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こちらには
『眼窩に祝福』 のネタバレがあります。

本編見る!
KP
マップを開示。
佐倉 光
階段の下に血痕はなかった?
KP
下にはない。扉の前から始まった血が次第にかすれ、階段の所で途切れているという雰囲気だ。
詳しく見るなら〈追跡〉または〈医学〉で判定。
KP
階段を出た所から続く廊下の両側に扉が三つずつ。そして奥にトイレらしい入口がある。
佐倉 光
なるほど。牧志の血か俺の血じゃないかと思うんだけどね。
一応〈医学〉振ってみよう。
1d100 22 〈医学〉 Sasa 1d100→ 75→失敗
佐倉 光
わかんない。
牧志 浩太
1d100 61 〈医学〉 Sasa 1d100→ 39→成功
牧志 浩太
「……結構新しいな、この血。それに、跡が二つある。一つは足跡で、一つは引きずったような。
……俺、ここから逃げてきたのか?」
佐倉 光
「そういうことなんだろうな」
すると中で殺し合いしてるかしてた可能性があるのか。
佐倉 光
「武器もなしに入りたくねぇな」
佐倉 光
「別んところから入ってみようと思うんだ。靜かみたいだしな」
牧志 浩太
「賛成。ここが地下か何かだとしたら、上に続いてる可能性もあるけど、俺の記憶が合ってればあいつらがいるかもしれないしな」
牧志 浩太
「武器っていえば、佐倉さん、COMPは動きそう?」
佐倉 光
「ああ……動きそうな雰囲気ではあるけど、確認はまだだったな。
普通の悪魔召喚は無理そうだ。ここに入ってるカードのスキルくらいだな」
合体材料用に弱い悪魔のカードをストックしていたのだ。
一応動作確認をしよう。
手持ちのカードを呼び出す。
佐倉 光
「粗悪品も混じってるな。ちゃんと使えるといいんだけど」
KP
COMPはあなたのコマンドに反応して展開し、籠手の姿となる。
しかし動作にエラーが見られ、液晶パネルの表示も不安定だ。悪魔を継続的に召喚しておくことはできそうにない。
カード・スキルは問題なく発動できそうな感触だ。
牧志 浩太
「よかった、動くんだな。それだけでも心強いな」
牧志はほっと安堵の息を吐いた。
佐倉 光
「手持ちのカードあまり多くないし、あまり戦うことは考えない方がいいな」
牧志 浩太
「そうか。切り札、と思っといた方がいいな」
佐倉 光
では廊下をざっと見回して〈聞き耳〉立てて血痕以外に気になることがなければ1からいってみよう。
KP
ただ白く無機質な光に照らされた廊下、そこに刻まれた扉に血痕以外の違いは見受けられない。
物音も、人の声もなく、聞こえるのは傍らの牧志が息をする音だけだ。
KP
あなたの手の中には、傍らの傷ついた人間一人をどうとでもできる程度の力はあった。
佐倉 光
どういう意味だろうな?

佐倉 光
1のドアに対して〈聞き耳〉を立て、中に気配や音がなければ開けてみよう。
KP
扉を開けると、中は茶色いカーペットが敷かれ、部屋の真ん中あたりに段差の作られた、妙に生活感のある部屋だった。

高い方には卓袱台と小さな棚があり、座布団が積まれている。
低い方には、二段ベッドが二つ。
牧志 浩太
「……? 何だか突然和やかっていうか、雰囲気が変わったな」
佐倉 光
「仮眠室か休憩所って雰囲気だ」
ぐるっと見回して。
まずベッドに誰かもしくは何か寝てないかチェックしよう。
二段ベッドの上を真っ先に見に行く。
誰もいなければ布団引っ剥がして枕どけて家捜し!
KP
1d100 Sasa 1d100→90
KP
そこには誰もいない。誰もおらず、何者かが布団の中から身を起こすことも、惨劇の跡が残っているということもない。

〈目星〉で判定。佐倉さんのみ。
佐倉 光
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 30→成功
KP
枕をどけた時、枕の下に微かに光るものを見つけた。
伏せられているが、形からして小さな手鏡だ。
誰かの忘れ物だろうか。
佐倉 光
手に取って見てみよう。鏡面に何かかいてたりしないかなー
KP
手に取って鏡面を見る?
佐倉 光
見るよね!
そういえば自分も怪我してたはずだし。
佐倉 光
「誰もいないな。これ、手鏡かな?」
牧志 浩太
「!!」
手鏡。
あなたの呟きを聞いた時、牧志は血相を変えて弾かれるようにこちらを振り向いた。

ちょうど包帯の側がこちらを向いていたため、あなたの行動に気づかなかったのだ。
KP
彼はそれをあなたの手から奪い取ろうとする。しかし、その前にあなたは見てしまった。

鏡に映った自分の顔。
いつも通り目つきが悪くていつもより少し顔色が悪くて乾いた血を拭いた跡があって、片方だけ明るい色の眼をしていて。

違う。
あなたは気づく。

気づいた瞬間にあなたが感じたのは怖気か驚きか心配か怒りか、それとも、胸の内側をどろどろと染める、もっと違う感情か。

片方だけ明るい色の眼。

彼は髪も眼も少し明るい色をしている、髪を染めているのかと思えば弟も同じ色だったから遺伝というやつなのだろう、真っ黒なあなたの髪の下で、目の前の彼と同じ色の片眼が見開かれていた。

もしかしてもしかしてもしかして。
鏡越しに、彼の顔を覆う包帯が見える。握った金属の冷たさで冷えていくように感じる身体のなか、眼窩の中でうごめくそれだけが熱をもって感じられた。

それは、彼の眼ではないか。


SANチェック成功時減少 1d2失敗時減少 1d6+1》。


佐倉 光
1d100 54 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 1→決定的成功クリティカル)!
佐倉 光
いやー、中の人は知ってたけど、佐倉は察しがつくほどの情報ないしなぁー。
佐倉 光
1d2 Sasa 1d2→2
SAN 54 → 52
佐倉 光
それなりのショックは受けたな。
ていうかまた無駄クリか佐倉ァ
佐倉 光
※あれ、この場合1ダメージだったかな。

佐倉 光
「……ああ……なるほど?」
長いため息をついた。
佐倉 光
「俺の目がさっきのヤツの実験材料になった。
なるほどそうすると視細胞になんか差でもあんのかな?
片方の眼球だけで済んだのは幸いだな。脳が不要で良かったなマジで」
淡々と呟いてベッドから降りる。
佐倉 光
「で。なんで牧志の目がここに填まってんだよ。
お前がやったんだろう?」
怒っている。恐らく。
心配している? 恐らく。
嬉しい? それは不適切だ。
しかし目を覆う手を少し暖かく感じる。
佐倉 光
「説明、できるか? 牧志」
多分顔は怒っている。
頬を伝ったのは涙だ。
自分の感情が良く分からない。

牧志を責めても意味はない。ただ、話を聞きたい。
牧志 浩太
「できるよ、鏡を見て何があったのかも思い出した……。
大したことは、思い出せなかったけどさ」

牧志は微かに呻いた。痛みに、ではなく、あなたに気づかれてしまったという諦めと、何らかの怖れに、のようだった。
牧志 浩太
牧志は目の前のベッドに腰かけた。
あなたとの距離は近い。
牧志 浩太
「どうしてああなったのかだけは、本当に知らないんだ。

あいつら俺には興味がなかったみたいで、目が覚めた時、俺は廊下に放り投げられてた。
目の前の扉から人が争う声がして、そこから佐倉さんの叫び声が聞こえて、急いで飛び込んだ」

牧志は自分の胸に手を当て、ぐっと押し込むようにして、身体の震えを抑え込む。
佐倉 光
「ああ」
続けろ、と促す。
俺は何も覚えていないけどな。
牧志 浩太
「俺が飛び込んだ時、部屋の中では人が殺しあっていた。
包丁や素手や金鎚や、とにかく計画的っていうようには見えなかったな。

その中に……、佐倉さんがいたんだ。
転げ回りながら泣き叫んでいた。片目が血で張りついてて、もう片方の目に自分の指を…… 指を突き入れて、切り離さないと、切り離さないとって叫んでた。

正気には見えなかった。
切り離さないとここにいられない、覚えていられない、嫌だ、嫌だって、何かにしがみつこうとしていた。

俺が止める前に、とうとう目を抉り出して投げ捨てて、ほっとしたような顔をして、俺を見て気を失った……」
牧志 浩太
牧志は膝の上で両の拳を握っていた。
白くなるほど握られた拳が震えた。
佐倉 光
「なんだ……それ? そんなの俺は、知らないぞ」
力なく笑う。
佐倉 光
「自分の目を抉った?」
実験に使うために取られた、程度の予想はしていた。
しかしそれは全くの予想外だ。……狂気に任せて抉った?

目を見開いてぽつりと呟いた。
佐倉 光
「……それから?」
牧志 浩太
「それから……、そうだ、埋めなきゃいけないと思ったんだ」

牧志は包帯の下に埋もれた眼窩に指を当て、記憶をたぐる。
少し、指の下で包帯がへこんだ。
片方しかない眼が、不安定に瞬いた。
牧志 浩太
「元に戻さないと……、いけないと、思って。
元に戻せば、忘れて、思い出さなければいいと思ったんだ。

そうしないと、佐倉さんが全部壊してしまう気が、した」
佐倉 光
「ブロックじゃないんだぞ……入れればokってわけねぇだろうが。
っつーかどうやって目玉くっつけたんだよ。《治癒》の魔法か?」
佐倉 光
「いや、それなら俺の目玉拾って入れてくれよって……」
佐倉 光
「分からないな。俺はそんなにおかしかったのか?
お前がわざわざ自分の目玉はめ込もうなんて考えるくらい?」
もしかしたらおかしいのは牧志かも知れないよな? とちらと思った。
今の牧志は……正気に見えるが。
後で確認した方がいいかも知れない。
牧志 浩太
「夢中で、埋める物を探して、走って、探し回って、……見つけたんだ。
人の肉に魔力を宿して移植できる呪文、だった。

俺の眼を……、俺の一部を渡したら、きっと、佐倉さん、抑えられなくなる、だろ。
だから、迷ったんだ。でも。

……勝手に、ごめん。あの時の佐倉さんは本当におかしかった。
あのまま、頭を叩き壊しそうに見えたんだ」

牧志が不安げに、あなたの顔に手を伸ばした。
埋め込まれた眼のふち、下瞼に。
佐倉 光
「……今のところは大丈夫」
少なくとも自己認識においては。
佐倉 光
「しかし大丈夫だからなのか何も分からない。
そうだな。言われてみれば……」
牧志 浩太
あなたは思い出す。確かに彼の言う通り、自分はあの時「切り離さなければ」と思った。

自らの目を抉り出してまで、そうしたい何かがあったのだ。そうしなければならない何かがあったのだ。
そこに何かが。

 何が。
KP
《何が》

ああ、ああ、だめだ。
だめだ。

記憶の蓋がかたかたと音を立てた。
あのとき確かに自分はそう思った。

それが何かをあなたは知っていた。
知っている。
知っているはずだ。

切り離さなければいけない。
佐倉 光
「切り離さないと」

何だった? それは何だっただろう?
そのときがいつかは分からないが、その時はそう思ったのだ!
指先が震えた。
佐倉 光
「切り離さないと……!」
無意識のうちに手が眼窩に伸びる。
牧志 浩太
「佐倉さん、だめだ」
眼窩に伸ばされたあなたの手を、牧志がやさしく掴む。
佐倉 光
手元の鏡に視線が落ちた。
色素の薄い瞳……これは牧志のだ。
佐倉 光
牧志のだ。手放せ、ない……
牧志 浩太
「思い出さなくていい。切り離さなくていい。大丈夫だ。大丈夫、だから」
反対の手があなたの頭を抱え、彼の胸に押しつける。
牧志の胸。少し速い鼓動を打つ、赤い、赤い心臓。
他のものをあなたの意識から視界から追い出し、その血流の音だけをあなたに聞かせるように。
佐倉 光
「うう……ぅぅぅ」
牧志の胸の中の鼓動を掴むように軽く引っ掻いた。
今まで、追い出そう、忘れようとしてきた執着を呼び戻さなくては、壊れてしまうと思った。
ちかちかと頭の中で、目玉の中で赤い光が明滅する。
気がつくと、服越しに牧志の肩口に噛み付いていた。
そのまま目を固く閉じて嗚咽を漏らす。
牧志 浩太
牧志は抵抗しなかった。
痛がるそぶりすら見せず、服越しに縋るあなたの歯を受け止める。
血のついた牧志の服は、微かに塩辛い味がした。
牧志の手が、嗚咽するあなたの頭を静かに支えた。
佐倉 光
どうやら、牧志が切り分けてくれたにくを喰らって俺は生きながらえているらしい。
悔しいことに、今はそれが必要らしい。
佐倉 光
暫くそうやって心の波が収まるのを待った。
そして何とかかんとか体を離してかすれた声で謝る。
こんな事をしている場合ではない。
牧志 浩太
「いいよ。大丈夫」
ひとつだけの眼で牧志は微笑んだ。
その包帯の内側にはきっと、赤黒いうろが存在しているのだろう。
KP
※これ以降、記憶を思い出したい場合は【アイデア】/2成功することで記憶を取り戻せる。

タイミングは任意。何度でも挑戦可能。

挑戦しないことも可能である。
気付く?
佐倉 光
ふむー。
思い出さない方がいい気がするが、思い出すことで必要な情報が得られる可能性もあるか。
とりあえず今はやめておこう。
実際この話、目の色が同じ場合気づけませんよね?
KP
眼の色全く同じだったら気づけないですね。そこシナリオではちゃんと気づくんですが、そのときは【アイデア】でも入れて「眼窩に食い込むように血が滲んでいて」とかそういう理由付けしたかなぁ。
佐倉 光
目には黒子も怪我もなかなかないしなぁ。
ここは一目で分かるレベルで抉り甲斐がありますね!(?)
KP
眼の色かなり違うから面白いな~~~と思ってました。
作画的なアレソレ除いても明らかに色素が薄いですもの、牧志。

佐倉 光
「その、目を移植した魔法ってどこにあるのか覚えてるか?
つーか移植ってどこでやったんだ?」
必要なことを確認することで少しずつ乱れた心を整えてゆく。
牧志 浩太
「あの、血の跡がついてた部屋があるだろ。あそこでやったんだ。
呪文を見つけたのは、その向かいの部屋だった。
資料室か何かみたいで、本が大量にあったんだ。
そういえばあそこ、まだちゃんとは調べられてないな」

そうやって必要なことを互いに交換していくことで心が落ち着いてゆくのは、牧志も同じらしかった。

少しずつ吸っては吐いて整える息の音を聞いていると、先程の牧志は随分と動揺し心の均衡を失っていたのだ、ということに気づく。
佐倉 光
「なるほど。じゃあまず資料室を探してみるか。
俺が何をされたかは分からないが、このままにしておくとまずそうだ。
しっかし、目玉捨てたの痛いな。
牧志が目をくれなかったらまずかったのか?
何が起きてんだ……」
牧志 浩太
「そうなんだよな。
捨ててしまった眼がどうにかなる気もしないけど、なんでなくなったのかは気になる。
なくなったってことは、持っていったなり何なりした誰かがいるのかもしれない」

そこまで話していて、牧志は初めて気づいたように、片眼を瞬いた。
佐倉 光
「つか牧志、お前も目を抉ったんだろ?
そっちは大丈夫なのか? 痛みは? 出血は?」
牧志 浩太
「そういえば……、痛くないな。全然」

眼窩のあるべきところを軽く指で押し、撫でて痛みを確かめる。
もし今もそこに惨たらしい傷が存在するのなら、少なくとも顔をしかめるだろう動作だ。

牧志は、その指先をじっと見た。
牧志 浩太
「そうだ、抉った時も痛くなかった……。自分の目を抉ったのに。
視界が真っ赤になって血が溢れ出るのを見たのに、全然痛くなかったんだ。

俺にも、何か起きてるのか」
佐倉 光
牧志も侵食されてるのかなー
佐倉 光
「痛みがないってんなら不幸中の幸いだけど、
尚更このまま脱出するってわけには行かなさそうだな」
佐倉 光
「調べよう」
佐倉 光
「しかし魔術だからって素手で目玉抉るってできるのかよ。
潰れるだろいろいろ……」
牧志 浩太
「ああ、いや。
果物ナイフが出しっぱなしになってたから使ったんだ」
牧志はこともなげに言う。痛みというものを感じていないせいなのか、心の均衡をいまだ危うくしているのか、その様子はどこか危なっかしい。
佐倉 光
「大差ない」
そういや今までも雑に心臓抉るとことか見たことあるしなー。
まほうのちからってすげー。

佐倉 光
まずはこの部屋を手分けして調べます。
KP
室内には二段ベッドのほか、卓袱台と座布団、卓袱台の横に小さな棚がある。
棚には休憩しながら摘まめるような菓子の他、雑誌が何冊か入っているようだ。
おや、卓袱台の上に読みかけの雑誌。
佐倉 光
まずはまだ見ていないベッドの一段目見て、卓袱台の上の雑誌見よう。
今の話と下の惨状を思えば、ごく普通の休憩室を思わせるこの光景はいっそ醜悪だ。
KP
しわくちゃになった布団をどけるが、ベッドの一段目には何も残っていない。

卓袱台の上の雑誌は「心理学・精神医学特集!」と銘打たれている。

開かれていたのは、こんなページだ。
佐倉 光
お、事件とは関係なくちょっと興味あるぞ。
ついつい見ちゃう。
『防衛反応』
人間は恐ろしい経験をした時に、自らの記憶に蓋をすることがある。
これは自らの心身を守るための防衛反応であり、誰しもが行う可能性がある。

多くが無意識下で行うことであるため、当人ですら何を忘れたのか覚えていない。
しかし心の奥底では覚えているため、恐ろしい記憶に関するものを無意識のうちに遠ざけたりすることがある。

また、これは防衛反応を起こした相手に対しても気を付けなければならないことで、恐怖を呼び起こすものを極力避け、刺激を与えないようにした方がいいだろう。
KP
「俺は大丈夫だし」と知らない字で書き込みがある。
読んでいた誰かのものだろうか。
KP
周囲のページを見てみると関係のない内容で、心理学・精神医学特集! はこの辺の数ページのみらしい。
それらのページも、後はどこかで見たことのあるような内容だ。
佐倉 光
そうすると今までちょいちょいあった謎判定は牧志側の思い出し判定かなー。
佐倉 光
「割とよくあることだ。覚えがある」
佐倉 光
「まさに今その状態、ということは、無理に思い出すとぶっ壊れる可能性があるな、俺」
佐倉 光
「牧志もそうなんだろうな。
目移植したときか、その後に、何かあった……かもしれない」
牧志 浩太
牧志はページを見下ろし、小さく頷いた。
牧志 浩太
「ああ。
俺にもきっと、まだ何かあったんだ。
思い出さない方がいいようなことが。

……痛みがないって気づくと、何だか心許ないな。自分の状態が分からないような気がする。

佐倉さんは痛み、ちゃんとある?」
牧志は気がかりそうにあなたの眼を覗き込む。

その時、牧志の片眼にあなたの姿が映っているのに気づいた。
成る程、突然顔を離したあの時、彼はあなたが自分の顔を見てしまうのを恐れたのかもしれない。
佐倉 光
「目を抉ったにしちゃ軽いけど、一応痛みはある」
牧志 浩太
「そうか、よかった」
牧志 浩太
「でも、眼を抉ったにしては軽いのか……。そうだよな、佐倉さんそんなに痛そうじゃないし」
佐倉 光
「そうだなー、そうすると牧志は書庫や血痕のあった部屋には行かない方がいいのか?
今話してくれたことだけなら記憶を飛ばすほどじゃない気がするし、まだ何かあるんだろうな」
佐倉 光
「お互い、理由も分からず嫌な感じがするときは言った方が良さそうだ」
牧志 浩太
「呪文のことまでは思い出したんだから、書庫は大丈夫だろうとは思うんだけど……、
そうだな、その時は言った方がよさそうだ」
佐倉 光
「そういえば俺の目玉、なくなってたのか?」
首を傾げる。
佐倉 光
「俺が抉って捨てた、ってとこまでは聞いたけど。
その後『なくなった』のかな?
思い出すのがしんどいならそういう風に理解しとく」
もしかすると俺の目玉に何かされて、それが原因で俺がおかしくなって、
捨てられた目玉か、俺の目の奥かに起きた何かを見て牧志が記憶飛ばした可能性があるか……
牧志 浩太
「ああ。
俺もあんな状態だったから、ちゃんと探せてたかどうか自信はないんだけど。
何せ、殺し合いの中だったし、佐倉さんは気を失ってた。いつ刃物がこっちに向くか分からなかった」

牧志は手探りするように顔の上で指を動かしながら、慎重に記憶を辿る。
偶にその指が眼窩を押し込み、何だか痛そうだ。
佐倉 光
「眼窩、か。気になるな」
佐倉 光
「気になるからって追求していいやつなのかどうか、良く分からないのも困る」

何しろ今はまたおかしくなったら今度は牧志の目を抉って捨てかねない。
それだけは……いやだ。
牧志 浩太
「そうなんだよな。何も分からないままじゃ困る、でも、佐倉さんの記憶を刺激したくない。
同時に我を失うなんてのは、一番避けたい」
佐倉 光
「そんな状態でよく助けてくれたよ。ありがとう」
牧志 浩太
「ううん、無事……じゃないけどさ、助けられてよかった」

こういうのが一番怖かったから。
頷いて棚に向かう合間、牧志がぽつりと呟いたのが聞こえた。
佐倉 光
牧志君に人間の悪意に対する恐怖が根付いている……
KP
それはもう……。

いろんな目に遭いすぎて、人間以外の理不尽はある意味「降ってくるだけ」だけど、人間は人間に特化したことしてくるから怖い、っていう発想になっちゃってますね…‥。

こちらに関心を持ってくるのも干渉してくるのも人間か、人間を知っているもの(イルカとか)、っていう。

人間がどうしようもない世界の滅びや神格による厄災は継続可能シナリオにならないので、勢い人間の介在した脅威に遭うことが多いですしね。
あと本編の牧志は大学への行き来で攫われすぎているし、佐倉さんは仕事で別れた時にどうにかなりすぎている。
佐倉 光
「さて、情報だ情報。情報は毒になるかも知れないが、何も知らないままじゃ立ち向かえないからな」
棚には何かあるかな?
KP
棚には菓子や雑誌が雑然と置かれている。
あの整理された薬品棚に比べると、随分生活感がある。

雑誌の中を探すなら〈図書館〉で判定。
佐倉 光
1d100 75 素〈図書館〉 Sasa 1d100→ 29→成功
KP
雑誌のあいまに、油染みのついた「研究レポート01」を見つける。
佐倉 光
「お」
佐倉 光
「……なんでこんな所にあるんだよ」
大事であろう物が見つかった事に対する喜びと同時に、
絶対こんな所にあってはいけない物だろうという苛つきを感じた。
牧志 浩太
「しかも、油染みがすごいしな。妙な所ぬけてるっていうか。
いや、隙がなかったら困るんだけどさ」
佐倉 光
ともあれ読む。
KP
そのレポートは、このような内容で始まっていた。
『研究レポート 01』
×月×日

我らが神から、贈り物を授かることができる恵まれた人間を、祝福されしものと呼ぶ。

神からの贈り物は、我らの悲願の達成に大いに役に立ってくれる。
しかし祝福されしものを確保するには途方もない時間がかかる。

そこで我々は祝福されしものを作り出すことに決めた。
牧志 浩太
「作り出す……、さっきのレポートにあった、人工的に作るっていうのは、この『祝福されしもの』って人のことなのか……」
佐倉 光
「自分らで勝手にやれよなそんなの……」
読み進める。
KP
レポートはまだ続いている。
×月×日
人間を作り出すのは容易だった。
男と女、そして設備があれば繁殖は可能だ。
しかし祝福されしものを作り出すことは難航していた。
祝福されしものから産まれた子供ならばと思ったが、何人産ませてもただの人間でしかなかった。
繁殖による方法は見直すべきか。
KP
レポートはまだ続いている。
牧志 浩太
ぎり、と微かに歯を噛み締める音がした。
牧志 浩太
「本当にな……。そんなの、やりたい奴だけで、勝手にやればいいのに。
毎回、思う。

こいつら、人間なのか? そうじゃないのか?
人間を人間だと思ってないみたいな書き方だ……」
佐倉 光
「自分らでやった結果があれってわけかよ……
いや、作った奴らと無関係の人間の可能性が高そうだな、この書き方。
確かに人間っぽくない」
牧志 浩太
「そう。人間だったらその方が不気味だ。
ああいう連中が神を崇めるのかどうか知らないけどさ。

……同じ血筋なんじゃないか、って言ってたよな。下の」
佐倉 光
「ああ。
地下の雑な死体の扱いを思い出しても、あまり人間的な感情はみえないな。
片付けるだろう普通……」
佐倉 光
「まあ、思い出してみりゃそうじゃない例もいくつかあったけどさ……
大体特殊な事情があったし」
意外に死体って雑に積まれるよな。病気とか怖くないのか?
牧志 浩太
「確かにな。外に出したら警察とかにばれるにしても、せめて穴掘って埋めるとか、燃やすとかしないんだな」
佐倉 光
大体ホラー演出的な都合。
使われている施設でそんなのあると、意味なく溜めるならせめてピットに落とすとかして距離とれよと思う。
KP
ホラー演出的な都合とシナリオ的な都合あるある。
牧志 浩太
「……今、すごくどう思っていいか分からない可能性が思い浮かんだ……」
佐倉 光
「ん、なに」
牧志 浩太
「穴掘るのが面倒で、あそこに実質埋めた可能性」
油染みだらけのレポートを見ながら、苦虫でも噛み潰したような顔で牧志は呟く。
牧志 浩太
「くそ」
牧志 浩太
「変な感じだ。この文章からは人間の気配を感じないのに、この休憩室は変に人間的なんだ。

単に、本当に単に、同じ人間だと思ってないってことなのかな……」
佐倉 光
「わかんねーけどな。
人間は自分と同じ人間じゃないと判断した相手には残酷になれるもんだしさ……
人間じゃない可能性も視野に入れとこう」
牧志 浩太
「そうだな」
佐倉 光
続きを読む。
牧志 浩太
レポートの続きを見て、牧志は目を見開く。
KP
そこにあったのは、こんな内容だ。
×月×日
繁殖から移植に切り替える。
祝福されしものの肉体が老化し始めたため、ちょうどいい機会だ。

祝福されしもの(以下は先代と呼称)の肉を少しずつ刻み、別の人間へ移植する。
これには《肉移植》の呪文を使用する。

祝福されしものは、肉に魔力が付与されるという特性を持つ。これにより「痛み」を感じることなく移植が可能になる。
KP
レポートはまだ少し続いている。
牧志 浩太
「もしかして、俺が痛みを感じてないの、これが関係あるのか」
佐倉 光
「移植……」
額をおさえる。
いつもの内側からの痛みではない、外傷の痛み。
痛みを感じない牧志。
痛みを感じずにパーツを移植する魔法、なら役に立つだろうに。

続きを読む。
×月×日
先代の肉を移植した。
先代に産ませた子供、連れてきた人間を中心に、希望者含む 100 余名への移植が完了した。
これよりしばらくは経過観察とする。
月×日
肉を移植した半分ほどが拒絶反応を示し、死亡した。
肉を有していても祝福を受けるに値しないのか。遺体の検分が必要だろう。

結果としては移植した肉が頭部から離れれば離れるほど、拒絶反応を起こし、肉が壊死しやすくなるということがわかった。
しかしその中でも素養のある人間は数名残った。

適合率の高い個体として隔離し、条件をさらに絞る。
KP
レポートはここで終わっている。

両方のレポートを読み切ったあなた達は、身の毛のよだつ内容に、《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d3+1》。
佐倉 光
1d100 52 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 15→成功
SAN値 52 → 51
牧志 浩太
1d100 41 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 35→成功
SAN 41 → 40
KP
というわけで謎の1d100の中には牧志の《SANチェック》も入っていました。
佐倉 光
やはりね!!
おー、大分喰らってるな。
佐倉 光
「なるほど」
人を人と思わない実験が行われていたのは分かった。
自分たちがそれに巻き込まれたらしいことも。
佐倉 光
「頭部への移植か。嫌な感じだ」
牧志 浩太
「ああ。……移植、されたんじゃないよな、佐倉さんか俺が……。

でも、佐倉さんの今の片眼は、何か違うようには見えないしな。
ううん、分かるようでわからないな……。
俺の眼、何か違ってたりしないか?」
佐倉 光
牧志の目を覗く。
何か変化はあるだろうか?
牧志 浩太
特に変化はないように見える。
あなたが先ほど鏡の中に見たのと同じ、見慣れた彼の眼だ。
佐倉 光
牧志は廊下に転がっていたという。
どういう経緯でそんな場所にいた?
本当に必要ないものならさっさと殺して地下にでも放り込みそうなものじゃないか……。
佐倉 光
包帯が巻いてある方を……いや、今見てなんになる。
もしそこに何かあったとして、取り除く手段なんかあるか?

肉片。眼窩。痛みを感じない牧志。

嫌な想像はふくらむ。
いや、まだ考えるべき時ではない。
KP
他には他愛ない雑誌などがあるだけで、気になる書物はない……。
佐倉 光
座布団めくってみる。
KP
座布団の下には何もない。菓子のかけらが落ちているくらいだ。
佐倉 光
あとこの部屋に見て意味のありそうな物は……
ぐるっと見回してみるけどなさそうかな。
卓袱台はチェックした扱いかな。下も覗いてみよう。
KP
卓袱台の下にも、特に何もなさそうだ。
他に大した物は見当たらない。
佐倉 光
「そろそろ行こう。まずは書架見たいな」

廊下の様子をうかがう。とくに変化なければ4の部屋かな。
KP
廊下の様子を窺えば、変わらず静まり返っている。
起きていたという殺し合いで、全滅してしまったとでもいうのだろうか?
佐倉 光
それならそれでラッキーだ。
俺達が逃げたのがここの奴らの目論見通りじゃなければな。
とにかく動けるなら遠慮なく調べよう。

部屋を移動する。

KP
扉の向こうに、やはり人の気配はない。
生活感があるにも関わらずがらんどうの建物内は、逆に地下の無数の屍だけが生命の存在を感じさせるように思われた。
KP
扉を僅かに開けると、中から古い紙の匂いがした。
そこには本がぎっしりと詰められた本棚が、壁に沿って鎮座している。
旧いものから新しいものまで、言語さまざまな背表紙が見えた。
牧志 浩太
「ここだ、俺が呪文を見つけた所……」
牧志があなたの傍らで呟いた。
佐倉 光
先日佐倉がやったヤツじゃないのかこの(移植)魔法……
KP
ちょっとちがうヤツです。
佐倉 光
「色々お宝がありそうな雰囲気だな。
探してみよう」
ざっと目に関するもの、あとは今までに見た単語に関係ありそうな本を探そう。『祝福されしもの』とかね。
KP
〈図書館〉で判定。
佐倉 光
1d100 75 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 61→成功
KP
1d100 85 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 15→成功
KP
眼に関する書物を探そうとすると、あなたはすぐに問題に気づく。

大量にあるのだ。

ありとあらゆる見地での目、邪視、解剖学、そこには視覚と光に纏わる書物が大量に集められていた。

その中にあなたは、ある書物を見つける。
『祝福』と題するそれは、『光』をあがめる書物だった。

人間の知覚は矮小にして、真実の一片をも理解することあたわぬ。

そんな文章で始まるその書物は、不意にあなたに強烈な嫌な予感をもたらした。
何故だろう、その先に書かれていることを見たことがあるような気がする。既視感がある。既視感があるというのに、見てはならない気がする。
佐倉 光
その本を抜いて手に持つ。
光か……
人間の心では受け止めきれない知識には今までに何度か触れたことがある。
経験上、大体見ると碌な事にならない。
佐倉 光
「牧志、何か見つけたか?」
KP
その書物は、あなたの手の中でぞわりと存在感を増したような気がした。
あなたはこれを知っている。あなたはこれに親しい。あなたはこれを見てはならない。
牧志 浩太
「ああ、この本なんだけど。俺があの時呪文を見つけた本、これなんだ。
あと、この本棚、何か違和感がある気がしてちょっと考えてる」

牧志が手にしているのは、朽ちかけた古い書物だ。赤い手形がべったりと描かれており、その本体は薄く伸ばした何かの革で綴られているように見える。
牧志 浩太
「それは?」
あなたが手にした本を見て、牧志は訝しげに目を瞬いた。
佐倉 光
「この本、俺自身に関係あることだ。何故か読んだ記憶がある。
だから俺は読めない。読んだらまずいことになる予感がする。
だからってお前に見て貰って問題ないとも言えないだろうから、迷っているとこだよ」
腕に立っている鳥肌を無意識に撫でる。
牧志 浩太
「佐倉さんに関係のあること……、佐倉さんの記憶に関係のあるものか?
確かに、それはまずいな。
……俺もまだ思い出せてないことがあるかもしれない、んだしな……。
とりあえず、持っていって保留にしとくか?」
佐倉 光
「そうしよう。必要そうなら読む。
いつ必要なのか判断ができるか、という問題はあるけど、今読むのは避けたい」
佐倉 光
「俺はここに来たことがあるのか……? どういうことだ」
佐倉 光
「そっちは趣味の悪い本だな。魔法か呪術か、碌な事が書かれていなさそうだ」
佐倉 光
その本棚、何があるんだ?
自分も見てみる。
KP
本棚の違和感を探すなら【アイデア】で判定。
佐倉 光
本棚に何か見つけられるだろうか。よく見てみる。
1d100 85 【アイデア】 Sasa
1d100→ 38→成功
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 Sasa
1d100→ 28→成功
KP
この部屋はよく使われているようで、本棚には埃など積もっていない。
しかし、小説や絵本などの収められた一角だけ、あまり触れられていないのか埃が積もっている。

その合間に、本の置かれ方が不自然な箇所を見つける。
小さな箱が、本の後ろに隠すように押し込まれていた。

箱は小物入れのようで、鍵穴がある。
佐倉 光
飛び出すぎているなと思う部分に目が止まる。
この本とこの本は知っている。サイズは同じだったはず。なぜこちらだけ飛び出している?
少し考えて本を引っこ抜く。
佐倉 光
「なんだこれ?」
箱を手に呟く。
佐倉 光
「本棚の裏に隠すようなものか。今回のことに関係あるのか……?」
佐倉 光
「ああ、鍵、といえば」
下で見つけた血まみれの鍵を取り出した。
佐倉 光
布に書いてあったのが人名であると仮定。
隠されていたのが絵本の後ろ。
少し陰鬱な気分になってしまうが。
牧志 浩太
「まみ、か……。
どう見ても隠してあったよな、これ」
佐倉 光
鍵を差し込んでみる。
KP
カチ、と小さな音を立てて鍵穴が回る。幸い、血のせいで詰まってしまうといったことはなかった。

中には小さな電子機器がひとつ。
ボイスレコーダーだ。

あなたはこれが旧型のもので、乾電池式であることを知っている。
電池が入っていれば電源が入るかもしれない。
佐倉 光
スイッチが入るか確かめてみる。
KP
電源を入れればランプと液晶が微かに光る。録音件数、1。
ランプが消えかけている所からして、電池は切れかけだ。
佐倉 光
聴いてみる。
KP
再生ボタンを押せば、雑音と共に、女性のものらしい声が聞こえてくる。

頼りない、掠れた声だ。
何度も息を吸い、吐きながら辛うじて声を繋ぐ様子は、危ういものを思わせる。
《メッセージ》
「……これを聞いている誰かへ……どうか、わたしの言葉が届きますように……あなたがもし、贈り物を受けることがあれば、あなたの望むものをねがって……でもどうか、必要のないものは……捨てて……あなたにとって、贈り物はすべていいものとは限らない……わたしにとっても……そうだった……どうか……あなたに祝福を……もう……わたし以外の誰も傷つかないように……」

祈りは消え入るように小さくなり、ノイズにまみれ…… そして、ボイスレコーダーの電源が落ちると共に尽きてしまった。
牧志 浩太
「祝福、か……、女の人だよな、この人。
もしかして」
牧志はそれを口にしきるのを躊躇い、言葉を濁らせた。
佐倉 光
「……贈り物に祝福か。
要らないのに貰ったらそれはただの重荷だよな」
佐倉 光
「今回の場合、それは完全に要らないヤツっぽいけど……
望む物を願え、ってどういう意味だ?
移植される肉片に願いを叶えるような力があるってのか?」
この声の主は望まない贈り物で不幸になり、警告を残し、地下で沈黙している、ようだが……
牧志 浩太
「だよな。何でも願いが叶えられるっていうなら、そりゃ躍起になって欲しがるのも、分からなくはないけどさ。

でも、この人はそれで逃げたりとか、できなかったみたいだし」
佐倉 光
「要らない物はマジで要らないしなぁ……」
そういえば牧志の誕生日プレゼント選ぶときにもの凄く悩んだな、と思い出した。
佐倉 光
「大体、祝福ってたぶん移植されたヤツのためじゃなくて、
実験してたヤツの利になることなんだろうし。
その祝福が何のことか、突っ返すにはどうしたらいいか知りたいな」
牧志が持っている方の本も見てみる。こちらは決定的にまずそうな感じはするだろうか?  手にとってみる。
牧志 浩太
「だな。押し売りお断りだ」

牧志が持っている書物を手に取った時には、先程の書物に感じたような既視感は覚えなかった。

それは『セデフカーの巻物の写本1の抄訳』と日本語で題されている。
誰かが急いでページをめくったのか、途中までページが乱れている。
佐倉 光
牧志はこの本を読んで記憶を飛ばしたんだろうか?
いや、読んだ時のことは覚えているようだし。
俺もその呪文を知っておいた方がいいだろうな。

読んでみる。
KP
それは目ではなく、『皮膚の兄弟団』なる小規模な教団が用いる呪文、呪具にまつわる内容を雑多に抜粋した書物だ。

生贄の皮膚を剥ぐ儀式や無数の叡智が記された冷たき像、皮膚をねじ曲げる術などの事柄が書かれているようだが、その多くは訳がまずいのか、意味の通じない内容と化してしまっている。

唯一精力的に解析が試みられ、何とか意味が取れる程度に再構築されているのは、以下の内容だ。
制約解除については補足資料を参照とあるが、それはここに見当たらない。
《肉移植》(※制約付き版)
呪文の使い手は魔力を持つ自分の肉を自分の体に移植することが出来る。
その肉および肉が与えてくれる効果は永久的に続く。

呪文をかけるためには 10MP と 2d6 の正気度のコストがかかる。

呪文の使い手は、魔力を持つ肉を移植する前に、まず自分の体から対応する部分の肉を取り除かなければならない。
そのために 1d4 点の耐久力と 2d6 の正気度を失う。
呪文をかけ終わると、魔力を持つ肉の特性をすぐに使える。

同じ手順を踏めば、自分に対してだけではなく他者に対してもこの呪文を使用することが出来る。

例:右腕を移植する場合、まずは自らの右腕を切り落とす必要がある。その後呪文を使用し、移植を行う。
KP
その「効果」がなにであるのか、「魔力を持つ肉」とは何なのかの記載はない。

この書物を解析した者らの関心事は「《肉》を移植すること」にだけあったようだ。
KP
……この「呪文」があなたの眼窩に彼の眼を、彼の視界の半分を与えたというのだろうか。

まるで、ブロックを外して入れるように。

佐倉さんのみ:《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3》。
 〈クトゥルフ神話〉技能+1%。
 《肉移植》の呪文を習得する。
佐倉 光
1d100 51 《SANチェック》 Sasa
1d100→ 18→成功
SAN 51 → 50
KP
このシナリオ背景事情やマップが難しくはないけどちょっとややこしい所があるので、置きだとやりやすい!
資料参照して呪文書周りの描写盛ったりもできますしね たのしい
佐倉 光
「……オーケー、牧志に目を返す手段確保……」
返すのか?
折角貰ったのに?

いや返すに決まってるだろ。
そして抜けた場所に自分の目を戻せれば万々歳なんだが。
佐倉 光
「持ち去った奴、食ったりしてないだろうな?」
自分で、冗談、に聞こえなかった。
佐倉 光
「今すぐ、ってのは危険かもしれないか。
牧志が記憶を飛ばした原因も、俺自身が何を切り離したがっていたのかも分かっていないし、ここに「俺の目ではない何か」がはまっている必要があるのかも知れないしな……」
佐倉 光
「悪いけど、もう少しだけ貸しておいてくれ」
言って自分の眼窩を指す。
そう、返さないのは俺が返したくないからじゃない。返すと危険かもしれないから。
佐倉 光
「くそ、自信が持てないってのは気持ち悪い」
牧志 浩太
「大丈夫、俺も同感」
牧志 浩太
「佐倉さんの眼がどこに行っちゃったのかも分からないし、それに。

最悪のことがあっても、片眼ずつなら動けるだろ?」
ひとつ残った眼のふちを指先でとんと叩いて、何でもないことのように牧志は笑った。
佐倉 光
「あのなぁ……お前ってほんと……」
ふ、と息をつく。
佐倉 光
「よし、この目を早く返せるように、ここの奴らの目論見調べて目を取り返す。
やる事は変わらねぇな」
牧志 浩太
「ああ」
KP
ここには様々な書物が集められている。
腰を据えて取り組めば有益なものが見つかるかもしれないが、すぐに目に入るのはそれくらいだ。
佐倉 光
あのおっかない本は持ったままで別の部屋を探ろう。
次は1かな。
KP
①は先程手鏡を見つけた仮眠室なので、後は②③⑤⑥とトイレですね。>部屋
佐倉 光
あーそれじゃあ2で!

KP
扉を開けると、どこか人工的な肌寒さが流れ出てくる。
薬品のつんとする臭いを鼻先に嗅ぎ取り、薬品庫の扉を開けたようだと感じた。

部屋の中央に実験台が一つと、周囲に銀色のラックが置かれていた。
実験台の上には銀色のトレイにこまごまとした器具が置かれ、ラックには30㎝ほどの円柱形の培養槽がいくつも安置されている。
培養槽の中には、何か入っているように見える。
佐倉 光
目玉かな??
佐倉 光
部屋内に誰もいないのを確かめたらまずは培養槽を見る。
KP
室内に人の姿はない。
液体で満たされた培養槽の中には、肉片のような塊がひとつずつ丁寧に収められている。

ピンク色、白色、青色、黒色……。
それは、肉だった。しかも、人間のだ。
人間の肉が皮膚が臓物が刻まれ、一つずつ分けて丁寧に保管されている。

それは、あなたが見たことのある人体の「パーツ」とは、少し様相を異にしていた。
それは肉だ。切りきざまれた肉。半分だけの肝臓や皮膚のかたまり。スライスされた乳房。第一関節の部分で落とされた指。

その中に、培養液の中に浸された眼球がひとつあった。
きたならしい色になった液体の中、黄色く濁った眼球がじっと、あなたを見つめていた。

今はもう光を失ったその眼球から、あなたは言い知れぬ恐怖を感じた。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D2》。
KP
……培養槽に貼られているラベルはどれも同じ文字が書かれている。
 「mami」
【アイデア】で判定。
佐倉 光
1d100 50 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 78→失敗
1d2 Sasa 1d2→1
SAN 50 → 49
牧志 浩太
1d100 40 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 68→失敗
1d2 Sasa 1d2→1
SAN 40 → 39
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 50→成功
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 Sasa 1d100→ 45→成功
佐倉 光
「これ……『まみ』なのか。全部」
佐倉 光
「刻んで、移植して……
どこが祝福されし者なんだよ」
怒りしか涌いてこない。
牧志 浩太
「そう……、なるな。
生きたまま刻んで、『肉』として保管されて。
本当に、何が祝福だよ……」
KP
あなた達は気づく。
培養槽が並ぶ中に、丁度ひとつぶんの空白がある。
その付近には中身の入っていない培養槽が並んでいる。
恐らく空の培養槽が持ち出されたのだろう。
佐倉 光
「このへんは使われた分ってことか? 培養槽がひとつないみたいだ」
牧志 浩太
「ないってことは、何か入れるために持ち出したってことか……?」
佐倉 光
「なるほど? そういう可能性もあるか」
今正に動いている事態で「まみ」の肉が使われているのか、それとも。
佐倉 光
「さっきの記載から考えれば、これを移植された半数が死んで、もう半分が経過観察」
空になっている個数ってどれくらいだろう?
KP
半分程が空になっているようだ。
佐倉 光
実験台の上にはどんな物が置いてあるだろうか。
KP
そこにあるのは、肉を切るのに使いそうな道具だ。調理ではなく、手術道具。
メス、ナイフ、先の丸く曲がった独特な形の手術用の鋏……。
佐倉 光
「移植するには便利そうだな」
どう使われたか、はあまり考えないことにしよう。
使えるかも知れない、とだけ覚えておけばいい。
佐倉 光
「指で抉ったり、果物ナイフ使うよりはいいんじゃねぇかな」
牧志 浩太
「ああ、確かに……。果物ナイフよりは使えそうだ。メスと鉗子、代わりに持って行っとくかな」
浮かぶ無数の肉から目を逸らすようにして、牧志は実験台の上のメスと鉗子を手に取った。
佐倉 光
突っ込むところは考えたくもないが、まあ、ナイフや指よりは……
佐倉 光
「身の毛もよだつってこういう時使うんだな」
ガーゼとかあればそういうのも。せめて道具を包んでおきたいよな!
牧志 浩太
「さっきの麻酔薬、ちょっとは効くかな……」
牧志が余計に身の毛のよだつような事を呟いた。
KP
実験台の周囲を探せば、引き出しに数枚のガーゼが見つかった。
また、薬品臭の源は引き出しに入っていた消毒液のようだった。
ちょっとは安全? を確保できそうだ……。
それでも考えたくもないが。
佐倉 光
イヤでも俺の顔から目をくりぬくのは確定だ。必要な物は持って行っておこう。
狂気の力を借りれば少しは怖がらなくて済むのか? 痛みを感じなくて済むのか?
そんな意志で制御できないもの、力を借りようなんて思うこと自体間違いだ。
大体、そいつのせいで今まで散々な目に遭ってきたっていうのに。
佐倉 光
おや、この部屋これで終わりだろうか。
KP
室内にあるのはそれだけで、ここはこの「肉」を取得、あるいは保管するための場所のように見えた。
佐倉 光
適当な袋などあれば道具を収めて、次の部屋を探そう……
KP
この部屋には銀色のトレイはあるが、袋はない……。
あと行っていないのは③、⑤、⑥の部屋とトイレだ。
佐倉 光
では5へ。

ひとこと
佐倉 光
互いに危うい精神を守るために注意深く手を伸ばす。
狂気の力を借りて狂気を抑え込む。


【置】CoC『blood red decadence』Side:B 牧志&佐倉 4

こんなの殺された方がマシだ!

CoC『レッド・グランド・セパレート』牧志&子供佐倉 2

本当に余裕がなかったのかもしれない、俺は。
まあ、今はまた余裕がなくなることが起きてるわけだけどさ。

【置】CoC『夢の果てならきみが正しい』 佐倉&牧志 3

それらはあなた達にとって大いに見覚えがあった。
何ならあなたはそれらを男が半狂乱で取り出している映像を見た。
牧志はその握り拳大の塊を自分の手で抉り出した。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


ゆうやけこやけ 第七話『さくら咲く頃』の一

ふゆのおわり

世界樹の迷宮SRS 『森への扉』1

世界樹の迷宮SRS
『森への扉』1