こちらには『1100』のネタバレのほか、
『AND HAND』『瓶の中の君』『対の棲みか』『100万回目のハッピーバースデー』『機械仕掛けの街』『欠落コディペンデント』
ネタバレがあります。
※他のシナリオにも言及していますが、明言されていないものなどは除外しています。


佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年。
とある事情で一年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。本来の彼は北国の生まれであるらしい。
最近、首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がついた。たまに痛むという。

佐倉とは友人。

【地獄はやさしいネタバレ】牧志が抱える事情
元エピソード『地獄はやさしい』波照間

牧志はとある事件の影響で『ショゴスの【紅】』だった時期がある。【紅】はその時に悪魔使いの波照間紅と世界を救う大立ち回りをしている。
最終的に世界を救い、彼は牧志浩太として復活する事はできたが、波照間紅の記憶が85%上書きされた状態であった。牧志浩太自身の記憶はほとんど失われてしまっている。
そのため以前は悪魔使い【波照間】・強靱な【紅】としての記憶に振り回される事もあったが、最近は落ち着いた。筈だったのだが……




Call of Cthulhu『1100』
mnt 様


あなたたちはとある神話的事象の中で出会い、ともに数々の冒涜的な困難を乗り越えてきた。
 「えっと……どちら様、ですか?」

タイトル:1100(読み方:イチイチゼロゼロ)
人数 :KPC+PC1人のタイマン形式
時間 :推定4~6時間(ボイスセッション)
ロスト :有
舞台 :現代
推奨技能 :これまで使ってきた技能、あなたらしい技能
準推奨技能:コンピューター(無くても OK)
非推奨 :低 SAN 値

あんなに頑張って数々の困難から一緒に生還してきたのに、KPC から一方的にきれいさっぱり忘れ去られます。“重継続”探索者限定タイマンシナリオ。

KP
三人で不思議な店を訪れた、あの事件から少し。

あなたはいつものように仕事をし、いつものようにマッカレートの悪化にぼやき、
いつものようにエネルギーバーをかじり、いつものように……

ふと、違和感に気づく。
最近、牧志からの連絡がない。

ここの所、数日。いや、一週間以上。
何だかんだとくだらない話をしていた牧志から、ぱったりと連絡が途絶えていた。
あなたはふと心配になるかもしれない。牧志は何かと妙なことに巻き込まれやすい。(あなたもだが)
それとも、まあそんなこともあるかと思って、いつものように仕事に励むだろうか。
佐倉 光
ここしばらく、ちょっと面倒な仕事で駆けずり回っていて日常から離れていた。
よくあることだが、仕事モードになっていると経過した時間を忘れてしまいがちだ。
ようやっと日常に戻ってきて、自分の食欲を思い出すと同時に、牧志からの返信が途絶えていることに気付く。

一日二日連絡がない、その程度ならまああるだろう。
忙しい、とか、返信するのを忘れた、とか、まあ色々。
あいつにはあいつの生活があるし、こっちはこっちで異界にいて連絡できないなんて事もちょくちょくある。

三日、四日となると少しは気になる。
けどまあ、その程度で心配になるのは、もしかしたら俺の距離感がおかしいのかも知れない。
俺自身だって疲れすぎて連絡を先送りするなんて事、あるし。

五日、六日。
ここまで途絶えたことは今まであまりない気がする。
一度、激ムズ問題をクリアして先に連絡いれた法が勝ち、みたいな遊びをした時くらいか。

『牧志とのくだらない会話』はもう日常の一部だ。
それが一週間途絶えたら? それはもう明らかな異常だ。
最近あったストーカー騒動なんて、発覚から二日で牧志に危機が迫ってたんだ。
あいつ、また何かに巻き込まれているんじゃないのか?
波照間さんから何も言ってこないのだから、何か重大なことがあったわけではないと思うんだが……

『最近連絡ないけど、生きてる?』

メッセージを一本入れる。
佐倉 光
波照間さん音信不通一日で心配になってるのに、牧志一週間放置は変だろうなと思ったので、死ぬほど忙しかったことにしました。
KP
返事が── ない。
朝。
昼。
大学の授業が終わるだろう時間まで待つ。

返事が、ない。

夜。
メッセージが一本。

牧志からの返信か?
違った。

同じように異様に忙しかった(仕事と大学の両立で、終わった後丸一日ぶっ倒れていたという)波照間からのメッセージだった。

『牧志と連絡が取れない。佐倉さん、何か知っているか』
KP
それは確かに。
波照間もメッチャ忙しかったことにしました。
佐倉 光
佐倉の〈日本語〉95は、【EDU】19とかいう酷い数値の賜だった……
独学でそこまで行けるならもっとまともなことやんなさいよ。
KP
佐倉さんの〈日本語〉95、この前の話を思い出しますね…… 独学で【EDU】19まで至るの、血を吐くほどに勉強したんだろうな。
佐倉 光
波照間さんの返信を見て背筋が凍るような思いをする。
確実になにかあっただろう、これ。
波照間さんに返信。

『いや、俺も連絡取れてない。
ちょっと様子見てくる』
KP
『ありがとう、頼む』
波照間からの返信。
佐倉 光
嫌な汗が滲む感覚。
出る準備をしつつ電話をしてみる。
佐倉 光
多少非常識な時間でも電話するし突撃しますよ!
今までも結構そんなことあったしね。
KP
コール音。数度。
留守番電話に切り替わる。

電話が取られることは、なかった。
佐倉 光
本格的におかしい。
嫌な想像ばかりが浮かんでしまう。

いやいや、記憶を取り戻しただけかもしれない。
そう、それならむしろ良いことの、筈で。

それを素直に喜べないことに少し驚きつつ、フル装備で家を出る。
今何時くらいです?
KP
夜8時くらいだ。夕食を終えて一息つく時間。
佐倉 光
それなら連絡なし電話にでない、は心配だな。
迷わず凸だ。
フル装備といっても銃器は……かなり迷ったがさすがに置いてくか。
職質受けたら一発アウトだし、そんなのに巻き込むわけにも行かない。
KP
あなたは装備を整え、牧志の自宅へ向かうだろう。平穏な夜風と街明かりが、焦るあなたの頬を撫でた。

彼の住む部屋が近づいてくる。
遠目に確認する。部屋の明かりは、ついていた。
〈目星〉または〈聞き耳〉をどうぞ。
佐倉 光
1d100 85 〈目星〉
Sasa BOT 1d100→41→成功
KP
部屋の前に誰かいる。
高い上背。大きな背中。短い髪。

東浪見だ。
届け物か何かを渡しながら、部屋の中の人物と何か話している。
佐倉 光
東浪見? ってことはあいつ、いるのか?
大股に近づいてゆく。
いつもなら東浪見と一緒にいる時に積極的に声はかけないが、今回はまず無事を確かめたかった。
部屋の人物は誰だろう。
KP
玄関に立つのは、牧志だった。
元気そうにしている、ように見えた。

東浪見はいつものように元気な、しかしどこか寂しそうな声で、彼に何事か言う。

東浪見があなたに気づく。
気まずそうに、その場を立ち去ろうとする。
KP
気まずい顔する東浪見、何気にレア。
佐倉 光
なんだよ、いるじゃないか。元気そうじゃないか。
そんな感情が先に立って、東浪見のおかしな様子は隅に追いやられた。

二人に声をかける。
「久しぶり!
何だよ、何かあったかと思ったじゃないかよ。ちょっと心配するところだった。
何、病気でもしてたのか?」

東浪見が見まいに来て差し入れでも渡してたんだろう。東浪見が何となく暗かったのはそのせいだ。
それにしたって連絡の一本くらい寄越せよって思うけど、早く確認に来なかった俺が悪いよな!

冷静さを失った頭の中で、勝手にストーリーが組み上げられて行く。
そうだ、そうに違いない。決定的に悪いことなんて起きていない。
東浪見 空
「あ……、」
東浪見が気まずそうに、あなたを振り返る。
KP
彼が何か言おうとした、それよりも牧志があなたに気づく方が先だった。

彼はあなたを真っ直ぐ見なかった。
代わりに、困ったようにふわりと眉を下げて、横の東浪見を振り返る。
牧志 浩太
「えー……、と。あー、うん。東浪見、この人は?」
東浪見 空
東浪見が観念したように軽く肩を落とした。

「佐倉さんだよ。一年とちょっと前だったかな、牧志と知り合ってさ。随分仲良くしてた」
牧志 浩太
次に、牧志があなたを振り返る。

「んー、そっか……。君、俺の友達だったんだよな? ごめん、俺さ、ここ一年のこと忘れちゃったみたいで」
KP
あなたは、異変に気づく。
あなたを見る目が少し視線を落とすような、少し幼いものを見るような目だった。

あなたは、異変に気づく。
彼から、注意深く慎重で頭の回るあの雰囲気が、負った影とともに消えていた。代わりに、柔らかく周囲を和ませるような雰囲気を纏っていた。よく似た別人のようにすら見えた。

あなたは、異変に気づく。
彼の首筋からあの痣が消えていた。
SANチェック成功時減少 1D3失敗時減少 1D6
佐倉 光
1d100 83
Sasa BOT 1d100→48→成功
1d3
Sasa BOT 1d3→2
SAN81に。

冗談は止せ。
そんな言葉は引っ込んだ。
あいつの首に痣がない。
あいつの雰囲気が違う。
第一、東浪見も牧志も、俺と違ってこんな悪ふざけをするような奴じゃない。

少し前に酒場で見たことを思い出す。
時間が戻る。そんなこともあるのかも、知れない。

「そ、そうか、ああ、つまり、俺の事忘れてるってことは」
例の事故、いや大事件の前。
あいつが失った時間に戻った、ということか。
本来の、あるべき姿に。


そうか、良かったな、家族の事も、夢の事も思い出せて。
良かったな、痣が消えて。きっと変な事件とも縁が切れるさ。
良かったな、俺達みたいな、裏の人間との繋がりがなくなれば、普通に生きていける。
良かったな。牧志にとっては、たかだか一年ちょいの出来事より、人生の大半を取り戻す方が良い事じゃないか。

理性が嫌になるほど良い子ちゃんな言葉を囁いている。

大体、牧志と関わらなくなれば、俺だって奇妙な事件に遭遇しなくて済むだろう? 余計なことに心をかき乱されたり、思考する時間を奪われなくて済む。何者に乱されることもない、一人に戻れるんだ。
それが気に入らなければ、また改めて友人になっても良いだろう? 思い出はこれからだって作れる。


「ふざけるな」
気が付けば歯噛みしてそんな言葉を口走っていた。
手首をぐるりと巻いた痣が、熱を持った気がした。
KP
彼は、不思議そうに戸惑うように、あなたを見る。
佐倉 光
ただ忘れられるんじゃなくて、牧志の場合半分別人になってるんだもんなぁ……
東浪見も以前似たような思いをしたんだろうな。
だから、もう一度友だちになれば良い、っていうよくある解決方法じゃ納得できなかった。
KP
なんですよね。忘れられるだけじゃなく、そこにいるのはもう知っている彼ではない。

東浪見は一度似たような思いをしているから、牧志が戻ってきてもどこか寂しそうな顔をするし、佐倉さんにどう接していいか分からなくなってる。
KP
あなたと彼の立つ距離が遠かった。きっと聡いのは変わらないのだろう、あなたの洩らした声の感情に気づきながら、その理由が分からないという顔をしていた。
佐倉 光
「俺は、佐倉光。……何でも屋をしてる」
ハッカーも悪魔使いも悪魔退治屋も胡散臭すぎる。

「お前と会ったのは一年半くらい前。ちょっとしたトラブルで手を放せなくなって」
なんだよ。ちょっとしたトラブルって。
「あと、瓶……閉じ込められた俺を助けてくれたり、猫に」

愕然とする。一つとして経験していない牧志に、真面目に聞いて貰えそうな話がない。
「ともかく、色々一緒に乗り越えて、助けたり助けられたりしてんだよ。
本当になにも覚えてないのか?」
牧志 浩太
「ああ、うん。トラブルに、瓶……?」
不思議そうに、彼はあなたを見返す。
一度目を瞬いて、思い出そうとして…… 全く見当がつかない、そんな顔をした。
1d100 76 牧志の〈心理学〉
Sasa BOT 1d100→85→失敗
「うーん……、ごめん、俺のことなんだよな、それ?」
あなたが何を言っているのか分からない。見慣れた色なのに違う色にすら見える眼は、ただそう言っていた。
佐倉 光
埒が明かない。
東浪見もいるんじゃ思いきった話もできない。

「ちょっと話したい。
俺が勝手にお前の知り合い名乗ってる不審者じゃないってことは分かるだろ?」
ちら、と東浪見を見る。彼に感謝しなくてはならない。少なくとも知り合いであることは保証される筈、だ。
牧志 浩太
「うん、分かるよ。東浪見にも聞いたし」
東浪見 空
東浪見はおう、と頷いて、あなたの表情と牧志を交互に見る。

「それじゃ牧志、俺帰るから。またなー」
東浪見は手を振って、その場から立ち去る。
牧志 浩太
「またな。色々ありがと」
牧志はひらりと東浪見に手を振った。

KP
牧志、よりによってここで〈心理学〉失敗する。佐倉さんの気持ちがわからない!
東浪見はなんとなく、佐倉さんが込み入った話をしたがっているのを察して撤退しました。
佐倉 光
ありがとう東浪見。

佐倉 光
東浪見を見送って、少し考える。
こういうときは多分、ファミレスでも行くのが適当ってもんだろう。

しかし話したい内容を考えれば、逃げ場がなくて、同時に自分のエリアという余裕もでき、どんな話をしても問題ない、牧志の部屋にすべきだ。

「上がっていいか?」
さも当然のように。
いつもの牧志の強引さを真似して、一歩踏み込む。
牧志 浩太
「えっ? あ、うん。いいけど」
一歩、踏み込まれ。
彼は少しとまどい。

しかし、さも当然のように踏み込んだあなたの強引さに、道を開けた。
本編見る!
佐倉 光
部屋に上がり込む。
上がったのは初めてじゃない、というか、一晩寝たこともあったな。牧志として。
佐倉 光
互いの部屋ってどの程度入ったことあるんだろうね?
何となく遊びに行って、上げて貰うこともあるんじゃないかなってイメージなんだけど。
KP
そのイメージでいいんじゃないでしょうか。
今度は宅飲みにしよう、なんて話もしてましたしね。

佐倉 光
何となくいつもの場所に座る。
牧志 浩太
「慣れてるなー。やっぱり、俺の友達だったんだ。佐倉、だっけ?」
その様子を見て麦茶でも持ってこようとして、ポットを探す。
と、思ったのと位置が違うらしく少し手間取る。
この一年半で、物の置き場所などが変わっているのだろう。
佐倉 光
「ああ。佐倉光。
お前と会ったのは、一昨年の11月だよ。ある組織に捕まって、手と手をひっつけられて、外したら死ぬ腕輪はめられて閉じ込められてた」
肩をすくめて笑う。
「なかなか刺激的だろ?」
牧志 浩太
「えっと、いきなり話がぶっ飛んでるんだけど」
困惑した様子で、麦茶を入れたマグを差し出す。
そのカップは、あなたも見慣れたシンプルなデザインのものだった。
佐倉 光
「だろうね。サンキュ」
麦茶のカップを受けとる。
「ちなみにその時は俺が腕を切り落として何とかした。これがその跡」
ぐるりと赤い痣がとりまく腕を見せる。
「その時に、お前が持ってた工具セット……亡くなったお爺さんの奴。火事の現場から掘り出したのも、俺だよ」
言いながら視線で棚の上を指す。
牧志 浩太
「うわー、ボロボロになってる……。いつの間に」
棚の上のそれを見て、驚いたように口にして、それを開けて中身を確認。
そっと、やさしい手つきで元の場所へ戻した。
「……そっかー、爺ちゃんのこと話したんだな。腕を落とした? とか、ちょっと信じにくいけどさ、友達だったってのはそうなのかも」
彼は少し姿勢を直し、あなたの眼の中に失われてしまった思い出を見つけようとするかのように、あなたに同じ目線で向き合った。
佐倉 光
「まあ、普通の思い出もあるよ?
夜通しパズルやったり、波照間さんと飲みに行ったり、図書館籠って調べ物したり、普通に飯食ったり、突発ドライブしたり、さ。
そういやお前の携帯にそういう、最近の写真とかないのか?」
写真、といえば。
創作料理店で撮った自撮りを探す。今あるかな。

佐倉 光
こうやって思い出話してて良い感じなんですかね。
KP
話しているとほどよいところでイベントが発生します。
思い出話してて問題ありません。
佐倉 光
ちなみに、シナリオの都合次第ですが、知ってる限りのことを話す、今まで行った場所を遡りドライブ、くらいは考えますね。
あと波照間さん絡みは、一度死んだってこともセットになるから、なるべくどうしようもなくなってから話そうと思っている。

牧志 浩太
「波照間さん? その人も、俺の友達?」
KP
あなたが写真を探すと、あなたの端末からはその写真やメッセージの履歴が、ちゃんと出てくる。あの事件に巻き込まれた時のメッセージ。普段のくだらない話。突然思い立って行った突発ドライブの時の写真。

あの料理店での自撮り。
牧志 浩太
「あー、ごめん……。消えちゃってるみたいだ。東浪見のとかはあるんだけどな」
彼は自分のスマホの画面をあなたに示す。

【アイデア】
佐倉 光
1d100 85【アイデア】
Sasa BOT 1d100→90→失敗
KP
あなたは、そこにあなたの姿が無い事にだけ気づく。
あなただけではなく、波照間の姿もない。
そして、あの一年前より後の日付の写真、なんでもない日常の写真はある。

佐倉 光
失敗してるけどそれには気づけるということか?
KP
そうそう。成功するともっと明確に気づくことがあるところでした。
佐倉 光
なるほどー。

KP
そこには彼の日常があり、その中にただ、あなたの姿はない。
あの11月から続く、なんでもない日常のように見えた。
そこにあなたはいなかった。
佐倉 光
俺や波照間さんだけが綺麗に消し去られて、事件なんかなかったみたいに……このままの牧志がずっと生きてきたみたいに。

そんな馬鹿な。

KP
特にこんなシーンをやりたい! っていうのがなければ、佐倉さんのリアクションもらってそろそろイベント起こそうと思いますが、問題ありませんか?
シナリオ都合的には、どのタイミングでイベントが起きてもOKです。もっと話したりしてからでも、今でも。味わいたいこの状況。
佐倉 光
おっ、何が起きるんだろ。
各シナリオでの佐倉目線のアレコレをちょろっと話すとか考えてますが、今じゃなくても話す機会あるようなら後でも良いかな。
KP
ああー、その機会はないかも。じゃあその話があったあとにイベントを入れることにします。
イベント入ると大きめに事態が動くので。
佐倉 光
じゃあその辺話してちょっと凹んでおこう。
KP
シナリオの話をしてもらえるなら、この後の展開的に丁度いいかもしれません。

佐倉 光
時間が戻った、なんて単純なものじゃない、のか?

背筋が寒くなった。
「俺の偽物を暗号で炙り出したことも、内蔵なくした俺を庇ってくれたことも、機械になりかけたことも、一緒に派手な誕生日祝ったことも全部なかったことになってんのかよ。全部取られかけてた俺を助けてくれたこともあったよな。猫になってたときも最後には気づいてくれたろ。瓶詰めのときは絶対無理だ見捨てられるって思ってたのに、蛇野郎に追いかけられて怖いくせに一歩も引かなくて」

思い出すままに捲し立てる。

「お前の中に残ってないのか?
一つも?」
牧志 浩太
「……」
じっと、彼は。

あなたの眼に映る己の姿に、その記憶を探し出そうとするかのように。
あなたの眼の色に、その手掛かりを見つけようとするかのように。

捲し立てるあなたを、じっと見つめた。

いきなりやってきてぶっとんだ事を言い出した青年を相手に、そうやって見つけようとするような、そういう誠実な所だけは変わらないようだった。
KP
しかし──
彼が寂しそうにひとつ、目を閉じて首を振ったのが見えた、そのとき。
どこからか、場違いに楽し気な声が聞こえた。

「み~つけた!」
それを境に、あなたの意識は白い世界に飲み込まれた。

KP
漂っている。
波に揺られるような感覚。
しかし息苦しさはない。
ゆらりふわりと流れ続け、
そして、ゆっくりと意識が浮上する。

〈聞き耳〉
佐倉 光
1d100 60 〈聞き耳〉
Sasa BOT 1d100→28→成功
冷静さを失って吹き出した感情に乗せて流れ出した言葉が途切れる。

暴走しかけた感情を冷静さに引き戻したのは、皮肉にもあからさまな異常。
KP
ジジジ……というノイズ音が、あなたの耳に微かに聞こえる。

周囲を見回せば、そこは薄暗い廊下のような場所だった。
遠くから微かに、何らかの爆発音。

ふと、あなたは自分の手に、何かが繋がっていることに気づく。
そちらを見やれば、
牧志 浩太
困ったような、少し罪悪感を帯びたような、見覚えのある表情をした牧志の片手と、あなたの手が銀色の腕輪を介して繋がっていた。

KP
補足。佐倉くんの記憶はちゃんと直前のシーンから繋がっています。
流れ出した言葉が途切れたあと、異常に気づいたら突然この状況でした。

佐倉 光
「……は?
あれ、待て、この状況」
目をしばたいて、青ざめる。
「夢? じゃない? ああ、待て、確か……
部屋から脱出したところ、だよな?」
つい隣の牧志に問いかけてしまう。
牧志 浩太
「えっ? あ、ああ。そうだよ。あの銃を持った男が去っていって、リストビルに来いって」
一度目を瞬いて応える牧志は、あの別人のような眼をした青年ではなく……、
あなたの記憶にある、一方的に秘密を抱えていた、あの彼になっていた。
「どうする、このまま出るか?」
彼は研究所の出口を見つめてあなたに問う。
その眼に、その背に危ういアンバランスさがあることが、今のあなたには分かる。
佐倉 光
手にぶら下げた消火器を見下ろして、状況を整理する。
「倉庫だ。俺達の荷物がある筈だ」
記憶を手繰り、扉を指差す。
「付き合ってくれ」
聞きたいことは山ほどあるが、のんびりしていられる状況じゃない。
牧志 浩太
「ああ、分かった」彼は頷き、あなたと共に走る。
KP
倉庫の扉は、あの時の記憶のままに開かれていた。

倉庫の中を見ると、あなたたちが普段持ち歩いている荷物が見つかる。
しかし財布やスマホはないようだ。

……あなたはその中に違和感を覚える。
〈目星〉
佐倉 光
1d100 85
Sasa BOT 1d100→56→成功
KP
荷物の中に、見慣れないメモが紛れている。
メモを開けば、

「彼のことをよく思い出して
彼のことを教えて
彼のかけらを集めて
彼を取り戻したいなら、嘘はつかない方がいい」

そんな、見た事のない文字が目に入った。
佐倉 光
手早く荷物を回収。
してみたらメモがあるのに気づいた。

読むうち、口許に笑みが浮かぶ。
なるほど、なるほど。

嬉しかった。
『これもまた牧志と一緒に巻き込まれた異常事態に違いない』
そう思えたからだ。

おそらくこれは、当時の、俺か牧志の記憶の再現。
かつてあったことを再現しろ、そういうことだ、きっと。

「やってやろうじゃん」

メモをポケットにねじ込んでニヤリと笑った。

すると、だ。
俺は、ここにおそらくあるであろう牧志の工具箱を探そうとしてはいけないことに、なるな。
まあ爆発まで時間もなかった筈だし。

「牧志、あっちの部屋も見ていこう。何か分かるかもしれない」
最初はスルーしていこうと思っていた事務室か何かを指差す。
牧志 浩太
「どうしたんだ? なんだか嬉しそうだけど……」
あなたの悪魔カードを安堵したように眺めていた彼は、あなたの様子に不思議そうに振り返る。
KP
事務室の扉も、あの時の記憶のままに開いている。
モニタールームのようだが全て電源が落ちている。資料棚に整然とファイルが並べられている。
探すならば〈図書館〉
佐倉 光
1d100 85 〈図書館〉
Sasa BOT 1d100→63→成功
確かここに俺達の資料があった筈……
記憶を手繰って資料を探す。
KP
それは現状に関係する資料とファイル、だったはずだ。
開いたそれに重なるようにして、誰かの日記のような文章が浮かび上がってきた。
「ここ数日、ずっと誰かに見られている気がする。
物陰からとかじゃない。薄い膜の向こう側から見られているような感覚だ。

佐倉さんと先輩に連絡しないと」
牧志 浩太
「……うげ……。こんな所で予感が合ってほしくはなかったな」
漏らす彼の声はあなたの記憶にあるままで、
彼に、その日記のような文章は見えていないようだった。
佐倉 光
「あ、ああ、どうして捕まったんだ、俺。一応、これも持って行こう」
返事は上の空だ。

この牧志には見えてないけど、この日記は多分、牧志のだ。
なんだ、やっぱり面倒に巻き込まれてるんじゃないか。
ってかまたストーカーかよ。

しかし、嘘をつくな、というのは、当時と同じ行動を取る、ってことでいいのか? さすがに喋った内容まで細かくは覚えてないぞ……

「そろそろ良いだろ、脱出するぞ」
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
KP
あなたたちは、出口に向かって足を進める。
あなたはそこに、出口を塞ぐように、タッチパネルを備えた小さなモニターがあるのを見つける。

そこにはこんな内容が表示されていた。

「隣の彼の名前を入力してね」
※ 任意の内容を入力できます。
佐倉 光
軽くずっこける。
「こんなのなかっただろ!」
思わず叫ぶ。
牧志 浩太
「えっ? え、佐倉さん、どうしたんだ?」
あなたの叫びに彼が振り返る。
佐倉 光
「あ、ああ、お前にこれは見えてないんだな?」
タッチパネルを指して訊く。

分かってきたぞ。こういうのにも覚えがある。
五つの質問、だ。今回も五つかは知らないが。
牧志 浩太
「これ? これって?」
何もない所を指すあなたを彼は不思議そうに見る。
彼の手はモニターに触れることはない。
佐倉 光
「ああうん、知ってた」
思わずため息ついてそう返す。
「気にしなくていいよ、こっちの話」

タッチパネルには『牧志 浩太』と書く。
字、これで合ってるよな?
俺の知らないこと訊いてくれるなよ?

っつーかここで、流星野郎って書いたらその名前になるのか?
KP
ジジッ、とモニターの下から少し古風なプリンターの音がし、そこからこう書かれた紙切れが出て来た。

「XX4442X」
それは数字の羅列だが、一部掠れて読めないようだ。
佐倉 光
「なんだこれ」
何かの暗号だろうか。首を捻りつつもそれを覚えてからポケットにいれる。
KP
あなたがそれをポケットに入れると、周囲の風景が真っ白に染まっていく。
通路、出口、モニター、隣の牧志、なにもかもが。
佐倉 光
なるほどそういう
KP
そういうこと

KP
次の瞬間。
あなたたちはヘビ人間に追いかけられていた。

あなたは手こそ自由になっているが、瓶の中だ。何もできない!
あなたを持った牧志が廊下を曲がって部屋に飛び込む。
遠くから、激しく物に当たる物音。
遠くから何かが割れる音。牧志の背が震えるのが、あなたの持つ瓶に伝わる。
佐倉 光
今思えば、こうなったのは俺のせいだ。

この後は、どうなったっけ。
確か……
まだ調べていなかった倉庫で武器を、毒ガスを探すんだった、よな? 確か。
瓶の中で胡座をかいて、なんとか思い出そうとぶつぶつ呟く。
それにしても、繋がりが急すぎてついて行くのが大変だ。
できるだけ思い出しておかないとな。
物音がやんだら、牧志に声をかけよう。
KP
ガチャン、と重々しい音が響いた。
かなり大きな扉が開閉する音だ。
おそらくそれは、玄関の方から聞こえた。

は、と牧志は詰めていた息を吐く。
牧志 浩太
「あいつら、外に、出たのか……。ごめん、やらかした、佐倉さん」
あなたの声に反応して牧志は振り返る。
佐倉 光
「気にすんな、俺がお前を信じきれなかったのが悪い。
それはそうと、さっきの倉庫、もう一度見てみようぜ」

なるべく明るい声で言う。
謝ったところで多分意味はないだろう。
これはただのあのときの記憶で、変わりようがないものだろうから。それでも。
牧志 浩太
「いや。俺こそ、佐倉さんの意図が分からなかった」
KP
廊下を行く。それからの会話は、あの時の記憶と少しだけ違ったかもしれない。

あなた達はめちゃくちゃにされた倉庫を探る。記憶のままならば、そこには。

〈目星〉
佐倉 光
1d100 85 〈目星〉
Sasa BOT 1d100→16→成功
あのときと同じように床に置いて貰って目を凝らす。
もし俺の考えが正しければ、ここにも何かある。
あの時にはなかった何かが。
KP
そこには、あの時あなた達が運命を賭けた毒ガスの缶があった。
あなたは思い出す。
後は、あの金庫から解除の呪文を手に入れれば、この瓶からあなたを解き放つのに必要な物が揃うはずだ。

それと同時に。
あなたの視界に、赤い文字が浮かび上がった。

/// 不正なアクセスを検知しました ///

佐倉 光
あれ、順番間違えたか。
佐倉 光
まずい。
何がまずかったのかは分からないが、前と違うことをしたらしい。
「金庫だ」
呆然と呟く。
「金庫がまだだったか? 鍵は……」
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
あなたのただならない様子を見て、彼は心配そうに瓶を覗き込む。
「あの部屋、まだ見てないよな。見てみよう。解除の呪文がどこかにあればいいんだけど……」
KP
彼はあなたを持ち上げて、洋室の一つに行く。
そこにはベッドと、小さな金庫があった。
※ ここから「当時はどんな順序で何が起きたんだっけ?」となった時は、【アイデア】ロールで思い出せます。
金庫には三文字のロックが掛かっている。
思い出すなら【アイデア】
佐倉 光
パス、中の人は覚えてるんだがっ
1d100 85
Sasa BOT 1d100→70→成功
KP
『YIG』
その三文字を牧志の指が入力する。

そこには呪文が書かれた紙と、
「一切即一。見つけた。見つけた。最適な人間を」
KP
黒い文字で滲むように刻まれた、不気味なメモがあった。
佐倉 光
思わず息を漏らす。

牧志の奴、また捕まったな?
それでおかしな事になった?
しかし、この不思議な状態は何者かがそれを回避しようと試みているのか、それとも……逆か?
大体、どうして俺と波照間さんの事だけ抜けている?

「呪文、見つかったな。これで魔方陣さえあれば、俺は出られる」
牧志 浩太
「ああ、……あの中に、陣があるといいんだけど」
あなたの瓶と、毒ガスの缶とゴーグルと、それから呪文が刻まれた紙を握りしめて。
彼は、ホールの方を向いた。
KP
あなたは気づく。
ホールの入口に、また小さなモニターがある。
佐倉 光
「ホールの様子を見よう。まだドアは開けるなよ?」
慎重にいかないと。
もしかすると、俺がしくじると取り返しのつかないことになるかもしれない。
牧志 浩太
「ああ。分かった……」彼は少し震える声で頷く。
KP
ホールに近づくと、瓶の中にキーボードがひとつ現われた。
これで入力しろとでもいうのだろうか。

モニターには、
「彼と最初に出会ったのはどこ?」
そう表示されている。
佐倉 光
ああ、最近その話をしたばかりだ。

わずかに目を細めた。

波照間さんの部屋で見かけたとき、誤解をしたっけな。あの人境界がないから、そういうこともあるかなーって。

『波照間さんの部屋』と打ち込む。

つまりこれは、俺の記憶を確認されているのか?

打ち込んで、牧志に声をかけよう。
「落ち着けよ。絶対上手く行く。
ここから出られさえすれば、俺が奴らを蹴散らしてやる」

こういうのもまずいのかな、ふと思った。
KP
キーボードの下からジジジッと音がして、しばらく時間がかかったあと、テープのような一枚の長い紙切れが出てきた。

「….128111018..」
両端の文字は掠れていてよく読めない。
牧志 浩太
「……そうだな。
ここから出られさえすれば、佐倉さんがやってくれる。

大丈夫、だよな」
牧志があなたに笑い返した。少し心細そうな、それでもあなたを信じたいような、そんな心許ない笑みが、白い光に飲み込まれていって。
佐倉 光
牧志の笑みを見て少しほっとする。
大丈夫、俺は知っている。
牧志は俺を見捨てなかったし、蛇野郎は残らず逃げ出した。
さあ行こう、と声をかけようとしたら、光に呑まれてしまった。

KP
気づくとあなたは瀝青の海の上にいる。
傍らに、彼はいない。

ぼんやりと乾燥した彼の気配が、あなたの傍らにある。

あなたは確か、この海の中から……

〈水泳〉〈博物学〉〈化学〉のいずれかで判定。
佐倉 光
「瀝青の海?」
思わず声を漏らす。
ここは確か、地下世界の西の果て。ここから海を降りて地上を目指すのだ。
その前に……水面の濃いところを探す。
あのとき俺が見分けられなかった潮目を牧志は見分けた。おそらく波照間さんの経験で。
1d100 25〈水泳〉
Sasa BOT 1d100→64→失敗
やっぱり俺には分からないな……
KP
分からないな、と目を伏せたとき、
ふと、体の内側を撫でられるような悪寒がした。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1

波照間の声が、あなたに海の一番深い所を指し示す。
佐倉 光
1d100 81 《SANチェック
Sasa BOT 1d100→36→成功

ぞっとする。
しかしこの程度で怯んでいられない。
大体、確かこの後でもっと危険な……
いや、今は必要なものを採取するのに集中しよう。
示して貰ったところにある一番濃そうな所を瓶に掬い上げる。

「ありがとう、さすが」
……誰の名前を出すか迷って、そこまでにした。

「海の果てを目指さないとな」
牧志に声をかける。
牧志 浩太
「そうだな、行こう」
その声は静かに落ち着いたままだった。
波照間の声が、あなたの傍らにある。
KP
──不意に、音も気配もなく、赤い眼の巨大な蜘蛛が、タールにまみれた身体であなたの背後に現われた。

蜘蛛はその巨大な脚で、あなたの足元を掬う。
〈回避〉または【アイデア】で判定。
佐倉 光
1d100 85 知ってたッ!【アイデア】
Sasa BOT 1d100→67→成功
KP
あなたは己の記憶をたよりに、その一撃を回避する。
こいつは── あのサンダルを怖れるのだ。

その時。
溜息をつくような、悔しそうな牧志の声があなたの耳に届いた。
牧志 浩太
「くそ、これを元に見られていたのか……」
KP
それは、あなたの傍らにいる彼の声ではないようだった。
もっと悔しそうで、怒りを秘めていて、迷うような声だった。
あなたが聞き慣れていた牧志の声だった。
佐倉 光
思わずそれに気を取られて、奇しくもあのときと同じように二段目を回避しそこねた。

海の上を滑りながら必死で体勢を整える。
あいつはサンダルを恐れて引き下がる筈だ。もう心配はない。

「牧志! 大丈夫か!」
恐らく『あの』牧志には届くまいと思いながら。
あれは、感情を取り戻している牧志だ。つまり、別のタイミングの、ここより未来の。
KP
あなたが思う通り、その場は静かになっていた。
あの巨大な蜘蛛はまるで最初からそこになどいなかったかのように、姿を消している。
瀝青の海が静かにねばつきながらたゆたっていた。
牧志 浩太
「ああ、大丈夫だ、佐倉さん。君こそ大丈夫か」
波照間の声があなたに応えた。
KP
……瀝青の海の果てに、小さなモニターがひとつ浮かんでいた。
佐倉 光
「ああ、割と混乱してるけど、大丈夫。
いきなりでかい蜘蛛に襲われたけど、勝手に逃げてった。
このサンダルが守ってくれたんだと思う」
言いながらモニタに近づく。
今度は何を訊かれる?

それにしてもこのサンダルは面白かった。
また履ける機会があるといいんだけどな。
KP
「牧志浩太って、どんな人?」
モニターの画面は静かにあなたに問いかける。
佐倉 光
「漠然……!」
思わず呟いてしまった。
牧志 浩太
「漠然?」
佐倉 光
「あ、ああ、どこから降りればいいんだろうな~、って、思ってさ!」
慌てて取り繕う。
「降りさえすればいいんだろうけど、下にまた蜘蛛みたいなのがいたら、嫌だしな」

言いながら考える。
どんな、か。
『俺が考える牧志がどんな奴』でいいのか?
しかし俺に牧志の全部が見えているわけじゃないし、ここで書きもらしがあるとまずいのか? うーん。

これは、今まで解いたパズルより難問かもしれない。

『俺が見た牧志浩太。

底抜けにお人好しで優しい
くそ度胸と根性がある
結構用心深いけどたまに抜けてる
やたら人懐こくて友人が多い
たまにすさまじく強引
賢い。頭の回転が速い、というか、よく気が付く。
フィジカルはそこそこ。
機械関係が好き。亡くなった祖父からの継承らしい。
困ると手をグーパーする。
それくらい困ってても人を助けようとする超ド級のお人好し。
酒にはくそ強い』

その他、思い付く限りのことを書いて、少し迷う。
しかし最後に書き足した。そう、これもあいつの一部だ。

『波照間紅の記憶を持っている』

書いても書いても書き足りない気がする。
大体どんな奴かなんて質問、外見なのか性格なのか、それまでの人生の事なのか、好みの事なのか、具体性に欠ける。こんなのいくら書いたって正解な気がしない。
KP
最後の一文を入力したとき、ジッ、とモニターが音を立てて、細長い紙きれを吐き出した。
「ある……から生還した後、ほとんどの記憶を失った青年」
所々掠れている。

瀝青の海の果てが白く染まっていく。
佐倉 光
「牧志の事か」
紙切れを手に呟く。
あの数字、なんの事かさっぱり分からないが、あれも牧志の情報だったのかもしれない。

KP
……気がつくとあなたはショッピングモールの休憩所で、自動販売機へドリンクを買いに行く東浪見の背中を見ていた。

ふと、黒い髪が目に入る。
ミニPCをポーチから取り出し、テーブルの上に広げようとする…… あなたがいた。
佐倉 光
今度は『誕生日』か。
割と順番が滅茶苦茶で混乱する。

あの日は何があった、思い出せ。

ここでは、何か調べものを、していた。
俺は自分を牧志だと思い込んでいて、それでも自分のPCの使い方を覚えていて……

そうだ、奇妙なメッセージの出所を調べようと、して……

『佐倉』の背後に立つ。

これ、俺がやられたら怒鳴り付ける奴だけどなぁ。
KP
『佐倉』が愕然とした顔で、ミニPCのキーボードに手を伸ばし、呟く……。
『佐倉』
「やべぇ、パスワードど忘れした…… 本気かよ……」
KP
〈コンピュータ〉で判定を。
佐倉 光
1d100 85
Sasa BOT 1d100→97→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
あらー?
ここでファンブルしたのは『佐倉』の方の筈だが??
KP
あなたはパスワードをど忘れして困る『佐倉』の背後で、ミニPCのパスワードを…… 思い出せなかった。
そうだ、あなたは『牧志』だ。パスワードを知っているわけがない。
なぜ、知っていると思ったのだろう?

あなたはその一瞬、その『記憶』に呑み込まれた。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
『牧志』
1d100 81 SAN
Sasa BOT 1d100→28→成功
そうだよ、俺がどうして佐倉さんのパソコンのパスワードなんか知っていると思……
佐倉 光
いやいや待て待て、俺は佐倉、佐倉だ!
もう終わった勘違いをもう一度している場合じゃねぇんだぞ!
しっかりしろ、佐倉光!
KP
あなたは深く息を吸い、どうにか己を取り戻す。
『佐倉』は諦めてミニPCを閉じ、スマートフォンで調べ物をすることにしたようだ。

〈図書館〉または〈コンピュータ〉で判定。
佐倉 光
1d100 85 〈コンピューター〉リベンジ!
Sasa BOT 1d100→80→成功
KP
見覚えのあるバベッジ社の情報に重なって、こんな文字が浮かび上がってくる。
「予期せぬ抵抗を受けてはいるが、ここはちょうどいい。まずはここで――――しよう。焦らずに、段階を踏むことにする。いずれ―――界へ。」
KP
東浪見が持ってきたドリンクのトレイの上に、小さなモニターが一緒に乗っていた。
佐倉 光
誰かが牧志を狙っている。
問題は……俺がしていることが正しいか、どうか。
もし、牧志のことを知っている俺が利用されていたら?
KP
小さなモニターには、こう表示されている。

「君と、牧志浩太の関係は?」
佐倉 光
誰だよ、お前は。
どうして牧志のことを知りたがっている?

嫌な予感がする。
『友人』
とだけ打ち込む。
そんな一言で呼び表せる気もしなかったが、説明できる気もしなかった。

『彼を取り戻したいなら』

そんな一言がやはり引っかかって、正直に回答した。
KP
ジジッ、とモニターが音を立て、紙切れが吐き出される。
「最近になって、同……の友達ができたらしい」

紙切れは少し掠れているが、随分読みやすくなっている。

もう慣れてしまったような、白い光が辺りの風景を包んでいく。
佐倉 光
さあ、次は何だ。身構える。

KP
次の瞬間。
忌々しい手触りがあなたの手の中に蘇る。

篝火の光が、鳥の頭の神に掴み上げられた牧志の首筋の、赤い痣を照らしていた。

「それほどに縁あるもののにくならば、さぞ芳しかろう」

鳥の頭の神が轟々と宣言する。
あなたは呪いの短剣を握りしめていた。

〈50+20+20%〉で判定。
佐倉 光
呼吸が震えた。
しなければならないことはすぐに分かった。が……
手の中の物も、目の前のものも、失敗したら牧志が確実に殺されるであろう事も恐ろしくてたまらなかった。
1d100 90
1d100 90 刺すよ!!
刺さらないな。
Sasa BOT 1d100→66→成功
KP
ささった
佐倉 光
あ、刺さった。
※BOTの反応がしばらくなかった。怖かったせいかもしれない。
佐倉 光
ただ無心で刃を押し出した。
KP
鳥頭の神の褐色の肌に、短剣は狙いあやまたず突き刺さった。

牧志を捕らえていた太い指が、砂となって崩れ去る。
正しく、あの時と同じように。

激しく咳き込みながらあなたの名を呼ぶ牧志の向こう、どこからか声が聞こえた。
牧志 浩太
「そこに、誰かいるのか」
KP
目の前の牧志が発した声ではないらしかった。

……砂となってビルが崩れ去ったあと、砂の中に埋もれかけた小さなモニターがひとつ、光を放っていた。

「君にとって、牧志浩太はどんな存在?」
モニターはそう問いかけていた。
佐倉 光
「牧志!」
思わず叫び声を上げた。俺はここにいる、と。

忘れられたくなかった。
今まで何度も危機を乗り越えてきた、『相棒』からは。
モニタにそれだけ書き込んで、乾いた笑いを漏らした。

俺がやっているのは、この時のあいつらと同じ事なんじゃないのか?
相手を大事だと、思って。
その想いのあまりの強さで目を曇らせて。
助けていると、思い込んでいるだけじゃないのか?

砂に座り込む牧志に手を伸ばす。
俺は間違っていないよな?
KP
モニターが細長い紙きれを吐き出す。
それは随分と縦に長かった。

57
56
84
48
82
84
41
34
40
75
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34
19
6
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31
70
79
9

どこも掠れてはいなかった。
佐倉 光
赤い数値に、何かとてつもなく不吉を感じた。
あの痣だ。あの痣に色が似ている気がした。
KP
辺りが、白く、真っ白に染まっていく。
しかし、座り込む牧志の姿は薄れることがなかった。

真っ白な空間。
見る限り壁はなく、どこまでも白く白く続く空間の中に、赤い痣のある牧志がひとり座り込んでいた。

あなたが手を伸ばし、触れても、彼は何も反応を示さなかった。
虚ろな茶色い眼が、続く空間の果てを見ていた。
佐倉 光
「牧志? おい、牧志!」
声をかけて揺さぶる。
KP
そのとき。
彼の背後から、勢いよく青い物体が飛びだした。

「やぁこんにちは!」

ふわふわと宙に浮かぶそれは、あなたに向かって声をかけた。
大きめのぬいぐるみ程度のサイズ感、そして何とも言えない解像度の低さのイルカ。

あなたが呼びかけても虚ろな瞳のまま反応をしめさない牧志の周りを、くるくるふわふわと泳ぐように浮いている。

「何について調べますか?」

あなたの指の痣が微かに痛んだ気がした。
佐倉 光
「お前を消す方法」
反射的に言ってから、目を丸くする。
「今まで話しかけてきたのはお前か? 牧志に何をした?」
KP
「あ、そうそうそれそれ~! わかる? 君もコレ伝わる世代?」

イルカはおどけながら彼の周りをくるくると回る。

「冗談冗談。やだなぁ、僕はなんにもしてないよ。僕の大事な大事な人間観測リストのデータがなんでか一部壊れちゃってさ。君も知ってるだろうけど、こいつ相当面白いだろ? 君も面白いけど。

このままなくすのはもったいないな~って色々調べてたら、関連付けされてた君の情報は無事だったからさ! 君からたどれば見つかるんじゃないかなって色々試してたんだよね。

そしたら大正解!
あとは君の情報と照らし合わせながらサルベージして修復すれば OKってワケ。君たちにわかるように例えると……いわゆるキャッシュ情報ってやつ?

僕って天才!」

イルカは悪意と嘲笑に満ちた声で、一方的に捲し立てては、楽しそうにけらけらと笑った。
佐倉 光
「……」
苛つく。何だか知らないがこいつ苛つく。
しかしそれより気になるのは、こいつが言っていることが真実かどうかだ。
〈心理学〉で……!
読める気がしねぇけどな!
KP
おっ。オープンで振っても構いません。>〈心理学〉
佐倉 光
1d100 55〈心理学〉
Sasa BOT 1d100→92→失敗
KP
あなたはそれの嘲笑をひどく──異質だと感じる。
まるで生きていないものが笑っているようだ。古いタイプの合成音声のようだ。
それはあなたに理解しうるとは思えなかった。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
佐倉 光
1d100 81 《SANチェック
Sasa BOT 1d100→55→成功
耳障りすぎて、本当に「お前を消す方法」が知りたくなった。
いやいや、感情に流されている場合じゃないぞ。

「お前が言うデータが壊れたから、牧志の記憶が消えたと言いたいのか?」
KP
「ああ~~~。記憶ね記憶。そうそう。
このリストは、すなわち神々と関わってきた記録であり記憶そのものだからね。
それが壊れたってことは、そういうことだよ」

あなたは不意に── 思いつく。

【アイデア】
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】
Sasa BOT 1d100→56→成功
KP
あなたは思いつく。

奇妙な事件にばかり巻き込まれるようになったのは、その「リスト」とやらのせいなんじゃないだろうか。それを通じて「観測」とやらをされているせいなんじゃないか。

そのリストとやらに記載がある限り、あなたと牧志に、平穏な日常は来ないのかもしれない。
「ってことで、リストのデータの修復手伝ってくれない?」
イルカはあっけらかんとあなたに言う。

あなたはイルカに協力するだろうか。
それとも、もう一つの選択肢を望むだろうか。

佐倉 光
多分これねー、キャラシー見られている事に気付いた牧志が自爆したような気がするんだけど……
ただ「自分以外から隠す」されたのを無理矢理掘り起こしているよーな気もするんで……
ああ、探索者じゃなくなればね、CoCせんで済むよね。
単純にそういう事かな。
KP
キャラシーがなくなって探索者じゃなくなればね。CoCせんで済みますね。
ただ、佐倉くんと牧志が出会ったのは……。(正確に言うと牧志のじゃなくて、波照間のシナリオの中だけど、それはそれ)
佐倉 光
だから波照間のも消し飛んだわけだね。

佐倉 光
突如、理解した。
こいつが言っていることはきっと真実だ。
そしてこれは悪魔の囁きだ。

牧志は今、碌でもない縁から永遠に逃れるチャンスを得ている。
そしてそれは同時に、俺や波照間さんと出会って体験してきたこと全てをなかったことにする、という選択だ。

牧志の痣を見つめる。
もしかしたら彼が命を失うきっかけになるかも知れない、自分が負わせてしまった契約の代償。
KP
赤い痣は、存在を主張するように彼の首を鮮やかに這っていた。
佐倉 光
牧志の、本来歩むはずだった人生を奪う選択。
牧志から平穏な日常を奪う選択。
座りこんだ牧志を長いこと見つめていた。
KP
彼の眼は白い空間の果てをぽっかりと眺めていて、なんの意思もあなたに示してくれなかった。
佐倉 光
俺は、イヤだ。
牧志に忘れられるなんて、初めての友だちを、相棒を失うなんて絶対に嫌だ。
けどこれは俺のエゴで……

視界が歪んだ。

エゴで何が悪いんだ。

佐倉 光
実は牧志の意志はもう聞いてるんだけど、それ思い出すのはもう少し後でもいいかな?
KP
いいですぜ!
佐倉 光
よーし、もう少しエゴに苦しんどこ!

佐倉 光
深呼吸して、イルカに言った。
「協力してやる。俺が知っている牧志を取り戻せるんだろ?」
KP
「いいのかい?」
にんまりと鮫のように口を吊り上げて、イルカは嗤った。
佐倉 光
目を閉じて、牧志を視界から追い出した。
「やり方を教えろ」
KP
「OK、じゃあこれで最後。
だいぶ修復はできたけど、まだちょっとだけ欠けてるところがあってね。
ま、僕的にはこのままでももういいんだけど。」
口を戯画化されたイルカの形に戻して、そいつは言う。

「そこ、入力してくれるかい? 君ならわかるだろう?
できたら確定ボタンを押してね。それで完了。」

そこ、と言われた先に視線をやれば、これまでと同じようなタッチパネル式のモニターが現れた。

画面には縦にたくさんの数字がならんでいるが、一部欠けているようだ。文字入力ではなくプルダウン形式になっており、選択できるのはすべて00~99 らしい。すでに数値が入っている部分も確定されていないようで、書き換えることもできそうだ。

57
..
84
48
82
84
..
34
..
75
31
..
19
6
77
..
..
..
9

〈目星〉
あっDiscordの仕様ッ ちょっとなおします
佐倉 光
これカンニングしてもいいのかなw
KP
なおしました 
既にシナリオ内でも提示されている情報なので、カンニングしても構いませんし、あえて違う値を入れたりしても構いません。
その前に〈目星〉で判定をどうぞ。
佐倉 光
1d100 85 〈目星〉
Sasa BOT 1d100→59→成功
KP
19と示されている箇所が、あなたの見る前で21に変わった。
佐倉 光
あーあー
また限界さがったじゃないの。
KP
さがったんですねぇ。
佐倉 光
「書き換える……?」
赤い数字を見つめる。不吉な数字だ。増えてはいけない気がする。
しかし同時に、惹かれる物がある。

書き換えれば。
書き換えてしまえば、牧志を危険から遠ざけられる?
目を閉じて首を振る。
これは、違う気がする。

俺が取り戻したいのは『俺が知っている牧志浩太』であって『俺が望む牧志浩太』じゃないんだ。
これがあいつの言う通り牧志の『データ』だとしたら、迂闊な書き換えはどこに影響を及ぼすか分からない。

COMPを開き、一番最近牧志と会った時の記録を呼び出す。
今なら【それ】が、【ステータス】が、見える気がした。
KP
あなたはCOMPを開く。
COMPがジジッ、とノイズのような音を立て、あなたが持つ、牧志の『記録』を表示した。
そこには確かに、目の前に見えているものと同じような数字が見えた。

「へぇ!」
イルカが目を見張った。

「面白いもの持ってるねぇ! なんだ~、そんな詳しい記録を持ってたんだ。最初っから君のそれを解析すればよかったなぁ」

表示された【ステータス】と手元の紙切れを見比べると、同じ値が書かれているようだった。
目の前の表示と異なるのは、21の所が19になっていることだけだ。
佐倉 光
淡々と数値を書き換える。
以前に見た数値をそのままに、空欄に書き写す。
21、の赤字には手を着けなかった。
どんなに不吉でも、これも彼の一部だ……

57
..→56
84
48
82
84
..→41
34
..→40
75
31
..→34
21
6
77
..→31
..→70
..→79
9
そう、これでいい。
KP
確定ボタンを、押す?
佐倉 光
ボタンを押し、そこに手を置いたままで牧志をじっと見つめて。
祈るような気持ちで指を離した。
KP
モニターに「解析中」の文字が浮かび上がる。

数秒後。
ぽっかりと空間の先を眺めていた牧志が、突然。
牧志 浩太
「あ、あ、あぁあああああ……!」

突然、苦しみ始めた。

ちぎれんばかりに頭を抱え、振り乱し、だらだらと涙を流し、悲鳴とも呻き声ともつかないものを喉から絞り出す。
佐倉 光
「牧志!」
慌てて駆け寄る。
「牧志、大丈夫か! おい!」
佐倉 光
怖いよぉー
KP
駆け寄るあなたの手が届く前に、視界が、意識が、真っ白に染まり──

KP
……あなたは、夢を見ていた。
それは微かな、もしかしたらこんな可能性もあったのかもしれない、いや、きっとなかっただろうな。
そんな夢だった。

桜の舞う春の風景の中で、あなたがひとり住むアパートの扉を、誰かが叩く。
何だよと思いながら顔を出すと、そこに、

「初めまして。俺、牧志って言います。今日から隣に越してきました」

そんな夢だった。
けど、そんな夢の中の彼は、あなたと共に駆けた相棒の彼ではありえない。
失われた記憶と影を背負いながら穏やかに笑う、あなたが友とした彼では、ない。
そんな彼と、あなたが交わることはきっとない。

だから、これはなかった夢なのだ。

佐倉 光
失敗したじゃない!!
あ、そういうことか! こえーよ!!
KP
ゴメンな!

牧志 浩太
「佐倉さん、佐倉さん!」

……あなたを呼ぶ声が聞こえる。
佐倉 光
がばと起き上がる、目を開く、自分の状態は分からないがとにかく牧志の声に反応して彼の顔を見、彼の肩を掴む。
「牧志!」
牧志 浩太
「うわっ!? あー、よかった、佐倉さん起きた!?」
佐倉 光
「俺が、分かるのか?」
どうしようもなく震える声を抑えて、牧志の目をのぞき込む。
牧志 浩太
「あ、ああ、うん。もちろん分かるけど」
KP
あなたには、分かる。
あなたの名を呼ぶ彼の眼の色、雰囲気。あなたを呼ぶ声の形。
ちゃんと、あなたが知る彼だった。
牧志 浩太
「佐倉さん、覚えてる? 突然俺の家に来て、鬼気迫るって感じでこっちに歩いてきて。その後、いきなり倒れたんだ」
佐倉 光
「えっ?」
彼の言葉に眉根を寄せる。
「そもそもお前が一週間も連絡寄越さないから、何かあったんじゃないかと……」
いや、実際何かはあったようだが。
牧志 浩太
「えっ? 俺からは連絡送ったけど、返事がなかったよ。仕事が忙しいのかなと思ったんだけど……。俺のスマホ壊れてたのか?」
彼がスマホを取り出して覗き込む。そこにはあなたと彼のメッセージ履歴がちゃんとあって、……あなたが送ったメッセージが、今になって遅れて届きだした。
「あーあー、めちゃくちゃ遅れてる……。ごめん、心配かけたみたいだ」
佐倉 光
「……ああ、めっちゃくちゃ心配したんだからな」
その顔はやけに真剣だった。
牧志 浩太
「ごめん。今度はしばらく返事がなかったら、念のためスマホ確認してみる…… 佐倉さん?」
佐倉 光
顔を伏せた佐倉の頬から水滴が落ちたのが見えた、かも知れない。
KP
1d100 77 牧志の〈心理学〉
Sasa BOT 1d100→65→成功
牧志 浩太
「……佐倉さん? 俺、そんなに心配かけた?」
佐倉 光
「変な事件に巻き込まれてんじゃないかとか、昔のこと思い出したついでに俺のこと忘れちまったんじゃないかとか。
戻ってきてくれて、本当に」
言葉が詰まった。
牧志 浩太
「あー、あーあー……。ごめん、悪かった。あんな話したあとだもんな」
KP
彼の首筋には、変わらず薄赤い痣が這っていた。

あなたが、彼を求めなければ。
これ以上、彼が危険な目に遭うことも、なかったのかもしれない。
彼は一度失った道を取り戻して、世界の裏側のことなんて夢にも見ないまま、穏やかに歩んでいけたのかもしれない。

それでも。
彼が、戻ってきてくれて。

本当に。
佐倉 光
「ごめん」
ぽつりと呟いた。
「けど、嬉しいんだ」
だって、どんなにきつかろうが辛かろうが、もう起きてしまったことなんだ。
起きたことは良かれ悪しかれ自分の一部だ。
気に入らないところがあるからって取り除いたら、それはもう違うものになってしまう。

俺が今の俺であるのはあのクソみたいな地獄があったからだし、牧志が牧志であるのは、死から始まった一連の事件を経験したから。

俺は今の俺でいたいし、今の牧志といたい。
嬉しいこともクソみたいなことも、失いたくない。
牧志 浩太
「佐倉さん?」
不思議そうにしながらも、彼は。
あなたに、そして自分に何かがあったのだろうことを、その眼でちゃんと見抜いていた。



あなたは、こうしてここにいる今を選んだ。

あなたが、彼が。
歩んできた道の、起きてしまった出来事の向こうに。

今のあなたと、彼がいるのだ。
あなたと彼が紡いだ縁を、どうか────
/// システムメッセージ リストア コンプリート ///




……


どこからかノイズ音が響く。


/// 不正なアクセスを検知しました ///


KP
それから、数日後の夜――

あなたが自室でいつも通り過ごしていると、インターホンが鳴る。
佐倉 光
誰だろう。モニタを見る。
KP
そこには牧志の姿が映っていた。
こんな夜遅くに何だろうか?

あなたがモニタを見ていると、部屋の扉がノックされた。
焦るように何度も。次第に強く。インターホンが繰り返し慣らされる。
佐倉 光
「どうした? こんな遅くに」
扉を開ける。
牧志 浩太
「あ……、ああ。よかった、開けてくれた」
そこには、牧志が立っていた。
ひどく途方に暮れて、困惑して、憔悴しているような姿だった。
佐倉 光
「何かあったのか? とりあえず入れよ」
ドアを開けて、中に入れる。
KP
あなたの顔を見て、あなたの部屋を見るなり、その眼にじわりと涙が滲む。
一歩、室内に踏み込んで。
そのまま、縋るようにあなたの腕を掴んだ。
牧志 浩太
「佐倉さん、
俺は、誰なんだろう」
あなた達の非日常は、まだ、終わってはいなかったらしい。


『1100』 前編、終了。


つづく、だって?
佐倉 光
10話なのに5話分しかないなあと思ってたら!
そしてほとんどリアタイじゃないですかヤダー
いつものロスト有りシナリオより怖かったんですけど!
KP
SAN報酬は佐倉さんのみ1d6。
技能値を書くところでそのままの値を書いたため、後遺症はありません。

そう、実はこのシナリオ、後編が…… ある!
そして楽しくてまたリアタイしちゃった……。
あの会話した後の佐倉さんにめちゃくちゃはまったというか、佐倉さんを揺さぶれてなによりです いいものみた
佐倉 光
面白い! 面白いけど怖すぎる!
やっぱり書き換えるとまずいことが起こるんだなぁ。
赤い数値は19に戻さなきゃ駄目なのかなとか色々考えちゃったよ!
KP
技能と成長値は牧志の記憶、牧志が歩んできた道なので、
書き換えると誤差5ごとにランダムで1シナリオ分の記憶を失ったり、経験していないはずの記憶が生えたりします。
赤い数値は意味深でお騒がせしました! なんで増えてるのかは後編で分かります。
佐倉 光
牧志がどうしてデータ吹っ飛ばしたか、がそこで分かるわけですねー!
気になるよ!
KP
です! >どうしてデータ吹っ飛ばしたか
ちなみに書き換えについては、
 >基本的に入力した数値と本来の数値の誤差が大きいほど記憶がぐちゃっとします
だそうで。
佐倉 光
ちょっぴりずつ書き換えるなら大丈夫だった可能性!
まあ、やらんけどね。
KP
1シナリオとはいわんまでも微妙に違う記憶が生えちゃったりするかもしれませんしね。
佐倉 光
相手がイルカ野郎なのがどうにも嫌な感じよね!
エゴで甘言に乗っちゃったわけでね!
KP
いや~~~あそこの佐倉さんの心の動きは本当にいいもの見ました
佐倉さんがどっち選ぶかなって超ドキドキしてました
佐倉 光
カオス属性の佐倉が「これはエゴだから」って諦める事を一瞬考えるのがポイントです。
KP
そう、佐倉さん、「あいつらと同じなんじゃないか」「エゴだから」って一瞬考えているんですよね。
そのあたり本当に牧志は佐倉さんにも影響を及ぼしているんだなって。
佐倉 光
『相手のことを考えて』っていう概念芽生えちゃったね!
まあ正直余計なお世話なんだけどね!!
あれ、牧志がそう言ってたこと思い出す前に話終わっちゃう? と思ったので、びっくりした。
KP
しかしもうちょっとだけつづくんじゃ。
佐倉 光
続くんだなぁ楽しみだなぁ!
報酬振ります!
1d6
Sasa BOT 1d6→1
82になりました。
KP
はーい。
あ、今回の改変ポイント。

今回は改変ポイントというポイントはほとんどないのですが
(過去シナリオの記憶が出てくるところは自由に描写していいとなってます)
佐倉さんの記憶を失った牧志との会話、元シナリオだと1シーン程度なんですが、佐倉さんの心の動きがもう楽しくて超伸ばしました
佐倉 光
シナリオが許してくれるなら本当にドライブする気だった。
KP
それも見たかったんですけど、あのへんで入れるのが次の展開との流れで丁度綺麗かな~ってなったのでああなりました
佐倉 光
ですねー。あの展開なら。
KP
ちょうど過去シナリオの記憶を佐倉さんが語ってくれたから。
あとラストの日常の夢、あそこは元シナリオだともうちょっと会話できるのですが、いかんせん「日常をそのまま歩んできた牧志は今の牧志とは別人」「佐倉さんが今の牧志を強く望んでくれた」「神話事件無しだと佐倉さんと牧志、絡まなくない?」っていうのがあって、さらっと流しました。
佐倉 光
なるほどー。
あのシーン本当に怖かったなぁ。
一個エラー起こしたから影響でたかと。
あと、甘言に乗らない、が正解パターンもあるかと。
あと21を19にしなかっ(以下略)
怖かったんだってば!

二度文章読んで理解したけど。
KP
牧志が苦しんだ後のシーンでしたし、一か所順番違いがあったし(実は順番違ってても、記憶と違うことをしても結果には関係なかったりしますゴメン)、よりによって『佐倉さん』『牧志』のアイデンティティに関わるところでファンブルしてますしね佐倉さん。
佐倉さんが記憶の中で、その時にできなかったことをやろうとしていたシーンは見ていて面白かったです。
佐倉 光
嘘つくなって言われてたから、「その時にできなかったこと」も嘘に当たるかどうか、は気になってました。
モニタ出て「わっかりやすいのキター!」って安心したからあとは好き勝手やってますけど。
KP
いやぁ最初は怖がらせてすみませんでした。
ある程度情報開示(順番あんまり関係ないとか)しようかとも思ったんですが、
わかんなくて怖い中で進んでいくのも楽しいよなって。
ちなみに、甘言に乗らずにリストから牧志の名を抹消していたら、

「佐倉さんが神話事件との縁を一手に引き受ける。
牧志は神話事件と佐倉さんの記憶を全て失い、佐倉さんが生きている限り神話事件に関わらずに済むが、佐倉さんはこれ以降牧志に接触できなくなる」

という流れになっていました。
でもなんでか後編には続きます。
佐倉 光
カンニングはしないで頑張ったけど、これで牧志がロストしたら本当に嫌だなー! って思いながらやってました。
なるほど、血迷ってエゴを捨てるルートも面白……怖いからヤダ!
KP
おおー、ありがとうございました。
KPはめっちゃ「いつもの」にお世話になりながら描写していました記憶の所。
記憶のシーンのシーン選択は
 ・技能判定がある所
 ・判定内容がらしい所
 ・見たい所
 ・なんとなく
 ・誕生日の話は佐倉さんが牧志になってて東浪見が居るタイミングがよかった
 ・AND/HANDと瓶は外せん
でやってます。
佐倉 光
ありがとうございます……もうほんと怖いけど楽しかった。
KP
合縁奇縁コミュニケイトがほんと「めっちゃ怖いけど楽しかった、佐倉さん生きててよかったよお」って感じだったので……。
佐倉 光
そこまで!
それは本当に良かったなぁ。頑張った甲斐があった。
KP
途中の謎解きからのスリリングな展開含めほんとにほんとに怖かったけど楽しかったです
佐倉 光
ところでもう5時過ぎているので、とりあえず寝よう!?
KP
ほんとだ!!
前編終わったしこのまま後編はじめないで寝ます、おやすみなさい 後編は起きてからはじめるぅ
佐倉 光
そうしましょう。気になりすぎてレスしちゃうもの。
KP
よし、ともかく寝る寝る ねますねます おやすみなさいませ ありがとうございました
あっ報酬見た感じ前編後編の二話編成と見えるので、成長も前編分やってもらって大丈夫です
成長ダイス振ったけど伸びませんでした。

ひとこと
佐倉 光
親しい相手に突然忘れられてしまったらどうする?

牧志の場合、『忘れること』がちょっと特殊な事情に絡むので、随分と味わいが変わったのではないかと思います。

自分の迂闊な行動が相棒を消失させるんじゃないかと思うと怖くて怖くて……!


【置】CoC『ヒナドリ ・ イングレイヴド 』 牧志&佐倉 4

焦りに追い立てられる心は、絶えず周囲に気を配らせ、次はどうする、と追い立てる。そこに思いの入る余地はなかった。

CoC『100万回目のハッピーバースデー』佐倉&牧志 2

「……なんか牧志、雰囲気変わった?」

【置】CoC『惑いの欠片』 佐倉&牧志 1

いつの間にかサザエさん時空という名の異変に巻き込まれていきそうだなここは

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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CoC『VOID』継続『空白の航海』結城

(そう、ゼロではない……可能性がないわけではない)

CoC『Switch』子供佐倉&牧志 1

またかよ。またかよ。準備してもこうなるのかよ。
意味ねーじゃん!?

CoC『鱗の眼』牧志 浩太

その食べ物は、すっかり俺の好物になってしまった。──その一杯には、相棒と駆け抜けた夜の思い出まで一緒についてくるから。