こちらには
『100万回のハッピーバースデー』
『地獄はやさしい』
ネタバレがあります。

このリプレイには、本シナリオのほか、『地獄はやさしい』 『対の棲みか』のネタバレが含まれます。
本編見る!
KP
──「あなた」と「彼」は、怪しげな講演へと向かう。
あなたは誰なのか、彼は誰なのか、もはや分からない。
それでも、あなたと彼はそこにいた。
牧志 浩太
自分が誰だか分からない、というのは想像以上に影響を及ぼすものだ。
故に今は『牧志 浩太』として振る舞い続けることにする。
……まあ、実はそうである、という可能性も捨てきれるわけではないし、な……
KP
問題の講演会は、中央広場のそばの会議室で行われる。
内容としては専門家向けというよりは、宣伝を兼ねた一般向けに近いもののようだが、バベッジ本社の専門社員が来るということで、それなりに関心を集めてもいた。
牧志 浩太
わざわざ会議室でやるんだね。フリー入場なのかな。
席埋まったら後は立ち見、みたいな。
KP
そんな感じです。>席が埋まったら立ち見

牧志 浩太
「佐倉さんも来たことがあるのか。
そうすると前にも二人で聴きに来たのかも知れない」
佐倉 光
「ああ、かもしれねぇ。誰かと一緒に行った、ような気がするんだ……」
牧志 浩太
「佐倉さんならこういうの興味あるだろ?」
ちょっと意地悪な質問だ。
佐倉 光
「ああ。割とな」そう返答するまでに……、少し、考えた。
牧志 浩太
「ごめん」
別に困らせたかったわけではないんだ。
佐倉 光
「いや、いい。……そういうお前はどうだ?」
牧志 浩太
「そうだな……俺なら……
聴きに来たかも知れない……けど。
正直今の、手がかりになるから、という感情を排除して考えるのは難しいから、本当はどうかは良くわからないな」「とても興味があるような気はするんだけど」
佐倉 光
「まあ、そうだよな。俺も分からないんだ。これが興味なのか、手掛かりを見つけなきゃならないっていう焦りなのか」
牧志 浩太
「手がかりと危険、か。なんだか記憶に新しいような気もするな」
佐倉 光
「そうだな。曖昧な記憶といい、自分が何だか分からなくなっていく感じといい……、あの時を思い出す。
っと、時間が近いな。入るか」
牧志 浩太
『対の棲みか』事件の事を詳しく思い出すと、互いに別の場所にいたから記憶の齟齬がありありと見えそうであんまり追求できないw
ある程度は話したと思いますけども。蠢く土のこととかたぶん今回のことがあるまで忘れてたし。
KP
なんですよねぇ お手数をおかけします
牧志 浩太
いえいえー
うまいことこう、かするようにですねっ
人間思い込んじゃうとなかなか方針転換は難しいものだ!
KP
会議室に入れば受付があり、案内の女性が「本日はご来場ありがとうございます」と微笑む。
牧志 浩太
軽く会釈して入ろう。
KP
会議室は、会議室というには少し洒落た印象のスペースだった。普段はもっとカジュアルなイベントにも使われているのだろう。
席は満席になっており、あなたたちは後ろで立ち見することになる。
牧志 浩太
壁際に立って、たぶん貼ってあるポスターなんかを見ている。
KP
暫く待つと室内がふっと暗くなり、前の照明が点いた。
スクリーンの前に立った男女が、美しい仕草で一礼する。
「皆様、ご来場頂きありがとうございます。バベッジ・インコーポレイテッド本社所属、ユウコ・ハスミと申します。
クリス・フレッチャーです。
我々バベッジ社は、電子機器とネットワークを通じて皆様に一段上の暮らしを提供致します」
そんなフレーズで始まった講演は、一般向けということもあってか、まずインターネットについての簡単な解説から始まり、バベッジ社の新規格の紹介がそれに続いた。
佐倉 光
「今の所、割と普通だな」
牧志 浩太
「そうだな……早く本題に入ってくれないかなぁ」
暇つぶしに会場を観察しつつ聴いてる。
新企画については、詳細は初めて聴く部分もあるのではないか……?
KP
会場内を観察すると、少し退屈そうにしているエンジニア風の青年や、物珍しそうにしている家族連れ、それから取引相手や競合他社なのかスーツ姿の一団など、客層はバラバラだ。
牧志 浩太
さっき会話していたカップルいないかな、と思う中のヒト。
KP
なるほど。探すなら〈目星〉
牧志 浩太
うーん、これ中のヒトの推理だから……
牧志くんがあえて探そうとはしないなぁ。
KP
ざっくり会場を見回して目に留まるか? ということであれば、〈目星〉-20%
牧志 浩太
じゃあそれで。
CCB<=84-20 〈目星〉 (1D100<=64) > 56 > 成功
見えた!
KP
あなたは見た事のある顔を見つける。フードコートにいたカップルだ。
牧志 浩太
「あれ、さっきの?」
佐倉 光
「どうした?」
牧志 浩太
「フードコードで、なんだか気になる会話をしているカップルがいたんだ。ここに来ているな」
軽く視線で示す。
佐倉 光
視線に従って、その方向をちらりと見る。
「……あいつらか」
牧志 浩太
「その時は何となくだったんだけど、今思えば、俺たちと同じように、違和感を話し合っていたから気になったんだろうな……」
佐倉 光
「そうだな、あの様子は今思えば、俺達に似ていた……」
KP
そんな話をしていると、目の前の資料にぱっ、と明るい光が映し出された。日本のオフィス街と、海外の大きな湖か何かのような、雄大な風景の写真だ。
牧志 浩太
佐倉さんもあの話を耳にしていたのか。
共通点か、あの人たちにも話を聞いてみたい気もするな……
おっと。スクリーンに集中しよう。
KP
「……我々の新規格「YellowCable3.0」の特性を使えば、このようなことも可能になります」
それは、二つの異なる風景の中にいる二人が、それぞれ立っている場所を交換しているような図だった。

「高速伝送を利用した、双方向のVR技術です。まるでドアをくぐれば別の場所に行けるように、相手が今いる場所の情報をネットワークから受け取って、目の前に再現できるのです」
それはよくあるビデオ通話をもっと、もっと高度化したもののようだった。一瞬で目の前の風景を3Dスキャンして、音声と共に相手の所へ伝送し、再現するのだそうだ。
牧志 浩太
転送できるデータ量がでかいんだな、どういう技術と手法を使っているんだろう。
そんな事を考えつつ見ている。
佐倉 光
「へぇ……。確かに、できない内容じゃねぇな。伝送量の暴力って感じだが」
牧志 浩太
「基本物理ケーブルなのかな。それにしたって端末に飛ばすのは物理じゃないだろうけど。最近の規格だと……」
いやー、魔界経由じゃないだろうね?
ふと、宇宙が見えた。
何を転送する気だ? いやいやまさか。
ちょっと思考が飛躍しすぎているぞ……
牧志 浩太
基本黙ってますけど、適当に口から漏れてたことにしていただいて結構ですからw
KP
ありがとうございますw
■佐倉視点
佐倉 光
(魔界経由、ターミナル、伝送……、こんな呟きを、聞いた事がある。こんな風に呟いてたのは…… 誰だった?)

佐倉 光
「……」あなたの口から漏れる呟きを、彼は何かを探るようにじっと聞いていた。
KP
「それだけではありません」
そのとき、青年の強く張った声が、その場の注目を集めた。
「音声・映像、それだけでも、これだけのことが可能になります。しかし、我々の新技術と高速伝送は、これまでになかった新たな伝送チャネルを可能にします。
人間の精神活動。あなたがたの頭の中で行われている精神活動の、そのままの伝送です。
我々は、心を直接伝送して、直接分かち合うことが可能になるのです」
牧志 浩太
「……」
隣の青年をちらと見やる。
話が妙な方向に向いている。新興宗教? いや、きっと彼らの専門。
佐倉 光
「……一気にきな臭くなってきやがった」彼の表情に、緊張が走った。
牧志 浩太
そう例えばデヴァ・ユガのような。あれは本当に芸術的なまでのプログラムによって編み出された、星の血液とも言える世界そのものの情報をネットワークとした……いけない、集中しなければ。
KP
「雄大な風景を見て感じた喜びも、言わずにはいられない悲しみも。ネットワークを通じて、直接伝えあうことができるのです。
それだけではありません」
牧志 浩太
人の感情なんて見たいかね……いや、交渉時の悪魔の感情なら見たい。
KP
「私たち全員の考えを束ねて、皆で一つの課題に向き合うことができるのです。スーパーコンピュータ、を聞いた事がおありでしょうか。複数のコンピュータを繋げて難しい課題を解くように、私たちは力を合わせることができるようになるのです」
牧志 浩太
(技術としては興味があるけど、混ざりたいとは思わないな……)
KP
彼らの口調が少しずつ熱を帯びてくる。
二人ともそこで、〈聞き耳〉
牧志 浩太
CCB<=84 〈聞き耳〉 (1D100<=84) > 17 > 成功
佐倉 光
CCB<=46 〈聞き耳〉 (1D100<=46) > 44 > 成功
KP
ジーーーーーッ……。微かなノイズのような音が、あなた達の耳に届く。
佐倉 光
「何だ? この音……」
牧志 浩太
「ん?」
映像機器だろうか。思わず見回す。
KP
それがどこから発生しているのか確認しようとした時だった。
「それだけではありません。私たちは一つとなり、愛を分かち合うことができるのです。そこにはもはや、憎しみというロスは存在しません」
彼らが声を揃えて、高らかに歌い上げ──
牧志 浩太
いやそれはどうだろう……っていうかさっきから……
まるで人間ではないみたいな
KP
二人とも1d100をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 (1D100) > 33
佐倉 光
1d100 (1D100) > 80
■佐倉視点
KP
高く高く歌い上げる声が、あなたの胸に染み込んでいく。傍らの人物と手を取り、心を分かち合いたい気持ちになる。一つになる、それがとても喜ばしいことに思えてくる。頭の中に温かい熱が膨れ上がり、何も考えられなくなっていく。
佐倉 光
(あ……、)

KP
あなたは不意に、気づく。
あなたの隣にいる青年が。
まるで、彼らの声に安らぐような笑みを浮かべ、その声に耳をそばだてていた。
その様子は虚ろで異様だった。
牧志 浩太
「さ……佐倉さん?」
明らかにおかしい。
KP
見回せば、会場に居た客たちも、揃いに揃って同じ表情をしていた。
佐倉 光
「どうした、牧志?」 彼は虚ろな笑みを浮かべた。
KP
──おかしい。
牧志 浩太
「しっかりして、佐倉さん、何かおかしい……」
彼の腕を引いて会場から出よう、と考えた。
内容からしておかしいのだ。
KP
そこで、あなたのスマートフォンがメッセージの着信を知らせた。
牧志 浩太
それどころじゃないんだけど……
なんとなく四つ辻のことなどを思い出した。
スマートフォンを取り出して視線を落しつつ腕を引く。
佐倉 光
彼はされるがままに、あなたに手を引かれる。
牧志 浩太
名のないメッセージなら見る。
回転寿司の広告だったりしたら舌打ちしちゃう。
KP
画面の中に、「牧志へ。裏の事務室へ行って。今なら入れる」それだけが浮かんで、消えた。
牧志 浩太
よし。指示通りにしよう。
KP
見回せば、異様な熱量で声とも呪文ともつかぬものを歌い上げる彼らと、それに同調する人々ばかり。あなたに注意を払うものは、ここにはいない。
──あなたは、不意に思い出す。
こんな異様な様子を、前にも、きっと見た。
牧志 浩太
こういう場面は得意……だったような気もする。
気のせいか?
覚えもあるような気もする。
しかし考えている場合じゃない。
なるべく音を立てないよう、裏へと進む。
KP
裏へ向かえば、確かに少し開いた扉があった。あれが事務室だろう。
佐倉 光
「──あ、」
会場を離れると、彼の眼に唐突に光が戻った。
牧志 浩太
扉をそっと開けてするりと中へ入ろう……とするけど、人の手を引いてたらするりってほどではないな。
「あ、良かった」
佐倉 光
「……っ、クソ、やられてた……!」
牧志 浩太
「そうみたいだ」
佐倉 光
「ごめん、牧志。完全に飲み込まれてた。あの宇宙の時と同じだ」
牧志 浩太
「仕方ないさ……それにしても、あの会社。
まともじゃないな。
佐倉さんが元に戻ってくれて良かったよ」
佐倉 光
「ああ、明らかにやばい。会社ぐるみかよ。
ああ、連れ出してくれてありがとう、助かった……
あんな所で溶けておしまいなんて、最低だ」
牧志 浩太
「溶ける?」
佐倉 光
「ああ。溶けて肉塊に……? 何を言ってるんだ?」
牧志 浩太
「溶ける……」
記憶に引っかかるものはある?
KP
【アイデア】
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 49 > 成功
牧志 浩太
タチの悪い液体人間か人類補完計画か。
KP
それは、誰の記憶だっただろうか。
いつの記憶だっただろうか。
脳裏に不意にちらつく。

隣の誰かへと伸ばした手が、溶けて──
牧志 浩太
「……あ、ここで『見た』ものだったっていうのか?
とすると、今頃あの部屋」
佐倉 光
「……とにかく、この部屋を探ってみようぜ」
牧志 浩太
『覗きたい、見たい、知りたい』と叫ぶ自分と、『そうすべきではない、そんな場合ではない』と叫ぶ自分が両側からわめいていた。
軽く頭を振って、そうだなと答える。
佐倉 光
「……牧志?」 少しまた、あの縋るような声色がちらついた。
牧志 浩太
そんな場合ではない。いい加減にしないと興味に殺されるぞ。
今はしっかりしないと……
「ああ、大丈夫……真面目にやるよ。
大丈夫だ、佐倉さん……」
佐倉 光
「……興味があるのか。そうだよな。
知りたいよな。あの時だって……」
彼は言いかけて、ふいと頭を振った。
■佐倉視点
佐倉 光
(あの時だって、俺に助けを求めながら、それでも。知識が欲しい、知りたいって)

牧志 浩太
「あの時?」
佐倉 光
「いや……、違うな。違う? 知りたがってたのは、牧志か……?」
やらかした?
牧志 浩太
佐倉前にやらかしたかぁー。
KP
あ、『対の棲みか』第一話の話ですね。
牧志 浩太
ああ
そっちね! あれは佐倉のやらかしではない。
運判定に100ファンしただけ。
KP
そっちです!
100ファンじゃしょうがない。
あれは遭遇してしまっただけですもんね。
牧志 浩太
運悪く引っかけられて連れ去られた先がもう見てはいけないものの中だったから、完全なる最悪なもらい事故だ。
KP
あ、「知りたがってた」は手紙の内容のことまで含めてですね。
牧志 浩太
むずむずするわぁ。

牧志 浩太
言いながら調べよう。
ここって控え室として使われているのかな。
KP
狭い部屋には事務机と、簡易な移動式の資料棚が並んでいた。
牧志 浩太
まずは机かな。
KP
事務机を探せば、主催者側が使う資料が見つかった。
牧志 浩太
「佐倉さん、これ」
声をかけてから見よう。
佐倉 光
「あいつらの資料か。思惑が全部書いてあるといいんだがな」
彼はあなたの横につき、一緒に資料を覗き込む。
牧志 浩太
「悪役はこういう資料にその時の感情から解決方法まで全部書かなければいけないと法律で決まっているからね」
佐倉 光
「いいなその法律。対抗側にとっちゃ最高に便利だ」
KP
ちなみにここで何があったのか&自分が誰か思い出しますが、その前にやりたいことはありますか?
牧志 浩太
あ、そうなのか。
うーん、とりあえずはいいか。
KP
なのです。何かあれば資料の順番入れ替えましょうか?(思い出すのを後にする)
牧志 浩太
何があるか分からないけど、思い出すの後にしようw

KP
その資料は、計画書、から始まっていた。
KP
具体的にいうと、棚の資料と机の資料が入れ替えられました。
牧志 浩太
はーい
牧志 浩太
手早くめくりながら重要そうな部分を拾い読む。
技術関係は……涙を呑んで後回しだ!
KP
後回しにするなら…… 【POW】×5で判定!
牧志 浩太
エェッ
KP
失敗すると技術関係の記述を読み込んでしまう。
牧志 浩太
CCB<=(12×5) 【POW】 (1D100<=60) > 98 > 致命的失敗
読みたかったんだもんっっっ!
牧志 浩太
佐倉マジ佐倉。
お前さぁー。
牧志 浩太
ついつい技術関係の詳細に視線が止まってしまう。
なるほどわからんが覚えておけば後で応用効かせて……
いやせめて写真撮っといて……
いやいやそれじゃあちゃんと撮れないかも知れないしやっぱりここで理解できるまで読んで
『佐倉さん』たすけてw
KP
その資料には人の思考・肉体を操る制御チップについての記載があった。主催者側の二人は自らそのチップを脳に埋め込むことで、肉体のパワーセーブ機能を解除し、通常の人間の何倍もの精神エネルギーを使用して儀式を完遂させようとしている。
佐倉 光
「なるほど、こいつが弱点か。このチップを破壊するか、他の呪文で介入して儀式を中断することで……
……牧志?
おーい、牧志?」
牧志 浩太
ふむふむそれで制御チップの構造は。
聞いたこともない名前が書かれているな。どこの会社のか命名法則から割り出せないだろうか。
KP
佐倉さんが佐倉さんすぎて笑ってしまった。
佐倉 光
「牧志ー?」
牧志 浩太
「アルゴン……じゃないな。独自開発か?」
佐倉 光
「おーーーい」コンコン、とあなたの肩を叩く。
牧志 浩太
ぶつぶつ言ってる。
「……えっ。佐倉さんどう思う!? このチップどこで作ったヤツかな。
いやむしろ心臓部はこっちか……つまり」
佐倉 光
「えっ? 待ってくれ牧志、思考が飛躍しててついて行けてない」
牧志 浩太
困惑している佐倉と、その胸にあるヒランヤを見た。
「あ、ああ、悪い、ごめん、つい夢中に」
佐倉 光
彼の胸にはヒランヤが下がっている。そういえば、彼があれに手を伸ばしたことはあっただろうか?
牧志 浩太
ふと、下を見下ろす。
胸のあたりで空を切った自分の手。
佐倉 光
「おいおい……。気持ちは分かるけど、あんまり時間がない。後にしよう、持っていってもいいから」
KP
苦しさを覚えたとき、あなたは胸のあたりに手を伸ばそうとした。そこには何もない。
牧志 浩太
「佐倉さん、ちょっとごめん、それ触ってもいいかな」
ヒランヤを指す。
佐倉 光
「これか?」言われ、彼は少し考えた。大事なもの……、だった、はずだ。
■佐倉視点
佐倉 光
少し、考えた。これは俺の大事なものだ。
それでも、それは彼の胸にあるべきもののような気がした。

佐倉 光
「いいよ」
彼は慎重にヒランヤを首から外し、あなたに渡す。
牧志 浩太
これ前回やろうかなって言ってたヤツですね。
KP
なるほど!
牧志 浩太
「触らせてくれれば良かったんだけど」
佐倉 光
「ああ、そうか? いや、これでいい気がしたんだ。
これでいい? 何言ってんだ」
牧志 浩太
「ありがとう」
受け取って握りしめてみた。
「何だかほっとするな。プラシーボ効果ってやつだろうか」
佐倉 光
「かもしれないな。持ってると落ち着く物ってあるし」
牧志 浩太
「ライナスの毛布ってやつだな」
握って深呼吸すると、何故か気持ちが落ち着いた。
どうしようかな。
なんとなく持ったまま次の資料見させてもらっていいかな?
佐倉 光
彼はあなたがそうしている様子を、じっと見ていた。
「なんでだろうな。正直牧志には似合わねぇなって思うのに、それでいいような気がする」
牧志 浩太
「俺にもあった筈なんだ、そういう、何かが……」
佐倉 光
「それで、間違っていない気がするんだ」
牧志 浩太
「間違ってない……」
佐倉 光
「ああ、間違っていない」
牧志 浩太
「そうすると、間違っているのは何だ?」
言いながら、棚を見る!
ヒランヤは後で返すつもりだぞ、一応!
KP
棚には「追加資料」と書かれた薄いファイルがある。
牧志 浩太
左の指にヒランヤを引っかけたまま、資料を抜き出してみる。
「追加って、何の追加だ?」
KP
資料を抜き出すと、その勢いでページがめくれる。
そこにあったのは── あなたには、分かった。一度世界の真理たる叡智を覗き見たあなたには。

それは、呪文だ。
これらの呪文が書かれた資料が見つかります。
まず、《夢の映像》(基本290p)
呪文の使い手あるいは選ばれた対象に、未来を予告するような夢を見させてくれる。
呪文をかけるために3MPのコストがかかる。
牧志 浩太
「呪文……!」
佐倉 光
「呪文、だって? ……そうだ、さっきは俺だけじゃない、会場全体も変だった。あれが呪文のせいだっていうのか」
KP
続いて、《セクメンケネップの言葉》(基本267p)

呪文の使い手は大勢の聞き手と深い結びつきを確立させる。呪文をかけるためには3MPと1d6正気度のコストがかかる。
それに加え、呪文が続いている間、10分ごとに追加の3MPをコストにしなければならない。

それから即興的に話をするのだが、心の底から話していると見えるようにして、聞き手の注意をそらさないように話さなければならない。

そうしている間の10分ごとに、呪文の使い手はKPが適切と思うような交流の技能(値切り、信用、言いくるめ、説得など)に成功しなければならない。

失敗すればスピーチは不明瞭な形で終わって、わけがわからないことになる。スピーチが成功すれば、聞き手は1d3日の間、そこで話されたことをすべて信じる。
牧志 浩太
「つまりは魔術的な洗脳か?」
佐倉 光
「ってことだな。クソ」
KP
そして最後に── そこには、注釈のようにして、呪文のかたわらに計画書の1ページが引き写されていた。

『精神交換』。(基本p266)

計画書のページ
事前に二者の精神のみを交換することで、肉体・脳に蓄えられた情報と、他者の経験記憶・思考とを統合する。
本日19時、ショッピングモール内の放送室からアナウンスで呪文を放送する。

二者が強く癒着した状態で、我らが神ハスターと交信することで、被験者達の持つ電化製品や情報端末に埋め込んだ制御チップに肉体・脳・精神の情報が移動する。
これにより被験者は元の肉体を捨て、肉片に変わる。
多数の被験者達が同時に、膨大な身体データを制御チップに移行する運動エネルギーにより、強力な電磁波が発生し、被験者達の思念の総合体が現れる。

それらを我らの神に捧げることで、かの神が求める人類の肉体を捨てた知性と文化の統合、究極の情報化はまた偉大なる歩みを進めるだろう。
牧志 浩太
「……二者……肉片……」
牧志 浩太
なるほどなれの果てかぁ。
KP
その文章と呪文を目にしたとき。
あなたは。あなた達は。
全てを、思い出す。
そうだ。あなた達は数日前に届いたメールのURLを、あの時と同じように、勝手に開いてしまったのだ。
そして、導かれるようにこの講演会を訪れた。
あなたは顔を上げる。
彼の蒼白な顔と目が合った。


「……はは……何だ……」
KP
そうではない。そうではなかった。
あなたの横に居たのは、“佐倉さん”では、なかった。
「……そんな、簡単なこと……」
KP
あの時、あなたの横に居たのは── 牧志浩太だった。
「とんだ馬鹿野郎だ、俺は。
答えは目の前にあったっていうのに」
指先でヒランヤの縁をなで、目の前の青年に声をかける。
「なあ、牧志……牧志浩太」
牧志 浩太
「……ああ。佐倉、さん」
彼は、確かめるように応じた。
「佐倉さん、だよな?」
確かめるように、ふたたび名を呼ぶ。
佐倉 光
「そうだよ。佐倉だ。くそ、どうして気付かなかったんだ。
あの蟲野郎事件知ってるの俺たちだけだ。まずその可能性を考えるべきだっただろうが」
牧志の声で、悪態をつく。
牧志 浩太
「本当にな。佐倉さん、ごめん。俺が混乱させたかな」
佐倉 光
「いや、呼べって言ったの俺だし。
……はー……凹むわ」
思いつく限りの悪口雑言を言いたい気分だったが、牧志の声では聞きたくなかった。
牧志 浩太
「俺もだよ。思った以上に動転してたみたいだ。こんなことにも気づかないなんてな」
佐倉 光
「またさぁ、自分の声って、耳で聞くやつと違うだろ?
微妙に違うんでぴんとこなかった」
牧志 浩太
「分かる。カラオケでさ、録音したの聞くと思った以上に変な声で凹んだりするな」
佐倉 光
「あーもー、そうだ、あのPCのことだって。自転車だって。モンエナだって。ヒントだらけじゃねぇか!」
頭抱えてため息をつく。
「思考の硬直には気をつけろ、って、一番俺が……あーもー」
牧志 浩太
「何度も名を呼んでたのに、ずっと間違ってたんだな。確かに少し凹む」
佐倉 光
そういえば牧志には近づかない方がいい、とか言った俺が一番距離詰めてるしなぁ。
思っていたほど自分はできてないな。
「しかしさっきの記述だと、俺の脳の記憶も牧志にまる見えだったりするのか……?
それは、ちょっと、いや大分困る」
牧志 浩太
「それはちょっとな、佐倉さんに悪いし。まだそんな感じはしないから、大丈夫じゃないかな。
俺だって、佐倉さんのPCのパスワードとか分からなかったしさ」
佐倉 光
ヒランヤを握って、ため息をつく。
「そうだな。あんな意味不明なの分かってたまるか。
うん……よし、切り替えよう。
これから取り返せばいい。何もかも」
牧志 浩太
「そうだな。これから取り返せばいい、あの時みたいに。
目標はさっきのアナウンスの阻止。それから、俺達の身体を元に戻すこと」
佐倉 光
「そうだな」
19時か。今何時かな。
「逃げ惑う肉片、は、犠牲者だった。ということは、これは一度起きているのか?」
KP
17時くらい。まだ時間はある。
あ、ちなみに詳細書きそびれたけど、『精神交換』の呪文の詳細も資料に書いてあります。
佐倉 光
あ、やっぱりあると考えていいのか。
KP
『精神交換』

呪文の使い手はほかの人間と精神を交換することができる。
呪文をかけるために1D3正気度ポイントを失い、MPは、最初に呪文をかけるときには対象の【POW】と同じ値のMPを消費する。
それからあとは呪文をかけるたびに消費するMPは1ポイントずつ少なくなっていき、消費するMPが1ポイントになるまでそれが続く。
その次からは何度呪文をかけても、消費するMPは1ポイントである。

この呪文の対象となる者は、呪文の使い手を知っていて、強い好意を持っている者でなければならない。
佐倉 光
対象が限られるな。
対象の【POW】ってコストおっっっも
ドリームランドにはどこから行けますか? 助けて神様。
※ドリームランドでは覚醒世界の魔法のコストが軽くなります。
KP
ちなみに、今互いに対して使うならコストは1D3正気度/1MPです。
佐倉 光
何度もやってるってことね。初回どうやったんだ。
佐倉がかけるなら足りるか……
つまり、呪文で操った相手にこの魔法をかけさせた、ということだろうか。
KP
ということになりますね。
佐倉 光
何度も、というのがまだ良くわからないところではあるけど。
牧志 浩太
「ぞっとするけど、一度起きたってことに……、あ、何か書いてある」
KP
注意:前日に使った《夢の映像》では、予定通り儀式が完遂される夢を見た為、このまま順調に計画が進めば問題は発生しない。しかし当日は注意を払うこと。
牧志 浩太
「……夢に巻き込まれたってことか? でも、じゃああの死体は何だったんだ?」
佐倉 光
「未来は『失敗しない』ことになっている?
そうだな、これがまだ起きていないなら、牧志の所に来た肉片や、逃げ惑うヤツは……」
佐倉 光
邪魔したヤツに復讐だかしに来ましたか。
牧志 浩太
「いまいち断片的で分からないな……。とりあえず、棚上げ」
佐倉 光
「わかんねぇな。賛成。
……で、自分のことを思い出した途端、むずむずして気持ち悪い。
さっさと自分に戻ろうぜ」
牧志 浩太
「分かる。佐倉さんだと思うと見てて不思議だ。
賛成。さっきの呪文、使い方も書いてあったよな?」
佐倉 光
これは、牧志に使ってもらうべきだろうな。
MPもSANも高いしな。
牧志 浩太
「……俺がずっと、間違っているのに間違っていないと感じていたのは、そういうことだったんだな」
佐倉 光
「俺はひたすら『俺はコピーかショゴスなんだな』と思ってたよ。
見当外れもいいとこだな」
牧志 浩太
「コピーについては前例があるしな」

佐倉 光
つまり、隣の部屋では今「入れ替え」が発生しているということかな?
KP
YES。
佐倉 光
そのまま部屋にいたら戻れたのでは。
正気じゃなくなりそうだけど。
KP
それ以前にも既に入れ替わっているコンビがいるっぽいので、佐倉さんたちと同様に既に巻き込まれている人もいそう。
正気と意思がちょっとね……>そのまま部屋に
佐倉 光
この周は捨てて次周に賭けるかー(だいぶ慣れてしまったかんじのループ体験者)
KP
慣れてるぅ!
ループを繰り返す佐倉くん、似合うのがなんとも

佐倉 光
資料を手に取って、呪文の所を見る。
「……よし、これは……使えそうだ。
これ……使ったことがある……?」
牧志 浩太
「ある? ……使わされたのか、もしかして。さっきの感じだったら、ありえる」
佐倉 光
「そもそもこの呪文で入れ替わった、と考えるのが自然だけど。
結局デジャヴュについては何も分かっていないな……」
牧志 浩太
「それ以外に入れ替わる方法がホイホイ転がってたら、それはそれで困るしな」
佐倉 光
「そういえば、ここに来るようにと誘導してくれたのも、今までに助言をくれていた『彼』だと思う」
牧志 浩太
「とにかく、使ってみよう。……途中でハエとか混ざり込んだりしないよな?」
佐倉 光
「合体事故は勘弁……」
牧志 浩太
「助言って、あのメッセージの?」
佐倉 光
「そう。味方だと見ていいだろうな」
牧志 浩太
「そういえば結局、誰だったんだろうな。あれ。
ここまで連れてきてくれたんだから、味方で合ってはいそうだけど」
佐倉 光
「『いい人に見えて、そう振る舞ってるならいい人でいいだろ』。
今回は俺がそう言いたいね」
牧志 浩太
「……そうだな。
誰か知らないけど、いい人ってことで」
佐倉 光
それじゃ、どうしよう。
持ってるからこのまま読んだら佐倉が魔法使うことになるけど。
KP
牧志に渡してもOKですよ。
佐倉 光
そうだなー……
じゃあ、「これは頼む」と言って渡そう。
牧志 浩太
「ああ、頼まれた」
彼はそれを受け取り、ページを開く。
佐倉 光
「ちょっと集中して、入れ替えってヤツを観察したくて。
コストがどれくらいかかるか……しかし今までの感じ、魔法の力も全部入れ替わっていそうだし。
牧志よりは俺の方が向いているんじゃないかと思うから牧志に……
こんがらかるな」
牧志 浩太
「確かに。
とにかく、そういうことなら頼まれた。確かに、何かしっくりくるような感覚はあるんだよな」
佐倉 光
「俺、一応魔法は使えるしな」
牧志 浩太
「マッスルドリンコ飲んで《ディア》? 随分荒療治だ」
佐倉 光
CoCでの《ディア》《応急手当》なので低威力な上たまに失敗する。
佐倉 光
「あくまで非常時用だよ。とにかく、頼む」
牧志 浩太
「ああ、──頼まれた」
彼は静かに資料のページを開き、そこに刻まれた理解しがたい音の連なりを、正確に唱えていく。
佐倉 光
その音の一つ一つを、自らの内の精神や感情の動きを、何一つ見逃すまいと身構える。

KP
はじめに感じたのは足元が浮き上がるような感覚だった。
次に感じたのは頭の奥がねじれるような感覚だった。
その次に感じたのは、自分が曖昧になるような、微かなたよりなさだった。
ふと、ぱちんと視界が真っ暗になる。
佐倉 光
嫌な記憶が脳裏をよぎる。
KP
あなたは何か寄る辺の無い場所に浮かんでいた。
佐倉 光
ここはどこだろう。
あの宇宙ではない。
夢の世界でもない……?
KP
それはどこでもない場所だった。
ただ、どこでもないことだけが分かる場所だった。
佐倉 光
もしかすると夢と現実で『繋いだ』ときの事を思い出すかな?
KP
ふと、傍らに牧志の気配を感じた。そう、それは、あの時『繋いだ』あの感覚に似ていた。
あなた達は表裏合わせて、どこでもない場所に立っていた。
佐倉 光
「俺たちは帰るんだ」
牧志 浩太
「佐倉さん」呼ぶ声が聞こえた。
佐倉 光
「いるよ、ここに。大丈夫だ、牧志」
牧志 浩太
「ああ、そこにいるな。分かるよ、佐倉さん」少しだけ縋るような響きは、あの時に比べて随分と確かに、あなたを呼んだ。
KP
──彼があなたの手を引く。力強い引力があなたを呼ぶ。
佐倉 光
いつかと似たような光景だ……
そう、溶け合っている場合じゃない。俺は俺で、牧志は牧志。
そうあることをあの地で選んだ。
牧志 浩太
俺は、俺だ。あの時に、──それで間違っていないと、ずっと信じていられた。
佐倉 光
互いの在るべき場所に還ろう。
牧志 浩太
そう、混ざっている場合じゃない。溶けあっている場合じゃない。一つになっている場合じゃない。──曖昧になっている場合じゃない。
俺と佐倉さんは、互いに独立した、友達だ。
佐倉 光
牧志君これ以上混ざったら大変。
KP
それはそう何人抱えるんだ。

KP
──強い引力が互いを引っ張って、
そして、ぱちんと視界が開いた。
PL向けアナウンス。
ここで、互いのコマが再度入れ替わります。「しまう」で佐倉さんのコマを取得してください。
──ぱちん、と視界が開く。
あなたは、あなただった。
コスト
KP
あれ? 呪文コスト支払うの超忘れてた
佐倉 光
はらっとくー
KP
お願いしますー
佐倉 光
ダイスはお願いします。
牧志 浩太
1d3 (1D3) > 3
system
[ 佐倉 光 ] SAN : 72 → 69
[ 佐倉 光 ] MP : 15 → 14

佐倉 光
「ふーーーーー」
手を無意識に握ったり開いたりしてみる。
牧志 浩太
まず、自分の手を見下ろした。その手をじっと見つめて……、数度、握って、開いた。
「……うん。
これで、合ってる」
佐倉 光
あ、牧志君ヒランヤ持ってるよ。
牧志 浩太
「あ、そうだ。これ返さないとな」慎重にヒランヤを首から外して、佐倉さんに渡す。
佐倉 光
「お、サンキュ」
受け取って自分の首にかけ直す。
「そうだよこれこれ。やっとスッキリした」
牧志 浩太
「うん、しっくり来るな。今度こそ合ってる」
佐倉 光
「ずっと俺が俺のようなそうじゃないような、ぼやけた気持ち悪ーい感覚で。
あれはあれで貴重な体験だったとも言えるか……
臓器の記憶ってやつがやっぱりあったし、記憶は魂が持っていったと考えるべきか? しかし記録装置は脳であるわけで。
ってそんな場合じゃねぇな」
牧志 浩太
「体が覚えてるなんて言葉もあるし、意外と連続体なのかもなはいいとして、とりあえず今後のことだな」
佐倉 光
「議題は19時の吸い上げを邪魔するには、か」
牧志 浩太
「ああ。あの人たちが犠牲になるだけでも十分嫌だけど、それだけで済むとも思えない」
佐倉 光
「要は、放送で拡散しようとしてんだから……放送を潰せばいいんだな?
呪文を放送で流して拡散ってやべーな」
牧志 浩太
「そうなるな。佐倉さん、何か考えてる?」
呪文を放送で流して拡散。何だかとても覚えのあるシチュエーションな気がした。
佐倉 光
「ちょっと確認……」
言って、自分のポーチを開けてみる。
道具は揃っているかな?
とはいえ、PCはあるんだし、ケーブルさえあればいけるだろ。
KP
ミニPCとケーブルはちゃんとある。無意識になのか、少し遠慮するような丁寧さでしまわれていた。
佐倉 光
「放送に割り込めばいいなら、あの設備だな。全館と繋がっていそうだし」
佐倉 光
あー、どうしよっかな。
彼女巻き込むのもアレだなー
うーん、まあいいか!
牧志 浩太
「あの……、そうか、中央広場?」
佐倉 光
「牧志、いい曲って人に勧めたくなるよな」
夜はライブやってんのかな?
『その時間』に
ああ別に俺の美声でもいいんだけど?
KP
あのコンピュータを総動員したバーチャル×リアルライブが行われる。まさに、19時開始だ。
全てのコンピュータに火が入り、オンラインになるだろう。
牧志 浩太
「ああ。昔さ、一度放送委員やったよ。誰が好きな曲を流すかで取っ組み合いのケンカやってるのを仲裁した」
佐倉 光
「俺、あの子の歌割と聴いてたんだよね。今とても人に勧めたい気分。
ちょっとばかり強引にはなるけどな?」
牧志 浩太
「……俺もだよ。
みんなに聞かせたい気分だ」
佐倉 光
「よし、決まり。あの子には迷惑がかからないように相談はしない。
あくまでどこかのクラッカーの悪戯だ」
牧志 浩太
「よし、その方向で決定だな」
すごうで
佐倉 光
クラック失敗すんなよ? 凄腕クラッカー。
KP
正しい形に戻ったし、きっともうファンブルしないしない。
KP
いけるいける(フラグ)
佐倉 光
割と女神面白い展開にしたがるし……
今回の佐倉ファンブル塗れだし……
KP
とはいえちゃんと元に戻ったからもうファンブルしない……(?)
佐倉 光
ははは当然成功、いやいやクリティカルしてやりますよ。

牧志 浩太
「あれ初めての試みらしいし、それに目をつけたクラッカーに悪戯されるくらい、あるさ。そのクラッカーが、丁度彼女のファンだったってこともな!」
佐倉 光
「……」
一瞬、牧志には帰れ、と言おうかと思った。
佐倉 光
無関係な方がいいに決まっている。
KP
全ては元に戻ったのだ。後は、あなた一人で決着をつける。──そんなことも、きっと可能ではあるだろう。
佐倉 光
「……そうだな。
ここからは俺の得意分野だ。降りてくれて構わないし、その方がきっと安全だ。
牧志は、どうしたい?」
牧志 浩太
「見届けたいかな。佐倉さんのことも、この件の行く末も、それから彼女のこともさ。
最後まで」
佐倉 光
「そうだよな。そういう気がした」
牧志 浩太
「そういうこと」
佐倉 光
「じゃあ、何かあったときのフォロー頼む。俺きっとそこまで手が回らない。
舞台に、事情を知らない警備員が来たときとか……
天変地異が起きたときとか?」
牧志 浩太
「了解。いい仕事してみせるよ。天変地異の時は、できる限りになるけど。
……ありがとう、佐倉さん」
佐倉 光
「一度乗ったら、途中下車なんて無理だよな、お互い。
そのへんは分かってきたつもりだよ」
牧志 浩太
「その通り。そういう所、ちょっと似てるのかもな」
佐倉 光
どこでやろうかな。舞台に近い場所にいた方がいいかな?
シーン的に本日ここで終わりかな。
KP
ですね。クライマックスにGO! って所で切るのが丁度よさそう。
佐倉 光
シナリオ的に舞台でなんかやる感じかな。
そうすると、舞台近辺からハックした方がきっといいよねー。
KP
ですね。近い方が何かあった時にコントロールがききそう。
佐倉 光
「よしっ、行動開始だ」
牧志 浩太
「ああ、作戦開始だ!」
佐倉 光
「……あいつちゃんと帰ったかな」
牧志 浩太
「東浪見か……。帰ってる、といいんだけどな。連絡入れてみようか」
佐倉 光
「そうだな、ここを出たら」
いつこの部屋人が入ってくるか分からないからな。
KP
それはそう。
佐倉 光
資料は掻っ払っていこうw
シナリオ的にまずかったら、適当に手放すから。
KP
呪文持ち帰らなければ大丈夫です。>資料掻っ攫い
事務室を出ると、辺りは少し薄暗くなっていた。もう少しすれば、一気に陽が落ちるのだろう。
戦利品
佐倉 光
酒場に持っていって、「こんなの手に入れたんだー」って見せたら没収されそうw
KP
神父が顔色変えそう。没収でございます。
佐倉 光
追いかけるほどのファン! って程ではないけど、聴いてた感じで。
外調査に行くときに聴いてた曲に彼女の曲も入っていたんじゃないかな。
KP
ああー。いいと思います。
佐倉 光
こちら終了で大丈夫ですよ
KP
牧志くんは一度忘れてしまってからは聴いてなかったんですが、これからちょくちょく聴くようになるかもしれませんね。
佐倉 光
怖いのは見せ場でのファンブルだけだね!
ハッキングは85あるからいけるいける……

佐倉 光
「暁月ミントの生ライブか。
いい夜になりそうだ」
牧志 浩太
「しかも特等席。ああ、……最高の夜になりそうだ」少しもの思うように、いちど目を閉じて開いた。
佐倉 光
気になる、といえば、時間の歪みと、謎の助言者か……
後で考えよう。と思った。
KP
あなた達は決意を固め、陽が傾いていく空を見上げた。
あなたはあなたで、彼は彼だ。それを取り戻したのだから、もう怖れるものは、きっとない。

KP
本日は、以上!
佐倉 光
お疲れ様ー!
KP
お疲れ様でした!
KP
あ、流れで描写しそびれましたが、東浪見はちゃんと帰宅しています。
佐倉 光
別に義理堅く帰らずに、全部終わってからみんなで帰ってもいいのよ。
やりたいシーン次第かな?
KP
確かに。じゃあ…… 前言撤回! 保留!
その時の流れで決まります(?)
佐倉 光
それでいいと思います!
みんなでミントちゃんライブ見てから祝杯挙げに行ってもいいしな。
KP
ああー、それ面白いですね。佐倉くんも含め、世界が広がるかもしれない。
ミントちゃんと牧志も、間に東浪見を挟みつつ新しい関係性を築けるかもしれないし。
佐倉 光
モニタも運んでもらえるし(小声)
KP
そうね! >モニタ
佐倉 光
そうそう。
状況がそうさせたとは言え、佐倉が初手で無警戒で話した相手なんてレアな状況なので、割と違和感なく喋れるようになるんじゃないかと。
KP
ああー、いいですねぇ。「仕事仲間じゃない」友人の世界が広がっていくかもしれない。
佐倉 光
牧志君コピーが難しかった……
KP
ややこしいものをお任せしてしまいました……。佐倉くんコピーは今見るとかなり口調が違ってた。
佐倉 光
それっぽく喋ると案の定紅さんになるしー
佐倉怒ってないときはそこまで汚い口調じゃないんですな実は。
KP
なんですよね。意外とそんなに乱暴じゃない。
案外プレーンな口調。
佐倉 光
牧志相手だとさらに柔らかめになるしね。
KP
牧志くんともどもKPの頭の中にも強い怒りの印象がくっついていたのかもしれません。
佐倉 光
感情高ぶったときに早口で毒づいたり何か言ってる印象とか強そうだもんなぁ。
牧志君は
結構男っぽい口調なのに優しい雰囲気ってのが最高に塩梅難しい。
KP
あと直前が対の棲みか第三話だった影響。口調は案外そうでもなかったけど、印象が。
佐倉 光
対の棲みかはテンション上げようと頑張ってたから、割と感情的な口調になってますしねー。
KP
そうそう。あとはコピーしようと思うとどうしても口調が極端に振れちゃうのはありますね。プレーンな口調は難しい。
佐倉 光
あくまで人からの印象だから、まあ難しい。
そしてこれはきっとそれを楽しむお話なので、それでよいのだ!!
「えっ、お前から見た俺ってそんなの……?」みたいな。
KP
それを楽しむお話なのですきっと!!
佐倉 光
牧志君はモンエナ気に入っても飲んじゃダメだぜ……
あと中のヒトモンエナ類飲んだことないから味知らん。
KP
実際「本当に相手の記憶があるわけじゃない」「そう思い込んでいるだけ」というのが前提に引いてあるので、たぶんそういうズレを楽しむお話であってると思うんですよね。
佐倉 光
本当に付き合い深くないとできないな。
KP
本当に。>付き合い
あと、佐倉くんが積極的に動けるスキル持ちだから、入れ替わり相手が牧志くんじゃなかったら途中で《ハッキング》できない佐倉くんが発生するというひどい事態になってましたね。
佐倉 光
脳筋な佐倉! でも【STR】は6!
みたいな喜劇が起きていたかも知れない。
KP
相手が東浪見くんとかだったら絶対【STR】差で怪我していた。
佐倉 光
フィジカルについては似たりよったりの相手で良かった良かった。
KP
ほんとにほんとに。
いやー、しかし第三回終盤~今回にかけてどんどん雰囲気が当人に戻っていく描写が楽しかったです。
あと牧志くんのぜったいしなさそうな顔、なんだかんだで大活躍!
佐倉 光
楽しかったなぁー。
牧志の嘲笑が雰囲気ぴったりだった。
どっちかっていうと自嘲。
KP
そう、「牧志の顔なのに言動が佐倉くんに戻る」描写としてすごくぴったりだった
二人とも別々の理由でたいそう凹んだ。
佐倉 光
記憶が歪みすぎなんだよ~
KP
牧志も牧志で、「佐倉さんだと分からなかった」「違う名前で呼び続けていたことに気づかなかった」ことにたいそう凹んでいる。
佐倉 光
いつもはぱっと切り替えられるのに今日は割と長目にうだうだしていたw
KP
ごめんな佐倉くんKPがストップをかけたばかりに。
佐倉 光
後で思えばあれもこれも!! 大馬鹿か俺は!?
とっても自分を罵りたい気分だけど、牧志の声でやるのは嫌だから自重!
前回戻ったらひたすら笑う予定だったんだけど、やってみないとわかんないですね、こういうの。
KP
ですねー。本当にその場にならないとわからない。
佐倉 光
牧志くんは時期から言っても狂気終わりかけくらいかなぁ。
6ヶ月でしたっけ?
もっとあったっけ?
KP
確かそれくらいだったはず。不定だから最大でも六か月ですね。
ちょうど今回のエンディングあたりで狂気から抜けるときれいかな?
佐倉 光
そうですね!
KP
じゃあそれで!
あと本筋とは関係ないんですけど
ミントちゃんと牧志くんはたぶんもうくっつくことはない(彼女にとって、好き「だった」人の位置になってる気がする)けど、ミントちゃんと東浪見は後々ワンチャンありうる気がしています。
佐倉 光
ありうる。
東浪見は幸せになるが良い。
誰かとくっついた暁にはなんか爆発させてやろう。クラッカーとか。
KP
いいやつですしね。東浪見に幸せあれ。


【置】CoC『blood red decadence』佐倉&牧志 2

酷い冗談だ、悪魔使いが悪魔に成り果てるなんて。

【置】CoC『夜は星を落とし易い』 牧志&佐倉 3

「……無理強いはやめてほしいな、そういうの」

【置】CoC『midnight pool』 佐倉&牧志 4

「知らないよ! 知らない! 僕は何も知らない! 分からない! もう放っておいてくれ!」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


Zephyranthes 第一話 『罪と罰』1

『罪と罰』1

【置】CoC『Hazy Night』 佐倉&牧志(塔) 1

それでもいいって思ってたんだ、独りになってもいいって。
なのに、日常がそこにあると失うのが惜しくなるなんて、弱いなと苦笑する。

CoC『わすれんぼうのおうさま』栗原・黒枝・羽生・伊豆見 1

「なぁ!? 俺のツッコミ聞いて!?」
「正気じゃやってられないからでは?」