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こちらには『blood red decadence』
ネタバレがあります。


本編見る!


【3日目・夕】


佐倉 光
書斎でニーオスコルガイの強制移動呪文を習得します。
PL的には牧志にはまだ見てない部屋を見て欲しいが、佐倉は何も言いません。
牧志 浩太
「……俺、他の部屋を見てくるよ」
彼は困ったように言い残して、一階へと向かう。
※ダイニングルームを見に行きます。
佐倉 光
「ああ」
低い声で応えて、書斎の扉を閉めて閉じ籠る。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
(佐倉さん、随分怒ってたな……。)

無理もない。
最後に誰を優先するか、その代わりにされたってことだ、俺達。

佐倉 光
この腹の中のクソッタレな寄生野郎をぶち殺す方法が分かればいいのに。
いや、銀の武器で殺せばいいのは分かっている。
問題は俺が巻き添えで死ぬってところだ。

ついでにあの善人面した奴らに復讐してやりたい。苦しかったろうな。辛かったろうな。だからって断りなく他人に押し付けてんじゃねぇ。それとこれとは話が別なんだよクソが。

呪詛を吐いて、呪文と向き合う。
自分の中から化け物を追い出す魔法だ。
あいつらと同じ手を使えば、俺達は逃れられる。せいぜい善人を装って間抜けを捕まえるんだ。
生餌を用意するまでもない、銀の弾丸を撃ち込めば終わりだ。

あいつらはどうしてそうしなかった?
慈悲のつもりか?


夕暮れと共に鮮明になる怒りをもって呪文を読み解く。
いつもなら非効率な筈の感情は、何故かより鮮烈に、呪文の意味をえぐり出してゆく。

ふと、顔を上げると外は真っ暗になっていた。
無意識の内に血の香りを求め、舌が唇をなぞった。
「腹が減ったなぁ」
牧志視点(ネタバレ)
KP
ダイニングルームは綺麗に片付けられていた。あの時には感動すら覚えた豪華なテーブルが、今はどこか物寂しく見える。
牧志 浩太
何か気になるものはないか、何か残されていないか探してみる。
KP
ふと、壁に何か架かっているのに気づいた。裏返されている。
牧志 浩太
元に戻してみる。
KP
それは、蔓をあしらった華やかな装飾に彩られた飾り鏡だった。鏡は磨かれた鏡面に、あなたの顔を映している。
牧志 浩太
(そういえば……、吸血鬼は鏡に映らない、ってあったな。
裏返してたのは、それでか)

ここに佐倉さんがいたら、俺の姿だけ映ってたのかな。

KP
気づけば外は暗い。薄青い月光だけが外から射し込んでいる。熱をもたないその光は、あなたに何の痛みも与えない。
きっと今なら、この分厚いカーテンを開けて外を眺めても、何も怖れるべきことは起こらないのだろう。

部屋を出ていった牧志はまだ戻らない。
佐倉 光
部屋を出て、屋敷を探す。
KP
彼はどこへ行ったのだろう。そういえば、どこを見に行くのか聞いていなかったような気がする。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
ダイニングルームに大したものはなかった。
何となくそのまま戻る気になれず、館の中をうろつき回る。

部屋以外の場所に、何か見落としたものはないか。
何か、忘れているものはないか。忘れていることはないか。

諦めたくないというのも嘘じゃないけど、
とっくに望みは絶えているのに、ただ諦め悪く足掻いているような、
そんな空回りするような感覚を覚えていた。

そうやって途方に暮れてうろつき回りながら、
何か、大事なことを忘れているような気がした。

PLに対するアナウンス
KP
※【深夜】までに、ちゃんと戻ってはきますし合流もできます。>牧志
ここに至って牧志がなかなか戻ってこないときの佐倉さんの挙動を見たい。
佐倉 光
いやーんイケズ!
KP
ウフフ

佐倉 光
逃げたのか?
ふと、思った。
無理もないな。今まで逃げなかったのが異常なんだ。
どうして俺は、あいつが逃げないと思い込んでいた?
KP
館は昨日と同じように、重い沈黙に沈んでいた。
立ち去る彼の、少し気まずそうな表情が。床に線を描く陽光を踏んで歩く姿が思い出された。

フレーバーで屋敷内をうろうろしたり庭に出たりしても構いません。
佐倉 光
扉を開ける。いない。いない。いない。
焦りがつのった。
ここに来て初めてカーテンを開け外を見る。
月光なんてただの太陽の反射光なのに、太陽だけが熱いなんて不条理だ。

扉を開け、庭を彷徨う。草を踏み風を浴び、何日かぶりの外気を吸っても気分は優れない。

牧志がいない。

心配だ、不安だ。あいつに何かあったんじゃないのか?
許せない、ここまで来て裏切るのか。俺にはあいつしかいないのに。
KP
カーテンを開け放つと、冴え冴えとした月光が室内を照らした。ざわざわと体内の血管すべてが蠢き、夜の訪れを歓喜している感覚を覚える。

月光なんてただの太陽の反射光だというのに、世界に与える印象はあまりにも違う。
草を踏めば、鋭くなった感覚に青い香りが届いた。館の外を見遣れば、遠くへ道が続いているのが見えた。

ここを下りれば、高原の町がある。
そこには人間が何人もいる。
それでもあの記述が真実なら、そこにあなたの飢えを満たすものはないのだ。
佐倉 光
最悪、悪魔として生きるのもまあアリかと思ったのに、
牧志が居なければそれも叶わないという。
とんでもない呪いをかけられたものだ。

悪魔にもなれずに死ぬのか、俺は。
死ぬのは、嫌だなぁ。

せめて人間の町で暴れて記録に残ってやろうか。
そうしてしばらく、道を眺めていた。

KP
そうして月が少し傾いた。

途方に暮れたように道を眺めているあなたの背後、さくり、と草を踏む足音がした。
牧志 浩太
「ごめん、遅くなった。ダイニングルームを見に行ったあと、部屋以外の場所に何か隠されてないか見に行ってたんだ。

佐倉さん、外に出てたんだな」

牧志の声がした。
佐倉 光
「いたのか。とっくに逃げたと思った」
振り向かず、平坦な声で答えた。
牧志 浩太
「そうか、心配かけたかな。ごめん」

そこにあるのがいつものような心配よりも、もっと複雑に重なった感情であることに気づいているようでありながら、彼はそう答えた。
佐倉 光
近づいてくる?
KP
一歩、近づいてくる。
佐倉 光
「ああ、本当に」
半分振り向いた顔は影に隠れて表情が見えない。
ただ血のように真っ赤な瞳が牧志を見つめている。
あと、2メートル。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
ああ、そうか。
忘れてたのは、これだ。

佐倉さんの怒りの中に、どれだけの感情が含まれていたのか。
佐倉さんがいま、どんな状態なのか。

行き先だって言い忘れていた。唯一の生餌である俺が戻らなくて、
そんな状態の佐倉さんが、どう思うのか。

全部、忘れてた。

佐倉 光
そんな不安定なときにいなくなられたらねー
KP
そりゃねぇ。不安定で消耗している時にねぇ。
KP
冴え冴えとした月光が落とす、濃い影の中。
草を踏む、足音。
牧志 浩太
「ダイニングルームには、大した物はなかった。飾り鏡が壁に架かってたくらいかな。裏返されてたけど」

また一歩、近づく。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
濃い影が落ちて、表情が見えない。
真っ暗な影のような姿の中、真っ赤な二つの眼だけが、ぎらぎらと輝いていた。

背筋がぞくりと警告を発した。

振り忘れダメージ
佐倉 光
あっいっけね昼探索のダメージ振ってませんでした。
振ります。こんな空気の中すみません。
1d3 Sasa BOT 1d3→2
FANBOX開設したで
KP
おっと忘れてた! お願いします
佐倉 光
1d3 Sasa BOT 1d3→2
FANBOX開設したで
HP 6→4
KP
失礼しました。朝のダメージ大きかったのも相まってだいぶ消耗してますね。
佐倉 光
いい感じですね。なんか進行その他空気読んでくださってありがとうございます。
襲うのに判定とか要るかなぁ。
KP
吸血は我慢しない限り必須発生というシナリオ上の事情と、その他の事情で判定は特に要りません。
佐倉 光
その他!
KP
その他。

佐倉 光
一歩。
牧志の足が草を踏んだと同時。
佐倉は突然振り向くと、牧志の腕を掴む。
その力は驚くほどに強い。痛みを感じるほどだ。
腕を封じたまま、佐倉は牧志の顔に顔がつくほど距離を詰める。

牧志の耳元に、かすかな囁き声が聞こえた気がした。
次の瞬間、首筋に何か尖ったものが食い込む。
牧志 浩太
「……、」
腕を掴まれた痛みで、彼が微かに呻く。草の上に倒れ込む。

抵抗はほとんど感じられなかった。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
殺されるかな、と少し思った。
殺されたくないな、とも思った。

でも最初からこうするつもりだった。
俺だけ助かろうと思うなら、ここまで来てなかった。

だから少し順番が変わっただけだ。

佐倉 光
倒れた衝撃で首に巻いていたハンカチはずれ、契約の痣と二つの傷跡が青白く照らされていた。
佐倉は完全に牧志の上に覆い被さるようにのしかかり、抑えつけていた。
相手が抵抗するかどうかなど関係ない、完全に肉を引きちぎるために抑えつける力のかけ方だ。

鋭い牙が、ずぶ、と一度傷ついた肌を再度突き破り、頸動脈に食い込んだ。
牧志 浩太
「がっ、」
急所に牙が食い込む瞬間、苦痛の呻きが漏れた。

死にゆく獲物がもがくように、指先が無意味に動く。
身体が苦しげに痙攣する。
本能的に首が大きく反らされ、都合良くあなたの牙に押しつけられた。
佐倉 光
全く相手に配慮することのない、力ずくの吸血。
命を残らず吸い上げるような強烈な痛みをねじ込んで、鮮血を貪る。
体の震えも、苦痛の声もものともせず。
啜る、などという可愛い物ではなかった。
血管を裂いて、溢れる血を舌ですくい上げ、喉へと送り込んでゆく。
あまりに乱暴な吸血、いや食餌のせいで、口元が血に汚れる。
その香りが更なる陶酔と欲望をかき立てる。

生餌の血が空っぽの腑に流れ込み、しみ込んでゆく。
命の味は熱く、冷えた心と体を温めてくれる。

この生餌は俺のだ。
俺のために作られたものだ。
喰らわれるためにいるのだ。
牧志 浩太
もがく指があなたの首にかかりかけて、彼は咄嗟に
手元の草を掴む。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
その激しさは前の時以上だった。
痛みと喪失感が頭の中を埋め尽くす。
抵抗しまいとする意思を跳ね除けて、身体が勝手に、目の前の獣を殺そうとする。

涙が溢れていた。
視界がぼやける。

引きずり込むような速度で、意識が落ちた。
何を思い浮かべる合間もなかった。

牧志 浩太
苦しげな声を上げてもがいていたのも、最初のうちだった。

牧志の眼が、急激に焦点を結ばなくなっていく。
ぽっかりと開いた眼が宙を眺めていた。
痛みをねじ込まれた肉体が、反射で痙攣し、跳ねる。
辺りに血の匂いが立ち込める。
草の上にぱたりぱたりと赤い血が落ちた。

哀れに跳ねる獲物が、あなたの腕の中に正しく収まっていた。
流れと演出重視
佐倉 光
首に噛み付くつもりではあったけど、屋外で強引に襲いかかるまでやる予定はなかった!
流れが襲えと言っていたんだ。
KP
流れじゃしょうがない。(最高)そしてまたお香を焚き損ねるのでした。
佐倉 光
うわぁ。
もうしょうがないよ。
KP
しょうがないしょうがない。
HP減少量が大きいから今回は吸血量も多いですねぇ。

佐倉 光
獲物を喰らう獣の中で、突然冷静な声が響いた。
「このままだと、牧志は死ぬぞ」

死ぬ?
唐突に音が戻ってきて、獣は目を見開いた。

そこに倒れていたのは、牧志浩太だった。

佐倉は悲鳴を上げて牧志から顔をはなし、慌ててずれてほどけかけていたハンカチを結びなおした。
「牧志、牧志! どうしよう、中に運ばないと」

皮肉にも彼の命を喰らったことで、意識ははっきりとしていた。
シーツなどを使って何とか牧志の体を屋内に運び込む。
首の傷の手当てをする。
何故自分がこんな事をしてしまったのかなどと嘆いている暇もなかった。
リビングにソファでもあればそこに寝かせる。
呪いをかけられた吸血鬼は生餌の血のみを求めるようになる。
今日の昼間に読んだ内容が蘇ってくる。
KP
リビングには、大きなソファが置かれている。
意識を失った牧志の身体は、今のあなたの力でも重く感じた。

顔がひどく青ざめていた。
ソファに寝かせようとして、彼の指先があなたの手に触れた。
氷のように冷えていた。
佐倉 光
恐怖に引きつった吐息を漏らし、それからひたすらに彼の体を温めようと試みた。
体をこすって温める。二階のベッドから布団を持ってきて包む。
暖炉があるなら火を入れられないか。
水を飲ませることはできないか。
思いつくことの全てを行った。
KP
柔らかな布団が彼の身体を受け止めた。
暖炉は今は使っていないのか、薪は残っていなかった。ただ、こんもりと灰だけが積もっている。
水を飲ませようとして、意識のない相手に飲ませるのは危険だと気づく。
佐倉 光
足りない。できないことだらけだ。牧志が死んでしまうかも知れないというのに。
ああ、それでも途中で正気に戻ることができて良かった。冷静さが戻ってきて良かった。
半泣きになりながら、あの時一瞬訪れた冷静な思考に安堵する。

遠くで冷静な自分が呟くのが聞こえた。


それは当然だ。牧志を死なせるわけにはいかない。
死んでしまったら

もう血が吸えなくなる

最後の味方に裏切られる
KP
ふふふ
佐倉 光
理性にこっぴどく裏切られる佐倉がやりたかったので!
KP
裏切られる先が理性というのが最高にいい
佐倉 光
やりきった!  b
ごめん牧志。
KP
裏切られる先が本能ではなく、理性のはずの冷静な思考だというのが本当にいい いいものいただきました

KP
青ざめた顔で彼は横たわっている。血にまみれた首の傷から、甘い匂いが漂っていた。
佐倉 光
部屋の扉を閉め、倉庫に駆け込んで箱の蓋を閉めて眠ってしまいたい衝動に駆られた。

5分間、そうやって廊下でぼんやりとして、ふらふらと部屋に戻る。
自分の罪に耽溺している場合ではないと思えた。
動機が何だろうと、因果がどうだろうと、牧志を死なせたくないと思い、朝まで思いつく限りの看病をし続けた。
もう何が本当なのか分からなくなっていたが、
牧志に死んで欲しくないという気持ちだけは変わらなかった。
KP
佐倉さん、HP全回復。
牧志、同じだけのHP減少。
二人とも《SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
佐倉 光
ダメージは6。
佐倉のHPは10に。
1d3 Sasa BOT 1d3→2
あ、チェックしてない。
自主失敗ってことで。
SAN 67→65
牧志 浩太
HP 11 → 5
1d100 64 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→3→決定的成功クリティカル)!
SAN 64 → 63
意志力!
佐倉 光
〈応急手当〉振りたいけど、コンセプト的にナシだろうな。
実際のダメージより大きいダメージが演出で入った分、演出で手当てした感じで。
KP
このHP減少は血液と生命力を失ったことによるものなので、〈応急手当〉は無効ですね。
ですな! 演出で!

KP
あなたの懸命な看病のためか。
彼自身の生命力のためか。

彼の手足に、辛うじて少しずつ温度が戻ってくるのを感じられた時には、カーテンの向こうにうっすらと陽光の色が見え始めていた。


【4日目・朝】


KP
佐倉さんのHP-1d4。
牧志のHP+1d2+1。

どれだけ腹を満たしても、また腹が減ってくることを、今ほど空しく感じたことはないだろう。
1d2+1
Sasa BOT 1d2+1→1+1→合計2
佐倉 光
1d4 Sasa BOT 1d4→1
HP 10→9
KP
佐倉さん(のHP減少)が意志力と本能の間で揺れ動いている……
KP
HP 5 → 7
HP減少により、全ての技能値に-20%。

佐倉 光

朝がやってくれば牧志は目覚める筈。
そう固く信じて、いや信じざるを得ないままに朝を迎えた。
彼が目覚める前に物置に閉じ籠りたいと思った。

甘えるな。
契約を破った報いだ。

目覚めを心待ちにしながら、同時に恐れながら、鳥の声を聞いていた。
佐倉 光
契約して即破るのどうよ、とは思っていたので、大変よい情報をいいタイミングでいただきました……
KP
わーいやったー……
牧志 浩太
「……う……、」
KP
無限にも思える時間が過ぎた後。
彼の指先が、僅かに動いた。

瞼が震え、青ざめた唇がはくりと動く。もがくように数度手のひらを震わせて、それからようやく、重たげに瞼を開いた。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
しくじったな、俺、死んだかな、真っ先に思ったのはそんなことだった。

それからようやく、何だか生きてるらしいと気づく。皮肉というか何というか、気づいたのはじっとりと痛む頭のせいだった。

腕に力が入らない。何ミリリットル取られたか分からなくても、ああ、これは強かにやられたなと分かる。
そこまで認識してからようやく眼の焦点が合って、佐倉さんの眼に涙が浮いているのが見えた。

牧志 浩太
「う……、今、いつだ……、もう朝か? おはよう、佐倉さん……」

その声は昨日に比べて、乾いていて力がなかった。
佐倉 光
「おはよう、牧志。目が覚めて、本当に良かった」
人間と、人を喰らう化け物が、彼の目覚めに涙した。
コップに水をくみ、渡す。
牧志 浩太
「ああ、気を失ってたのか、俺……」
数度、手の感覚と血の巡りを確かめるように、手を握って、開く。
ありがとう、と小さく言ってコップを受け取る。
喉を鳴らして、美味そうに水を飲む。
佐倉 光
乾いていても、力がなくとも、目覚めて声を発してくれただけで嬉しかった。
「ああ、朝だよ。日が昇っている。昨日は、本当にごめん」
牧志 浩太
「いいよ、驚いたけど、生きてたしさ。
こっちこそ、ごめん。心配かけたな」
少しふらつく指先で鉄剤のパッケージを破ると、水と合わせて口に放り込んだ。

鉄剤を1錠使用。残り1錠。
HP 7 → 8
佐倉 光
「死んじゃったら怒れないだろ!
怒れよ少しは!

俺、お前を殺したかもしれなかった。
今だって、お前が牧志だから生きて欲しいのか、生餌だから生きて欲しいのか、良くわからなくなってるんだ。
撃ち殺されても文句言えないくらいおかしくなってるんだよ」

言ってしまってから頭を抱えて呻いた。

「牧志は俺のために踏みとどまってくれているのに、ごめん」
牧志 浩太
「いいんだよ。
そりゃ死にたくないけど、最初からそうするつもりではあったし」

少しふらつく身体を起こして、彼は姿勢を直した。

「書いてあったことが本当なら、さ。
佐倉さんだって、俺の血がないと死んじゃうんだろ。それなら、同じだ」
佐倉 光
「最悪悪魔になっちまってもいいかと思いかけていたけど、駄目だ。
お前だけに依存している状態じゃ、遅かれ早かれ俺はお前を殺す。
その前に何とかしないとな……考えないと。何とか、この寄生野郎だけを殺す手段」

腕組みをして唸る。
それから、はたと気づいてキッチンから食べられそうな食料品を運んでくる。作り置きのものはそろそろ限界かもしれない。
今はこれが食べられないのが恨めしかった。

「飯食って、動けるようなら上で寝てろよ。今日は調子がいいんだ。俺は昨日の続きをする」
牧志 浩太
「ああ、そうさせてもらおうかな。

……寄生生物を他に移す呪文、か……」

彼は静かに食事を摂ると、重たそうな身体を引きずってベッドに潜り込んだ。

彼の小さな呟きが後を引いた。
佐倉 光
ずーっと気になっているのは、人間にしか移せないのか? 生き物にしか移せないのか? ってとこなんだよねー。
KP
まだ一カ所見てない部屋と、一カ所判定失敗してる所がありますね。
佐倉 光
そうそれ。夕方に何とかしたいな。佐倉も頭冷えたし。
KP
お香とかお茶とか使いつつ、冷えた頭で冷静に吸血(しかも3回目)していると、慣れてくるような馴染んでくるような感覚を覚えてしまいそうで、それはそれで美味しい。


【4日目・昼】


KP
牧志は1ターン分休ませますか?
一日中休ませますか?


 ・1 ターン分休みに費やす場合、〈CON〉×5 に成功すれば HP+1d2。
 ・一日中休みに費やす場合、確定でHP+1d3+2。
佐倉 光
一日休んで貰うか。もう一回吸血発生しちゃうけど、今回は見通しが立てば我慢するのもアリだろう。
あんなことがあった上でさらに吸血しなきゃならない、というのもそれはそれで美味しい。
今度はお香とかお茶とかちゃんと使おう!!
KP
※それどころではない※ が連続しましたからね!
では、
【4日目・昼】【4日目・夕】の間、牧志はベッドで休息をとる。

改めて、【4日目・昼】
佐倉さんの行動。
佐倉 光
寄生生物を移す魔法の習得を行う。
書斎の机と椅子を使い、繰り返し読み解く。
間違いなく染み込ませるように、着実に、注意深く。

たまに牧志の様子を見に行く。ちょっとドアを開けて、目覚めているようなら声をかけて水などを運んだりする。
KP
あなたは身体の怠さと重さに耐えながら、書斎の机に向かい、繰り返し繰り返しそれを読み解く。

幸い、使えそうな紙も筆記具もある。あの男が使っていたらしいものは、そのまま残されていた。

スマートフォンを使うこともできる。薄暗い書斎に、意識を逸らすような陽光は入ってこない。

そうしていると、この館の主になったかのようだった。
ふと、もう早くあの陽が落ちてしまえばいいのになんて、そんな感情が過る。

たまに牧志の様子を見に行くと、彼は少し青い顔をして、明かりを落とした寝室の中で昏々と眠っていた。
佐倉さん、HP-1d3。
また、このターンで《強制移動》の呪文の習得が完了します。
佐倉 光
1d3 Sasa BOT 1d3→2
HP 9→7

魔法は、覚えた。どうすればこの体に住み着いたものを追い出し、他の存在に定着できるか分かっている。
問題は移す先だ。
もう一つの魔法、犠牲者を呼び寄せる魔法を習得し、自分達を陥れた男と同じことをするなら、確実に可能。それは分かっている。
しかし……
魔法を習得するため何度も読み続け、意味を焼き付けるように繰り返すうち、疑問が湧いた。

対象は生きた人間でなくてはならないのか?

例えばあの地下の死体は、どうだ。
もしくは適当な虫を一匹捕まえて身代わりにすることはできないか。

そういえばしばらく風呂に入っていない。
ここの風呂を細かく見るついでに体を流そう。
KP
そういえばそう。>風呂入ってない
KP
あなたは静かに、冷静に思考する。あなたの内側で何かが蠢いているのを辛うじて感じ取れた。

もう四日も太陽の姿を見ていない。
そろそろ、それがどんなものだったか忘れそうだ。
佐倉 光
太陽は、この体にとって致命的で忌まわしいものだ。
早く日が暮れてしまえばいいとか、雨が降ればいいとか思うこともよくある。

だが太陽が出ている間はまだ人でいられる。
血の匂いにあまり惑わされずに牧志と話ができる。
ラヴァルという男も同じ苦しみを味わったのだろう。だから他人に押し付けたのだ。気持ちは分かる。許してやる気にはならないが。

俺はお前らとは違うんだよ。
悪魔使いのやり方できっちりケリをつけてやる。

昼探索終了後、バスルームの探索と入浴を行います。


【4日目・夕】


KP
探索前に、牧志の様子は見に行きますか?
佐倉 光
行きますよー
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
寝床の中で、ぼんやりと思考を転がしていた。
なんだか目が覚めてしまって、それなのに身体がひどく気怠いものだから、
横たわって物を考えることしかできない。

ふと思う。『移す』って、生きた人間相手じゃなきゃいけないのか?
いや、死体でうまくいくなら、きっともう試していたはずで。
牧志 浩太
いや。
は、と不意に気づく。

その前提は正しくない。
思考パズルの類は、当然の前提として無意識に置いてしまうようなことに、落とし穴があることも多い。
考えろ。確かなのは、確かになったことだけだ。

試していて失敗したとは、限らないんだ。
例えば、何か試せない事情があったかもしれない。例えば、条件が揃っていなかったかもしれない。

身を起こしてペンを取ろうとして咳き込む。
改めて、そろそろとゆっくり身を起こす。ペンと日記帳を手に取り、今分かっていることと、分かっていないことを書きつける。

KP
牧志の様子を見に行くと、微かにペンの走る音がしていた。
彼は目を覚ましているようで、ベッドの上で日記帳を引き寄せ、何か書きつけていた。
佐倉 光
昨日の自分の行いが記録に残されるのかと思うと複雑な気分になった。

「起きて大丈夫なのか? なにか必要なものがあれば持ってくるけど」
牧志 浩太
「ああ、大丈夫。少しは気分もましになってきた。

寝てても目が覚めてしまうから、呪文のこととか、これまで起きたことをまとめてたんだ」

話を聞けば、彼は薄々と、あなたと同じことに思い当たりつつあるようだった。
佐倉 光
「そうだな……死体に移すのはまず試してみたいんだ。
うまく行けば余計な犠牲も出ないし、恨みも買わなくて済む」
牧志 浩太
「だよな。一度しか試せないってわけじゃないよな、あれ」彼は頷く。

「喉渇いたな……、佐倉さん、水持ってきてもらっていい?」

彼はベッドに手をかけて起き上がろうとして、少しふらつく。昨夜あなたに心配をかけたことを思い出したのか、そう言った。
佐倉 光
「水だな、分かった。
俺はもう少し屋敷を調べてみるつもりなんだ。
風呂の安全を確かめて湯をはっとくから、あとで入るといい」
一階におりて水をくむ。
牧志 浩太
「あー、そういえば入ってないな……、ありがとう。助かる」

頷いて、彼はあなたから水を受け取る。
彼の喉がこくこくと鳴り、液体を飲み下していった。
佐倉 光
喉の動きを見ていたら、少し渇きを感じた。
そういえば体の怠さがだいぶ抜けてきていた。吸血鬼の活動時間が訪れ始めている。
ふと思いついた。
「牧志。俺の話、聞いてくれるか。
うまくいったら、多分俺はこの感覚を思い出せなくなる。だから、今のうちに」
上手く行かなかったら?
哀れな犠牲者の記録の一つになるのかもな。
俺達が今までに読んできたものみたいに。
それはそれで価値あるものだろう、多分。
KP
牧志は少し身を起こし、あなたの話を聞く体勢になる。
佐倉 光
行動として消費されない範囲で、少し自分の異常な飢えのの感覚や正気を失っているとしか思えない時の思考など、なるべく詳しく言語化する。
昼間の気だるさ、辛さ、太陽に感じる疎ましさ。
血に対する強烈な渇望、狂暴で身勝手な衝動、痛みを感じるほどの飢餓感、むせ返るほどの強烈な血の香りに感じる恍惚。それらを思い出せる限り詳細に。

ひととおり語ってから、呟いた。
「こんな生き物、利にかなってない。あっという間に自滅する。活動可能な時間は短いし、理解が得られる環境でもなければ毎晩狩りが必要になる。常に空腹感があるんじゃ判断に支障が出る。
呪われていない吸血鬼なら飢餓感少しはましなのかな……」
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
語られる言葉を聞き取り、日記帳の上に落としていく。紙へと落ちていく言葉が俺の手に潜り込んで、俺自身がそうなったように感じられるほどの、深く詳しい言葉だった。

確かにこれは、「今」しか覚えていられない感覚に違いない。俺も後で、もっと詳しく日記を書こう。もしうまく行って元に戻れたら、あの時はこんなだったな、なんて、また話の種にしてもいい。

そうしていると、何だか元気が出てきた。
ああ、佐倉さんで、俺だ。
……ああ、動ける。

KP
彼はじっとあなたの話を聞き、日記帳を手に取った。合間合間に頷き、あるいは細々としたことを聞いて、あなたの言葉を引き出す。
牧志 浩太
「寄生生物が半端に傷ついたせいだ、って話だったよな。

この状態、吸血鬼としても普通じゃないのかもな。例えば本当なら夜、もう少し動けるとか。もう少し、狩りの間隔が長いとか。もう少し色んな力を持ってて、人間くらい容易く狩れるとか」
佐倉 光
「どうせ悪魔になるならそういうのが良かったよ、俺は」
牧志 浩太
「本当にな。人間食べるのは困るけど、それならマグネタイトでなんとかなるかもしれないしさ。
……逆に、理解も何もなく、ただ彷徨うだけのゾンビみたいなのが、本来の姿か」
佐倉 光
「ゾンビは嫌だけど、なった本人はなにも分からなくなるだろうし、大した問題じゃないかもな……」

椅子から立ち上がって延びをする。
「ありがとう、なんとなく整理できた。
風呂見てくるよ。
使えそうなら沸かしてくる」
牧志 浩太
「うん、任せた」

彼はあなたを見送り、再びベッドに身を預ける。
牧志視点(ネタバレ)
牧志 浩太
去っていく姿を見送って、また寝床に潜り込む。
まだ根拠はない。確実でもない。
それでも、「今」の後に、うまくいった結果があるんじゃないかって思えてきていた。

佐倉 光
鋭さを増す嗅覚で少し感じ始めた血の香りが後ろ髪を引いた。
一階に降りてバスルームの探索を行う。

コメント By.佐倉 光
あまりにも絶望的な情報。
そんな折りに牧志の姿が見えなくなり、とうとう佐倉は自らを律することができなくなってしまう。
再び牧志の姿を見た佐倉は、牧志の命を喰らおうと襲いかかるのだった。


PCたちはどん底だけどPL&キーパーはそんな地獄をニコニコしながら見守るといういつもの流れ……!
流れと状況がそうさせたんだ。

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「現実的に考えると俺達の命か精神かどっちか死にそうだなーって」
「ダイジョブダイジョブ、短期的には命に危険ナイネー」

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「知らない相手だから不思議に思うだけで、そんなものなのかもな」

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行かなければ。

【クトゥルフ神話TRPG】
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「生きてて良かったけど……」
見た目が大分やべぇなこれ。

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「いっぺん捨てられるのは案外楽さけど、拾われたと思っての二度目は結構来るんさ?」