こちらには
『鱗の眼』および
『地獄はやさしい』
ネタバレがあります。



「鱗の眼」
 herba 様


※※※注意※※※
本セッションには、
S様作「地獄はやさしい」のネタバレが盛大に含まれます。
牧志の立ち絵は「くーな」さん画。ありがとうございます!

牧志 浩太

『地獄はやさしい』発のPC。
それに関する大きな事情を抱えている。
他人の記憶に悩まされる事も多く、自分が何者か見失う事もある青年。

ネタバレ【地獄はやさしい】牧志が抱える事情
元エピソード『地獄はやさしい』波照間

牧志はとある事件の影響で大変強靱な肉体を持つ『ショゴスの【紅】』だった時期がある。【紅】はその時に悪魔使いの波照間紅と世界を救う大立ち回りをしている。
最終的に世界を救い、彼は牧志浩太として復活する事はできたが、波照間紅の記憶が85%上書きされた状態であった。牧志浩太自身の記憶はほとんど失われてしまっている。
そのため悪魔使い【波照間】・強靱な【紅】としての記憶に振り回される事もある。

波照間が成人であり、飲酒も運転も行えるため、その記憶も持っている。
波照間の一人称は『僕』である。


KP
あなたはさざ波の音で目を覚ます。

どうやら海辺で倒れていたようだ。
あなたの周りを、何羽かのカモメが取り囲んでいる。
牧志 浩太
「ん……」
KP
突如、カモメが口を開いた。

「やあ、こんにちは。」

その口から発せられた音は、鳴き声ではなく、確かに人間の、あなたのよく知る言語だった。《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》)
牧志 浩太
CCB<=60 《SANチェック》(1D100<=60) > 69 > 失敗
[ 牧志 浩太 ] SAN : 60 → 59
「えっ?」
数度眼を瞬く。カモメが喋ってる。目を閉じて、開いて、やぱり目の前にいるのはカモメだ。
「君、喋るのか?」
KP
カモメ達はあなたに向かって、口々に話し始める。

「こんな場所で倒れているなんて、君はまるで王子様だね。実は本当に王子様だったりして!
 違うの? じゃああなたはだあれ?」
牧志 浩太
「聞いてないし。まあいいか……。
 牧志浩太、大学生だよ。君達、大学生って分かるか?」
KP
「そうかいそうかい。ところで君、ここに着いてしまったからにはもう逃げられないよ。
 あそこをご覧」
そう言ってカモメは崖の上を嘴で指す。
そこには1軒の小さな家がぽつんと建っている。
「あそこにはね、わるーい魔女がいるんだよ。
 大昔に戦争を起こしたんだ!
 沢山人を殺したんだよ。
 あの崖にはお墓が沢山あるもの!
 みんな魔女が食べちゃったのよ。」

カモメ達が口々に話しはじめ、やがて全員で声を揃えて言った。
「だから、君は魔女の餌になるんだよ」
KP
カモメ達は笑いながら飛んで行った。(《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D2》)
牧志 浩太
CCB<=59 《SANチェック》(1D100<=59) > 7 > スペシャル
「何だよ、それ」本当に人の話を聞かないカモメ達だ。
本編見る!
KP
見渡してみれば、周りは海に囲まれており、近くには崖があることが分かるだろう。
崖の上の家までは階段が続いている。
牧志 浩太
辺りを見回しても、海と崖しか見当たらない。
それから、崖の上の家だ。

遠く押し寄せてくるさざ波の音が、ふと、心に郷愁を呼び起こした。
いつも傍らに海を置いて、波の聞こえる場所で育った思い出が蘇る。

「どうしたものかな、これ」
郷愁を打ち消すように、崖の上を眺めて呟く。
魔女の餌は勘弁してほしいけど、他に逃げる場所がありそうにも見えない。

──実家は寒い、山の奥だった。雪のしんしんと降る場所だった。

あの後実家に顔を出した時、雪道の歩き方が分かることに戸惑った。記憶は這い上がってくるようなその寒さを薄暗くて白い家並みを知らなくて、ただ強い強い陽射しと、鮮やかな海の色に彩られていた。
海を見てると、俺の記憶がちぐはぐになってしまっていることを、やっぱり自覚する。

「考えてても仕方ないな。行ってみるか」
意識的に口に出して、物思いを振り払う。とにかく、あの家へ行ってみよう。餌だなんだってのも、あの人の話を聞かないカモメが勝手に言っているだけかもしれないしな。
階段を登って家へ向かう。
KP
家は真っ白く、海の青によく映える。
家には庭があるようだが、柵に阻まれて行けないようだ。
ドアの鍵は開いている。
ノックをしても返事はない。
〈聞き耳〉
牧志 浩太
CCB<=75 〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 88 > 失敗
KP
さざ波の音に掻き消され、何も聞こえなかった。
牧志 浩太
仕方ないので家に入る。
KP
玄関は家と同様に白で纏められており、非常に清潔感がある。
靴箱や絵画などがある、ごく一般的な玄関だ。
目の前には木製の質素な扉がある。
牧志 浩太
「誰もいないな。入っていいのか?」
数度ノックをしてみて、返事がないのを確認して室内に入る。
この家に誰かいるのかどうか、靴箱を確認する。
KP
靴らしきものは見当たらない。
花の香りの愛らしいお香と、写真立てが置いてある。
写真はとても古い写真のようだ。
くすんでいてよくみえないが、軍服や兵士のような服をきた青年達と、1人の癖毛の特徴的な若い少女が写っているように見える。
お香は青色のお香だ。潮の香りと共に、華やかな香りがする。sorcierと書かれている。
【知識】/2、または〈フランス語〉
牧志 浩太
CCB<=75/2 【知識】 (1D100<=37) > 38 > 失敗
KP
このようなお香は見たことがない。
牧志 浩太
「お香が点いてる……、ということは、やっぱり誰かいるのか」
倒れたら簡単に消えるくらいの小さな火とはいえ、一応は火だ。
火を置いて不在にするのは、ちょっと危なっかしい。
そのまま絵画に目をやる。
KP
人魚の描かれた絵画だ。

〈芸術(絵画または物語)〉
牧志 浩太
CCB<=5 【芸術(絵画)】 (1D100<=5) > 12 > 失敗
やる気はあったな。
KP
どこか不気味さを感じる。
(《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》0/1)
牧志 浩太
CCB<=59 《SANチェック》(1D100<=59) > 90 > 失敗
system
[ 牧志 浩太 ] SAN : 59 → 58
牧志 浩太
なぜかその絵に怖気を感じて、背を震わせた。
「気味が悪いな、この絵」
どうしてそう感じるのか分からないまま、目をそらした。

そういう意味の分からない感情を覚えることが少し新鮮だった。
俺の、「紅」の感情はそういうもので動かされなかった。紅が「あれ」を前にして恐慌に陥った時も、俺の感情は落ち着いていた。
奥の扉に目をやる。
KP
ごく普通の扉だ。鍵はかかっていない。
ぱらぱらと本をめくる音がはっきりと聞こえる。
〈聞き耳〉
牧志 浩太
CCB<=75 〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 77 > 失敗
KP
本をめくる音が聞こえるのみだ。
牧志 浩太
「お邪魔します」声をかける。
KP
返答は聞こえない。
牧志 浩太
意を決して扉を開ける。
KP
扉を開けると、目の前には大きな窓がある。
その目の前で大量の本を広げ、誰かがぱらぱらとめくっている。

青みを帯びた美しく長い銀髪が、窓から吹く風に揺れている。
目の前の女性は、後ろを向いたまま、まるで見計らったかのように言葉を紡いだ。
「どちら様でしょうか。」
牧志 浩太
流れる銀髪は海のようで雪のようで、一瞬、見惚れた。
かけられた声で我に返る。
「俺は、牧志浩太。日本の大学生です。気がついたらここの下の海辺で倒れていました」
KP
あなたが名乗れば、女性はゆっくりとこちらを向いた。

特徴的な癖毛の柔らかな銀髪を揺らしながら、珊瑚のように鮮やかなピンクの瞳で、じっとあなたを見据えている。

その整った表情は、まるで人形のように動かない。
女性は首を傾げながら、不思議そうに口を開く。

「ワタシは魔女です。カモメ達に聞いたでしょう?
 忠告されたのに来るとは、面白い方も居るのですね。」
牧志 浩太
「他に行く所がなかったんです。ここには、他には海しかないようでした」
KP
あなたの言葉を聴いて、女性は微かに頷いた。
静かに、鈴の鳴る様な声で続ける。

「…ワタシの紹介が遅れましたね、失礼しました。
 ワタシは…そうですね、ソルシエと名乗っておきましょうか。
 ワタシは長い長い時をここで過ごす中で、多くの仲間や人間の死を見届けました。目の前の窓を見れば分かります。」

ソルシエの指した窓の先には、大量の墓がずらりと並んでいた。
「沢山の人間の生死に関わるうち、ワタシは気づけば、ここで人間の人生を見届ける存在になったのです。
 …と言っても、本当に見ているだけなので、正直ヒマなんです。
 …そこでお願いなのですが、しばしの間ワタシとお話しませんか?」

ソルシエはそう話すと、近くの椅子に座るように促してくる。
牧志 浩太
目の前の奇妙な存在の言葉を少し考えて、出てきたのは、
「いいよ」
そんな言葉だった。
奇妙な存在であろうが、目の前に突然出てきたもうひとりの自分であろうが、同じように受け入れる── そんな相棒の姿が頭の中を過ったのだ。
本当に餌にするつもりだとしても、今の俺には何もできない。相棒ならどうするだろうかと思えば、話すだろうな、と思った。
KP
椅子に座ると、ソルシエは「好きな食べ物はなんですか?」と唐突に聞いてくる。
牧志 浩太
「え? そばだけど。あー、分かるかな。小麦の麺で、紅生姜とソーキが乗ってるやつ。ツナマヨおにぎりも好きだけど、たまに食べたくなるんだ」

あの後二人で食べに行って、どこか乾いた記録でしかなかったその記憶が、本物の経験になってしまってから。その食べ物は、すっかり俺の好物になってしまった。
──その一杯には、相棒と駆け抜けた夜の思い出まで一緒についてくるから。
KP
答えると、ソルシエは満足そうに頷き、「どうぞ」と近くにあった机を指さす。
見れば、いつの間にかそこには湯気を立てるそばと、コンビニのツナマヨおにぎりが並んでいた。
「驚きましたか? ワタシは魔女なんです。これくらい造作もありません。
 もちろん毒などは入っていません。お話してくれるお礼ですよ。」

ソルシエはあなたの様子を見ながら、少し得意げな様子でそう言うだろう。
牧志 浩太
「はは、何だよそれ。どちらかと言えば、そばとツナマヨおにぎりって組み合わせに驚いたかな」
それは、「俺」が一番最初に食べた食べ物だ。
どうしようもなく惹かれてしまって手に取ってから、少しだけ警戒心が蘇って目の前の相手の意図を探す。
〈心理学〉
KP
シークレットダイス sCCB<=76 〈心理学〉 (1D100<=76) > 26 > 成功
あなたを歓迎しているようで、言っていることは本当のようだ。
牧志 浩太
ままよ。おにぎりを手に取って少しかじってみる。
KP
あなたが好物を口に含めば、今まで食べたどの食べ物よりも美味しいと感じる。
ソルシエはその様子を穏やかな表情で静かに見ている。
その表情に、敵意などは感じない。
牧志 浩太
「──、」
ほろり、と涙がこぼれた。美味しかった。あの夜に二人で食べた、冷たくて味が濃くて美味しいおにぎりの味だった。夢中でおにぎりを食べきって、そばに手を伸ばす。濃い鰹出汁の味が舌に沁みた。
分かってる、それは本当は俺の記憶じゃない。でも、生まれて一時間の俺の何より鮮烈な一夜の記憶だった。
その記憶があまりにも濃く鮮やかで、「俺のじゃない」なんて言ってしまったら、他に何も残らない気がした。だから、その一夜も、それから続く相棒との祝杯(酒はまだおあずけだ)も、俺のってことにしておく。
──それまでの記憶はともかく、あの駆け抜けた一夜だけは俺が、記憶と姿とを上書きされた「俺」がそうしていたんだから、俺のものでいいはずだ。
「それで、話だったか。ソルシエさん、君のことを聞いてもいいか? 何者なのか、とかさ」
KP
そう問われると、彼女は緩く首を傾げた。長い銀色の髪が、辺りにたゆたう。
「先程も言いましたが、ワタシは魔女です。こう見えてあなたよりずっと長く生きています。
 あなたのお話も聞かせてください。あなたはどこから来たのですか?」
牧志 浩太
「俺? 俺は日本から来たんだ。知っているかな、小さな島国で……」そこからは日本と、東京という街の説明に終始するだろう。
KP
ソルシエはあなたの話へただただ静かに耳を傾け、それから納得したように頷いた。
牧志 浩太
「そうだ。ここは何処だ? 君はどうして、ここにいるんだ?」ただただ海しかない場所。魔女と言ったが、彼女の方が囚われているような印象さえ受ける。
KP
ソルシエは窓の外に視線を移すと、思い出したかのように話し出した。
「ああ、伝え忘れていました。
 この島は少しずつ、とある場所に移動しています。」
牧志 浩太
「とある場所?」
KP
「そのとある場所とは
 海底都市ルルイエです。」
牧志 浩太
「──ルルイエ、」
不意に、背筋を怖気が走った。怖気と、何かの既視感。
俺は、いや。
「紅」は、その言葉を知っている。
KP
「あなたのような人間は、まず正気を保てないでしょう。
 騙す形になってすみません。…ですが、こうしてワタシを〈信用〉してここにいる時点で、こうなる運命だったのですよ。」

ソルシエは眉一つ動かさず、淡々と話す。
ルルイエ…聞き覚えのないその単語に、何故か背筋がぞわりとした。(《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》)
牧志 浩太
CCB<=58 《SANチェック》(1D100<=58) > 86 > 失敗
[ 牧志 浩太 ] SAN : 58 → 57
「……信用しても何も、他にないしな。行く場所」
肩をすくめる。それは勿論こんな所で死にたくはないが。
「戻してくれないか? 元の場所に」
どうしてか、掴みかかる気は起きなかった。彼女の言葉が静かなせいか、それとも、それくらいで何とかなる事じゃないことを頭のどこかで感じ取っているのか。
「まだ、やりたいことがあったはずなんだ。思い出せないけどな。夢が、あったはずなんだ」
──そう、夢。記憶の端で、微かに覚えている。
俺には将来の夢があって。そのために、随分苦労して大学に入ったはずなんだ。でも、それが何だったか忘れてしまった。思い出そうとしても、途方に暮れたような空白があるだけだ。
KP
「大丈夫ですよ、あともう少しお話しましょう。そうしたらその後に帰してあげます。
 知らない場所で拘束されるのは嫌かもしれませんが… 少しだけ我慢してください。」

ソルシエはそう言いながら、少し申し訳なさそうに頭を下げてくる。
牧志 浩太
「そうか、ならいいよ。少し話そう。そういえば、あの写真は君のものなのか?」
KP
「ああ、玄関の写真ですか?
 あれは若い頃のワタシの写真です。昔は魔女ではなくて兵士だったんですよ。」

ソルシエはもうあまり覚えていないんですけどね、と冗談っぽく言いながら、僅かに微笑む。
そしてあなたに問いかけてくる。

「あなたはどうでしょう、家族や友人のことはどう思っていますか?」
牧志 浩太
「何だか、俺のことばかり聞かれるな。俺は……、あまり覚えていないんだ。どう思っていたんだろうな」
記憶をたぐるように、こめかみに手をやる。
「この間、実家に行ったんだ。久々に会った家族は優しかったし、俺のことをすごく心配してくれたし、何処行ってたんだって怒られたよ。寒い雪道を歩いていってさ、温かい汁の味が腹に染みた。そこで初めて、ああ、やっぱりここが俺の生まれた場所なんだって……、ようやく思えたかな。
 俺、記憶がふたつあるんだ。上書きされたんだよ。
 世界に絶望した男の行為に巻き込まれて、一度死んで、他人のコピーを作る素体に使われたんだ。その時に俺の記憶はほとんど消されてしまって、代わりにその人の記憶がある。
 強い強い陽射しと鮮やかな青い海、続く長い通り。世話焼きな両親と、二人とも兄贔屓なせいで少し拗ねてた妹。市場の魚の匂い……。思い出すと懐かしくて、でも俺のものじゃない。不思議な気分だよ。
 ……もうあまり覚えていない、か。理由は違うけど、仲間だな」
KP
仲間。ソルシエはあなたのその一言を聞いて、ずっと遠い彼方を眺めるように、窓の外を見やった。
「人間の命はあっという間に終わってしまいます。どんな形であれ、後悔しないようにきちんと気持ちは伝えましょうね。」
そして、呟くようにそんなことを言った。
牧志 浩太
「そうだな」
窓の外には、無数の墓が並んでいる。何となく、その中に故郷の墓の形を探した。
「俺以外の誰かとも、こうやって話をしたのか?」
KP
あなたの問いに、彼女は頷きも、首を振りもしなかった。
代わりに、
「あの中にはワタシの友人や仲間もいます。この場所で息絶えた人間も眠っていますよ。」

それが返答替わりだったのだろう。
ソルシエはそう言いながら、ゆっくり立ち上がり、窓の方へ近づく。
窓からは爽やかな風が吹いている。
目の前の墓は、手入れされている上に快晴のためか、あまりおどろおどろしい雰囲気ではない。
墓の更に奥には、広大な海が広がっている。
牧志 浩太
「綺麗だな」
KP
二人の間を、爽やかな風が吹いた。
ある程度話終えると、ソルシエは静かに口を開く。

「…さて、最後に聞きたい事があるのです。
 今、あなたの願いをひとつだけ叶えてあげると言ったら、何を願いますか?」

彼女はあなたの答えを待っている。
牧志 浩太
「……」
ふと、少し迷った。
俺の記憶を、本物の俺の思い出を返してくれと言ったら、彼女は叶えてくれるだろうか。
胸に手を当てる。その中を占めるあの一夜の記憶と、あの夜の俺が守りたいと願った家族の記憶、そして、僅かに残った故郷の記憶と、忘れかけてしまった、将来の、夢。
偽物の記憶を投げ捨てて、元の俺に戻れたら。
……それでも。
あの一夜ごと投げ捨てるには惜しかった。
「帰りたい、かな。
 帰りたい。俺には……、まだ、未来があるから」
どれだけ記憶が欠けていても。
ふたつの故郷を、ふたつの記憶を持っていても。

俺には、あの一夜に必死になって守った、紅が守ってくれた、これからがあるから。
KP
あなたの願いを聞くと、ソルシエは大きく頷いた。

「…ええ、分かりました。お話に付き合ってくださってありがとうございます。
 あなたの願い、叶えて差し上げます。
 試すような真似をして申し訳ありません。ワタシははなからあなたを帰すつもりでしたよ。ちょっとしたジョークです。」
牧志 浩太
「なんだよ、意地が悪いな」苦笑。
KP
「そもそもワタシ、カモメとタコは嫌いなんですよ。」
牧志 浩太
「俺は結構好きだよ。でも、そうだな。ああいう風に喋るカモメは好きになれないな」
KP
「ワタシの名はソルシエ…もといノーデンス。魔女ではなく、神様です。」

「ここで出会えたのも何かの縁。今後あなたが悪意に蝕まれても、ワタシが加護を与えましょう。」
ソルシエはそう言うと、誰よりも優しく、幼い少女のような微笑みを浮かべた。
同時に奇妙な形の影が、窓の外に集まっていく。
それは巨大な羽の生えたイッカクの姿になり、あなたを軽々と背に乗せる。
「ではまた、どこかで。」
牧志 浩太
「ああ。また、どこかで」
KP
ソルシエの言葉を合図に、イッカクが空を舞う。
手を振るソルシエが小さくなって行くのを見るうち、意識も遠のいていった。

KP
目を覚ますと、自分の部屋だった。
朝の冷たい空気に、意識がはっきりとしてくる。
牧志 浩太
「ん……、」
KP
あれは果たして夢だったのだろうか。
そんな事を考えていると、手に何かがにぎられているのに気がつく。
どうやらそれは、貝殻の詰まった瓶のようで、朝日に照らされて美しく輝いていた。
あなたの人生でほんのひとしずくの時間は、神様のイタズラで、僅かに彩られた。
それがあなたにとって、どんな形だったのか。
それを知っているのは、あなたしかいない。
あなたはふと、窓の外を見た。
冬が冷たさが近づく曙の、澄み切った空だった。
牧志 浩太
「おはよう」
誰にともなく、窓辺に向かって囁いた。
──おはよう、これからの世界。

KP
おめでとうございます
シナリオクリアです。

【Aエンド:鱗の眼】
<報酬>
生還…1d3
ソルシエと話をした…1d3

<AF>
神様のシェルボトル
ノーデンスの加護が与えられた、美しい貝殻の入った小さな小瓶。
持っていると【幸運】が+5され、更に〈水泳〉技能の初期値が50になる。
牧志 浩太
1d3+1d3 (1D3+1D3) > 3[3]+2[2] > 5
[ 牧志 浩太 ] SAN : 57 → 62
KP
このAFはちょっと強力過ぎて継続する上でややこしいので、「【幸運】+5」のみ適用とします。フレーバー的に持っているのはOK。
── end.


【置】CoC『忌胎』 佐倉&牧志 3

「カラオケ行くか。ストレス発散しようぜ」
「いいな! 思いっきり歌おう」

【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 1

「おはよう牧志。
……どうしたのさ、怖い顔しちゃって。また悪い夢でも見たの?」

【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 4

焦りに追い立てられる心は、絶えず周囲に気を配らせ、次はどうする、と追い立てる。そこに思いの入る余地はなかった。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoCキャットゥルフ『それは月明かりの下で』 ユキ 1

気のせいだなんて思えるほど、猫の第六感は鈍くはないのだ。

Zephyranthes 第三話 『朝まで待てない!』1

『朝まで待てない!』1

CoC『AND/HAND』佐倉&牧志 1

「死んだ隙に、か? 大胆過ぎる手口だな」
「死んだとかさらっと言うじゃん」