こちらにはVOID及び
『AND/HAND』
ネタバレがあります。

本編見る!
ヴィキ
ちなみに、アンテナはVOIDと人間の差異を生み出すためのアクセサリーであって、それがなくても通信にはまったく影響はないのだ
見た目と、何か機能を使用した際にそれを外部へ知らせるホログラフのための出力装置
KP
じゃあ爆発の衝撃で破壊された事にしといて。
今回のボディは貧弱だね。
ヴィキ
HMX-12
マルチと同じです

KP
前回までのAND/HAND
あなたの右手は結城と繋がれているだけではなく、完全に融合している。
その間には何かが挟まれている。
腕には更に銀の腕輪がついており、衝撃を与えれば毒針が飛び出すようだ。
ヴィキ
そういえば、これって禁じ手なんだろうけど、腕パーツをパージしたりして逃げられないかな
KP
それは無理。
いつものボディならいざ知らず、今のボディではやらない方が良い。
ヴィキ
そうなのか
KP
なぜなら、載せ替え時の注意として、これ以上エラーが起きると貴方の精神を正常に元のボディに戻す事ができるか保証できない、と説明されている。
そもそもが、あなたがこのボディで過ごす事になっているのだって、ちょっとした実験への協力だったはずなのだ。
ヴィキ
このボディの設計目的は一体何なんだろうなー
本編とはまったく関係なさそうな話ではある
KP
そんな(手をつっくけるなどといった)狂った処置をした者達はたった今ひとりの男に殺害されて、その痕跡も吹き飛んだ。
本編には関係ないが、貴方方には大事な話かも知れない。
感覚が鋭くなる。その説明通り、爆風を喰らったあなたの全身は痛みを訴えている。
その遮断もできないとは、不便な話だ。
ヴィキ
「イタタタ……」
身を起こす
結城 晃
「大丈夫か? ケガは?」
ヴィキ
「痛覚遮断もできないなんて……」
自己診断プログラムを走らせる
物理的な破損箇所や、負荷がかかりダメージが蓄積した箇所を洗い出す
KP
あちこちにエラーが出ている。特に深刻なのは通信関連だ。
そして相変わらずあなたの右手はデータ上はない。
それなのにそこからエネルギーが奪われてゆく。
ヴィキ
「右手は……なんか、オフラインになっちゃってるから、痛みもないけど……実際の破損箇所は青木さんに診てもらわないと、わからない、かな」
KP
整合性を求めようと診断するなら、エラーが真実の探求を阻む。
【感覚】はあるよ。
ヴィキ
「その他の部分は、衝突によるストレスが少しあるだけ。物理的な破損は無いよ。大丈夫」
KP
手の間に何かが挟まっているのは分かる。
結城は起き上がり、反射的に手を貸そうと手を差し伸べる。
ヴィキ
その手をとり、普段よりも遥かに軽い身で起き上がる
KP
15キロ軽ければ軽いよね!
ヴィキ
米袋3つ分
ヴィキ
「ありがとう。あっくんは? 怪我は無い?」
結城 晃
「ああ、お陰でかすり傷だよ……どこかで手当てしよう」
KP
今の時間は夜中のようだ。
真っ暗な森において、視界はほぼゼロだ。
ヴィキ
「うん……といっても、マキロンとか包帯でどうにかできないのは、この体の不便なところだよ。
ホームセンターでも空いてるといいんだけど」
結城 晃
「とにかく、山を降りよう。
あの男は、『明日の朝に、名無のリストビルに来い』と言っていたな……何か知っているのか?」
ヴィキ
「少なくとも、ここを潰す理由だけはあったみたいだね。
それが、公なものなのか、私怨なのかはわからないけれど。
街に降りたら、報告だけはしないと……」
結城 晃
「そうだな……組織の人間にはあまり、見えなかったけど」
KP
結城は欠伸をした。
だるさ、眠気、空腹が足を引く。
ヴィキ
「眠い? おぶっていってあげようか。
片手が埋まっちゃってるから、肩で担ぎ上げるみたいになっちゃうけど」
結城 晃
「腕捻れないか? いや、いいよ、歩く」
ヴィキ
「機械的にロックを外して……まぁ、脱臼させるみたいにすれば、大丈夫だよ。
機械の体の便利なとこだね」
結城 晃
「痛そうだな。あまりエラー起こすのはまずいって言われたろ?
今の状態だってあまり良くないんじゃないのか?」
KP
要は今の体をあまり壊したり傷つけたりすると、元の体に戻れるか分かんないよって脅されてる。
ヴィキ
「うーん……。何が起きているのかはわからないんだよね。右腕は完全に認識できなくなっちゃってるみたい」
結城 晃
「手を繋ぐのはいいけど、こんな状態はな。タイマー、進んでるんだろ」
ヴィキ
「あまり派手に傷めちゃうと、身体マップが元のボディと整合性取れなくなっちゃうらしいけどね」
タイマーを改める
KP
あなたの場合は完全に時間を認識できるだろう。
タイマーは現実の時間とはリンクしていない。
貴方方の状況により早くなったり遅くなったりしているようだ。
ただ間違いないのは、その数字が刻々と減り続けている事くらいか。
ヴィキ
「今は、むしろ進行は遅くなっているみたい。
お腹も空いてるし、栄養の供給が絶たれると、鈍るみたいだね」
KP
基本は、一秒ごとに減り続けている。
結城 晃
「これ以上おかしな事になる前に、何とかしないとな……」
ヴィキ
「そうだね。ちょっと辛いけど、最低限の栄養補給でどうにかするしか無いかも」
結城 晃
「そうか……とすると、あと二日くらいなのか?」
ヴィキ
「進行は、私たちの状況によって緩急があるみたいだから、実際にどのくらいの猶予があるのかはわからないけど……」
KP
タイマーは52:21:43
ヴィキ
「こんな無理矢理の恋人繋ぎはイヤだよね」
KP
結城はため息をついた。
ヴィキ
「少なくとも、現状を知っているらしい男が、来いと言っているなら、行ってみよう」
結城 晃
「そうだな、今は知っていそうな奴があの男しかいないみたいだ」
ヴィキ
「山道だけど……歩ける?」
結城 晃
「何とか。ヴィキはケガ、大丈夫?」
KP
移動には支障はないが、残りのエネルギーは心許ないかも知れない。
赤外線視覚には幸い異常はない。
ヴィキ
生身より遥かに丈夫なはずの機械のこのみ身を、幾度もこちらを気遣う彼の様子に苦笑しながら
「大丈夫だってば。あなたのパートナーは、普通の人なんかより、よっぽど頑丈にできてるんだから。心配しないで」
結城 晃
「そうなんだろうけど……」
ヴィキ
「でも、ちょっとお腹は空いてる、かな。こいつーーー」
言って、繋がった手を掲げて見せて
「こいつに横取りされるのは癪だけど、下に降りたら、何か食べた方がいいかもね。
わかってるよ。ありがとう、あっくん」
素直に微笑んで、頷く
結城 晃
「そうだなぁ、ヴィキが山の中で動けなくなったら、割と真面目に困るな」
KP
言いながら歩いている、で良いのかな。
ヴィキ
ですね。
「あら。重くって引きずることもできないって?」
ちょっと眉を立てて。
結城 晃
「ははは、いやー、筋肉付けないと抱き上げる事もできないってのは。
ちょっと残念なところではあるかなー」
ヴィキ
「そこは、大丈夫だよ。動けなくなったら俺が抱き上げて歩くさ! ……じゃないのかなぁ。
お姫様抱っこで!」
結城 晃
95キロかー。持ち上げる、のと抱き上げる、は違うくない?
結城 晃
「根性で何ともならない部分もあるんだよな、残念ながら……
まあ、そうなったら何とかするけど。
お姫様抱っこかー」
KP
結城はあなたに手を引かれながら、何やら考え込んでいる。
ヴィキ
「もう、真剣に悩まないでよ。
大丈夫、いざとなったら、木の皮でも石ころでも燃料にして動けるからさ」
KP
便利ィ
ヴィキ
「少なくとも、あっくんよりは空腹に強くできてるんだから」
結城 晃
「でもその、いつものボディならともかく、今のボディだと『まずい』んじゃないのか、それ。
色々な意味で」
KP
そこまで忠実に味覚が再現されているかどうかは、やってみなければ分からないだろう。
ヴィキ
「贅沢言っていられないよ。とにかく、急がないとね。
大丈夫、実用検証用とはいえ、私の常温核融合炉は優秀なんだから。食あたりとは無縁だよ」
結城 晃
「うーん。木や石は料理はできないな」
ヴィキ
『常温』核融合炉とはいえ、その炉内温度は1,000度くらいあるけどね
KP
危険物過ぎるよ。
ヴィキ
それでもトカマク式じゃないレーザー圧縮型だから、小型だし安定はしてる
KP
手の物体そこに突っ込めば急成長するんじゃないの?
ヴィキ
1,000度に耐えられればね>物体
KP
歩くうち、足元が急に開けた。
道路に出たようだ。
瞬間、クラクションが耳をつんざき、大型のトラックが一台あなたたちの目の前で急ブレーキでとまった。
ヴィキ
「うわっと」
KP
運転席の窓から筋肉質の男性が顔を出し、怒鳴りつけてきた。
「あぶねーな!!! ひいちまうとこだったじゃねえか!」
ヴィキ
「あ、ちょうどよかった……じゃない、すみません」
結城 晃
「す、すみません、私たちは」
KP
「…んん? なんだおまえさんたち? 困ってんのか?」
ひげ面の男は身を乗り出し、貴方方の強く繋がれた手と顔を何往復も見る。
そして、訳知り顔に頷いた。
「ああ、ああ、わかる。わかるよ。そうか、そりゃ大変だなぁ。
何も言わずに乗って行きな」
その声は優しかった。
ヴィキ
「えっと」
結城 晃
「あの」
CCB<=40 〈心理学〉 (1D100<=40) > 32 > 成功
「(悪い人じゃなさそうだけど)」
ヴィキ
「何か、妙な勘違いされてるような気もするけど……」
結城 晃
「(こちらの事情を把握したとは思えないな)」
ヴィキ
「(いいよ。下手に身分を明かしたら、説明に時間を取られるかもしれないし)。
すみません、ありがとうございます」
言って、助手席側のドアを開け、手すりに掴まって乗り込もうとする
夜の山道で、VOIDと固く手を握り合った男って
KP
「ああ、片時も手を放さないなんて、あんた達……」
男は少し鼻水をすすり上げた。
ヴィキ
右手で繋がってるなら、あっくん最初に乗らせた方がいいな
結城 晃
「ありがとうございます、お邪魔します」
KP
まあ……結城の感謝の言葉は本物だ。
ヴィキ
「色々事情がありまして……」
結城 晃
「ヴィキ、ぶつけないように気をつけて」
ヴィキ
「ありがと」
手すりに掴まって、ステップを登る
KP
車は夜道を走り出す。
トラックは運送会社の物のようだ。
『火の車運送』とロゴがある。
ヴィキ
「独特な名前の会社……」
KP
「ああ、世の無理解は辛い。辛いよなぁ」
ヴィキ
「あはは……そうですねぇ」
どこまで本当に理解してくれているのは微妙だが、悪い人間ではないらしい
KP
「変人だの、変態だの、心ない言葉に傷つけられるのを、俺は色々見てきたよ……
まったく、誰をどう好きだろうが、人にアレコレ言われる筋合いないってんだよ、なぁ?」
ヴィキ
「えっと……他にも、私たちのような人、いるんですか」
KP
「ああ、たまにね」
男は目を伏せて髭をつまむ。
「仕方ないだろう、心があるってんなら。それくらい。起きらぁな」
ヴィキ
「……ありがとうございます」
表裏の無さそうなその言葉が、少し、胸に沁みた
結城 晃
「ああ、そうですね……当たり前の事だと思うんですけど、私は」
KP
あれ、なんか変にシリアスになってるw
ヴィキ
「VOIDにも、心がある、とお考えなんですね。……えっと」
KP
「鉢屋ってんだ。
しがないトラック運転手よぉ」
男は鼻をこする。
ヴィキ
「鉢屋、さん。ありがとうございます。私は、BR……いえ。ヴィキです」
結城 晃
「私は、結城といいます。本当に助かりました。ありがとうございます」
KP
「いいってことよォ。あんたたち、その様子じゃ今晩困りそうだな。
ああああいいいい、何も言わなくていいよ。いいとこ知ってるから」
任せておけ、と男は歯を光らせた。
ヴィキ
「えっと、いいとこ……ですか。
私たち、明日早くに名無市のリストビルというところに行かないといけないんですが」
KP
「顔が利くとこがあるから、今晩はそこで世話になるといい」
ヴィキ
「……はぁ」
KP
「名無市のリストビル? ああ、そうか。近いから大丈夫。これも運命って奴かもなぁ」
ヴィキ
「運命……」
KP
「しっかし、あそこは廃ビルの筈だよ?」
ヴィキ
「廃墟……そうなんですか?」
KP
「ああ、随分前に店がごっそりなくなってね。そこのオーナーが放り出したままらしくて。
廃墟マニアにも面白くなさそうな、ただの空きビルだ」
ヴィキ
「そうですか……」
結城 晃
「詳しい場所はご存知ですか?」
KP
「ああ、そいつぁな……」
鉢屋はハンドルから手を放し、近くにあったメモ帳にさらさらと地図を書き込んだ。
「行ってみりゃ分かるよ」
ヴィキ
「ありがとうございます」
メモを受け取り
「……どころで、このトラックは自動運転ではないんですね」
KP
「ああ、自動運転だよ?」
ヴィキ
「え、そうなんですか? でも……」
運転手がいますよね、という言葉は飲み込んだ
かつて街で見た、仕事がVOIDに奪われた、というデモの一団の光景を思い出す。
KP
「……ああー……」
鉢屋はポリポリと頬をかく。
「言ってなかったな。俺のVOID。あんたたちが乗ってるこれ。
俺の最愛の相棒、オボロだよ」
ヴィキ
「え、あ」
思わず、口元を抑える
KP
「今は中入っちゃってるから、挨拶とかは無理だけどな」
ヴィキ
「す、すみません、気づきませんで」
結城 晃
「えっ、こんな形の……VOIDもあるんですか?
犬もあるなら車もあるのかなぁ」
ヴィキ
「ちょっと、あっくん。
失礼だよ」
結城 晃
「あっ、そ、そうだよな?」
KP
鉢屋は微笑して遠くを見るようにした。
「いいんだよ、慣れてるからな」
ヴィキ
「交通、特に流通インフラは、真っ先にVOIDの手が入れられた分野なんだから。
むしろ、私の大先輩だよ。オボロさんは」
KP
「随分旧型だからな、あんたたちみたいに自由に動いたり喋ったりはなかなか難しいとこでな。
もう合うボディがこの更にオンボロのトラックしかなかったんだけどよ。
まあ、悪くないもんだよ、これも」
彼が手を触れていないのに、トラックはパッシングをした。
ヴィキ
その様子に、少し、ホッとしたように微笑む
「……鉢屋さんと、オボロさんも、相棒、なんですね」
KP
「ああ、もう互いがいないとしっくり来ない、もう19年来の相棒だね」
ヴィキ
「それじゃ、VOIDがリリースされてすぐの頃から……」
その言葉に、ふふ、と思わず小さく笑ってしまう
KP
「初期はとにかく型の移り変わりが激しかったろ? ピーキーな旧型ではバージョンアップについて行けない奴もあったんだよ」
結城 晃
(やっぱり春さんは特別なのか……)
ヴィキ
「あ、ごめんなさい……
流通のお仕事をされる方は、特にVOIDのことをよく思われない方がいらっしゃる、と聞いていたもので……なんだか、嬉しくなってしまって」
KP
「まあ、な……」
鉢屋はふと遠くを見るような目をした。
「そんなこともあったな」
突然カーラジオが明るい音楽を鳴らし出す。
鉢屋は吹き出すように笑った。
「暗い話はやめろ、だと」
ヴィキ
「ふふ」
KP
「あと二時間は走るから、よかったら寝ときな? 酷い顔だぞ、あんたたち」
ヴィキ
「そう、ですね。ありがとうございます。あっくん、寝てていいよ」
結城 晃
「ああ……タイマー、あまりまずいようだったら起こして……」
ヴィキ
「うん。わかった。
私は、鉢屋さんとオボロさんのお話を、もう少し聞いていたいから、ちょっと起きてるね」
結城 晃
「ヴィキも、少し休んどけよ……」
ヴィキ
「うん。ありがと」
KP
結城は目を閉じるなり寝息を立て始めた。
疲労が限界だったのだろう。

ヴィキ
「すみません。そして、本当にありがとうございます。お仕事中に」
KP
「いいってことよ。あんたたちなんか大変みたいだな」
ヴィキ
「ええ……少し、色々ありまして」
KP
「そうかい……いろいろあるだろうが、頑張れよ。
俺は応援してるからな」
鉢屋はハンドルを撫でた。
ヴィキ
その飾り気のない、しかし暖かな言葉に、なんだか鼻の奥がきゅんとしたような気がした
「あの、鉢屋さん」
KP
「ああ、何だいお嬢さん」
ヴィキ
その呼び方に、また小さく微笑んで
「先ほどのお話……私たちのような方が、他にもいるという……」
KP
「ああ。上手くいったヤツも行かなかったヤツもね」
ヴィキ
「そう、ですか。
えっと」
通信機能を起動し、
「端末、少しお借りしますね」
KP
「ああ、どうぞ」
ヴィキ
彼の端末に、一つの連絡先を送信する
KP
なんとか正常に作動してくれたらしい。
ヴィキ
「その方たちや、鉢屋さん、オボロさんがお困りのことがあったら、そちらへ相談してみてください。もし機会がありましたら、その私たちと同じような方たちにも、教えて差し上げて」

KP
なんだジェリコか
ヴィキ
ジェリコミサイル?(違
スパローの連絡先ね
KP
そうね、スパロー長らく地下組織だったからね。
知名度はまだ高くなさそう。

ヴィキ
「VOIDと人のあり方を、真剣に考えてくれる人たちがいます」
KP
「へぇ? ありがとう。
そんな団体があるのかい」
ヴィキ
「ええ。よりみなさんの力になれるよう、NPO化を目指している段階ではありますが。
いい人たちばかりですから」
KP
「そうかい、そうかい」
ヴィキ
「私からの紹介だ、と仰っていたければ、きっと悪いことはありませんから」
KP
鉢屋は笑った。
「あんたたちには理解者がいるんだなぁ。
それは本当にいいことだ。ああ、良かったなぁ」
ぐすん、と涙ぐむ。
ヴィキ
「ええ……本当に……。色々な方たちに助けていただきました」
KP
「あんたたちもな、困った事があったら連絡おくれよ。話し相手くらいにはなるからなぁ」
ヴィキ
「ありがとうございます……。鉢屋さん」
KP
「俺たちは助けて欲しいときに頼れる人がいなかったんでね。あの時欲しかった助けになれればいいと思ってるのさ」
ヴィキ
「……」
その言葉に、迷うように少し黙り、
「あの、鉢屋さん」
KP
「あん、何だい?」
ヴィキ
手のひらを広げ、その上にホログラムIDを表示する
「私たちの立場は、少し、特殊ですから。お話するのを迷ったんですが。
私たちは、公安部アンドロイド捜査係の者です」
KP
「へぇ!?」
鉢屋は目を瞬かせた。
ヴィキ
「先ほどの連絡先も、そうですが。お力になれることがありましたら、いつでもご連絡を。
警官だなんて、煩わしいかもしれませんが」
小さく苦笑
KP
「警察の方だってよ。へぇー、おっどろいたなぁ!」
無意識か、トラックに話しかけている。
「そりゃますますワケアリなんだろうなぁ。
いやー、おどれぇたね。
そうすると、お連れさんもかい」
ヴィキ
「ええ……彼は、私の……」
寝顔を、目を細めて眺め
「大切な……相棒、です」
その左手の指で、通り過ぎる街灯の光に指輪が小さく光る
KP
鉢屋は嬉しそうに笑った。
「……あー、ってぇと、もしかすると今から行くところは趣味に合わないかも知れない、がなぁ」
指輪をちらと見て目を丸くし。
「問題ないか……」
ヴィキ
「……?
あ、えっとできれば法に触れないところだといいのですが」
KP
「法には触れないが、なんつうかな? 外聞?
いや、そういうのは問題になるかどうかも良くわかんねーしなぁ」
ヴィキ
「外聞……」
KP
まだ到着するほどの時間会話してないからなぁw
「まあなんだ、他意はない。
それは確かだからな? うん」
ヴィキ
「違法でなければ、はい……」
立場上、法に触れてしまうとなれば、流石に放って置けないからなぁ
KP
特に追求しないのであれば、そのままトラックは二時間の道のりを走り続けるだろう。

ヴィキ
結構長いな
KP
名無市広いね。
ヴィキ
今のさいたま市みたいなもんかな
KP
そうかもねー

ヴィキ
じゃぁ、オボロさんとの馴れ初めとか、色々なお話を聞きながら過ごそう
KP
ではオボロさんもたまにクラクションやカーラジオでツッコミを入れたりしつつ。
ヴィキ
その合いの手に、笑ったり、苦笑したりしながら
KP
そのかたときも離れない手にはまる腕輪の数字は、そんな時にも確実に時を刻み続けていた。
ヴィキ
そのバックグラウンドで、青木さんに現状の報告と、ボディデータを送信しておこう
あと、行き先
KP
「いやーガンダムたぁ驚いたね。あんた若いのによく知ってるなぁ……っと」
ヴィキ
「鉢屋さんも、そんなにお詳しいとは思いませんでした」
KP
「いやいやまさか、こんな若いお嬢さんがファーストまで完璧に履修済みとはねぇ」
トラックが速度を落してだだっ広い駐車場に入る。
山は降りて、ここは市街地から少し外れた場所だ。
ヴィキ
運送倉庫とかかな
KP
そこには、明るいネオンに彩られた古そうな建物があった。
それはお城のような形状をしていて、カラフルなライトに照らされている。
ヴィキ
城?
実際の城?
KP
「『火の車運送の鉢屋がよろしく言ってた』って伝えれば、休ませてくれるはずだから」
ヴィキ
「はぁ。えっと……」
何の建物か、わかります?
KP
えーとですね。
あなたは知っているかなぁ。
これは明らかに郊外のラブホだ。
ヴィキ
インターチェンジのすぐそこにあるやつ
「あれ??
えっと」
KP
「こんな場所しか案内できなくて悪いけど。
俺の知り合いがやってるからさ、信頼はできるぜ」
結城 晃
「……ああ、随分寝てたな……」
ヴィキ
「あああ、あっくん?
違うからね? そういうのじゃないからね?」
慌てて取り繕う
結城 晃
「……あの」
ヴィキ
「鉢屋さん、え、そういうことですか?」
結城 晃
「これは一体。」
KP
「いやいや、だから言ったろう、他意はないって」
言って、貴方の指輪を見る。
「それにまあ、問題はないだろう?」
ヴィキ
「え、でも、ここって、入り口のとこにお泊りとか御休憩とか書いてますけど。
意外にリーズナブルなんですね、ってそういうことじゃなくて」
結城 晃
「えっ?」
ヴィキ
「あ、っとえっと」
KP
「ああ、とにかく受付の奴に相談して。まあ一晩ゆっくり休んで考えなって」
ヴィキ
視線の先の指輪に触れて
「ゆっくり休むって、えっと」
結城 晃
「いや俺たちそれどころじゃないんですけど……えっ、ヴィキ、何があったの?」

KP
実は割とギャグシナリオの面もあるんだぜ……
なんか流れでシリアスになってるけど。
ヴィキ
正味な話、なんのかんのと話題に上がることはあったけど、この二人は結局そういうことしたことはあるのだろうか
KP
ない方が面白いかなってKP思ってますけど。
ヴィキ
ではない方向で

ヴィキ
「いや、鉢屋さんが、休めるところを紹介してくださる、って……
確かにご休憩って書いてますけど」
KP
「このあたり宿はコレしかないから。
諦めなって……」
パッパー、とクラクションが無責任に励ましてくる。
ヴィキ
「オボロさん、今のクラクション……違いますからね? そういうことじゃないですからね?」
バックグラウンドでマップアプリ立ち上げて、ビジネスホテルで検索
KP
ビジホやカプセルホテルの類いははこのへんにないみたい。
あっても空き部屋はないようだ。
ヴィキ
「……」
その結果を数度更新してから
「あっくん、行こう」
何か、決意めいた表情で言い、ドアを開ける
結城 晃
「あ、ああ? どう説明したんだ?」
ヴィキ
「何も言ってないよ!」
結城 晃
「うーん」
ヴィキ
誤魔化すように、縋るように左手の指輪を撫でながら
KP
結城は首をひねりながら降りてくる。
ヴィキ
「えっと……鉢屋さん。
色々ありましたけど……ありがとうございました」
ドアを閉める間際、こわばった表情で頭を下げる
KP
「ああ、いいってことよ。
俺もあんたと話せて楽しかったよ。
オボロもまた会いたいってさ」
ヴィキ
その言葉に、ようやく表情を緩めて
「ええ。私もです。
あの……お気をつけて」
KP
窓から親指を『グッドラック』の形に突き上げ。
「じゃあな、詳しい事はよくわからんが、頑張れよ」
ヴィキ
「はい。お二人も」
KP
旧式の大きなトラックは『火の車運送』のロゴをきらめかせて去って行った。
ヴィキ
それに手を振り、見送って
なんとなく、繋がれたまま、動かぬ手ではあったが、そっと握り
結城 晃
「随分打ち解けたみたいだ」
ヴィキ
「……うん。
私たちも、頑張ろうね」
結城 晃
「ああ……」
微笑して言ってから、ネオンきらめく看板を見上げる。
「……え、今? 何を?
いや、そうじゃないよな? 違うよな? さすがに」
ヴィキ
「あ、頑張るってそういうことじゃないからね?
大丈夫だよ、割とビジネスマンの人とかも、仕事で利用してるらしいし」
結城 晃
「さすがにな、うん。
それに折角ならもっとまともな状況で」
ヴィキ
「ま、まともって、何さ。
ここがいかがわしい場所みたいじゃん」
結城 晃
「変な腕輪で繋がれていない状況とか、ヴィキの体が不安定じゃないときとか」
ヴィキ
「あ、ああ、そういうことか……」
結城 晃
「えーと要は、ここ宿泊施設として紹介してもらった、ってことでいいんだな?」
ヴィキ
「そ、そうそう。そういうこと!」
結城 晃
「(うーん、春さんあたりに知られたら大変な事になりそう)。
(主に春さん自身が)。
とりあえず行こうか。疲れているのは確かだし」
ヴィキ
「うん……」
KP
結城が先に立って歩き出す。
結城 晃
「(俺、ラブホなんて初めてだよ……)」
ヴィキ
相手の切り替えの早さというか、切り替えたら割と堂々としてしまう辺りに、なんとなくもやっとしたものを抱えながら、後に続く
「うわ……なんか、お部屋の写真がたくさん……」
KP
こういう場合、こちらがちゃんとエスコートしないと気の毒だろう、と思ったのであるよ。
ヴィキ
「ねぇ、あっくん。これ、どうやるの?」
結城 晃
「うーん、分からないな……」
KP
結城は物珍しそうにキョロキョロしつつ進む。
ヴィキ
「ランプが消えてるとこは、埋まってるってことなのかな……」
それということは、つまり
何かを連想して、
「うわー」
と声を漏らしている
結城 晃
「……あー、そういうことになるかー」
平常心平常心。ここはただのホテル。
KP
奥に受付が見える。
ヴィキ
受付タイプか、そうか
なかなかハードル高いタイプだ
「そういえば、受付で鉢屋さんの名前を出せばいいって……」
KP
「いらっしゃい」
ヴィキ
「あのー……すみま……っ」
おっかなびっくり声を出そうとしていたところを先に言われ、慌てる
KP
カウンターの中から声がした。受付の窓から、今磨いていたらしい爪をふっと拭いている女性の手元が見える。
「宿泊は一律7000円でーす」
ヴィキ
相手の姿丸見えタイプw
さすが郊外
「下手なビジホに泊まるより、確かにいいかも……」
明朗会計だし、とどうでも良いことを思う
「えっと、すみません。私たち、鉢屋さんのご紹介で……」
KP
「あら……
あら、ハッチャンとこの……。まったくあのひとったら…相変わらずお人好ししてるのね……」
ヴィキ
「あ、ご存知ですか」
KP
女性の声はくすりと笑ったようだった。
「昔、ちょっとした、ね」
ヴィキ
「ちょっとした……はぁ」
おいくつくらいの人なんだろう
KP
50代くらいー
「VOIDに恋人取られるなんて、笑っちゃうでしょ?」
ヴィキ
「えっ」
思わず声を出してしまってから
「あ……もしかしてオボロ、さん」
KP
「ああ、そうよぉ? トラックに乗せ替えてまで添い遂げるとか言われたら、ねぇ、もう太刀打ちできないわよね」
随分昔の事なのだろう。女性は話の内容と裏腹に明るく笑っていた。
ヴィキ
「あ……」
その言葉と表情に、こちらも少し表情が和らぐ
KP
「女性型ですらないのに負けちゃうなんて、もう失礼しちゃうわよ」
ヴィキ
「お似合い、ですもんね……お二人」
なんか小恥ずかしいような気がして、耳を覆うアンテナの上を掻く
KP
「女としちゃあ悔しいけどね。
いいわ、わかった。じゃあ、お代はハッチャンにつけとくわね」
ヴィキ
「あ、そんな……お支払いします」
KP
「ああ、いいのよいいのよ、いつもの事だからね。
朝食もサービスするけど、何時にもっていったらいーい?」
ヴィキ
「ありがとうございます。それじゃぁ……」
結城の顔を見やる
結城 晃
「六時半にお願いできますか」
ヴィキ
「早っ。
大丈夫?」
その言葉は、双方に対してのものかもしれない
結城 晃
「あまりのんびりしてもいられないからね。
具体的な時間指定がなかったから、早めに動いた方がいいかと思って」
KP
「六時半ね? 大丈夫よー」
ヴィキ
「それは、そうだけど……
ありがとうございます」
小さく会釈して
KP
「チェックアウトは、10時までにここのポストにルームキーをかえしてってね」
カウンターに鍵が置かれる。
ヴィキ
「あ、はい……」
受け取る
KP
「じゃ、ごゆっくりどうぞ」
窓から真っ赤なマニキュアの指がひらひらと翻ったのが見えた。
結城 晃
「部屋……こっちかな」
KP
どことなくぎこちない動きで結城が先に歩く。
ヴィキ
キーナンバーが刻まれた、手の中のアクリルのキーホルダーに視線を落としながら
「うん。
……もしかして、あっくん、こういうとこ来たことあるの?」
結城 晃
「ど、どうしてそんなこと。あるわけないだろ!」
ヴィキ
「ほんと?」
結城 晃
「ないって。それどころじゃなかったんだから」
ヴィキ
「あ、そっか……ごめん」
結城 晃
「ヴィキと会ってから、まさに嵐のように色々体験できて楽しいよ。
……こういうのは、遠慮したかったけど」
言いながら右手を少しあげる。
ヴィキ
「うーん……確かに。
ありがと」
なんとなく、そう言って
「ね、これが解決したら」
結城 晃
「うん」
ヴィキ
「今度デート行く時は、こうやって手を繋ごっか」
結城 晃
「そうだな。そうしよう」
ヴィキ
「ん」
はにかむように、微笑む
結城 晃
「間に変な物が挟まっていたり、くっついていたり、まあ色々アレだけど。
手を繋いだところが暖かいのは、嬉しいんだ」
ヴィキ
「……」
思わず、変な顔になる
「あっくんて、たまにそういうの照れずにさら、っと言うよね」
KP
その言葉を受けて中空に視線を彷徨わせ。
結城 晃
「俺だって日々色々考えてるんだよ、こう見えても」
KP
その声は少し低かった。
ヴィキ
「色々?
たとえば、どんなこと?」
なんとなく、彼との距離を詰めて
結城 晃
「例えば?」
KP
しばらく沈黙して、何故か赤面。
結城 晃
「未来の事とか!」
KP
そんなざっくりした言葉で誤魔化す。
ヴィキ
「え~? ざっくりとしすぎ~」
なんとなく、意地悪な気持ちで彼を言葉で突きながら
KP
結城が足を止めた。
貴方方の目の前には、未知の世界への扉がある。
未知への扉は、ちょっぴり塗装がはげていた。
ヴィキ
扉を見やる
「えっと……
あ、開ける、よ?」
結城 晃
「開けよう」
KP
どちらからともなく手を伸ばす。
ヴィキ
特に色気もないステンレスの把手の上で手と手がぶつかって、二人でわたわたしてから、開けよう

KP
といったところで本日はここまで!
ヴィキ
お疲れ様です!
KP
想像以上に伸びましたなぁ。面白かった。
おつかれさまー。
ヴィキ
ラブホかぁ
KP
そうなの。
性別関係なくご案内されるよ。
ヴィキ
アッーーー!
KP
私がPLで行ったときは男同士だったね……


CoC『VOID』15 9日目(秘匿オープン版)

CoC
VOID 9日目 open
■個性はそれぞれ、ありますよねー。
ヴィキ ガンダム:S
田尾 スルースキル:S
春 おしゃべり:S
結城 サングラス:S
おい最後!!

CoC『VOID』13 7日目

CoC
VOID 7日目 close
■みんな仲良しだから……
NPCはちゃんと働くし、
一緒に盛大な判定失敗して慰めるし
女子だけど男子トイレに侵入しようとしちゃうんだ☆

CoC『VOID』25

CoC
VOID 18日目 close
「……なんか、見つけてしまいました……なんか、ごめんなさい」



本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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