TRPGリプレイ【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 5

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こちらには『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
再度孫和新聞社へ。
佐倉はあのジューススタンドを気にしながらついて行く。
牧志 浩太
「……? まだ気になるのか?」

何がそんなに気になるんだろう。
佐倉さん、そんなに甘いもの好きじゃなかったよな。
記憶を失って、好みも変わってるのか?
KP
ちなみにジューススタンドで飲んだときの【アイデア】ファンブルはまさに、「佐倉は甘い物をそんなに好んで飲まない」でした。
牧志 浩太
なるほど!?
たぶん、こどもぱにっくの時のことを思い出してたせいでつられたのでは。

KP
新聞社の受け付けにいくと、またあの女性が会議室に案内してくれた。
牧志 浩太
少し、ぞっとした。
さっきから、記憶が戻る様子はない。一瞬見えた感情だって、また見えなくなってしまった。
あの路地裏でも、家でも佐倉さんの部屋でも、あの傷と鱗のこと以外、何か思い出す様子はなかった。

どうすればいいんだ。
東浪見たちに会いに行ってみる?
佐倉さんと一緒に何かあった場所を巡る?

でも俺達は狙われてる。追われている。
捕まったらお終いだ。悠長にしている時間はない。身体が重い。頼れる人がいない。
どこで休んだり眠ったりしたらいいのかさえ、分からない。

逆に、あえて偵察しに行ってみる?
でも、それは、せっかく朽名さんが逃がしてくれた佐倉さんを、あいつらの所に連れて行くだけにならないか。

また佐倉さんがあいつらに指示されて、あいつらの所に戻ってしまったら、もう取り戻す手段が……。

そんなことをぐるぐると考えながら、会議室へ向かった。
KP
「やあやあ、随分と早かったですね。お待たせしました。
何か見つかりましたか?」
竜野はにこにこと愛想笑いを貼り付けたままで現われた。
牧志 浩太
「ええ。路地裏に、こんなものが落ちていました。

蛇の鱗にしても、魚の鱗にしても随分と大きい。

路地裏の住所はここです。ここで、大きな蛇が逃げ出したなんて目撃談はありませんでしたよね」

竜野に鱗を見せ、路地裏の住所を提示する。
一度言葉を切って、反応を見る。
KP
「ほう、ちょっと拝見しても?」
言いながら手を出される。
牧志 浩太
鱗を差し出す。
これ自体が重要なわけじゃない。ただの物証だ。
KP
竜野は鱗を受け取って光にすかしたりルーペで見たりと観察する。
そして感心したように鼻を鳴らした。
「これをここで? なるほどねぇ……大したもんだな。
他には何もありませんでした?」

あなたも佐倉も、他には何もなかったように思う。
牧志 浩太
「後は何もなかったように思います。
僕達が見た限りでは。

……約束の通り、教えてくれますか」
KP
竜野はにぃ、と笑った。
「ようがす。確かに受け取りましたよ。
想っていたより早く確実、素晴らしい仕事だ。

ではお約束の情報はこちらですよ」
彼は手帳に何かすらすらと書いて破ってて渡してくる。

ここから車で一時間ほど走った山中だ。
KP
「それで……」
竜野は椅子をずい、と引いて近づいてくる。

「先ほど仰っていたヒナドリとやらについて詳しくお聞かせ願えれば、
色々と助かるんですがね」
※教えても教えなくても良い。
牧志 浩太
手帳のページを受け取る。
その住所を記憶に叩き込んでから、自分の日記帳と朽名さんの手帳に書き写す。
牧志 浩太
「いいでしょう。
こちらは、物証はありませんが」

佐倉さんがその被害者だということと、朽名さんが阻止するために動いていることを除いて、計画について分かっていることを話す。
KP
「へぇ、なるほどなるほど、面白いお話だ。
いやはやゾッとしますな。
もしかして、そっちの彼は関係者で?」
竜野は佐倉を無遠慮に指す。
牧志 浩太
「少しは。それで、他には何か?」
KP
「なるほどなるほど、是非詳しくお話を伺いたいところですねぇ」
竜野が前のめりになって佐倉を見るが、佐倉はどこ吹く風だ。
TALK
牧志 浩太
竜野の口調がい~~~い感じにうっさん臭くて好き。意識的に人をけむに巻くタイプだぁ。

ちなみに竜野に対して途中から「僕」で統一してるのは、慣れてない風を見せないように意識的に「交渉中の波照間」になりきってるためです。
佐倉さんと話す時だけ牧志に戻る。
KP
なるほどー!
竜野悪魔扱いだった
牧志 浩太
だ、大丈夫、悪魔じゃなくて聖さんとか藤江チーフとかと交渉した時の方(藤江チーフの方はCHARMされてたけど)だから!
悪魔との交渉はめちゃくちゃ素だからあんまり意味がない。

牧志 浩太
「僕から出せる情報はここまでです。
他に何かあるなら、詳しくお話ししますが?
例えば、問題の会社の稼働時間とかね」
KP
「いやぁ残念、
こちらから今お出しできる情報は以上でしてね」
竜野は名刺をあなたと佐倉に差し出す。
「何かありましたら是非こちらへ。
お力になれることがあればさせていただきますんでね。
ギブアンドテイクといきましょうや」
佐倉 光
「……」
KP
佐倉は受け取らなかったので、竜野は苦笑いしてあなたに二枚手渡した。
牧志 浩太
「ええ、その時はぜひ」
それだけ言って一礼し、新聞社を出る。
KP
あ、じゃあその前に。大したことじゃないけど〈聞き耳〉
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→66→成功
KP
竜野は帰ろうとするあなた方を引き留めると、編集部らしき部屋へ入っていった。
「おーい、ゆうちゃん、前に頂いたやつあるっしょ。まだ開けてないよねあれ? そう、余ってたやつ。ああ、それ持ってきて」
微かにそんな声が聞こえて。

贈答用の菓子の包みを持ってきてあなたに手渡した。
「つまんないもんですけど、
召し上がってくださいよ」
牧志 浩太
「へ?」
想定していなかったものが出てきて、一瞬つい素な声が出てしまった。
牧志 浩太
「まあ、頂きますけど」
この程度で貸しを作るつもりでもないだろう。
頂きものって聞こえてたしな。受け取る。

今の佐倉さんは甘いものが好きだっていうなら、喜ぶかもしれない。
そうでなくても、そろそろ何か食べたいのは事実だ。
KP
た「こういうちょっとしたことが後に繋がるかも知れないわけだよ。」

KP
ビルから出ると、昼過ぎの暖かい陽が少し陰り始めていた。
牧志 浩太
「佐倉さん、お菓子だってさ」
新聞社を出てから、包みを解く。

一応、外袋に開けた跡や、中身に異状がないか確認してから
(仕掛けがないか以前に、普通に期限切らしてるとかありそうだ、あの新聞社)
佐倉さんにひとつ差し出す。
KP
開けた形跡がない包みは少し埃っぽかったが、賞味期限は問題なかった。
佐倉 光
「いただきます」
KP
佐倉は菓子を手に取り口に運んだ。
牧志 浩太
なんとなく、その様子を見ている。
たっぷりその様子を観察してしまって、佐倉さんが食べ終わってから、思い出したように自分も菓子を手に取る。
KP
菓子は少し甘すぎるような気はしたが、まあまずくはなかった。
牧志 浩太
佐倉さんは、前のように喜ぶような様子を見せるかな。
あの顔が見たいような気もして、菓子をもう一つ手に取る。

これは…… 俺の方が親鳥になってるな?
佐倉 光
「……」
KP
空腹だったのだろうか、佐倉は夢中で食べている。
喜んでいる……のだろうか?
無心に食べる様子は雛鳥じみているかもしれない。

あなたの視線に気付いたか、怪訝そうにあなたの方を見返してきた。
牧志 浩太
「ああ、ごめん。さっきさ、ジュースが美味しそうだって言ってただろ。
甘い物、好きなのかなって。どう?」
佐倉 光
「……?」
KP
手元の菓子を見下ろして首を振る。
佐倉 光
「空腹だったので」
KP
それから目を数度瞬いて、
佐倉 光
「あのジュースは、美味しそうな匂いと味でした。
気になります。理由は分かりません……」
KP
困惑していた。
牧志 浩太
「そう……、なのか?
甘いものが好きなんじゃなくて、あのジュースが好きなのか?」
言うこちらの方が、菓子をもう一つつまんでいる。何か入れたら余計に空腹になってきた。
牧志 浩太
昼下がりの陽を睨む。

時間には限りがある。
結構遅くまで騒がしい所はあるけど、それでも、真夜中には街から人の姿が消える。

そうなったら、逃げる場所がなくなる。
牧志 浩太
「よし。佐倉さん、ちょっと考えを整理したい。ついでに食事にしよう」
駅前の混雑しているカフェを狙って入る。
入り口近くの席を取って、何かあったらすぐ出られるように、先に会計する店を選ぶ。
佐倉 光
「……はい、食事をとります」
KP
佐倉は頷いた。

KP
昼の真っ盛りは過ぎたところだが、まだ客は多く、賑やかに喋っている人々の声が当たりに満ちている。
あなたと佐倉が腰掛けた席は入り口近くの人通りの多い席で、ひっきりなしに近くを店員が行ったり来たりする。
ここで騒ぎを起こすなら目撃者が多数出るだろうし、交番も近い。
また、店までは監視カメラが付いた階段を登る必要があり、トイレも店内の目立つ場所にあるので、あなた方を追う連中も簡単には手を出せないだろう。

軽食のランチメニューはまだぎりぎり食べられる時間だ。
牧志 浩太
よし、と頷いて店内に入る。
カフェっていつでも混んでるな、とか思っておいてよかった。
牧志 浩太
「佐倉さん、外を見ておいて。
こっちをずっと見てる人や、何人かで囲もうとしてる人がいたら教えて」

二人分のランチメニューを頼み、そう佐倉さんに指示して着席する。
ドリンクは佐倉さんの分を普通のコーヒー、俺の分は……選択肢がないな。
カフェインレスコーヒーってやつ、頼んでみるか。

……ここなら少しは居ても大丈夫そうだ。
牧志 浩太
休息を兼ねて、少しゆっくり食べることにする。
KP
ランチメニューは好みのパスタとサラダ、ドリンクだ。
佐倉 光
「……」
KP
佐倉は窓から外を見ながら食べ始める。
今のところ怪しい動きをする者はいないようだ。
ふと、佐倉が言う。
佐倉 光
「次はどこへ?」
どうしよう
KP
実際、本拠地に突っ込む! ってのは割と無謀な気はすんのよね。
ただそこにしか情報がないし、このままだといずれ二人とも捕まるから突っ込むしかないってとこかなぁ。
おかしくなった佐倉を治す方法もそこにあるかもしれない、ってのも確証はないしね。
牧志 浩太
なんですよね。
しかも敵が来たら佐倉さん取られてしまうのが分かってるから。
相棒と二人で突っ込めるならまだしも。
まだ、記憶に関わる場所を回ってみよう、って方がありそう。
KP
そっちしばらくやります? それでもいいよ!
場所とタイミングは選んでもらわないと襲撃が発生するけど。
牧志 浩太
なんだかKPからヒント引き出させちゃってすみません! PL的にもどっちが想定ルートなのか分からなくて「うーん」ってなってた。
KP
どっちに行ってもらっても何とかなるからヘーキー
牧志 浩太
ありがとうございます!
なら一カ所くらい行ってみて、無駄足だったら例の住所へ、にさせてもらおうかな。
KP
佐倉のコントロール奪われる可能性があるのは知ってるもんな~
牧志 浩太
なんですよねぇ。中和剤1つしかないし、戦闘PCでもその状況でなかなか「本拠地行く」とはならんなって。
因みに、行くとしたら緋寒&深山と別れた映画館の前かなと思ってます。街中だろうし。
KP
なるほどなるほど。いいと思います。

牧志 浩太
「そう……、それなんだ。その方針を決めたくてさ」

コーヒーの熱さと苦味には結局戸惑って、香りを嗅ぎながら少しずつ飲んでいる。

それを傍らに、いつも使っている日記帳とペンを取り出す。
牧志 浩太
「今の所行けそうなのは、あの住所だ。
でもあそこは佐倉さんが逃げてきた所で、あいつらの本拠地だ。
行けば何か分かるかもしれないけど、間違いなく危ない」
牧志 浩太
「もう一つは、佐倉さんと俺がこれまでよく行ってたりした場所。
でも、家でも部屋でも、あの路地裏でも、佐倉さんの記憶が戻りそうな感じはなかった。

正直どっちも、確証がなさすぎる。
でも、他に当てはない」
佐倉 光
「……」
KP
佐倉はしばらく黙って外を見ていた。
佐倉 光
「マキシが調べているのは、その住所の場所で行われていることなのですか?」
牧志 浩太
「ああ、そうだよ。そこで行われてることで間違いないはずだ。今更無関係とは思えない」
頷く。
佐倉 光
「……さっきの新聞社の人の口ぶりから、情報は外に漏れていないと推測できます」
牧志 浩太
「ああ、そうらしい」
佐倉 光
「調査するのであれば、中に入る手段があれば……」
KP
視線が宙を泳いだ。
佐倉 光
「……分かりません。
知られるのを嫌う会社なのであれば、入れて貰えるとは思えません」
KP
どうして自分がそんなことを言い出したのか分からない、というように呟いた。
佐倉視点(ネタバレ)
佐倉は自然にハッキングをすることを発想しましたが、それは『ヒナドリ01』の知識にはない手段です。

牧志 浩太
「……」
じっと、佐倉さんの目を見る。
佐倉さんは……、俺のためにそう言ってくれてるんだろうか。
それとも、まだどこかで、あいつらに操られてるのか?

……確証がない。何も。
牧志 浩太
「中に入る手段……、か。
そうだな、一つだけ考えてるんだ。
あいつらは佐倉さんを取り戻そうとしてる。
佐倉さんなら、もしかしたら、滑り込めるのかもしれない」
佐倉 光
「僕が、そこで重要であるなら、戻れば入れて貰えると思います」
KP
佐倉は頷く。
牧志 浩太
「でも、危険すぎるんだ。
それは、佐倉さんを囮に使うことになる……」
牧志 浩太
「普段なら、こういう時に一番頼りになるのは佐倉さんなのにな」
つい、言うべきではない言葉が、弱気な言葉が漏れた。
佐倉 光
「頼りになる?」
KP
佐倉は首をかしげた。その目が腕輪に落ちる。
佐倉 光
「はい。僕は戦えます」
牧志 浩太
「……確証がない、危険、か。
俺、何度そう考えてるんだろうな」

ちらりと外を見た。昼下がりの陽が陰ってゆく。
牧志 浩太
「確証のある道なんてない。危険のないやり方が見つかる前に、捕まって終わる」
牧志 浩太
「あそこへ行くなら、夜になる前にやるべきだ」

拳を白くなるほど握って、開く。
迷いしかない。俺のせいで、俺も佐倉さんもお終いになるかもしれない。

でも。

迷いを断ち切るように、自分で呟く。
牧志 浩太
「佐倉さん、一つだけ試させて。先に、前に一緒に行った映画館に行きたいんだ。

それで駄目だったら……。
覚悟を、決めるよ。あの住所に行こう」

ああ、言ってしまった。
拒否できない佐倉さんに、佐倉さんまで分の悪い賭けに持ち込む道を。

決めて、しまった。
KP
佐倉は窓から外を見た。空はまだ明るい。
佐倉 光
「はい。日暮れまでは2時間程度です。
現在、外に僕たちを監視している存在は見えません。

まず映画館に行きます。
そこで進展がなかった場合は該当住所へ行きます」
KP
佐倉は、自分の運命をねじ曲げかねない決断に対し、淡々と答えた。
牧志 浩太
「……」
牧志 浩太
「行こう」

繰り返して、席を立つ。
日暮れまで2時間、案外時間がない。
急ごう。
牧志 浩太
以前にサメ映画を見た映画館へ、人の多い場所を伝って向かいます。

KP
雑踏の中を歩く、歩く。
突然佐倉がよろけた。

「おう、そっちからぶつかっといて何もないのかよ、アぁ?」
横から柄の悪い声が聞こえた。
どうやら佐倉が人にぶつかったらしい。
だが佐倉はぼんやりと前を見ている。
「聞いてんのかよアぁ?」
絡んできているのはあからさまに頭の悪そうな男だ!
雑踏が割れ、周囲の人々が面倒事をいやがって離れてゆく。

佐倉の手がすっと左手の腕輪に触れた。
牧志 浩太
「すみません。
佐倉さん、行こう」

佐倉さんの手を引き、交番の方へ向かう。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
マキシは戦うことを望んでいないようだ。
であれば、あなたはこういう時にどうすべきだろうか。
弱さを装い、頭を下げ、取るに足らない下らない存在に見せかけて素早く立ち去るのが一番効率が良いのではないだろうか。
この状況、この相手には、それが一番効くだろう。

KP
佐倉はあなたの顔を見ると、
佐倉 光
「すみません、前を見ていませんでした、ごめんなさい、ごめんなさい!」
KP
情けない声で男にぺこぺこと頭を下げてあなたについていった。
男は何やら文句を言っていたが追ってまではこなかった。
あなた方は交番の前まで行けるだろう。
牧志 浩太
「ごめん、気づくの遅れたな。
判断してくれてありがとう」

男が追ってこないなら交番には入らず、佐倉さんの手を引いて改めて映画館の前まで行く。
ESCAPE
牧志 浩太
何もされてないのに、純粋に追い詰められてるだけで牧志から他の人のことを考える余裕や動揺や色々なくなっちゃってる……。
KP
「自分の身が危なくなったら、逃げていいし、戦っていい。」
って牧志が命令しておいてくれた&牧志が戦いたがっていなかったので、スムーズな逃亡を選びました。
牧志 浩太
なるほどなぁ。
KP
シナリオには無表情のまま攻撃的行動をとって威圧するって書いてあるのだ!
牧志 浩太
牧志の命令のおかげで街中COMPが避けられた!

KP
あのサメ映画はもう終わっており、ビルから飛び出ているのは見得を切る歌舞伎俳優だった。
何か大きめの作品の上映開始時間なのか、人がビルへと吸い込まれて行く。
牧志 浩太
ああ。
夕焼けの中でこの前に立つだけで、色んなことが思い出される。

追い詰められて乾きかけていた心に、ぽとりと涙が落ちるような気がした。
佐倉 光
「映画館ですね。
現在上映中の作品は……」
KP
佐倉は淡々と作品名を読み上げる。
佐倉 光
「映画を観るのですか?」
KP
あなたに問いかける佐倉には、何の感慨もないようだった。
牧志 浩太
「覚えてない? ここで、緋寒と、深山と別れたんだよ」
佐倉さんに声をかける。
久しぶりに穏やかな声が出た気がした。
少し諦めの覗いた穏やかな声だった。
佐倉 光
「ヒカン……ミヤマ……」
KP
佐倉は呟いて通りを眺めた。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
緋寒・深山。おそらく桜の名称だ。
だがそういった名前の人物に心当たりはない。

KP
あなたの脳裏を、夕暮れの雑踏に消えてゆく、蘇芳色の髪と濃藍の髪の青年たちの姿が一瞬よぎったかも知れない。
佐倉 光
「分かりません」
KP
そう言った佐倉の顔にも声にも、何もなかった。何も。
牧志 浩太
「ごめん、佐倉さん。
……行こう。日が落ちるまでに、あの住所へ行くんだ」

佐倉さんの手を取る。
もう一度だけよぎった迷いを捨て、踵を返した。
……急ごう。

夕暮れの雑踏に消えてゆく二人の姿が見えたような気がしたのは、きっと俺だけだ。
牧志 浩太
V製薬に向かいます。

KP
車や電車などを使えば暗くなる前に近隣までたどり着けるだろう。
それから徒歩で山道を行くことになる。
人気のない場所を歩かねばならなかったが、襲撃はなかった。
牧志 浩太
嫌な感覚だ。
誘い込まれているような…… そうかもな。
あいつらの手元に自分から戻ろうとしてるんだ。
KP
山道を進んだ先、低山の頂。徒歩でしか行けない森の中に灰色のビルが建っていた。
佐倉の首に刻まれているものと同じ『V』を意匠化したエンブレムが記された門には扉はない。
2階建てのビルは小規模で、カーテンに隠された内部は窺えない。
正面扉もかたく閉ざされていた。
牧志 浩太
思わずそのエンブレムを睨む。
距離を取りながら、裏側へ回ってみる。
KP
裏手には表側より小さく厳重な扉がある。
横のパネルはどうやら触れて認証するタイプの物らしい。
相変わらず人の気配はない。
牧志 浩太
電子錠だ。
佐倉さんがいつものようにやれればな、と、また少し思ってしまう。
牧志 浩太
「佐倉さん。あれ、開けられそう?」
小声で囁く。
もしかしたら、今の佐倉さんは開け方を知っているかもしれない。
佐倉 光
「分かりません。
けれど、僕がここの人間・所属と認識されているなら、開く可能性はあります」
KP
佐倉は自分の手を開いてみせる。
言外に『触れてみていいか』と訊いているようだ。
牧志 浩太
「待って、監視カメラがあると思う。確認する」

辺りを見回し、カメラがあれば隠すなりして行く。
どうせ今の時点でバレてるだろうから、気休めに過ぎないけど。

……俺が全部覚えてればな。
悔しい。
KP
監視カメラはない。
いや、それらしきものは隠蔽されているだけなのかも知れないが。
無謀だぁ
KP
・敵がこちらを追跡する手段を持っている
・佐倉のコントロールは奪われる可能性がある
・人目がないので助けて貰えない
・敵勢力多い
・対処法らしきものといえば『朽名が協力してくれるかも?』くらいしかない

これで突っ込まなきゃいけないの辛いね! ごめんよ牧志。
しかもこんな入り口じゃ来たのもバレバレだし。
もーちょっとナントカすべきだったとKP反省してます!
牧志 浩太
しかも監視カメラをなんとかする手段すらない! 悔しい!
牧志が「悪魔使いでハッカー」ならもうちょっとやれることがあった分(CoCの波照間は〈コンピューター〉振ってないのでアレですが)
より悔しい。
いえいえ、PL的にも「これは記憶を取り戻す前に行くのはムリだよな? でも記憶が戻りそうなきっかけがないな??」でウロウロしていたので、PL的に明確になれば後は牧志を困らせるだけ!(ひどい)
KP
ひどい!
牧志も佐倉も頑張れ!
生暖かく見守りながら追い込むから!
牧志 浩太
遠慮なく追い込まれます!

牧志 浩太
「……いいよ、頼む。
中へ入れたら、佐倉さん、先を歩いて」

そう、指示する。
せめて、パネルの正面を避けるように位置取る。
佐倉 光
「はい」
KP
佐倉がパネルに触れると、小さな電子音ののち扉がカチリと音を立てた。
扉が開いたらしい。

中はそのまま土足ではいるタイプの建造物らしい。殺風景な廊下を佐倉は前に立って歩いて行く。
コツコツという足音が白いのっぺりとした廊下に響き渡った。
牧志 浩太
そのすぐ後ろにぴったりと付き、佐倉さんの右腕を掴みながら、辺りに気を配りつつ歩く。
咄嗟の時に佐倉さんを拘束するためだ。慣れてないから、自信はない。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
誰かがあなたに命令した。

落とせ。

KP
唐突に佐倉が振り向く。
そしてあなたを振りほどいて突き飛ばした。

【STR】×3で判定。
牧志 浩太
1d100 33 ☆ささぼっと☆ 1d100→53→失敗
KP
不意を打たれたためだろうか、あなたの手は佐倉から離れる。
同時、足元の床が消失した。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは唐突に、目の前にいるのが牧志だと気付く。
あなたは佐倉。あなたは牧志を突き落としたのだ。
佐倉 光
咄嗟に助けようと手を伸ばす。

KP
落ちてゆくあなたは見る。
佐倉の背後にいる直立する蛇の姿。
そして目を見開き、落下するあなたに向かって手を伸ばそうとする佐倉の姿を。

〈聞き耳〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 98 ☆ささぼっと☆ 1d100→11→成功
牧志 浩太
咄嗟に、手を伸ばす。
KP
手は触れることなく、あなたは落ちる。

「まだ支配血清に抗うのか。やはり再刷り込みが必要だな……」

息が漏れるような音が混じった、そんな声が微かに聞こえた。
牧志 浩太
ああ。
ああ……。

賭けに負けた。
そんな痛みが心臓を貫いた。
一瞬覚えた怒りが、己を呑み込む無力に呑まれていく。

咄嗟にベルトポーチを庇おうとしながら、落ちる。落ちていく。

佐倉さん、ごめん。
そんな声が僅かに喉から漏れた。
牧志 浩太
そしてもちろんこうなるよなーっていう!(追い込まれる準備しつつ)
KP
ごめんなー!?
牧志 浩太
いいんですよぉおおお……(ヒューン)
佐倉視点(ネタバレ)
KP
遠くで「佐倉さん、ごめん」という誰かの声が聞こえる。
それはあなたの『親』の声だ。
いや、それだけの存在ではなかった気もするが……

KP
「再刷り込みを完了」
そんな言葉が聞こえた。

あなたは椅子に括り付けられ、身動きひとつできない状態にされている。

急激に記憶が戻ってくる。拷問を受け、自由意志を無理矢理手放させられたこと。自分が『ヒナドリ01』と呼ばれていたこと。『親』の命令には絶対服従の駒にさせられていたこと。
佐倉 光
怒りのあまり叫んで暴れたいという衝動に駆られた。
KP
幸か不幸か、意志に反して指ひとつ動かせない。
あなたの外側に従順なヒナドリとしてのあなたがいて、それがあなたを閉じ込めているのだ。
佐倉 光
その枷を破壊しようともがく。
KP
あなたの心を全く無視して、いや、心があることなど気付かずに。
あなたに話を聞かれていることなど全く意識せずに、あなたを捕えた者達は話している。

あなたはヒナドリ01。
支配に揺らぎが見えるので、やり方を変える。
首筋の印により追跡は可能なので、逃亡されてもまた捕えることは可能である。
人間が『親』では不都合なので、みずからの手で『親』を殺害させることにより支配は完璧になる。

ヘビ人間が恨みにより人間を操って人間社会の崩壊を望んでいることなどは、あなたは洗脳時に散々聞かせられたので知っている。
佐倉 光
このままでは、俺は牧志を殺し、奴らの手駒にされるということだ。
KP
どうしようもない。体の自由がきかない。あなたを覆うヒナドリ01は、『親』に……ヘビ人間には絶対服従だ。
佐倉 光
覆う。拘束する。そうだったか?
もともとこれは俺の一部だ。
俺が自分の身を守るのに使う、俺の一部。俺の味方。抗うのではなく、取り戻せばいい。
俺がここにいることを奴らが知らないのなら好都合だ。なんとか機会をうかがって、最高のタイミングで食らいついてやる。
まずは自分の体の支配を取り戻すのだ。奴らに気付かれないように、何としても。
KP
部屋を、あなたの『正しい親』であるらしい御堂が訪れた。
戻ってきたあなたを気持ち悪いほどに褒め、馬鹿にしたように『エサ』を投げ与えた。

ヒナドリとしてのあなたが床に散らばった『エサ』を口に入れ噛みしめると、その感覚が、怒りが、あなたに力をくれた。
ほんの僅かずつ自分の体の支配を取り戻すあなたの横で、御堂は自分の計画と理想に、人間への侮蔑と怒りをこめて語り続ける。
佐倉 光
こいつが親玉か。これを倒せば事態が少しは好転しそうだ。
牧志は無事なのか?
いや、俺に殺させる気でいるんだ、きっと生きている。今は自分のことに集中すべきだ。

この男が元凶。俺をぶち壊して牧志を殺させようとした諸悪の根源。
ぶっ殺してやる。

牧志 浩太
この状況でPLそろそろ仕事っていうのが一番悔しい(ヒューン
KP
めっちゃくちゃいいとこですね!!

コメント By.KP
何も確証がなく、何も手がかりがない。
そんな状態でも突っ込まなきゃいけない時が……ある!?

だいたいそのシーン過ぎてから「こうしたら良かったなー」なんて思う!

TRPGリプレイ【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 4

魂くらいくれてやる。それ以上のものはやらない。

TRPGリプレイ【置】CoC『スペクト・ラム』 佐倉&牧志 5

「お、落ち着こう。まずはいったん落ち着こう。なっ。
なんかお前取り乱してる気がするから」

TRPGリプレイ【置】CoC『ワンナイト・ルバート』 佐倉&牧志(塔) 3

「懐かしい夢を見たよ」
「そうか……、邪魔されたくなかったな、その夢は」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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