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こちらには
『眼窩に祝福』 のネタバレがあります。

佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。とある事件より、体中の痛みに悩まされている。
基本悪魔を召喚して戦うが、悪魔との契約のカードを使ってその力を一時的に借りることもできる。

巻き込まれ体質らしい。
最近牧志への奇妙な執着に囚われている。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。


とある事件以来、特殊な事情のため二人が面倒を見ることになった少年。
超美形で類い希な理解力と知性を有する。
年齢は7歳程度。生育環境が特殊だったため、一般的な教育を受けていないので、言語が年齢の割に幼い。最近になって急に一般的な生活を送り始めたので、外界への興味が強い。


KP
注意:R-15程度のグロテスクな描写あり。痛いのが苦手な人は注意。後遺症の発生率が高め。
※「自衛程度の戦闘技能」については、途中からCOMPを使用可能にする等して調整予定です。
よろしくお願いします!
佐倉 光
よろしくお願いします!
KP
あれから、実に一ヶ月が過ぎた。

あなたの内に蠢く正体不明の狂気は少しずつ、少しずつその声を減じはじめていて、普段通り過ごせば、彼の事を考えずにいられる時間さえできていた。

前は、そうではなかったのだ。
眠りさえ妨げる程にあなたの思考は彼への執着で埋め尽くされ、その合間に辛うじて本来の意識が覗いた。

それに比べれば、随分とよくなったものだ。
もうすぐ帰れるのではないか。あなたはそう思うかもしれない。

あるいは、帰りなどしなくても、もしかしたら……。
昔のように気楽で強いあなたとして、生きていけるのではないか。

あなたはあれからどこで、何を望み、どう過ごしていただろうか?
変化
KP
自分で書いてて何ですが、神話的な意味でも精神性の変化という意味でも、「牧志と知り合う以前の佐倉さんに戻る」のは無理な気がします。
佐倉 光
無理ですね。たぶん「寂しさ」を感じるようになっている。
KP
前も素直な寂しさについて言及していたもんなぁ。ある意味ここでも、知らなかったものが分かるようになってしまった。
佐倉 光
あとは自宅というものに愛着が湧きましたね。
前は寝る場所であって自分の居場所というほど重いものではなかった。
KP
ああー、そういえば。カプセルホテルと同じような、いつでも移動できる拠点だったのに、「帰ってきた」という意識を覚えるようになっている。
佐倉 光
自分も他人も大事にできるようになってるんですよね。
そのぶん傷つきやすくなっちゃったけど。
KP
痛みも含め、興味のなかった日々や他人から色々なものを受け取れるようになったんだなぁ。

佐倉 光
暮らし方はほとんど変えていない。
適当なホテルを転々としたり、時にはネカフェに泊まったりして、仕事以外の時間はあまり人や事象と関わらないように過ごし。時折ひとりきりでぶらぶらと知らない街を歩いたりする。

いつの間にか自分を蝕んでいたのがひどいホームシックだったことに気付いたのは、あの奇妙な犬事件が終わって少し経ってからだった。
俺は『自分の家』に帰りたくて仕方なかったんだ。
それが分かってからは、少し落ち着くことができた。
お土産に持って帰ってきたレタスをいつものジャンク飯の横に少しずつ置いてむしって食べる。
それだけであの奇妙で楽しかった一日を思い出せたし、それだけで少し気が軽くなった。
佐倉 光
道を歩くときに、一つ呼吸をするときに、声を発するときに、常に牧志について考え、触れることを、それ以上のことを思うのは異常だ。
考える時間が減っても、あるいは少なくなっても、それはその人のことがどうでも良くなったというわけではない。
それが「当たり前のこと」なんだ。
佐倉 光
自分が「良い」と思ったものをシェアしたいと思ったとき、それができないことに軽いストレスを感じる。
これは……異常かな。
佐倉 光
ごく当たり前の寂しさというヤツかも知れない。
パズルゲームを見たときに、好きな食べ物を見たときに、いい景色を見たときに、ふと牧志のことを思い出すのは異常ではない。

そういった人間的な思考を少しずつ取り戻しながら以前までよりは幾分穏やかに、穴蔵で動物が傷を舐めるようにして、ゆっくりと慎重に心の回復を待っていた。
KP
何が狂気で、何が狂気でないのか。何があなたの得たもので、何がそうではないのか。

随分と変わってしまったような自分自身を、あなたはゆっくりと、ゆっくりと解きほぐしてゆく。

そうやって思えば、あなたの記憶の中には、以前は欲しいと思いもしなかったかもしれない、様々な感情や感覚が散らばっていた。

レタスはたっぷりと青い香りと水気を湛え、瑞々しくあなたの口の中で弾けた。
佐倉 光
レタスを全て食べきった頃、久しぶりに牧志に連絡を取ろうかと思った。
その結果をみて、自分に異常性が残っているかどうか判断しよう。

注意深くメモに自分の思考や感情の流れを書き記す。
それが正常か異常かを分析する。
佐倉 光
……よし。
久しぶりにメッセンジャーにログインして、牧志にメッセージを送ってみよう。

『元気にやっているか? 変なことに巻き込まれたりしていないか?
そろそろ帰ってみようと思うんだ。これを送って、何事もなければ』
KP
返事が返ってくるまでには、少し時間がかかった。
牧志 浩太
「そうなのか、よかった。
こっちは大丈夫。ちょっと風邪引いたりはしたけど、変なことは起きてない。

佐倉さんはあれから元気?」

そんな文章と合わせて送られてきたのは、ほろ酔いの東浪見が牧志と肩を組んでいる写真だ。
日付からして最近のものらしい。

何事もなければ。その意味を彼は察して、この写真を選んだのだろう。
佐倉 光
東浪見も元気そうだな。

そう思って、思ったことをそのままメモする。
佐倉 光
『ありがとう。
1日様子を見てみる』

その日はそのまま休んで、様子を見よう。
KP
その夜を、あなたはどんな気分で過ごしただろうか。
少なくともその夜は、あなたには何も起こらなかった。
KP
結果はお任せします。帰っても帰らなくても、どちらの導入も用意済み。
佐倉 光
これで帰って何か起こるようだと今後佐倉が慎重になりすぎて面倒になりそうなので、帰る前に起こるといいかもしれませんね。
KP
確かに。
導入の都合上、佐倉さんが街中に出てから何か起こります。
帰路の途中かもしれないし、単に食事でも買おうとしたのかもしれない。

KP
翌朝目を覚ますと穏やかで、少し雨がちな朝だった。
佐倉 光
メモを片手に、昨日の写真を見る。

『牧志は元気そうだ。
帰れるのが楽しみだ。
隣にいるべきなのは』
佐倉 光
ここまで読んで、ふと我に返りため息をついた。
まだ無理そうだ。
KP
その時自覚したことは「東浪見も元気そうだな」だけなのにメモがアウトなの味わい深い
佐倉 光
気を取り直し、念には念を入れて自分の家とは逆の方向に外出する。
今日は雨だ。図書館にでも行くとしよう……
牧志と一緒に行けるところほど、蔵書、揃ってないけどな。
KP
図書館へ向かう途中、あなたはふと顔を上げる。
あなたの目を惹いたものは、映画館の前の大きなモニターの光らしかった。

薄暗い朝の光の中、行き交う人々の後ろでモニターが光る様子は、緋寒と深山と別れたあの夕暮れにどこか似ていた。
佐倉 光
何の気なしにモニタを見上げた。
KP
あなたはそこに、映画のCM映像に重なって虹色の光を見たような気がした。

次の瞬間、あなたの意識は飛んでいる。
本編見る!
KP
1d4 Sasa 1d4→4
1d3 Sasa 1d3→2
4d6 Sasa 4d6→3,5,3,5→合計16
1d10 Sasa 1d10→3
1d6 Sasa 1d6→2
KP
HP2点、SAN5点を減少してください。
この減少による発狂処理は不要です。

また、不定基準値は減少後の値でリセットされます。
佐倉 光
HP 10 → 8
SAN 60 → 55
KP
1d100 Sasa 1d100→16
1d3 Sasa 1d3→3
1d100 61 Sasa 1d100→ 41→成功
1d3 Sasa 1d3→1
佐倉 光
ダイスロール多いな!?
KP
ちょっとここ特殊処理多くて……。
KP
あなたのHPダメージを1点回復してください。
佐倉 光
HP 8 → 9

KP
認識も曖昧な意識の中、誰かが謝るような声が、ずっと、ずっと聞こえていた気がした。

それだけを憶えている。

KP
……耳に入ってきた音で、あなたの意識がふっと浮き上がる。

ばりばりと、何かを踏み砕く音が聞こえる。
ばりばり、じゃりじゃり、ざりざり。
砂を踏むような、もっと堅い何かを踏むような音。

段々と細かくなっていくそれを目覚まし代わりに、あなたは目を覚ました。

明滅する頼りない蛍光灯の光。
薄暗い部屋の中に、あなたは寝転がっていた。

頭が微かに痛んだ。
佐倉 光
いてぇ……なんだ?
俺は図書館に向かっていたはずで……

不穏な物音は夢だったか現だったか。意識をはっきりさせるべく、手を無意識に握ったり開いたりして血流を促進しながら周囲の状況を確認する。
KP
血流を促進させていると、頭がまた微かに痛んだ。外傷でもあるような痛みと……

ここで後遺症の【CON】ロールをどうぞ。
佐倉 光
1d100 30【CON】 Sasa 1d100→ 34→失敗
HP 9 → 8
佐倉 光
折角回復したのに減ったわ。
KP
もう慣れ親しんでしまった激痛が、あなたの身体を引き裂いた。
佐倉 光
ばらばらになりそうな痛みが襲ってくる。
吐き気と痛みに耐え、ゆっくりと身を起こす。
いつもの痛みだけではない。
調べずとも分かる異常事態。
佐倉 光
くそ、治まってからにしてくれよ……!

※胸元にお守り群があれば回復チャレンジしておこう。
KP
持ち物の有無を確認するよりも前に、
牧志 浩太
「佐倉さん」

傍らにいないはずの声がした。
傍らにいないはずの人の手が、痛みに苦しむあなたの背をさする。

血の臭いがした。
佐倉 光
その暖かさに喜びと恐怖を感じた。
佐倉 光
「牧志!?」
今自分が感じたのは正常な感情か?
それとも得体の知れない欲求によるものか?
息を呑んで牧志の顔を見てしまった。
KP
あなたは喜びと恐怖を帯びて振り返る。
その一瞬自らの感情に意識を向けたあなたの、しかし、目の前に広がった光景はそれ以上に驚きを呼ぶものだった。


牧志 浩太
「よかった、起きたんだ。……それ、まだ痛むんだよな。傷」

牧志の顔の実に半分が、痛々しく白い包帯に覆われていた。
佐倉 光
一瞬、ほんの一瞬、全てが壊れた世界が見えた。
死すらなく、ただ静かに崩壊した世界のなか、遠い過去を見つめるように佇んでいたもうひとりの彼。
彼ではない? 彼ではないのか?
佐倉 光
「なに!? どうしたんだそれ!?」
思わず詰め寄ってしまう。
佐倉 光
「いつ!? 何があったんだよ!?」
牧志 浩太
世界は壊れていなかった。
目の前の彼の手足は擦り切れてはおらず、彼には両腕があった。
佐倉は片目と片腕を失った牧志を見たことがある。
牧志 浩太
彼はあなたの反応を予期していたように、包帯を撫でて少し苦笑いした。
牧志 浩太
「あー……、そうなるよな。
また何かに巻き込まれたみたいなんだ、俺達。

目が覚めたら知らない場所に居て、横に佐倉さんが倒れてたんだよ。
目の前に俺達を生贄にしようとしてる連中がいて、佐倉さん連れて逃げたんだけど、その時にやられたんだ」
佐倉 光
「傷? 生贄? その目、どうしたんだ。
ここは安全なのか?」
また何かに巻き込まれたのか。離れていても巻き込まれるときは同じ場所にいるのか。
まず自分の状態を確認する。
いつもの体の痛み、だけではない。
牧志 浩太
「とりあえず、この近くには誰もいないみたいだ。
ただ、ごめん。夢中で逃げてきたから、ここがどこかは分からない。

佐倉さん、頭を怪我してたんだ。
ここに来てから、あるもので手当てはしたんだけど。

俺のは逃げる時にやられたんだ。
深くはなさそうだったんだけど、とにかく血が止まらなくて、それでこの状態」
KP
身体の状態を確認すれば、お守りはあなたの首にきちんとかかっていた。
ただ、それ以外の持ち物はない。
牧志の腰にもベルトポーチはない。

救いとなるのは、COMPが奪われることなく腕にあることだろうか。
ただ、動作が不安定で、いつものようなフルパワーでの悪魔召喚はできそうにない。
必要な時に攻撃させることができる程度だろう。
▽MPを1消費することで、〈コンピューター〉技能で攻撃を行える。ダメージは1d6+2。
KP
顔に触れると、ぱり、と音がして乾いた血が指先についた。
頭がまた、つきりと痛む。
佐倉 光
牧志の顔の方はしっかり治療がしてあるみたいだ。さすがだな。
ひとまずお守りを握ってどうしようもなく体の内側の痛みを押さえようと念じる。

※牧志の怪我の状態によっては《治療》を考えるところだけど、まだそう考えるには早いかな。ひとまず動けそうに見えるしね。
敵がいるらしい状態でいきなり攻撃手段(MP)を失うのはよろしくない。
ということで《ディア》を試みます。
KP
対象は佐倉さんの体の痛み(後遺症)でOKですか? それであればOKです。
佐倉 光
はい。そっちだけでも何とかしておこう。
1d100 53 《ディア》という名の〈応急手当〉 Sasa 1d100→ 54→失敗
佐倉 光
相変わらず使えん魔法じゃのぅ。
佐倉 光
外側からの痛みのせいだろうか、牧志を見て心が乱されているのだろうか。
集中ができない。
牧志 浩太
「そうか……、傷だけじゃなくて、あっちもまだ痛むんだよな。
佐倉さん、触れてもいい?」

あなたから承諾を得られれば、牧志が〈医学〉で治療を試みる。
佐倉 光
「……」
今の俺がそういう処置を受けていて平気だろうか。

しかし、どんな小さな傷でも致命傷になり得る。
そしてそれは二人の命に関わるかも知れない。
症状は軽くなっているんだ。何とか抑えきる。
佐倉 光
「頼む」
牧志 浩太
牧志は頷いて、あなたの胸に触れる。
心臓の位置から血流を流すようにして、腕の先へと揉み解していく。
1d100 61 〈医学〉 Sasa 1d100→ 78→失敗
佐倉 光
同じ傷に〈医学〉〈応急手当〉の両方を振ることは可能だよ!
KP
そうか! ありがとうございます。〈応急手当〉も振ろう。
佐倉 光
はっ。自分でダメ元で〈医学〉振るのもアリか。
KP
それもありです。
牧志 浩太
1d100 59 〈応急手当〉 Sasa 1d100→ 83→失敗
牧志 浩太
少し怖れるように触れる手は、しかし、あなたの苦痛を和らげるには至らない。
佐倉 光
1d100 22 〈医学〉 Sasa 1d100→ 2→決定的成功クリティカル)!
佐倉 光
わぁお。
KP
わお。
佐倉 光
その手つきを見よう見まねで真似をする。
ゆっくりと、血流を辿り、たどたどしく。
だが突然、その手が勝手に動いたような気がした。
確かな知識を持つ誰かに、誰よりも自分の体について知っている誰かに、導かれたような気がした。
HP 8 → 9
佐倉 光
「ありがとう、牧志」
真似をできたことに?
KP
できたことに。
牧志 浩太
「佐倉……、さん?」
牧志が包帯の下の片眼を瞬いた。
佐倉 光
「ああ、なんとかうまくいったみたいだ、痛みが少し引いた。
必死だったから、またできるかどうかは分からないけど。
誰かに導かれたみたいだった」
牧志 浩太
「そうか……、よかった」
あなたの言葉に安堵したのか、牧志はふっと表情を和らげた。
佐倉 光
自分の顔をどうこうするのは現状無理だな。
部屋をぐるりと見回す。今俺達はどういう状況にあるんだ?
佐倉 光
「くそ、頭が痛ぇ……
生贄か。敵はどんな奴らだ?」
訊きながら周囲を見よう。何かあるかな。どんな部屋かな。
牧志 浩太
「教団…… なのかな。目を描いた服を着てた。贈り物がどうとか、祝福がどうとか言ってて……、」
牧志 浩太
「……ごめん、なんでだろう。俺もよく覚えてない。何人かいた気がする、んだけど」
KP
室内を見回せば、六畳ほどの部屋だ。あまり使われていないようで、少しだけ埃っぽい。
古い蛍光灯が交換を心待ちにして明滅している。

外に通じる扉が一枚ある。
物置なのか、部屋の中には廃材が雑多に置かれていた。
その中に、引き裂かれた白い布が覗いている。
牧志の傷を巻いている包帯は、この布で作ったものだろうか。
佐倉 光
「覚えていない……」
こういう場合、確実に何かは起きている。
佐倉 光
「思い出したらすぐに教えてくれ」
牧志 浩太
「ああ。その時は必ず言う」
佐倉 光
「こんな布を包帯代わりにしたら、かえって良くなさそうだな。
早いところちゃんとした場所で治療しないと」

廃材を調べてみたら何か見つかるだろうか。
KP
廃材の中には廃蛍光灯やハサミ、棒切れなど、ごちゃごちゃに置かれている。
周囲には細かいガラスの破片らしきものが散らばっていて、幸いあなたが寝転んでいた辺りにはないが、何だか危ない。

何か探したい物があれば、探すこともできるだろう。
あなた達の持ち物はここにはないらしい。
佐倉 光
探したいものかー。
近づくと怪我をしそうだし、そうまでして近づく必要は今のところないかな。

破片があった辺りの布で治療なんて、ますます危険だな。

部屋全体を見回しても何もないかな?
なければ扉を見てみる。
KP
窓は見当たらず、室内にあるのはそんなものだ。
KP
おっと、失礼しました。描写が紛らわしかった。
ガラスの破片が落ちているのは床で、廃材の中ではありません。
佐倉 光
床に破片があるって事は、細かい破片が飛び散って混入している可能性があると思ったんだよね。
KP
なるほど。
佐倉 光
硝子が何の破片かは分からないかな。

分からないようなら扉に対して〈聞き耳〉を立ててみよう。
KP
破片は随分細かくなっており、ガラスらしいことしか分からない。
佐倉 光
「この向こうに何があったかは覚えているか?」
牧志 浩太
「いや……、廊下と部屋があったらしいことしか覚えてない」
KP
扉の向こうは不気味なほど静かに思える。
〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 32→成功
KP
扉の向こうは、やはり静まり返っている。
人がいた、にしては異様に静かだ。
佐倉 光
「いつまでもここにいても仕方ないな。出口を探そう」
声をかけて扉を開ける。
牧志 浩太
「だな」頷く。

KP
扉を開けると廊下に出る。
廊下の左右には扉が一枚ずつ。突き当りには階段が見えた。
牧志 浩太
「う……、何だ、この臭い」
KP
……辺りには、どことなく血腥いような、腐敗臭の混じった悪臭が漂っていた。

人の姿は見えない。
佐倉 光
「ここに来るときにはなかったのか?
血臭ならともかく腐敗臭が突然湧くか……?」
牧志 浩太
「……」
牧志は少し考える。
牧志 浩太
「そうなんだよな……。やっぱり、記憶が抜けてるのかもしれない。
何か、忘れてることがあるんだ」
佐倉 光
「走ってきたならともかく、俺を抱えていたならそれなりに時間はかかっただろうし、においに気付かないというのはちょっと考えづらいしな……」
一体何があったんだ。
佐倉 光
右の扉からチェックしよう。
においはこの向こうからだろうか。物音はするだろうか。
KP
扉の向こうから微かに臭いが漂っている。
物音はしないようだ。
佐倉 光
静かにドアノブを動かして、開くようなら開けてみる。
KP
慎重に扉を開くと、室内から噎せ返るような鉄の臭いが溢れ出した。
牧志 浩太
「っぷ……、」
牧志が呻いて、鼻を覆う。
KP
それだけではない。
人体に纏わるあらゆるものが腐敗した、饐えた臭い。思わず吐き気を催させる臭い。
それが人間のものだと明らかに知らしめる嫌悪感が、重量すら伴って押し寄せてくる。

ひとり、ふたりではないのではないか。いや、ないに違いない。
臭いの濃さはそう感じさせた。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D2》。
KP
室内は薄暗く、中に何があるのかは判別しがたい。
ただ、天井に蛍光灯らしき影が見え、照明はあるがスイッチが切られているようだと分かる。
また、室内には奥に向かって二列に並んだ、格子のような影が見える。
佐倉 光
1d100 55 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 9→成功
SAN 55 → 54
KP
1d100 Sasa 1d100→28
佐倉 光
こちらも思わず顔を押さえる。
そんなことをしてもあまり意味はないのだが……

ここに何がある? あまり良いものとは思えないが……
何も見えない。それは幸いであるが、これでは調べることはできない。
佐倉 光
死体置き場か何か、なんだろうな。
佐倉 光
「牧志、目を閉じておいてくれ。電気をつけてみる。
俺の様子がおかしくなったら電気を消して欲しいんだ」
佐倉 光
正直、SAN現在値牧志の方が高いし、〈精神分析〉こっちが持ってるしで、ゲーム的には牧志に見て貰った方がいいんだけど、そういうわけにもいかんだろ!!
KP
佐倉さん的にはそういうわけにもいきませんよねぇ。牧志は「やれ」って言ったら共倒れにならない限りやるだろうけど。
牧志 浩太
「分かった。
……次何かあったら、その時は俺が見る。それでいいよな?」

牧志はあなたの言葉に従い、包帯の下から片方だけ覗いている目を強く瞑る。
あなたと手を繋ごうと、片手を伸ばす。
KP
電灯のスイッチは、扉の傍らにあるようだ。
佐倉 光
「ああ、頼む」
佐倉 光
牧志に手を伸ばすとき、何故か緊張がはしった。
大丈夫。抑えられる。

電気をつけるぞ!
牧志 浩太
牧志の手が少し強くあなたの手を握る。
もし何かがあった時に、離すまいとする力だ。
KP
スイッチの微かな手応え。
数度、蛍光灯がぱち、ぱちと音を立てて明滅した。
 
白々と無機質な光が辺りを満たす。
威圧的な鉄格子が、奥へ向けてずらりと並ぶ。

それらの中には誰の姿もなく、壁に繋がれた拘束具は錆びた表面をさらしてぶら下がっている。
格子に残された赤黒い染みだけが、その中にあった誰かの存在を残していた。

……では、この酷い悪臭の源は?
KP
〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
「一見何も入っていないな……あるのは拘束具だけだ。血の跡はあるけど」
必要以上に牧志の手を意識しないようにしつつ、視線を巡らせ感覚を研ぎ澄ませる。
1d100 79〈聞き耳〉
Sasa 1d100→ 29→成功
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 60→成功
KP
室内を満たす酷い悪臭の中、あなた達はそれがどこから発せられているのかを嗅ぎ取った。

……もっとも扉から遠い、一番奥の牢。
そこにだけ何かの影があり、そこから、この鼻を削り落としたくなるような悪臭が発せられている。
佐倉 光
「一番奥に何か入っている。今から見に行く」
スイッチから離れ牢の前へ。
死体か。化け物か。どちらにせよ碌な物じゃないだろうな。
牧志 浩太
牧志は目を閉じたままあなたの手を辿り、ついてこようとする。止める?
佐倉 光
目を閉じたまま来てくれるならそのままでいいかな。
残念ながら自分をそれほど信じられる状態でもない。
KP
あなたの足音と彼の足音が、不気味なほど音のしない空間に微かに響いた。
一歩一歩、そしてあなた達は一番奥へ辿り着いてしまう。

鉄格子の扉はそこだけ開け放たれていた。
その中に何かが大量に積まれていた。

それが先程のような廃品なら、よかったのだろう。
それは赤黒く、あるいは茶色いぼろきれだった。それは腐り落ちた肉、その間から覗く白い骨だった。小動物や虫に喰われて落ち窪んだ眼窩、その上に被さる形さまざまな毛髪だった。

何十。何十もの肋骨、骨盤、頭蓋骨。そこには、実に何十もの人間だったものが、広い牢の中に無造作に捨てられていた。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d4+1》。
牧志は目を閉じているため、佐倉さんのみ。
佐倉 光
1d100 54 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 21→成功
SAN値 54 → 53
佐倉 光
「死体が置いてある……臭いの原因はこいつだ。
ほとんど腐ってるな。
ゾンビの類いじゃないみたいだ。
中を調べられそうだ、ちょっと見てくる。
目は開けていいが、こっちは来なくていいぜ」

牧志は牢が見えない位置で待ってて貰って、調査に入るか~
なんか腐った死体調べたり扱ったりすること多いよなー。
牧志 浩太
「そうか……。死体? 
それにしては、随分……、臭いな。いや、はっきり分かるわけじゃないけどさ。
……もしかして、一人じゃなかったりするのか。

分かった。ごめん、任せる。
何かあったら呼んで」

牧志は牢とあなたに背を向け、牢の前に立つ。彼の頭にかたく結ばれた布が見えた。
KP
堆く積み上がった屍の山は、あの時の悪夢を思い出させる。
違いは、これが紛うかたない現実だろうということだろうか。
佐倉 光
死体の山。
そこに陣取っていた化け物に牧志は

ふと不安になって振り返り、牧志の背を見て息をつく。
死体の山なんて今までに何度も見たことがあるはずだ。
ゾンビが群れ集う異界で。
閉じた墓のごとき建造物で。
密かに作られた地下の祭壇で。
この一年前内にも、もっと胸が悪くなるようなものも見た。
ただの死体など今さら恐れるようなものじゃない。

ここに在るのは情報だ。

死体を調べる。殺され方に、残ったパーツに、服装や性別、年齢に特徴はないか?
また、単純にそこに特別なもの、例えば鍵や意味ありげな本など落ちていないか?
KP
個人の持ち物のようなものは、そこにはなかった。

一様に同じようなぼろきれだけを巻きつけて死んでいるそれらは腐敗が酷く、一見しただけでは性別も年齢も判別しがたい。
頭蓋骨は大小様々なものがあり、そこに共通項はないように見えた。

骨の形などから詳しく見るならば▽〈医学〉で判定。
KP
また、特別なものを探すのならば、死体の山の傍らに光るものを見つける。

それは一本の鍵だ。小さく、部屋の鍵ではないように見える。
鍵にはぼろきれが巻きつけられていた。
佐倉 光
〈医学〉かぁー。
うーん。〈医学〉かぁー。

とりあえず鍵は拾おう。
1d100 22 〈医学〉ッ Sasa 1d100→ 22→成功
佐倉 光
うぉ。普通に分かった。
佐倉 光
人間の骨。いい加減死体は見慣れている。
落ち着いて思い出せば、特徴が掴めるかもしれない……
佐倉の医学知識
佐倉 光
佐倉の医学はちゃんとした専門知識じゃなくて、あくまで経験則が主ですね。
死体あさりしてきた結果身についた物って感じです。いまのところ。
KP
なるほど。死体や骨を随分たくさん見て、時に漁ってきた結果ですね。
佐倉 光
あとは「ここ囓られたらクソ痛いから危険」とかそんな感じの。
KP
ああー。本当にサバイバルと経験則。
それもまたすごくらしいなぁ。

KP
あなたは腐った肉に埋もれた骨を、悪臭の中で丁寧に検分する。
歯の形や頭蓋骨の大きさ。骨盤の形状。辛うじて個人としての痕跡を思わせるそれらを辿れば、ひとつ気づくことがある。

半分程には全く共通点がなかったが、もう半分程にはどこか似た所があった。年齢も、形も。

彼らは血縁なのではないか。
佐倉 光
形が似ている? 特徴的な形……これは骨格の遺伝か?
生贄体質。そんな言葉が脳裏をよぎった。
佐倉 光
「身分なんかは分からないな。死体は大量にある。
性別も年齢も特徴はないように思えるけど、
もしかすると同じ血筋の人間ばかりの死体かも知れない」
牧志 浩太
「やっぱり……、何人もいるんだな」
あなたの言葉を聞き、牧志は躊躇い気味に口にする。
牧志 浩太
「同じ血筋の人間か……。一族とか、教団とか、そういうのなのかな」
KP
鍵を拾えば、巻きつけられたぼろきれも一緒に引き上げられる。
赤黒い汚れがついて、いや、何か書かれている?
佐倉 光
布を引きずり出して、読めるようなら読んでみる。
KP
ぼろきれを広げてみると、「まみ」と赤黒い字で殴り書きされていた。
佐倉 光
「まみ……? 人名かな」
とにかく鍵を持って外に出よう。
酷い臭いだ。
前の部屋でマスク代わりになりそうな布や手袋を探してみれば良かった。
牧志と合流したら簡単に状況を説明して鍵を見せよう。
牧志 浩太
牧志はあなたの説明を聞いて、少し考え込む。
「まみ、か。……人の名前だよな、普通に考えたら。
もしかしたら何か思い出せないかと思ったけど……、だめだ。聞き覚えがない」
佐倉 光
「記憶、か……」
考える。
俺と牧志には記憶と経験の差がある。
俺より少し牧志が知っていることの方が多いんだ……
佐倉 光
「牧志……もしお前が大丈夫だったら、なんだけど、
お前も見て貰えるか?
正直あまり見て気持ちのいい物じゃないけどな」
佐倉 光
ダメージくらうこと考えるとあんまり見せたくないんだけどなぁ。
絶対牧志のSAN値ゴリッと減ってそうなんだよなー
牧志 浩太
「……分かった」
牧志は小さく頷き、片手で拳を握る。
どこか縋るように、あなたの手を強く握った。
KP
1d100 Sasa 1d100→34
牧志 浩太
「う……、」
牧志の喉から小さな呻き声が漏れた。
あなたの手に、小さく震えが伝わる。
牧志 浩太
「そうだ、血が……、殺し合っていたんだ。俺は、その隙に」
彼は額に手を当て、記憶を探る。
しかし、それから次の言葉が出てくることはなかった。
佐倉 光
「殺し合っていた……? 穏やかじゃないな」
佐倉 光
「とりあえず臭いがきついからいったんここから出ようか」
牧志が抵抗しないようなら手を引いて部屋を出る。
牧志 浩太
「そうするか。
この人達のことも、今はこれ以上あんまり考えたくない」
抵抗はない。牧志はあなたと共に外に出る。

KP
反対側にもう一つある扉も、奥の階段も、あなた達が最初いた部屋から出てきた時と同じように静寂を保っていた。
佐倉 光
向かいの部屋に〈聞き耳〉立てて、気配がなければノブを動かしてみる。
話がしたいが廊下じゃちょっと。
KP
部屋の向こうは静かなものだ。人のいそうな気配も感じられない。
ここには明かりが点いているのか、中から白い光が漏れてくる。
牧志 浩太
「……? こっちの部屋は使われてるのか?」
佐倉 光
監視カメラなんかないだろうな?
扉をソッと開けて隙間から覗く。
KP
隙間から中を覗けば、そこは白く、明るく無機質な部屋だ。
書類やファイルの並んだキャビネット、薬品の並んだ棚、器具や機械の置かれた台……。その光景はあなたに、どことなく嫌なものを思い出させる。
佐倉 光
無意識のうちに呼吸が速くなっていた。
扉を閉じて見なかったことにしたい気がする。
牧志 浩太
「あれ、書類棚か? 何か書いてないかな……」
佐倉 光
牧志の声を聞いてごくりと唾を飲んだ。
背を向けている場合じゃない。
思い切って中に踏み込む。

KP
思い切って中に踏み込めば、そこにはどことない薬品の匂いのようなものこそ漂っているものの、ガラス張りの空間があったりはしなかった。

キャビネットにはずらりとファイルが並び、薬品棚にはラベルの貼られた薬品が整然と並ぶ。台の上には顕微鏡や試験管といったものから、大型の機械まで様々なものが置かれている。
佐倉 光
牧志の手の温かさを手がかりに、恐怖心を抑え込む。
ここはあの実験室じゃない。俺は拘束されていない。
牧志 浩太
あなたが牧志の手に縋ったのに気づいたのか、彼は手の温もりを染み込ませるように、少し深く指を組む。
佐倉 光
「実験設備か何かに見えるな……
あっちにあった死体は被検体か……?」
佐倉 光
「牧志、まずキャビネットを手分けして調べよう」
牧志 浩太
「だな。逃げるにしても何にしても、情報が欲しい」
KP
キャビネットから気になる物を探すならば、▽〈図書館〉で判定。
佐倉 光
1d100 75 忘れがちな実物書だと働かない補正!!  Sasa 1d100→ 27→成功
牧志 浩太
1d100 85 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 39→成功
佐倉 光
端から内容に当たりをつけて中身を軽く確認しながら情報を探す。
KP
大量の実験記録らしい数字ばかりの記録の中に、研究レポートを見つけた。掻い摘んで内容を拾えば、以下のようなものだ。
▽『研究レポート02』
×月×日
重ねた実験の結果、人工的に作成することは非常に困難だと断念。
本日より、素養のある人間に対して実験を試みる方法に切り替える。

×月×日
今までよりも進歩が見られた。
適合率の高い個体を探す。

×月×日
適合率の高い個体の選別に手間取る。

×月×日
適合率の高い個体の共通点を発見。
どうやらそれらは、一般人には見えない光を目視することができるようだ。
当人曰く、花火のような虹色の光らしい。適合率が高ければ高いほど、はっきりと目視できるようだ。

この光を発する機械を「虹色光可視化装置」と名付ける。
使用方法についてはマニュアルを参照。
KP
研究レポート01やマニュアルらしきものは、ここにはないようだ。
牧志 浩太
「……また実験か……。そういうの、困る。
でも、作るって、何か作ろうとしてるのか? 人間を使って?」
佐倉 光
「光……」
呟いて自分の目の辺りに触れる。
佐倉 光
「牧志。俺、虹色の光を見た気がする……ここに来る直前に」
牧志 浩太
「……!」
牧志の片眼が一瞬、驚愕のように見開かれた。
驚愕。驚き。いや、それは何かしら怒りにも近かった。
佐倉 光
「何か心当たりでもあるのか?」
じっと牧志の顔を見て訊く。
何度も謝る誰かの声。あれはやはり……?
佐倉 光
「何か知っているのか?」
牧志 浩太
「あ……、」
牧志の眼が見開かれる。何かを怖れるように、あなたから目を逸らそうとする。
佐倉 光
佐倉も実は顔書き換えなきゃなんないヤツなんじゃないかとオモトル
KP
イヤイヤソンナ
佐倉 光
「俺の目に関係あることなんだな?
俺は、俺達は、この実験の被検体になったんだろう」
牧志が隠すのには何か事情があるんだろう。
俺が知らない方がいい、と牧志は判断したらしいが。
もしくは、俺に心配をかけないために何かこっそり負っている。
こっちの方がありそうだな。
牧志 浩太
「ごめん。……ありがとう」
そこに善意を仮定してくれたことに、牧志は小さく礼を言う。
佐倉 光
「いいよ。話す気になったら教えてくれ。
後で問いただしたくなるかも知れないけどな」
牧志 浩太
「どうやってあの部屋まで来たのか覚えてないのは、本当なんだ。

ほとんど何も知らないのも、本当だ。
この実験のことだって、いま初めて知った。
それは、嘘じゃない」
佐倉 光
ほか、気になる資料はないかな。
なければ台の上見てみよう。
目玉の模型とかねーかな。
KP
他の資料は雑多な記録や数値だけが連ねられた実験ノート、意味不明な用語だらけのリストなどに終始している。
見て意味が分かるのは、先程のレポートくらいだ。
KP
台の上には様々な機械や道具がある。顕微鏡、試験管、ピペット、オシロスコープのような機械、攪拌装置、それから小さなスポットライト。
佐倉 光
牧志は良すぎるほど目がいい。
この実験の対象になる可能性は高い。
なったんだろうな、実際に。

ちら、と包帯を見る。
あれの下は今どうなっている?
牧志 浩太
巻かれた包帯の下から、僅かに赤い色が滲んでいた。
佐倉 光
「普通に使われていそうな施設の範囲なのに人が探しに来ない……?
殺しあい、が、トラブルの可能性があるのか」
牧志 浩太
「だよな、さっきから人の気配がしない」
牧志 浩太
「……くそ、何があったか思い出せれば、もうちょっと判断がつくのにな。
今のうちにさっさと逃げるべきなのか、ちゃんと何が起きたか把握すべきなのか、とか」
牧志 浩太
「ごめん」
佐倉 光
「気絶してた俺を助けてくれたんだろ?
で、お前も生きてるんだ、上等だろ」
牧志 浩太
「そうだな、それはそうだ。……今ある情報で考えないとな。ありがとう」
KP
顔の実に半分を包帯に覆われていると、どうしても先に布が目につく。
ちょうどあなたの左にいた牧志は、普段より少し表情が分かりづらかった。

しかし、その声が孕む感情は、いつものようにあなたの耳に届いた。
KP
1d100 Sasa 1d100→47
佐倉 光
なんだなんだ記憶か侵食かなんかか。起こしていいのか悪いのか。
佐倉 光
スポットライトか。さっきみたいなところで役に立つだろうか?
手で持っていって、点灯できそうですか?
KP
それは電源プラグ式で、オンとオフしかスイッチがない。
ここで使うならともかく、持ち歩いて懐中電灯代わりに使うのは難しそうだ。
佐倉 光
スポットライトの電源をつけて、光を横から見てみる。
KP
電源をつないでスイッチを入れると、ライトの先に、ぱっと花火のように虹色の光が爆ぜた。

しかし数度瞬きをすると、その光は消えてしまう。
牧志 浩太
「あれ、点かないのかそれ」
佐倉 光
「見えないのか? 俺には虹色の光が見えた」
佐倉 光
「さっきの資料にあったような、虹色の花火のような光だ」
牧志 浩太
「そうか……、俺には見えなかった」
滲む赤い液体に似た悔しさが、声の端に滲んだ。
KP
【アイデア】で判定。
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 43→成功
KP
間違いない。独特なバランスで光る、何かのさきぶれのようなその光は、あなたが映画館の前で見たあの光だ。
佐倉 光
「間違いないな、これ、俺が外で……映画館で見たやつと同じだ」
佐倉 光
普通に両目に見えたのかなその光。
KP
なるほど。
スイッチを入れ直すとまた光るようだが、確かめてみる?
佐倉 光
折角だから確かめてみるか。怖いけど。
適当に左目を閉じて点けてみる。できれば一瞬で判断できたら逆も。
KP
あなたは片眼を閉じて、ライトをつける。
左眼を閉じると、その光は見えなかった。牧志が言うように、スイッチを入れても点かないように見えるライトがあるだけだ。

右眼を閉じて見ると、その光が視界の中心に映り……、一瞬、ぞわりと怖気がした。
佐倉 光
「左目だ……左目にだけ光が見える」
佐倉 光
左目つーと、事故で傷が入った方だなぁ。
佐倉 光
「こっち、何かなっているのか?」
牧志に見て貰うかー。
牧志 浩太
「……」
牧志はあなたの眼を覗き込む。
KP
1d100 Sasa 1d100→31
KP
あなたの眼を覗き込む時、牧志は一瞬迷ったように見えた。
眼を覗き込もうとして、はっと何かに気づいたように少し距離を離した。
佐倉 光
「どうかしたのか?」
俺の目に何か異常が起きていて、それについて牧志がある程度知っているのは確定……それでも、全てを知っているわけではない?
牧志 浩太
「いや……、ごめん。何でもない。いや、違う。
言えないんだ。
でも、困るようなことは起きてないよ」
牧志はそう言って首を振る。
佐倉 光
「そうか」
知りたい、と思った。思ったが……
佐倉 光
「分かった。言えるようになったら教えてくれ」
牧志の判断と言葉を信じよう。
牧志 浩太
「ごめん。……もし話せることがあったら、その時は必ず話すから」

その口ぶりはどこか、そんな時が来なければいいと思っているようにも聞こえた。
佐倉 光
「人間を使って、もしくはその眼球を使って何かを作ろうとしている?
虹色光、というのがあの花火か。
虹色光可視化装置、はきっとさっきのライトのことじゃないな。
アレにはスイッチしかなかったし、牧志には見えなかった。
あれはあくまで発生器なんだろう。
あれを、適性のない人間にも見えるようにする装置を作ろうとしている?
いや、あれが見えることで何かに役立つ、ということか……」
牧志 浩太
「佐倉さんには見えたんだよな、光が。
……適性があった、ってことなんだろうな。嬉しくないけどさ」
佐倉 光
さてと、他に調べられそうなものは……薬品棚かな?
KP
薬品棚には様々な薬品が、ラベルつきで整然と並んでいる。

特に何を探すでもなく見るのならば、▽〈医学〉または〈薬学〉で役に立つ物が見つかるかもしれない。
探したい物があれば探すこともできるだろう。
佐倉 光
探すもの、か。今のところ「探すべき物」が分からない状況だ。
牧志の血の滲んだ包帯を換えるくらいか。
しかし状況が分からない以上のんびりしてもいられないしな。

大型の機械って何をするものに見える? そちらをまず見よう。
大型ってどのくらいのサイズなんだろう。さっき出ていた攪拌装置なんかのことかな?
KP
大きな機械は一般的な高さの台の上に乗っていると、あなたの目線の高さくらいにはなる。

スイッチとランプ、ターンテーブルらしきものがあり、試験管が何本も入りそうだが、何に使う装置なのかはよくわからない。
これについてもマニュアルはないようだ。
佐倉 光
「これがそうかも知れないけど、分からないな」
とりあえず薬品棚をざっと見てみるか。
1d100 22〈医学〉 Sasa 1d100→ 59→失敗
佐倉 光
あてもなく薬瓶を見たって分からないな。
市販薬みたいに説明が書いてあるわけでもないし。
牧志 浩太
1d100 61 〈医学〉 Sasa 1d100→ 24→成功
牧志 浩太
「あ」
あなたの横で薬品棚を眺めていた牧志がふと声を上げ、二本の小さなプラスチックの瓶を取り出した。
うち一つは、あなたも見たことのある黄色い瓶だ。
牧志 浩太
「局所麻酔薬だ、塗るやつ。
それからこっちは、傷薬……あ、サトミタダシのやつだ。

麻酔薬か……。
荒っぽいけど最悪、怪我した時にでも使えるかもな」

牧志は麻酔薬の瓶を見ながら言い、それをジャケットのポケットに入れる。
KP
傷薬は〈応急手当〉〈医学〉に+30%。1回分。
佐倉 光
「こういう場所でサトミタダシのロゴ見ると安心するの、洗脳されてる気がすんな」
牧志 浩太
「分かる。先輩だった時以外にも、佐倉さんの部屋でもよく見てるわけだしさ。もう割と日常」
ここで会ってからどこか硬かった牧志の表情が、ふっと和らぐ。
佐倉 光
薬瓶の棚に説明書やメモが突っ込まれていたりは……しないか。
KP
薬瓶の棚には薬品しかない。マニュアル、もしかして電子化されていたりするのだろうか。
しかしここにPCの類は見当たらない。
佐倉 光
顕微鏡に何かセットされてる?
KP
何もセットされていないが、近くに何かの液体を塗りつけた標本がいくつか置かれている。
佐倉 光
ふむふむ。覗いてみようか。
一枚ずつセットして……
佐倉 光
「使ったことねぇんだよな顕微鏡。
一応知識として使い方は知ってるけど。
牧志は使ったことある?」
牧志 浩太
「あるよ。学校の授業と、あと医学書読んだ時に見てみたくなって一度。それくらいかな」
KP
覗くと、青く染まった何か細胞のようなものが見える。
しかし、それが何の細胞か、などはさすがに分からない。植物ではなさそうだが。
佐倉 光
左目で見ても特になにもなしかな。
KP
左眼で見ても変化はない。
佐倉 光
「気になるものは色々あるけど、情報が足りない感じはするな。
別の部屋も探ってみるか」

一応確認。探索場所はこれで全部でしょうか。
KP
これで全部です。
牧志 浩太
「あとは……、階段か。あの階段、上に続いてたよな。
さっきから窓が見当たらないし、地下なのかな、ここ」
佐倉 光
「そうか、上に行ってみよう。
そういえば牧志、足は大丈夫か?」
牧志 浩太
「足?」
佐倉 光
「ガラス踏んでたんじゃないかと思ってさ。
大丈夫ならいいんだ……」
牧志 浩太
「ああ。大丈夫」
牧志はあなたに靴底を示す。
細かいガラス片がついており、もう少し大きな破片を踏んだらしい跡もあるが、確かに裂けたり血が出たりはしていないようだ。

佐倉 光
さーて部屋出るか。
KP
これだけうろうろとしていたというのに、やはり扉の外は静かなものである……。
佐倉 光
こっちにゃ好都合だな。さっさと脱出しよう。
階段の上の様子をうかがう。〈聞き耳〉かな。
KP
階段の上の様子を窺うなら
〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 86→失敗
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 61→成功
佐倉 光
「上、何か聞こえるか?」
牧志 浩太
「いや……、何の物音もしないな。静かすぎて不気味だ」牧志は困惑したように首を振る。
牧志 浩太
「単純にトラブルで誰もいなくなった、とかなら好都合なんだけどな」
佐倉 光
「例えば毒ガスとか化け物みたいなのじゃないといいけどな」
しゃーねぇ上行ってみよう。
ゆっくりと階段を登る。
牧志 浩太
「毒ガス嫌過ぎるな。辺りに傷のない人が倒れてたら逃げ戻ろう」
KP
あなたは牧志とともに、少しずつ、ゆっくりと階段を踏む。
白い光に照らされた廊下が見えてくる……。
幸いそこら中に人が倒れているとか、そういうことはないようだ。

相変わらず静まり返った廊下には、いくつかの扉が見える。
ぱっと見た所、窓も、階段も見当たらない。

廊下に、まばらに足跡が残っている。
牧志 浩太
「これ……、血の跡、か?」
KP
これは、血痕だろうか。
地面をぐっしょりと濡らす程多くはなく、階段付近から始まって、扉の一つの方へ続いている。

コメント By.佐倉 光
またも狂気の治療中に事件に巻き込まれてしまう佐倉。
再会した牧志は片目にかたく包帯を巻いていた。

牧志に後遺症が残るかも知れない、と聞かされて始まったシナリオ。こ、こわいよぉ……

TRPGリプレイ【置】CoC『一蓮托生の紐の先』 佐倉&牧志 4

「ほら、美味しそうだ。塩胡椒欲しいな」
「そりゃ俺も腹は減ってるけど、それ俺から切り離したばかりだろ」

TRPGリプレイ【置】 CoC『レプリカの心相』佐倉(子)&牧志 2

泣かなきゃいけないのは俺じゃなくて、浩太の筈なんだけどな……

TRPGリプレイ【置】CoC『嗚呼、素晴らしき偶像!』 佐倉&牧志 3

「駄目なヤツだったかー」
「駄目なヤツだったな……」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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