TRPGリプレイ【置】CoC『一蓮托生の紐の先』 佐倉&牧志 4

KP
今いるのは「被験体室」の前だ。
他にもいくつか「被験体室」が廊下沿いに並んでいる。

廊下の反対側には「実験室」がある。
「資料室」と「手術室」に入るには、「実験室」を経由する必要がある。

反対側へ回れば「居住スペース・倉庫」と「制御室」があるようだ。

というわけで、マップはこちらです。
地図
佐倉 光
すごい! 地図だ!
なんか懐かしい感じのやつだ。なんだろう。バックが黒しか選べなかった時代のPC感。
KP
位置関係がそんなに重要なシナリオではないのですが、せっかくだからマップ作ってみました。

ああー、確かに。>バックが黒しか
ウィザードリィ感するなと作ってて思いました。
draw.ioで作った結果です。
佐倉 光
ああー、佐倉の部屋にもドアあったのか。それとも食事の差し入れ口かな。
そうすると佐倉の部屋のドアからでたほうが良さそうね。
雰囲気が出ていいですね!  >地図
KP
あ、佐倉さんの部屋のドアは施錠されたままなので開きません。
ハッキングしようとしても別系統でハッキングできないので、制御室へ行かない限り開けられなさそう。
佐倉 光
ああ、そうか。そういえば。
KP
家具を入れてるってことはドアあるんですね。
ただ壁に完全に偽装されてて分からないし、見つけたとしても開かないし、もし家具搬入で開いた瞬間を狙っても鎖がついてちゃ出られないという感じです。
佐倉 光
そっかー。なるほど。
KP
たまに変な構造にしてしまって墓穴をほったり、位置関係を深読みされてしまってゴメン……!! ってなるやつ>マップ
佐倉 光
折角あるんだからそれっぽく動きたいよね!
KP
ですね!
佐倉 光
こんなに広いんだから実験室にはシャンタク鳥がいるに違いない! とかそういうw
KP
一応実験室が広いのには意味がありますフフフ。鳥はいないけど。
佐倉 光
ナンダロナー
そういえばこの施設に監視カメラってあるのかな。
制御室に行くまでにひっかかりそうなカメラがあるかどうか位は見ておかないと。
KP
おっと、そうだ大事なことを忘れていました。

KP
現在、廊下の前に人影はないようだ。
男が引いていたカートも廊下には見当たらない。
PCは持ち出すことができる。
監視カメラは対侵入者/脱走者設備の一部として存在する。
各部屋の扉の前にカメラがあるようだ。
牧志の部屋の前にも勿論カメラがあるが、あなたは既にネットワークを掌握している。
カメラを無力化することもできるし、他のカメラの映像を覗くこともできる。

出る前に扉の前のカメラを無力化したものとしてもよい。
佐倉 光
では、まずは全体のカメラを見て人がいないかをチェックしてから、扉の前のカメラに録画映像の繰り返しを流しつつ部屋を出る。
牧志 浩太
「……」
牧志はあなたの横に並ぶ。
歪んだ身体を引きずって、あなたと共に進む。

彼が一歩進む度に、背骨の軋む音がした。
鋭い鉤爪で床を掴み、長い尾で床を打ってようやく、重い肉体を前へと押し出す。
垂らした舌を胸の触腕に巻きつけ、涎を落としてしまうことをどうにか防いでいる。
眼窩の奥で燃える青い火は、何かしらあなたを認識していた。
佐倉 光
牧志の涎、佐倉の服の着替えを巻き付けるとかで防いだ方が動きやすければそうするかな。
牧志 浩太
そうするなら舌が安定し、牧志は少し動きやすくなったように見える。
涎が垂れてしまうこともなくなる。

布を巻きつけられてみちみちと蠢く舌は、見れば見るほど何かの軟体動物のようだ。
佐倉 光
可能なら被検体室の前を同じくカメラを誤魔化して通り、制御室を目指す。
KP
カメラを誤魔化すことは容易い。
廊下は、静かなものだった。

被験体室の前を通っても、何の物音も聞こえない。
地図を見れば、被験体室の壁だけ随分分厚いようだ。
その厚みが音を通さないのだろう。
佐倉 光
被検体室には何がいるか分かったもんじゃない。
今の牧志を『作る』のに使った素材がいるんだろうし、絶対鉢合わせしたくないな。
KP
今の所、制御室の前の廊下にも人の姿はないようだ。
室内にカメラはないため、室内に人がいるかどうかは分からない。
佐倉 光
ここを押さえれば勝ち。
そんな場所なら、警戒が厳重であってもおかしくないのだが。
大体牧志の部屋が開放されているんだ、俺が生きているのはともかく、牧志が外に出る事くらいは想定されているはず。
その割には……
佐倉 光
『警戒緩すぎねぇか?』

とりあえず〈聞き耳〉立ててなにもなければ扉に手をかける。
牧志 浩太
牧志があなたの傍らで小さく頷く。
彼もそう思うようで、疑問のような感情がちらちらと流れてくる。
KP
〈聞き耳〉を立てるなら〈聞き耳〉で判定。

牧志は通常の聴覚が使えないため、〈聞き耳〉は使えないが、代わりに向こうに人間または人間のように行動する存在が居る場合、巻き鬚で扉に触れることによって〈心理学〉で気配を感じ取ることができる。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 64→成功
KP
1d100 77〈心理学〉 Sasa 1d100→ 74→成功
KP
どちらも気づく。室内に誰かいる。
少なくとも人間のように行動する何かがいる。
人数まではわからないが、大人数には思えない。
牧志 浩太
扉から巻き鬚を離し、牧志が頭部をこちらに向けて頷く。
糸のように張った緊張が彼の身体から感じ取れた。
佐倉 光
メモ。行動を起こす前に巨獣居住スペースをロックするのを忘れない。
巨獣スペースってなに。そんなのロックするよ怖すぎだ。
迷うなー。急襲した方がいい気もするんだけど、わけも分からないまま拉致する方法があるわけだしなー。相手人間かも分からないしー。
成長
佐倉 光
そういえば、随分長期になったせいで牧志も佐倉もシナリオ中で出てくる技能に思い切り偏った成長しているので、1シナリオに1回くらい幕間成長のダイスロールしてもいいかなと思うんですがいかがでしょ。

もちろんシナリオが1日後に発生していたり、狂気に陥っていたりするとその他の技能伸ばす経験どころじゃないので状況次第ですが。

本来のルール(2010-P147)だと1シナリオ開始時に好きな技能5個チャレンジ1D10成長になっているけど、ここの二人のペースでそれやるとひどいことになるので、
・1シナリオ1技能のみ選択
・伸びた理由の説明は必要
不定中は制限あり
・成長ダイスは1D10じゃなくて1D5
佐倉 光
とかで。
牧志君の〈機械修理〉いつまでも伸びないじゃない! と思ったので。

不定の制限は、
視覚異常のPCが〈目星〉伸びるの変じゃない? とかその程度のヤツで。

成長ロールは5回やるけど1D2成長、なんかでもいいかなとは思う。
KP
確かに、それは気になってました。>シナリオ登場技能しか伸びない

1d2×5回だと結構コンスタントに伸びそうだし、ペースを考えると1回で1d5くらいがちょうどいい気がします。
佐倉 光
延々積むと同じような能力値になってしまうんですよね。じゃあ1回1d5でやってみましょうか。
KP
だいたい〈目星〉ばっかり伸びてきちゃうという。
ですね、今回のあとくらいからぜひぜひ。
佐倉 光
正直通常成長1D10もこのペースだと伸びすぎ感はあるけど、結果的に高頻度になっちゃったのでもう今更だ!
KP
それはちょっとある!
異様でそれはそれで楽しいからよしということで……。

佐倉 光
一刻も早くここを制圧したい。
だが中にいるのは普通の人間ではない可能性があり、武器を持っている可能性もある。二人がかりでも勝てるかどうか。
しかし実験室に行ったところで武器がある保証はないし、時間をかければかけるほどこちらが不利だ。
佐倉 光
『イチかバチか、突っ込むしかないな』
佐倉 光
先に牧志に入ってもらって、何とか外におびき出して、入れ替わりで入るとかできないかな……
牧志がうろついているのは想定範囲内だもんな、『佐倉は死んだ』わけだし。
KP
なるほど、牧志とは意志疎通ができているので、それも可能。
牧志は上半身が大きいので、彼の背後に隠れながら中の様子を窺うこともできる。
佐倉 光
じゃあそれで。
牧志が襲うのは多分予想されている事だろうから、こっちが牧志の後ろに隠れて中にいる奴の武器を奪うなり足引っかけるなりしよう。
佐倉 光
ドアノブをひねるのは俺。(牧志の手だと開けづらそうだから)
開いたら牧志の後ろに隠れて中の様子を見る。
大まかな流れを牧志に伝えよう。
牧志が理解してくれたようなら居住施設の鍵をロックして、始めよう。
牧志 浩太
牧志に意図を伝えれば、彼は小さく頷いた。
彼は巻いていたあなたの着替えを外す。涎を吸った着替えが、ぼたりと床に落ちた。
KP
居住スペースの鍵が、そっと音もなく閉じられた。
牧志 浩太
あなたがノブをひねろうと手をかけると、内側から突然扉が開く。
彼は一度たたらを踏みながら、あなたを背後に隠そうと前に進み出る。
佐倉 光
手を引っ込めて牧志の後ろに下がって息を潜める。
KP
「やあ、よく来たね。
どうしてここに来たのか、教えてくれるかな?」

そこにいたのは、あの男だった。

所狭しと機器が並ぶ室内は明るく、白い灯りの中にそれらのランプが煌めくさまは、真昼に星を散らしたかのようだ。

それらの機器はすべて中央に置かれた椅子に向けられ、椅子に座った男は牧志を見て楽しそうに笑った。
牧志 浩太
「……」
牧志はじっと男を見据えた。獣が間合いを測るように。
KP
「そうか、もう、こちらの世界は見えないか。
おや、電極の信号がないね。鎖もちぎってしまったか。

今頃佐倉くんは君の腹の中かな? あんなに大きいものを食べるのは大変だっただろう、胃袋が困っていないか後で聞こうか。
首輪、飲んじゃっていないよね?」

喋るというよりは独り言に近いのだろう、男は化け物を目の前にしても怯むことなく楽しそうに話す。
佐倉 光
くそ、こいつがいるのか。こいつは得体が知れない……
相棒を食った化け物が次に願う事は、自分の体を取り戻す事と逃げ出す事、だろうか。
酷い事をしたヤツを叩きのめすこと。それこそやってやりたいが、それは一番予想されていることだろう。
佐倉 光
『出口を開けてくれ、と意思表示をしてみてくれ』
牧志 浩太
牧志があなたの意思に応え、意思を形にしようとする。
しかし、男が先に動いた。
KP
「おっと、話は向こうで聞こうかな。
君の脳にも直接聞いてみたいんだ。いいだろう?」

男が素早く手元のパネルを押し込んだ。
バチン、と音がして、天井と側方から強い光が降り注ぐ。
牧志 浩太
四方から光に囲まれた牧志は、びくりと身体を震わせた。
眼窩の中で燃える火が消えた。光を拒んで手足がうずくまる。
牧志 浩太
「……、」
彼自身にも何が起きているか分からないようだった。
何も見えない真っ白な視界のイメージが吹きつける。

化け物は強い光を嫌うようだった。
彼の肉体は、辛うじて自らの身体が作り出す影の中から動けなくなっていた。
KP
佐倉さん、〈目星〉で判定!
佐倉 光
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 22→成功
佐倉 光
そういう方法……!
牧志を無力化する方法がないはずがなかったが、まさかそんな簡単な!

必死で目をこらす。
KP
……男のそばに、対侵入者用設備の銃口が見えた。
侵入者を捕らえるための麻痺銃だ。
思えば、制御室にそのような設備がないはずはない。

男の口振りからして、男はあなたが死んだと思っているらしい。
死んだと思っているのならば、まだ、あなたがここの設備を掌握していることに、気づいていないに違いない。
KP
牧志は動けなくなっている。
ここで動けるのは、あなたしかいない。

牧志の身体を衝立に逃げるか、……それとも?
解釈違い
佐倉 光
見ると同時に影から飛び出して銃を取る。
KP
あっ、描写不足。
手持ちではなく壁に固定されてて好きな方向に向けられるタイプです。失礼しました。
佐倉 光
お? そうすると中に入って操作しないと駄目なヤツかな?
制御室は改めてハッキングが必要なのか、手元で操作可能なのか
KP
遠隔制御可能なので、持ってきたPC使えば手元で操作できます。
いろいろ描写が足りてなくて失礼しました。
佐倉 光
ああー、よしよし。それなら可能だ!
では改めて!

佐倉 光
制御室の対侵入者用設備のコントロールに入る。銃口を男の方へ向け、作動!
KP
突然作動した装置に、男は不思議そうに振り返る。
目の前の銃口を見て、初めて、間の抜けたような驚きの表情を浮かべる。
KP
「あれ? 誤作動……」
男はすぐ横の緊急停止パネルに掌を押し当てる。
しかし電撃の放たれる方が速かった。

激しい放電音と共に、青白い鞭が迸り一瞬視界を白く染めた。
視界が晴れると、椅子の上に男の姿がない。

男は椅子から落ちて、痙攣を繰り返していた。
佐倉 光
男がさっき押した明かりのパネルを探してもう一度押す。
怖かった!
佐倉 光
よかった、【DEX】勝負しなきゃならないのかと思った。
KP
それも考えたんですが完全な不意打ちなので、男が対抗するの佐倉さんの行動速度じゃなくて電気銃の発射速度だよなって。
佐倉 光
置いてある銃かと思ったので。いくら不意打ちでも牧志の後ろから出て部屋に入って手を伸ばすんじゃ、いくらなんでも気付かれるし間に合わないよなぁと思いました!
KP
ですよな! 描写不足失礼しました!

KP
あなたは男の横を通り過ぎてパネルを押す。
男は動けずとも意識はあるのか、眼球だけを上向けてあなたを不思議そうに見上げた。
牧志 浩太
ライトの光が消え、部屋の照明だけの状態に戻る。
牧志が喘ぐように、潰れた鼻で浅く息をした。
手足を慣らしながら身を起こす。
眼窩には再び火が灯り、光への恐怖とあなたへの感謝を伝えてきた。
KP
対侵入者用設備の発動を検知したのか、居住スペースの方が俄かに騒がしくなっている。
しかしあなたが鍵を閉めたせいで、中にいる者は出ることができないようだ。
佐倉 光
『手伝って!』
すぐさま自分たちがいた部屋の、牧志がいた部屋をクローズに、自分がいた部屋をオープンにする。
男を引きずって自分がいた部屋の扉へポイと投げるアクション。
こいつにあの部屋から出る力があったら? そんなのはもう積み! そうなら諦める!
牧志 浩太
「!」
牧志は長い舌で動けない男の身体を巻き取り、胸に押しつけて触腕で支える。
尾で床を叩きながら鉤爪で床を掴み、彼なりに急いで廊下を進んでいく。
牧志 浩太
開いた扉を見つけると、象か何かがそうするように、忌々しい部屋の中へと舌でぽいと放り投げた。
佐倉 光
『ナイス牧志!』
KP
隔壁が閉じる、あの音がした。
制御室の椅子からなら、あなたはあの扉を操れる。
今度こそ、他のものも、何もかも全てだ。

男の眼球は投げ飛ばされる直前まで、不思議そうな色をこちらに向けていた。
佐倉 光
扉が閉まると同時に扉をロックする。ついでに二部屋を隔てる壁も閉めておこう。出口に通じる道は少ない方がいい。
全ての扉がロックされていることを再確認してその場に思わず座り込んでため息をつく。
佐倉 光
『……よし。見える範囲の敵は片付いた』

佐倉 光
居住施設に、内側からは操作できないロック機構があるってのがなんか闇深い施設だな。
そこに俺達の荷物がある可能性ッッ! もうどうしようもない!(「倉庫」から目を逸らす)
あーでもこの調子なら居住区内を電撃銃で一掃する設備なんかもあったり……?
KP
一掃できるかどうかはともかく、改めてPCの画面を見ればどこに設備があるかは分かるかも。

佐倉 光
『光が弱点かー。盲点だったなそりゃあ。
俺を見殺しにして出たところで逃げられないじゃん』
佐倉 光
『マジでクソ野郎だな』
牧志 浩太
牧志が頭部を揺らしてうんうん、と大きく頷く。
怒りと安堵が同時に伝わってきた。
KP
相変わらず横は騒がしい。
聞き耳を立てずとも、何やら悪態をつく声が聞こえてくる。
しかし、扉を開けることはできないようだ。ひとまずは安心だろう。
佐倉 光
『よし、と』
まずは出口の確保。昇降室を開放する。
それから実験室、資料室、手術室の開放だ。それぞれの部屋の鍵は閉まっていた?
KP
制御室のパネルを操作すれば、昇降室の扉が解錠された。

昇降室の中にあるリフトは外からの通知を受けてここから遠隔操作するようになっているが、古典的な手段……、ボタンの上に何か置いておくといった手段を使えば、しばらく動いたままにしておくことができそうだ。

実験室の扉は開いていたらしい。手術室と資料室は閉まっていたが、ここで操作すれば開けられる。
佐倉 光
実験室……あいてるのか。誰かいる可能性があるな。
ではまずは鍵には触らずに実験室の様子を見に行く。
さっきと同じく、牧志に前に立って貰うか。
同じ手を喰らっては困るので、もしできるなら光を放つ装置などあるなら作動できないようにしておきたい。
とはいえ、あれかなー、居住区の騒ぎって結構施設内に聞こえちゃってる感じ?
KP
実験室の前まで来れば、居住スペースの騒ぎは小さく聞こえる程度だ。
しかし全く聞こえないということはなく、中に人がいれば、もしかすると聞こえているかもしれない。
佐倉 光
『実験室に誰かいるかも知れない。
先に奥の部屋の扉開けると身を隠されて奇襲される危険があるから、先に見に行きたい。
さっきと同じ手で頼む』
地図を指しながらゆっくり牧志に伝える。
牧志 浩太
牧志は見づらそうにしながら地図を覗き込む。緩やかに、大きく頷いた。
KP
光を放つ装置は実験室の中を照らすように一つあるが、制御室から操作すれば無効化できる。
制御室から確認すれば、実験室では他にも何か実験装置が動いているようだ。しかしその詳細は分からない。武器ではなさそうだが。
佐倉 光
バレているかも知れないが、踏み込んでみるしかないな。
これから大手術だ。ほんの少しの邪魔もされない状態で数時間確保すると考えれば、完全制圧しないと無理だ。

さっきと同じように、廊下に人がいないかを確認しながら実験室前に行く。
ドアノブはこちらで握って開ける。
……〈聞き耳〉、してみるか。
KP
聞き耳を立てるなら〈聞き耳〉で判定。

牧志は通常の聴覚が使えないため、〈聞き耳〉は使えないが、代わりに向こうに人間または人間のように行動する存在が居る場合、巻き鬚で扉に触れることによって〈心理学〉で気配を感じ取ることができる。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 57→成功
牧志 浩太
1d100 77〈心理学〉 Sasa 1d100→ 18→成功
牧志 浩太
牧志が緩やかに首を振った。
KP
扉の向こうからは虫の羽音に似た、ぶうんと低い機械の駆動音が聞こえてくるばかりで、人のいるような音はしない。
佐倉 光
扉を開ける!

KP
実験室の扉を開けて見えた光景は、実験室というよりも、広大な展覧会場のような印象を受けた。

室内は、あなたがいた部屋よりもずっと大きい。
白い灯りに照らされた机の上に、大小さまざまな透明の箱が整然と並べられている。

箱を捧げ持つ台座のように、箱の下に配置された何かの装置が、ぶうんと虫の羽音に似た低い音を立てていた。

箱の中に並べられた「展示物」の形をみとめてか、牧志がしゃくり上げるように舌を揺らした。
KP
それは人間の内臓だった。ここから見えるだけでも肝臓、腎臓、腸……、
それは人間のパーツだった。脚、皮膚、舌、歯、耳……

そして、見覚えのある薄茶色の眼球。
遠くの方に、見慣れた髪の色が微かに見える。

間違いない。
ここには牧志浩太という人間の中身が、あまさず丁寧に広げられ、並べられている。

牧志は《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》、佐倉さんは《SANチェック成功時減少 1D2失敗時減少 1D4+1》。
KP
……もう少し近づいて覗き込めば、それらの状態が分かるだろう。
牧志 浩太
1d100 38 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 36→成功
佐倉 光
1d100 57 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 73→失敗
佐倉 光
1d4 Sasa 1d4→1
佐倉 光
SAN 57 → 55
ショック受けてる場合じゃなかった。
KP
というわけで、実験室がでかい理由は牧志浩太展覧会してるからでした。劇中的にはそれこそもっとでかい化け物で実験したりもするからですが。
佐倉 光
なんなのこの執着ぅ
あいつ狂気で「牧志浩太への執着」でも引いたのー?
KP
偶然にもお食事時になってしまいすみませんッッ
佐倉 光
仕事が長引いて食事はまだまだ先だから問題ありませんわ♪
たったさっきココイチカレーの出前を頼んだトコですの。
ヤス描けないわ……
KP
それはそれでお疲れ様です……
佐倉 光
喉の奥をぐっとならし、近づく。
まだ生きているのか、これらは。
佐倉 光
「人を、ブロックか何かみたいに……っ!」
KP
近づいて箱を覗き込めば、……ああ。

あなたは気づきたかったことと、気づかなければよかったことに気づいてしまうだろう。

それは生きている。
それだけ千々に分けられ、標本のように箱の中に収められてなお、生きた色をし、蠕動し、脈動していた。

それは生きていた。
あなたは眼球を片方奪われた牧志の、あの苦悶の理由を知るだろう。
KP
眼球は悍ましい異界の光景を映し出すレンズの前に固定され、目を閉じることも叶わずに、目を背けたくなるものどもを見せられ続けていた。

両耳は異界の音を発し続ける器具を入れられ、耳を塞ぐことも叶わずに、外から聞くだけでも背筋の毛が逆立つような音を聞かされ続けていた。

より恐ろしいのは鼻の処遇だった。それは悪臭のする無数の蟲の巣にされていたのだ。人間の腐ったような匂いを放つ蟲どもが絶えず出入りしては、苦しげに鼻汁を流すそれの嗅覚と粘膜を責め苛み続けていた。

唇と舌は自らの腎臓を咥えさせられていた。赤く小さな臓物がまるで林檎でも咥えているようで、臓物に押しつけられた舌は自らの臓物の味をずっと味わわされているのだ。
KP
あらゆる感覚器があらゆるパーツが、箱の中であらゆる悍ましい責めを受けていた。
控えめに言っても、それは地獄の光景だった。
物言わぬままびくびくと蠢くそれらの苦悶を、箱に取りつけられたセンサーが無言で記録し続けているのだった。
KP
……二人とも、《SANチェック成功時減少 1D3+1失敗時減少 1D6+1》。
牧志 浩太
1d100 38 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 33→成功
1d3+1 Sasa 1d3+1→ 1+1→合計2
SAN 38 → 36
佐倉 光
1d100 55 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 50→成功
1d3+1 Sasa 1d3+1→ 3+1→合計4
SAN 55 → 51

佐倉 光
「なにこれ。はァ!?」
佐倉 光
「気持ち悪! 気持ち悪! 何だよこれ。牧志に恨みがあるのか!?」
牧志 浩太
「……、……! 、……!! ……」
牧志はその光景を目の当たりにして、わなわなと身を震わせた。
形にしがたい困惑と恐怖の感情が押し寄せる。
自らの肉体が閉じ込められた箱を探るように、恐る恐る箱の表面に触れる。
佐倉 光
箱を悍ましい物から遠ざける。止められる物は止める。
レンズは部屋の隅に投げ捨て、耳は器具から取り出す。
佐倉 光
鼻は、どうしたらいいんだ。いぶせばいいのか?

唇と舌は……素手で触るわけにはいかないので、処置するときに真っ先に何とかしよう。
KP
遠ざけようとして気づく。
レンズは箱に組み込まれているし、鼻を巣にした蟲どもは箱の中を這っている。
耳に突っ込まれた器具は箱に固定されているし、腎臓を咥えた唇と舌も箱の中だ。
箱の中から出さなくては、それらを苦悶から解放することはできそうにない。
KP
箱は開けるなら開きそうではあるが、あなたは嫌な予感を覚える。

それらはこの状態で生きてこそいるが、体から取り出されてこのように、みずみずしく生きたままでいる方が信じがたいのだ。

何も処置せずに取り出して、無事に済むのだろうか?
佐倉 光
それならこのままにしておくしかないな。資料の確認などが必要だろう。
佐倉 光
施錠された部屋に人がいるとは考えにくいから、牧志をその部屋に残して鍵を開けに行こう。
佐倉 光
『すげー嫌だと思うけど、一応見張ってて。
廊下に人が残ってる可能性があるからさ』
牧志 浩太
牧志は小さく頷いた。
責め苛まれる肉体の海の中、彼の背がぽつんと扉の傍に残された。
佐倉 光
継ぎ接ぎしなきゃならないワケだし、全部繋げたあとで《治癒》を使えばいいかなと思っている。
KP
こういう時に《治癒》は便利って、まさかこんな状況で活躍するとはってやつですね。
KP
手術室も資料室も、鍵は問題なく開けられる。
佐倉 光
鍵を開けたら、閉じている扉に変化がないことを確認して、足早に戻る。
まずは各部屋を開けて状態をざっと見よう。
KP
資料室は本棚で一杯だった。
ファイルに収められた資料、記録らしいものがぎっしりと詰まっている。
その間に、妙に古めかしい革張りの書物が混ざっているのが目を惹いた。
KP
手術室には、ずらりと磨かれた刃物が並べられていた。形さまざまな刃物、手術道具、縫合糸、何か管を備えた機械、それらに混じって呪術に使われそうな物品。
中央には巨大な処置台。

それらは、到底人間が作ったとは思えぬ、歪み捻じ曲がった形状の、理解しがたい機械や機材の群れに囲まれていた。
佐倉 光
〈目星〉とか必要ならする。必要なければ、牧志に手術室見て貰っている間に革張りの書物からチェックしよう。
KP
資料室の資料をチェックするなら〈図書館〉で判定。
手術室は判定なし。
佐倉 光
1d100 75 オフライン〈図書館〉 Sasa 1d100→ 9→成功
KP
その古めかしい書物は、奇妙にひび割れた革で装丁されていた。
書物のほとんどは奇妙な知能ある甲殻類や、人間と精神を交換する知的種族、機械技術の化身といった、人ならざる異界の知あるものらについての散文的な記述である。

それから光を嫌う巨大な空飛ぶ芋虫のことや、無数の蠢く巻き鬚を備えた生きもの、暗い洞窟に宿る鬼火のこと……。
佐倉 光
ムカつくことにどれもこれも記憶に新しい。
苛々とページをめくる。
KP
その中に一つ、気になる記述があった。
それは、手や腕や臓器などを別人のものと挿げ替えてしまうという、ある種の儀式についての記述だ。
あるいは、体の形を歪め変えてしまうという悍ましい呪文についての記述だ。
あるいは、個別の生命を持たないものに呪文をかけ、生命と意思に目覚めさせるという呪文の記述だ。

それらの記述は断片的であり、そのまま使う、といったことはできそうにない。

しかし、その書物が置かれていた横に、薄い冊子が添えられていた。
その冊子に書かれていたのは、特殊な機材と刃物、ある種の呪文を用いて、生き物の身体の一部を生きたまま肉体から切り離す方法。
そして、身体と接合する方法だ。

手術室にある機材と刃物を使えば、これを行使することができるだろう。
佐倉 光
正直……興味深い内容ではある。
こんなことができれば。
上手く使えれば。
悪魔合体をすることなく強靱な体を得られるんじゃないか?
どんな事に巻き込まれても生き残れる力が得られるんじゃないか?
佐倉 光
いや。
今は牧志を戻すのが先だ。
KP
また、大量の資料や記録の中に、最近触られた痕跡のあるものが数冊ある。
佐倉 光
最近触られた痕跡を辿る。
KP
最近触られた痕跡があったのは、以下の四冊だ。
 ・〈協力者〉について
 ・〈生贄〉について
 ・人間に寄生する生物について
 ・題のないメモ書き
佐倉 光
その本とさっきの革張りの表紙の本を持って部屋を出て、手術室で牧志と一緒に見よう。
そろそろ設備見るの終わってるだろうし、牧志自身のことだからな。

牧志と合流したら順に読んでみる。
牧志 浩太
牧志は手術室の刃物や道具をひとつひとつ手に取っては、じっと見ていた。
あなたが出てくる気配に気づいたらしく、尾を揺らめかせてこちらを振り向く。

KP
巨大な処置台は読書机としては十分すぎる程だ。
〈協力者〉について
我々のこの研究所は、本来彼ら協力者のものだ。
彼らはここを訪れては、我々の理解の遠く及ばない、いっそ魔法のように思える知識、技術、道具を授けてくれる。

我々は彼らから機材も、知識もただ甘受しながら好奇心に溺れている。
彼らは人の姿をしているが、きっと人間などではないのだろう。
我々の理解の及ぶ存在ではないのだ。

偶に思う。
この閉じられた檻の中で好奇に耽る我々こそが、彼らの観測対象、実験体、哀れなネズミではないのか?

もう長く陽の光を見ていない。
リーダーは現状に疑問を抱いていない。
こんな考えこそが、陽光恋しさのあまりに浮かぶ妄想かもしれない。

いや、きっとそうだろう。
ただの妄想に違いない。
我々は、観測対象なんかじゃない。

偶に思う。
もし、ここから我々が消えたら、どうなるのか?
彼ら協力者は、誰か新しい観測対象を見つけてきて、またここに放り込むのだろうか……。
KP
……そんな独白のような内容だった。
佐倉 光
『外からロックがかかる居住区……まるで檻だな』
佐倉 光
『だったらそんなマウスに捕まってた俺達は何なんだよ』
佐倉 光
『つーことは。あいつも人間だったのかな?
やだやだ、悪魔より人間の方が怖い案件だ。
悪魔使いになってからそういう事件、たまに遭遇するんだよなぁ……』
牧志に話しかける、というわけでもないのだが、嫌悪感のあまり呟かずにおれなかった。
牧志 浩太
「……、」
牧志の今の視界と感覚では、本から文字を読み取るのは難しいようだった。
枯れ枝の腕が繰り返しページの表面を撫でて、痛みを伴った困惑が流れてくる。

内容を伝えたければ、あなたが伝える必要がありそうだ。
佐倉 光
『ああ、読むの難しいか。
簡単に言うとだな……』
簡単なイメージを伝える。
ここにいる奴らもまた上位存在のモルモットであるのかも知れないと。
牧志 浩太
「……、」
牧志はしばらく、そのイメージを飲み下しているようだった。
あなたへの感謝とともに流れてくるのは、ひやりとした怒りと、どこに向けるべきか分からない痛みのような何かだった。
佐倉 光
『……気にすんな』
軽く背を…… 遠いな。腕でいいか。叩く。
牧志 浩太
「……、」
あなたへの感謝と、少し困ったような柔らかい感情。
鉤爪のついた腕は鱗に覆われ、太くしなやかな筋肉の感触をその下に伝えてきた。

佐倉 光
次は生贄について、か。牧志のことか……? いや、でも使われていないみたいだもんな。
〈生贄〉について
外で調査に当たる者から、面白い情報がもたらされた。

 極端に生贄適性の高い人間を発見。
 偶然によるものとは考えがたく、恐らくは意図的にそう作られたものと思われる。
 手段は不明。血筋か儀式?

 繰り返し外部存在からの干渉を受けた形跡があり、実際に何かとの契約が行われている。
 胸部に痕跡あり。

 詳しい調査を行った結果、体内に寄生生物の痕跡を確認。
 複数回に渡って寄生を受け生存したか、腹部に寄生状態に適応した細胞組織を発見。
 寄生生物の定着・繁殖に極めて向いている。
 
取得を検討する。
貴重な個体であるため、実験内容は詳しく検討する。
分割して異なる実験に用いるのがよいだろう。
KP
……そんな内容だ。
佐倉 光
案の定だ。勝手に増やされたりしなくて良かった。
佐倉 光
読めば読むほどムカついてくるな。
佐倉 光
『お前をタゲった理由が書いてある。大したことじゃないよ。興味があったら後で説明してやる』
牧志 浩太
「……、」
あなたが何かを黙ったことに、何となく感づいたらしい。
あなたを気遣うような、穏やかな感情が流れてくる。
終わりたくない!
KP
おおっと一時過ぎてる、ありがとうございました!
佐倉 光
ありがとうございました! 20分かー
KP
20分でした。気づいたらめっちゃ過ぎてた。
佐倉 光
通りで眠いと思った。
面白くて~
KP
わーいありがとうございます こういうタイミングだとうっかり一時過ぎてること忘れちゃう
佐倉 光
早く牧志を治してあげたくて~
先が気になるんですっっ。
KP
本も読めないみたいですしね今の牧志。本読めないの地味にショックだったっぽい。

佐倉 光
こっちは……すると……
「人間に寄生する生物について」を読む。
▽人間に寄生する生物について
様々な寄生生物についての覚書だ。
あなたも聞き覚えのあるような一般的な寄生虫から、あの悍ましい雛まで、記載は多岐に渡る。
佐倉 光
気持ち悪。
そういえば牧志には何度も何度も寄生生物が取り憑いているな。
さっきの資料でも、捕まったときも、耕されている、とか抜かしていた。
そもそもそういう風に作られた、とも。
それが腑に落ちてしまうことに吐き気がする。
KP
その中に印がつけられ、抜き出された一覧がある。
人間の体の部位とページ番号が羅列されたそれは、つい先日書き足されたように見える。
望むなら、それらについての記述を追うこともできるだろう。
佐倉 光
外すのにも必要だろうし、読むしかないな。
おそらくこれが牧志の体に入れられたものだろう。
▽右脇腹
光を嫌う。浸透圧を利用して動物の血液を啜る。
本来寄生生物ではない。環境を整えたことにより定着を確認。
▽腹腔
脆弱であり定着率が低い。
定着を確認。増殖に成功すれば定期的に採取。
▽舌裏
舌の裏に張りつき体液を吸う。
味覚、嗅覚への影響。
▽胸腺
免疫系を掌握。今後の部位入れ替えにおいて不適合の防止に重要。
(判読不能)の関与するある種の感染症に対する耐性を期待。
▽心臓、全身の血管
極めて微小。心臓の外壁に巣を形成し、全身の血流に乗って移動。
宿主の赤血球を捕食し擬態。酸素運搬能力の増強を見込む。

巣でしか繁殖できないため、巣を除けば体内の個体は寿命死。
KP
……そんな内容がつらつらと書かれている。
牧志 浩太
あなたがその本を読み終わったあたりで、牧志が手術室の隅を舌先で指した。
KP
そこには何かが箱に入れられている。
牧志のジャケットの裾や、あなたのパーカー、ベルトポーチなどが見えた。
あなた達の持ち物だ。あなたのPC含め一通り揃っているようだが、あなたのCOMPだけは無い。
佐倉 光
なるほど……意外と簡単に除けそうな奴もいる。
ちゃんとこれを確認して、悪影響が出ない順番や処置を考えて組み立てる必要があるな。基本は逆順でやればいいと思うんだが……
佐倉 光
まさか牧志でパズルをすることになるなんて。
佐倉 光
あれがどんな物か分かっている連中だってことか。
俺のことも知っていたようだしな。
佐倉 光
それでもハッキングについてバレなかったのは僥倖だったな。
佐倉 光
……まあ、これも観察され中って可能性もなくはないが。
もう牧志が元に戻れれば何でもいい。
KP
そういえば、牧志でパズルをする羽目になったのも二度目だ。
どうしてそうそう分けられないはずの人体がこうバラバラにされてしまうのだろうか。
牧志 浩太
あなたの複雑な思いを何となく感じ取ったのか、牧志の背中が困ったように笑ったような気がした。
佐倉 光
最後にメモをチェック。
▽題のないメモ書き

それは、内容からあの男が書いたらしいと思えた。

脳を金属の缶に入れて人間の視覚や聴覚を与えるのと、生きた肉体の中に入れて異界の感覚を与えるのと、どちらがより脳に変容を齎すだろうか?
感覚が意識を定義するか、意識が感覚を定義するか。
本能の起点とは。嗅覚と味覚を挿げ替えれば、本来の食性とは異なるものを喜んで口にするようになるのか?
臓器は記憶を持つか。
異界の入力を与え続けることによって、肉体は物理的適応を起こすか?

……といった記述の最後に、一言こうあった。

 あれの適応能力は素晴らしい。
 あれだけの処置をも受け入れた。
 早くも、この状況にすら適応しつつある。

 あの「素材」が、果たしてどこまで適応し柔軟性を示すのか、観測したい。
 誤って破壊せぬように、限界まで。
佐倉 光
興味。純粋な興味。知りたいと願う気持ち。
分かる。分かってしまう。
確かめたいと願う。実験をする。欲求を満たすために更に実験する。
自分にも通ずる物がある、と理解できる。
仮に自分と関係ないところでこの実験が行われて、資料だけが提供されたら、興味深く読めてしまったことだろう。
ただの知識『希有な実例』として。
医学はそうして発達してきた。
今も人間相手ではないとはいえそういった実験は行われている。
佐倉 光
知識を得たいと願う心は俺にもある。
だが、それとこれとは話が別だ。
友人の尊厳と自由が踏みにじられ、物のように扱われたこと。
彼自身であることを否定するような無惨な処置。
ことさら心を痛めつけるようにカスタムされた非道な全て。
それに自分が使われたこと。
佐倉 光
メモを丸めて叩きつけ、踏みつけた。
牧志 浩太
メモを叩きつける音に、牧志があなたを気遣うように覗いた。
眼窩の奥で燃える青い火が、もつれた巻き鬚が、何があったのかと問う。
佐倉 光
『何も。ちょっとムカついただけ』
言いながらぐりぐりと執拗にメモを踏みにじった。暫くそうやってから、拾い上げてゴミ箱に千切りながら放り込む。
こんなことをしていても意味がはない。気分を落ち着けてすべきことをしよう。
佐倉 光
二度ほど深呼吸。切り替えよう。

佐倉 光
『手順組み立てようぜ。やっぱり目から戻すべきなのかな。あの装置の安全な止め方からチェックしないとな』
佐倉 光
『つーか普通に考えて、視神経繋ぎ治すって無理ゲーだよな。どうしよう。
ある程度戻して《治療》するか……』
あの魔法は精根尽き果てる感じのヤツなのだ。
何度かに分けたとして全身戻しきるのに一体どれだけの時間かかることだろう。
その間に閉じ込めてる奴らが干からびるかも。
……まあそれはそれで自業自得だしいいけど。脱出してきたら面倒だしなぁ。
KP
装置の止め方については、先程の書物に併せて書かれていた。

台座から外してこちらへ持ってくることに差し支えはないが、箱から出したら速やかに接合の手順を踏みつつ、化け物から対応する部位を分離しなければならない。
佐倉 光
切除や接合は俺がガチでやらないと駄目なとこかな。
牧志ができる? それとも何か使えそうな道具とかあるかな。
KP
一見しただけでは用途すら測りがたい謎めいた機材と奇妙な形の刃物が、どうやらそれに用いるものらしい。
牧志 浩太
あなたがそれらを見ていると、牧志が刃物を掴んで頷いた。
分離については彼がやる、ということらしい。
ここには上半身を上げる台や鏡などもあり、作業に差し支えはなさそうだ。
KP
接合については、ここにある機材と手順を信用するほかないだろう。
どうやら切断面に機材の先を押しつけて呪文を唱えればよいらしく、針と糸で縫う必要はなさそうだ。
佐倉 光
呪文で接合か。安心なような不安なような。
佐倉 光
まあでも今までもそういう無茶をやらかす器材は色々見たしな……
心臓抉ったりくっつけたり、目玉抉ったりくっつけたり……
佐倉 光
便利すぎる道具を持っていると、人間の体がパーツに見えるのかな。
KP
もしかすればそういうことも……、あるのかもしれない。
この機材や道具も、〈協力者〉が与えたものなのだろう、きっと。

佐倉 光
とりあえず1手順ごとに誰が何をするか把握してから始めよう。
作業は分担して確実に行うぞ。
牧志が切断するなら同時に俺が箱から出す作業をして……って感じに。
牧志 浩太
あなたは牧志と十分に手順を打ち合わせてから、作業に入ることだろう。
牧志が送ってくるイメージのおかげで、むしろ言葉を介するよりもこういう打ち合わせはしやすいかもしれない。
▽データ的な処理
あなたは牧志の身体に人間の部位を戻し終えるまでに、呪文のコスト及び精神的負荷により、【POW】(一時的消費)・MPSANを消費する。

内臓や部位を戻す作業は一つ一つ行わなければならないが、簡便のため、コストの消費は大きく三回に分けて行うものとする。
この消費はあなたが行う。

▽2【POW】(一時的)・4MP・1d4+1 SAN ×3回

この正気度消費により、一時的狂気不定の狂気は発生する。
KP
コストでぼんぼこSANMPやPOWが減りますが、部位や内臓一つごとに何度も何度も呪文を行使しているコストを代表したものとお考え下さい。
佐倉 光
あ、正気度 リセット入ります?
あー、ここに入って喰らったチェックは微妙だな。
KP
この日の起床時でリセットですね。57だったはず。この日の佐倉さん《SANチェック》多いんだ。
佐倉 光
すると不定は変わらずだな。
変なの引いたらゴメンよ。
KP
まあうっかり心臓食べちゃっても何かしら入れるものはありそうですし。被験体室とかに。
佐倉 光
やだぁ
がんばるー。
▽説明
ここで何から先に戻すかは、自由に決定できます。
演出の粒度(細かい内臓戻すシーンは省略するとか)も自由に決めて頂くことができます。

特に案がなければ、頭部の外見や感覚器から戻すことになるでしょう。

▽何か残したいものがあったら残しても構いません。

佐倉 光
まずは感覚器だね。なにより拷問から解放したいところだ。
顔の器官は最後に取られているので、順番的にも丁度いいだろう。
感覚器一気に戻したら少し休憩しよう。
残したい物? 今のところないが!?
中の人的に残したいところがあるなら考えるw
KP
中の人的には特にないです大丈夫。
鉤爪とか寄生生物とか残したかったら残せるよというフリなだけです。

KP
まずは、最後に取られた頭部の感覚器と顔。
二つの眼球、二つの耳、一つの鼻。そして顔の皮膚と髪。

唇と舌については腎臓と一緒に入れられているため、もう少し後にした方がよさそうだ。

鼻を巣にしている蟲どもについて考えれば、牧志から舌先の細い所で舐め取るイメージが伝わってきた。
……食べるの?
佐倉 光
「お、おう、そっかぁ。
それで済むなら簡単でいい……かな」
牧志 浩太
牧志は、あの時に見た丸いものを抉るための刃物を枯れ枝の手に持ち、処置台の上であなたを待っていた。
佐倉 光
では、深呼吸して目が入った箱を台座から外して持って行く。
手順に従って箱を開ける。
KP
手順に従って箱を開けば、充血した眼球が間近に見えた。

普通なら手に取るようなものではない。しかしあなたはそれを手に取る。異界の光景から解放された瞳孔が大きく収縮した。

あなたの手の中に柔らかく儚い感触が、ある。
牧志 浩太
同時に牧志が己の眼窩へと、躊躇いなく鋭い刃を突っ込む。
アイスクリームをディッシャーでくり抜くように、丸く蟠る闇ごと青い火を抉り出した!
佐倉 光
手袋越しに伝わる目玉を四本の指でしっかり柔らかくホールドしつつ、その孔に突っ込みながら呪文を唱える。
何故だろう、なんだかスムーズだ。経験があるからか。
KP
じわりと眼球の輪郭が滲んだ、ように見えた。
それは一度見た光景に似ていた。
蠢く皮膚の中、真っ暗な眼窩の中で、眼球が吸いつくように眼窩に根を張っていく。

すかさず機材を向けると、機材の先端がほどけて眼球を包み込んだ。
接合している、のだ。どうやってかなど、目の前で見ていても全く分からないが。
牧志 浩太
一度、瞬きをする。
次に現れた眼球は牧志の視線を備えていた。

びくりと一度、彼の手が跳ねた。
伝わってくるイメージが、瞬く間に溢れ出す苦悶と痛みに満たされていく。
彼は思考の中で苦悶に叫びながら、刃物の先をもう一つの眼窩に向ける。

そうだ、眼はもう一つある。
佐倉 光
戻ってゆくのをじっくり見たいのはやまやまだが、重なる視界で作業にミスがあっては大変だ。
こちらも素早くもう片方の目を取りだして身構える。
牧志 浩太
もう一つの青い火が、先程より少し勢いよく抉り出された。
真っ暗な眼窩にもう一つの眼が填め込まれると、少しずつ苦悶の叫びが頭の中から退いていく。
佐倉 光
彼が目を閉じている間に、箱を医療用のゴミ箱に突っ込んだ。
牧志 浩太
少しの間、彼は目を閉じていた。
それからゆっくりと目を開き、ぱち、ぱちと数度、瞬きをした。

『……、ら……、さん』

見慣れた色の両の眼が、暗い眼窩の奥からあなたを、確かに視界の中心に捉えた。

『さくら……、さん』

頭の中で牧志の声が、辿々しくあなたを呼んだ。
佐倉 光
『見えるようになったんだな? 良かった』
佐倉 光
『どっちかっていうと、見えなくなって良かった、か』
牧志 浩太
『そうだな……、そう、かも。あれが、みえなくなった、よかった。
前まで、みてたものが、みえる』
牧志 浩太
あなたの頭の中に浮かぶ牧志の声が、焦点を合わせるように、少しずつ鮮明になっていく。
佐倉 光
目の前で手をヒラヒラさせて、「何本に見える?」ってアクションをしてみせる。
牧志 浩太
『五本……、で、あってる、よな?
ちょっと、自信が、ない。
久しぶりに、人間のもののみかたが、戻ってきたんだ……』
佐倉 光
『正解』
ピースをつくって手を引っ込める。
牧志 浩太
目の前の化け物の姿勢が、仕草が、僅かに変わった。
獣の姿勢をとっていた手足が、指先の動きが人間のそれに近づいた。

人間の感覚を取り戻した牧志が、化け物の身体の中で人間を取り戻そうとしていた。
佐倉 光
『よし。良かった』
牧志 浩太
よかった、と頭の中で呟いて、彼は舌先から息を吹いた。
佐倉 光
『あんまり急いで戻すと感覚や脳が混乱するかも知れないし、安定したの確かめながら戻していこう』
佐倉 光
『ちょっと時間がかかるけど。
仕方ないな、何日もかけて変えられたのを戻すんだし』
牧志 浩太
『そうだな、それがいいかも。
ごめん佐倉さん、手間をかけるな』
あなたとの会話で、牧志の『声』が急速に形を取り戻していく。
佐倉 光
『居住スペースの連中追い出して使えるようにしたいところだけど、色々面倒そうだし贅沢は言わないことにしよう』
佐倉 光
そういえば制御室から中の設備など調べられるんだっけ。
中の様子までは分からないかな。
KP
居住スペースの中にカメラはないが、すぐ横なので制御室から〈聞き耳〉を立てることはできる。
中にどんな設備があるかは、PCから設備情報を確認すれば分かるだろう。
佐倉 光
あとで休憩してからでも様子を見に行こう。

佐倉 光
次は耳だ。舌を先に戻してしまいたいところだけど、組み合わされている都合上無理だからな。
佐倉 光
『耳は……俺が切るしかないかな』
牧志 浩太
『いや、こっちに鏡を回せば、手を回して切れる。
髪がまだだから、間違って髪切っちゃう心配はないしな』
佐倉 光
『そうか……わかった』
では耳を二つとも持ってきて箱からの出し方を確認しよう。
牧志 浩太
牧志は髪を束ねるような仕草で、刃物を持った手を顔の横に回す。
蠢く巻き鬚を、尾の先で掻き上げて保持する。
……尾の扱いにも随分慣れてきている気がする。
佐倉 光
『ok始めよう』
牧志 浩太
『ああ』
牧志は『声』に出して頷く。
KP
箱から出された耳は、手に持つと微かに振動しているような気がした。錯覚かもしれない。
牧志 浩太
牧志が刃物を顔の横に当て、食い込ませると同時に巻き鬚に尾を絡めて強く引く。

彼の叫びがあなたの頭の中に轟いた。
ぽっかりと空いた空間に蝸牛状の器官を押し込んで接合すると、蠢く皮膚にそこだけ人間の色をした耳が癒着していく。

あなたの頭の中に木霊していたイメージと声が消え去り、久しぶりに、あなたの頭の中が、あなたの思考だけの状態になる。
牧志 浩太
「う、うう、うぁ、あぅ、うぅう」

長大な舌と唇のない口の合間から、不明瞭な肉声が漏れた。
頭を振って彼は呻く。内耳。戻ってきた人間の平衡感覚になかなか馴染めないようだ。
佐倉 光
今座っていないようなら体を支えて座って貰う。
一気に両方入れ替えて慣らした方がいいだろう。
牧志 浩太
あなたに身体を支えられ、斜めになっていた上体を大きく起こして座った状態になる。

人間の耳と眼球が黒く蠢く皮膚から生えている様は、人間が趣味の悪いゴムマスクか何かを被せられているようでもあった。
佐倉 光
「少し休むか?」
大きめの口パクをして呼びかけてみる。
佐倉 光
順番的に耳は後にすべきだっただろうか?
牧志 浩太
「うん、ううあう」
頷いて何か言おうとしたようだったが、出た声は不明瞭なものだった。
牧志 浩太
「あう?」
牧志 浩太
「あ……おうあ、ああう」
彼ははっと耳に触れ、舌で埋まって歪んだ口に触れた。

そこには唇がない。
耳を戻したためにあなたの頭に声を送ることができず、顔と唇がないせいで、うまく発声できないらしい。
牧志 浩太
「ううぅあ」
困ったように軽く、人間で言えば喉にあたる部位を押さえる。
佐倉 光
うーん。
いつかみたいにあいうえお表使うか。キーボード叩くのも大変そうだし。
KP
持ち物はCOMP以外一通り見つかっているので、五十音表を作ることはできる。
牧志 浩太
刃物を持ったりしている方の手であれば、キーボードを叩いたり筆記具を持つことも可能そうだ。
尾の先や胸の触腕で筆記具を持てるかどうかは、試してみないと分からない。
佐倉 光
では休んで貰っている間に50音表を作ろう。
佐倉 光
「猫事件を思い出すな」
佐倉 光
「続けられる?」
声をかける。声は聞こえているだろうか?
牧志 浩太
「あうああう」
こくこくと少しオーバーに頷く。
50音表ができれば、尾の先でだいじようぶ、と示す。
佐倉 光
「Ok、進めよう」
耳がまだ片方ならもう片方の耳。
順番的には次は皮や髪なんだけど、舌が邪魔だからなぁ。
一緒に入っている臓器を先に戻せるだろうか?
牧志 浩太
もう片方の耳も戻すと、逆にいよいよ異様さが増してきた。
KP
男がこの状態(耳は先に取られていたが)の牧志から、顔と髪を奪っていたことを思い出す。
確か果物でも剥くように、こめかみの辺りで上下に分割していたのだ。少し難しそうな作業だ。
KP
一緒に入れられている臓器を先に戻すなら、腹部を開く必要があるだろう。
佐倉 光
舌を戻さないと喋れないから早く戻してしまいたいな。
腹部、開けて今入っている臓器を戻しても大丈夫そうかな?
牧志 浩太
腹部を開けると提案するなら、牧志は手や尾を伸ばして様々な道具を近くに集め、準備を始める。

その中に牧志の血もあった。
幸いといっていいか血液だけは責め苛まれているようなことはなく、ひやりと冷たい瓶の中で揺れている。
KP
大きく切って一気に作業することもできるし、牧志の〈医学〉知識を頼って、腹部を小さく切り、その臓器だけを先に戻すこともできる。
佐倉 光
その周囲に危険な臓器とかないかな。そのへんも加味しての〈医学〉かな?
戻せるようなら戻そう。
ベロが出ていると作業にも邪魔だろうし。
KP
それも加味しての〈医学〉ですね。
牧志が判定成功すればうまく避けられる。
牧志が判定失敗したら少々の手探り(佐倉さんの【DEX】判定)が発生する。
佐倉 光
どっちも値が微妙! 頑張ろう。
奴らの扱い
佐倉 光
しかしこれ魔法の力を借りていても時間かかるだろうし、居住者何とかして、余裕もってやりたいな。
休憩とったり水と食料得たりするにもあそこ開けないとだし。
長引いた場合リーダーに水くらいは……2日くらいは放置してもいいか。家具ある方の部屋だし。
KP
それはそう。
実験室とかにないということは居住スペースにあるのだろうと想像もつくでしょうしね。>水と食料

もちもの探せばエネルギーバーは出てくるだろうけど、さすがに牧志も水は持ってないなぁ。
佐倉 光
水くらいならこの部屋にもあるだろうけどね。
最悪トイレなんかもある……あるかな? そういうのも居住スペースかな?
KP
トイレは居住スペースか、一応ジタバタしてる男を眺めながら牧志の部屋で用を足すという方法もなくはな……い?

飲みたい気持ちになるかどうかはともかく、作業用の清潔な水はあるでしょうね。>手術室

居住スペース何とかする方法は、KP側で想定しているものは一応あります。
ただ案があるならぜひ先に聞きたいところ。
佐倉 光
耳が片ついたらそっちに手をつけよう。
感覚器に慣れる時間は必要だろうから。

佐倉 光
現在の腹部と本来の腹部を照らし合わせ、どこを切ればダメージ少なくいけるかを相談……
ああ、耳を先に戻したのは失敗だったな、と思いながら。
むしろイメージが伝わる分、耳は最後まで残すべきだったか。
何度も確認して手技を進めよう。
牧志 浩太
牧志は手でペンを取り、五十音表の隅に図を書き始める。
大きく広がった胸郭から腹部へ続く線を見ていると、腹の方は人間の形を残しているようだ。
KP
牧志は〈医学〉で判定。
1d100 61 医学
Sasa 1d100→ 67→失敗
牧志 浩太
医学書は余暇を見ては読んだが、流石に内臓の手術をした経験があるわけもない。

厚み方向を含めて大体の位置が分かり推測がつくだけでも十分なものでこそあるが、後はあなたと牧志が手先の感覚とこの謎めいた機材、道具、呪文を信じる他……、なさそうだ。
佐倉 光
むむむ。頑張れ佐倉……
佐倉 光
大体この辺……?
書いてもらった図を見ながら、手探りでぬるつく皮膚を探り、骨の位置を、内臓の位置を推測する。
佐倉 光
1d100 45 【DEX】 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
エエー
切り開いたところになんかいたかな。
KP
わお。
KP
ぬるつく皮膚は指先を添えればずぶずぶと沈み込み、あなたを呑み込もうとした。
湧き上がる嫌悪感に耐えて、慎重に位置を確認する。

指のすぐ側に牧志の持つ刃が添えられ、何の抵抗もなく皮膚を切り裂く。
紙でも裂くように腹が開かれ、玩具のようなあの赤い液体が盛り上がる、と同時、何かがあなためがけて飛び出してきた!
KP
佐倉さん、〈回避〉で判定!
佐倉 光
1d100 40 〈回避〉!!  Sasa 1d100→ 26→成功
KP
飛び出してきたそれを、あなたは咄嗟に避ける。
それは、小さく細長く白い、絡み合った細い蟲だ。

冗談のような赤にまみれて、割かれた腹の中に数えても数えても数えても足りないほど無数に蠢いて、人のそれとは異なる形の臓器から体液を啜っているのだ。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
1d100 51 Sasa

Sasa 1d100→ 34→成功
佐倉 光
「うわっ!?」
慌てて身をかわした。
何か出てくるかも、と覚悟しておいて良かった。
飛び出した虫を踏みつけておく。

ステンレス皿でガードしながら傷口を覗き込む。
他に障害になりそうな物があれば避けておかないと……
KP
飛び出した蟲を踏みつける頃には、もう動かなくなっていた。
どうやら、ひどく弱い生き物らしい。
空気に触れるだけで次々と溶けて死んでゆく。血液に浸かるだけで死んでゆく。

生き残ったものは、腹部のある一か所へ向かって逃れようとしているようだ。
そこを開けば、一網打尽にできるかもしれない。
佐倉 光
「うわぁ、めっちゃくちゃいる」
どうしようこれ。
牧志 浩太
「うあ」
牧志は傷口の様子を鏡で確認して絶句する。
佐倉 光
『なぁ、牧……』「ってこれじゃ聞こえないか」
佐倉 光
「この虫つまんで出すだと時間がかかりすぎそうなんだけど、放置してても大丈夫かな」
牧志 浩太
「あうああう」
驚きながらも、放置しておいてよいか、というあなたの言葉にこくこくと頷く。
それよりも優先するものがある、ということについては意見を同じくするらしい。
佐倉 光
よし、いずれやらなきゃならないことだけど後回しだ。
代わりの器官(?)を切除して正しい臓器を戻そう。
箱は開けてしまったら急がなければならないし、これからこれ以上のことをする予定がないのだから、腹の開けっぱなしもよくない。
牧志 浩太
牧志は頷くと、大きな血管を取り巻く細長い臓器を持ち上げた。
腎臓が二つあるのに対してそれは一つしかないらしく、牧志はそれの両端に刃を向ける。

そして一息に断ち切った。
佐倉 光
体内の惨状はあえて見ないようにしつつ正しい臓器をあてがい呪文を唱える。
それは祈りにも似ていた。
KP
あなたの祈りが、彼の腹の中に吸い込まれていく。
白い蟲と見慣れない臓器の蠢く化け物の腹の中に、人間の臓器が二つ、ぽつんと存在している。

それが正しく機能するかどうかなど、見ていて分かりはしないのだが、少なくとも死んでゆくようには見えなかった。
佐倉 光
ほっと息を吐く。ひとまず腹を閉じよう。
傷口を丁寧にあわせて呪文を唱える。
あの男に臓物を食う趣味がなくて良かった。

だがこれで終わりじゃない。
KP
傷口を丁寧に合わせて機材を向け、呪文を唱えて腹を閉じれば、最初から傷口などなかったかのような化け物の腹部が戻ってきた。
その中に人間の臓器が息づいているなど、自らやったというのに信じがたく思える。
佐倉 光
舌、唇ってどう切ればいいんだ?
KP
唇は顔、髪と合わせてやるのがよいだろうか。
舌は……、口に刃物を突っ込んでやるしかないだろう。
お誂え向きに、舌を抜くためのものとしか思えない器具がある……。
佐倉 光
うわー、地獄巡りとかで見た奴~
佐倉 光
まずは舌だよな。一人が引っ張り出している間にカット、すぐに入れ替え……ミスったら痛いじゃ済まないぞこれはー。

箱を開けた以上迷っている時間はない。立て続けに処置を進める。
佐倉 光
なんだか疲れた。これが終わったら休憩しよう。
牧志も感覚に慣れる必要があるだろうし……

ふと、気づいた。
首輪をつけっぱなしだったのだ。
疲れたのはそのせいもあるか。
こんなものに馴染んでしまったとは思いたくない。
外せば息苦しさが解消されて、少しはましになるかもしれないな。
牧志 浩太
牧志が長大な舌を器具で引っ張っている間に、あなたが一気に根元から切り落とす。
牧志が衝撃で首を仰け反らせた。
舌を失った口を捕まえて、それに比べれば随分と小さく見える舌を一気に接合する。

切り離された舌は、巨大な芋虫のように見えた。
牧志が確かめるように唇を動かし、口の中で舌を揺らめかせる。舌の先から吐いていた息が口から出ていくのに慣れようとしてか、繰り返し深く呼吸をする。
牧志 浩太
「あー、あー、あう、あえい、あ、い、う、え、お……」
牧志 浩太
「……」
牧志 浩太
何度も練習していると、言葉がちゃんと出てくるようになった。
そうしながら、牧志は少し顔を青ざめさせる。
牧志 浩太
「……口の中を舌がうろついて、ちょっと気持ち悪い……」
久しぶりに戻ったせいで慣れないらしい、色々と。
佐倉 光
「舌が動くのは当たり前だろ? 当たり前なんだよ」
佐倉 光
思わず笑った。
牧志 浩太
「当たり前か。そうか、当たり前だな。
声が音で聞こえることも、息が口から出ることも、舌が短いことも、喋ると口の中で舌が動くのも」
牧志 浩太
「そうか、こっちが俺の感覚だった……」
牧志は一度息を深く吸い、大きな胸郭の中に空気を入れて、吐いた。
KP
顔と髪も一緒に戻しますか? 唇と舌だけ?
佐倉 光
戻せるなら戻すか。
牧志 浩太
顔と髪と唇と舌、それから歯を戻すと、少なくとも首から上は、あなたが知る牧志の形を取り戻した。

化け物の身体に、牧志の首がついている。
首だけでも、そこに彼がいるという印象は、随分と強くなった。
……人間にとって頭というものは、何かと重要なのだ。
さまざまな意味で。
佐倉 光
良かった。
舌を切り取ってつけるだの、頭蓋骨から皮を剥がすだのという作業は悪夢に出そうな最悪の部類だったが、
牧志が確実に戻ってゆくのだという確信ができて嬉しかった。
佐倉 光
「少し休もうか。感覚が一気に変わっちゃって大変だろ」
牧志 浩太
「そうだな、そうしよう。まだ頭が少しくらくらするし。
平衡感覚は変わったし、長い舌もなくなったから、ちょっとバランスが変だ。
でも、頭が重くないのはいいな」
牧志 浩太
「ありがとう、佐倉さん。助かった」
牧志の眼で、顔で、唇で、彼は笑う。
まだ鼻が戻っていないせいで少しだけ異様だが、そこにいるのは十分に牧志だった。
佐倉 光
今までの彼を構成していた物を纏めてゴミ箱に突っ込む。忌まわしい拷問器具も全て。
KP
今まで牧志の感覚や呼吸を担っていた頭や舌が、箱と合わせてゴミ箱に突っ込まれる。
そうして蓋を閉じてしまえば、ただの肉片としてあなたの視界から消えた。
肉片をゴミ箱に叩き込み、ふっと気を抜いたあなたの身体と精神に、異常な作業と呪文の負荷が一気に襲い掛かる。

KP
切りがよいので、ここで一度目のコスト消費をしてもらいましょうか。

▽2【POW】(一時的)・4MP・1d4+1 SAN です。
佐倉 光
1d4+1 Sasa 1d4+1→ 4+1→合計5
KP
あらら。一時的発狂【アイデア】ロールをどうぞ。
佐倉 光
【POW】 15→13
 MP 15→11
SAN 51 → 46
1d100 85【アイデア】 Sasa 1d100→ 37→成功
KP
では、次に不定も待ってますし、ここは短期チャートで種別をどうぞ。
佐倉 光
1d10 Sasa 1d10→9
1d10+4 Sasa 1d10+4→ 8+4→合計12
佐倉 光
2分半くらい。
KP
短期9、異食症

佐倉 光
ぐら、と頭の芯が揺れる。一気に訪れた負荷が脳を揺さぶる。
佐倉 光
「腹……減ったなぁ……」
閉めたばかりのゴミ箱を見下ろした。
KP
ゴミ箱の中には柔らかそうな肉がみちみちと詰まっているし、何なら実験室に並んだ箱の中にも、さまざまな形の肉が並んでいる。

美味しいだろうか? 案外美味しいかもしれないなぁ。
佐倉 光
「そろそろ何か、食べないと」
色々なことがありすぎて、もう空腹だ。
牧志 浩太
「! 佐倉さん! だ、だめだそれ汚いから!」
異変に気付いた牧志が、あなたを止めようと手を伸ばす。
KP
あなたは素直に止められてもいいし、【DEX】対抗をしてもいい。
佐倉 光
蓋を開けようとする……
佐倉 光
「え、だってさ。朝食べただけだし……牧志も減ってるだろ?」
戸惑ったように問いかける。
佐倉 光
「今取ったばかりで新鮮なら、きっと食べても大丈夫だよ」
佐倉 光
手についた粘液を舐めようとする。
牧志 浩太
「そりゃ俺も腹は減ってるけど、それ俺から切り離したばかりだろ。
火とか通してないし、新鮮でも腹壊すかもしれない。ほら豚肉とか新鮮でも生じゃ無理だし。俺どんな寄生虫いるかわからないし」
牧志は必死にあなたの手を掴んで、口に運ばれる手を止めようとする。
KP
そういえば対侵入者用設備に電気銃がある。出力いじって上げれば焼けるかもしれない?
佐倉 光
「あ、そうか。生じゃやっぱまずいかな?」
ゴミ箱から肉厚のタンを引っ張りだそう。
KP
分厚い舌はいかにも歯ごたえがありそうだ。そういえばこの舌は中空なので、分厚過ぎないのもいい。
佐倉 光
「これ、一回俺の腹に入ってるし、その時は別に問題なかったし……」
佐倉 光
これこんな押し問答している間に正気に戻るなw
牧志 浩太
「いやいや、確かにそうかもしれないけど、食べたら筋肉の中に何かいるかもしれないし、せめて火を通そう火を」
佐倉 光
切除に使った刃物で切り出してみる。
佐倉 光
「ほら、美味しそうだ。塩胡椒欲しいな。ここにはさすがにないか」
KP
切り出してみると、ほどよい厚みの肉になった。なるほど、塩胡椒が欲しいところだ。
ぱっと見た所、断面に何かいるということもなさそうだ。肉眼で見えないものは分からないが、それならあなたの言う通り、体内に触れた時点でリスクはあったことだろう。
牧志 浩太
「それはないな……。
居住スペースとかにならあるかもしれないけど、閉めちゃったし、あそこ」
佐倉 光
「ああ、そうそう。居住区。あそこの連中何とかしようと思ってたんだ」
佐倉 光
「火だったら……ほらあの電気銃。あれで何とかならないかなー。出力目一杯あげてさ」
ウキウキと肉塊を持って部屋を出る。
牧志 浩太
「えっ、あれで焼くのか? あー、……どうなんだろ、行けるかも?」
牧志が戸惑いながらあなたを追う。
佐倉 光
休ませてあげられなくてごめんな牧志。こんな状態じゃ自己治癒できんわ。
KP
いいんですよ発狂しちゃったらしょうがない。
居住設備襲ったところで我に返ってもらおうかな。

コメント By.佐倉 光
なんとかうまくいったら人間らしいことがしたくなるんだよ。
さしあたって食事とか……ね?

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