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こちらには『blood red decadence』
ネタバレがあります。


佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。悪魔召喚師として、人と魔の境界を強く意識する。
体力にはとにかく自信がない。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。波照間は魔と人の区別をあまりしない。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。

佐倉とは友人。




いつもと違う関係を。

CoC 「Blood red decacence」
DOG HOUSE / 大和 様


KP
あなたは友人の牧志と、高原に遊びに来ている。
先日の旅行で散々な目に遭い、今度は温暖な場所で遊び直そう、ということになったのだ。

時期の関係で寒いは寒いが、昼にもなればぽかぽかと温かい木漏れ日が身を温める。
木々の間からは軽やかな鳥たちの歌声が聞こえ、遠くには放牧されている牛の姿が見える。
長閑という言葉を風景にして描いたような場所だった。
佐倉 光
最近旅行続きだ。
しかし面倒だとは思わなくなったし、実際に足を運ぶと書物では分からないものも色々ある。
自分の感覚が最たるものだ。
爽やかだ、とか、この地方は温暖である、という情報を肌で感じると、文字情報や画像からはいかに多くの情報が抜け落ちているか、ということを思い知らされる。

それに、単純に楽しい。
まあ、ここにネット環境は限られていそうだけど、モバイルでどうとでもなるし。

「いい風だなー! ほどよく涼しい。
人も少ないし、いいとこだな」
伸びをする。意味もなく山にヤッホーと叫ぶなんて馬鹿げた行為をしたくなる気持ちが分かった気がする。
牧志 浩太
「だな! 風が気持ちいいし、そんなに混んでもないし。
見渡す限り一面の青空でさ、夜になったら星も綺麗だろうな。
佐倉 光
「旅行好きなのか? 実は」
と、隣にいる青年に問いかける。
牧志 浩太
俺? うん、結構好きかな。
あんまり意識してなかったけど、やっぱり楽しいなって思う。
先輩が星を見に色々行くから、その影響かもしれないけど」
佐倉 光
来る前に、ここには変な言い伝えはないだろうな?
と調べてみたかもしれない。
KP
幸い、奇妙な言い伝えなどといったものはない。
寂れていた避暑地を大きなリゾート会社が買い上げて再整備したもので、
ここが避暑地になったのも明治以降のこと。
明治時代には外国人に人気だったそうだが、それ以前は街道から遠く、そもそも殆ど人が住んでいなかったとか。
ネット環境は…… まあ、これからって所だろうか。
幸い電波はちゃんと飛んでいて、モバイル環境でどうにでもなりそうだ。
佐倉 光
「星かー。そういや波照間さんちょっと前に一週間くらい休み取って見に行ってたな。
軽く話振ったらなーんか挙動不審だったけど。
あれはまた異界に迷い込んでたな、きっと」
割と笑い事じゃないんだよな、といつかの駅のことを思い出した。
牧志 浩太
「挙動不審って、あー。先輩に彼女できた話?」
佐倉 光
「え、彼女? ウッソだろ!?
……相手、人間かな。何かに取り憑かれちゃったんじゃないだろうな?」
失礼な感想を抱いて、空腹を抱えて道を歩く。
牧志 浩太
「あっ……、ごめん、まだ聞いてなかったか。
大丈夫じゃないかな、とりあえずMP吸われてそうな感じはなかったし」
これは『鬼の駅にて』『刻の牢獄』での出来事のこと。佐倉は前者の時に大いに巻き込まれている。
KP
高原沿いの道を歩く。
もらったパンフレットを見ていると、高原を囲む山の上の方に、高原を眺めながら食事が取れるレストランがあるらしい。
道が整備されていて、車は入れないが歩いて行くことができそうだ。
佐倉 光
「こんな所で、経営していけるだけの客来てんのか?」
牧志 浩太
「どうなんだろうな、これからって所なのかも」
KP
そんな話をしながら山道を歩く。
偶に、小鳥が枝の上の木の実をつついているのが見えたりした。

人気の少ない山の上ではあるが、足元の道は歩きやすく整備されている。
佐倉 光
「もう少し近くまで車で来られりゃいいんだけどな。
もう少しゆっくり歩いていいか?」
ちょっと【CON】6に山歩きは辛い。出不精だから尚更だ。
いくらも歩いていないのに、もう息が乱れている。
牧志 浩太
「あ、ごめん。でも大丈夫、そろそろ着きそう…… あ」
KP
歩く速度を落とした牧志の背の向こう、洒落た真新しい建物が見えてくる、が。
牧志 浩太
「ああー……」
KP
牧志の落胆した声。
その真新しい建物には、「水道トラブルのため臨時休業」 と書かれた大きな札が掲げられていた。
佐倉 光
「えぇぇぇぇマジかよ、ここまで歩かせといてそりゃないぜ」
近くの切り株か石でもあればそこに座り込む。
「今時、こんな僻地でやってて、
営業確認できるサイトとかSNSやってないってありえないだろ」
牧志 浩太
「本当にな、こういうのはちゃんとサイトに載せといてほしい……」
KP
公式インスタグラムには、「営業中!」の空しい文句が躍っていた。

茸が生えた切り株の上に座り込んで落胆していると、更に不運が続く。
先程まで明るく穏やかだったはずの空が、なんだか薄暗いのだ。
見上げれば木々の合間の空にはみるみるうちに雲が増え、見るからに雨が降りそうな天候へと変化していく。
牧志 浩太
「げ、まずい。降りそうだ」
KP
目の前の建物の扉はしっかりと閉じており、入れそうにはない。屋根の形が今一つで、軒先で雨宿りというのも望めない。
それに、ここで雨に降られてしまえば身動きが取れなくなり、余計に空腹を抱える羽目になるだろう。
佐倉 光
「おいおいウソだろ、山ん中で雨とか洒落になってないぞ」
慌てて近くに避難できそうなところがないか探す。
ネットが通じるようなら地図アプリで。
KP
あなたは急いで地図アプリを開く。
アプリには麓の高原とこのレストラン以外に大したものが映っていなかったが、一か所、「ラヴァル館」という、詳細不明の表示が見える。
少し下りた所の脇道の先らしいが、写真などはなく、詳しいことは分からない。
牧志 浩太
「今下りれば間に合うかもしれない、麓まで下り…… 佐倉さん?」
あなたが見ている表示を覗き込む。
佐倉 光
「何だろうな、民宿かペンションか、美術館かもな。なんにせよ雨宿りできるかも。
下まで降りるよりはいいだろうし、道の途中だから駄目でも諦めがつく。
行ってみよう」
地図アプリを見せて、目的地方向を指さす。
人が居る場所なら、屋内までは望めなくとも雨宿りさせてもらうことくらいはできるだろう。
KP
牧志は一度、空の様子を確認する。空は黒く分厚い雲に覆われ、いよいよ猶予がないように見えた。
牧志 浩太
「賛成!」
KP
急いで歩き出すあなた達の後を追うように、ぽつりぽつりと雨が降り出す。
本編見る!
佐倉 光
「あーもーツイてねぇなぁ!」
こぼしつつ足早に目的地を目指す。
「山んなかで雨って最悪地滑りに巻き込まれる可能性もあるしさ、命に関わるよマジで。
雨の予報なかったはずなのに」

山の天気は変わりやすい。そんな実感もやはり自分で味わってみなければ分からないものだ。
牧志 浩太
「ほんとにな、まさかこんなに急に変わるなんて思わなかった」
KP
足早に目的地を目指す。
背後から土砂降りの雨が追いかけてくる。
敵もいないのに追われている気分だ。全く、災難だ!

二人とも息を切らせながら、必死に走る。
やがて、見えてきたのは…… 洋風の屋敷だった。
高い門の扉の傍らに表札があり、「ラヴァル」と読める。その中からは、温かそうな明かりが漏れていた。

「あら、まあ」
庭先でプランターを室内にしまっていた女性が、あなた達に気づいて小さく声を上げた。
佐倉 光
民家だろうか? それにしては地図に掲載されているが。
地獄に仏ってやつだ。さもなくば渡りに船。何でもいい。
「すみません、軒下でいいんで、雨宿りさせて貰えませんか!」
女性に声をかける。
KP
あなたの必死な声を聞いて、女性はあらまあ、と口に手を当てる。
「あらあら、まあまあ、それは大変でしたね。軒下では風邪を引いてしまいます、よければこちらへどうぞ」
と、あなた達を館の中へ招いてくれる。
佐倉 光
「ありがとうございます、助かります。
僕たち二人とも山素人で、ほんと死ぬかと思いましたよ~」
半分本気だ。
濡れた服を玄関の外で脱いで絞りながら牧志に声をかける。
「うぇ、寒。大丈夫か?」
牧志 浩太
「なんとか大丈夫、っくしょ、うー、寒。助かったな」
同じように濡れた服を絞りながら、大きく息をつく。
KP
古風な洋館といった趣の玄関には可愛らしい置物などが飾られ、生活感を添えていた。掃除の行き届いていない所もあるが、薄汚れてはおらず清潔な印象だ。
牧志 浩太
「すごいな。こんな所に人が住んでるの、初めて見た」
牧志が少し落ち着かない様子で、辺りを見回す。
KP
エントランスホールには豪華な絨毯が敷かれ、木製の扉や階段の手すりには細かな装飾が施されている。

ホールの周囲にはいくつかの扉があり、奥に二階へと続く大きな階段が見えた。
佐倉 光
突然の雨、謎の洋館。ホラーゲームの始まりみたいだな、とは思うが、さすがに家人がいるのにそんな失礼なことは口にしない。
入れてくれた人が近くにいるようなら挨拶しよう。

一応、ざっと周囲の確認はするかな。
KP
周囲を見回せば、使用人などはいないのか辺りは静かだ。
牧志 浩太
「ありがとうございます。俺、牧志といいます。入れて下さって、本当に助かりました」
あなたの挨拶に続き、牧志が女性に頭を下げる。
KP
「まあ、ご丁寧にありがとうございます。名乗り遅れましたね、私、エリザと申します」
そう言って微笑む女性は透けるように白い肌をしていて、鼻は高く、西欧系の顔立ちをしていた。

ここで二人とも[【CON】×5]で判定。
牧志 浩太
1d100 60 【CON】 Sasa BOT 1d100→93→失敗
佐倉 光
1d100 30 【CON】 Sasa BOT 1d100→90→失敗
KP
そこで、二人の腹が揃って鳴った。
そういえば空腹だったのだ。

「あらあら、まあ」女性は鈴を転がすように、口に手を当てて笑う。
佐倉 光
食べるものは……そういえばいつもの奴は途中で食べて、補充まだだった。
「はは、上のレストランに食べに来たんですけど、閉まっちゃってて」
言い訳する。
牧志 浩太
「うわ、すみません。俺も飯まだで……」牧志も照れくさそうに弁解する。
KP
そんな二人を見て、エリザと名乗った女性は笑いながら、あなた達を両開きの扉の向こうのダイニングルームへと案内する。

「まあまあ、それは大変。こちらへどうぞ、丁度夕食にしようとしていたの。少しならお分けできますよ」
牧志 浩太
「えっ、それは悪いですよ。俺達なら大丈夫ですから」
KP
「いえいえ、ここには私と主人しかいませんの。少し作り過ぎた所ですから、遠慮なくどうぞ」
佐倉 光
あんまり固辞するのも失礼ってもんだな。
それに素直に空腹だし。
「それじゃ、少しだけお相伴にあずからせていただきます!」
誘いは受けよう。
「代わりに、僕たちで手伝えそうなことがあればしますよ」
KP
あなたの申し出に、彼女は緩やかに唇をほころばせる。
「まあ、それは助かります。どうしても、二人だけだと行き届かない所がありまして」

そう言う彼女は時折ふらついた。身体が弱いのだろうか。
〈医学〉成功すれば分かることがある。
佐倉 光
〈医学〉はないな。まあ一応振るか。隻眼牧志がピコーンするかもしれん。
1d100 12 意外と持ってた〈医学〉 Sasa BOT 1d100→96→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
わかんねぇ、腹減った。
隻眼牧志がピコーン……詳細は省くが、佐倉は突然医学に詳しくなってしまうことがある。
『静寂舞手』事件の時にそんなことがあった。
KP
あなたはふらつく彼女を気に掛けようとして、その鼻筋の綺麗に通っているのを目にとめた。うーん、美しい人だ。透けるような肌の白さもよく似合う。
牧志 浩太
1d100 31
〈医学〉 Sasa BOT 1d100→2→決定的成功クリティカル)!
佐倉 光
極端
なんとなくぼやーっとみつめてしまった。
牧志 浩太
「あの人……、ひどい貧血だな。肌や爪にほとんど色がないし、唇が青ざめてる。ふらついてるのも、そのせいだと思う」
あなたが彼女を気にしているのに気づいて、牧志が心配そうな声でぽつりと言う。
佐倉 光
「……あっ? ああ、そうだな? うん、なるほど貧血か」
なんだか上の空だったらしい。
いけないな、疲れているんだろうか。
牧志 浩太
「あー、うん。確かに綺麗な人だとは思うけど、貧血が気になってそれどころじゃなかったな……」
あなたの様子を見て、なんだか気まずそうに頬を掻く。

牧志は牧志で、クリティカルしてしまったせいで「えっあの病状やばくないか?」に気を取られてしまった。
佐倉 光
掃除とか修理とか電球替えるのとか、あるようなら手伝うか。
さすがにあまりうろつかれるのはイヤだろうし、無理にとは言わないが。
正直俺も疲れてるしさ!
KP
視線に気づいた彼女は、困ったように微笑む。
「あら、すみません、ご心配をおかけしましたかしら。生まれつき身体が弱くて……。さあ、着きましたよ」
ダイニングルームの扉は開かれていた。
その向こうに、映画でしか見た事のないような豪華な部屋があった。
白いクロスのかかった長いテーブルが奥へ伸びている。
毛足の長い絨毯が足を受け止め、シャンデリアが頭上にきらめく。

奥の上座に、立派な洋装を身にまとった男性がひとり座っていた。

「こちらのお二人は、雨が酷くて山を下りられなくなってしまったそうなの。
お部屋を貸してあげてもよろしいかしら?」
エリザが呼びかけると、男性はああ、勿論、と穏やかに返した。

「それは災難だったね、今日はゆっくりしていくといい。
 さあ、食事が冷めないうちにどうぞ」
 
あなた達に席に座るように促し、エリザが料理を運んでくる。
ローストチキンの表面が、照明にてらてらと光る。
こんがりと焼き上げられた皮は、歯で触れればさくりと快く砕けるのだろう。
添えられたバゲットのいい香りがあなた達の鼻をくすぐり、スープは濃厚な色を湛えてスプーンを待っていた。
牧志 浩太
「えっ、うわ……、すごい。えっ、すごい人?」
牧志が呆気に取られたように漏らす。
佐倉 光
食欲が腹をつつく。
なんだか心の奥底で「こんなうまい話があるわけないだろ」と訳知り顔でツッコミを入れている俺がいなくもないが、いいだろもうラッキーってことで!
本能には逆らえない。
佐倉 光
「お邪魔してます、さ……佐久間っていいます」
ぎりぎりのところでほとんど意味もないような偽名を使った。
恩を受けるからってフルオープンってわけには行かないぞ、うまい話には特に警戒しろ、大体急な来客にこんな豪華な食事で応対できるなんて明らかにおかしいだろう、と訴えるうるさい理性への配慮だ。
牧志視点
牧志 浩太
(ほとんど繕えてないな佐倉さん。いや、でも、仕方ないよな、腹減った!)

牧志 浩太
そんなあなたの様子に苦笑いしながら、牧志も待ちきれない様子で席につく。かろうじて少しだけ警戒するような仕草でスープに口をつけ、
牧志 浩太
「あ、美味い、これ」
そう呟くや否や、料理に手をつけるのを抑えられなくなった。
KP
「口に合ったようでよかった。私はこの家の主人で、ラヴァルという。ここには妻と二人で住んでいてね、君達はどちらから?」
彼はエリザと共にゆったりと料理を口にしながら、そうあなた達に聞く。
佐倉 光
「僕たちは東京からです。
凄いお宅ですね、映画で見る家みたいで驚きましたよ。
ずっとここに住んでいらっしゃるんですか」
これきっと、レストランで食べるより美味しいんじゃないか?
ラッキーだったかもしれないな。
そんなことを思いながら、香ばしいパンにぱくついた。
KP
「やあ、それは随分と遠くから来たんだね。後でぜひ、話を聞かせてくれるかい?

ああ、我が家は少し前の代からここに住んでいてね。私達はしばらく国に戻っていたのだけれど、ここは自然が美しいだろう。妻の療養にもいいと思って、こちらに移り住むことにしたんだ」

香ばしいパンと滋味深いローストチキンを味わいながら、あなた達は彼のそんな話を聞く。ふと、事前に調べた内容を思い出した。ここは明治時代には外国人に人気だったというが、もしかしてその当時からある家だというのだろうか。
牧志視点
牧志 浩太
(すごいな、地図に載ってるわけだ。歴史的建造物に住んでるってどんな気分なんだろう)

佐倉 光
「へぇー、歴史的に貴重なお住まいなんですね。
お邪魔できてラッキーだったな。
ここは確かに空気がいいところですよね、東京とは段違いだ。
お国はどちらなんです?」
食事を有り難くいただきながら適度に会話をする。
会話をして情報を引き出そうとするのはもう職業病みたいなものだ。
KP
「イギリスの方でね。僻地ではあるがそれなりに栄えていて、あちらもいい所だよ。漁村の方からやってくる魚が美味しくてね……」
語る彼の眼は少し懐かしげで、遠くを見ているようだった。
牧志 浩太
「イギリスか……。行ったことないけど、前に見た小麦畑の写真は綺麗だったな。佐……久間さんは、海外旅行って行ったことある?」
牧志視点
牧志 浩太
(海外か、行ったことないな。俺が覚えてる限りはだけど。
海外どころか、国内でも行ったことのない場所がたくさんあるな)

佐倉 光
「ないよ。僕あまり外出ないし、お金もないしね」
軽く肩をすくめてみせる。
残念ながらどっちも本当だ。クソが。
イギリスの飯はまずい、なんて話を良く聞くけど、この食事は美味い。
牧志 浩太
「驚くくらいかかるもんな、ヨーロッパとかアメリカとかって。ああいうとき距離を感じる」
KP
あなた達の手元で気づけばスープは空になり、ローストチキンが半分以下に減っている。底をつくほどの空腹と疲労が美味な食事を鮮やかに彩り、温かい空気がしみじみと腹を満たしていく。
佐倉 光
「すみません、本当にいきなりお邪魔して、こんなにご飯までいただいて。
ありがとうございました。
お礼はさせてもらいますし、雨が止んだらすぐにお暇しますから」
これ以上借りを作ると色々面倒だな、と思い、そんなことを口にする。
天気はどうだろう。
また、そういえばこの屋敷に変わったところなどあるだろうか?
KP
外はまだ降りしきる雨に覆われている。
雨脚はさらに強くなり、水が窓の外を大粒の塊になって流れ落ちている。

「ああ、待ってくれ。エリザが作ったデザートがあるから、ぜひ食べていくといい」
あなたが食事を終えてそう口にしたとき、ラヴァルはそう言って、食器を片付けるために席を立つ。
あなたや牧志の使ったナイフやフォークを皿と一緒にまとめ、持っていく。
牧志 浩太
「えっ、自分で片付けますよ」
KP
「いや、いいよ。客人にやらせるわけにはいかないからね」
屋敷に変わった所がないかと見渡すなら、特に変化はないように見える。
佐倉 光
「まいったな、これ今出たらまずそうだ。傘じゃどうにもならないぞ」
絶望的な天気を見てため息をつく。
「マジでツイてないな。いや、こんな美味しい食事をいただけたのはツイてるとも言えるけど」
仲がいい夫婦なんだな、と思う。
奥さんの療養のため、と言っていたか。
呆れるほどの善人……そうかもしれない。隣にも一人居るし。
そういう人もいるのだ、たまに。
牧志 浩太
「?」
不思議そうに牧志があなたを振り返った。
佐倉 光
まったく、カンがいいなぁ。苦笑して「なんでもない」と無言の問いに答える。
せめて食べ終わった皿纏めるとかしよう。
KP
カチャリと食器の音がした。
食器をまとめて立ったラヴァルが、あなたの背後に来た時──

ドンッ、と鈍い音がした。

束の間。
牧志視点
牧志 浩太
咄嗟に振り返る。
KP
あなたは目にするだろう。
佐倉の手の甲に、食事用の肉切りナイフが突き立っていた。

牧志 浩太
「えっ……、佐倉さん!!」
KP
牧志の叫びと、あなたが手の甲に痛みを覚えたのは、ほぼ同時だった。
あなたは咄嗟に、痛みの源を見るだろう。

あなたの手の甲に、食事用のナイフが突き刺さっていた。
佐倉さんにHPダメージ1d4が入ります。
佐倉 光
1d4 Sasa BOT 1d4→3
HP 10→7
「いっっってぇ!?」
あまりのことに咄嗟に叫ぶしかできなかった。
KP
そのナイフを持つ手を視線で追えば、先程の穏やかな様子が嘘のように、酷い形相でナイフに力を込めるラヴァルがそこにいた。
牧志 浩太
「くそっ、止めろ!」
牧志が椅子を蹴立てて立ち上がり、やめさせようと彼の腕を引く。しかし、彼の腕はびくともしない。

佐倉さん、【POW】×1で判定。
成功で1d3、失敗で1d6のSANが確定で減少します。
佐倉 光
1d100 15 Sasa BOT 1d100→64→失敗
1d6 Sasa BOT 1d6→3
SAN 77→74
佐倉 光
意思を持って突き刺されてるのか。叫んでる場合じゃないな。
KP
です。背後から刺されたため、突然の痛みに驚いて、その一瞬後に刺されていることに気づいた感じですね。
佐倉 光
理性の警告無視するから~
KP
ご協力ありがとうございます(toPL)ごめんな(to佐倉さん)
佐倉 光
空腹と疲労には勝てないんだよ!
佐倉 光
「何しやがる、てめぇ!」
自分の警戒心のなさを後悔しつつ、吼えてナイフを引き抜こうとする。
このままではCOMPが起動できない!
KP
ナイフを引き抜こうとした、その時。
ずるり、と刺された腕から何かが遡ってきた。

そうとしか感じられなかった。
腕の血管をみちみちと割り開き、尾を振るように蠢きながら、
それはあなたの肉体を川のように遡り登る。

肩に到達したそれはあなたの体内を這いずりながら、胸の中を泳ぎ、腹の中を泳ぐ。
何かに探られているようだった。何かが、あなたの中を動き回っている。巣を探すように。
佐倉 光
「うっ?」
目を見開く。指先が歪に曲がる。意思とは関係なく意味を持たない絶叫が迸る。
痛みや不快感は勿論、『自分』の中に異質なものが入り込んでいるという怒りの方が大きかった。
「ぐあぁぁああ!」
絞り出すような叫び声を上げながら、自由な方の手でナイフを掴む男の手に爪を立てようとする。
苦痛に体をねじり、好き勝手泳ぎ回る何者かと、それを侵入させた男への憎悪を喚き散らした。

敵じゃねぇか、完全に敵だ!
何が善人だ、なにがなにがなにが!
出て行け、出て行け!

だがそのひとつとして言葉にはならない。
ぽたぽたと目からも口からも液体がしたたり落ちた。
KP
あなたの声にならぬ叫びを、力のない抵抗を、ナイフを握りしめながらぶつぶつと何事かを呟く男も、男を必死に引きはがそうとする牧志に後ろから縋りつく女も、気に留めることはなかった。

あなたの体内を泳ぐ何かは、鳩尾の辺りにするりと入り込み、強い吐き気に化ける。
胃が裏表にひっくり返りあらゆる内容物を吹き出すのが見えるような強い吐き気に、あなたは思わず椅子から崩れ落ちるだろう。

ナイフが手の甲から抜け落ち、床に落ちてカランと音を立てた。

手の甲を貫いた傷が──まるで《ディア》でもかけたかのように、みるみるうちに塞がっていくのが、閉じていくあなたの視界に映った。
佐倉 光
「牧志、逃げろ」
その言葉は果たして声にできたのかどうか。
KP
あなたはそれを最後に、意識を失う。
牧志視点
KP
佐倉が叫び、椅子から崩れ落ち、そして─ 動かなくなる。
それを見届けると、ラヴァルとエリザは衣装の裾を翻し、ダイニングの出口から外へ出ていってしまう。
牧志 浩太
「くそっ、待て!」 二人を追いかけようとする。
KP
追いかけようとするあなたの手を、誰かが引いた。
それは、倒れ込み動かなくなっていたはずの佐倉だった。
牧志 浩太
「佐倉さん?」 何があったんだ。振り返る。
KP
佐倉の眼は薄赤く光っていた。薄赤く光る眼で、じっとあなたを見つめている。
その色に、なぜかあなたは怖気を覚えた。
牧志 浩太
「佐倉さん?」
一瞬覚えてしまった怖気を打ち消すように、再び、呼びかける。
KP
佐倉はあなたの腕を引き寄せる。どこか幼げにすら見える虚ろな眼で、じっとあなたを見つめている。

その一瞬後。
首筋に鋭い痛みが走った。

佐倉の顔があなたの首に埋められていた。
腰に腕を回され、きつく抱きしめるような格好で拘束されている。
牧志 浩太
「え、?」

何が起こったか分からなかった。
首筋に鋭い痛みが走る。見下ろせば、佐倉さんの顔がそこにある。
何か刃物で刺されたような、いや、違う。抉られたような痛み。
KP
佐倉の頭が僅かに動いた。激しい痛みが体内を抉り、あなたの中から何かが吸い上げられていく。
あなたの身体に密着した彼の喉が、こくり、と動く。

あなたはようやく何が起きているのか知る。
彼が、飲んでいた。あなたの。
あなたの、血潮を。
牧志 浩太
「ぐ、っ……!」
激痛。佐倉さんの喉が動くのを感じる度、痛みと命の危機を感じる。
もう何も考えてはいられなかった。咄嗟に、自分から命を吸い上げようとする頭を引き剝がそうと掴む。
KP
びくともしなかった。
筋力の弱い彼の頭なのに、まるで何かで固定されたかのように、離れない。
あなたの腰を嬉しそうに掴む腕も。あなたの背を掴んで、あなたの首を自らの口に押しつける手も。

まるで巨大な化け物に抱きすくめられているかのようだった。
牧志 浩太
佐倉さん、と呼びたかった。
視界が燃えるような激痛と、急速に失われていく命に、声が掠れて、出ない。
KP
視界がゆっくりと暗くなる。
燃えるような痛みすら、浮き上がるように遠く引いていく。

あなたはこれが、
、かと思った。
牧志 浩太
(佐倉さん、)
とうとう呼べないまま、視界が、暗くなって。

KP
※処理※
佐倉さん、HPを全回復してください。
佐倉 光
わぁい?
HP 10
牧志 浩太
HP11 → 8
佐倉 光
あれぇ?
牧志 浩太
1d100 68 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→77→失敗
1d3 Sasa BOT 1d3→1
SAN 68 → 67
佐倉 光
なんかしましたよね?? 僕

異物の体内への侵入経験三度目!!
異形の血、悪意の鍵、コレ
まだあったかも。実体なしなら寄生体もだし……
KP
なるほど確かに
自分の存在に拘る佐倉さんに異物が侵入しまくっている!


ひとこと
佐倉 光
吸血鬼になれるシナリオを置き卓でじっくり。
理性なんかぶっ飛ばせ!


【置】CoC『惑いの欠片』 佐倉&牧志 1

いつの間にかサザエさん時空という名の異変に巻き込まれていきそうだなここは

【置】CoC『ワンナイトショット』牧志&波照間&佐倉 3

「あー……、もしかして佐倉さん、牧志のグラスに盛ったな?」
「盛ったなんて人聞きの悪い。入れ物変えてもらっただけですけど?」

『レミングス・ドリーム』について

特定PC特化オリジナルシナリオについて裏話とぐだぐだ語るフリートーク

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


CoC『VOID』継続『探索者格付けチェック お正月スペシャル改』 1

「年の瀬になんてものを……」

ゆうやけこやけ 第三話『ふしぎなともだち』の一

まずはみんなで自己紹介