こちらには
『星を喰む』
のネタバレがあります。

牧志 浩太(神)

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
ニャルラトホテプの贄として作られ、ついに成就してニャルラトホテプに成ったのだが、色々あってニャルラトホテプと人間の狭間のような不安定な存在となった。人間の意識を残したまま以前の生活の延長上に生きている。

人間の生活をそのままたどり、大学生を続けている。

佐倉とは相棒であり根を一とする。


佐倉 光(神)

基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
色々あってニャルラトホテプと人間の狭間のような不安定な存在となった。人間の意識を残したまま以前の生活の延長上に生きている。

諸事情により真・女神転生TRPG範囲で勤めていたBARでの悪魔退治屋はクビになってしまった。

牧志とは相棒であり根を一とする。


KP
ああー。星はみ面白いな。いいかも。
感情揺さぶられたい方にお勧めなヤツ。
ただこれある程度SAN減ってないと色々不整合出るかな。
なんなら開始時になんかイベントはさんでSAN削っとくか。
……ただこれどうかな。神チームが回すと別の意味乗らないかな……面白いけど。
牧志 浩太
ほうほう……?
何だか分からないけどすごく気になる。
KP
今回使えなくてもどっかで絶対使いたいな。

KP
あなたは牧志浩太。人であった。
良き贄たることを望まれてこの世に生まれた。
だがその輝かしい運命から引き離され、不当に隠された。

あなたの家族はいずれ神の器たる貴重な肉と魂を、
それと知らずにただのつまらない人間として育てあげた。
長い長い沈黙ののち、あなたは契約の印を受け、贄として戻った。
それからも数々の妨害と苦難を乗り越え、
織り上げられた縁によりて、ようやく。
自ら望んで、という最良の形であなたが在るべきものに一部還ったのだ。


だが、あなたの内には人の精神という取るに足らない物が残っていて、
過去の記憶や人との繋がりといった、
ほんの僅かな炎の揺らめきやひとひらの吐息のように儚いものを愛している。
それ自体があまりにも脆く、いとも簡単にひび割れるというのに、
どうしてもあなたはそれを手放すことができないのだ。

それが、神であるあなたが今も尚『牧志浩太』を名乗り、
人間に擬態して不自由を甘受する理由である。

あなたは神であり、いまだどうしようもなく人である。
KP
たぶん孫にツバ付けられたことを知ったじいちゃんが頑張って隠した。
あと地の文さんがだいぶニャルってますが、牧志君にこういう思考になれと言ってるわけではありません、念のため。
牧志 浩太
まあ、思ったより苦労したな、という程度の感想だ。

折角見事な贄を作り上げておきながら、捧げる直前に忘れてしまったらしいのは、それはそれで愉快であったし。百舌モズか。
牧志 浩太
どうやら身のうちにちらちらと揺らめいている儚い物も、花でも愛でるようで案外と悪くない。
悪くない、と思うのは意識が奇妙に穏やかで、これはどうも、この人の精神に引っ張られている。

くだらなくて不自由だと思うのに、それが妙に手放しがたいのだから困る。
いや、まあ別に困らないか。
牧志 浩太
困らないな。
目を開ければシローがきっともう起きていて、『相棒』の寝息が聞こえる。

キッチンに向かってフライパンに油を熱し、卵でも落とせば、それだけで『朝食の気配』が立ち昇る。
牧志 浩太
さてそういう物を守りながら過ごすのが今の所、何もかもひっくり返すよりもだいぶ楽しい。
大体そんなの、他の化身がいくらでもやるだろう。
俺まで一緒になってやる必要はない。
牧志 浩太
というわけで、俺は神だけど人である。
牧志 浩太
なるほど。おじいちゃんが頑張ってくれたおかげで牧志は普通の人として育てた!!
ありがとうおじいちゃん……。
早速しょっぱな失礼なこと言っちゃってるけど。

地の文が味わい深かったもので、牧志は変なとこ馴染みやすいせいでニャル部分にも変な馴染み方しそうだなと思ってこうなりました。

いつもこんなニャル優勢な思考じゃないけど、たまに(起きる直前とか)こういう時もある、ということでお願いします。
ちょっと気分屋になったように見える牧志です。
KP
はーい。
だいぶ神にそまっとるなー
牧志 浩太
神の視点しながらその内側で人間エンジョイ中。

KP
あなたは神であるが人間の生活を守ろうとしている。
あなたとともに変態した『相棒』は
早々に失職して以前の人間としての場所を失い少し落ち込んでいたようだったが、
あなたはどうだろうか?
牧志 浩太
『佐倉さん』が早速失職したのと対照的に、俺は変わらず大学生をやっている。
東浪見や大学の友達のことは好きだったし、『授業』で人間の平凡な解釈を聞く時間も好きだ。
まあ授業に出る頻度は気分次第になったが、元から最近行方不明に失踪にだったし、言うほど差もない。
牧志 浩太
早速悪魔使いというアイデンティティと居場所を失った佐倉さんには、掛ける言葉がなかった。
まあ、でも、うん。無理もないな……。
それこそ大学でも行くなり新しいバイトでも、と俺なら考える所だけど、佐倉さんに合うかは微妙。
KP
となりの部屋からもそもそと佐倉が起きてきて、
コーヒーマシーンのスイッチを入れつつトイレに行きながらあなたにおはようと声をかける。
流れるような動きは以前のままだ。

昨日仕事をクビになったと言って帰ってきてから部屋に閉じこもっていたが、今朝はもうそんな気配もない。
その割に腕輪ははまったままだった。
職場を失っただけで、悪魔使いである、ということまでは変わらなかったのだろうか?
牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん。朝食べる?」
そんな思考も、フライパンから立ち昇る卵と脂のいい香りを嗅いでいれば、日常の形に溶けていく。
手元でベーコンエッグをこしらえながら、声を返す。
佐倉 光
「今日誰の番だっけな……」
佐倉は手を洗うとカレンダーを見て呟いた。
佐倉 光
「ああ、もう誰の番とか気にする必要もねーのか。全員喚んでやろうかな」
牧志 浩太
「あ、それいいな、そうしよう。
ちょっと狭いけど、賑やかで楽しそうだ」
誰の番……牧志そっくりの六人組。本質は神話生物だが、それぞれに人間としての意識を持っている。
その性質故に佐倉の使い魔として存在しているが、二人の友人達である。
KP
佐倉は腕輪に触れて命ずる。
『来い』と。
それでこと足りる。

腕輪には以前はなかった黒く見える宝石が填まっており、それがうねり輝いた。
使い魔が喚び出される。
佐倉 光
SAN 33 → 32
KP
そこに浩子が現れた。
彼女は僅かに青ざめていた。
牧志 浩太
「あー……、そうなるよな」
その、僅かに青ざめた様子を見て呟く。
神である自分は当然そうなるだろうと思うのに、人である自分はその距離が寂しかった。
KP
佐倉が食われて以来、召喚が不快になった、と彼女らは言っていた。
だが今回はそれだけではなかったのだろう。
彼女はマグネタイトではなく、人間の精神の力、魂そのものを無理やり与えられたのだ。
意識が人間である彼女にとってはおぞましいことだっただろう。
佐倉 光
「よし、これならダブルいけるか」
KP
腕輪が吠えた。
佐倉 光
SAN 32→30
KP
安里と壺川が喚び出された。
ふたりとも心臓をわしづかみにされたというような顔をしていた。
浩子
それは恐らく、人間の血を喰わされるような感覚。
いや、それどころではなく、顎を掴まれて無理矢理血肉を流し込まれる感覚だ。

二人とシローに会えるのも、外へ出られるのも嬉しい筈なのに、思わず怯んでしまうような感覚。
浩子
「おはよう」
それでも嬉しいから、少しぎこちなく笑う。
佐倉 光
「おはよう! どうした、具合でも悪いのか?」
安里
「もうちょっと召喚マイルドにならないか?
正直ずっと心臓掴まれてる気がして落ち着かない」
安里は遠慮なくそれを口に出した。
佐倉 光
「そうか? 難しいな、この方式初めてだから」
安里
「佐倉さんだって分かってても、圧倒的な力で首根っこ掴まれて引っ張り出されたら、どうしても心臓にくるんだよ。
もしかして自覚、ない?」
壺川
「あ……、うう……、おはよう。
それ……、大丈夫なのか?
この魂、佐倉さんのだろ……」
元から人よりも「神」に近しい程の知を持つ壺川は、より強くそれを感じ取ってしまうのか、かたかたと手足を震わせていた。
佐倉 光
「そう、だからマグネタイトなんかと違って長持ちするぜ!
好きな時にこっち来られていいだろ」
浩子
「あ……、ちょっと媒体が刺激的でさ。
それに、二人とも随分雰囲気違うから、どうしても気圧される」
安里
「被ってる猫の端々から気配が漏れてるな」
佐倉 光
「うぅっそ俺人間やれてない?
でもこの腕輪もう俺のになっちゃって前のように戻らないらしいから、召喚もうこの方法しかねーんだよなぁ」
浩子
「そうなのか。
それなら、まあ、仕方ないのかな」
壺川
壺川はすごく不安そうに、そわそわと牧志を見た。
佐倉 光
「それじゃあもう少し優しく……」
佐倉 光
「優しい召喚ってどうやるんだ? こっちおいで~って?」

言いながら腕輪に触れる。
佐倉 光
SAN 30→27

古島、旭橋、浦西が続いて召喚される。
KP
佐倉の正気度 結構減ってた。
牧志のは結構残ってたよな~
その正気度 削らせていただくッ!
というかそんなに正気度 残ってるのにそんな神エンジョイしてるのか。
牧志 浩太
削っちゃって!
牧志は第三話のNPCの正気度 処理がそんなにない分&コストで減ったりとかない分、結構残ってるんですよね。

・神に馴染んでエンジョイしている分、人間としての意識も安定して強固な説
・半分くらい佐倉さん維持するのに使っている説
古島
「凄いなこれ、新感覚だ! 心臓を直接掴まれてナデナデされてる気分!」
古島は青い顔で笑いながら現われた。
旭橋
「こ、これ、本当に佐倉さんの召喚で合ってる……!?」
旭橋は完全に出てくるまで、何度も背後を振り返る。
佐倉 光
「合ってる合ってる。そんな顔すんなよ大丈夫だから」
旭橋
「よ、よかった合ってた……」
旭橋は大きな身体からようやく緊張を解き、息を吐く。
佐倉 光
「そんな怖がることないだろ……」
浦西
浦西は全員勢揃いしていたのに驚きながら、
浦西
「そりゃ、久しぶりに全員集まれたのは嬉しいけどさ。
また会えたのも嬉しいけど。
あんまり無茶するなよ。俺達のために身を削ってるようなものだろ、それ」
全員の認識をそうまとめた。
佐倉 光
「そう、か? そんなに削っているつもりはないんだけどな……ああ、分かった」
KP
皆に抗議されたり心配されたりして、さしもの佐倉も反省したらしい。
佐倉 光
「古島が青ざめてるって相当だしなー」
浦西
「分かってもらえてよかった。

牧志に加えて、佐倉さんまでそういうタイプになったら危なっかしいしな。
俺達が言うのもなんだけど」
佐倉 光
「うん、まあ俺も気をつける。
どう気をつけたらいいかもよく分かんねーけど」
安里
「言い過ぎて悪かったな。
俺達だから感じ取ってる所も多分、ある」

KP
佐倉が召喚に腕輪を使っているのは前からの習慣で、もう必要な物ではないんじゃないかなぁー
牧志 浩太
ああー、それありそう。
もう腕輪という形を取る必要もない。
KP
自分の原点はここである、ということと、
「破壊できない」という属性を牧志の願いで付けて貰ったから手放したくないってだけかな。
牧志 浩太
ああー。COMP壊れないのは牧志の願いでもありましたもんね。
佐倉さんの原点なのも確かにそうだし。
佐倉さんのアイデンティティのひとつだもんな。
KP
俺の一部は本当に一部になりました。
KP
口に生肉突っ込まれて心臓掴まれて召喚されるのやーだねぇ
牧志君には二つほどアクションして貰おうかな……

佐倉 光
「まあともかく、その体結構保つはずだから。今までとはダンチで動けるぜ。
あとこっちにいても、夜に食って増えちまうこともなくなると思う。抑えてるから。
……あー、心臓握られてる感じってそれか?
これは慣れて貰うしかないなぁ」
古島
「やった、ありがとう!
佐倉さんの魂、大事に使います」
浩子
「ああ、それは素直に嬉しいな。
ごめん、ありがとう」
安里
「あー……、いや、これは、あれだ。
単純に存在の差があり過ぎるんだな。
支配関係が強烈すぎる。

仕方ないし、そこは慣れるよ」
佐倉 光
「マジかよ気をつけないと」
牧志 浩太
「なんだかごめん、六人とも」
牧志 浩太
「久し振りに集まれたな。随分賑やかだ。
何だか……、楽しいな。ありがとう、佐倉さん」
その様子を見渡して、心配の代わりに感謝の言葉を乗せる。
KP
浦西……
大分個性がしっかりしてきて面白いなぁ。古島ァ可愛いなぁ。
牧志 浩太
ちょこちょこ登場したことで、なかなか個性が明確になってきて面白い。
安里と浦西はわりと説明が得意ですね。
で、元々牧志だから牧志の危なっかしさに自覚があるという……。
古島は小さくなった一幕から、もう完全に元気キャラになった。

佐倉 光
「この部屋に9人はさすがに無理すぎるからな、
みんなでいくつかここに部屋借りて住めばいいよ。
どーせここすいてるだろ?」
浩子
「……ああ、いいな。
そっか、連続して住めるんだ。
不思議な感じだな」
ようやく違和感が薄れてきたのか、浩子がふっと笑う。
古島
「やった!
浩子、一緒に住もう!」
浩子
「古島、小さかった時の動きが癖になってないか?」
古島
「楽しい方が楽しいからいいかなって」
旭橋
「ご、ごめん、そうだよな。
そ、そう……、佐倉さんと牧志だよな……」
壺川
「う、うん、そう……」
牧志 浩太
「うーん、二人には俺達がどう見えてる?」
旭橋
「牧志は威圧感すごいだけで牧志だけど、佐倉さんはたまに違うものに見えた……、今は、大丈夫」
壺川
「半分佐倉さんで、半分牧志で半分触手」
牧志 浩太
「壺川の感覚というか視界すごいな!?」
佐倉 光
「えぇぇ、マジか。やべぇな」
KP
佐倉は眉間に皺を寄せて「これでどうだ」などと訊き始めた。
壺川
「あ、少し引っ込んだ、と思ったら反対側から出た」
壺川
「あ、全部引っ込ん……ひっ、眉間から出てきた!」
KP
シローは皆が揃っていることにテンションを上げてはしゃいでいる。
KP
そういえばシローも人間カウントじゃないかもしれないか。
牧志 浩太
そういえば。半分人間(?)ですね。

KP
おっと、暇な片割れと違ってあなたは学校に行かなければならない時間だ。
今日は……どうしよう?
牧志 浩太
おっと、そうやって遊んでいたら2限の時間だ。
1限は……、あったっけ? 多分なかった。
楽しかったし、このままいい気分で大学に行こう。
牧志 浩太
「時間だし、俺は学校行ってくるよ。
みんな、佐倉さん、シローのこと頼んだ。
行ってきます」
そう手を振って家を出る。
KP
行ってらっしゃいと飛び跳ねるシローを筆頭に、それぞれが思い思いに声を上げ手を振る。
そこに人間はもはや存在しないのに、確かにそこは人間達が生活するあなたの場所だった。
牧志 浩太
賑やかな声に見送られ、手を振り返す。
ああ、やっぱりいいな、これ。
暖かくて優しくて、心地よくて楽しい。

こんなことの楽しさが分かるようになった自分を嬉しく思う。
もしかして全部、これを手に入れるための策略だったんじゃないか?
KP
あなたはいまだ半分が人であるが故に、
そういったものの美しさ、かけがえのなさ、楽しさを解する。
それは『神』であるあなたにとっては遠くにあるものだ。

KP
大学までは自転車で? 電車など使うのかな。
牧志 浩太
駅まで自転車で、駅から電車。
最寄り駅から大学までは歩き。

別にもう自転車も電車も使う必要はないけど、前から使ってるスポーツタイプの自転車で、風と風景を感じながら行くのは好きだ。

途中で友達に会ったりもするし。
駅で誰かに会う頻度は結構高い。
KP
「牧志やっと例の『彼女』とくっついたって?」
駅でなんとなく同じ車両になった
友人というには遠い者が愚にもつかないような質問をしてくる。
前にも佐倉から貰ったボールペンをめざとく見つけ「束縛の強い彼女なんてやめときな?」などと訳知り顔で説教してきた奴だった気がする。
牧志 浩太
おっと、二外の授業が一緒の知り合いだ。

あの時は「いやこれくらいまだまだだって、もっとすごい知り合いいるし」なんてよく分からない話をした気がする。

浩子さんの件が衝撃的だったタイミングだ。
浩子は彼女の『佐倉』と繋がりが強かったが、強すぎて色々あって、常時監視を受けていた。
現在はやはり色々あってフリーである。
詳しくは『俺の恋人が庭からボコボコ生えてくるんだが!?』を参照。
牧志 浩太
「おはよう。あれ、そんな噂になってるのか」
KP
「最近牧志雰囲気が変わったから」
言いながら、相手はあなたを不躾に見つめてくる。
「とうとう覚悟したのかな、って話に……
いやー、変わったかなぁ?」
首をひねっている。
この人間は随分と鈍いか、大して自分に興味がないようだ。
適当に遇っておけば飽きてどこかへ行くだろう。
牧志 浩太
「そんなに変わったか?
よく分かるんだな。
実は子供もできたんだ。七つ子」
真顔で半分真実な冗談を飛ばす。
KP
「はは、そんなわけないでしょー。
でも牧志なら包容力ありそうだし似合いそー」
どうやらジョークとして受け取られたらしい。
牧志 浩太
「おっ、褒め言葉か? ありがと」
軽く笑って流す。
KP
このぶんだと何かトラブルでもない限りはこのまま「噂」で終わりそうだ。

あなたのちょっとした変化は、ありもしないもっともらしい理由を付けられて流されてゆくのだろう。
東浪見と波照間以外には。
KP
東浪見君は「また何かあったんだな」と想いつつも突っ込まないのかな。
波照間さんは佐倉通して事情知ってるのかな。
牧志 浩太
東浪見は何かあったんだろうなーと思いつつ、楽しそうだしいいか、と突っ込まないんだと思われます。

波照間は佐倉さん失職騒ぎの時に、佐倉さん通して(どれくらいの範囲かはともかく)事情を知ったんじゃないかと。
牧志 浩太
東浪見はいつもの距離感だ。
雰囲気が変わったことには気づかれているだろうけど、俺がそれで困っていなければ、あえて突っ込んでこない。

本当にいい奴で、免れている。
その距離感で色々なものから。
牧志 浩太
先輩は、佐倉さん失職騒ぎの時に事情を知ったらしい。
随分驚いてたな。驚いてたけど、「そうか」って言って、いつもの調子で接してくれた。
神相手でもその調子なのは、すごいし、嬉しい。

「いける、いけるぞ、牧志!」
KP
不意に、子供の叫び声が聞こえた。
「この力が俺達のものであるうちにこいつを何とかする!」
KP
あなたはその声に聞き覚えがある。
佐倉だ。


だがここに彼がいるはずがない。
そもそも子供であるはずがない。
牧志 浩太
「へっ、佐倉さん!?」
その声を聞いた途端、何が起きたのかと、はっと反応してしまった。

佐倉さん!?

今の俺達にそうそう何かあるはずもないのに身構えてしまうのは、この身と心に染みついた癖だ。
牧志 浩太
直後に気づく。
佐倉さんがわざわざここに来るはずないし、好んで子供の姿になるたちでもない、ってことに。
それでも、声のした方を見て、その姿を探してしまう。
「ああ、分かった。行ける!」
KP
その声に遠くから『あなた』が応えた。
KP
キャンバスに知らない光景が重なって見えた。

何処とも知れない屋内にある巨大な部屋。
小さな子供の佐倉に、巨大な化け物の爪が振り下ろされるところだった。
一撃目が幼い子供の体を抉り抜き、鮮血が飛び散った。
それは肉を裂き内臓も傷つけ、骨を砕いた。
「佐倉さん!?」
KP
『あなた』の叫び声が聞こえる。

その瞬間あなたは分かってしまう。
この佐倉は戦う意思を固めたと同時に死ぬ。
この一撃であっさりと意識を失い、踏み潰されて床の染みになるだろう。
この出来事を起点に、上にいる『あなた』も破滅への道を辿るのだ。

これはあなたがしらない、あなたと佐倉だ。
牧志 浩太
ああ……、そうか。
はっと気づいた。見えた。

それは違う分岐の先にいる俺達だ。
俺達は幸運にも生き延びてきた・・・・・・・・・・・んじゃない。
無数に分かれる世界の中で、生き延びた分岐が俺達だった・・・・・・・・・・・・・だけだ。

そして不運にも、彼らは死ぬ。

そんな分岐はいくらでもある。
何なら『俺』が殺したのもたくさんある。

『俺』はすべての分岐に足をかけていて、すべての俺達は『俺』によって首を結わえられているから、分かるだけだ。
牧志 浩太
だからって、佐倉さんが目の前で死ぬのを、俺が許容できるわけ、ないじゃないか。
牧志 浩太
……佐倉さんのことを言えないな、これは。
一刹那の時間でそこまで思って、今にも死なんとする彼を救おうと手を伸ばす。
牧志 浩太
飼われた化物ごときが、分岐を潰すな。
KP
その傷は致命的なもので、さしもの佐倉であっても意識を保てるものではなかった。
あなたはその引き裂かれた体に、血をまき散らす血管に、膨れ上がり青ざめた脳に触れる。
その瞬間、佐倉は両目をかっと見開いて頭をぶるぶると振った。
同時、上の階で『あなた』が脳を軋ませ、佐倉と共鳴する。

運命はねじ曲げられた。
二人はぎりぎりのところで生き残るだろう。
ほんの少し先の未来で、『あなた』を捕まえている存在がぎりぎりと音を立て笑ったのが聞こえた。

佐倉の命はその場では救われた。
だがあなたが触れたことにより、彼の心臓と、その時に彼と繋がっていた牧志の心臓に、もうひとりの『あなた』が触れる縁を生んだのだ。
KP
次元を越えた干渉を行ったあなたの魂がひび割れる。

SAN値 1d10減少。発狂はしてもいいししなくてもいい。
牧志 浩太
1d10 Sasa 1d10→5
SAN 54 → 49
牧志 浩太
ははは、下らない、下らない下らない下らない!
飼われた化け物ごときが俺の『玩具』を奪い取ろうだなんて、なんて不遜。
どうせ意味もないこの身なのだ、もっと楽しませてもらわなくては。
牧志 浩太
次の勢いで化け物を粉々にしようとしたとき、はたと我に返った。
牧志 浩太
おっと。
牧志 浩太
違う違う、そうじゃない。
俺は佐倉さんを助けたかったんであって、『玩具』を生かしたかったんじゃない。
俺は俺だ。今更、あんなつまらない化身らに還る気はないんだ。
牧志 浩太
他の『俺』が触れる隙を生んでしまったことは……、悔しいけど、仕方ないな。
あの印がある限り、誤差のようなものだと思ってもらうしかない。
全部あいつが悪いんだ
牧志 浩太
発狂はしないけど、ちょっと呑まれかけました。
KP
ご都合こいつらのせい を解決してみた。
この時は単にルール忘れてただけだけど、あり得ないことは起きていたので。
牧志 浩太
なるほどー。気絶したはずなのに動けていたのはニャル牧志の干渉が心臓を動かしていたからだったのか。
KP
直後アレでしたしね。
牧志 浩太
その結果心臓をいじられちゃったんだな。
『とあるシナリオのとあるシーン』で起きた、KPとPLのポカミスによる「ありえなかった生還」をネタにしました。
本当は子供の佐倉が敵の攻撃により自動気絶していたはずだったのに、その処理すっかり忘れていたお陰で生存しちゃったんですよね。

KP
一瞬だがここから離れてしまっていたようだ。
思えばあの佐倉と『あなた』の死を目前にした声に喚ばれたらしい。
別の世界であろうと、神に届くほどの声を上げてしまうこともあるらしい。

まあ、喚ばれたからといって毎度律儀に行ってやることもないだろう。
牧志 浩太
それだけの声を上げて、届いた先が『俺』だなんて因果な連中だ。
まあ、事実助けに行っちゃったけどさ。
俺でよかったな、届いた先。
牧志 浩太
これからも……まあ、俺の気持ちに任せてたら、行っちゃうな、きっと。
でもそれで俺が消えたら意味がない。
せっかく手に入れた俺で、せっかく佐倉さんが望んでくれた俺なんだ、大事にしないと。

彼らの『死』の瞬間を思い出して深呼吸……、
KP
ふと気付けば目の前でこちらの東浪見が手を振っていた。
牧志 浩太
してたら、目の前に東浪見がいた。
牧志 浩太
「ごめん、ちょっとぼんやりしてた。
おはよう、東浪見」
東浪見 空
「おはよう。白昼夢?」
KP
言って時計を示す。時間だぞと言いたいらしい。
確かに二限目がそろそろ始まる。あまりのんびりもしていられない。
牧志 浩太
「あー、そうそうちょっと……、って、うわ、時間だ。
助かった、ありがとう」
慌てて荷物を確認し、講堂へ向かう。
KP
それからは特に何事もなく、いささか退屈で面白い授業時間だ。
牧志 浩太
『俺』にとって真新しいことはないが、人間が解釈する世界を見るのは面白い。
人間が「正気」の幻想をどうやって構築し、どうやって砕かれるのかなんてことにも思いを馳せられる。

KP
一時間ほどして、佐倉からメッセージが届いた。
佐倉 光
『五月蠅いって苦情受けたから浩子さんたちには出て貰った。
はやいとこ部屋用意しないとな』
KP
そんな必要ももうないのに、互いの無事を知らせる連絡だ。
牧志 浩太
一時間程して、きちんといつもの時間に来る連絡には笑みが漏れる。
佐倉さんも結構人間だ。それを、人間であることを大事にしてくれている。
牧志 浩太
『八人も想定してないもんな、あの部屋。
通報じゃなくて苦情で済んでよかった。
いい部屋見つかるといいな。みんなの部屋か、個性出そうで楽しみだ』
佐倉 光
『一度魔界に戻して一部屋ずつ確保してから喚び戻すって言ったら
壺川たちに半泣きで説教された』
KP
解せぬ。とでも言いたげだ。
自分の魂の扱いが雑すぎないだろうか。それとも自覚がないのだろうか。
牧志 浩太
『そりゃそうだよ。佐倉さんもしかして自覚ないな? あったら雑過ぎる。

俺だって、佐倉さんが「佐倉さん」じゃなくなって、あのつまらない、言う事聞くしか能のない化身に還っちゃったら、寂しいし、辛いんだからな』
KP
そんなこともありつつ、一日は過ぎる。
牧志 浩太
そんなことを返しつつ、穏やかな一日は過ぎる。
折角みんな居るし、何か作って配ろうかな。
ああ、それか全員で何か食べに行くのもいいな。
それで、空き部屋確認して……、
KP
帰宅の途につくあなたの視界が、再び震えた。
強い衝撃と共に視界がぶれて遠くぼやけた世界が割り込んでくる。

今度は分かる。誰かが喚んでいる。
だがあまりにも遠い世界だ。何が起きているのかもはっきりとは分からない。

KP
それはむせび泣くような、血を吐くような、あなた自身の声だった。
あなたに還ろうとしているあなたの無念の声だ。
死に物狂いで伸ばした指先は望むものに届かず、その精神は蝋燭のように燃え尽きかけていた。
あとは砕けて消えるばかりとなっていた。
その傍らに相棒の姿はない。
その『あなた』はたったひとりで消滅しかかっていた。

助けてやるつもりなら、その心臓に爪を引っかけて引き上げてやればいい。
牧志 浩太
「……ああ」
思わず、声が漏れた。
もう、暫くはやめにしようと思っていたのに。

この身は人間の小さな心に比べて、届く範囲が広すぎる。
そんな、寂しい、身を切る声で叫ばれたら。
俺が一番苦手な消え方をしかけているんだって、分かってしまう。
牧志 浩太
もしかしたらあの時、俺達が切り捨てた俺じゃないかって、思ってしまうんだ。
牧志 浩太
だから、まずは問う。
『俺達』はお前を待っている。還ってひとつになるかと。
それとも、たったひとりになって、それでも生を望むのかと。
KP
ひとつになるか、という問いに『あなた』ははたき落とすように拒否を叫んだ。
『あなた』が望んでいるのは、ほんの一秒、一瞬でも途切れることなく存在し続けることで、失われようとしている相棒に手を届かせることだ!
要救助者
KP
ぷるぷるしながら今にも崖に落ちそうな大事なものに手を届かせようとしているときに声をかけられて「うるさいなっ!」てなった。でも今にも自分も落ちそう。
ちなみに落ちそうな相棒は佐倉じゃなくて波照間さんね。
牧志 浩太
ああー、なるほど、そっちか。
巣窟牧志かと思った。
KP
ああー。そっちは……触りたい?
牧志 浩太
助けても結局自分達自身に切り捨てられる展開になるのかと。
迷うなー。あっちは関わってない方が余計につらい気もするし。
ひとまず、表は牧志自身もよく分からないので勘違いしている方向で参ります。>not巣窟
KP
はーい
牧志 浩太
で、そうなると雰囲気かぶってきちゃうので、巣窟牧志にはタッチしない方向で。
KP
はーい
そう、似たようなイベント続いちゃうからー

牧志 浩太
「まあ、そうだよな」
知ってた。それくらい諦めが悪いのが、俺だ。
牧志 浩太
だとしたら、それで得られるのがもし、あの結末だけだとしても。

……あいつの最期の四日間を。
なかったことには、したくないな。
牧志 浩太
その強情な心臓に手を伸ばし、引き上げる。
KP
引き上げられたことによって彼の指先が求めるものに僅かに触れた。
今は、無理だ。だがこれでいつかは再び届くだろう。
あなたはそのように縁を鎖のように結びつけた。
KP
瞬間、反動で彼の心臓が破れて引き裂けた。
いきおい、あなたの爪は脆い彼の体を真っ二つに切り裂くことになる。
爪は頭蓋まで到達し、左の目玉に食い込んで止まった。
そこから彼は中身の全てをまき散らして、叫び声を上げながら歪に変質していった。同時、あなたの力を練り込み奪ってゆく。
KP
SAN値 1d10+3減少
KP
べりっと裂けました。
塔の彼かも知れないしそうでないかもしれない。
牧志 浩太
あーあ、裂けちゃった。
塔牧志かもしれないし、もっとすごいことになって存在している牧志かもしれない。
牧志 浩太
1d10+3 Sasa 1d10+3→ 9+3→合計12
SAN 49 → 37
牧志 浩太
「……あ」
瞬間、漏れたのはそんな声だった。

何気なく、結んだ、はずだった。
力を加えた気なんて全くなかった。
だというのに糸は心臓を裂いて、爪は彼を壊してしまった。
牧志 浩太
「あ、ああ……」
弱すぎた、と気づいた。
掬い上げるには、消えかけた魂は脆すぎた。

心臓の裂ける音が、耳から離れなかった。
KP
もう悲鳴を上げる口もなくなっているのに叫び続けるあなたの声が谺しながら捻れてゆく。
内側から弾けてなお生き続け変質し続ける彼は、彼自身とあなたが望んだとおり、神ではなく人間だった。
だがそれはヒトの姿を保ってはいなかった。

その世界のあなたがどうなったのか、最後まで見届けることはできなかった。
あなたと同じ存在の加護を受けた悪魔使いが、激しい怒りと共にあなたを追い払った。
牧志 浩太
ごめん、ごめん、違う、違うんだ。怒れる悪魔使いに、歪み叫び続ける彼に、泣きながら言い続けていた気がする。

そんな泣き言に意味なんてないし、許されるはずもない。
世界の光景が薄れた頃には、楽しい気分はすっかり吹き飛んでいた。
牧志 浩太
人間の心が齎した皮肉を『俺』が俺の底で笑っていた。
KP
あなたは神である。
そして同時にいまだ人間である。
あなたは観察者であると同時に、いまだ観察対象であるのかも知れなかった。

あなたは疲弊する。
それが単純に力を振るったがためか、力を奪われたためか、それとも傷ついているためか。
その全てであるのかも知れない。

ただ確実なのは、その心を保たなければ「人間 牧志浩太」は跡形もなく消え去るであろうということだ……
牧志 浩太
帰ろう、そんな気持ちだった。
泣きたい気分でいっぱいだ。
その泣きたい気分が俺だ。

家の明かりが懐かしい。
ああ、早く帰ろう。人間の俺の居場所に、戻ろう。

俺がそこを見失う前に。
牧志 浩太
少しふらつきながら、火に誘われる虫のような足取りで家路についた。
佐倉は真・女神転生TRPGにおいて『神父』というニャルラトホテプの化身の関係者である。であるがゆえに他のニャルラトホテプをある程度牽制できる程度の存在感はあり、それで『生け贄』だった牧志を本格的にまずいことから守っていた……という裏設定が生えていた。
当然退けられるのはこの牧志も例外ではない。

KP
帰宅したあなたを佐倉は迎えて驚いた顔をした。
無論彼が人間であるならば知らなくて当然だ。
佐倉 光
「どうした、顔が真っ青だ。何かあったのか」
KP
あなたは、記憶を共有する?
牧志 浩太
「佐倉さん、俺、俺、助けようとして」
記憶を共有はしない。話す。今日あったことを。
つっかえながら、ぐずぐずと泣きながら、要領を得ない喋り方で。
KP
佐倉は暫く無言で話を聞いていた。
茶をいれて、ゆっくりと相づちを打ちながら。
牧志 浩太
穏やかな気配に引き出されるようにして、涙がこぼれた。
泣き声の合間に、ぽつぽつと言葉を重ねた。
そうして感じた気持ちを、全部吐き出していた。
佐倉 光
「ああ、ああ……助けようとしたんだろ?
助けたかった、だから手を差し伸べて、その時は確かに助けられたんだ。
それで良しとするしかねぇよ」
未来を見たらきりがない、と佐倉は苦笑した。
牧志 浩太
「はは……、ごめん、ありがとう……。
佐倉さんなら、そう言ってくれそうな気がしてた。
そう言ってくれそうな気がして、佐倉さんに話した、のかもしれない……」
佐倉 光
「それより牧志、朝出て行った時より随分とすり減っていることが気になるよ。
お前の気配がかなり薄れていて、心配だ。
他の場所に干渉するの、ものすごく疲れるんじゃないのか。
俺の召喚なんかと比べものにならないくらい」
牧志 浩太
「うん……、そうなんだ。
俺の所まで届く声、本当に、切実なのばっかりでさ……。
気持ちが分かりすぎるんだ、俺達だから。
それが届いた先が俺か、皮肉だなって思ったら、手を、伸ばしたくなる」
牧志 浩太
「それで俺が消えちゃったら、意味がない。
せっかく、佐倉さんが望んでくれた俺なのに。
分かったんだ、分かってる、でも、聞こえるんだ」
牧志 浩太
大粒の涙が、温かいハーブティーの水面に落ちた。
湯気が余計に目に染みて、こぼれる涙が止まらない。

この時だけ、力のないただの人間であるような気がした。
事実、俺には力があるのに、泣きたいくらいに力がない。
佐倉 光
自らの無力に嘆くあなたを繋ぎ止めるように、佐倉は手を握って相槌を打っていた。
かち、かち、と時計の秒針の音が降り注ぐ。
佐倉 光
「今日はシローも浩子さんたちとホテルに泊まるんだって言ってたよ」
KP
あなたの話を聞き終わった佐倉は、いつもより低くテンポの遅い声で呟いた。
KP
安心を得たいだけ、与えたいだけなら精神に軽く力を流せばそのようになっただろう。
しかし貴方がたは人間のやり方を選んだ。それが必要だと思えた。
KP
そうするうち、強い眠気が押し寄せてくる。
牧志 浩太
「そっか……、ふぁ……、」
疲れと消耗、涙と弛緩、ゆっくりとした声と温かい飲み物の温度が眠気を誘った。

頭の奥の緊張が緩やかにほぐれると、その先に眠気がやってくる。
素直に従って、眠りにつこう。
牧志 浩太
「ありがとう……、おやすみ」
KP
眠りは穏やかに訪れ、あなたの意識はゆっくりと漂ってゆく。


星を喰む

ねこ/ねこやか 様 作


KP
きらりと。
まぶたの奥が、またたいた気がして。
あなたは、ゆっくりと目をひらいた。

あなたは、煌めく道に立っていた。
辺りは一面深い淵のくらやみであり、道から放たれる輝きだけが眩しかった。
物音はせず、空気は冷たく動かない。
痛いほどの沈黙と闇のむこうを見通せない人間に、途方もなく広大な存在への畏怖を与える。

周囲の暗闇に意識を広げると、そこはただの闇ではなく、
あらゆる色彩が細かに溢れる世界であることが分かるだろう。
若いものは白く眩しく、老いた者は赤く。
それこそ無数にまき散らされたように頭上から足元まで鏤められたそれは星たちである。
星たちはくすくすと内緒話でもするかのようにまたたいていた。

ここは宇宙だ。
そして宇宙ではあり得ない。

よく見れば足元の道は色とりどりの星々でできた天の川で、
あなたが身じろぎをすると、じゃりじゃりと砂を踏むような感覚があった。
黄色、白色、桃色、水色……色とりどりの星が、星屑たちが、
あなたのつま先に当たって風鈴か何かのごときかすかな歌を歌う。
佐倉 光
「なんだ、ここは?」
KP
隣でため息を漏らすように呟いたのは佐倉だった。
彼はいつも眠る時のシャツ姿ではなく、
いつものパーカーを着てポケットに手を突っ込んでいる。
猫背を伸ばしてフードを下ろし、この美しい『そら』に見入っていた。
KP
人間ならば多かれ少なかれ衝撃的な舞台であるが、
地球の始まりすら目撃したあなた方にはさほど驚くようなことでもなかっただろう。

KP
人間としても今更《SANチェック》というほどでもないかな……
牧志 浩太
そうね……
色々見すぎた。
KP
まあでもシナリオで《SANチェック》って書いてるところではそれっぽいこと書いとこかなと思いました。
牧志 浩太
ですね。
少し驚いたり人間として風景に圧倒されたりはするする。

牧志 浩太
ああ、綺麗だな。
そのひんやりとした無数のきらめきを、人間の知覚する命とほど遠い空間を、人の感覚はどうしてか美しいと感じた。
牧志 浩太
「佐倉さん」
星たちはいくら眺めていても、こちらに話しかけてきてくれる様子はない。
俺も彼らに話しかける方法を知らない。

美しくて孤独な空間の隣に人の声を感じ、振り返る。
牧志 浩太
「綺麗だけど、なんなんだろうな。
星空みたいに見えるけど、足元見た感じ星空じゃなさそうだ」
KP
道幅は10メートル程か。
あなた方はその中央あたりに立ち尽くしている。
見上げた空に浮かぶ星たちは鼻先にあるほど近くも見えるというのに手を伸ばしても届くことはない。
佐倉 光
「ああ、本当の宇宙じゃねぇな。もっと……騒がしい」
KP
そこまで言葉にして、佐倉は首を傾げた。
佐倉 光
「騒がしい。なんだろう。急にそう思えた」
KP
周囲から音はせず、ただあなた方の喋る声と、
身じろぎをするたびに砂を踏むような物音だけが聞こえていた。
KP
※あなた方は道具類を持っていませんが、鱗の腕輪は身につけています。
牧志 浩太
「騒がしい?

まあ、月に棲んでるのとか、イスの連中とか、色々いるもんなって……、そういうことじゃないか」
牧志 浩太
「騒がしい、騒がしいか。何だろうな」
考えてみるが、思い当たる感覚や知識があるだろうか?
KP
あなたに問われ、佐倉はガリガリと頭を掻いた。
佐倉 光
「よく、分かんねぇ」
KP
確かに言われてみれば、その空間には気配が満ちているようにも思えた。
輝く星のひとつひとつが語ってでもいるかのように思える。
この宇宙は生きている。

だが、あなたの鋭い耳にはなにひとつ音は聞こえていなかった。
よくよくその空間を味わうように見つめるなら、なんとなくあなたはここをよく知っているような気がした。
牧志 浩太
「あ、」

そうやって話したおかげで、気配に気づいた。
牧志 浩太
「ほんとだ。
あいつら、みんな生きてる。気づかなかった」

それに気づけば、もう冷たくて孤独だとは思わなかった。
ここは、生きている。
牧志 浩太
足元の星屑をひとつ拾い上げてみる。
KP
砂のようなきらめきを拾うと、あなたの指先で星はしずかに熱もなく輝いた。
見下ろせば星を拾った時にできたくぼみはなくなっている。
牧志 浩太
「熱くはないんだな。綺麗だ」
拾い上げた星をよく見てみる。
KP
星は静かに輝いている。知る宝石のどれとも違い、見つめるたびにゆるやかに色を変えた。
そうだな、〈聞き耳〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 99〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 20→成功
KP
その星は虚ろだ。
美しくはあるが、天を覆い尽くしている煌めきのように生きてはいない。
それは道を構成するものである、という以上の意味を持たないものなのだ。
それゆえか、どんなに深く掘ったとしても失われることもなく道という概念を形成し続けることだろう。
佐倉 光
「この空間よく見えねぇな。ただの人間になっちまったような気がする」
KP
佐倉はそんなことを言いながら道の端へと歩いて行く。
佐倉 光
「支えなんかもねぇな、下まで全部宇宙だ」
牧志 浩太
「ここ、なんなんだろうな。
宇宙のような形をした別の何かだ」
一緒に道の端から下を覗き込む。
KP
【アイデア】をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 90【アイデア】 Sasa 1d100→ 13→成功
KP
あなたの理解を裏付けるように、ここには月がない。
そしてあなたが知っている星座がない。
KP
「ようこそ、浩太、光」
空間を見つめていると、背後から中性的でどこか幼さの残る声がかけられた。
本編見る!
牧志 浩太
突然聞こえた声に思わず身構え、振り向いた。
相手の姿はそこにあるだろうか?
KP
声の方へ振り返ると、そこにいたのは一人の子どもだった。

背丈は10歳ほどの高さで、顔立ちも幼い。
どこか浮世離れした菫色の髪の先が、うなじで揺れている。
しかし明るい夜のような群青の瞳はとても静かで、達観したようにあなたを見ている。

小さな体に紺と黒で形成されたシルク生地のローブをまとい、
胸元には三日月と星のブローチをあしらっている。
そんな子どもが、裸足で星の道に佇んでいた。

子どもはどこか気だるげに、生意気そうな口調であなたに向かって言う。

「ああ、特に自己紹介はいらないよ。
きみたちの名前や状況はあらかた把握しているから。
心配しなくても、すぐにきみが望む場所へ帰れるよ」

「さあ、月まで案内しよう」
そう言って、子どもは一本道の先へ歩き出した。
牧志 浩太
「随分な物言いだな。別にいいけど」

つい苦笑いが漏れる。
あちらもどうやら、見た目通りじゃない。
そのことにもう驚きはない。どっちもどっちだ。
牧志 浩太
「こんな所に置いていかれるのもなんだし、ついていくか。
ここで話してるのも悪くないけど、ちゃんと帰りたいしな」

佐倉さんの方を振り返って考えを話し、子供の後をついてゆく。
佐倉 光
「まさかまたこんなことに遭遇できるなんて思ってなかった。
いざとなれば、って思えば割と気楽に楽しめていいな」
KP
佐倉は明るい笑い声を上げた。
牧志 浩太
「ああ、確かに。
そう思うと、ちょっと懐かしいような気もするな。
退屈しなくてすみそうだ」
ともに笑う。
KP
「おや……」
少年はそんなあなた方の様子を見て少し意外そうな声を上げる。
KP
「不安で押しつぶされそうな人間、って聞いてたんだけど」
牧志 浩太
おや?
牧志 浩太
「聞いてたって、誰から?」
直後見たとか把握したとか読んだとかじゃないのか。
KP
案内人の少年は不機嫌そうにむっすりと答えた。
「……きみには関係のないことだよ」
牧志 浩太
「どうして月に行くんだ?
そこに、何かあるのか?」

少年の態度に綻びが見えると、人間時代の警戒とか好奇心とか、色々と動き出す。

不安で押し潰されそうな人間、と言った。
はて背後にあるのは悪意か善意かそれ以外か。
KP
「そこからきみたちの世界に帰れるからだよ」
少年は前方を指したが、それらしきものは見えなかった。
星の道がうねりながら続いている。
佐倉 光
「ここ、どこなんだ?」
KP
「見れば分かるだろ、星の道だよ」
少年は少し面倒そうに言った。
牧志 浩太
「どうして俺達をここに呼んだんだ?」
KP
「僕の雇用主がここに連れて来たんだ。
ただまあ、 今きみがそこを気にする必要はないよ」
少年は肩をすくめた。

KP
こういう時毎度NPCに質問ってあんまりしないよね……と思う。
牧志 浩太
しないのか。
「いざとなったら何とかなる」ので、牧志は機嫌を損ねて置いていかれる懸念も人間牧志より薄いし、遠慮なく聞いちゃうな。

※人間牧志は牧志で、慎重に聞き出そうとしそう
KP
少年態度は悪いけど雑談には応じてくれる。
割とシナリオで『ここでNPCに質問があったらこう答える……』という場所があっても、そもそも質問する流れにならないことが多かったりするんですよね。
会話の流れでちまちまと情報出したり、KPCがいる時はそちらから質問させたりすることもあります。

KP
「月まではまだ距離がある。暇だったら星でも食べているといい」
佐倉 光
「星? 食用? それ人間にも食えるのか?」
KP
「 ああ。問題ないよ……」
牧志 浩太
とりあえず少年の言葉でもたらされた、目の前の未知の食べ物も気になった。
牧志 浩太
「食べられるのか、これ。
石を食べた時のことを思い出すな。

あの時は、咀嚼や食感はなかったんだ。
今度は噛めるのかな。どんな味なんだろう」
牧志はなんやかやで石を食べられる体になったことがある。
牧志 浩太
足元の星をいくつか拾い上げて、汚れがついてなさそうなら軽く舐めてみる。
KP
あなたが足元の星を拾い上げ観察し始めると、少年はおもしろがるように暫く黙って見ていた。
だがあなたが口に運ぼうとすると、くすくす笑って手を振る。
KP
「ああ、違う違う、それじゃない。
まあ食べられるかも知れないけどお勧めはしないよ。それは道の星だから。
あっちさ」

少年は道の先を指した。
3メートルほど先の道の端に、きらきら輝くものが浮かんでいた。
牧志 浩太
「ああ、あっちなのか。ありがとう」
そちらを見る。
空の上でささやく生きている星たちや、道を構成している星たちと様子は違うだろうか。
KP
それは二センチくらいの大ぶりな金平糖のように見えた。
道の脇、ちょうど視線くらいの高さに佇むようにふわふわとふたつ浮いて、黄金の輝きを放っている。
それは道を形成している星たちとは明らかに違うように感じた。
遠くに見えている星たちに雰囲気が似ている。あれらを間近で見たらこのように見えるのだろうか。
佐倉 光
「綺麗ではあるけど、食えるものには見えねぇな」
KP
佐倉はそう言うが、星の輝きはあなたに綺麗な鉱物を食べた記憶を呼び起こさせた。
あの基準で言うなら……明らかに『美味しそう』に見えた。
KP
星美味しそうに見える人珍しいと思う。
牧志 浩太
まったくだ。意外な感覚を知ってしまった。
牧志 浩太
「へえ、……本当だ、道の星より美味しそうだ。
あれは生きてるのか?」

ふと、あの時食べた光る鉱物の塊を思い起こした。
あれ、美味しかったな。あの星もきらきらとして美味しそうだ。
KP
生きているのか、という問いに少年は少しの間沈黙し、
KP
「生きてはいないかな」
と答えた。
佐倉 光
「ふーん、まあこんな小さなとこに生命体がいたら驚くけど」
佐倉も星をつまみ取ってしげしげと見つめた。
牧志 浩太
死んだのかな。
その暫くの沈黙にそう思った。
他の食べ物と同じなのかもしれない。
牧志 浩太
近くまで来たら、その星を拾い上げてみよう。
KP
綿菓子のように軽いその形はでこぼこで薄い金色に輝いていて、
ほのかな温かさを感じる。
KP
「喰べてみれば、それがどんなものかわかるさ」
少年は面白そうに笑う。
牧志 浩太
少年の愉快げな笑みを見ていると、単に美味しいとかじゃなくて、何かあるんだろうな。
牧志 浩太
でも美味しそうだし、食への好奇心って抑えがたい。
牧志 浩太
「頂きます」
手を合わせ、星を口に入れる。
KP
あなたは星を自らの口に放り込む。
それを噛めば、かり、と軽い音が口内に響いた。

舌にまず伝わるのは、ほんのりとした甘さ。
なめらかで、どこかやわらかい。
砂糖菓子のように星は舌へ、口の中へ溶けていく。

ごくん、と呑みくだしたそのとき。
あなたの胸。心の中が、湧き上がるように温かくなった気がした。
何かを、誰かを大事に思うような強い強い気持ちに似ていた。

けれど直後、それは錯覚のように胸から消えている。
あなたの心に残ったのは、凪のように穏やかな静けさだった。
KP
SAN値回復 1d10+10
佐倉 光
「……泣いて……んのか? 不味い、わけじゃなさそうだな?」
佐倉が言う。
あなたの頬を一筋の涙が流れ落ちていた。
湧き上がった暖かさが目から溢れたように、あなたには思えた。
牧志 浩太
1d10+10 Sasa 1d10+10→ 7+10→合計17
SAN 37 → 55(MAX)
KP
回復量がデカァァァイこのシナリオ
牧志 浩太
デカァアアアイ!
でも最大値55だ! ヒドォオオオイ!
最後にある処理のための多めの回復量です。
牧志 浩太
「あ……、れ?」
おかしいな、美味しくて暖かかったのに、目から涙がほろりと落ちた。

胸をやさしく暖める熱が、溢れて涙になったみたいだった。
牧志 浩太
「美味しかったんだ……。
甘くて、美味しくて、温かかった。
誰かを大事に思う気持ちを食べたみたいだ。

俺、また概念を食べてるのかもしれない」
牧志 浩太
消え去った熱は、薄れかけた魂にやさしい確かさを運んできてくれた。
想いって、こんなものだったんだよ、と教え直してくれるように。
KP
星を呑みくだすと、少年が静かな瞳であなたを見つめていた。
佐倉 光
「ふーん……」
KP
眉根を寄せ自分がつまんだ星をじろじろと眺める佐倉。
KP
「心配しなくても毒なんて入ってないよ。ほら」
少年は少し進んだ所に浮いていた星を手に取って口に放り込み、かみ砕いて見せた。
ぽりぽりと軽い音がする。
佐倉 光
「そんなの警戒してるわけじゃねーけど」
KP
佐倉も星を口に入れ、舌の上で転がしてから噛み砕いた。
佐倉 光
「……ん……」
KP
胸のあたりを握って震える息を吐く。
その目から涙がこぼれ落ちた。
だが次の瞬間には何事もなかったかのように瞬いている。
牧志 浩太
「佐倉さんのも、同じ味がした?
温かくて、少しだけ胸を突くような味」
こぼれ落ちる涙を見て言う。
佐倉 光
「なんて言ったらいいか。暖かすぎて怖くなった」
佐倉 光
1d10+10 Sasa 1d10+10→ 5+10→合計15
SAN 27 → 42
牧志 浩太
「なあ、これ、何なんだ?」
静かにこちらを見ている少年に問いかける。
KP
「食べられる星。
人間の心を癒やす効果があるみたいだ。
少し心が軽くなっただろ?」
牧志 浩太
「ああ、少しどころか、随分癒されたよ。
忘れそうになってたものを思い出した気分だ。ありがとう」
KP
「そう。なら良かった」
牧志 浩太
「これ、別に誰かの気持ち……とか、そういうのじゃないんだよな?
あまりにいいものだったから、食べていいものなのかどうか、少し怖いんだ」
KP
「ふぅん……
それを聞くのは無粋じゃない?  美味しいものは静かにいただくのが人間の作法じゃないの?  知らないけど」
少年はさあ行こうと促した。
牧志 浩太
「そこは意見が分かれるかな」
せめて、死んでしまった気持ちだというんなら、まだいいんだけど。
誰かに届けるはずのものだったら、悪いな。

そう思いながら、少年の後をついてゆく。
ついてゆきながら、周囲の風景を見回す。
牧志 浩太
牧志は美味しいものはワイワイ感想言いあいながら食べるのが好きそう。
KP
美しい星空は音もなくさざめいていた。
少年はとくに何かをいうでもなく歩き続ける。
景色が変わることもなく、道は延々と続いた。
佐倉 光
「そーいえばさ、お前なんて名前?」
佐倉が退屈しのぎにか口を開いた。
KP
「僕は案内人リード
案内人でもリードでも、好きなように呼べばいい 」
佐倉 光
「へぇ、名は体を表す的な。
名前と役割どっちが先に決まったんだ?」
KP
リードはむっとした顔で佐倉を軽く睨んだ。
KP
「……役割だよ」
牧志 浩太
「人間の名字だって、場所か役割だったりするしな。
似たようなものかもしれない」

そこに微妙なフォローを入れながら、音もなくさざめく星空の間を歩く。
KP
延々と歩きます。
牧志 浩太
なるほど。話しながら歩こう。
佐倉 光
「じゃあ、リード。どこまでリードしてくれるんだ?」
KP
「月までだって言っただろ」
佐倉 光
「ああ。その月ってどれくらい歩けば着くんだよ」
KP
リードはあなたと佐倉の顔をちらと見て、
「もっともっと先だ」と返答した。
KP
オープンで〈心理学〉振ってもいいよ。
牧志 浩太
1d100 77〈心理学〉 Sasa 1d100→ 24→成功
KP
あなたは、その視線がより佐倉の方を長く見ていたように思えた。
何か気になることがあるのだろうか。
牧志 浩太
「……何か、気になることでもあるのか?」
あんまり答えてくれそうにない気がしながらも、素直に聞いてしまう。
KP
「あんたたち、あまり体力に自信がありそうに見えないな、と思っただけさ」
彼は嘘をついた。
KP
リードは素足のまますたすたと歩いて行く。
佐倉 光
「これでも前よりはマシなんだぜ?」
KP
佐倉は憤慨して見せながら歩を進めた。
牧志 浩太
「まあな。そういうタイプじゃない」
雇用主とやらの意向か彼の意向か知らないけど、やっぱり裏事情は話さないつもりらしいな。

もしかしたら、気遣いのつもりかもしれないけど。

KP
【CON】19もあるんだけどな今。
まあー、別に見た目ムキムキマッチョメンになってるわけじゃないからー
牧志 浩太
とはいえ【INT】86だMP100だいう世界の中でそれだから、「体力派じゃない」と言っていいかもしれない。
KP
それはそう。
普通に結晶牧志には負けてたし。
この話、延々と歩く間に話したかったら話してね、という時間があります。
リードを巻き込んでもいいし巻き込まなくてもいい。
牧志 浩太
なるほどなるほど。ではリードと三人で何となく話をするかな。
佐倉さんと重い話をする雰囲気でもないし。

牧志 浩太
そういえば、自分達は靴を履いているんだろうか?
ふと自分の足元を見下ろしてみる。
KP
あなた方は靴を履いている。
足元の道は砂浜か何かのようで、素足で歩いても痛くはなさそうに見える。
牧志 浩太
歩いたら気持ちよさそうだ。
砂の上を歩く行為に興味をひかれて、靴を脱いで素足でそれを踏んでみる。
KP
さらさらとした砂のような感覚が指の間に入り込む。ほんのり暖かく感じた。
牧志 浩太
「お、気持ちいい。
佐倉さん、指の間に砂が入るの嫌じゃなければだけど、これ気持ちいいよ。温かい」

夏の夜の砂浜を歩くような、そんな感触だ。
まだ昼の熱が抜けきらない、穏やかな温かさ。
機嫌よくそのまま素足で歩く。
佐倉 光
「なあリード。あっちには何がある?」
KP
佐倉は進んでいるのとは逆の道を指した。
KP
「文字通り、何も無いよ。
時間の無駄だから、行ってみようなんてしないでくれよ?」
佐倉 光
「……正直変化なさ過ぎて飽きてきた」
KP
「きみ、飽きっぽすぎだろう。そうらしいとは聞いていたけど」
牧志 浩太
「まあまあ。
こんなに何もない所を歩くなんて、普段そうそうないしさ。

俺達の性格も聞いてるんだな。
ちなみに、どう聞いてる?」
KP
「そうだなー、まずきみは……」
とあなたを見つめる。
KP
「牧志浩太。随分と強い縁に縛られてる……って聞いてたけど、そうは見えないな?
いろいろと苦労が多い人生送ってて、特定の神様の興味を惹いちゃってる気の毒な人間」
KP
「それから佐倉光。好き好んで魔界に入る変態の一人だろ?
こっちも縛られてるって聞いてたけど……解消してるように見えるな。
きみはそういうものではないのに自分から縁に囚われに行ってる。二重に変態だろ。

二人まとめて随分色々酷い目に遭ってて、疲弊してるって聞いてる。
ただ……」
リードはふと何かを言いかけて、首を振った。
KP
「まあ、いいや」
牧志 浩太
「結構詳しく聞いてるんだな。
その後色々あってさ、今は少し落ち着いてるんだ。
まあ、直前にまた色々あって、ちょうど凹んだ所だったけど」
牧志 浩太
「……ちなみに、飽きっぽいのも聞いてたって話だけど、性格面は?」
KP
「きみはお人好しでわがままで頑固な優しい奴だって聞いてる」と牧志に。
KP
佐倉には
「自己中言動ばっかしてる頭でっかちで、臆病で優しい奴だって聞いてる」
佐倉 光
「……その評価下したの誰だよ」
KP
「……さあね。ぼくじゃない」
牧志 浩太
「結構毒舌。
佐倉さん、別に頭でっかちじゃないと思うけどな」
牧志 浩太
「でも、これまでの諸々考えたら、何だか納得が行く気はするな。
俺達の周囲の人のことも聞いてるのか?」

三人の声が静けさに吸い込まれて消える。
賑やかなような静かなような、孤独なようなそうでないような、不思議な道行きだ。
KP
「いや? 僕が聞いているのは君たちだけだね」
リードは肩をすくめた。
牧志 浩太
「そうか」
少し安心したような気がした。
ここにあるのは悪意ではないような気もするけど、干渉はない方がいい。

コメント By.佐倉 光
人間の枠からはずれてしまったふたりは星の道を往く。

色々あって人間じゃなくなった二人が足掻く様もやりたいよね、ということで、そんな二人でも素直に歩けそうな美しい回復シナリオです。
回復に来るのに正気度残ってたら意味ないので、シナリオ外でまず削りましょう!?

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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