TRPGリプレイ【置】CoC『ふえるKPC~あなたが落としたのはきれいなKPCですか?~』 牧志&佐倉 2

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こちらには『ふえるKPC』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
二人は当たり前のように佐倉の家へと歩いて行く。
青が持っているポーチから鍵を出して差し込んで回すと、鍵はいつも通りに開く。
牧志 浩太
楽しそうに騒ぐ様子も缶を無意識に凹ませてしまう様子も、全然似てないのに、ふと佐倉さんに見える瞬間がある。
何より、いつの間にか、佐倉さんと話しているような気分になっている。

この二人が何者かは分からないけど、佐倉さんではあるのかもしれないな、何かしら。
……あの時の俺達が、例えば佐倉さんに会えていたら、どう思われたんだろう。
KP
二人はいつもの場所に、少し窮屈そうに並んで座った。
牧志 浩太
こちらもいつもの場所に座る。
おにぎりだの飲み物だの、大量に買い込んだ食料を並べる。
すごい量だけど、まあ、大半は赤い佐倉さんが食べるんだろうな。
牧志 浩太
「そういえばさ、気づいたら知らない場所にいたって言ってたけど、それってどこなんだ?」
何気なく話し出したつもりで、気づけば背筋が伸びていた。
佐倉
「ああ、全然行ったこともないとこだよ。
えーとどのへんだったか……」
「このへん!!」
KP
青はPCを開けて地図を表示すると、あなたに示した。
住宅地のど真ん中だが、あなたには何となく覚えのある住所だ。
牧志 浩太
「ん……?」
何だか覚えがあるような気がして、目を瞬かせる。住宅地の中だけど、なんだったっけな、ここ……
KP
『紅』が生まれた場所。
かなり近いのだ。
牧志 浩太
不意に思い出した。
さっき色々思い出していたのが、助けになったんだ。
思わず、地図を見つめながら呟いていた。
「これ……、俺が生まれた辺りじゃないか」
佐倉
「え、そうなんだ? 実家北の方じゃなかったっけ」
赤が凹んだカンを開けながら首をひねる。
牧志 浩太
「あ、ごめん。そっちじゃない。俺が先輩の記憶を持って目覚めた所……、『紅』が生まれた所の近くなんだよ、ここ」
地図を自分のスマートフォンで確認してスクリーンショットを取りながら、時刻を確認する。
今から行くと、どれくらい時間がかかるだろうか。
「へぇー、そうなんだ? とにかくこのあたりの家に突然いたんだよ。
多分行けば案内できると思う」
KP
夕方には着くでしょう。
あ、映画観たから夕方結構遅い時間になるかな?
映画観たのが大体12時近辺で、今15時くらい、16時くらいには到着する、という感じにしましょうそうしましょう。
牧志 浩太
「行ってみて、いいか? 何があったのか…… 気になるんだ、やっぱり。

佐倉さんと、佐倉さん達に何があったのか。
佐倉さん達が全然別の誰かだなんて、もう思ってないけどさ。

もし、佐倉さん達とは別に、佐倉さんが今もどこかにいて。
ピンチになってるんなら、助けたいんだよ」

「勿論、実はピンチなのが佐倉さん達でもさ」
佐倉
「ああ、勿論いいぞ。オレたちは別にピンチじゃないけど、寿命が縮んでるのは確かだなぁ」
「牧志くんが気になるっていうなら手伝うよ!」
KP
二人は即答した。
牧志 浩太
「ありがとう。それじゃ、行こう。
……そういえば、青い佐倉さん、COMPは使えるのか? ラミアさん呼べる?」
「あ、そうだよね、喚べた方が色々助かるかな?」
KP
青は左腕をかざしてポーズを決める。
「起動ッ!」
KP
COMPはしばらくちかちか、と腕輪表面のディスプレイを光らせ……【ERROR】と表示した。
「あれー、今日も調子悪いみたい」
佐倉
「貸してみな」
赤が腕輪を受け取って起動を試みるが、やはり反応がない。
佐倉
「うーん、無理そうだな……最近調子悪すぎじゃないか?」
牧志 浩太
「ううん、そうか。ラミアさんがいれば、心強かったんだけどな」

それに、この二人が何者なのか分かったかもしれない、と内心思う。
ラミアさんは、あの時魂だけになっていた俺を見ていたんだ。

「まあ、でも、赤い佐倉さんも相当強そうか。
よし、それじゃ行くか」
佐倉
「OK任せろ!」
「おっけー!」
KP
二人は声を揃えた。
地図の場所へ向かう。
そう遠くもなく、電車を使えばすぐだ。
今日行った映画館から徒歩で20分程度。
住宅街の一角である。

あなたがいつか、世界の運命を抱いて必死で独り駆けた道だ。
牧志 浩太
駅を出て道を近づくと、記憶が鮮やかに蘇ってくる。
ああ、この道だ。何が何だか分からない中、どうか応えてくれって、祈りながら駆け抜けた道。
KP
あなたはこの周辺には空き家が多く、人があまり住んでいないことを覚えている。
今でもそうであるらしく、周囲から人の気配はしない。

あなたが『生まれた』家の跡地からほど近い一軒家の前で、二人は足を止めた。表札には『泉』とある。
牧志 浩太
人の気配の少ないひっそりとした空気にも、覚えがあった。

こんな調子だから、あの人も隠れ家に選んだんだろうし、俺があんなことをしても大きな騒ぎにならなかったんだろう。
騒がしい夜だった、ってのもあるだろうけどさ。

ここで何かが行われたんなら、同じ理由なのかもしれない。

「ここか?」
その時の状況を二人に確認する。
「うん、そうだよ! この建物の中にいたんだ」
佐倉
「そういや胡散臭い野郎がいたな。オレが約束の所に行こうとするのを邪魔するからぶん投げたけど」
牧志 浩太
「投げた」
ちょっと驚いた。実力行使、もうされてた。
「急いでたもんねー。その後でボクがお願いしたら出してくれたよ」
牧志 浩太
「えっと…… そいつ、何か言ってた?」
「えっと……出ちゃダメだとか、データがどうとか……」
佐倉
「ああ、次がまだとかも言ってたかな」
牧志 浩太
「うーん、分からないな。直接聞くか」
俺みたいに、佐倉さんを増やそうとしてる奴がいるのか? 何故? 

とにかく、考えてても始まらない。
扉の正面から身を避けて、呼び鈴があれば押す。なければ扉をノックする。
KP
返事がない……よく見るとドアポストにチラシが大量に突っ込まれていた。
牧志 浩太
「いないみたいだな」
玄関の扉を開けてみる。案外、開いてたりしないかな。
KP
扉は開かない。鍵がかかっているようだ……
「電子錠かな。ボクが開けてみようか?」
佐倉
「このくらい、オレなら開けられるけど」
牧志 浩太
「開けられるのか? すごいな…… 赤い佐倉さんがやると痕が残りそうだし、青い佐倉さん、頼んでいいか?」

〈鍵開け〉。勝手に開けて入ることに躊躇いは、まあ、なくもなかったが、それより佐倉さんのことだ。
大体先に手を出してきたらしい、のはあっちだし。
牧志 浩太
ちょっと最近色々ありすぎて、そういう所の境界線がブレそうだ。非常事態とそれ以外の時はちゃんと分けよう……。
「任せてよ。これくらい楽勝だから」
青はポーチからPCを出すと、指を踊らせ、その場で鍵の状態を確認する。
そしてその場で超高速でコードを作り始めた。
数分後。
「はい、開いたよー」
KP
彼は言って扉を開けて見せた。
牧志 浩太
「速い速い」
赤い佐倉さんも凄いけど、青い佐倉さんも凄いな、本当に。
玄関に跡を残さないよう、靴を脱いでから玄関に入る。
KP
シナリオには家に侵入する前提でしか書いてないんだよなぁ。
怪しい家即侵入!!
牧志 浩太
ちょくちょくそういうシナリオありますね。探索者、遵法精神どっかいきがち!!
KP
怪しい物があったら当然無断でも無理矢理でも調べるよな???
みたいなシナリオ多いw
牧志 浩太
あるある。いや侵入はどうなの?? って真面目に考えちゃうと進まないやつ。
PLに常識がまだ残っているとKPがアドリブする羽目になりがち。
(牧志は色々ありすぎな上、そもアウトロー寄りの佐倉さんが横にいるのと、当人(波照間)の経験もあって境界線が怪しい)
KP
赤青も佐倉は佐倉なので、怪しいと思うところに入るのに遠慮がない。
牧志 浩太
境界線が怪しくなっちゃってる牧志+そもそも遠慮のない佐倉さん二人のタッグ、ツッコミ入れる人が…… いない!
一般人ですよって顔をしておいて、色んな意味で十分ずれちゃってる、牧志。

KP
その家はごく一般的な一人の住まいに見えた。
小さなキッチン、物が多くない居間、ベッドルーム。

〈目星〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→54→成功
KP
その部屋には人がいる痕跡が多数残っていた。
椅子に置かれたテレビのリモコン、比較的新しそうな弁当のカラ、積まれた煙草の吸い殻、適当に積まれたチラシ類と新聞。
その中に、あなたは一冊のノートを発見する。
どうやら日記のようで、始まりはごく最近の日付だ。
牧志 浩太
「……」
シャツの袖をずらして手を包み、素手で触れないようにしながら、日記を開く。
○月×日
何度か俺のコピーを作ってはみているが、サンプルが一つでは研究として話にならない!
被検体の募集でもしてみるか?  いや、俺にそんな金はない。そもそもそんな金があればあんなよく分からない生き物どもから資源をかっぱらう必要はなかった。
仕方ない、俺の研究のためだ。適当な人間を見繕うか……。
牧志 浩太
「いや、金がないからって勝手に見繕うな、ちゃんと声かければそんなある意味面白そうなの、ホイホイついていく奴くらいいるだろ」
思わずツッコミが声に出た。
佐倉
「あー……なんか猫の時みたいな」
牧志 浩太
「あの時も許可取れって言った覚えがあるな」
「ボクなら喜んで乗っかると思うよ」
佐倉
「どうかな、自分が増えるのは嫌なんじゃないかなー」
牧志 浩太
「自分のコピーが作れます、って言ったら乗っかる人はいそう。
で、そうじゃない。それで、どうなってこうなったんだ……」続きを読み進める。
○月×日
適当な人間を見繕った。装置に入れれば朝にはコピーが完成しているだろう。
コピーは肉体や頭脳を強化した設定だ。俺以外で成功すれば大きな発展だ。明日を待つ。
○月×日
試作品どもが逃げやがった!  これではデータが取れない!
オリジナルの情報をインプットしすぎたか?  となると改良の余地アリということか……。次までに調整しておく。
コピーを作り直そうにも母体が小さすぎるのか材料ができるのにしばらくかかりそうだ。クソッ!
KP
ノートはここまでだ。
佐倉
「へー、オレたちこれってこと?」
「みたいだねー」
牧志 浩太
「そうらしいな。……ってことは、やっぱり『コピー』なんだな、佐倉さん達。じゃあ、元の佐倉さんはどこだ?」
室内を見回す。
「あ、こっちこっちー」
KP
居間に貼ってあるカレンダーの前で、青があなたを招く。
「隠し通路ー!」
牧志 浩太
「えっ、またお約束な」
そちらへ向かう。
KP
言われてみれば壁に扉のサイズに微妙な出っ張りがあった。
「ボクここから来たんだよ」
牧志 浩太
「そうだったのか、知ってるわけだな。
……なあ、赤い佐倉さん、青い佐倉さん」

その扉を開ける前に、一度、深く息を吸う。吐いて、気持ちを落ち着ける。
佐倉
「どうかした?」
牧志 浩太
「多分いないんだろうと思うけど、もしかしたらこの向こうに、そいつがいるかもしれない。

それで、もし、あっちが佐倉さん達や俺を捕まえようとしてきて、争うことになったら」

一度、前置きをする。
「殺さない程度で頼む。
できれば、大怪我もなしの方がいい。
穏当な手段でなんとかできたら、もっといい。

ただ、佐倉さん達や俺の命が危なかったら、無理は言わないかな」
佐倉
「あー、うん、分かった。
そんな確認するなんて、優しいな、牧志は」
「手加減できるのかなぁ~」
KP
壁の電子錠に手を付けながら青が揶揄う。
赤は生真面目に考え込んだ。
佐倉
「じゃあお前や牧志に任せるよ」
牧志 浩太
「優しいっていうか、俺には表社会を捨てる覚悟はありません、以上って感じかな。

そうなっても、青い佐倉さんなら何とかできるかもしれないけど。そんな必要、ないに越したことはないし。

優しいかというと……、どうだろうな。
最近、案外容赦がないような気もするよ」
優しい、って言うんだろうか。例えばあれは、あの時は。
優しくは、ない気もする。
1d100 99〈心理学〉 Sasa BOT 1d100→61→成功

「生きるためだったらさ、仕方ないと思うな」
KP
青はあなたが考えたことを察したように言う。
「どうしたって相容れない存在ってのは、いるよ。
そんなのにまで優しくする必要はないもん」
牧志 浩太
「……ありがとう」
その言葉を否定も、肯定もせず、ただ、受け入れてくれたことに礼を言って、小さく目を伏せた。

「さて、それじゃ前提の共有もできたし、行こうか」
「はーい、開きましたー♪ タイムリー!」
KP
壁が滑ってずれる。
その先に地下へと降りる階段があった。
牧志 浩太
「なんだかこういう所まで前を思い出すな……」
佐倉さん達に前に出てもらって、階段を下りる。

KP
赤が先頭に立ち、階段を降りる。
機械の駆動音のようなものが聞こえてくる。
降りた先は明るい照明が付けられ、上の家の数倍の広さはあるように見えた。白っぽい壁に床がどこか病院や製薬会社などを思わせる。
この部屋には巨大な培養槽やそれに繋がった機械などが設置されていた。
「ここだよ。ボクはここに寝てたんだ」
KP
青が部屋の隅にあるベッドを指す。
ベッドはいくつか並べられており、湿っていた。
佐倉
「オレはここだな」
KP
赤は、青が指したベッドの隣を指す。
佐倉
「また変な事件に巻き込まれたんじゃないかと思ったなー。
普通に外に出られたけど」
〈目星〉〈聞き耳〉それぞれで違う情報があります。
牧志 浩太
「佐倉さん……」
思った以上に大きい空間に出た。
佐倉さんの姿を探して、辺りを見回す。
1d100 98〈目星〉
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→45→成功
1d100→62→成功
KP
どの培養槽の中にも佐倉の姿はない。
中にあるのは人間の体の一部に見える肉片ばかりだ。
それが佐倉である、という可能性はゼロではないが、そのパーツは佐倉とは似ていないし、そもそも人間のものではないとあなたには思えた。
とはいえやはり、不気味だ。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
牧志 浩太
1d100 73 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→15→成功
KP
また、この部屋に満ちている機械の駆動音だけではなく、奥にある別の部屋からも物音が聞こえる。
部屋の奥には重そうな扉がある。
横にあるランプが緑色に点灯しているのは開錠中ということだろうか。
物音箱の扉の向こうから聞こえているようだ。
牧志 浩太
「佐倉さん……」
人間の身体の一部のようなものを見る度、一瞬、もしかしてと思って中身を確かめてしまう。
佐倉さんが、「溶けて」しまっていたら。
「あっちに、もう一つ扉があるみたいだ」
そう、二人に示す。
佐倉
「Okさがってな。こういうのはオレの仕事だ」
KP
赤は前に出て、扉に手をかける。
佐倉
「開けるぞ、いいか?」
牧志 浩太
「ああ」一歩後ろに下がって、頷く。
KP
赤は扉を開け放つ。

そこにあったのはTARONだった。

蜘蛛のように付き出した強靭な足。いかなる攻撃も弾く装甲。身体中からはえた砲口はあなた方をとらえる。
背についている巨大な筒から放たれる一撃がいかに危険か、あなたは『身をもって』よく知っている。
あのときのTARONと違うのは、何が巨大なざるのようなパーツを背負っていることだ。

そう、科学技術館で遭遇した悪夢のガーディアン。人間を殺戮するために作られた兵器。それが目の前にそびえていた。

「来る頃だとは思っていたぞ……」
人の声が聞こえた。
TARONの後ろに、ひょろりとした体、ボサボサの髪、瓶底眼鏡の男が立っていた。
「人の家に勝手に上がり込むとは感心しないな」
〈目星〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→98→致命的失敗ファンブル
牧志 浩太
!?
佐倉さんたちに〈目星〉してもらうことはできますか?
KP
できるけど大した情報ではないですかね。
KP
本物の佐倉の姿は視界の中には見当たらない。
ただ部屋には大量の謎の機械が並んでいる。
男は何があったかは不明だが怪我をしているのが見えた。

二人は〈目星〉を振るまでもなく知っている。
佐倉
「あっ、あんときやっぱちょっとやり過ぎたかな」
KP
男が怪我をしているのは、赤がぶん投げたときのものであるらしい。
牧志 浩太
「へっ、」

全く、想像の外だった。
何かあっても、赤い佐倉さんがいれば何とかなるような気がしていた。

無意識に胸元に手が行っていた。
胸に一瞬で穴が開く感覚を、他人の記憶だなんて言えないくらいに知っている。
KP
ここにも佐倉はいない。
このTARONの犠牲になってしまったのではないだろうか?
そんな恐ろしい想像が一瞬頭をよぎった。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
KP
「そこの試作品ども。勝手に抜け出すとはどういう了見だ、まったく。
私がお前たちの親だぞ」
顔を真っ赤にしている男に、
佐倉
「オレにはお前みたいな親父はいないね!」
赤はビシリと指を突きつけ断言。
「そもそも家族とか、関わりたくない筆頭だもんねー。
友達との約束の方が大事に決まってるじゃん」
青はケラケラと笑った。
牧志 浩太
「ごめん、前言、撤回……、手加減なんて、場合じゃない」

出た声が硬い。
無意識に脚が一歩下がっていた。
1d100 73 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→26→成功

佐倉さんが……、いない。
まさか、やられちゃったのか?

そんな。
佐倉
「オッケー、全力でやっていいんだな! 少なくともあのデカブツはぶっ潰していいよな!」
KP
赤はあなたを庇うように前に出た。
牧志 浩太
「あ……、ああ、頼む!」

できることはないけど、つられて身構える。

「彼らの元になった人を、どこへやったんだ」

男に問いながら、辺りに視線を走らせる。扉とか、何か、ないか。
何か、使えそうな物は。
佐倉さんは、どこだ。
KP
メンテナンス用と思われる工具などは手が届くところにあるだろう。
佐倉の姿はやはり視界にはない。
もしかすると壁際にある機械の中かも知れないが、どこにいそうかはぱっと見では見当がつかない。
知っているのはあの男だけだろう。

「まだ研究は始まったばかりだし、肝心の実験体がこの通りだ、
一回くらいはコピーを取らないと元が取れないよ!
ああそうだ、折角来たんだ。
お前も実験隊になってくれ!」
男は手元のスマートフォン状の機械に触れた。
するとTARONがうなりを上げ動き始める!
巨大な砲口の奥に光が見える。
あの日『彼ら』を蹂躙した輝きとは違うが、直撃したならただでは済まないだろう。
「殺しはしないさ。大事なお客様だからね! ちょっと協力的になって欲しいだけだから!」
牧志 浩太
「佐倉さん!」
男を見据えたまま、青い方の佐倉さんに呼びかける。
「あの機械、何とかできないか!?」
「無線でやってるみたいだし、フルコントロールはちょっと時間かかるけど、少しなら!」
KP
青はPCを取り出して何やら操作し始める。

戦闘開始!

すると同時に砲身がガリッ、というような異音を放って沈黙。
赤があなたの視界から消えた。

ドガァン!!
重機が建造物を破壊したか、というような轟音が鳴り、TARONはど真ん中を大きく凹ませてその場に沈み込んだ。

「アァァァァァァァァ!? 高いんだぞそれ!?」
男の悲鳴が迸る中、異音を立てギリギリときしみあがくTARONの凹みから赤が飛びすさる。
佐倉
「かっっってぇなぁ~。拳痛めるわ」
KP
赤が情けない声を上げながら歪んだ装甲の隙間に指を入れてへっぱがし、中の機械にもう一撃くれた。
「アァァァアアアアァァァ!?」
一段上がった男の悲鳴をバックにTARONは沈黙した。

戦闘終了。
牧志 浩太
「はぁ!?」
唖然。いや、唖然としてる場合じゃないんだが、唖然。
赤い佐倉さん、オニよりずっと強くないか!?
牧志 浩太
「と、とにかく! 元の佐倉さん、どこにやったんだよ!」
少し距離を取ったまま、男に詰め寄るそぶり。

ここで一番戦力にならないのは間違いなく自分だから、本当に近づきはしない。
KP
「な、何だお前は!? お前かこの実験体どもを連れてきたのは!?」
男はあなたの質問に、ちらりと背後を見た。
〈目星〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→77→成功
KP
あなたは男の視線が背後にある機械のうち、円筒状のタンクを思わせるものの方を向いたのに気付いた。
牧志 浩太
「あれか!」
そのタンクに駆け寄る。
KP
「ちっ、チチチチチ違うが!? 違うぞ!?」
男が慌てて再びスマートフォン状の機械を操作する。
「あ、アレ? 二号は??」
「あ、ごっめーん、二号はボクがもらいました」
KP
「アァァァァアアァァァ!? 人の物取ったら泥棒だぞ!?」
男は悲鳴を上げる。
あなたはタンクの側に何の妨害もなく近づくことができる。
牧志 浩太
「言っとくけど、人勝手に攫うのも犯罪だからな!?」

ツッコミを入れる余裕が少しずつ戻ってきた。
タンクの中を確認する。
KP
外から確認できないが、外に設置されているモニタには、中にいるなにものかの心拍や脳波などを測定している様が表示されている。
「あコラ勝手に弄るな! 被検体に影響が出たらどうする!!」
牧志 浩太
「じゃあ佐倉さん出してくれよ。そうしないと、赤い佐倉さんにやってもらってもっと破壊するぞ、ここ」
脅す。
KP
「アァァアアアせっかくいい感じにコピーできたのにッ!」
男は涙目で叫んだ。
「アァァァもう、そもそもなんでお前ら私の命令を聞かない!」
佐倉
「オレ命令されるの嫌いだし、こっちのほうが楽しい」
KP
あなたの脅しに呼応するように、赤がTARONの残骸から引っこ抜いた砲塔をバットか何かのように振り回す。
「牧志くんが助けてって言ってるから~♪」
KP
青が言うと、部屋の隅の巨大ロッカーのようなものの扉がゆがみ、中からTARONがもう一体出てきて、あなたを守るように横に立った。

「アァァァアアァァァ!?」

男の怒りと哀しみと絶望の悲鳴が谺した……
牧志 浩太
「前も思ったんだけどさ、殺したりするわけじゃないんなら、ちゃんと許可取ればいいんだよ。コピー取るなんて、報酬出さなくても乗る人は乗ってくるだろ」

まあ、前の時のあいつはもっと話が通じなくて、もっと異様な感じだったけど。
牧志 浩太
暴れ回る二人の様子を見て、ああ、やっぱりそういう所、佐倉さんなのかもしれないな、と、少し笑みが漏れた。
牧志 浩太
「というわけで、ここから出してくれるよな? 佐倉さん」
にっこり笑って、男を威圧。
牧志 浩太
牧志が威圧をおぼえた……
KP
牧志君がどんどん強くなるなぁ。
牧志 浩太
強くなって、冷静になって、最後に優先するものを知って、
気の抜けたように笑う青年はもういない。
どんどん強くなる件、今の牧志になってからでも、これだけ色々あったら少なからず雰囲気が変わっていそうなんですよね。

牧志当人とデビルバスターである佐倉さん・波照間には分からないけど、東浪見あたりから見たらその差が少し分かりそうな感じ。
KP
その場の全員、〈聞き耳〉
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→92→成功
佐倉
1d100 69〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→30→成功
1d100 69〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→14→成功
KP
みんな聞こえた。
ゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴガガガガガガガガリガリガリガリガリ
地響きが聞こえてくる。
牧志 浩太
「えっ、うわ、なんだ!?」
KP
さっきTARONが出てきたロッカーの方向から掘削音のようなものが聞こえる。
そこには扉が開いた空っぽのロッカーしかない、ように見えるのだが……
牧志 浩太
「青い佐倉さん! この中に佐倉さんが入ってると思うんだ、出せるか!?」

円筒状のタンクを指してから、男からスマートフォン状の機械を取り上げようとしますが、できますか?
KP
できることにしよ。
機械の取り上げを試みるなら【DEX】または何らかの〈戦闘技能〉で。
「分かった、やってみる!」
青はタンクに駆け寄る。
牧志 浩太
「寄越せ!」
〈こぶし〉で試みます。
1d100 57 〈こぶし〉 Sasa BOT 1d100→92→失敗
牧志 浩太
アカンかった!
KP
「うわわっ!」
怯えて縮こまる男にあなたの拳は当たらない。
しかし男は座り込んでしまったので、時間はかかるだろうが奪えるだろう。

そんなことをしている間に地響きは大きくなり……
巨大ロッカーがめきょり、と後ろからの衝撃で歪んだ。
佐倉
「なんか来るぞ! 気をつけろ!」
牧志 浩太
「くそっ、なんだあれ……!」
KP
ロッカーがぐしゃりと潰れて現われた何者かに潰され食われてゆく。
その向こうから現われたのは人間の概念にはあり得ないものだった。
いや、機械であろう事は分かる。
つるりとした丸いものの先端が牙のように土も金属も、なにもかも捕えて噛みつぶし、砕いて吸い込んでゆく。
その悪夢のような『機械』は、そうやってミミズのように地を掘り進んできたのだ。

ロッカーを飲み込んだその機械は、部屋に頭を突っ込んだ状態で止まった。
そしてその一部が開くと、ぞろぞろとなにかが降りてくる。
牧志 浩太
何だ。
何だ、あれ。
機械のはずなのに生き物のようにすら見える。

そういえば、よくわからない生き物がどうとか言ってなかったか。

どうしてか降りてくるのが人間なようには思えなかった。
何か、もっと悪夢のようなものが、そこから出てくる気がした。
KP
※BGM あの曲

それの身長は150センチメートルほど。つやつやと光を反射する桃色の甲殻類のような胴体に巨大な膜が背鰭のようについている。頭にあたる部分には、短い触手がみっしりと生えた渦巻き状の楕円体。触手はイソギンチャクのようにゆったりとそよいで波打っている。
昆虫を思わせるねじくれた関節脚は三対までが確認でき、そのひときわ大きなものを脚のように地面に突き立て歩くのだった。
およそ地球上には存在しないような、そんな存在に今、あなたたちは生存を脅かされようとしている。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1d6
牧志 浩太
1d100 73 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→66→成功
FANBOX開設したで
牧志 浩太
「お、お前、何に手を出したんだよ……」

声が震えている。あれが何なのか、考えても答えが出ないに違いないことだけを知っている。
牧志 浩太
それの挙動を見ていなければならないと思うのに、目が勝手に視線を逸らしたがる。

見て? 見て、何ができる?
見ていて、あっちが何か動いてきたとして、何ができる?

とにかく、とにかく佐倉さんを出さないと。
そう判断して男から奪った機械に目をやったのが、冷静な判断か逃避かは分からない。
KP
「ヒェッ、お、お前らどうしてここが」

ブーン、というような音がした。
それが人の言葉を真似た音であることに、一瞬経って気付くだろう。
『さあ、我々の資源を返してもらおうか』
男から奪った機械には、TARONのコントロールが表示されているようだった。
牧志 浩太
必死に目を走らせる。あのタンクのコントロールはないか。
中にいる人を外に出すコマンドは。
KP
表示を切り替える。
培養槽の制御パネル。エアコンの切り替えパネル。目覚まし。TARONの制御パネル。中で『被検体の離脱』というパネルを発見した。
あなたが男の端末を奪ったのに気付いた青はタンクから離れる。
「そっちの方が早そうだ。任せるよ!」
KP
2d3 Sasa BOT 2d3→1,2→合計3
現われた奇妙な生き物は3体。
牧志 浩太
「あ、ああ!」
焦る指で画面をスライドする。目覚ましこんな所に入れるな!

離脱!
そのパネルを確認する。
KP
簡単操作である。
『離脱』のボタンと、その横に表示される被検体のバイタルデータ。
それはあのタンクに表示されているものと一致している。
牧志 浩太
ボタンをタップする。
KP
『現在、知性強化型・理力強化型の複製処理中です。
処理を中断してよろしいですか?』
あなたの背後で、青が操るTARON&赤と、奇妙な生物たちの戦いが始まっていた。
牧志 浩太
OK!
ボタンを迷わずタップする。

いや、一瞬だけ迷いはした。したが、あいつらに佐倉さんまでまとめて持っていかれる可能性の方が怖い。
KP
『処理を中断した場合、再度続けることはできません。
本当によろしいですか?』
KP
止めていいよw
だって止めると複製先が破棄されちゃってすっごいコストがかかるんだもん!
牧志 浩太

止めてもゲル佐倉さんが出てきたりはしない。よかった。
牧志 浩太
もう一度OKをタップする。
KP
ブシーーーーー。
タンクから空気が抜けるような音がする。
そして排水音。

背後からはブンブンというわめき声と銃撃音、赤の雄叫びと「モウヤメテェェェェ!」という男の悲鳴が聞こえていた。
牧志 浩太
「佐倉さん!」
佐倉さん達が心配でこそあるが、今はそれどころじゃない。

タンクに駆け寄る。

コメント By.KP
茶番なんですね~。
シナリオ書いた方が何度も強調されているとおり、茶番なんですよねコレ!

牧志と佐倉はうっかりするとシリアスになっちゃうので、茶番にするためにあれこれやってます。
懐かしいアレやコレ突っ込んでるのもその一つですね!
牧志くんが上手にシリアス維持しつつ茶番に乗ってくれているので、背景を土煙の中で手足と☆が飛んでいるようなギャグにしつつキャラ崩壊もしない、いい塩梅になっていると思います。

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「行ってらっしゃい、佐倉さん」
「サンキュ、牧志!」

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一蓮托生か。
まあそれも、悪くはない。

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「星が綺麗な夜ですね。お会いできて嬉しいわ」

【クトゥルフ神話TRPG】
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