事なんかも外でしますから」
言いながら大量に抱えた藁から雪を払い落としている。
KP
「あら、そう……。浩太のことを心配してくれてありがとう。隅と言わず、一緒に上がっていらっしゃい。これから丁度ご飯にしようと思っていたのよ」
佐倉 光
気持ちはとても有り難いんだけど、時間がないんだよなぁ。
KP
「浩司、なんだいその藁」
牧志 浩司
「ちょっと急いで宿題やんなきゃいけなくてさ。今日は飯はいいよ」
佐倉 光
「すみません、ありがとうございます」
頭を下げてそそくさと浩司の後を追う。
牧志 浩司
彼は手早く服から雪を払い、急な作りの階段を駆け上がって二階の部屋に向かう。
佐倉 光
なんか出任せを言おうかと思ったけど、やめた。
佐倉 光
「ひえー、寒。雪国はやっぱ無理だ。
ちょっと待ってくれ、手を温めないと何もできる気がしない」
作り方はその場である程度メモを取ったが、情報の漏れがないようにそれを見直しながら詳細に書き加えていく。
牧志 浩司
「ストーブ点ける。ちょっと待ってて」
油と火の匂いが微かに室内に漂った。ストーブの火力は、二重窓に守られた室内を急速に温めていく。
佐倉 光
「おおー、すげぇあったけぇ」
手をひらひらとストーブに近づけて指先の血管が広がってゆく感覚を楽しむ。
手を握ったり開いたりして感覚を確かめる。
今ここにいない青年の姿を思い浮かべた。
「よしっと、いける」
牧志 浩司
「うん。始めよう」
頷いて、彼はあなたのメモを覗き込む。自分で取ったメモと見比べ、違いがないことを確認した。
佐倉 光
体が温まると上着を脱いで、軽くヒランヤに触れる。
「じゃあ、工程1……藁の太さを揃えるとこからか」
牧志 浩司
古ぼけた道具箱を机から取り出すと、その中からハサミや紐など、必要そうなものを出してくる。
お下がりなのか、道具箱には上から名前を書いた跡があった。
「ああ、半分に裂いて、厚みの合わないものを除いて……」
佐倉 光
慣れない手つきで藁をより分けてゆく。
KP
それは藁を薄く編み込むところから始まった。慣れない手つきで二人、手順を追っていくが、プラモの作り始めのように何の形になるのかよく分からない。
佐倉 光
「ちゃんと正解できてんのか良くわかんなくて不安になるな。
合ってんだよな? これ。
もし間違えててもやり直す時間ねぇんだぞ」
牧志 浩司
「分かる。手順しか教えて貰えなかったんだよな。これで合ってる、と思う」
KP
その不安に耐えて少しずつ組み上げていくと、それはやがて、朧げに丸い形を取り始めた。
佐倉 光
「球体?」
牧志 浩司
「……う、」
浩司が微かに呻く。同時、あなたも、頭の奥にくらりと、それに触れている指先から何かを吸い取られているような感覚を覚え始めていた。
「くそ、疲れてんのかな……」
佐倉 光
(何だか覚えがある感覚だ……)
「大丈夫、多分うまくいってる証拠だ。
ただ、ここで集中を切らさないようにするんだ」
牧志 浩司
「……、分かった」
彼の眼に一度だけ不安が過った。その不安を振り払うように、彼はあなたと共に手を動かす。
「……こうやって手を動かしてると、意外と集中できるな」
佐倉 光
「大丈夫、助けられる。
俺達は何度も危機を乗り越えてきたんだ。
今度もいける」
呟いてヒランヤに手を滑らせる。
KP
ヒランヤはひやりと少し冷たく、慣れた感触をあなたの指に伝えてきた。
組み上げているそれに指先を戻すと、ほんのりと熱を感じた。藁でできた鞠のような何かに過ぎないはずのそれが、微かに熱をもっている。
佐倉 光
「温度が上がっている?
上手く行ってるみたいだ、続けよう」
牧志 浩司
彼はあなたのその声にも気づかないほど没頭しているのか、ただ無心に指を動かしていた。

「兄貴……、」
微かな呟きが聞こえた。
佐倉 光
(俺に何かあったとして、あいつがこんな一生懸命になってくれるとは思えないな)
KP
お、佐倉さんの妹さんの話かな。
佐倉 光
ちょっと羨ましくなった。
佐倉 光
「浩司くん、お兄さんは大丈夫。
あいつはしぶといんだ。諦めが悪くて、ここぞって時に強い。
牧志、一時期君たちのこと忘れてる時期があったろ」
まあ正確には今も『思い出した』わけじゃないんだが……
「その時に連絡取らなかったのは、心配をかけたくなかったからだって言ってた」
牧志 浩司
「……うん。あった。事故に巻き込まれたって聞いて驚いて、帰ってきて安心したけど、帰ってきた兄貴は別人みたいだった。
別人みたいなのに、ちゃんと兄貴なんだ。
聞いたよ。訳を言ってくれなかったの、心配をかけたくなかったからだってさ。変な所気を回すようになっちまって。
分かんなくて気を揉む方が、ずっと心配かけるってのにさ……」
佐倉 光
「色々さ、事情があるんだ。
気を回す、というか、そうせざるを得ないだけで。
説明が難しいんだけど、それは『抱え込む』とかそういうのとはまた次元が違う話でさ。
今俺達が作っているようなものも、そういった『説明ができないけど必要』なものの一つなんだよ」
関わらせたのだから、ある程度の説明はすべきだと思った。
「まあ……気になるだろうけど、お兄さんが起きた時に、何が起きたか追及しないでやってくれるかな」
牧志 浩司
彼は手元を見つめたまま、いちど目を伏せた。
「分かる。兄貴の首の変な傷も、何かそういうことなんだろ。兄貴が訳を話してくれただけで、きっと十分なんだ。
別人みたいだったんだよ、兄貴。俺が弟だって分からなかったんだ。探るように父さん達と話すんだ。雪道の歩き方を知ってるくせに、空の暗さに戸惑ってた。日暮れの時間が分からないようだった。俺達の言葉を聞き慣れないようだった。
それでもやっぱり、兄貴だったんだ」
彼の独白に近い呟きが、室内に落ちる。あなたと彼の手の中で、何かが形をなしていく。
佐倉 光
「忘れたのは、あいつのせいじゃない。
ただ不運だっただけだ」
不運、で片付けていいのか、疑問を感じるところではある。
「牧志は、浩太はいいヤツだよ。
俺の相棒だ」
牧志 浩司
「そっか。
いい友達できたな、兄貴」
彼は手元に目を落としたまま、ふっと笑んだ。その眼差しは兄と似ているようで、違ってもいた。
佐倉 光
想いを編み込んでゆく。
KP
編み込むという行為は、古い祈りの形でもある。
佐倉 光
人の心を編み込めば、より強固な形代になるだろう。
KP
手繰る、寄せる、撚る、編む、人はそうしてその指先で祈ってきた。
あなたの指に、微かな脈動が伝わる。
全ての手順を辿り終え、はっと顔を上げれば、そこにあったのは歪なハート形の何かだった。
佐倉 光
「おお、なんかそれっぽいな」
KP
ここで、【POW】1ポイントとMP5ポイントを消費してください。残りのMP5ポイントは浩司が消費します。
佐倉 光
【POW】15→14
[ 佐倉 光 ] MP : 15 → 10
牧志 浩司
「これ……、ハートか?
それにしては、形が歪だけど」
佐倉 光
「心臓か、心か、なんにせよ身代わりにするってんならおあつらえ向きだ」
KP
時計を見れば実に4時間が過ぎていた。
外は吹雪になっており、廊下の外にラップに包まれたお握りが二人分、置いてあった。
佐倉 光
有り難くおにぎりは半分いただいておこう。
戦う前には飯が必要だ。
「病院に行ってくる」
牧志 浩司
「ああ。……兄貴のこと、頼んだ」
佐倉 光
「頼まれた!」
KP
そのとき。
階段の下から、慌てたような足音が響いてきた。
佐倉 光
「お、なんだ?」
KP
「浩司!」室内に飛び込んできたのは、彼の両親だった。
「浩太の容態が急変したらしい。病院に行くぞ。
佐倉さん、あなたも一緒に乗って」
佐倉 光
どうやって行こうか考える必要はなくなったが、喜べないな。
「ありがとうございます、すぐ行きます」
階下に声をかける。
牧志 浩司
彼はあなたを振り返って一瞬迷ったようだったが、結局両親の後をついて、上着を羽織る。
「佐倉さん、これ、兄貴の上着と雪靴。車だし、いらないかもしれないけど、一応」
佐倉 光
「ああ、預かっとくよ」
作り上げた奇妙な藁のハートを、その上着でくるむ。
牧志 浩司
彼はあなたの手にそれがあることを確認すると、ポケットの中の「お守り」を確かめて、両親の後について飛び出していく。
KP
その時にはもう、車が玄関の前に回されていた。
佐倉 光
一応全部の荷物を持って乗車。
「お握りごちそうさまでした。
美味しかったです」
KP
「そう、それはよかった……」ハンドバッグを両腕で抱えて、心細そうに返す母親の姿は、僅かな雪明かりに照らされてどこか祈るようだった。

全員が乗り込んだのを確認すると、道の上にも積もりつつある雪を蹴立てて車は発車する。
病院に近づくほど、吹雪が強まっていく。一瞬、前も見えなくなる程の吹雪を、車のライトと街灯がどうにか照らす。
佐倉 光
(姫君がどうとか良くわからなかったが……
身代わりに贄になったと思われる姫が、人を連れ去ると語られているのも謎だ)
(取り込まれて一部になった、とかか。
それとも身代わりになることを望まず、道連れを増やそうとしているということか)
(姫君と呼ばれているものが姫君だとは限らないしな……
ったく、こういう案件は波照間さんだろうが)
波照間さん
佐倉 光
波照間さん、折しも人外の女性と交流中。
KP
なんですよね。時期は違うけど折しも両方に人外の女性が出てきてるなと思いました。
佐倉 光
さすがに9月に雪深い、は異常気象すぎますね。
KP
さすがになぁ。そこまでだと最初から旅行どころじゃない。
この時丁度そんなシナリオを置き卓で同時進行していました。

佐倉 光
(とにかくコイツが役立ってくれるのを願うばかりだ)
ハート細工を服の上から握る。
KP
脈打つような熱が、微かにあなたの手に伝わった気がした。
佐倉 光
(戻って来いよな。こんなに心配してくれる家族がいるんだ)
KP
雪に埋もれてゆく街を、辛うじてかき分けながら車は走る。
一瞬が永遠にも感じられるような時間だった。
病院の建物が薄っすらと見えてくる。
車のほとんどない駐車場に、車が滑り込む。

あなた達は車を降り、昼に一度訪れた、あの病室へ向かって走る。

風の音が、耳元で聞こえるほどに近くなっていた。

KP
という所で、本日は以上です。ありがとうございました!
佐倉 光
ありがとうございました!
巻き込む気はないとか言いつつ浩司に色々喋っちゃったな。
何も知らずに魔術に参加させるのは、術式に対しても浩司に対しても良くないと思ったんだろう、きっと。
牧志 浩司
それはありそう。MP半分取られる程度にはがっつり参加しているわけですしね。
佐倉 光
それでも最後は自分でやろうと思ったけど、お守りを浩司が持ってるってことは、まだ一抜けってわけには行かなさそうだな。
こうなりゃ一蓮托生(ニヤリ)
KP
イイ笑みだ。
佐倉 光
ま、浩司も運が悪かったんだよ
せめてこれからずっとの付き合いにならないよう祈っとこか。
KP
果たして彼の運命やいかに。

KP
あなた達は病室の扉を開ける。
何人かの看護師と、医師が一人患者に付き添い、彼の身体を温めたり、様子を見たりしていた。
医師はあなた達が来たのを見ると、ベッドの傍らを譲る。
外からは激しい吹雪の音がしていた。
佐倉 光
ああして手をかけられているということはまだ心臓は動いているんだろうが……
近づいて、あのハートを……
牧志の胸のあたりにそっと忍ばせるか。
KP
傍らの機械が、心電図を映し出していた。
規則的なリズムは……、まだ、辛うじて消えていない。

あなたがそれを取り出そうとしたとき。
不意に。

バチン。
どこからか何かが切れるような音がすると、院内の電気が消えた。
佐倉 光
「うっ!?」
牧志 浩司
「うわっ、」
KP
「きゃあっ、」
佐倉 光
『雪女』の童話を思い出す。
蝋燭消えるんだよな、あれ。
KP
一瞬全ての光が消え、一瞬後に心電図のモニターだけが復旧する。真っ暗になった室内に、月明かりが射し込む。
佐倉 光
手探りで近づきつつ、スマートフォンを探す。
ライトは点けられるかな?
KP
あなたがスマートフォンの明かりを点けようとしたとき、激しい風が窓ガラスに打ちつけた。
ガラスが砕ける。
外から激しい吹雪が吹き込んでくる。
佐倉 光
「来やがった!」
KP
外を見る?
佐倉 光
うーん。まあなぁ、どうしようかなー。
近づくの優先だな!
藁のハートを持ってベッドへ歩を進める。
どうせこっち目指してくるなら嫌でも視界に入るだろう。
KP
あなたは吹きつけてくる風に耐え、ベッドへと向かう。医師がなにごとか指示し、看護師が急いで階下へと向かう、牧志の両親が悲鳴を上げながらベッドに横たわる青年を庇う。
佐倉 光
「さがって!」
一応叫ぶ。
牧志の両親も巻き添えになったら寝覚めが悪い。
KP
あなたは叫ぶ。
そのとき。
目の前の窓の外を、雷光が照らし出した。
佐倉 光
おお、見ろと言われてる。
KP
一瞬の閃光の中、あなたは見てしまう。
佐倉 光
見たわ。
KP
それは。
まるで竜巻のように渦巻く吹雪だった。
それは、手を広げてこちらへと向かってくる女の姿だった。
それは、生ける吹雪だった。
激しく渦巻く吹雪が幾本もの触手を絡ませていた。凍てつく雪が吠え猛る声を上げていた。どうしてか、それが「生きている」と、あなたは気づいてしまうのだ。
SANチェック成功時減少 1d4失敗時減少 1d10
佐倉 光
一瞬、COMPを立ち上げて《アナライズ》したいという欲に駆られた。
駄目だ、そんな暇は……
CCB<=73 《SANチェック》 (1D100<=73) > 59 > 成功
1d4 (1D4) > 1
[ 佐倉 光 ] SAN : 73 → 72

ない!
こんな奴に構ってる場合じゃない、ハートを取り出さないと。
牧志 浩司
🎲 Secret Dice 🎲 sCCB<=55 《SANチェック》 (1D100<=55) > 87 > 失敗
1d10 (1D10) > 4
佐倉 光
うーん、強い意志力。
ここでしっかりしないと牧志が危ないからな。
KP
傍らから悲鳴が上がった。「それ」を目にしてしまった牧志の両親が、叫び声を上げてその場から逃げ出す。
牧志 浩司
牧志浩司は、震える手でベッドの縁を掴んだまま、じっとそれを見上げていた。
佐倉 光
逃げてくれたなら好都合、怪我とかするなよ……!
「浩司、見るな!」
声をかけ、ベッドへ更に近づく。
牧志 浩司
「佐倉、さん……、頼む」
彼はあなたの声に応え、ぐっ、と目を閉じる。
目を閉じたまま、あなたを庇うように手を広げる。
佐倉 光
「生きてる雪なんてなぁ、こちとら使役したことあるんだからな。ヒーホー五月蠅いやつをな。
あれの親玉みたいなもんだろ、余裕余裕」
佐倉 光
そういやキングフロストとも遭遇してたわ。
KP
そういえば。
KP
吹雪が、強くなる。雪の塊がサイドテーブルに叩きつけて、置かれていたコップを落とした。
佐倉 光
腕で顔とハートを庇いつつ前進。
やけに広いな、この病室は。くそっ。
KP
あなたの手の中にあるそれは、今や本物の心臓のように、脈打ち熱を宿していた。
佐倉 光
勘違いさせるなら、あいつの側で出すべきなのか。
それとも出せば都合良く勘違いしてくれるのか?
ええい、もう、できる限り近づくしかない!
KP
ハートを取り出す?
佐倉 光
今どこに居る?
KP
丁度、ベッドの傍に辿り着いた所だ。
佐倉 光
okじゃあ牧志の胸の上にのせる。
KP
あなたは「それ」を眠る彼の胸の上に乗せる。
「それ」は僅かに赤い光を宿し、明滅していた。
激しい吹雪があなたの身体を打つ。
一瞬、視界が真っ白になる。
佐倉 光
「くそ、痛ぇ……ッ!」
牧志 浩司
「うっ……!」
佐倉 光
あんな人間から見ればミエミエの偽物に引っかかってくれるのか?
KP
視界が真っ白になる。
何も、見えない。自分の身体すら、視認できない。目の前に誰がいるかも分からない。
目の前に彼がいるのかも分からない。
佐倉 光
あ、牧志の上着ごとのせるべきだったか?
いや、大して変わらないかな……
KP
風の鳴る音が誰かの歌のように聞こえた。
風の鳴る音が、誰かの呼ぶ声のように聞こえた。
冷気にさらされた手が、足が体温を失い、自分の肉体の感覚さえなくなっていた。
【POW×5】で判定。
佐倉 光
CCB<=(15×5) 【POW】 (1D100<=75) > 14 > スペシャル
KP
あなたは辛うじて、自分の肉体の存在を認識する。手の中の「お守り」が微かに熱を放っていた。
佐倉 光
体を縮めて内臓を庇う。
「まきし……」
口を開いたら口の中まで凍りそうだ。
目をまともに開けることもできない。
もうあとは祈るしかない。誰に?
何が来ているか、何が起きているか、震える指でCOMPに触れる。
アナライズは可能か?
KP
あなたはCOMPに触れる。起動する。
僅かにCOMPのモニターが光を放ち、直後、液晶が凍りついた。
佐倉 光
(だよな、くそっ!)
KP
吹雪の中心に、女がひとりいた。
重そうな赤い着物をまとった女は、赤子を抱くようにして、手の中の何かを撫でていた。

それはあの藁細工の心臓だった。

あなたの挙動に気づいたか、女がちらりと、あなたの目を見かけて。
すぐに、手の中のそれに関心を戻したらしかった。
佐倉 光
あぶないw
【APP】8しかないから殺されるw
佐倉 光
ここでタゲられたらかなわない。
死んだふりをしよう。洞川さんの得意技だ。
KP
吹雪の音が、少しずつ遠のいてゆく。
耳の奥で風が渦巻いているような感覚がして、
それもまた、耳の中から去っていく。
やがて、視界に朧げに色がつき始めて。

牧志 浩司
「……、佐倉さん、佐倉さん!」
浩司があなたを呼ぶ声で、あなたは目を覚ました。
佐倉 光
「……うぅ……凍え……死ぬ……」
手を握ったり開いたりして血流を回復させようと試みる。
牧志 浩司
「よかった、起きたな……」は、と彼が息を吐く。
KP
気づけば吹雪は止まっていて、割れた窓ガラスを看護師たちが何かで塞ごうとしている所だった。
佐倉 光
「浩司、無事……
牧志は!?」
KP
あなたは、ベッドにもたれかかるようにして意識を失っていたらしかった。身体が冷たいが、手を数度握ったり開いたりしていると、どうにか血流が戻ってくる。
牧志 浩司
「俺は、ちょっと怪我したけど無事。兄貴は集中治療室に運ばれた。少しずつ、体温が戻ってきてるらしい」
そう言う彼の頬に、ガラスか何かが掠ったのか、僅かに赤い線が走っていた。
佐倉 光
「そうか、良かった。
くそ、なんなんだよあれ。
アナライズし損ねちまった。うわ、冷てぇ」
KP
COMPを見るとまだ液晶が凍っている。後でゆっくり解凍すべきだろう。
牧志 浩司
「うん。……結局、何とか去ってくれたってことでいいのかな、あれ」
佐倉 光
「多分な、素人二人の作品を気に入ってくれたみたいだ」
ふう、と息をついて、ようやく温まってきた腕を浩司の方に上げる。
「やったな」
牧志 浩司
「……うん。やったな」
彼は腕を掲げると、そっとあなたに手を差し出した。
佐倉 光
軽くその手を叩く。
戦友に健闘をたたえるように。
そして自力で起き上がる。
牧志 浩司
くすぐったそうに、彼はあなたの手を叩き返す。小さな音が、病室の中に響いた。
佐倉 光
「さっっっむ! こんなとこにいたら風邪引く!
廊下出よう」
牧志 浩司
「賛成!」
佐倉 光
病院って碌な事起きないよな、なんて思った。

KP
廊下に出ると、幸い廊下はまだ温かい。が、ひんやりしてはいる。
集中治療室に近い待合室を案内され、不服がなければそこに行くことになるだろう。
佐倉 光
「風呂! 風呂入りてぇ!
いやまずトイレか?」
ぎゃーすか騒いで、とりあえずトイレだけ行った。
牧志 浩司
「俺も!」
KP
ぶっ通しの作業の後の、確かに重大事である。
佐倉 光
寒いしさ。
KP
波照間が三日間通しで行った儀式についてコメントしていたのを思い出すかもしれない。
佐倉 光
魔力MPだけじゃなくて、なんか凄く気力POWまで吸い取られた気がするし、こんなの三日とか耐えられないな。

あとは売店でカイロと飲み物でも買って、集中治療室の前で待つか。
浩司と祝杯でも挙げるか。暖かいコーヒーとか茶とかで。
牧志 浩司
「佐倉さん、コーヒー飲めるんだ。俺、まだ飲んだ事ないな」そんな会話を交わすことだろう。
佐倉 光
「俺は早く大人になりたかったからさ。
大人ってコーヒー飲むだろ?」
牧志 浩司
「ああ、確かに。大人っぽい感じがするな」
佐倉 光
「で、苦い珈琲飲むのが大人だと思ってたから、苦いの我慢して飲んでたらそのうち好きになった」
牧志 浩司
「そんなもんか。わさびか何かみたいだな」
佐倉 光
「で、後で、大人だって砂糖入れたりクリープ入れたりするんだって知ったわけ」
牧志 浩司
「え、そうなのか?」
佐倉 光
「今日は疲れてるから砂糖多めだ」
牧志 浩司
「いいな。美味そう、俺も同じやつにしよう」
不思議そうに、コーヒーの温かい香りを嗅ぐ。惹かれるように口にして、「甘いけど苦い」と一言。
佐倉 光
「お子様だなぁ!」
からかうように笑う。
牧志 浩司
「お子様言うなよ! 苦くねぇし! ……うわちっ!」一気に飲もうとして、咽る。
佐倉 光
めっちゃくちゃ苦い珈琲と羊羹のセットが大好きです。
KP
酸味強めの浅入り珈琲とチーズケーキのセットが好きです。
佐倉 光
チーズケーキもいいですなぁ。
佐倉 光
「兄貴が凍りかけたからって火傷すんなよ」
牧志 浩司
「洒落になんねぇよそれ。うわ、何だかくらくらするし、皆こんなの飲んでんのか……」
佐倉 光
「好みだ好み。あと一気はやめとけ、マジで食道が死ぬぞ」
火傷したならこっそり《ディア》しとこうかな……
牧志 浩司
「それは嫌だな、気をつける……、うぇ……、」幸いシリアスな火傷はしていないようだが、暫く話していると青い顔で壁にもたれる。
「何だこれ、頭がくらくらする……」
佐倉 光
「あー。そうか。
兄弟だなぁ……」
牧志 浩司
「何が……?」
佐倉 光
「お兄さんもカフェイン駄目なんだよ。
だからいつも麦茶飲んでる」
一度牧志としてモンエナ飲んだ時のことを思いだした。
ああ、うん、辛いな、あれは。
牧志 浩司
「あぁ……。そういや、兄貴がコーヒー飲んでんの、見たことないな……」
佐倉 光
「緑茶とか抹茶とか紅茶とか、あんまり飲んだことないだろ」
牧志 浩司
「あー、ない。だいたい麦茶」
佐倉 光
「兄弟だなぁ。
カフェイン系やめとけ。毒になるやつだ。
それは引取ってやるから、コーンスープでも飲んでろよ」
牧志 浩司
「そうする……」
佐倉 光
ここで缶入りコーンスープ買ってあげて、振らずに蓋を開けて渡すという極道ムーブを……!
KP
なんてひどいことを!
佐倉 光
しないよ?

KP
牧志はその後、まるで最初から何事もなかったかのようにめきめきと回復し、病室へと移った。

体力の低下や衰弱もほとんど残らず、翌日には退院となった。
牧志 浩太
「ごめん、佐倉さん。それに……、浩司。助けられたんだよな、きっと。二人の姿が見えてたんだ、あの時」
佐倉 光
「解凍されて良かったな!
完全市場のマグロだったからな!」
牧志 浩太
「ぷっ、何だその例え」
牧志 浩司
「……兄貴。よかった」
牧志 浩太
「ごめんな。心配をかけた。それに……、危ない目に遭わせた」
佐倉 光
「浩司の力借りるしかなくてさ。
浩司がいたから間に合ったんだ」
牧志 浩太
「そうだったのか……。じゃあ、ごめんな、じゃないな。
ありがとう、浩司。おかげで助かった」
牧志 浩司
「いいよ、兄貴が助かってよかった」
牧志 浩太
「佐倉さんも、ありがとう。助けてくれたんだよな、俺のこと」
佐倉 光
「まーな、いつも通りだよ、俺は」
牧志 浩太
「今度こそ、平穏な旅行だと思ったんだけどな」
佐倉 光
「風呂入り直そうぜ、日帰りでいいからさ。
何が辛いって寒かったのが一番辛い」
牧志 浩太
「賛成、ふやけるくらいまで入って、じっくり解凍したいな。浩司も来るか?」
佐倉 光
「浩司くんも凍りかけたしな」
牧志 浩司
「行く行く。風呂上がりに牛乳飲みてぇな」
牧志 浩太
「後で聞いたけど、病室すごいことになってたらしいもんな」
佐倉 光
「美人だったよ?
窓割って入ってくる女は個人的にお勧めできねぇけど」
牧志 浩太
「確かに綺麗な人だったな。こっちを凍らせて来る女の人は俺もちょっと」
牧志 浩司
「え、兄貴たち雪女見たの? 俺には雪の塊にしか見えなかったんだけど」
佐倉 光
「見えなくて良かったよ。
どうも見るとタゲられるみたいだからな」
牧志 浩司
「うぇ、そういやそうだったな……」
牧志 浩太
「あー、それでこうなったのか……」
佐倉 光
「夜にウロつくな、ってことらしいぜ。
夜中に外見るだけでアウトってのがタチ悪いけど」
KP
ふとあなたの懐から何かが落ちた。
あの「お守り」が、真っ二つに裂けていた。
佐倉 光
「……
やっぱヤバかったんじゃねぇか」
KP
雪予報のニュースが聞こえる。
何十年ぶりの吹雪の夜は、去ったらしかった。
佐倉 光
牧志には色々な人の力を借りたこと、とくにあのお婆さんのことを話しておこう。
「礼を言いに行った方がいいな」
牧志 浩太
「そうか……、色々助けられたんだな。ああ。俺、助けてくれた人たちに礼を言ってから帰るよ」
佐倉 光
それじゃ、まず礼を言ってから風呂だな!
牧志 浩司
「俺も行くよ。婆さんちの雪かき手伝う約束もしたし。
大丈夫かな、婆さんち潰れてないかな……」
佐倉 光
「おっとそれは洒落になってねぇな」

KP
それからあなた達は、今回の件で世話になった人達の家を回った。
お婆さんが何を言っているかは、相変わらず推測するほかなかったが、あなた達が生還したことを知ると、重々しく頷いた。
佐倉 光
破れたお守りを見せて、よくよく礼を言っておこう。
KP
皺の向こうの白く濁った眼があなた達を見て、どうやら、ひとまず安堵してくれているようだった。
佐倉 光
お礼参り終わって温泉行く途中にでも
「結局姫様って何だったんだろうな」
牧志 浩司
「何だったんだろうな。自分が生贄になって俺達のことを守ってくれたんだろ、それなのにどうして雪女になっちゃったんだろうな」
佐倉 光
「そのへんも実際分かんねぇからな」
牧志 浩司
「なんとかなってよかったけど、分からないこと、多いな」
佐倉 光
「あとは歴史学者の分野……
牧志、なんか知ってる?」
牧志 浩太
「うーん……」彼は少し考える。
「もう一人いたような気がするんだよな、雪女の後ろに。女の人が」
牧志 浩司
「え、雪女は二人いたってこと?」
佐倉 光
「ふたり?」
牧志 浩太
「ああ。でもぼんやりとしか見えなくてさ、雪女っていうより、幽霊みたいな」
佐倉 光
「登場人物が増えてよりわけが分からなくなったな。姫ってのはその幽霊の方か?」
牧志 浩司
「雪女と幽霊って、夏だか冬だか分かんない組み合わせだな」
牧志 浩太
「なのかな? ごめん、俺もそれ以上分かんなくてさ」
佐倉 光
実は殿様、『雪女』と結婚してハーフ産んでて、娘が母親のところに戻っただけ
なんてことはないよな。
ハートを抱いてたってのがちょっと母親っぽいなぁとは思ったけど、話が繋がらない。
KP
佐倉さんたち視点だと背景事情が完全には分からない話なので(佐倉さんごめん)、詳しくは終了後に。
佐倉 光
はーい
佐倉 光
「ふーん。結局分からずじまいか。
後でもう少し調べてみるかな」
牧志 浩太
「そうだな」
牧志 浩司
「歴史か……
まさか、兄貴助けるために資料館で調べものするとは思わなかったな」
佐倉 光
「よく信じてくれたよな。
正直俺一人じゃ色々無理だったし。
奇病を治すために歴史とオカルトを調べます、なんて正気の沙汰じゃないだろ、我ながら。
こういう飲み込みの早さも、さすが兄弟、なのかな」
佐倉 光
歴史の話からそれちゃったかなー。
牧志 浩太
「うーん、そういう所って似るのかな……?」
佐倉 光
「そういうところもどういうところも、お前ら割と似てるよ」
牧志 浩太
「……そうか、似てるんだな」
牧志 浩司
「似てるってさ。俺達。
だから、変な遠慮すんなよ。兄貴は兄貴なんだからさ」
牧志 浩太
「そうだな。そうするよ」
佐倉 光
「仲良くていいよな」
牧志 浩太
「あー……」
佐倉 光
「さ、行こうぜ。また寒くなってきた」
牧志 浩太
あなたの家のことに思い当たったのか、何を言っていいか分からないような顔をし、あなたが話を逸らしたのに乗って「賛成」とあなたの後についた。
KP
あなた達は三人、連れ立って温泉へと向かう。
その背に、世界を温めてゆく陽光が射していた。



Call of Cthulhu 6th
 「風のさびしく、呼ぶ声」
end.


佐倉 光
後はエンディングのスチルで温泉に浸かってはしゃぐ男三人が……
KP
ああ~~~いいエンディングスチル

佐倉 光
ありがとうございましたー!
生還おめでとうありがとう!
KP
ありがとうございましたー! 生還お疲れ様でした!
佐倉 光
前回置き卓だったために使い損ねた不健康佐倉シリーズにちょっぴり出番が

KP
生還報酬:
SAN +1d3
牧志を助けた +1d3
佐倉 光
2d3 (2D3) > 5[2,3] > 5
[ 佐倉 光 ] SAN : 72 → 77

佐倉 光
それじゃあ真相について
詳しくッ
KP
ではまず真相ッ
今回出てきた雪女は、マレウス・モンストロルム p35 「風の落とし子」です。
村の城主はイタクァを崇める教団と通じており、イタクァを招来し敵を殲滅しようとしました。
それは城下の村をも巻き込む行為であったため、当時の姫君は自らの身を挺してそれを阻止、招来は不完全に終わります。
佐倉 光
ふむふむ
KP
しかし姫君は降臨しかけたイタクァに攫われ、そのまま消息不明となります。
彼女は既に死亡していますが、イタクァが彼女に産ませた子供が現在も生存しており、その子供が「風の落とし子」──雪女です。
佐倉 光
姫さん可哀想だな!
ってか本当にハーフだったのか
KP
なのです。
雪女は父たるイタクァの形質を特に濃く受け継いでおり、生ける吹雪の姿をとって村の上空を彷徨っています。数十年に一度しか地上に近づくことはないのですが、地上に近づいてきた時、自分を視認することのできる人間を見つけると、近づいて空の上に連れ去ろうとします。
佐倉 光
その姿を見られる者は運がいいやら悪いやら。
KP
魂だけを連れ去ろうとした結果があれで、肉体がまだ抵抗していたため、何とか生存していました。雪女がもう一度近づいてきたとき、何の守りもなければそのまま連れ去られて肉体は死亡していたでしょう。
佐倉 光
なるほどー
佐倉 光
牧志の上着なんのために渡されたんだろ
KP
牧志の上着あれは佐倉さんが着る機会があるかな、って渡したものだったんです。雪靴もですね。結局その機会はなかったけど。
佐倉 光
あ、そうだったんだ。
単純に「牧志の上着だから牧志が使うのか」と思っちゃったから、最後にどっか歩いてく必要があるのかと思った。
佐倉のために貸してくれてたんだなー
ハートアレで包んで人間の振りさせなきゃ駄目なのかなとか色々変な深読みしちゃった。
KP
牧志はあの嵐の夜、うっかりその人を外れつつある認識力で雪女を視認してしまい、巻き込まれたわけです。これまでにも雪女の犠牲となったのは、そういう「高い認識力を持ち」「異界との縁を持つ」人間だけでした。
佐倉 光
また碌でもない縁引き当ててる……
KP
で、偽物の心臓とお守りが何かというと、あれはシナリオオリジナルのローカルな呪術です。イタクァを崇める教団が捧げ物として使っていたものや、自らの身を守るために使っていたものが村に漏れ伝わり、変質して今まで伝えられていました。
見ちゃっても平気だったのはお守りのお陰だよね。
そうです。雪女の目をそらすお守りですね。
なお、佐倉さんが最後の【POW】×5失敗した場合、自分から雪女に近づいていってしまう可能性がありました。
佐倉 光
そう考えると害なく目撃できたのはラッキーだったな。
KP
佐倉さんと牧志は雪女をはっきり視認して、浩司は雪の塊としか認識しなかったのは、〈クトゥルフ神話〉技能値の違いです。探索者としての異界との縁の強さですね。
佐倉 光
見えなくて良かったな浩司!
KP
よかったですねぇ。浩司の手元にもお守りがあったとはいえ、見てしまうことは縁ができてしまうことですからね。呪術を通して縁は編まれてしまったかもしれないけど。

あ、佐倉さんのPOWは永久消費ではありませんので、終了時に元に戻ります。
佐倉 光
お、良かった。
あんなのが生息してる地に住んでいる限り、なんらかの異常には巻き込まれるかも知れないな。
KP
イタクァ教団がかつていたことといい、雪女がいなくなったわけじゃないことといい、だいぶん因縁のある土地ですからね。
ちなみに浩司は【POW】11 / 【INT】16です。兄よりはちょっと【INT】低め(某方程式は解けない)ではあるけど、やっぱり良かれ悪しかれ察しはいいんだ。
佐倉 光
頭いい家系なのか
KP
なのかもしれない。
お爺さんといい、何かと縁が絡み過ぎなので、ニャル様と(今回はニャル様関係ないけど)よからぬ縁のある家系なのかもしれないけど。
佐倉 光
陰陽師の先祖が居ましたとかそーゆー
実はものすごく前の代で異界の血が入ってます……はどっちかっていうと波照間さんっぽい
KP
確かに。そこがあえて逆でも面白いは面白いけど。
佐倉 光
まあ、どっちでも納得は行くな。
KP
牧志家の謎とは一体。なるほどシナリオフックだ。
佐倉 光
浩司くんもがっつり絡めてしまうな。
KP
絡めてしまうなぁ。総じて頭がよく、何代かに一度INT18の子供が生まれる家系なのかもしれない……。
佐倉 光
それは何のためだろうね?
やっぱり方程式シナリオか。
てかそれ生贄じゃん。
KP
やっぱり方程式シナリオっぽい。その中からニャルラトホテプの化身になるものが出そう。牧志も生贄家系だったかぁ。
佐倉 光
イルカがニヤニヤしてるな。
別次元ではニャル化した牧志もいるかもしれん。
KP
いそう。実際、かなり適性が高くて危ういところにいるしなぁ。
佐倉 光
すでにツバつけられてるからなぁ。
KP
その縁がもはや逃れえないところまで絡まったとき、目の前に方程式の書かれた紙がひらりと落ちてくるのかもしれない。
佐倉 光
それが最終回じゃないことを祈りつつっ
そろそろ失礼するよ!
KP
はーい、ありがとうございました!
佐倉 光
ありがとうございました、楽しかった!
KP
わーい、よかった!
短い話とはいえ、オリジナルシナリオ普段作らないので緊張しました 楽しんで頂けてよかった
佐倉 光
波照間が大変なのに弟君と暢気に会話してられないよなぁと思ったけど、藁細工作るのがいい感じのお喋りタイムになって良かった。
KP
ですねー、移動中とか藁細工作ってるときとか、ちょこちょこ会話を挟めてよかった。
佐倉 光
上着変に考えちゃったから、最後上着乗せてハート出さなきゃ駄目だったかな、とちょっと不安になりました。
もしそうなら警告くれるかな、と思ったけどドキドキした!
KP
途中で雪靴貸す話をしたし、と思って出てきただけだったんですけどお騒がせしました
佐倉 光
そう、靴もあったからたぶん用途違うんだろうなとも思ったから、大丈夫だろうとは思ったんだけど。
雪女完全オリジナルかなと思ってたから、そんなのがいるのびっくりした。
KP
そうそう、レミングス・ドリームで精神寄生体の活かし方があまりにもすごかったから、こっちも原作(マレモン)に居る神話生物をなにしか下敷きにしたいよなと思って探した結果ああなりました。
シナリオでの出方はだいぶん独自になっちゃってますけども。
佐倉 光
ラストで「イタクァ」って言葉聞いて「きっちりクトゥルフだったんかい!」ってちょっとびっくりしましたよ。ナイスチョイス。
KP
イエース! やったぜ!
佐倉 光
思わず調べちゃったもん。
KP
わーい。今回は話が先にできてて合う神話生物探してこうなった感じですね。
佐倉 光
しかし真相がそれだと、佐倉が後で調査しても分からなさそうだなー。
佐倉 光
「今度見つけたらカードハントして聞き出そう」
KP
ですねぇ。もうちょっと雪女に喋らせようかとも思ったんですが、病院の屋上に生ける吹雪が降臨するシーンがメインになったので、まあ佐倉さん視点完全に真相がわからなくても、そんなこともあるかなって。
佐倉 光
そんなことがあってもいいとおもいます。
KP
あ、そういえばシナリオ的な話をしてなかった。
今回なんですが、シナリオ自体はわりと一本道でした。(佐倉さん選択肢なくてごめん)

ロストの可能性があるのは↓くらいですね。
 ・佐倉さんが途中で立ち去る場合
 ・最後のPOW × 5に失敗した後、POW × 4→POW × 3とさらに判定して、それでも失敗した場合、大きめの《SANチェック》とCONロールが発生

あと佐倉さんがあくまで浩司を巻き込むまいと協力を拒んだ場合、確定で進まなくなるわけではないですが、だいぶんハードモードになります。交渉技能など駆使して単独で情報を得なければいけなかったり、ラストを作りかけの心臓で挑まなければならなかったり。
佐倉 光
作りかけの心臓だったらどうなってたんでしょう
途中で立ち去るはまあ、基本あり得ない。
浩司巻き込みについては、ぎりぎりまで有益な協力が得られるなら蹴る手はなかったな。
「浩司巻き込まない」は「浩太の命」と比較するとやっぱ軽い。
KP
作りかけの場合、1/3の確率で心臓か佐倉さんか牧志かどれかがタゲられます。心臓引いたら今回と同じ展開になってた。
佐倉 光
美女に拉致られる。
KP
yes。佐倉さんか牧志がタゲられた場合、大きめの《SANチェック》と【CON】ロールですね。
佐倉 光
人外はちょっとなぁ……
そして【CON】ロールはアカン
KP
こっちを凍らせて来る美女はちょっとなぁ。そしてCONロールはそう、アカン。
で、終盤の展開がだいぶん変わった話なんですけど、当初は「山のふもとの城主の館」のさらに上にある、高台の山城がクライマックスの舞台でした。もうちょっとお姫様の話に比重があったんですね。
で、浩司からはクライマックスの場所を聞き出すのがメインでした。

ただ4回目の途中で今回の流れを思いつき、流れが自然になるのと緊迫感が増すこと、浩司がラストまでついて行ける可能性が高くなること、諸々でがつっと変更してます。
佐倉 光
なるほど。
城の話出まくってたから、最後そこかなと思ってた。
ああ、そうだ。
それで牧志の上着もらって「なるほどこれ着せて一緒に行くのかな」とか思っちゃったんだ。
KP
ああー。それは途中変更のせいでお騒がせしました。
佐倉 光
なるほどねー
流れの自然さを優先して変更しまくるのあるある
そのせいでラスボス変更も余裕であるある。
BBTとかな……
そのへん自作シナリオだと遠慮なく改変入れまくれて楽だけど、つじつま合わせやらバランス取りに苦労はしますね~。
KP
ですねぇ。今回も序盤の伏線が浮いてしまって、結局上着について変に考えさせてしまいましたし。
佐倉 光
楽しく終わればイーンダヨ!
KP
ありがとうございます!
佐倉 光
それはそれとしてこんな背景聞くのも楽しいし、どう変えたか聞くのも面白い。
KP
終わった後になんやかんや話すの楽しい。
佐倉さんから牧志の話をいっぱい引き出せて楽しかったし、佐倉さんが浩司といっぱい話してくれて楽しかった。
もちろん序盤の旅行も楽しかった。全6回の半分は旅行している!
佐倉 光
だいぶ人付き合いに抵抗なくなったなぁ、と思いながらやってました。
自分から話振るんだもんな。
佐倉もある程度不安だったからってのも多分にあったとはいえ。
浩司とは関わりたくないけど仲良くなりたいこの矛盾。
KP
ですねぇ。自分から話を振ってくれているし、事態が解決した後も話してくれているし。
何だかんだで佐倉さんも口数が増えていたり、名前を開示することが増えていたりするな、と思いました。
佐倉さんがまたあの土地に行くことがあれば、話す機会があるかもしれませんね、浩司。
佐倉 光
人を信頼しないと得られない情報がありますからね!
KP
開示し信頼してでも誰かを助けたいと思うことができたんだなぁ。
佐倉 光
牧志の例があるから、もう自分から声かけはしないだろうな、浩司。
どうしても話さなければならない事情でもあれば別だけど。
KP
彼のほうもそれに気づいて、すれ違いざまにひらりと手を振って去るような、そんな邂逅になりそう。
浩司とはそれくらいの関わり方が綺麗かもしれませんね。うっかりシナリオフックが発生しない限りは。
佐倉 光
限りはね!
KP
あと今回、佐倉さんが、浩太と浩司はやっぱり似てる、という所で〆てくれたのが綺麗でよかった。
佐倉 光
兄弟の話かなとおもったので!
KP
ありがとうございます!
佐倉さんと浩司の変則タッグがあったらおもしろいな~くらいしか考えてなかったので、おかげで兄弟の話としてきれいにまとまりました
佐倉 光
おかげでこっちも家族話チラ出しできて楽しかった。
KP
そうそう。牧志はコメントに困っちゃってたけどKPは楽しかった。
佐倉 光
別に仲直りしたいとは思ってないけどね!
嫌われてた方が好都合だから。
KP
好都合、かぁ。
佐倉 光
巻き込まなくて済むからねー
KP
そうか、関係が近づくと巻き込んじゃう可能性があるんですもんね。連絡取ってないのになぜかそれぞれ独自に巻き込まれた兄妹もいるけど。
佐倉 光
それはもう血筋か運命のせいだとしか……
KP
やっぱり何代か前に何かいるのかもしれない……
牧志と浩司、事情を話してだいぶ和解したとはいえ、どこか遠慮はあったので、佐倉さんの「やっぱり似てる」が、その遠慮が本当に溶けるきっかけになるかもしれないなと思っています。
佐倉 光
それは良かった。
KP
記憶を失っただけでなく、「半ば別人になってしまったこと」がずっと弟への遠慮として存在していたので、やっぱり牧志は牧志で浩司の兄、っていうのを佐倉さんから示されたのが大きかった。
佐倉 光
また牧志絡みで良い仕事してしまったな!(ドヤ)
KP
良い仕事して下さいました!
こんなところでもまた変化があるとは。

ひとこと
佐倉 光
巻き込まないと決意はしたけど、やっぱり牧志の命には代えられない。
どうせ巻き込むなら全力で!

風呂から始まり風呂に終わる楽しい旅行シナリオ。
いやー、(プレイヤーは)楽しかったですね!


【置】CoC『俺の部屋のカーテン幅が足りないんだが』 佐倉&牧志 1

「ちょっとやりすぎたみたいなんだよ……」

【置】CoC『骨組みだけの宇宙』 佐倉&牧志 1

「……大丈夫だよ。手を握ってても大丈夫。だから、いつもみたいに話そうよ」
「ああ……努力する……」

【置】CoC『忌胎』 佐倉&牧志 2

「ごめん、ありがとう。今はもう大丈夫」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


ダブルクロス 番外編

ダブルクロス
番外編 1
■前回ラストで子供たちがみんなでホラー映画鑑賞会していた裏で、大人たちは何をしていたのか……
女二人でひたすら呑んでました。
みたいな。

【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 1

「おはよう牧志。
……どうしたのさ、怖い顔しちゃって。また悪い夢でも見たの?」

CoC『わすれんぼうのおうさま』栗原・黒枝・羽生・伊豆見 1

「なぁ!? 俺のツッコミ聞いて!?」
「正気じゃやってられないからでは?」