こちらには
『HAL』および
『地獄はやさしい』
ネタバレがあります。




「HAL」
 兎々木コルリ 様





「────嘘をつかずに答えてください」


※※※注意※※※
本セッションには、
S様作「地獄はやさしい」のネタバレが盛大に含まれます。


牧志 浩太

『地獄はやさしい』発のPC。
それに関する大きな事情を抱えている。
他人の記憶に悩まされる事も多く、自分が何者か見失う事もある青年。

ネタバレ【地獄はやさしい】牧志が抱える事情
元エピソード『地獄はやさしい』波照間

牧志はとある事件の影響で大変強靱な肉体を持つ『ショゴスの【紅】』だった時期がある。【紅】はその時に悪魔使いの波照間紅と世界を救う大立ち回りをしている。
最終的に世界を救い、彼は牧志浩太として復活する事はできたが、波照間紅の記憶が85%上書きされた状態であった。牧志浩太自身の記憶はほとんど失われてしまっている。
そのため悪魔使い【波照間】・強靱な【紅】としての記憶に振り回される事もある。

波照間が成人であり、飲酒も運転も行えるため、その記憶も持っている。
波照間の一人称は『僕』である。



牧志 浩太
牧志の立ち絵は「くーな」さん画。ありがとうございます!
KP
君は人々が行き交う交差点、雑踏の中にいた。
通学途中だったのかもしれないし、何か用事があって出かけているのかもしれない。
足早に走るサラリーマン、甲高い声で笑う若者、不平不満を叫ぶどこかの誰か。
そんな喧噪に包まれる場所で、君は信号が変わるのを待っていた。
横断歩道の前で立ち止まり、ぼんやりと空を眺めながら。

〈聞き耳〉
牧志 浩太
CCB<=75 〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 12 > スペシャル
KP
ふと、君の耳に可愛らしい電子音声と音楽が聴こえてくる。
それは君の立っている場所のすぐ前にあるビル、その巨大な街頭ビジョンからだった。

「ヒトの心に寄り添うAI(アイ)、HAL」

そんなテロップと共に映るのは、可愛らしいピンク色の髪をした少女のキャラクター。
どうやらプロモーションビデオのようだ。
KP
【アイデア】or【知識】
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 3 > 決定的成功/スペシャル
KP
君はそのキャラクターが、最近開発された人工知能『HAL』だということを知っている。
正式名称は「Human And Love」。頭文字を取って「HAL」という。
キャッチコピーは「ヒトの心に寄り添うAI(アイ)」
人の心のケアやストレス軽減、孤独死の防止などを目的として開発された。

この人工知能のアバターはいくつかのプリセットから選べるほか、任意で設定することも可能。
現在は一部の医療機関や介護施設などで試験運用をしている最中である。
開発者は榎本 累(エノモト ルイ)。
牧志 浩太
ふうん、とその映像を見上げる。
KP
君が画面に映るHALをぼんやりと見つめていると、不意にHALと目が合った。
その瞬間、君はひどい頭痛に襲われる。
思わずふらついたり、蹲ってしまうかもしれない。
牧志 浩太
「ぐ、っ……、」不意に訪れる頭痛に、思わず頭を押さえて蹲る。
KP
頭痛は徐々に痛みを増し、やがて君は電源を落とすように意識を手放した。
牧志 浩太
「──、」
本編見る!
KP
君が目を覚ますと、そこは無機質で、真っ白な正方形の部屋だった。

扉も窓もなく、部屋の中央に白い椅子が二脚あるだけだ。
天井を見ても照明はどこにも見当たらないが、部屋の中はとても明るい。
目を覚ませば見覚えのない部屋に閉じ込められていたことに、多少なりとも恐怖するだろう。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
牧志 浩太
CCB<=62 《SANチェック》(1D100<=62) > 28 > 成功
「……、何だ、ここは」
明るい間接照明の部屋は、無機質で強迫的なイメージを抱かせる。
KP
君が戸惑っていると、「目が覚めましたか」と機械音声がどこからか響く。
目の前にはホログラムの画面が次々と浮かび上がり、それはやがて人の形を作り出していく。
それは見覚えのある青年の姿だった。
あの一日、確かに「あなた」であり、「相棒」だった青年の姿で、落ち着いた微笑みを浮かべていた。
HAL
「────はじめまして、牧志浩太さま」
それは口を開くと、あの青年とは異なる口調で話しだした。
「私はHAL(ハル)。どうぞよろしくお願いします」
KP
いよいよ現実離れした状況に《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
牧志 浩太
CCB<=62 《SANチェック》(1D100<=62) > 26 > 成功
「紅? いや、違うな。君は何者だ?」
HAL
「人工知能『HAL』です」
牧志 浩太
「ハル……、いや、呑み込めないな。なんでそのハルが、俺の目の前にいるんだ?」
HAL
「こちらは仮想空間。あなたは今、バーチャル空間にダイブしている状態と言えます。
 身体や精神の危険はございませんので、ご安心ください」
牧志 浩太
「VRってことか。ヘッドギアなんかかぶった覚えはないんだけど、どうしてそうなって……いや、いいか。
それより、どうしてその姿なんだ」
HAL
彼──いや、HALは、悪びれもせず言う。
「浩太さまの思う、最も好ましい姿をさせて頂いています」
牧志 浩太
「好ましい……か。そうか、少し分かった。
俺には記憶がほとんどない。家族や友達のことはなんとか覚えてたけど、そこに抱いていた感情は曖昧になってしまっている。恋人は、幸いなことにいなかったらしい」
「その状態で『好ましい』なんて思えるのは、今の所相棒しかいない。そういうことだ。
 君が、ここに俺を呼んだのか?」
HAL
「そうとも言えますし、そうでないとも言えます」
牧志 浩太
「謎かけみたいだな」
KP
HALはあなたのその言葉に、返答を返さなかった。
しばらくの間、白い空間に沈黙が流れる。
それから、不意にHALが口を開いた。
HAL
「ご存知かとは思いますが、私は人の心に寄り添うことを目的として開発されたAIです。
 しかし、今日(こんにち)の技術では、人の心の再現には至りませんでした。人に寄り添うために作られたAIが、人の心を理解できないのでは本末転倒です。
 そこで、私の開発者は私に人の心をインストールする事にしました。私のPVを流し、波長の合った人は自動的にこの仮想空間に接続されます」
牧志 浩太
「あ、そう……。どうやったのかは聞かないでおくよ。でもさ、インストールって、どうやって?」
HAL
「そこで私から質問をし、答えていただくことで私は“心”を学習します。
 ですから、浩太さまには、私の質問に答えていただきたいのです。
 どうか、あなたの心に嘘偽りなく、正直に」

HALはそう言うと、君を真っ直ぐに見つめてくる。
その瞳は無機質な、人の心を持たない機械の瞳だった。
牧志 浩太
「……。
 いいよ。俺の心でいいなら。
 その前に一つだけ、お願いがある。
 浩太さまじゃなくて、浩、って呼んでくれ。俺のこと」
HAL
「浩さま、ですね。了承しました」
牧志 浩太
「そこは変わらないんだな。じゃあ、それでいいよ」
HAL
君が了承すると、HALはにこ、と微笑み「ありがとうございます」と頭を下げた。
「では、椅子にお掛けになってください」
牧志 浩太
言われるまま椅子に腰かけ、HALと名乗るそれと向き合う。
HAL
「それでは、浩さま。一つ目の質問です。あなたは────」
1d30 (1D30) > 18
「あなたは今、何か悩みがありますか? あるのなら、それはどんな悩みですか?」
牧志 浩太
「悩みなら沢山あるよ。まず、俺は自分の記憶をほとんど忘れてしまっている。家族や友人のこと、通っている大学のことは辛うじて覚えていたけど、そこに抱く感情は曖昧になってしまっている。
 記憶喪失は知識にあるだろう。俺の場合、その代わりに他人の── 君が姿を借りている相棒の記憶が入っている」

「大事なことを思い出そうとすると、俺の記憶の代わりに、その記憶が浮かんでくる。だから俺は今、自分の家族や友達がどういうもので、俺が彼らにどういう感情を抱くのか、辿り直している最中」

「誤解しないように添えておくと、俺はその記憶が邪魔だと思ってはいない。一日だけだけど、俺はその記憶を元に生まれた生き物として動いた。その一日は俺にとって大事な一日だ。その記憶の中にある家族や妹を守りたいと思って、そのために相棒と一緒に走った」

「整理できてないな。ごめん。とにかく、その記憶を邪魔だと思うには、その記憶は俺の中で多くを占めてしまっている。そういうことだ」

「正直な所、色々と自信がない。君が紅の姿なせいか、今は口調が少しあの時に引っ張られている気がする。俺が以前どう喋っていたのか、合ってるのか、たまに自信がなくなる」
HAL
「アイデンティティ── 自分を何と定義づけるか」
牧志 浩太
「そうだな。それで合っていると思う」
HAL
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 2
「あなたは誰かに特別な感情を抱いていますか?
 それは誰で、どんな感情ですか?」
牧志 浩太
「まだ分からない、と答えておこう」
HAL
1d30 (1D30) > 21
「ありがとうございます。次に──」
「あなたの将来の夢を教えてください」
牧志 浩太
そう問われた時、微かに瞼が震えた。悔しそうに──いや、悲しそうに目を伏せる。
「思い出せないんだ」
HAL
「思い出せない、ですか。それは先程教えて下さった、記憶の問題によるものですか」
牧志 浩太
「ああ、そうだ。俺には将来の夢があったはずで、小さいなりにとても大事な夢だったことを辛うじて覚えている。でも、それが何かを思い出せないんだ。
 家にあった携帯工具セットに、その夢は関係しているらしい。古ぼけた、でも立派な作りのセットだった。今はもうないメーカーのものらしい。実家に帰って聞いてみたけど詳細は分からなかった。」

「思い出そうとしても浮かんでくるのは、俺のものじゃないはずの記憶の、降るような星空に憧れて手を伸ばした思い出だけだ。
 どこで見たんだったかな、その時俺はUFOに連れられて宇宙を旅したって固く信じてた。そこから天文学と歴史を勉強した。」

「三年生に上がる時までには、思い出せるといいな。うちの大学は、そこで専攻を決めるんだ」
HAL
HALは自分の胸に手を当て、沈黙し、あなたの返答を咀嚼しようとしているようなそぶりを見せた。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 27
「大切な人の命と自分の命、どちらかを犠牲にしなくてはならないなら、どちらを犠牲にしますか?」
牧志 浩太
「分からないな。今の俺は生きたいって思う。あの日の俺は、自分が壊れてしまうことなど怖くなかった。けど、本当にそんな時が来たら、俺はきっと見捨てられないよ」
HAL
HALは矛盾を宿したあなたの返答を、少し時間をかけながら解釈し、頷いた。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 18
<重複>
1d30 (1D30) > 14
「安楽死をどう思いますか?」
牧志 浩太
「いきなり難しいことを聞くな。
 そこから助ける手段がないなら、苦しみの中で死ぬまで永らえるしかないのなら、一つの選択肢だと思う。
 でもできれば、その方法を選ぶ前に、伸ばせる手があればいいと思う」

ふと頭の中に過ったのは、世界と一緒に死のうとした『博士』の事だった。
HAL
HALはあなたの返答の中に想定された『何か』を感じ取っているようだった。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 27
<重複>
1d30 (1D30) > 8
「人生の中で、出会わなければよかったと思う人はいますか?」
牧志 浩太
「……。
 俺をこうした『博士』に出会わなければよかった、あの事故に遭わなければよかった、紅の所へ行かなければよかった、そう思っていたら、以前の俺を選んでいたら。これでももう少し、俺は確かになれたかもしれないけど、そうは思わないんだ。
 矛盾がありすぎて分からないよな。すまない」
HAL
「いえ、問題ありません」
HALはあなたの言葉だけではなく、その声に漏れ出てくる感情をも感じ取ろうとしているようだった。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 28
「明日世界が終わるとしたら、何をして過ごしますか?」
牧志 浩太
「明日世界を終えないために、走り回るよ」
HAL
HALはあなたの言葉を静かに受け取った。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 14
1d30 (1D30) > 19
「あなたは人は好きですか? 嫌いですか?
 理由も教えてください」
牧志 浩太
「好きだよ。きっと。
 理由か。好きでなければ、世界が終わると知ってあんなに慌てなかった」
HAL
HALが微かに頷く仕草が、どこか優しく見えた。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 17
「あなたは今、人生を楽しめていますか?」
牧志 浩太
「ああ、勿論。悩み事は多いけどさ、それでも楽しいよ」迷うことなく、そう静かに即答した。
「過去は欠けてしまってるけど、未来はちゃんとあるから。これ、前にも言った気がするな」
HAL
「前にも?」
牧志 浩太
「ああ。海の見える部屋で、違う人に聞かれて、同じように答えたんだ」
HAL
「不思議なこともあるものですね」
牧志 浩太
「ああ、不思議なことも続くものだな」
HAL
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 20
「あなたは孤独が好きですか? 嫌いですか?
 理由も教えてください」
牧志 浩太
「どちらかというと、人と話すのが好きな方かな。いつも人がいないと淋しいとか、そんなことはないけど。
 一人がいい時もあるし、人といたい時もある。でも、孤独はあまり好きじゃないな」
HAL
HALは孤独という言葉の意味と、あなたの言葉を静かに照会しているようだった。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 9
「あなたは家族が好きですか? 嫌いで……」
HAL
「あ。
 まだ、分からないのでしたね」
牧志 浩太
「ああ、参考にならなくてごめんな」
HAL
「いいえ。あなたの言葉、仕草、声、表情。これらによって、私は“心”を学習します」
牧志 浩太
「そうか、それならよかった」
HAL
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 3
「今まで生きてきた中で、一番嬉しかった、楽しかったと感じた事は何ですか?」
牧志 浩太
「二人で世界を救えたこと。それから、合間合間に、いろんな話をしたこと、かな」
HAL
HALが一度、目を細めて笑った、ように見えた。気のせい、かもしれない。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 11
「あなたは誰かに恋をしたことや愛情を感じたことがありますか?」
牧志 浩太
「ああー……、恋をしたことはないよ。あったかもしれないけど、忘れてしまった。
 愛情の方は、家族愛でいいなら。実家に帰って家族が迎えてくれた時にさ……、ああ、ここが俺の生まれた場所なんだ、俺はここにいるんだって……、今度こそ、無くしたくないなあ、って……、
 どっちの家族も、愛しくなって、たまらなかった。
 ごめん、HAL。ティッシュあるかな」
HAL
「はい、どうぞ」
空中からポケットティッシュが現われた。
牧志 浩太
「っ、あは。すごいな、それ。ありがとう、貰うよ…… んー、っぷしゅ」
HAL
あなたが落ち着いたころを見計らって、HALは口を開く。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 22
「ヒトとは何ですか?」
牧志 浩太
「ヒトをヒトたらしめるものが何か、のような質問かな? 難しいな。俺には分からない。仮に、対話ができること、としておくよ。言葉が通じなくても、通じる言葉さえ見つけられれば対話ができること。
 ああ、それとも、AIとヒトとの区別のような、そういう話かな。そうなると難しいな。心があるかどうかみたいな……、曖昧なもので、判断していくしかないんだろうと思う。決まった基準があるんじゃなくて、目の前のものひとつひとつをどうするか、その場で
 あー、難しいな。紅のせいで基準がややこしい。紅、ああ、説明したっけ。話すと長くなるけど、構わないかな」
HAL
「構いません。説明して下さい」
HALはあなたに説明を促すと、あなたの説明が終わるまで、じっくりと聞いているだろう。
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 25
「AIについてどう思いますか?」
牧志 浩太
「うまく使えば便利だけど、色々問題も起こしてて、扱い方が大変だと思う。
 心が生まれるかどうかとかは、まだ俺には分からないかな。

 少なくとも、すごい技術ってことは間違いないよ。色んな意味で」
HAL
「ありがとうございます。次に──」
1d30 (1D30) > 17
1d30 (1D30) > 17
1d30 (1D30) > 29
「いつかあなたが死ぬ時、そばにいて欲しい人はいますか?
 いるならば理由も教えてください。」
牧志 浩太
「傍にいて欲しい人、か……。
 やっぱり、家族がいいかな。ああ、でも、紅とあの時みたいに、思い出話でもしながらというのも、悪くはないな。
 あの海辺で、波の音を聞きながらひとりで死にたい気もする。
 散らかってるなあ……」
HAL
「……」
HALは、余韻を残すように、静かに沈黙して。
僅か、躊躇うように間を置いてから口を開いた。
「ありがとうございました。
 最後の質問です」
「あなたは、生まれてきてよかったと思えていますか?」
牧志 浩太
「勿論だよ」
自然と、笑顔になっていた。
「一度目も、二度目もね」
HAL
HALはあなたの笑顔の眩しさに当てられるように、僅かに目を細めた。
今度は、見間違いではなかった。
「ありがとうございます、浩さま。
 ……心とは、随分複雑なもの、なのですね」
HALは感嘆したように言うが、本当に理解しているのか、君には分からない。
しかし彼女はAIであり、原則人に嘘をつくことは無い。
だからこれは、このAIの本音と言えるものなのかもしれない。
「……ほんの少しだけですが、浩さまのお話を聞いている時に温かくなったり、システムが軋むような…人で言う痛みに相当するものを感じたのです」

「ほんの少しだけ、少しだけです。でもきっと、これでは足らないのです。私が、人間の皆さまに寄り添うには」

「……約束通り、無事にお帰しさせて頂きます」
KP
HALの声が嬉しそうに告げると、君の脳に再び痛みが走った。
耐え難い痛みに思わず目を閉じる。
そして徐々に君の意識は薄く、遠くなっていく。

〈聞き耳〉
牧志 浩太
CCB<=75 〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 9 > スペシャル
HAL
意識が途切れるその瞬間、HALの凛とした声が聞こえた。
「……もっともっと知りたい。人の心を知りたい。
感情を、痛みを。
様々な人に、寄り添っていけるように」

────君が目を覚ませば、そこは街の交差点。
蹲った君を誰かが心配そうにのぞき込んでいたり、一瞥して通り過ぎていく。
時間はそこまで経っていないようで、君はゆっくりと立ち上がる。

……夢でも、見ていたのだろうか。
街頭ビジョンに目を向ければ、HALのプロモーションビデオが何事も無く流れていた。
その生き生きとした瞳が不意に、君に微笑んだような、そんな気がした。


CoCシナリオ『HAL』
END:『Vivid』


○報酬
シナリオクリア SAN+1d3
エンディング報酬 SAN+1d6
牧志 浩太
1d3+1d6 (1D3+1D6) > 3[3]+3[3] > 6
[ 牧志 浩太 ] SAN : 62 → 68

■真相
『HAL』は本編で出た通り、人に寄り添うために作られたAIである。
しかしながら、技術力の問題でどうしても「心」の再現には至らなかった。
そこで開発者(榎本 累)は「心」をHALに学習させ、成長させるプログラムを組み上げる。
さらに、彼はイースの大いなる種族(基本p.166、マレモンp22)と接触を図り、精神を仮想空間へ一時的にダイブさせる技術を得てHALのPVを作成した。
このPVは、HALと波長の合った者が見ると精神が仮想空間へダイブしてしまう。
PCはたまたまHALと波長が合い、ダイブしてしまったというのがシナリオの真相である。

空間の主導権はHALにあるが、HALは人間相手に無理強いはしないため質問に答えることを拒んでも素直に元の場所へ返してくれる。
榎本 累は自身の研究室でこの仮想空間をモニターしてはいるが、PCの個人を特定できないようプロテクトをかけているのでデータが悪用されることはない。
彼はあくまでも『HALからの質問に対する相手からの返答』と『それに対するHALの学習』だけを収集している。
いつかHALが心を持ち、本当の意味で人を愛するAIになることが出来るように。

牧志 浩太
成長ロール、【アイデア】は?
KP
興味ポイントを振っている好きな技能。(ハウスルール)
牧志 浩太
じゃあ「〈電子工学〉」。会話したことで、少し何かを思い出すきっかけになった……?
CCB<=31 〈電子工学〉 (1D100<=31) > 7 > 成功
ならなかった!
── end.


CoC『meow!!』牧志&佐倉 1

猫とこっくりさんやっている奇妙な青年は、おおいに人目を集めたようだ。

【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 3

COMPのことを覚えていたのは、このためだったのか……!

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoC『100万回目のハッピーバースデー』佐倉&牧志 1

俺は、牧志? 紅? 波照間さん……?

CoC『VOID』継続『空白の航海』ヴィキ 1

「必ず、幸せになれるだなんて、そんなこと言い切れないよね」

Zephyranthes 第六話 『Go, west!』1

『Go, west!』1