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こちらには
『回答者Xの報酬』および
『今昔 狼龍奇譚』
のネタバレがあります。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。とある事件より、体中の痛みに悩まされている。
基本悪魔を召喚して戦うが、悪魔との契約のカードを使ってその力を一時的に借りることもできる。

巻き込まれ体質らしい。

牧志とは友人。


早浪

とある国の、死を賭しても国と民を守る使命に準ずる騎士。
ある呪詛のため異形に堕ちて力を得た。
呪詛を解く方法を探していたが叶わず、死亡したはずだったが……。

氷凪とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。


氷凪

不死の存在である龍族であり、300年存在し続けながら自らの存在意味を見いだせずにいた。。
神に願って力を得る代わりに定命のものとなり、死を迎えた。

早浪とは友人。

とある事件以来、特殊な事情のため二人が面倒を見ることになった少年。
超美形で類い希な理解力と知性を有する。
年齢は7歳程度。生育環境が特殊だったため、一般的な教育を受けていないので、言語が年齢の割に幼い。最近になって急に一般的な生活を送り始めたので、外界への興味が強い。今回は出番がない。


少し前に現れた6人の異星人。佐倉と契約して彼の仲魔として存在している。
その正体は、何にでも変身して喰らい殖える不定形生物だったが、『人間』としての意識を持ち、この星での人間との共存を試みている。
今回は出番がない。


1周目楽しかったし、他の組み合わせだとどうなるか見たいよね!
ということで、前回のサブPCをPCにして2周目です!

KP
では、始めて参ります。
よろしくお願いします!
佐倉 光
よろしくお願いします!


Call of Cthulhu 「回答者Xの報酬」

善人であればあるほど、その選択は地獄に等しい非日常となるだろう。
悪人であればあるほど、その選択は天国よりもずっと身近な日常であるかもしれない。
いずれにせよ、この空間に逃げ道はない。

無機質な音声だけが、暗闇の中で響いた。

「回答者はモニターの前にお立ち下さい」

性癖博覧会/にび様 作


KP
▼早速ですが、1d100をどうぞ。
佐倉 光
1d100 Sasa 1d100→59
KP
1d100 Sasa 1d100→77

KP
ぱちんと泡が弾けるようにして、あなたは突然目を覚ました。

まだ夜なのか、辺りは真っ暗だ。
モニターをつけたまま眠ってしまったのか、薄らぼんやりとした青白い光が、微かに何もない壁を照らすのが目に入った。
その光が、傍らに寝転がっている誰かの輪郭を辛うじて浮かび上がらせていた。
佐倉 光
「ん……? 牧志?」
ふと口にして、周囲を見回す。
KP
何をしていたか思い返せば、ぼんやりと記憶が蘇ってくる。

今日の仕事は夜遅くまでかかる、と牧志に言ったのを覚えている。
交差点で別れ、集合場所へ向かおうとした所で意識が途切れている。

周囲を見回せば、窓からの光もないほどに真っ暗だった。
自室にあったはずの何もかもがなく、ただ青白い光を放つ何かだけがある。
あなたはいつもの寝巻ではなく、薄っぺらい病衣のような服を着ていた。
武器であるはずの腕輪を含め、持ち物は何もない。
佐倉 光
俺、何してたっけ……そのもう一人の誰かが何者か見に行く。
KP
もうひとりの誰かは、一見して牧志ではなかった。

背丈は彼と同じほどだろうか。しかし、背中に厚みがある。
よく引き締まった筋肉を丸みのあるシルエットが覆い、女性だとすぐに分かる。
なら浩子か古島なのかというとそうでもなく、どうやら全く見知らぬ人物だ。
彼女はこちらに背を向け、微かに肩を上下させながら横たわっている。
佐倉 光
知らない部屋。ぺらぺらの病衣。持ち物はなし。記憶の途切れ。
異変。なのはいいとして。初めてのパターンだ……女の人かぁ。
少しやりづらいな、と思いつつ、女性に声をかける。
佐倉 光
「あの、大丈夫ですか?」
早浪
「う……、氷凪か……? すまない、私は、どう……」
譫言のような声を漏らしながら、彼女は微かに身じろぎをした。
あなたの知らない名を呼んで、数度咳き込む。
胸に手を当てて、のそりと起き上がり、こちらを向いた。

彼女もまた、あなたと同様、簡素な病衣のような服を着ている。
それ以外に何も持っていないように見えるのも、同様だった。
佐倉 光
「初めまして。僕、只野っていいます」
両手を意図的に上げて、まずいことをしようとしたわけではないぞ、とアピール。
あらぬ誤解をされたらかなわない。
なにしろパソコンもCOMPはおろか、スマホすらないのだ、できることがない。
佐倉 光
「あの僕、気付いたらここに倒れていて、お姉さんが見えたから、なにか知らないかなと思って」
早浪
彼女は数度不思議そうに瞬きをし、手を当てた胸を指先で辿った。
それから両手を上げた様子を見て、あなたが何も持たないことを確かめる。
幸いにも、あなたを糾弾したり恐れたりする様子はなく、ただ現状に戸惑っているように見える。
危険
KP
男女の初対面ならではの懸念! >見知らぬ狭い部屋に二人
佐倉 光
しかも暗くてペラい服ですよ!
危険すぎる。
KP
本当にな!
危うく佐倉さんに大変な疑念がかかるところ。
佐倉 光
ここで対応誤ると、疑念を解くのに苦労しそうだからな!
KP
スマホすらないし他に釈明してくれる人もいないし距離も取れない!
佐倉 光
怖すぎる。
もちろん佐倉はシレッと偽名名乗るんだけど、状況によっては幻で本名バレするな。
KP
確かに。

早浪
「ここは……、私は、生きているのか?
すまない、青年。私の他に、誰かここにいなかっただろうか?」
佐倉 光
「もしかして、さっき言ってたヒナギって人のことですか?
いないみたいですよ、誰も。
っていうか、生きてる、ってなんですか?
僕は普通に道路歩いてたらここにいたんですけど」
早浪
「そうか……。
氷凪は先に逝ってしまったか、それとも私だけが、先に天の土に着いてしまったか……」
彼女は一度俯いて、痛みを堪えるように病衣の胸を押さえる。
寂しげにぽつりと呟いて、それから顔を上げた。
早浪
「初めまして、私は早浪という。
すまないが、私もここが何処なのかは分からないんだ。
先程、君に呼びかけられて目を覚ましたばかりでな」

生きているのか、という言葉への言及を、彼女は意図して避けたようだった。
佐倉 光
「ハヤミさん。
良く分からないけど、ここ多分あの世とかじゃないんじゃないかな。
今までの経験からいうと、悪意を持った誰かに捕まったんじゃないかと思う」

こういうのよくあるんだけど、牧志以外とってのは初めてだ。
さすがに見てるヤツも飽きたのか?

まあ、今回はこの人と協力していけばいいんだろ。okok。
まずは情報だな。
佐倉 光
「僕はハッカーなんですけど、PCもスマホもないから今のところ役立たずだな。
ハヤミさん、いつも何してる人です? 職業とか」
早浪
「悪意を持っ……、墓……、んん?
すまない、整理させてくれ」

矢継ぎ早に繰り出される情報に、彼女は戸惑って目を瞬かせた。
あなたや牧志と異なり、こういう事態には慣れていないのだろうか?
早浪
「私達は生きていて、何者かに捕らえられたというのか?
確かに、ここは随分と狭いようだし、暗い。持ち物も取り上げられている。
牢の中なり何なりだというのならば、納得も行く」

彼女は身体に触れ、持ち物のないことを確かめる。
彼女の身を覆うしなやかな筋肉は、滑らかな躍動で行動に応えていた。
佐倉 光
「そうと決めつけるのは早計なんだけど、あくまでパターンとして、そういうことが多いんです。
僕は普通に道を歩いていたはずですしね」
佐倉 光
力ありそう。何かあっても頼れそうだな。肉体労働の人か、格闘家か……
佐倉 光
そういえば一緒に捕まった人が敵というパターンはまだ知らない。
KP
なんですよね。
パターン読んでるつもりの佐倉さんに思わず黒幕もニッコリ。
早浪
「そうか、君は道を歩いていたら突然捕らえられてしまったと……。
……多い? 君は、そんなに何度も捕らえられているのか?」

彼女の視線が、あなたの頭部に向かった。
佐倉 光
「なーんか知らないけど、そういうことが多くて。
あいつの影響かと思ってたのに、僕一人ってのは久しぶりだな……」
早浪
「あいつ? 君も誰かと共にいたのか?」
佐倉 光
「ええ。僕の友人で、首辺りにこう、でっかい痣がある、明るい茶色の髪してる奴なんですけど」
早浪
「すまない、見覚えがないな。
氷凪のいる気配もしない、捕らえられたのは私達だけ……、ということか」
龍と拷問
KP
早浪<彼も龍族かな?
佐倉 光
いいなぁ龍変身したい。
寿命縮むのは嫌だけど。
死なないからだは普通にほしい。
KP
佐倉さん死なない身体は欲しいよなぁ。捕まって延々と拷問されるけど。
牧志も生死の境を歩み過ぎて欲しがる可能性はある
佐倉 光
白くてひょろ長くて黒い髪で、龍っぽくはあるんだ。
捕まらなければいいんだよぉ!
KP
よく捕まっている&氷凪さんっぽい見た目でちょっとそう思った早浪さんです。

実際二人ともそれくらいのヤバい目には遭っているわけですしね。
捕まらずに切り抜ければいいし、捕まっても助け出せばいいんだよぉ!
佐倉 光
そういえば刻まれたりはしてないけど、血を生産するだけのものになってたことはあるな。
KP
なってましたねぇ。
こんどは刻めばいいんです?(幻スタンバイ)
佐倉 光
刻んだらいたいのでやめてください。
KP
しってる。
早浪の世界において、龍族は不死故に酷い拷問を受けていた。

早浪
「死んだかと思えば生け捕りか。意外な帰結だ」
佐倉 光
「あー、ちょっと待って。
死んだ、って何ですか。
車や電車に引かれそうになったときにここ来たとかそういう、異世界転生的なやつですか?」
思わず自分の脈や鼓動を確かめる。自分が死んでるなんてことはないだろうな!?
早浪
「ああ……、君にいらぬ懸念をかけまいと思っていたのだが、口に出てしまっていたな」
早浪
「そうだ。私は撃たれて死んだ筈だった。
先程言った氷凪と共にな。

だから、ここが辺獄であれば、君も気づかぬままに命を落としてしまったのではないかと……、そう考えた」
KP
病衣に包まれた腕や胸を辿れば、聞き慣れた鼓動が返った。

あなたは生きている……、のだろうか、本当に?
佐倉 光
「いや……生きてる……と、思いますけど。
死んだ覚えもないし」
とはいえ、知らないうちに殺される、なんて事がないとも言いきれないのだが……
佐倉 光
「おねーさんすごい筋肉ですね。羨ましいなぁ」
自分の細腕をペチペチ。
早浪
「ああ、そうか。
何をしている者か、ということだったな。

私は国を守っていた騎士……いや、元騎士ということになるかな」
佐倉 光
「騎士。ナイト、の騎士ですか?」
早浪
「ナイト? ああ、都の外の人間が私達をそう呼んだこともあったな」
佐倉 光
「日本語流暢だから気付かなかったな。どこの人です?」
なるほど、海外の人だから言葉が変に古風なのかな。
イギリスかドイツか……そのあたりなら騎士って身分としてまだ残っていたかな……
早浪
「日本語が流暢? どういうことだ?」
早浪
「私か? 私は……国の名で分かるかな」
そう言って、彼女はある地名を告げた。
日本語の響きに聞こえる。地方の旧国名のような雰囲気だ。

〈歴史〉で判定。
佐倉 光
1d100 20 〈歴史〉(初期値) Sasa 1d100→ 29→失敗
KP
その響きは旧国名のそれに似ていたが、聞いたことのない名だ。
果たして実在のものなのか? とも思うかもしれない。
佐倉 光
「えーっと。
僕、日本の東京の渋谷からきました。
その町の名前は知らないな」
早浪
「トウキョウ……? シブヤ? 日本の地にそんな国があるのか。
すまない、聞いたことがない。
君は、都の外の人間なのだな」
早浪
「君は、墓守だったか? ならば、ここの所は難儀だっただろうな」
あなたの細腕を見ながら、彼女は言う。
ハッカーもり
佐倉 光
墓守www
KP
ちょっと概念のないワードが多過ぎたので。
<ここの所は(死体が多すぎたので)その細腕で難儀だっただろう……
佐倉 光
職業ハッカーって自己紹介するのおかしくない??
まあやっちゃったもんはしょうがない。
KP
異変が起きてて知らない人と協力する? 状況だから、「技能を開示しなくては」と思ったのかもしれない。>ハッカー
佐倉 光
モニターも一応見えてましたしね。

牧志がいるならまず無事を確かめたいと思った→閉鎖空間に女の人と二人きりは面倒なことになりそうだから先制攻撃で警戒を解いておこう
でモニターがすっかり後回しですけど。
KP
そうそう。>モニター
面倒なことになると厄介ですしね! 後回しにしちゃっていいんですよウフフ。

佐倉 光
「墓守り?  え、いや、ああ、ハッカーです……」
キーボードを叩く仕草をして見せる。
早浪
「……? ああ、琴を弾くのか?
そうか、君は墓守ではなくて、鎮魂の奏で手だったか」
佐倉 光
どうにも話がいまいち噛み合わないなぁ。
佐倉 光
「もしかして、なんだけど、僕たちは前提をまちがっているかも」
早浪
「前提を間違っている? どういうことだ?」
佐倉 光
「時代か、世界そのものか、僕たちが生きていたところが違うんじゃないかってことですよ」
この人、悪魔には見えないけど可能性としてはあるのか。
早浪
「世界が……?
そうか、君は異なる世から来たと……、そう言うのだな」
彼女は胸に手を当て、何かを思い出すようにした。
早浪
「そんな事があるはずは、とも言えないな。
私の語ったことは、そんなにも君にとって思い知らないものだったか?」
佐倉 光
「まず騎士っていうのが、僕が知る世界ではあまり一般的とは言えないです。
存在しないとは言わないけど、なかなか黄色人種で騎士ってのは難しいかな。

それと、僕の言葉が時々通じていない気がします。
僕は西暦20XX年の日本に住んでいますけど、それでぴんときます?」
早浪
「そうか……、君の住む所に騎士はいないのだな。
それだけなら、日本の地の中でも遠い果てなのだろう、とも思えるが」
早浪
「セイレキという暦にも、その数字にも心当たりがないな……。
君の口ぶり、君の住むところでだけ使われている暦だ、という風ではないのだろう」
佐倉 光
「西暦は、僕たちの世界では大体の国で通じる基準なんですよ。
時代が違うどころじゃなくて下手したら異世界かぁー。
これはまた珍しいパターンだなぁ。
お互い服やら道具やら取られてるっぽいのが残念ですマジで」

まあ単に頭ファンタジーって可能性もなくはないんだけどさ。
早浪
「国のうちだけではなく、世の全てで通じる基準があるというのか?
それは……、凄いな。そんなに遠くまで交易があるのか」
彼女は感心したような声を漏らす。
早浪
「……氷凪がいたら、喜んで話を聞きたがっただろうな。
彼は何もかもを知りたがっていた」
佐倉 光
「飛行機とか船とかインターネットとか……下手したら電話とか知らない感じです?」
騎士、で想像されるのは中世ヨーロッパ。しかし何だかそれとも違うようだ。
誤解を与えないようになるべく距離を取っていたというのに、我知らず身を乗り出してしまう。
早浪
「船はあるな。魚を取って暮らす民もいるし、輸送にも使う。
私は見たことがないが、遥か西の果てまで向かう大船を作る国もあったはずだ。

飛行機というと、空を飛ぶ道具か? 
やはり人の夢なのだろうな、発明家がよく作ろうとしているのを見るよ。
山から滑空するものなら見たことはあるが、飛び上がれるものは見たことがないな。
インタネット? デンワ? 何だそれは?」

身を乗り出すと、彼女の澄んだ眼にあなたが映る。
間近まで寄っても彼女は怯むことはなく、微かに汗の匂いがした。
佐倉 光
これは、これは、これは異世界決定かー!?
佐倉 光
話、聞きてぇ!  詳しく!!
と思った瞬間、微かな女性のにおいに怯む。
胸元辺りは割と見た目際どい。
足なんかも丸出しだ。

最近やっと浩子さんたちに慣れたばっかりの身にはちょいとヘビーだ。
思わず少しさがる。
そうしたら光源になっているモニターが視界に入ってきた。

すっかり忘れてたけど異変真っ只中だったな。
佐倉 光
「あー、すんませんすんません、うん、何百人も乗せて空飛んだりしてますね。物流なんかは飛行機と船でずいぶん捗ってるかと。
インタネットもデンワも、離れた場所に情報を送る道具で、離れててもやり取りできるんです。
例えば別の部屋どころか海を跨いだ国でも話ができたりします」
意識すると目のやり場に困る。

KP
浩子さん所の佐倉さん、blood redの時は本当に色々大変だっただろうなぁ、と表を見て改めて思うなど。
佐倉 光
興味がありすぎて本編に入れない!
KP
いいんですよいっぱい話していただいて

早浪
「そ、そうか?
君がいる国は随分と……その、凄い物があるのだな。

妖魅の技というわけでもないのだよな、それは技術なのか?
海を跨いでも話ができ、何百人も人を乗せて空を飛ぶものがあるとは、想像を超えるな」

あなたとの距離を気に留めていなかった彼女だが、あなたの動揺につられたか少し慌てる。
KP
そんな二人の背後で、モニターは文句を言うこともなく、ぼんやりと光っていた。
佐倉 光
「ようみ?  あ、それって妖怪変化の妖魅?」
目をぱちくりさせる。
佐倉 光
「もしかして、日常的に悪魔とか妖怪とか出てくる系の?」
だとしたら、ゲームか小説の世界から、なんてこともあるかもなぁ。
早浪
「ああ、そうだ。
日常的に……、ではないかな。
民たちはその存在を信じていたが、実際にそんなものがあるとは、思っていなかったよ。
妖魅も、妖術も、呪いも」
早浪
「真実その脅威を目にするまで、ではあるがな」
彼女が小さく加えた一言には、自嘲めいた痛みが添えられていた。
佐倉 光
「なんか……割と身近なとこにその手の悩みありそうですね」
姿勢を正す。
多分リアルと同じように、知らない人は知らないけど存在してるって感じなのかな。んでこの人は知らない側だったけど、ショックなことがあって踏み越えちゃった、みたいな。
なんか、覚えがあるな。
佐倉 光
「僕も似たような経験をしたことがあります。
昨日まで信じていた世界がひっくり返るって体験……」
佐倉 光
まあ俺の場合はそれは喜びでしかなかったんだけど。
後になって、ひっくり返る前の生活を恋しがるってのは分からないでもないとは思う。
早浪
「そうか……、君も、そんな思いをしたことがあるか」
彼女は自分の両手を見下ろし、それを握った。
早浪
「出来れば、もう少し穏やかに知りたかったものだ」
佐倉 光
「で、多分今正にそんな体験してるとこ、でもありますね。お互い」
ふと、モニタを見上げた。
早浪
「そうだな。君が言うに、どうやらそうらしい。
異なる世などというものが存在するとは、世の中はどれだけ未知に溢れているものやら」
彼女は背を正し、青白い光を放つモニターを見遣る。
KP
モニターは小さな台に置かれている。
何か、文字を表示しているようだ。
佐倉 光
「あとで色々と詳しく……」
文字を見る。
KP
あなたが視線を向けると、不意にぼやけていた文字が歪み、はっきりとした文字に変じた。
ちらつく砂嵐の画面の中に、赤黒い文字でこう記されている。


『大切な人と赤の他人、どちらを選ぶか回答せよ』


佐倉 光
「……」
佐倉 光
「答えの分かりきったアンケートかぁ。嫌な予感しかしない」
いかにも嫌な感じのフォントだ。
いや、まだ選べとしか書かれていないしな。印象操作印象操作……
早浪
「これは何だ? 光っている中に……文字か?」
彼女があなたの傍らで、モニターの文字を覗き込む。
佐倉 光
「読めます?」
場所を空ける。
早浪
「『大切な人と赤の他人、どちらを選ぶか回答せよ』、と書かれているな。
内容は読めるが、何が言いたいのかは分からないな」
佐倉 光
モニターの近くを手探りで探ってみよう。何か見つかるかな。
入力装置でもあればいいんだけど。
KP
室内はひどく暗く、窓もない。
モニターの正面以外はまともに様子が分からない。
手探りで探すのなら、〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 40→成功
KP
台の下に、リモコンらしきものが一つ置かれていた。
そのリモコンにはボタンが一つしかなく、そのボタンには何も書かれていない。
佐倉 光
「大体こういう一方的なやつって碌な事がないんだ……」
早浪
「突然探し回って、どうした?」
彼女が不思議そうにあなたを見る。
佐倉 光
「僕たちをここに放り込んだヤツが何をさせたがっているのか、知る必要があると思いまして」
モニターの光の下でリモコンを見つめる。
佐倉 光
「ちぇ、ただのボタンだ。選択肢なしか」
早浪
「そうか、何かの目的があって私達を捕らえたのだろうと、君はそう考えているんだな。

それは?」彼女は不思議そうにリモコンを見る。
佐倉 光
「これは、ボタン押すと多分何かが起こるんじゃないかと思います。
押すか、押さないか、の選択を与えておいて、結局押すしかないやつだ。
ここでずっと飽きるまで話してるってのも悪くないけど、そういう訳にも……」
佐倉 光
相手の事情が許すなら、空腹とかそういう生理現象が発現しないなら延々と話すのもいいかと思ったりする佐倉。
KP
確かに。早浪は早浪で、「自分だけ生き残ったのでは」と思っているから、現状そんなに焦る理由がない。
佐倉 光
「そういえばハヤミさん……でしたっけ。死んだって、言ってましたっけ。
何が原因で死んだ、とか覚えてます?」
早浪
「ああ、はっきりと覚えているよ。撃たれたんだ。
うっかりと油断した隙に、氷凪もろとも背後から心臓をやられた」
彼女は胸に手を当て、無念そうに呟いた。
早浪
「不覚を打った私だけがここにいるとは、皮肉なものだ」
佐倉 光
「その傷って、今、あるんですか?」
言いながら背を向ける。
早浪
「傷か?」
彼女は病衣の下に指先を差し入れ、胸を辿る。
その指先も無数の傷にまみれていた。古いものから、新しいものまで。
早浪
「ああ……、あるな。忌々しい傷だ。
私の背がもっと厚ければ、貫かせずに済んだものを。
背の方がどうなっているか、見てくれるか?」

彼女はあなたに背を向け、病衣をはだける。
佐倉 光
「え!? あーはい……」
明るいところならともかく、こんな暗いところだと妙な気分になりそうで困るな。
ただでさえよく見えないってのに。

モニターのぼんやりした明かりの中、背に指を軽く添えてよく見る。
体格差と誤解
KP
KP「佐倉さんおちょくってごめん、早浪に変な意図はない」
早浪さんが割合無防備なのは、体格の圧倒的な差もありますね。
佐倉 光
何かされても怖くないと思われている。実際そうなんだけどね。腕輪もないし。
KP
たおやかな奏で手の青年扱いになっている。結局インタネットとハッカーのことは分かっていないので誤解は解けていない。
佐倉 光
楽士かぁー
KP
そう墓場で鎮魂の歌を奏でる楽士。
佐倉さんが楽器を弾くようなジェスチャーしたから……。

早浪
暗い中に、ぼんやりと露わになった肌のシルエットが浮かび上がる。
逞しく盛り上がった背中には、いくつもの古傷が跡を作っていた。
それらの傷をかき分けて探せば、確かに心臓に届くだろう位置に穿たれた、深くむごたらしい傷がある。
あなたの目になら、それは彼女の言葉通り、銃弾が作った傷と分かる。
生きた人間の体温が、指先に微かに伝わってきた。
佐倉 光
「確かに……傷はあるみたいです。貫通している。この位置なら心臓にも何発か当たっているんじゃないかな……多分。
だけど、確実に今は生きています。
そんなに強力な蘇生の魔法があるんですか、そっちには」
早浪
「いや……、私が知る限り、そんなものはない。
無論、私は呪いや妖術のことなど殆ど知らないから、もしかすれば何処かにあるのかもしれないが。

かつて心臓を龍王に捧げ、死なぬものとなった一族はいた。
だが、私はそうではない」
佐倉 光
「全然違う立場の人間を二人連れてきて、命の有無もよくわからない。
何がしたいんだか……」
佐倉 光
彼女が服を着直すまで背中向けてよう。
警戒されていないのがなんとなく分かる。
たぶん信用されているとかじゃなくて、単純に俺が弱そうに見えるからだな。まあケンカして勝てる相手には見えない。
佐倉 光
「たぶん、このボタン押すと何かが起きるんだと思いますけど、さて置いて少し話しません?」
まあ相手が死んでるっていうなら急ぐものでもないだろうしな。
早浪
「全くだ。ここで私と君を引き合わせた意図もよく分からないしな。
何者かが意図して異なる世のものを引き合わせたというのなら、強い力を持つ者ではあるのだろうが」
あなたの背後で、微かな、薄い衣擦れの音がする。
次に振り返った彼女は、先程と同じ格好に戻っている。
早浪
「少し話そう……、か。君は肝が据わっているな。
そうだな。口惜しいが、もはや急ぐ理由もない。
君のいた世にも興味はある。そうしようか」

彼女は背から力を抜き、こちらを向いて相好を崩した。
奇妙な余裕
KP
氷凪さんと会ってから何かしら急ぐ理由があったから、急ぐ理由が何もないのは早浪にとっても久しぶりだよなぁ、と。
佐倉 光
牧志がここにいないのは巻き込まれていないからだ、と普通に考えている。
そして異世界の人間と話す機会なんてそうそうないし話聞きたいと思ってる。

これ黒幕さんが急かすかな?w
それとも精神だけだから時間経過なんて意味を成さないか。
KP
早浪も、氷凪がここにいないのは死んでしまったからだ、と考えている。
自分は生き残ったといいつつ、あまり本気で生き残ったとも思っていない(やっぱり「辺獄かな?」と思っている)ので、互いに焦る理由がない。

黒幕さんは……
ここ精神だけだから通常通り時間が流れているとも限らないし、黒幕さん自身は時間認識長いから気にしないんじゃないでしょうか。

実は通常通り流れていて、後で黒幕さんパワー(催眠)で周囲の人間の認識だけどうにかするつもりだとすると、戻ってきた牧志が佐倉さん探し回ってひどいことになるけど。
あのあと戻って来て佐倉さんいなかったらひどいのよ。
それは牧志のSANが大変なことになっちゃいそう&東浪見まわりがよくわからないことになるから、やっぱり「精神だけだから時間経過なんて意味をなさない」かなぁ。
佐倉 光
あのあと行方不明になって三日三晩戻らなくて、ふいと戻ってきたと思ったら「ハヤミって人と話し込んでた」とか言われたら牧志くんがまっしろになっちゃう。
KP
なっちゃう。なんなら自分が佐倉さん殺したかもしれないと、半狂乱になって蘇生の呪文とか捜索の呪文とか探し始めてるかもしれないから、やっぱり通常通り時間経過しないことにしておこう。
意図せぬところで牧志が魔きしになってしまう。
佐倉 光
浩子さんBloodredの時は大変だっただろうなぁって話してるのに、女の人と三日三晩!?
知識欲に流されるとそうなるか。
KP
互いに理性的ですし、何かあっても明らかに相手の方が体格が上ですしね。それに知識欲。
知識欲に流されると相手が何だろうが関係なくなりそう、佐倉さん。

以下は『俺の恋人が庭からボコボコ生えてくるんだが!?』のネタバレ
浩子と佐倉(バレ)
佐倉 光
浩子さんのBloodredの時は、理性主導時と欲望主導時の落差がエグいことになって本人も相当壊れるわこれ。
というかそんなバカデカ感情抱えた『佐倉』が今一人で死に物狂いで浩子さん探していたらちょっと可哀想だなと思ったりなんだり。
KP
そうなんですよね。あの時の『佐倉さん』は実は相当可哀想なことになってる。
浩子さん自身は自分で決断したおかげでそれなりに吹っ切れた(でもずっと痛み続けているけど)というのに、一方的に置いていかれた『佐倉さん』つらい。

浩子が言う宇宙ではぐれた『佐倉』は正体が物体Xであるため、浩子を追って地球に来てしまうと、本来の性質を失った浩子たちとは違い、純粋に地球の生き物への脅威となってしまう。
そのため浩子は彼が追ってこられないように、追跡用のアクセサリーを破壊した。
『佐倉』にしてみれば、かけがえのない存在と宇宙ではぐれて消息も分からない状態なのである。かわいそう。

佐倉 光
浩子さんもある意味あちらからの境界を意図せず越えてしまったからなぁ。
KP
なんですよね。意図せず越えてしまった。

死に物狂いで探し続ける『佐倉さん』、いずれ時間の果てに浩子さんを見つけ出してしまう展開もありえそうで。
その時はもはや色々煮詰めすぎて大変なことになっていそうだけど。
その頃には浩子さんは悪魔として独立しているから、『佐倉さん』(物体X)がこの星にばらまかれる前に、自ら引導を渡すことに……。

あれ、こんなところで今回の問いが。>大切な人と赤の他人、どちらを選ぶ
佐倉 光
なんてこったい。とんでもない悲劇が起きてる。
KP
『佐倉さん』が物体Xとしての認識を持っているなら、それだけの感情を抱えているわけだし、物体Xの技術力も使えるし、人間の寿命を越えても擬態して存在し続けられる可能性もあるし、浩子さんも悪魔として存在し続けているから、いつかは見つけ出してしまう可能性があるよなーと。

あ、でもその頃牧志も佐倉さんももう存在していなければ、『佐倉さん』の手を取って別の星に行く可能性の方が高いか。今度こそ人間のいない星に行く。
佐倉 光
えらくスケールのでかいはなしになったなぁ。
それはそれでいいのかもしれない。
佐倉が生きている間に迎えが来て、ここで増えずにどこかへ行くって言うなら多分止めないけどね。
KP
それならやっぱり、『佐倉さん』の手を取ってどこか人間のいない星に行くかな。
それで、『佐倉さん』がその星から溢れ出さないように狩り続けながらずっと一緒にいるのかもしれない。
佐倉 光
狩り続けなきゃならないというのも業が深いなぁ。
KP
それはそれで業が深いんですよねぇ。でも「友達」との約束だからそれは守り続けるし、『佐倉さん』殺すよりはそっちを選びそう。

佐倉 光
よし、じゃあどこから話そうか……

こちらの世界の日常的なもの、一般人の生活、ざっくりとした情報を語る中で、
自分が音楽家だか墓守だかと誤解されていることに気付いて「!?」ってなっとく。
佐倉 光
「いや……なんていうか。情報を操る? なんというか。
俺達の世界にもそのインターネットとかで悪さするヤツとかいるんで、そいつを叩きのめ……こらしめる仕事したり……ですかね。
残念ながら今は道具がなくて働けないですけど」
早浪
彼女は真剣な眼で、一つ一つあなたの語る情報に耳を傾ける。
早浪
あなたの語る「日常」の中に見える機械や道具、見知らぬ概念、世界を飛び交う情報の多さと素早さに驚愕する。
早浪
「鉄の車が空を飛ぶというのか? 鳥の翼ではなく魚の鰭のような、そんな翼で?」
早浪
「雷が機械を動かし、都を照らすだと?
何十人もの人間、何百もの馬に相当する力を出す機械がある……」
早浪
「情報が一夜で千里を駆け、遥か西の情報が手に入り、一般の民も都と都を超えて話をするだと……」
早浪
聞き終わる頃には、凛々しく引き結ばれていた口はぽかんと開いていた。
早浪
「驚いた……、驚いたでいいのか? 
仙者とて妖魅とて、想像するまいと思える夢物語だ」
佐倉 光
俺もあっちの話が聞きたいんだけど、引っかかる言葉が多すぎて全然あっちの話に行けねぇな。
佐倉 光
ま、面白いからいいけど。
佐倉 光
「それがどうして動くとか飛ぶとか、殆どの人が理解せずに使ってるんです。
ある意味怖いでしょ? 面白いですよね」
佐倉 光
「正直技術が人間のキャパ……人間が扱ったり把握できるところ越えてて、人間に悪影響を与えてるとこはあると思うな。
だけど一度そういう方向に行っちゃうと技術って止まらないものですからね」
早浪
「君の世にあるようなものがあれば、龍の獄炎にだって人は立ち向かえたろうし、獣の呪いとて癒やす術を見つけていたのだろうな……」
彼女は拳を握る。微かに骨の音が鳴った。
佐倉 光
「龍の獄炎に獣の呪いかー。そういうのは難しいかも。
そういうのが『ある』という前提で、限定的な状況で防いだりすることはもしかしたら可能かもしれないけど、そういうのって大体突発事象だし……
結局は悪魔……妖魅の力を借りて対抗するのが一番ってことになるかなー」

早浪
「そうか、君は情報を操るのか。
私達の世であれば、国の臣がするような仕事の一端を担っているのだな」

早浪
「……君は蘇生の魔法、と言った。
もしや、魔術妖術のたぐいも、その情報によって一般大衆に知れ渡り、皆が共有するものとなっているのか?

ならば、私が死んだと聞いても君の肝が座っているのも、納得が行く」
佐倉 光
「蘇生は、一般的と言えば一般的だけど、そんな便利な物じゃないですよ。
肉体がどう動いているかっていう原理に基づいて技術や薬品で蘇生させるのは、専門知識や道具が絶対必要ですし、肉体の損傷具合で全然変わってくる。
悪魔の力や魔法は存在するし、人間の技術よりは少しは役立つけど、それだって完全に失われた者を呼び戻すのは無理だ。第一そういうものを使うにはある意味医療の技術よりも専門的な知識やえげつない代償がいる」
佐倉 光
「ハヤミさんの傷の場合、心臓やられてますよね。それも一発じゃないから大分中身壊れてるだろうし、直後に《サマリカーム》を使えばギリ……かな。そんな魔法、かなりの……神クラスの上位悪魔じゃないと。
人間がどうこうするのはだいぶ難しいと思うな」

佐倉 光
「僕、よく巻き込まれるものだから、いきおいそういう事象にちょっと詳しいだけですけど……」
つい話しすぎて慌ててただのオタクを装う。
早浪
「何がどうなっているかも、分からぬまま……、か。
聞けば聞くほど、妖術のようだな。

君の話を聞いていると、妖術すら技術……、思考の追いつくものとして扱っているように聞こえる。
扱うように扱えば、扱ったなりに扱えるものとしてな。

君の話は正直な所、半分も分からないが……、それでも私達とは、考えの組み立て方からして異なるように思うよ。

生死の限界、空の続く果てすら、その思考で分かるのだ、と言っているように聞こえる」

色も分からない程に暗い室内でも、彼女の眼はあなたの正体を見抜いているように見えた。
あなたが空想ではなく、事実、悪魔を扱う者であることを。
早浪
「その上で、万能なものはないのだな。
そして、私は恐らく、生きてはいない」

彼女は胸に手を当て、深く、大きく息を吐く。
どこか清々しい諦めの息。
佐倉 光
「そ、それより、ハヤミさんのほうの話も聞きたいです」
早浪
「そうだな。君の話に比べれば退屈だろうが、どこから話そうか。

戦ばかりしている国々のことか。
その中でも、ある慈悲深き王の手で、しばし平穏を謳歌していた国のことか。
蘇生の魔術も千里を駆ける情報も雷の馬もないが、耕せる範囲を穏やかに暮らしていた民たちのことか」
佐倉 光
「異世界のことが退屈なんてこたないですよ。
そうだなまずは、騎士の仕事について」
早浪
「外敵から民を守ること、だけではないな。平時でも仕事は多い。
そうだな、まずは治安の維持だ。騎士が街を見回り、賊を罰し、あやしげな商売をする連中を追い払い、困っている民を助けなければ、都は見る間に荒れ果てる。
その我々の姿が、平穏に生きる民たちから怯えを除く」

佐倉 光
「へぇー、山岳の暮らしなんかは割と昔の日本と似てますよ。文明開化前か、そのあたりって感じかなぁ」
佐倉 光
「やっぱ農業メインなんですかね。地形とかどうなっているんだろう、日本こっちとワンチャン似てるのかな」
佐倉 光
「山九つかー、日本アルプスとかそのへんなら……でも大分気候が違うな」
早浪
「山が多く、その合間に集落を作って人々は住む。
山に囲まれた平たい土地があれば、そこに都が生まれて栄える。
海や川に沿う土地は、交易の場として栄える。
話を聞くに、土地のつくりは近いような気がするな」

佐倉 光
「メインは刀なんですか。で、銃もあるんだ。明治とかその辺っぽいなぁ」
早浪
「ああ、そうだ。鉄砲もあったが、主には剣を頼りにしていたな」

佐倉 光
「機械とかない感じかな。機織り機の機械化とかどーです? こっちだとそのへんから急激に発展しましたけど……そもそも養蚕はやってるのかな」
早浪
「機織りの機械はあったが、君が言うような大規模なものはないな。
数人規模の機織り小屋があった程度だ」

佐倉 光
「王っていつからいるんです? こっちだと早々に王って呼び名じゃなくなったり、現人神が国の偉い人だったりで……僕はあまり歴史詳しくないんだよな。このへん、牧志や波照間さんならもっと上手く説明できると思うんだけど」
早浪
「王か……。いつからそう呼ばれていたのか、我々の国の外でもそう呼ぶのかは、よく知らないな。
王は先代から王だったし、次代も王なのだろうと、そう思っていたよ」

彼女の語る内容は懐かしそうで、どこか過去形の響きを伴っていた。
離れたというだけではなく、今はもうないものを語るような。
佐倉 光
「その国、今は……というか、ハヤミさんが知っている感じではもうなかったりするんですか」
佐倉 光
「呪いとか、不死とか、妖魅とか言ってましたよね。
もしかしてそういったものに襲われたとか?」
早浪
「ああ……、そうか。口調に出てしまったか」
彼女は、はた、と口に手を当てた。
早浪
「なくなったわけではないんだ。
ただ、荒れ果てて様変わりしてしまった。
そして、炎に焼かれて多くの民が死んだ。
その後滅びたのか再興したのかは、私は知らないんだ。死んでしまったからな」
佐倉 光
「そうですか……」
彼女の口調から、平和な時代の国を愛していたことは伝わってきていた。
早浪
「くだらぬ原因さ。ただ一人の女のせいだ。
あの女は今思えば、妖魅の類だったのかもしれないが……、それも、分からないままだ」
佐倉 光
「たった一人が国を傾ける、なんてのは歴史だとたまにある話だけど、妖魅の類となると。
狐が化けてたなんて話もたまにあるなぁ。
そのひと、何やったんです?
あ、言いたくなければ……いいですけど」
早浪
「いや、いい……という言い方は卑怯だな。
聞けと言わんばかりだ。
むしろ、語っても構わないか? いい加減、抱えておくのにも飽いてしまった」
佐倉 光
「目茶苦茶聞きたいのでお願いします」
早浪
「そうか、ありがとう。
……本当なら茶でも用意したい所だが、ここはどうにも気の利かない牢だな」
彼女は茶を差し出す手振りだけをし、微かに笑った。
早浪
「発端は、王が随分年下の女を娶ったことだった。
その女は民に税を課してあらゆる贅を尽くし、騎士たちを己の召使のように使い、世の果てからあらゆる珍物奇物を集めさせた。

そうすればどうなるか?
召使にされた騎士たちは街を見回ることもままならなくなり、都には白昼から賊が出没するようになった。弱り果て食い詰めた民の弱みを狙って、あやしげな商売をするものどもが現われるようになった。

あとは転げ落ちるばかりさ。
都がどこまで荒れ果てようと、あの女は騎士たちを傅かせることをやめなかった。
その扱いに抗おうとした者、国のために反旗を翻そうとした者は、みないつの間にか消えていた。

……これは、後で分かったことなのだがね。
あの女は妖術を使って王の心をとらえ、騎士の心を翻らせ、叶わねば闇に葬っていたようなのだよ」

さらりと言った口の端が歪む。深い憎悪と後悔が滲んだ。
彼女もまた、そうして傅かされていたのだろう。
佐倉 光
そういう話、知ってる。九尾とか妲己とかいうやつだ。
佐倉 光
「それは……なんというか災難でしたね。
そっちには悪魔退治を生業とする職業の人なんかはいなかったのか、それともそういう人たちも排除されてしまったのかな」
魅了系か呪術系か、そういうたちの悪い奴だったんだろうなぁ。
早浪
「そうだな、そういう者がいればよかったのだろう。
君のように知があり、妖術なるものを正しく知る者がいればよかった」
佐倉 光
あー。割とバレてる感じだな。まあいいか。
どっちにしろ協力しなきゃいけなさそうだし。
佐倉 光
「なんか、つらい話みたいですみません」
早浪
「いや、構わない。話したがったのは私だ」

佐倉 光
どのへんでスイッチ押そうかなー。
氷凪さんについて聞く前がいいかな? 聞いてからの方がいいかなー。
KP
ざっとそれからの経緯を話すけど、でも氷凪さんについては詳しく語っていない段階くらい?
佐倉 光
具体的に相手の「大切な存在」が見えないところでやった方が楽しそうですね。
KP
そうそう。でも早浪さんの経緯は軽く知っているくらいが楽しいかなって。
幻で見たものが何なのかは分かってしまうくらい。

佐倉 光
「しかし国を守る騎士が銃で撃たれて……ってのは。結局内乱でも起きたんですか?」
早浪
「……この話には、もう少し続きがあるんだ。
愛する国を荒れ果てさせた女と己の無力を憎むも、一太刀も叶わず妖術の餌食となった騎士の、それからの話さ」
佐倉 光
「妖術の、餌食?」
洗脳……とかだろうか?
早浪
「女は妖術を使い、騎士を狼に変えたんだ。
昼は人の姿、夜は獣の姿さ。
そうしてありもしない罪を押しつけて、ありもしない龍の心臓を取るように命じて放逐した。

そこからはまた、詳しく話せば長い話さ。
龍は古き昔に龍王へと心臓を捧げ、死なずの存在となっていた。
私はその龍のひとりと知り合い、彼がそれからの命と引き換えに、心臓を取り戻し大龍と成るのを手伝った……。

ああ、都を焼いたのは彼ではないよ。
彼はむしろ、人を恨み都を焼いた龍を止めようとしてくれたのだからね。

それでも最後には、私もろとも化け物として討たれてしまったんだ。
それが、顛末さ」
佐倉 光
「お……おう」
まるっきりドファンタジーのゲームか漫画みたいな話だ。
しかし話す人の真剣味と体の傷がそれを真実だと語っていた。
佐倉 光
「力を得るために命を捨てちゃったのか。勿体ないコトするなぁ。
死なないなんて羨ましい、というか人類の夢じゃないか」
不死を求めてどれだけの人間が水銀飲んだことか。
早浪
「そうか、君もそう思うか。
彼らのような目に遭ったなら、意見が変わるかもしれないな」
その時だけ、彼女は微かに嘆息した。
佐倉 光
限りある命だからこそ大事にできる、とかいうお約束のヤツだろうか。
佐倉 光
「人間いつ死ぬか分からないし、知りたいことに対して寿命って短すぎるから」
早浪
「そうだな、彼らもそう言える身の上なら……、いや、やめよう。
それを引き換えにしようと、為したい事があったんだ」
佐倉 光
「ふーん。命より大事なことか。そうそうないものだと思うけどな」
佐倉 光
「あるいみハヤミさんも僕と同じく、境界に立つ人ってことですね。
あと人間の味方をしてくれる龍か……」
佐倉 光
「誤解してたら申し訳ないんですけど、ハヤミさんって……人狼? ウェアウルフ? ってことですか」
早浪
「そうだ。人狼、そう呼ばれていたな。
そういえば獣の姿に変じていない。
死んだからなのか、あるいは今は昼なのかな」
佐倉 光
「驚いたな。全然そういう風に見えない……ですけど」
早浪
「昼の間はどうにか、な」
佐倉 光
「しかしそれじゃあバッドエンドだな。その国がその後どうなったのか是非知りたいところだけど。
もし時代が違うだけなら、こっちで調べることができるかもしれないけど、そうじゃないっぽいしなぁ。
意外とこっちの未来がそっちだったりして」
早浪
「君達の未来が私達の世? 
……だとすれば、君達が語るような技術は滅んでしまった、ということかな。
物悲しいような、私達にとっては夢のあるような話だな。

……ああ。私も知りたかった。
せめてあの都がどうなったのか、あの女がどうなったのか、それだけでも知りたかったものだ」
彼女は無意識にか、また拳を強く握っていた。
佐倉 光
それからも暫く話しているが、空腹や喉の渇きはあるだろうか。
KP
空腹や喉の渇きについて考えるなら、それなりの時間を話に費やしていたにも関わらず、それらを感じないと気づくだろう。
あなた達の身を襲う異変のせいだろうか。
それとも……、やはり、あなたは死んでいたり、あるいは以前のように、生死の境を彷徨っていたりするのだろうか?
それで、死んだ人間と出会っているのだろうか?
佐倉 光
「ハヤミさん、お腹すいてませんか」
早浪
「腹? いや、特には」
佐倉 光
「そっかー。僕もです。
喉も渇かないし眠くもならないや。随分話したと思うんだけどな」
佐倉 光
「正直、ここがホテルの一室だったり喫茶店だったらしたら、いくらでも聞きたい所なんですけどね。
状況が分からない以上、のんびりしているだけというわけにも行かないかな。
あまり家を空けると相棒が心配するし」
時間にしてもう半日か、ヘタしたら一日は喋っていた気がする。
もしリアルでそんなに時間が経っていたら、牧志がさぞ慌てているだろう。
佐倉 光
異世界の女騎士とお喋りしてて遅くなりました、なんて言えるか。
早浪
「そうか。
確かに、死人の昔語りにずっと君を付き合わせている訳にもいかないな。
それでは、悪霊のようなものだ」
佐倉 光
「時間かけても状況が変わらないとすると、いよいよこれ押さなきゃならないかな」
心底嫌そうにため息をついてリモコンを振る。
これ以外に状況に働きかけるものはなさそうだ。
早浪
「それを押すと何かが起こる、というのだな」
彼女はすっかり寛いでいた姿勢から立ち上がり、モニターに向かって素手で身構えた。
本編見る!
佐倉 光
俺の勘じゃあこのリモコンは碌でもない状況を招くものだ。
覚悟を決めとかないと。
KP
ボタンを押す?
佐倉 光
押します!

KP
あ、そうだ。
ここから〈目星〉情報の扱い、自分の大事な人を選んだ時の描写の有無、拘束の発生タイミングについて、以下の理由で一周目の処理と同じ処理を使わせて頂こうと思います。

 ・情報の不均衡(片方だけ情報を入手する)がありうると「情報を相手に渡すか」の判断/葛藤ネタが増えて楽しい
 ・シナリオ標準では、PCがAを選び続けるとPC視点の描写がほとんどなくなってしまう&単純に描写いっぱいできた方が楽しい
 ・↑の処理にした場合、「実体験」の後で拘束が発生した方がドラマチック
佐倉 光
はーい! A描写もみたーい!
KP
そう! みたい! やりたい!
PCがなんにも見ずにひたすら拘束されるKPC見るだけだとね、描写量が完全にKPCメインになっちゃいますしね。みたい。
佐倉 光
たしかに! それは見たい見たいー
KP
自分の選択で自分達は助かったけどKPC達が超つらいめにあったよ、というのが際立ちますしね。逆もしかり。
2PLで相手もAを選び返してくるようなPCだとシナリオ標準でもそれなりにどっちもつらいめにあえるんですけど、片方がA、片方がBを選び続けるようだと本当に何も見ずに終わっちゃう。
1d15…… 何が出るんでしょうねぇ。どきどき。

KP
ボタンを押すと、モニターに表示された文字がじわりと赤く滲んで変化した。
モニターには不気味な言葉が浮かんだ。
佐倉 光
「ねじ曲げた回答……
大事な人と赤の他人選ぶ以外にいけるってことか?  ねじ曲げる……」
声に出して共有する。いつもの癖だ。
早浪
「頓知をもってどうにかしようとするな、ということか。
何故そんなことを言われなければならないのか分からないが」
あなたの癖に、牧志のものではない声が応えた。
佐倉 光
「……確かに。わざわざ『問題の答えはそれだけではない』と提示しているのか。
問題ってのがまだ出ていないようだから分からないけど」
KP
同時に、モニターの背後の壁から、微かにピピッ……、という電子音が鳴る。
バシュン、と空気の漏れるような音とともに、そこがスライドして開いた。
どうやら、そこには自動扉のようなものがあったらしい。

扉の向こうには、こちらと変わらず暗い空間が口を開けている。
早浪
彼女は空気の音に驚いて、びくりと肩を跳ねさせる。
佐倉 光
「お。
次の会場に行けってことかな」
リモコンを持ったまま次の部屋を覗き込む。
佐倉 光
「ネズミ捕りみたいで嫌だなぁー」
早浪
「驚いたな。ひとりでに開く扉だと? あの音、仕掛け扉なのか」
佐倉 光
「たぶん、このボタンを押すと連動して開く仕掛けだったんだと思います。
勝手に始まらないだけまだしもかな」
早浪
「紐も繋がっていないのに連動とは、これも君達の世の仕掛けか。
私は君達の世に来てしまったのか?」
佐倉 光
「そういえばそうだな、僕がそちらの世界に飛ばされたわけじゃなくて、早浪さんが僕の世界か、もしくは似たような所に来ているのか」
佐倉 光
「紐はないです。見えない情報が飛ぶんですよ、これを押すと」
しかし赤外線方式ではなさそうだな。
早浪
「情報……情報は宙を飛ぶものなのか」
ううむ、と唸ってリモコンをしげしげと見る。
早浪
「凄いものだが……、意のままに進めとは、気味が悪いな」

彼女は紐を探しているのか、リモコンの周囲を手で切っている。

KP
そういえば早浪さん人狼補正ついたままかな。
情報差という意味ではない方が面白いけど、人狼のまま死んだんだから普通にありそう。
佐倉 光
そのへんは好きにやっていいと思いますが。
氷凪も心臓あったりなかったりしたし。
KP
確かに。>あったりなかったり

佐倉 光
次の部屋の様子を見る。何がある?
KP
向こうの部屋は真っ暗だ。
明かりがないため、こちらからでは中の様子が分からない。
佐倉 光
では壁にくっついて、何か聞こえないか、気配がないかを探りながら次の部屋に足を踏み入れる。
早浪
彼女はあなたを庇うように、あなたの一歩前に出てともに室内へと入る。
佐倉 光
やはり騎士というだけあって頼もしいな。
KP
そうすると闇に慣れてきた眼が、部屋の中央に何か四角く薄いもの……、
恐らくはこちらと同じ形の、何も表示していないモニターがあると見つける。
早浪
「あれは……、こちらの明かりと同じ形のものか。
しかし、あれは光ってはいないのだな」
KP
辺りは静かなものだ。
何の物音もしなければ、気配もない。
佐倉 光
「モニターか。あれに指示が出るのかな」
佐倉 光
手元のリモコンを向けてポチッと押してみようとする。
KP
入り口からリモコンを押しても、何も起きないようだ。
モニターに近づく?
佐倉 光
ハヤミさんの背を視界に入れつつ壁を探り、何も無ければ仕方ないのでモニターに近づいて触れて調べようとする。
KP
壁を探ろうと二人が室内に両足を踏み入れると、背後でガチャリと音がした。
まるで扉などそこになかったかのように、ぴったりと壁は閉じている。

同時に、何も映し出していなかったモニターが、先程と同様の青白い光を宿す。
室内に声が響いた。
あなたには合成音声の類であろうと聞こえる、無機質な声だ。
KP
「回答者はモニターの前にお立ち下さい」
KP
二人はそれぞれ、1d15を振ること。
早浪
1d15 早浪の Sasa 1d15→6
佐倉 光
1d15 Sasa 1d15→5
早浪
「何者だ。看守か、どこにいる」
周囲を見回し、早浪が声を上げた。
佐倉 光
「人間の声じゃないですね。ただ文章を読み上げるだけの機械の声だと思います」
早浪
「機械が喋る、というのか」
佐倉 光
「ったく、また実験動物だよ。ざけんな」
背後の扉があったあたりに指を滑らせ、舌打ちをする。

コメント By.佐倉 光
牧志&氷凪とは違った味わいになりそうだったので、佐倉&早浪もやってみよう! ということになりました。
というわけでKP交代して2周目です。
2周目ってお互い先が分かるから、色々と盛られがちなんですよね!

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本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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