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こちらには
『七匹の仔山羊からの脱出』のネタバレがあります。

本編見る!
KP
あなた達は覚悟を決め、キッチンの扉を再び開ける。
佐倉 光
まずは棚を調べよう。
牧志の手を引いて、鼻つまんで中へ。
牧志 浩太
「ひどい臭いだな。今だけは鼻も塞がってたらいいのにって思うよ。
正面の方から臭いがするようだけど、そこがコンロ?」
佐倉 光
「ああ、蓋つきの鍋がある。開けたくねぇー」
牧志 浩太
「これは、さっき言ってた棚か?」
牧志が手探りで棚の形を確かめる。
佐倉 光
「ああ、バカでかい。
ひとまず中はいれるか確認しとく」
開けて中をチェック。
KP
大きな棚を開けると、小麦粉の袋や乾物が見える。
からからに乾ききった干物はいつのものだか見当もつかない。
小麦粉の袋には中身があるようだが、中身がどうなっているかは分かったものではない。

物が残っている量はあまり多くなく、二人が入るくらいの余裕はありそうだ。

〈目星〉で判定。牧志は1/2。
佐倉 光
CCB<=88〈目星〉1D100<=88) > 51 > 成功
牧志 浩太
CCB<=98/2〈目星〉1D100<=49) > 96 > 致命的失敗
佐倉 光
うぁ
牧志 浩太
あっ。
KP
あなたは棚の隅に、ちぎられた何かの本の切れ端が落ちているのを見つける。
佐倉 光
「なんだこれ、本のページかな……」
KP
手探りで探していた牧志は、頭の重さからバランスを崩し、小麦粉の袋に思いっきり突っ込んでしまう。
角が袋を突き破り、辺りに粉がもうもうと舞う。
牧志 浩太
「うわぁあああ!?」
KP
牧志の悲鳴。
佐倉 光
「!?」
牧志 浩太
「この粉動いてうわぁあああ」
……小麦粉に虫が湧いている!
牧志は粉もろとも小さな虫まみれになってしまった。
KP
牧志は《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
CCB<=61 《SANチェック》 (1D100<=61) > 8 > スペシャル
牧志 浩太
「うぇえええ」
黒山羊はにわかに白山羊になってしまい、牧志の情けない悲鳴がその場に響いた。
佐倉 光
「あーあーもう。ちょっと動くな」
粉を払い落とそう。
牧志 浩太
「あ、ああ」
あなたが粉を払い落とすと、粉と一緒に小さな虫が転げ落ちていく。
まだ少し粉っぽいが、どうにか黒山羊に戻った……。
牧志 浩太
「ごめん、ありがとう。びっくりした」
佐倉 光
「ま、見えねーんだ、しゃーねぇ」
改めて本のページを見てみる。
KP
それは、先程と同じような童話の切れ端だった。
ページの質感も一致し、同じ本ではないかと思われる。
▼童話の切れ端
「お母さんお帰りなさい!」
扉の向こうにお母さんヤギがいると信じた子ヤギたちがドアを開けると、オオカミが飛び込んできました。

「ウオォ~! なんてうまそうな子ヤギたちだ!」
みんなはびっくりして、急いで隠れました。

一匹目は、居間の机の下。
二匹目は、ベッドの中。
三匹目は、火の入っていない暖炉の中。
四匹目は、台所の棚の中。
五匹目は、子供部屋のタンスの中。
六匹目は、洗濯物の中。
七匹目は、大きな時計の中。

「どこに隠れても無駄だぞ。みんな探して食ってやる」
オオカミは次から次へと子ヤギを見つけると、パクリパクリと飲み込んでしまいました。

「あ~うまかった。さすがに六匹も食べると、お腹が一杯だ。」
牧志 浩太
「何かあった?」
佐倉 光
「なるほどなー……
ここは四匹目」
牧志 浩太
「また、七匹の仔山羊か?」
佐倉 光
「ああ、さっきの童話の続きだ」
読むよ。
牧志 浩太
一通りその内容を聞き、牧志は辺りを見回すような仕草をした。
「それで、四匹目か。六匹も食べた、ってことは……」
佐倉 光
「七匹目は残ってる……」
牧志 浩太
「ああ、そうなるよな。七匹目は食べられてないんだ」
佐倉 光
「時計の中には何も無かったし、
俺達時計の中にいたわけじゃねぇけどな。
逃げる先がそこなら正解、ってことなら分かりやすくていいんだけどな」
牧志 浩太
「なんだよな。台所の棚って、これだけか?」
佐倉 光
「一応調味料棚がある。そっちも見てみるか」
牧志 浩太
「そうしよう。それこそ童話の続きとか、また何かあるかもしれないしな。
隠れた七匹目って、その後どうなったんだっけ……」
佐倉 光
「母親が迎えに来て、二人で狼を倒す、んだけど、
今来てるのは、狼なんだか母親なんだか」
牧志 浩太
「その話なら、母親に化けた狼ってことになるんだよな。でも、当の母親もあの通り……。
それじゃ、一緒に狼を倒す母親がいないじゃないか」
佐倉 光
「そうなるな。
まだ2ページ目だ。この分だとまだ何かありそうだし、探してみようぜ」
牧志 浩太
「だな」
佐倉 光
調味料棚を見る。
KP
調味料棚には、塩や砂糖のほか、ぱっと見何の調味料だか分からないようなスパイスの類がずらりと並んでいる。乾燥したねじれた草、小さな黒い粒……。

そうした中で、あなたは見てしまう。
未だに動いている細長い蟲がぎっしりと詰められた瓶を。

佐倉さんのみ、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
また、同じく佐倉さんのみ、〈目星〉で判定。牧志はロール不可。
佐倉 光
CCB<=76 《SANチェック》 (1D100<=76) > 84 > 失敗
[ 佐倉 光 ]SAN 76 → 75
CCB<=88〈目星〉1D100<=88) > 68 > 成功
佐倉 光
「うえ、虫……」
牧志 浩太
「うぇ、また虫でも湧いてたのか?」
佐倉 光
「湧いてたっつーよりスパイスの一種みたいな顔で詰まってる。
しかも生きてんの」
牧志 浩太
「あー、最初から食用みたいな? 分からなくもないけど、生きてるのはちょっと……」
佐倉 光
「これ生きてるってことは、『最近まで使われてる』ってことか?
まあ、『舞台』として作られてるならそんなの気にしても仕方ねーだろーけどさ」
牧志 浩太
「どうだろうな。『舞台』なのか、本当にある場所が『使われてる』だけなのかも分からないし、その辺も考えといた方がいいと思う」
KP
あなたは調味料棚を調べていて、気づくことがある。
どの瓶も中身が詰まっているのに対して、空っぽの瓶が一つだけ、端の方に大切そうに保管されている。

高い位置の棚にあるため、ここからではよく分からない。
手に取ってみれば、更に詳細が分かるだろう。
佐倉 光

キッチンに踏み台にありそうなものあるかな。
KP
小さな踏み台がある。あまり高さはないが、瓶を取ることくらいならできそうだ。
踏んでみればまだ使えそうだ。
佐倉 光
「棚の上に気になる物があるんだ、ちょっと取ってみる。
手を離すぞ」
牧志 浩太
「分かった」
牧志は頷いて、手を離す。
佐倉 光
踏み台を確保して棚の上の方を見てみよう。
その空の瓶を取ってみる。
KP
あなたは瓶を取ることができる。

それは蓋のない、人差し指程のサイズの小さな空っぽの瓶だ。
以前は何かが入っていたようで、白い跡が内部に付着している。

手に取った瞬間に、瓶から甘い香りが漂った。
甘いミルクのような、たまらなくいい香りだ。
異臭の漂う室内で不意に鼻をくすぐったいい香りに、あなたは思わず瓶を嗅いでしまうだろう。

本当にいい香りだ。一杯に吸い込みたくなる。
あなたはその甘い匂いに心を奪われ、ひたすらに瓶を嗅ぎ続けてしまう。

【POW】×3で判定。
佐倉 光
CCB<=(15×3) 【POW】 (1D100<=45) > 18 > 成功
佐倉 光
「……これ」
牧志 浩太
「これ?」
佐倉 光
「何だろう、変に甘くていい香りのする……白い何かが入ってた瓶……
ただいい香りじゃなくて、まずい系のやつ……」
KP
あなたは不意にたまらなく楽しい気持ちになりそうになる。
なんて素晴らしい香りなんだ!
しかし、そんな状況ではないことを思い出し、どうにか笑いだすことは避けられた。
佐倉 光
あー、トラップ。
……かなぁ?
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
あなたの声に異変を感じ、牧志が訝しげに呼びかける。
佐倉 光
「なんか、なんつーか……
状態異常系の幸せな匂い」
牧志 浩太
「HAPPY的なやつか、確かにそれ、まずいな。
手放せそうか?」
牧志があなたの気配のするあたりに手を伸ばそうとする。
佐倉 光
「隠れてる時に嗅ぎたくないヤツ。
笑っちまいそうだ」
牧志 浩太
「……まずいな、それ。瓶には要注意、ってことか」
佐倉 光
「これ、玄関に置いとけば、あいつがヘロヘロになったりしねーかな。
声で場所が分かるかも」
牧志 浩太
「どうだろうな、やってみる? 一応」
KP
そんな話をした、そのとき。
玄関の方からふたたび、ドンドンドン! と、強いノックの音が響いた。
KP
「開けて頂戴。お母さんよ。お母さんよ。開けて、頂戴」
KP
その声は上擦って乞うような助けを求めるような追いかけるような、切迫感のある響きになっていく。
KP
「開けて頂戴。開けて頂戴。開けて頂戴!」
佐倉 光
「またかよ……」
音を立てないよう、瓶から離れて息を潜める。
牧志 浩太
「……」
牧志も棚の陰に隠れるようにして、じっと息を潜める。
KP
「開けて頂戴、開けて頂戴、お母さんよ、お母さんよお母さんよお母さんよ!」
KP
優しく甘い声はどこか、助けを求めているかのようにも聞こえる。
KP
「お母さんよ、お母さんよ、お母さんよ、」
佐倉 光
なんなんだよぅー。
佐倉 光
口に手を当て、聞こえないふりをする。
俺の母はそんなパワフルじゃないね。
いつもおどおどしてどーにもならないことで謝ってばかりなんだ。
MOTHER
佐倉 光
あれそれって昔の佐倉の事じゃん。同族嫌悪か。
KP
なんと。今明らかになる。
佐倉 光
『最後の葬式』でちらっと出たな。佐倉のカーチャン。
KP
『最後の葬式』、後で読み返してみよう。
佐倉 光
『5人目』がカーチャンなんですよ。
KP
そうそう、どこかで佐倉さんのお母さんについて聞いたことはあって、ああそれは苦手にもなるわ、って思ったのは覚えてる。
KP
牧志と波照間と佐倉さん、みんな家族のあり方が違うんですよね。
波照間はペルソナCoCのネタバレに絡んじゃうのであれなんですが。
佐倉 光
まだアイちゃんの方明らかになってませんからねー

KP
……声とノックの音はしばらく響き続けて、そしてまた聞こえなくなった。
ドアが軋んだように思えたのは、きっと幻聴だったのだろう。
離れたここから、そんな音が聞こえるはずはない。
佐倉 光
「くそ、心臓に悪い」
牧志 浩太
「なんとかいなくなったみたいだな……。急に来るの、やめてほしい」
佐倉 光
さっきの瓶を鼻をつまんで持って、玄関の所に置いておきたい。
KP
瓶を玄関の所に置いておくことはできる。
瓶は玄関の飾りのように、ちょこんとその場に鎮座した。
佐倉 光
よし。効くかどうかは分かんねーけど。

佐倉 光
そして、どう考えてもトラップでしかない鍋も一応チェックするか……
佐倉 光
「俺は鍋見てみるけど、お前は見なくていい。
多分碌な物入ってないし、脱出の役に立つとも思えないからな」
牧志 浩太
「分かった。どうせ見えないけど、明らかにまずい臭いしかしなさそうだしな。
少し、離れとく」
牧志はそう言うと、あなたから距離を取る。
佐倉 光
鼻をつまんで……
佐倉 光
蓋をずらす。
KP
その鍋に蓋はない。
覗き込めばその中に、異様な臭いの赤黒い何かが、ぎっしりと詰まっているのが見えた。

あなたは、それが何か気づいてしまう。
それは、見たことのある形のものだった。
明らかに、“その”形のまま、赤黒い液体に浸かっていた。

それは、剥がされた人間の顔面の皮膚であった。

佐倉さんのみ《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
また、佐倉さんのみ〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
CCB<=75 《SANチェック》 (1D100<=75) > 63 > 成功
CCB<=79〈聞き耳〉1D100<=79) > 34 > 成功
佐倉 光
「は、はははは、やっぱりな!」
吐き気を催す匂いに顔をしかめ、口元を押さえて耐えながら、つい笑ってしまった。
KP
ぽた、ぽたり。
背後の牧志のいる方から、何か液体が落ちる音を、あなたの耳はとらえた。
佐倉 光
「……?」
牧志の方に振り向く。
牧志 浩太
「佐倉……、さん? 何があったんだ?」
牧志の声。
その声は少し不安そうなのに、その様子は声と一致していなかった。
牧志 浩太
ぽた……、ぽたり。
仮面の隙間から、先程流した血の混じった涎が、ぽた、ぽた、と垂れている。

まるで、美味そうな物でも嗅いだかのように。
佐倉 光
「うぉ」
佐倉 光
「ちょ、ちょっとここ出よう。臭いし」
慌てて手を引いてキッチンを出る。
牧志 浩太
「佐倉さん?」
明らかにこちらを向いて驚いたといった様子のあなたに、牧志は不安そうに問いながら、手を引かれるままキッチンを出る。
佐倉 光
一体何がどうなってるんだぁぁ
仮面か? 仮面が生きてる七匹目なのかぁ?
KP
一体何がどうなってるんでしょうね。

佐倉 光
扉を閉め、息をつく。
臭気で頭痛はするわ、異様な鍋で胸は悪くなるわ、更に牧志の異変だ。
佐倉 光
「お腹いっぱいだよ、加減しろよもう……」
佐倉 光
「えーとまずな、鍋には人間の一部が入ってた。
詳しい説明、要るか?」
牧志 浩太
「詳しくなく何だったのかは分かる程度で手短に頼む」
佐倉 光
「顔の皮」
牧志 浩太
「うわ。」
佐倉 光
「で、そのへんは大体予想済みだったから、キッショいだけでそんな驚かなかったんだけど」
牧志 浩太
「……ど? まだ、何かあったのか?」
佐倉 光
「お前、さっき涎垂らしてるように見えたんだよ。
そういう自覚、あるか?」
牧志 浩太
「へっ? 涎? いや、そんな……、うわ」
牧志は自分の顎に触れ、涎でびっしょりと濡れていることに気づき声を上げる。
佐倉 光
「こっちじゃ涎垂らしてるのがお前なのか、その仮面なのかわかんねーからさ」
牧志 浩太
「とりあえず、俺は涎なんか垂らしてないはず、きっと……。じゃあ、この仮面が涎を垂らしてるっていうのか?
……俺の皮、無事だよな……? 痛かったりしないもんな?」
牧志は山羊の仮面の表面を押し込み、顔の感覚を確かめようとしている。
佐倉 光
「……顔の皮、食ってるんじゃねぇだろうな……」
痒み。
じわじわと溶かされているならそんな感覚もありうる。
牧志 浩太
「うぇ……、痛みもないまま食われてるとか、嫌過ぎる」
佐倉 光
「くそ、急ごう」
浴室へ。
牧志 浩太
「あ、ああ」
佐倉 光
「そういえば、さっきの童話……」
牧志 浩太
「うん」
佐倉 光
「別に『食われなかったのは七匹目だ』とはどこにも書いてねーんだよ。
食われたからいなかった、ってことはないかな……」
牧志 浩太
「……そうか、六匹食べた、って書いてあるだけか。残ったのが七匹目かどうかは分からないんだ」
佐倉 光
「そして、童話のページはヤギが隠れた場所にあるんだ」
佐倉 光
一匹目は、居間の机の下。
二匹目は、ベッドの中。
三匹目は、火の入っていない暖炉の中。
四匹目は、台所の棚の中。
五匹目は、子供部屋のタンスの中。
六匹目は、洗濯物の中。
七匹目は、大きな時計の中。
って事に今気付いたのさ。
もっと早く気付け。
牧志 浩太
「じゃあ、他も探せば全部見つかるかもしれない、ってことか?
今の所、佐倉さんが知ってる童話と一緒なんだよな、筋書き」
佐倉 光
「まあな……
けどこういうやつでそんな簡単とも思えない。
そもそもこの家の様子からして違うからな……」
牧志 浩太
「実は途中から違う筋書きになってる、とか。
……喰われた子供をお母さんがずっと探してる、んだとしたら……、何というか、だけど。
それにしては、部屋の様子がな」
佐倉 光
「母親がどう考えてもマトモに見えねーんだよ」
牧志 浩太
「ああ。そうなんだよな」

佐倉 光
そういや、居間に暖炉ってありませんよね?
KP
居間にはなかった。
佐倉 光
「おかしいな……」
牧志 浩太
「おかしい?」
佐倉 光
あ、管理室にあったわ。
佐倉 光
「いや、思い違いだ。問題ない」
牧志 浩太
「ああ、もしかして暖炉。そういえば、なんで居間にないんだろうな」
佐倉 光
「一部屋一匹とは限らないか? ベッドと暖炉……?
普通居間に設置するよなぁ、暖炉。
トイレに隠れたヤツはいないんだな、と思ってさ……」
牧志 浩太
「まあ、トイレに隠れられそうな場所もないしな。
ああ、でも俺の家、トイレに収納があったな。ああいうのなら隠れられるかもしれないけど。
俺のというか、先輩の家。トイレットペーパーとか入れとくやつ。すぐ湿っぽくなるけど」
佐倉 光
「そういうの隠れられてもせいぜい一人だろうし」
牧志 浩太
「だな。二人は無理だ。
……暖炉に二人も狭そうだけど」
佐倉 光
「確かに。灰まみれになりそうで嫌だし」

佐倉 光
浴室へ向かうぞ。
「ここは『洗濯物の中』に隠れたってことになっているな」
KP
洗面所を抜けて、浴室の扉を開く。
扉を引いた瞬間、酸っぱいような嫌な臭いが漂った。
その匂いの理由は、周囲を見回すまでもなく分かった。
ホラーBGM
流れ出すホラー曲。曲名は『とりあえず流せるホラー』
佐倉 光
またぁ
BGM名www
こんな怖い曲なのに
KP
とりあえず流せる〇〇シリーズ全6曲(ぼうずくらぶ様)です。確かに汎用性の高い曲ばかりでありがたい。
佐倉 光
ヘッドホンで聴いてるととっても嫌な感じ。

KP
そこには洗濯紐に止められて、何か赤黒いものが干されていた。
少し小ぶりの、剥がされた人間の顔の皮膚だ。
まるで洗濯物のように、いくつも、いくつも。
一緒に干されている子供用の服と、そのギャップに怖気がするだろう。

佐倉さん、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
「何かある……。洗濯物か?」
佐倉 光
CCB<=75 《SANチェック》 (1D100<=75) > 87 > 失敗
[ 佐倉 光 ]SAN 75 → 74
佐倉 光
シローの顔がちらついてしまった。
佐倉 光
「触るな。また人間の皮だ。
子供服と一緒に干されてる」
佐倉 光
ちら、と牧志の顔を観察。また涎垂らしたりしているか?
牧志 浩太
「うわ。……また、か……。また、顔か?」
その言葉に光景を想像したのか、牧志は微かにえずいた。
今度は、涎を垂らしてはいないようだ。

KP
ここには浴槽と洗い場がある。
佐倉 光
浴槽を覗く。
KP
浴槽内には埃やゴミ、虫の死骸などが落ちており、長らく使われていないことがわかる。
〈目星〉で判定。牧志は1/2。
佐倉 光
CCB<=88〈目星〉1D100<=88) > 74 > 成功
牧志 浩太
CCB<=98/2〈目星〉1D100<=49) > 23 > 成功
佐倉 光
「ヨゴレから言って、随分使われてないな」
牧志 浩太
「だな、随分ゴミが詰まってるみたいだ。……あれ、これは」
KP
ゴミに紛れて、千切られた何かの本の切れ端が落ちているのを発見する。
佐倉 光
「おっ……
まあここじゃあバレるだろうな」
広げて読んでみる。
KP
それは、やはり先程と同じ本の一部だった。
▼童話の切れ端
6匹の子ヤギ達を救い出すと、お母さんヤギが言いました。
「この悪いオオカミに、お仕置きをしなくちゃね。」
そして空っぽになったオオカミのお腹の中に、みんなで小石をつめ込み、
針と糸でチクチク縫い合わせたあと、オオカミを川に流してしまったのでした。
佐倉 光
「俺が知っている童話の最後の部分か……」
牧志 浩太
「さっきの、お母さんヤギと一緒に、って所か?」
佐倉 光
「そう、狼の腹を割いて石を詰め込んで川に流す」
牧志 浩太
「あれ、赤ずきんちゃんかと思ったら、こっちなのか。狼に石を詰め込んで流すの」
佐倉 光
「俺が知ってるのは、起きた狼が井戸をのぞき込んで落ちるヤツだけどな。
赤ずきんも石詰め込んでたな、そういや。
なかなかエグい復讐だよな。
そういう風習でもあったのか?」
牧志 浩太
「どうなんだろうな、死体が蘇ってこないために墓に入れる時に石をどうこう……、っていうのは、聞いたことがあるけど。
そういえば、死体は吸血鬼になるし、吸血鬼は狼になるっていうよな」
佐倉 光
「なるほど? 民俗学の領域だけど、調べると面白いかも。
っと、そんな場合じゃねぇ。
俺が知っている絵本と同じなら、文章に狼がどの羊を食ったかの記載があるはずだな……」
牧志 浩太
「じゃあ、その部分が見つけられれば、隠れ場所が分かるかもしれない…… のか?
童話通りでよければ、だけど」
佐倉 光
「かもなー。今のところそれしか手がかりないし、探してみるのがいいか。
あとは玄関上の天井が気になるが。
アレ突くのに使えそうな物でもあればいいけど」
牧志 浩太
「そういうのがありそうっていうとキッチンだけど、なかったんだよな?」
佐倉 光
「なかったと思う。
モップでもあればな」
言いながら洗い場を調べる。
KP
洗い場には、洗濯紐がいくつも張られている。
人の顔面から剥ぎ取ったままの形の乾いた皮と、赤黒く染まった子供用の服が当たり前のように干してある。
紐は既に劣化して、いくつか千切れており、引っ張ればどれもボロボロと崩れてしまいそうだ。

壁には、何かが貼ってあったような四角い跡がある。

佐倉さんのみ、【アイデア】で判定。
佐倉 光
CCB<=85 【アイデア】 (1D100<=85) > 32 > 成功
KP
位置と形からして、元々ここには鏡があったのではないか……と、あなたが思ったとき。
玄関の方から、またもドンドンドンドン! と、激しいノックの音が響いた。
佐倉 光
「しつこいな……」
KP
「ここに。ここにいたのね。開けて頂戴。開けて頂戴。お母さんよ」
優しく甘い声が、赤黒い異様な空間の中に響き渡る。
玄関の方から聞こえてくる声は、ここまで届く程に大きな声なのだ。
佐倉 光
息を詰めて動かないようにする。
もし扉が破られた時、ここは安全地帯ではない可能性が高い。
だがだからといって、ここにいるという確信を与えるとまずいように思う。
音を立てないように、じっと耐える。
KP
「お母さんよ、お母さんよ、ここにいたのね、お母さんよ」
牧志 浩太
牧志がじっと、あなたの横で息を詰めている。
物言わぬ山羊の独特な形状の瞳孔が、あなたを覗き込むように見えた。
佐倉 光
くそ、台所に武器はなかったかな。
包丁なり何なり、持ってくるべきだっただろうか。
KP
「お母さんよ、お母さんよ、開けて頂戴、ここにいたのね」
ドン! ドンドン、ドン!
佐倉 光
さっさとどっか行けよ毒母……
緊張のあまり、首の血の流れがうるさい。
KP
どくどくと響く血流の音すらうるさく感じる。
こんな大きな音を立てていて見つかってしまわないだろうか、そんな気さえしてくる。
佐倉 光
外にいるのがヤギか、狼か。
どちらにしても自分たちにとって良い結果を招くとは思えない。
KP
ドン! と最後に大きな音を立て、声が聞こえなくなるまで……。
少し長かったような気がしたのは、気のせいに違いない。
佐倉 光
「くっそ」
牧志 浩太
「くそ、諦め悪いな」
あなたが声を洩らすと同時に、牧志が呟いた。
佐倉 光
「いねぇってんだろ諦めろよ」
牧志 浩太
「本当にな」
佐倉 光
「鏡が外されている、か。
前にもあったな、こんな事が。
風呂の鏡じゃなかったけど」
風呂の鏡では絶望のあまり遊びまくった覚えがある。
佐倉はかつて自分が吸血鬼になってしまった時のことを思い出している。
牧志 浩太
「ああ、あったな。……吸血鬼は鏡に映らないっていうけど、狼もそうなのか?」
佐倉 光
「ライカンスロープと鏡の関係ってのは聞いたことねぇなぁ……
どっちかっていうと、顔の皮膚剥がされて見たくないとか、見たくない顔だから皮膚被りたいとか……」

佐倉 光
地図見ると洗濯機とかもあるみたいだけど、そのへんは探索箇所ではないのかな。
KP
洗面所の所かな。
洗濯機の蓋は開けられており、中は空っぽのようだ。
赤黒いものが入っていたりはしない。ここで洗った…… わけではないのだろう。
佐倉 光
「ここはさすがに隠れらんねーな」
KP
洗濯機は一般的に見るものよりも少し大きいが、さすがに大人二人は入れそうにはない。
牧志 浩太
「それこそ子供なら入れそうだけど、大人は無理だな」
佐倉 光
「中は空だ」

佐倉 光
じゃあ次の部屋いってみよ。
トイレー
佐倉 光
「この家、トイレが二つあるんだな」
牧志 浩太
「そうなのか? 家で男女別っていうのも珍しいな」
佐倉 光
普通に考えてあまり関係なさそうではあるけど。
トイレが童話になかったからっていっても、隠れる場所としては不適当だろうしなぁ。
KP
トイレのプレートを見てみると、『大人用』『子供用』に分かれているようだ。
佐倉 光
一応開けてチェックしてみよう。
佐倉 光
「大人用と子供用がある」
牧志 浩太
「……大人用と子供用? 何だそれ。便器の大きさを分けてある…… とかじゃないよな」
佐倉 光
「賭けてもいいけど、子供用は碌でもないヤツだな」
牧志 浩太
「同感だ。絶対に大人用の方がいいやつなんだろ」
佐倉 光
くみ取り式とか?
いやー、一軒の家で水洗とくみ取り設置とか意味わからんわ。
単に汚いとかか。
おしまい
佐倉 光
大人用の扉開けてみる。
KP
では、トイレの扉を開けよう…… という所で、ちょうど0時なので本日は以上!
佐倉 光
えぇっ、もう二時間経った!?
びっくりした。
KP
なんですよ驚いたことに。
ちょっとKPが途中でシナリオチェックとかしてて進行遅かったのもあるけど。
佐倉 光
時間気付かなかったの久しぶりだなぁ。
わりとちゃんと定期的に時計見てるつもりなのに。
俺達がいる場所何がいた場所なんだろうなぁー
KP
何がいた場所なんでしょうねぇ。
佐倉 光
牧志君火の鳥太陽編みたいに顔が同化しないといいですね。
精霊と話せるようになるよ!
KP
山羊の顔のまま暮らしていかなきゃいけなくなる!
佐倉 光
いやー、怖面白い。
KP
やったー。>怖面白い
佐倉 光
そしてまた佐倉の過去がちまちま掘られている。
KP
そう、お母さんで思い出しちゃうとかなるほどなーってなりましたね。
そして波照間の家のトイレ収納というよくわからないものも掘られている。
佐倉 光
よくわからない……
KP
あと、子供服と皮を見てシローを思い出してしまうのは「ああー」ってなりましたね……。
佐倉 光
もう見た物でSANダメージくらったってことはそういうことかと>シロー
そうなった、って想像しなくても、思い出しただけで嫌な感じするよ……
KP
最初から既に予測していたし、キッチンで一度見た物なのに《SANチェック》喰らったんですもんね。確かに。
佐倉 光
キッチンではくらってなかったからねー
KP
子供服と並んでいるのがシローを思い出しちゃってきつかったんだなぁ。
佐倉 光
やっぱり、身近にいる人と近い存在が酷いことをされていると、より強いダメージくらうんだよなぁ。
KP
身近にいる人、思い出してしまう人が増えちゃったんだなって思いますね。
佐倉 光
確かに。
メガテンの時はこんなの「あーあ」で済ましてたと思う。
KP
そうそう。背負うものが増えるのは強さでも弱さでもあるよなって。
佐倉 光
山羊仮面の涎不穏だなー。
牧志が垂らしてた、ってのもまずいけど、仮面が垂らしてたらよりまずい。
KP
牧志の顔は仮面の中でどうなってるんでしょうね。
佐倉 光
キュッて鼻伸びてない? だいじょぶ?
KP
そのうち牧志の顔が山羊の顔に……
佐倉 光
角重そう……
カルシウムとれよぉー
KP
人間の首にこの角の重さが掛かったら首が凝りそう。
佐倉 光
絶対しんどいと思う……>首
佐倉 光
そういや劇中で「一部屋一匹じゃないのか」って言ってましたが、最初にいた部屋が既にテーブルの下と時計で二カ所あったわ。

手で支えながらいきたいのに前見えないから手を繋がなきゃいけない……。
KP
今の時点でなかなかに首が凝ってそう。
反対側の手では周囲の状況を知るために手探りしたいですしね。
佐倉 光
なんとなく「しんでなんかないよ」の逆やってんな、と思いながらやってます。
家の外に迫る何か恐ろしいものは多分牧志を狙ってきている。
扉を開ければ佐倉は助かる(?) いやー無理だろうな。
とにかく閉じこもっていなきゃならないとこだけ。
KP
ああー、確かに。
今度は牧志の声こそ聞こえるけども。
佐倉 光
牧志は起きて動いてるし、今回やるのはただ信じて耐えるんじゃなくて、現状を変える手段を探すことだけど。
KP
そうそう、二人で動くことはできるけど。
仮面の中にあるのは本当に牧志の顔なんでしょうかね?
佐倉 光
これで普通に「母」に「仔山羊」を渡せばめでたしで二人とも返してもらえる、だったら笑うぞ。
仔山羊が仮面のことだったりしてさ。
普通に頭ごととられると思ってる。
というわけで続きが気になります。

こんばんは
KP
わーい、こんばんは!
佐倉 光
きましたー
こんばんは!
KP
よろしくお願いします! 今回はおトイレ!
佐倉 光
よろしくおねがいします!
KP
(探索場所が)>おトイレ
佐倉 光
開始直後お花摘みではない!
KP
ではない! 大丈夫!
魔きしチームのトイレ事情の話でもない。

KP
二つ並んだトイレには、「大人用」と「子供用」とある。
普通の家ならば微笑ましく感じるかもしれない区分も、ここでは嫌なものをしか感じさせない……。
佐倉 光
大人の方の扉を開ける。
ねーけどな、普通大人子供の区分なんて。
よほどでっけーショッピングモールか幼稚園くらいだろ。
KP
大人用のトイレは、至って普通のものだった。
経年劣化して埃が積もっているし、水は溜まっていないものの、虫の死骸や雑草だらけのこの廃墟の中では、拍子抜けするほど綺麗だ。
牧志 浩太
「……特に異臭とかしないな。掃除されてたのか?」
嫌な予感をひしひしと湛えた声で、牧志が言う。
佐倉 光
「今までの雰囲気を考えれば当然だな。
しかしこれだけ床が壊れたところがまだ使われている、っていうのも不自然かな」
佐倉 光
「使われたことがない、とか?」
牧志 浩太
「だよな。最近まで使われてたような、だっていうのにずっと古い廃墟みたいな、って不自然だ…… 使われたことがない?」
佐倉 光
「ちぐはぐなところ多いよなぁ。さっきの生きていた虫の瓶といい……」
佐倉 光
「『大人』はこういう設備が必要なかった説」
牧志 浩太
「……こういう設備がいらない何かが『大人』として住んでた? それが『狼』だとか……?」
佐倉 光
「さあな、『母親』かもよ?」
佐倉 光
トイレの中に何か気になるところはあるかな。収納とか。
KP
トイレの小さな収納を開けてみると、中には古びたトイレットペーパーがいくつか入っていた。収納は小さく、大人が入れそうな大きさには見えない。
佐倉 光
「特になしか。それじゃ……
子供の方も見てみよう。気が進まねーけど」
牧志 浩太
「どうなってると思う? 子供用の方」
佐倉 光
「虫が湧いて汚物まみれか、今までのパターンだと……」
佐倉 光
「皮とかな」
牧志 浩太
「だよな……。よし、少し心構えができた……」
佐倉 光
よし、子供用トイレをチェックするぞ。

KP
子供用のトイレの扉を、開ける。
開けた瞬間、中からぶわっ……と、無数の黒く小さなものが溢れ出てきた。
佐倉 光
「うわ!」
KP
けたたましく音を立てるそれは無数の小蠅だった。
それはあなたの顔面に叩きつけ、覆い、口や鼻に入り込もうとする。
佐倉 光
「!!」
顔を手で覆って必死で払いのける。
牧志 浩太
「!?」
牧志が慌てて仮面の穴を覆い、その不快な羽音を振り払おうとする。
佐倉 光
(掃除してないとかそういうレベルじゃねぇ!)
KP
黒い塊が個室の外へと飛び去ってもなお、喉を突く吐き気のする悪臭が、個室の奥から溢れ出て止まない。
一体どれだけの蠅が湧いているというのだろう。床には無数の白く蠢くものが這っていた。
佐倉 光
「……」
こんな場所に手がかりがあるのか!?
床になにかある?
KP
その奥にあるのは小さな子供用の便器らしかった。
便座は取れて端に避けて置かれており、タッパーのような透明な小さな容器に詰められた赤黒い何かが、便座と一緒に大量に端に積まれている。

二人とも《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
なんだこれ……
佐倉 光
CCB<=74 《SANチェック》 (1D100<=74) > 9 > スペシャル
牧志 浩太
CCB<=61 《SANチェック》 (1D100<=61) > 63 > 失敗
system
[ 牧志 浩太 ]SAN 61 → 60
KP
あなたは、その悪臭に気づいてしまうだろう。
それは汚物の臭い、というだけでは表しえなかった。
汚物の臭いというよりも、何か、生きていた組織と血液の腐敗した臭いがする。
佐倉 光
「汚ぇ、というより悪意を感じる」
牧志 浩太
「っぶ、この臭い……、汚い、っていうより、何か、ある……
だよな……。普通の汚さ、じゃない」
佐倉 光
「開けたくねぇなぁ……」
佐倉 光
「部屋の隅に、なんか赤黒い物が詰まったタッパーが積んであんのよ。
業を感じるぜ……
確実に悪魔の家だ、ここは」
牧志 浩太
「…………キッチンの次はトイレ……」
佐倉 光
「トイレを何に使ってたんだよここの連中は」
なるべく綺麗に見えるタッパーを一つ取ってみる。
KP
もぞもぞと無数の蛆が中から溢れ出した。中身はすっかり腐敗して何とも判別のつきがたい赤黒いかたまりと化しているが、あなたはその中にふと…… 白く固そうなものを見たような気がした。
佐倉 光
ああああ。予想通りだ。
KP
それは小さく刻まれていた。
佐倉 光
よく見てみるが、それは骨だろうか?
それとも歯だろうか。
佐倉 光
いやいや、何かヒントになるやつかもしれないしな!?
KP
蛆塗れで分かりにくいが、小さく刻まれた骨のように見える。
佐倉 光
深いため息をついて、タッパーをそっ閉じして戻す。
佐倉 光
「見て損した」
タッパーには似たような物しか入ってなさそうかな。
KP
見たところ似たようなものしか入っていそうには見えない。
あなたがうんざりしてタッパーを戻した時……

〈目星〉で判定。
牧志は…… ちょっとこれを手探りする気にはならないので、まずはロール不可。
佐倉 光
CCB<=88〈目星〉1D100<=88) > 74 > 成功
KP
戻そうとして屈んだとき、ふと便器の裏側、タンクの下のあたりが目に入った。
そこに、小さく畳んだメモ用紙のようなものが挟まれている。
佐倉 光
「ん?」
外して広げて見る。
牧志 浩太
「何か、あったのか? 本か?」
佐倉 光
「隠すようにしてメモが挟んであったんだ」
牧志 浩太
「隠すようにして? それに、メモ? 本じゃなくてか?」
佐倉 光
「今までのと少し違うな」
牧志 浩太
「だな……。何て書いてある?」
佐倉 光
なんて書いてあるだろう。
KP
メモ用紙の中には、幼い字でこんな文章が書かれていた。
▼小さく畳んだメモ用紙
悪い子はオオカミみたいに川に流されちゃう。
おうちから出られないから、小さく切ってここから。
でも、あの子は仲良しだったから、こんなこと、したくなかったな。
良い子にしていれば流されないから、痛いけどがまんする。
佐倉 光
「……ひっでぇ意味怖だった……」
牧志 浩太
「…………隠してあった、んだよな。
ここの『母親』について、何か書いてあったとか?」
あなたの呟きに、牧志が恐る恐る問う。
佐倉 光
「……悪い子はオオカミみたいに川に流すらしい。ここから。
それも子供がやらされてた」
佐倉 光
「詳しい説明……要らないだろ?」
牧志 浩太
「な……、
子供に、やらせてたってのか。
そんな、こと。子供同士で……」
佐倉 光
「……詳しく知りたきゃ後で教えるけど、胸糞でしかないからお勧めはしないな」
牧志 浩太
「大体想像がつくよ……。くそ。悪魔よりよっぽど悪魔だ、こんなの」
佐倉 光
「さっさと行こうぜ」
牧志 浩太
「ここにいたの、人間じゃないかって気がしてきた。人間をどうしたらいいか分かってる」くそ、と再び呟きを洩らした。
佐倉 光
「さあ……どうなんだろうな」
KP
さっさと行こう、とあなた達が踵を返した時。
──またも、あの激しいノックの音が、玄関から聞こえてくる。
KP
ドンドンドン!
ドンドンドン!

「お母さんよ、開けて頂戴。開けて頂戴」
声は、この状態を見れば不気味に思えるほどに甘く、やさしい。
KP
「お母さんよ。ここにいたのね。お母さんよ。開けて、開けて頂戴」
佐倉 光
「……」
この声の主が『母親』だとするなら、この惨状を作り上げていたのはこの声の主だろうか?
牧志 浩太
響く声に対して何かを言いたげな気配が、牧志の肩から漂ってきた。それでも彼は、じっと息を詰める。
佐倉 光
扉、保ってくれよ……
肉体的に対抗できるかできないかはともかく会いたくねぇ。
扉を破られたら、どうすべきか……

これが牧志の言うとおり人間だったら、嫌過ぎるけど対抗のしようはあるかも知れないな。
KP
ドンドンドン! ドンドンドン!
「お母さんよ。お母さんよ。開けて頂戴。開けて頂戴」
佐倉 光
開けてたまるかってんだ。
佐倉 光
そもそもあいつはどうして閉め出されているんだろう……?
連れてこい、という情報を残したのがあいつなら、筋が通らないな。
KP
ドンドンドン、ドンドン!
「お母さんよ、お母さんよ、お母さんよ、お母さんよ」
佐倉 光
せめて、牧志の仮面を外す手段でも見つかってくれないと、対抗できねぇ……入ってくるなよ……
KP
ドンドンドン!
「お母さんよ、お母さんよ、開けて頂戴!」
叫ぶような声が、不意に途切れ……。扉の向こうは静かになった。
佐倉 光
「何なんだ、あいつ?」
牧志 浩太
「ずっと繰り返し続けてるよな。諦めるでもなく、何か別のことを言うでもなく……」
佐倉 光
「録音されてるみたいな」
佐倉 光
これまた死体クレクレ妖怪みたいなやつじゃないだろうな。そいつのこと佐倉は知らないけど。
牧志 浩太
「ああ、そんな感じがする。本当にいるのか? 外に。
本当に、『母親』なのか? 外にいるのは」
佐倉 光
「『母親の声真似をしている狼』?」
佐倉 光
「大差ねぇな」
牧志 浩太
「…………どっちにしろ出たくないのは一緒だな」
先程の異臭とあなたが告げた光景、無数の何かが足元を這い回る気配と羽音を思い出したのか、そう苦しげに呟く。
佐倉 光
「子供部屋を調べに行こう」
佐倉 光
「陰気な情報ばっかでうんざりしてきたけどな……」
牧志 浩太
「それで……、次は子供部屋、か……。嫌な予感しかしないな。
でも、そうだな。ここの子供たちが……、何か、残してるかもしれない」
そう吐き出した時に、牧志の声はいっそう苦しげだった。
佐倉 光
牧志の手を引いて子供部屋に移動する。
KP
あなたは牧志の手を引き、子供部屋の前まで歩いてくる。
扉を開けようとして……、そこに鍵が掛かっているのに気づいた。

南京錠が、いくつもぶら下がっている。
部屋の外から、鍵をかけられている。

これでは内側から扉を開けることはできまい。
佐倉 光
「……南京錠かかってる」
牧志 浩太
「南京錠? ……なあ。南京錠ってことは、外から鍵をかけてる、ってことだよな」
佐倉 光
「ものすごーく嫌な予感がするな?」
牧志 浩太
「嫌な予感しかしないな、もう……。少なくとも子供同士であんなことをさせられてた、その子供達の部屋なんだ」
佐倉 光
「管理室、そういえばまだちゃんと調べてないな。行ってみよう」
牧志 浩太
「……そうだな、行ってみよう。少なくとも、悪魔の思惑が分かるかもしれない」

佐倉 光
牧志の手を引いて管理室へ移動。
KP
清潔でゆったりとした室内は、まだ異臭が身体に染みついているようにすら思えるあなた達にとって、別の世界に出たような気分にもなるだろう。
そこだけは少なくとも、なにものかが穏やかに暮らす部屋だった。
佐倉 光
まずはベッドを調べよう。
KP
ベッドの上には柔らかそうな羽毛布団が置かれ、その上にただ年月が過ぎただけ、と言わんばかりに、静かに埃が積もっている。
佐倉 光
「『管理室』か。そいつにとって子供は『何』だったんだろうな。
食料、てわけでもないような気もするが……」
佐倉 光
「いっそその方が分かりやすいよ」
牧志 浩太
「何だったんだろうな。食料だ、っていうなら、トイレから流すってことはないだろ。
……同じ子供にやらせるっていうのは、積極的に支配しようとしてる気がする。恐怖で」牧志はぽつりと呟く。
佐倉 光
「だよな……」
牧志 浩太
「少なくとも前のあいつよりは、相手に感情があるってことを分かってる気がするよな……。嫌な意味で」
佐倉 光
「……」
ちら、と牧志の首の痣を見る。
牧志 浩太
『何か』が、『あいつ』が、嘲笑とともに刻みつけた、べったりと彼の肌に棲みつく痣。
そういえば、『あれ』も、きっとあなた達の感情を、行動を、情動を知っているのだろう。
佐倉 光
そういったものの仕業であるのかも知れない。
佐倉 光
ともかく調べよう。
KP
羽毛布団を剥いでみれば、その下には何もない。
柔らかそうな寝床があるだけだ。
佐倉 光
「おや。
ベッドの中、はここのことではないのか。
すると、あの部屋か」
牧志 浩太
「……子供部屋?」
佐倉 光
「多分」
佐倉 光
あとは……暖炉があったかな。
調べよう。
「ここにも山羊は隠れた筈なんだ」
佐倉 光
「そもそも……
童話通りにページが置いてあるってのもおかしな話だ。
ここに本当に頭のおかしいヤツと子供がいたとして、どうして童話で山羊が隠れた場所にページが置いてある。
意図的なもんだよな……」
牧志 浩太
「ああ……。それは気になってた。
ここはあの時みたいに、誰かの舞台装置なのか?
この『母親』や『子供達』も、そういうものに過ぎない?
巻き込まれた方としてはたまったもんじゃないけど、だとしたらまだ救いがあるな……」
佐倉 光
「もともとこういう頭のおかしいヤツがいた、そこを再利用している『悪趣味な狼』がいるってとこか、それとも『そういう舞台』なのか」
佐倉 光
「『舞台』だといいな」
牧志 浩太
「……だな。そう思いたい」
佐倉 光
灰を探ろう。
KP
暖炉には大量の白い灰が積もっている。
趣味の物らしい小さな抽象画が置かれている様子は、そういえばここにだけ生活感のようなものがあると感じるだろう。
生活感。いや、心があり、趣味を楽しむ余裕のある誰かがいたような気配。
佐倉 光
この家にそんな空間がある、ということ自体がまず悪趣味だと感じる。
KP
灰を探ろうとすると、火かき棒が刺さっていることに気づく。
長く、先端に鉤のようなくねりのついた火かき棒は、何か別の物を転用しているのだろうか。

それを使って灰を探ると、大量の灰の中に、割られた小さな骨がいくつも混じっている事に気が付く。
……きっと、川に流しただけではないのだ。

佐倉さん、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
佐倉 光
「…………」
大変陰鬱な気分になったが、これを牧志に共有してもいいことはない。
佐倉 光
CCB<=74 《SANチェック》 (1D100<=74) > 80 > 失敗
[ 佐倉 光 ]SAN 74 → 73
佐倉 光
「……ッ」
いいことはない、と思ったが、声が漏れた。
牧志 浩太
「佐倉さん? ……何か、嫌な物でも見つけたのか」
佐倉 光
「ああ、ちょっとね。
けど役立ちそうな物も見つけた」
牧志 浩太
「役立ちそうな物って?」
佐倉 光
「火かき棒だ。これで天井を弄れそうだな」
佐倉 光
「あとは今までのルール通りならここにページがあると思うんだけどな」
灰の中をゴソゴソかき分ける。
KP
そこにはページらしきものは見当たらなかった。
燃えた……、燃やされてしまったのだろうか。
佐倉 光
「ページがない……燃えたのか?」
牧志 浩太
「燃えた? ……変だな。舞台装置っていうんなら、残されてそうなものだけど」
佐倉 光
「気になるよな。
一応全部見てみるまで何とも言えないけど」
佐倉 光
この部屋、あと何かあったっけ。本棚あったような。
牧志 浩太
「ああ。そういえば、居間の机の下だっけ、そこにはページはあった?」
佐倉 光
あったよー気がする。と思いながらログを漁る中の人。
いや、引きずった跡があっただけか?
KP
居間は柱時計の中だけでしたね、ページがあったのは。
佐倉 光
なかったな。
そこちょっと気になった気がするそういえば。
佐倉 光
「なかったか、そういえば」
牧志 浩太
「さっきから、少し考えてたんだ。天井裏にあるものっていうと、天井収納か屋根裏か、そんな所だろ」
佐倉 光
「そうだな」
牧志 浩太
「仔山羊の隠れた所には出てきてないけど、屋根裏にでも隠れれば、見つからないんじゃないかって思ってさ。
しくじると本当に出所がなくなるから、微妙だけど」
佐倉 光
「屋根裏があれば、それは可能性があると思ってる」
佐倉 光
「ただ、そこに行くならもう決め打ちだな。
逃げ場もないし、登る場所が玄関の上だ」
牧志 浩太
「だよな。しくじったら本格的に出られなくなる」
佐倉 光
「ただ……あの『母親』が中に入ってきて探している間に、上から降りて玄関から出ることができる可能性はある」
佐倉 光
「子供部屋にでも閉じ込めてやれれば」
牧志 浩太
「そういや、鍵がかかってたな。『母親』がどういう奴か次第か」
佐倉 光
「そこなんだよなー。
ただのやべーやつなら閉じ込めれば逃げられるだろうけど」
佐倉 光
「考えてても仕方ないな」
牧志 浩太
「だな。とりあえずここ探してから考えよう」
おしまい
佐倉 光
お時間ですわね
KP
ですね。会話の切りの関係でちょっとはみ出してしまいましたが、ここで切ろうと思います。
佐倉 光
はーい
ありがとうございました!
わかるよーでわからん。
KP
ありがとうございました!
管理室にあるものについては、次回冒頭に描写を出し直します。
忘れてたらせっついてください。
佐倉 光
はーい、また次回!
KP
また金曜! ありがとうございました!

ひとこと
佐倉 光
不気味な家で彷徨う二人。
何もかもが分かるようで分からない。
ここは現実? それとも悪夢?
訪れるのは『母』? それとも『狼』?
どちらも救いにはなり得ない。


【置】CoC『スペクト・ラム』 佐倉&牧志 2

大事な親友の牧志。
とびきり良いマグネタイト、血液、精神力、最高の生け贄体質。
便利な奴だ。使わない手はない。

【置】CoC『満を持して今日も俺は眠れない』 佐倉&牧志 6

「アァァァァァァァァァァァ!」
「うわっ!? ちょ、佐倉さん!?」

【置】CoC『しんでなんかないよ』 牧志&佐倉 5

知らなかった? 俺は狂ってるんだよ、最初から。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoC『鱗の眼』牧志 浩太

その食べ物は、すっかり俺の好物になってしまった。──その一杯には、相棒と駆け抜けた夜の思い出まで一緒についてくるから。

【置】CoC『合縁奇縁コミュニケイト』牧志&佐倉

で、早く住所教えてくれよ。真っ先に会いに行きたいんだ。

BEAST BIND トリニティ 第三話『仮面の家』1

やーい、おまえんち、組本部ー!