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こちらには『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』
ネタバレがあります。

本編見る!
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは目覚める。
視界はぼんやりと歪み、頭が重い。
あなたは椅子に腰掛けている。
周囲には何者かが歩き回り、言葉を交しているが、あなたの意識はふわふわと浮いていてよく聞こえない。
佐倉 光
ここに至る直前の記憶を思い出し、拉致されたらしいと気付く。
武器はあるのか。
KP
ない。あなたの腕輪は外されたままだ。
あなたは頑丈な椅子に拘束されており、体を動かすことができない。
段々と鮮明さを増す意識の中に、周囲の者達の声が聞こえる。
「改良型支配血清の投与」「呪文は使用済み」「効きが弱く洗脳効果が薄い」「覚醒してしまう」……
あなたは自分が何をされようとしているのか理解してしまった。
佐倉 光
冗談じゃない。全精神を振り絞り怒りをもって抵抗する。
俺は俺だ。洗脳だと? 冗談じゃない!
KP
あなたの意識は急速に浮上する。
周囲の光景が理解できてくる。

ここは何処とも知れぬ、研究室か何かのような場所、そのガラスに隔てられた一角だ。
あなたは全身を拘束され、また薬品なのか別の何かによるものか、体を思うように動かせない。
周囲の者達はあなたを『ヒナドリ01』と呼称している。
佐倉 光
体を動かす。指先だけでもいい、目玉だけでもいい。声だけでもいい。
KP
体を縛っていた力は次第に緩み、あなたは自分の意思で体を動かすことができるようになる。
全身のぼやけていた感覚が戻ってきて、全身を押さえつける拘束具を感じるだろう。
暴れようとも破壊することはできそうにない。
佐倉 光
今どうにかならなくてもいい、とにかく意識を覚醒させて、チャンスを待とう。
KP
あなたの目の前に、周囲を歩いていた者の一人がやってきて、あなたの目をのぞき込んだ。
それは人間大の直立するヘビだった。
あなたは覚えているだろう、あなたを瓶詰めにし、生贄に捧げようとした化け物、ヘビ人間だ。
ヘビ人間はあなたの目をのぞき込んだまま何やら呪文を詠唱している。
佐倉 光
目を逸らそうとする。
KP
最初は何もおこらなかった。だが突如、あなたは目の前の存在に尽くさねばならないと思うだろう。
同時腕に痛みが走り、あなたの意識に混乱が生じる。
目の前の存在は絶対的である。
いかなる命令にも従う必要がある。
それは毒のようにあなたの意識を浸し、冒す。
あなたに見えるのは赤く揺らめく蛇の目だけだ……

KP
次に目覚めたとき、あなたは酷いだるさを感じていた。
だがまだ意識ははっきりしている。
あなたのモニターを行っているらしい計器があなたの覚醒を知らせたらしく、周囲が騒がしくなった。
「抵抗が」「不足している」「《支配》を使用」

あなたの意思を何者かが無理矢理歪めようとしている。
佐倉 光
こいつらは何だ。あのときの奴らと関係があるのか?
とにかく体を動かし声を出して抵抗する。
KP
必死の抵抗は支配の力をはねのける。だがあなたを屈服させようとする力は限りなく押し寄せ続けた。
屈服することを選ばなかったあなたの意思は押し流され、途切れる。

KP
「支配血清の追加投与」
目覚める度にあなたはこの言葉を聞く。
耳の奥がぼうと鳴る。
もう正常に物が見えなくなっており、はっきり見えるのは時折目の前に現われる魔術を使うヘビの赤い瞳だけだ。
時折「手を動かせ」や「右を向け」など、下らない命令のような言葉が聞こえる。だがそれはあなたに強制力を持たない。
ずっとラズベリーのような甘い香りがしていた。
他の人物とは少し格が違いそうな男が視界にいるのが分かる。
「御堂様」と呼ばれている。
あなたの『出来映え』を見に来たらしい。
不満そうな顔をしていた。

KP
何度目かの目覚めの度、あなたは一瞬自分がどこにいるのか分からなくなりかけている。
あなたを隷属させようとしている者達は少し苛立っている。
あなたが意識を保っているためだろうか。
もはやあなたには自分の体を動かすこともできないが、ヘビ人間の言葉に従うこともない。
佐倉 光
いいかげんにしてくれ。もう諦めてくれ。
KP
あなたの祈りは通じない。
永遠とも思える時間が過ぎたように感じるが、周囲の会話から言って、まだ一日が経過していないのだ。
時折『御堂』の事が話題に上がる。

KP
意識が戻る。何事か問いかけられる。
返事ができなければ、呪文をかけられ、薬剤を投与される。
吐き気。頭痛。脱力感。関節の全てが軋む。脳味噌がどこまでも腫れ上がり、膨れ上がる心地がする。ついには苦痛により意識が途切れる。
意識が引き戻される。
延々と繰り返す。
声も出せないあなたにとってそれは拷問に他ならない。

自ら凍てつかせたあなたの心を、根気よく端の方から打ち崩すように、延々と続く。
その間、あなたを唯一和ませたのは、かすかに部屋に漂っているラズベリーのような甘い香りだった。

佐倉 光
SAN 78→73
牧志 浩太
SANメッチャ減ってる
牧志 浩太
「佐倉さん……」

連絡がないことなんてあるだろう。仕事が思ったより大変だったのかもしれない。
そう思っても、どうしても心配になる。

数度、佐倉さんに連絡を入れる。
先輩だって、一日連絡がない間に大変なことになってたって聞いたことがある。
牧志 浩太
「先輩、佐倉さんから連絡がないんだ。知ってる?」

波照間先輩に、何か知っているかと連絡を取る。
KP
波照間。
あなたは、8日22時42分に佐倉が、仕事が完了したという連絡を入れたことを知っている。
そのあとは特にbarに戻ることもなく帰宅した筈だ。
波照間 紅
「いや、22時には完了連絡があったはずだ。これだ、8日の22時42分…… 戻って、いないのか?」

戻っていない、連絡もない、と聞いて青ざめる。
何か、あったのか?
牧志 浩太
「うん、こっちには一度も。
分かった、佐倉さんを探してみる。先輩も頼む」
波照間 紅
「ああ、気をつけてくれ、牧志。何かあったら僕に連絡を頼む」

牧志は佐倉さんと最後に別れた所を基準に、佐倉さんを探します。
波照間は仕事の内容から当たる。
牧志 浩太
置き卓だからって波照間まで動かしてますが、都合悪かったらいつでも引っ込めます
KP
※問題ありません。
KP
波照間が調べた仕事内容、依頼者ともに何も問題はなかった。
空きビルで起きていた奇妙な騒音の対処。敵の正体は自然に集まったポルターガイストの群れ。依頼人は近所のノイローゼになった住人。
発生原因にも特殊なものはない簡単な仕事で、報酬も少ないながらきちんと支払われ、発生していたゲートは破壊され、異変もおさまっていた。

ようとして行方の知れないまま更に二日が経過した……
佐倉視点(ネタバレ)
KP
従うべき者は? 親だ。
自らの欲求や感情は必要ない。
最優先すべきは命令だ。
佐倉 光
違う、と叫び続けている。
KP
肉体にあなたの意思が反映されることはなく、あなたはぼんやりと目を開けて周囲のすべてに身を委ねている。
問いかけに対して頷く。
自分のものではない声が命令に反応する。
佐倉 光
違う、と叫び続けている。
KP
今や何も分からなくなっているというのに強情に叫び続けているあなたは、この肉体において異端だ。
あなたがいるから、苦痛は終わらない。
佐倉 光
いなくなればいい。壊れる前に壊してしまえばいい。そうしたら壊されずに済む……

KP
「脳が破損する」「時間をおいて再度」
『御堂』があなたに話しかけていたような気がするが、返答できなかった。
遠くで聞こえる言葉はもはやあなたとは関係ない。

あなたはぐるぐると同じ場所を歩き続けている。
だが肉体は変わらず拘束されたままだ。
どこまでも続く迷宮と見えて、その実ただの一本道を、延々と、延々と。
爪を、皮膚を、肉を、血を、そぎ落とされながら歩き続けている。
あなたに選択肢はない。あなたはただイエスと答える。

時折、あなたの声が出なくなる。だが返答するまで繰り返されるだけだ。
あなたはもはや何をなくしたのかも分からないまま、ただまっすぐに歩き続けている。

ラズベリーの香りが息苦しいほどに充満している。だが不快ではない。
これが香るとき、あなたの不安定な心は支えられる気がするのだ。

KP
あなたには自由意思などない。あなたは従順なヒナドリである。
命令は絶対であり、自らの生命活動は二の次である。
返答は?
佐倉 光
はい。
KP
何者であっても命令があれば殺害しなければならない。
自害しろと命ぜられたのならそうすべきなのである。
返答は?
佐倉 光
……
KP
あなたには自由意思などない。あなたは従順なヒナドリである。
命令は絶対であり、自らの生命活動は二の次である。
返答は?
佐倉 光
はい。
KP
何者であっても命令があれば殺害しなければならない。
自害しろと命ぜられたのならそうすべきなのである。
返答は?
佐倉 光
……
KP
あなたには自由意思などない。あなたは従順なヒナドリである。
ずっとラズベリーの香りがしている。

KP
あなたの腕に腕輪がはめられた。
あなたは無論使用方法を知っている。
これは武器だ。攻撃の意思に反応し、相手を攻撃するしもべが出る。
それ以外の機能はない。
佐倉 光
はい。これは僕の一部です。
KP
これはあなたの武器だ。

KP
佐倉光はヒナドリ01として誕生した。

次に目覚めたときにあなたが見るものがあなたの絶対的な支配者、『親』である。
まずは『親』に追従すること。

挨拶を忘れないように。
佐倉 光
はい。

佐倉 光
SAN 73→68
牧志 浩太
佐倉さんのSANメッチャ減ってるぅ
KP
減ったってことは少なくとも生きてるね、やったね。
牧志 浩太
二人でずっと探し回っていると、あの時を思い出す。
でも、あの時以上に行方が分からない。

どうして。
何処へ行っちゃったんだ、佐倉さん。何があったんだ。
あの時俺が止めてたら、なんて一瞬だけ過ってしまって、意味はないと打ち消す。

分からないことが一番恐ろしい、その言葉が蘇る。しなくていい想像が頭を過る。

振り払う。
そんな想像、役に立たない。
波照間 紅
「……牧志、」
牧志 浩太
「先輩、」
波照間 紅
「我慢、しない方がいい。……僕だって、さっきから色々考えてしまってる。
やられたんじゃないか、とか」
牧志 浩太
「でも、そんなこと考えても不安になるだけで、……役に立たないから、」
波照間 紅
「でも、考えてしまうんだ。仕方ない。無理はしない方がいい。それでも、君は動ける。

大丈夫だ」
牧志 浩太
「……ごめん、ありがとう」

KP
佐倉が姿を消して4日目の11月12日。
波照間は少し大きめの事件が起きたことで朝からかり出された。
佐倉の手が足りない分、忙しくなるだろう。
波照間 紅
「すまない、後は頼む」
牧志 浩太
「うん、ありがとう、先輩」

佐倉さんはまだ見つからない。
焦っている自覚はある。大学の授業だっていくつか休んだ。
だいぶん無理をしている自覚もある。でも。

どうして。

ふと日付が目に入る。
ハロウィンパーティーしてもらったし、何かちょっとした誕生日祝いでもしようかと思っていた日だった。

ふと限界を覚えた。
涙が出てきて、少しだけうずくまって泣いた。
……このまま何も起きなければいいって、思ってたんだけどな。
KP
部屋はがらんと広く、寒々しく見えた。

KP
夕暮れ時、あなたは外に出た。
大学の帰りだったかもしれないし、買い物だったかもしれないし、捜索の続きだったかもしれない。
製薬会社の広告の能天気なメロディも、あなたの気分を持ち上げてはくれない。
牧志 浩太
疲れきった身体で息を吐く。
深夜近くまで探し回って朝から必修、また探し回って聞き込みして、足がふらつく、一日でいいから休みたかったけど休んだら起き上がれなくなるって分かっていた。

東浪見が心配して昼飯買ってきてくれて、荷物持つの手伝ってくれた。
知ってる範囲で佐倉さん見なかったか聞いてくれた。

佐倉さん。
もう一度顔を上げて、整理し直してみようと決意する。
KP
考えを巡らせながら夕暮れの町を歩く。
雑踏の向こう、ふと目に入った裏道に、見覚えのある後ろ姿を見た気がした。
牧志 浩太
「!」
人違いか。気のせいか。そんなこと考えていられなかった。

気のせいなら気のせいでいい。地を蹴ってそちらへ駆け出す!
牧志 浩太
「佐倉さん!」
KP
あなたの剣幕に、驚いた顔のカップルが慌てて道を開ける。

ビルの隙間に空いた隙間のような薄暗い道で、その青年はぼんやりと壁を見つめて立っていた。
いつもの黒いパーカーを着た姿は少し、脱力しているように見えた。
あなたの声に反応する様子はない。
牧志 浩太
「佐倉さん!」
駆け寄る。名を呼ぶ。見間違いじゃない、人違いなんかじゃない!

勢い余って飛びついた。
牧志 浩太
「佐倉、さん……!
どこ、何処行ってたんだよ、連絡、なくて、もう四日で、心配して、何処行ってたんだよぉ……!」
佐倉さんの肩に縋り、泣きじゃくる。
今度こそ、涙が止まらなかった。
佐倉さんの眼を見る余裕もないほどに。
牧志 浩太
1つ表情足しました!
表情足してて気づいたけど佐倉さんも何か足されてるな~
KP
アラヤダ
佐倉 光
「……」
KP
それは間違いなく佐倉だった。
行方不明になったときの格好そのまま、少し顔色は悪い。
あなたにすがられて少しよろめき、佐倉はゆっくりと振り向いた。
そのまま、あなたの体を支えたりすることもなく、あなたを見つめている気配があった。
数秒のち、佐倉は口を開く。
佐倉 光
「はじめまして、僕の、『親』」
KP
あまりにも平坦な、感情の感じられない声だった。
KP
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
牧志 浩太
1d100 73 《SANチェック》 ☆ささぼっと☆ 1d100→34→成功
FANBOX開設したで
牧志 浩太
ひとしきり泣きじゃくって、顔を上げる。
何だか……、変だ。

どれだけ疲れて泣いてぐちゃぐちゃになっていても、気づいてしまう。

違和感に。
牧志 浩太
「佐倉……、さん?」

顔を上げる。涙を拭く。
その目を……、覗き込む。

何が、あったんだ。
本当に、佐倉さんなのか?
牧志 浩太
何されたんだろうなぁ佐倉さん
佐倉 光
「……」
KP
青年は揺らぎのない目であなたを見つめている。
あなたを心配することも、安心させようとする感情の揺らぎも一切感じられない。
見開かれた冥い色の円が二つ、あなたの泣き顔を反射してうつしだしていた。

青年の見た目は完全に佐倉で、左腕にはCOMPがはまっていた。
牧志 浩太
「……、佐倉さん、で合ってるか?
『親』って言ったな、どういうことだ。俺のこと、覚えてないのか?」

知らず、声が硬くなる。
すがりついたまま、間近でその目を覗き込む。
まるで、空っぽになってしまったようだった。
佐倉さんの身体だけが、ここにあるかのような。

確認するように、ひとつひとつ問いかけながら、体格を辿る。どう見ても佐倉さんだった。
佐倉 光
「僕はヒナドリ。
『親』はあなた。
覚えて、いません」
KP
佐倉は虚ろな声で淡々とあなたの問いに答えた。
あなたが体に触れようと、とくに抵抗もしない。

〈目星〉をどうぞ。
牧志 浩太
「ヒナ、ドリ……?
なあ、佐倉さん。

その、左手の腕輪が何に使う物か、覚えてるか?」
1d100 98〈目星〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→47→成功
佐倉 光
「サクラ?
僕の、呼称、ですか?

これ、は、僕の、一部で……
武器……です」
KP
佐倉は手でCOMPに触れた。モニタが点灯する。
牧志 浩太
「そうか……、覚えてるんだな」
俺の一部。
そう言う声が脳裏に蘇った。
牧志 浩太
「ああ、佐倉さんだ。君は、佐倉さん」

点灯するモニタを覗き込む。発動しそうに見えるだろうか。
これが応えるのなら、きっとちゃんと佐倉さんだ。
佐倉 光
「僕は、サクラ……」
KP
佐倉はぼんやり呟く。
その腕のモニタには、時計とマグネタイト残量などが表示されているようだった。
本人に使う気がないせいか、動きはない。
ただ、作動しないときはモニタが点くことはないので、少なくともCOMPはこれが正しい持ち主であると認識しているらしい。
牧志 浩太
そうか、佐倉さんなんだ。

モニタを覗き込んで分かる。それはCOMPが持ち主を認識したときの表示だ。
KP
少しやつれてはいるが怪我などはしていないようだ。
ただ、佐倉のうなじにVを意匠化したような赤い刻印が刻まれていた。
牧志 浩太
「……?
なあ、佐倉さん。この刻印、何だ?」

その刻印に触れて確かめようとする。
佐倉 光
「それは、ヒナドリの証、です」
牧志 浩太
刻印に触れる指が脈打った。
怒りが指先で蠢いているのを自覚する。

ヒナドリ、だって?
佐倉さんに、何があったんだ。
どうして佐倉さんは、こんなことを言わされている。

佐倉さんは……、何をされたんだ。
牧志 浩太
「佐倉さん、聞かせてくれ。ヒナドリの証って、どういうことだ。

誰が佐倉さんをそう言った。
誰が、どこで、佐倉さんにこの刻印を刻んだんだ。

ヒナドリって、何だ」

問いかけながら、ひとまず佐倉さんを家に連れ帰ろうとする。
無意識に、帰ろうと言うより前に手を引いていた。
佐倉 光
「ヒナドリの証、の意味、
僕を、ヒナドリと、呼称した人物、
刻まれた場所、
ヒナドリの意味、
全て不明、です」
手を引くなら、抵抗せずについてゆく。
牧志 浩太
「くそ、覚えてないのか……。
佐倉さん、ここに来るまでに、どこから来た?
歩いて来たのか?」

知らないうちに語尾が強くなる。
怒りが、軋る歯の間から漏れ出ていた。
牧志 浩太
戻る前に、佐倉さんがいた場所に何か痕跡などが残っていないか確認します。

また、周囲に人がいれば、この人(佐倉さん)がここに来るところを見ていないか聞きます。

また、この場所の住所を控えておきます。
佐倉 光
「覚えていません、『親』……」
KP
具体的な案内はできなさそうだ。
佐倉が立っていた場所にはとくになにもない。
周囲の人に訊くなら【幸運】
牧志 浩太
1d100 60 【幸運】 ☆ささぼっと☆ 1d100→64→失敗
KP
残念ながら、彼がいつからそこにいたか見ていた人はいない。
しかし数分前からは一人でずっと壁を見つめていたらしい。
牧志 浩太
「そうか……、ありがとうございます」
後で先輩に言って、監視カメラを当たってもらおう。大きな事件があったらしいから、こっちを当たれるか分からないけど……。

とりあえず、佐倉さんを連れて帰ろう。
顔色が悪いのが気にかかる。
牧志 浩太
「佐倉さん、俺は牧志浩太。牧志、って呼んでよ。
とりあえず、家に帰って休息を取ろう」

余りにも空っぽな様子に、
少しばかり指示するような口調になった。

※佐倉さんの手を引いて自宅に戻ります。
佐倉 光
「あなたの呼称を、マキシ、とします。
はい。
家に戻り、休息を、とります」
KP
佐倉はあなたの指示におとなしく従う。
信号の進むべき時や、歩くべき場所などについては覚えているようで、手を引かずとも確実に歩いてゆく。
視線は常にあなたを追い、あなたの少しの動きにも追従しようとする。
彼が自称するように、雛鳥のごとく。
牧志 浩太
言葉や、COMPのことや、歩き方なんかはきちんと覚えている。知識はある。
COMPが “俺の一部” だっていう佐倉さんの発想も、覚えている。

自分の名前や俺の名前は、覚えていないか、話せない。

あの四日の間に、佐倉さんは何かをされた。
それはもう、間違いない。
それで何か、異常な状態になってしまっている。

どうやったら元に戻せるのか。
そう思いかけて、打ち消す。
違う。
今、大事なのは……、

何かした奴の意図。
もっと、状況が悪化しないかだ。

牧志 浩太
自宅に戻り、佐倉さんと一緒に部屋に入る。
牧志 浩太
ふと、またいなくなってしまいそうな不安に駆られて、佐倉さんの手を引いたまま部屋の中へ。
KP
部屋のなかに導き入れられた佐倉は、つんのめるようにして止まり、ぎこちなく靴を脱いだ。
佐倉 光
「……家」
KP
呟いて、引かれるままに部屋に入る。
部屋のなかで手を離されるなら、その場で立ち止まって動かない。

ところで時間的にあなたはそろそろ空腹である。
牧志 浩太
「ああ、そうだ。俺と佐倉さんが住んでた家だよ。
座ってて。身体を休めていて」
ダイニングルームの椅子に座らせて手を離す。

それから、まずは波照間先輩に状況報告。
佐倉さんの状況について報告した後、刻印の写真と佐倉さんがいた場所の住所・佐倉さんがいた時刻を送信。

この刻印について調べてほしい。
それから、この場所のこの時刻の監視カメラを当たって、佐倉さんがどこから来たか映ってないか、調べてほしい。

そこまでメッセージを送る。
忙しいだろうから、頼みはするけど、当たってくれるかどうかは期待しない。
牧志 浩太
キッチンを探って料理を作ろうとして、ふと疲れを自覚する。危ないな……。

結局買い置きのカップそばにした。
買い置きの在庫があれば、佐倉さんの分と二つ作ってダイニングルームに持っていく。

佐倉さんの様子に変化はあるだろうか。
KP
佐倉はあなたに座らせられた場所に、そのままの姿勢で座っていた。
あなたの顔をじっと見ている。
ただひたむきにあなたの言葉を待っている様子が見て取れた。
この『ヒナドリ』は『親』が指示しなければきっと何もせずに待ち続けるのだろう。

波照間には通信が通じていないのか、忙しいのか、既読がいつまでもつかなかった。
牧志 浩太
「……佐倉さん……」
その様子はあの時のコピー二人よりも、ずっと作り物のようだった。
また怒りが湧いてきて、握った拳が震える。

息を落ち着けるように、一度肩にぐっと力を入れ、抜く。大きく息を吸って、吐く。
牧志 浩太
「佐倉さん。腹減っただろ」
そう呼びかけて、返答があるか確認する。
KP
あなたの問いに、佐倉は一瞬考えるようにして返答する。
佐倉 光
「はい。僕は空腹です」
KP
彼の返答よりも先に、腹の虫が派手に鳴いていた。
牧志 浩太
「食う?」
彼の前にカップそばと箸を置いて、問う。
佐倉 光
「食べて良いのですか?」
生真面目なまでの問いで返された。
牧志 浩太
「勿論だよ。ここは俺と佐倉さんの家だ。
俺の部屋……、奥のベランダがある部屋から、突き当たって右の部屋にあるもの以外は、好きに使っていい」

無言ではなく問いを返されたことに、少しだけ安堵を覚えた。
信号の時もそうだった。佐倉さんは、自分で判断して動くことはできる。
今だって、指示の形にしなくても、食べようと行動を起こすことができている。

心が全く奪われてしまっているのか、出せないだけなのか、分からない。
でも、自分で判断して動けるらしいことが、まだ生きていると感じさせた。
牧志 浩太
佐倉さんが自身への干渉をひどく嫌うのを分かりだした後だから、困惑よりもめちゃくちゃ怒りが先に立ってる
KP
ほんとひでぇ話だぜ!
牧志 浩太
だぜ!
佐倉 光
「はい。食事をとります。
好きに使います」
KP
食事に許可が出た、と認識したのか、佐倉は箸を割って食事を始めた。
熱い、と判断して吹く。
麺を口に運んで啜る。
そういったアクションだけを見ればいつも通りに見えた。
牧志 浩太
佐倉さんと向かい合って麺を啜る。
ひとまずの空腹が満たされると同時に、色んな感情が吹き出そうになってくる。
KP
麺を食べ終わると、汁がまだ半分ほど入った器を目の前に置いて、動きを止めた。
座ったままで『親』の指示を待つ状態に戻ったようだ。
牧志 浩太
息を吐く。
食べ終わった佐倉さんの眼を覗き込む。

佐倉さんは今、どういう状態なのか。何を感じているのか。
意志や感情の片鱗が、その中に覗かないか。
佐倉さんを押さえつけているものがないか。

探ろうとする。

〈心理学〉で佐倉さんの状態を探ろうとします。
KP
〈心理学〉ですね。こちらで振ります。
牧志 浩太
値は77です。
KP
☆ささぼっと☆ 🎲 Secret Dice 🎲
KP
佐倉はただじっとあなたを見つめている。

彼の目の中に意思の光はない。
のっぺりとした目にはこの状況に何かを思ったり感じたりしている様子はない。
まるで心の中が真っ白で、外からの刺激に反応しているだけの状態だ。
牧志 浩太
「……」
見ていられなくて、一度目を伏せてしまった。
人形の眼を覗いているような、動きのない眼。
牧志 浩太
「佐倉……、さん。
食べ終わったら片付けて。俺のやり方と同じでいいから」
うまく笑えなかった。
自分の分のカップと箸をキッチンに持って行き、残った汁を紙に吸わせる。カップと一緒にゴミ箱へ放り込む。スポンジと洗剤を取って箸を洗って、水切りラックの箸立てに立てかける。
佐倉 光
「はい、片付けます」
KP
佐倉はあなたの指示に忠実に従った。
カップと箸をキッチンに運び、汁を吸わせ、ゴミを捨てる。
スポンジで箸を洗ってラックに立てる。
牧志 浩太
その様子をぼんやりと見ていた。
本当に、佐倉さんの心だけが、そこからすっぽりと失われてしまったみたいだ。
牧志 浩太
「佐倉さん」
元の状態に戻るまでを見届けて、少し躊躇いながら口を開く。
ひとまずの空腹が満たされ、疲れを自覚した肉体が眠気を訴えていたが、奥歯を噛んで耐える。
牧志 浩太
「佐倉さんの部屋、奥の部屋から突き当たって左の部屋に、佐倉さんのコンピュータがある。
起動と、セキュリティの解除の仕方は分かる? それを起動してほしい」

佐倉さんの記憶に、技術に踏み込む。
先輩に頼れそうにないなら……、佐倉さん自身に、頼る。
佐倉 光
「僕の部屋、で、コンピューターの起動を、行います……」
KP
佐倉は自分の部屋に入って行く。
そして自然な動きでコンピューターのスイッチを入れ……止まった。
佐倉 光
「マキシ、起動法が分かりません。
知っていますか?」
KP
モニタはスイッチが入っているようだが何もうつしだされていない。
何か特別な操作が必要なのかも知れない。
佐倉 光
「間違った操作を行うと、ロックがかかる可能性があります」
KP
ロックをかけた本人はそうあなたに報告した。
牧志 浩太
「そうか、覚えてないのか……。なら、いいよ。
スイッチがどこにあるかは覚えてるのに、起動の仕方は覚えてないんだな」
少し声が落胆してしまっていた、かもしれない。
スイッチの位置は言葉と同じような知識の範疇で、佐倉さんにしか分からないことは、“佐倉さんの記憶” ってことなんだろうか。
牧志 浩太
「自身への干渉を嫌う佐倉さんに干渉されたこと」「佐倉さんの心が奪われたこと」にはめちゃくちゃ怒っていても、目の前の雛鳥佐倉さんは受け止めるあたりが牧志
牧志 浩太
「佐倉さん、疲れてる?」
佐倉 光
「疲労している、と、思います」
KP
返答してから、あなたをじっと見つめた。
佐倉 光
「マキシも疲労していると思います。
休息が必要です」
牧志 浩太
「……ありがとう。そうだな、俺も疲れてる。
早いけど、今日は歯磨きをして、着替えて、寝ようか」
洗面所へ向かう。これが佐倉さんの、と、佐倉さんの歯ブラシと歯磨き粉を手渡す。
牧志 浩太
「布団持っていくから、佐倉さんの部屋で寝てもいい?」
そう聞く。目を離していたくなかった。
夜の間に、どこかへ行ってしまうんじゃないか。
もっと、酷いことになるんじゃないか。

うなじに刻まれた刻印を見ていると、そんな不安が湧いてきて止まらない。
……俺の方が雛鳥みたいだな。そう、内心苦笑する。
佐倉 光
「歯磨きをして、着替えて、寝ます」
KP
手渡された歯ブラシなどを手にして、使う。
その動作にはよどみがない。
行動記憶はそのまま使えるのかも知れない。
佐倉 光
「僕の部屋で一緒に寝ます。
布団を運ぶのを手伝います」
KP
あなたがとくに止めなければ、あなたと一緒に部屋に入って布団を運ぼうとするだろう。

うなじに刻まれた刻印は、禍々しく赤黒く居座っていた。
牧志 浩太
うなじに刻まれた刻印を見る度に、沸々と怒りが浮かんでくる。
……冷静になろう。怒るべき相手はここにいない。
牧志 浩太
「ありがとう、頼むよ」

自分の部屋で着替えて、家の鍵などをキートレーに置く。
寝る前の習慣になったハーブティーを、コーヒーメーカーで湯を沸かして淹れる。
牧志 浩太
「佐倉さんも、要る? ハーブティー」
佐倉 光
「はい、いただきます」
KP
布団を運び終えた佐倉はあなたの問いに答える。
牧志 浩太
立場に呑まれやすい分、さらっと相手を状況に合わせて扱えるような所があるのかなーっていう。
KP
なるほどなぁ。
牧志 浩太
こどもの時も割とそうでしたしね。
KP
【アイデア】をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→84→成功
KP
現在の佐倉は基本あなたの指示待ち状態のようだが、この基本命令を変えることは可能だろうか?
例えば、最低限自分の判断で動くことを許可する、などは。
牧志 浩太
ふと、思った。
佐倉さんが自分で動かないのは意志がないからだと思っていたけど、許可されてない、って思ってる可能性もあるのか?

佐倉さんは自分で判断して、動ける。
それなのに、指示がなければ動こうとしない。
それは。
牧志 浩太
「……」
沸々と怒りが湧く。
佐倉さんの全てを縛って、自分で動くことも、食べることも、眠ることもできないようにして、それでいいとしている、誰かに。何かに。
牧志 浩太
「佐倉さん、教えて。
佐倉さんがずっと俺の指示を待っているのは、何をしていいか、分からないから?
それとも、単純に、許可されていないから?」
佐倉 光
「『親』への追従を指定されています。
僕には記憶がないので、判断材料は少なく、行動には限りがあります」
KP
佐倉は平然と答えた。
牧志 浩太
「……」
拳を握る。拳が白くなるほど力を込めて、一気に抜く。
息を、吐く。
牧志 浩太
「分かった。指示する」
牧志 浩太
「一つ目。俺じゃない誰かが佐倉さんを連れていこうとしたら、抵抗していい」
牧志 浩太
「二つ目。今ある判断材料に従って、自分で動いていい。
腹が減ったら、食事を取っていい。
疲れたら、休んでいい。
眠くなったら、歯磨きして、着替えて、自分の部屋で眠っていい。
自分の身が危なくなったら、逃げていいし、戦っていい。
必要だと思ったことは、やっていい。
やりたいことができたら、そうしていい」

その次の言葉は、何だか記憶のない佐倉さんに刷り込むようで、少し躊躇われた。
それでも。状況によっては必要かもしれない。
佐倉さん自身に、後悔させないために。
牧志 浩太
「三つ目。俺と佐倉さんは、この家で一緒に暮らしている。俺と佐倉さんは、友達で、相棒だ。

佐倉さんは俺のことを、大事に思ってくれていた。
俺は、佐倉さんを、大事に思っている。

その言葉から判断できるように、動いてくれ」

それだけ言い終わって、息を吸って、吐く。
牧志 浩太
「理解できたか、教えて。
従える内容かどうか、教えてほしい。
佐倉さん」

ああ、どうして思い当たらなかったんだろう。
どこかで、今の佐倉さんには何もないからって思ってしまっていた。
自分への怒りが湧いてくる。肩が震える。
縛られていて、動けないんだって可能性に、どうして気づけなかった!
牧志 浩太
牧志は拳を握ったり開いたりで色んなことをするなぁ……(今回は湧いてくる怒りを流そうとしてる)
KP
今回の牧志君ものすごく怒ってるなぁ……
KP
佐倉はあなたの言葉が終わっても随分長く沈黙していた。
佐倉 光
「一つ目、理解しました。
二つ目、理解しました」
KP
そこまで言うと、佐倉は少し困ったように息をついた。
佐倉 光
「三つ目、完全に従える確証はありません。
マキシは『親』です」
KP
今まで何もうつっていなかった目に、困惑が渦巻いていた。
牧志 浩太
「分かった。完全に従えなければ、できる範囲でいい。

……佐倉さん、確認する。
『親』に追従しなくていいと言ったら、従えるか」

押し殺した怒りで声が揺らめいた。
KP
佐倉はあなたの言葉を聞いて、少しの間沈黙した。
佐倉 光
「可能です。その間の指示があれば」
牧志 浩太
「指示が、なければ?

佐倉さん、確認する。
今の佐倉さんには、指示なしにやりたいことや、思っていることがないのか。
それとも、許可されていないから…… 追従命令が優先するからそうしないのか、どっちだ」
KP
佐倉は黙って考えているようだった。
KP
難しい質問するね!
牧志 浩太
ややこしいことを言ってすみません牧志にとって重要なので! わからんかったら「わからん!」って返してくれていいんですよ佐倉さん
気づけなかった自分への怒りも混じってめっっっちゃくちゃ怒ってますね 身体から怒りが立ち上るようなのは本当に珍しくて、知り合いが見たらぎょっとするかもしれない
佐倉 光
「『ヒナドリ』は『親』の指示に従います。
僕には恐らく、生命維持を起点とする欲求以外のものがありません」
牧志 浩太
「…………」
じっと、長い沈黙。
背を少し丸めて、思考を巡らせているような、感情を整理しているような、長い、沈黙。
牧志 浩太
「そうか……。分かった」
暫く時間が過ぎてから、重たい声で口を開いた。怒りと疲労が滲んでひび割れた声。
KP
制限きつすぎてヒナドリっていうより出来の悪いロボだなって思った。
それで【アイデア】! って言ったw
牧志 浩太
いやぁ【アイデア】助かりました おかげで牧志の後悔が増えなくて済んだ
KP
いや、KPが無駄に制限きつくしすぎただけです。シナリオにここまでやれって書いてない。たぶん。
牧志 浩太
なるほど。それはそれで牧志の怒りが強くなってPLがいつにない顔見られて楽しい。
牧志 浩太
「それでいい。さっきの指示に従って。
それから、追加で一つ。
俺じゃない誰かに指示を与えられそうになったり、連れていかれそうになったり、佐倉さんが危害を加えられそうになったら、必ず俺に伝えてほしい。

スマートフォンの使い方、分かるな?
一日一回、必ず充電してくれ。

スマートフォンに俺の連絡先が入ってる。
いつでも出るから。出なかったら、メッセージを入れておいて」
佐倉 光
「マキシの指示に従います。
マキシ以外の人間の指示等について、伝達を行います」
佐倉 光
「スマートフォンの使用方法、一般的な物であれば可能です。
でも僕はスマートフォンを持っていません」
KP
あなたは気付くだろう。
佐倉がいつも腰に付けていたポーチが見当たらない。
牧志 浩太
「……佐倉さん、最後に一つだけ、確認。
佐倉さんは、『ヒナドリ』じゃない。俺がそう指示したら、従えるか」
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは混乱する。あなたは『ヒナドリ』である。
『ヒナドリ』ではなくなったら何も残らない。

KP
最後のあなたの指示には、佐倉はまた長い沈黙の後、
佐倉 光
「僕は『ヒナドリ』です」
KP
困惑したように呟いた。
牧志 浩太
「そうか……、くそ、分かった。
さっきまでの指示に従ってくれ」
牧志 浩太
そう言いながら、もし本当に何かあったら無駄なんだろうな、とは思っていた。

『ヒナドリ』、『親』なんてふざけた命令を、佐倉さんに刷り込んだ奴がいる。
俺の指示はその上に浮いてるだけで、そのふざけた命令の方が先にある。

思わず悪態が漏れた。
牧志 浩太
「……? 佐倉さん、COMPはあるのにポーチはないのか。どこで失くしたか、取られたのか気になるな……。

分かった。寝る前に部屋を確認して、別のスマートフォンがあったらそれを使ってくれ。

なければ、明日新しいの契約して渡す。
俺の連絡先入れとくから、それで連絡を取ってくれ」

佐倉さん、確か仕事用のも持ってたはずだ。
そっちも同じポーチに入ってたかどうか、までは覚えてないな。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは尿意と乾きを感じている。
今の命令にはそういった欲求を縛るものはない。
だが許可は得るべきである。あなたは『ヒナドリ』だ。

佐倉 光
「水を飲んで、手洗いに行きます」
KP
佐倉はそう言って席を立った。
コップを出す。水を飲む。トイレへゆく。
それからスマートフォンを探しにか、自室へ入っていった。
あなたの指示のためか、少し話し方や行動がスムーズになった気がする。
牧志 浩太
その後姿をじっと見ている。
……佐倉さん。

くそ。
牧志 浩太
「佐倉さん。ちょっと俺、これからリビングのソファに八つ当たりする。
大きな音がするけど、驚かなくていい」

宣言してリビングルームへ向かう。
テーブルを少し動かしてソファにぶつからないようにし、近くから割れ物や壊れそうな物をどける。
佐倉 光
「はい」
KP
佐倉は律儀にあなたの指示に対して返事をする。
牧志 浩太
「くそっ!!」

あえて大きな声を出しながら、ソファのクッションを思いっきり蹴った。
牧志 浩太
そんなにお高いソファ置かなさそうだから、【STR】11(とはいえ【SIZ】低めだからダメボ0なんですが)で全力キックしたらちょっと破損しそう>ソファ
KP
あなたの八つ当たりを受けた哀れなソファのクッションは、吹っ飛んで壁にべちんとぶつかった。
バキッ、と音がしたので、中で何か折れたかも知れない。
牧志 浩太
紙を持ってきて、マジックで「破損しています。注意」と書き、折れたっぽい所に養生テープで貼る。
牧志 浩太
破損拾ってくれてありがとうございます。
めちゃくちゃ冷静に前後の処置して意識的に八つ当たりする牧志。
KP
すっっごくそれっぽくて、気の毒だけど笑っちゃった。
牧志 浩太
八つ当たりするような怒り方はたぶん初で意外なことになったなって思ってるPLですが、でもそういうとこ牧志だなぁっていう。これはソファ蹴ったら底板に響いて大きな音がする所まで意識している。
牧志 浩太
「よし、寝よう。寝る前に今日分かったことを書き出す。明日は朝一でスマートフォンの契約」
そう自分に宣言して、佐倉さんの部屋へ向かう。
牧志 浩太
「そうだ、佐倉さん。スマートフォン、あった?」
佐倉 光
「僕に使える物が見つかりませんでした」
KP
彼が持っているのはおそらくサブ用の機体。
おそらくPC同様、使用できないのだろう。
あなたが貼った張り紙を見て、
佐倉 光
「怪我をしていませんか?」
KP
と問いかけてくる。
牧志 浩太
「そうか、分かった。明日の朝新しいの契約して渡すよ。

ああ、それは大丈夫。クッション側から蹴ったから。
佐倉さん、それはさ。俺のこと、心配してくれてるの?」
佐倉 光
「……怪我をしているのであれば、治す必要があります。
怪我をしたままで放置をすると……」
KP
制止するまで、細菌感染がどうの、後遺症がどうのと語り続け、最後に
佐倉 光
「治療を行うことができます。必要であれば行います」
KP
と言って自分の手を見つめた。
だが、いつものように白い光が発生することはなかった。
佐倉視点(ネタバレ)
KP
あなたは一瞬前、自分に治療が行えると思っていた。
だが根拠は何もない。
あなたに医学の知識はほとんどないのだ。
自分が使える魔法のことを忘れてしまっています。
シナリオ中どうしても必要になったら、意識せずに使用できるようにするのもまあアリかなと考えていました。

牧志 浩太
「ありがとう、大丈夫だよ。怪我してない。
佐倉さんも、怪我したら言ってよ。佐倉さんみたいな魔法は使えないけど、手当てはするから」

やっぱり、佐倉さんの心は残ってるのかな。
さっきは困ってたよな、明らかに。
それとも、俺のめんどくさい指示に、ちゃんと従ってくれてるんだろうか。
そのどっちでも感謝したくて、ありがとう、と笑った。

笑ってから、佐倉さんの様子にふと気づいた。
牧志 浩太
「……佐倉さん、一般的なことは覚えてるんだよな。
《ディア》の使い方は覚えてないのか?

その手のCOMPが武器だっていうのは、覚えてるんだよな。
悪魔召喚のやり方は、覚えてる?」
佐倉 光
《ディア》……?」
KP
佐倉はぼんやりと呟いた。
佐倉 光
「分かりません……」
佐倉 光
「武器の使用法は分かります。
陣を使用してしもべを召喚します」
KP
こちらはすらすらと答えた。
牧志 浩太
「魔法の使い方は分からないのに、そっちは分かるのか……、うーん、記憶と一般的な知識の違いって何なんだ? それとも、佐倉さん自身がやることだけ、誰かが意識的に忘れさせたのか?

俺はハッキングの流れを覚えてるのに、細かいコマンドを忘れててできない。北国の言葉は割と聞き取れるけど、喋り言葉はあっちへ行っても戻ってくれないらしいし、合わせられない……

……っと、そうじゃない。
ごめん、佐倉さん。時間取らせたな。寝よう。
で、明日の朝、悪魔召喚できるか試してみよう。ラミアさんにも話を聞きたい」

寝る前に今分かっていることを日記帳に書き出して、佐倉さんにベッドで寝るよう言ってから、佐倉さんの部屋に敷いた布団で寝ます。
佐倉 光
「ラミア……?」
KP
佐倉はあなたの言葉に首を傾げたようだった。
牧志 浩太
「お休み」
KP
あなたの指示に従い、佐倉は素直にベッドに横になる。
そして
佐倉 光
「おやすみなさい、マキシ」
KP
あなたの言葉に返答してから目を閉じた。
牧志 浩太
「……お休み、佐倉さん」
呼ばれた名に再度応えて名を呼び、目を閉じた。

コメント By.KP
行方不明になっていたと思ったら記憶を失っていた佐倉。
彼は牧志を親と呼び、その言葉に従おうとするのだった。
彼に一体何があったのか……?

佐倉の状態について、ちょっとやり過ぎた気がする!

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「あっ」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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