こちらには
『100万回のハッピーバースデー』
『地獄はやさしい』
ネタバレがあります。

このリプレイには、本シナリオのほか、『地獄はやさしい』 『対の棲みか』のネタバレが含まれます。
今回は佐倉の誕生日を祝う話……らしい。
佐倉の誕生日
佐倉 光
ん? 祝われる側って事は誕生日決めないといかんか。
星座的には 蠍座(10/24~11/22)・射手座(11/23~12/21)・水瓶座(1/20~2/18)あたりが合いそうだけど、どれも秋冬で、随分間が空いちゃうな。(占星術の都合上、どうしても傾向から決めると日付近くなっちゃいますよね……)
今回で19になるか20になるのどっちかだったと思うけど……真面目に計算しよう。
第三章終了直後あたりからCoCの話が起きているなら19、その1年後とかなら20かな。
んで、高校は今年の春に卒業したって事になっていたと思うから、満18歳で17~18歳。

……普段創作キャラの年齢とか誕生日なんてざっくりとしか決めないので、真面目に考えると大変だなぁって思えます……19の誕生日っぽいかな。
KP
あー、佐倉くん誕生日わからないし、誕生日がシナリオ都合で決まっちゃうのもあれなので、時期はぼかすつもりでした。(時期いつかが重要な話ではないので)
すみません、先に言ってませんでしたね。

年齢わかったらわかったで牧志くんとの年齢差とか、いつなにが起きたとかいろいろ話は広がって楽しいけど時系列ガチャガチャになるやつぅうう!
こちらはメガテン最終話が終わって割とすぐCoCに突入しているイメージでした。(波照間21才ってところから)
佐倉 光
決めてないってことは私の中では大事な情報ではないって事です。
だからシナリオ都合で決まっても何の問題もないのだ!
その場のノリで秋冬の描写し始めたら察してください。しないかもしれない。
じゃあ19の誕生日でお願いしまーす。
(星座から決めてるのも、ダイス100%で決めるのもアレかなー? ってだけの理由)
KP
分かりました!その場のノリで描写しはじめたら遠慮なくキャッチします。
佐倉くん19才の誕生日かぁ、ではそれで。
そもそも時系列に関与してこないからって全く決まってない人もいますしね!(波照間兄妹)
佐倉 光
どっちもバリバリ活躍しているっていうのに!
KP
普段あんまり誕生日とキャライメージ繋げないから、必要がないとそっちのけになりがち!
佐倉 光
誕生日だの血液型だの好きな音楽だの好きな食べ物だの、予め設定なんてまずしないから、聞かれると割と困る事が多いw
後者は割とシナリオ内のでまかせで決まるけど、前者はまず決まらない。
KP
ですねぇ。好きな音楽は中の人の趣味に偏りがあるから難しい!
食べ物はほんとシーンの都合次第なのわかります。
好きなお酒とか煙草とか、銘柄で明確にイメージがつくものはたまにあるかなぁ。アンリとラム酒の関係性とか、藤江チーフとガラム(あれは提案もらえて嬉しかった、めちゃめちゃ似合う)とか、それでシーンができるもの。

佐倉の悪戯(メガテンキャラ話)
開始前、フリーのスクリーンパネル配置お願いしたら烏が置いてあった。
佐倉 光
カラスかなるほどイメージ合うなぁ。なんてニヤニヤしました。
黒いし賢いし悪ふざけするし攻撃的だし捕食者に疑似攻撃するし。佐倉は烏だったのかぁ。
好き好んで集団行動はしないし、どう考えても吉兆ではないけど。
仲良くなってからは牧志にも、洞川さんにたまにやってるような子供っぽい悪戯を仕掛けているかも知れない……
KP
佐倉くんにカラス、似合うのわかります。鋭角な雰囲気も、ひとり高いところに佇んでいそうなあたりも。
牧志にたまに子供っぽい悪戯仕掛けてる佐倉くんの姿、楽しいなぁ。本当に「仲良くなった」んだなって感じられますね。
KP
(だんだんエスカレートして高度な悪戯になってそう)
佐倉 光
悪戯を仕掛けるってつまり、相手と関わりたがっているという事ですね。
佐倉、牧志くんはともかく、洞川さんにかまって欲しかったのか……?
割と冗談通じそうな相手とは認識していたと思う。
KP
なるほど??
中で一番冗談通じそうなのはわかりますね。あとリアクション芸人だから手を出したくさせるところはありますし。
佐倉 光
つまり洞川さんの大人な部分に甘えていたのかも知れませんね~。
KP
ああ~~。
一番見識が深い大人なのは事実だもんなぁ。ありそう。
年長枠の波照間が軽い尊敬をもって接する相手。なお尊敬ポイントの上下によって異なる。
佐倉 光
波照間さんは本気で困惑したりマジレスしてくるから子供っぽい悪戯はしないんだと思うw
KP
それはあるw
自分が冗談なときと冗談が通じにくいときの差が大きいからなぁ。
佐倉 光
春日さんと穂坂ちゃんはやっぱ女性だから遠慮がある&穂坂ちゃんはともかく、春日さんは波照間さんと同じ理由で気まずくなりそうだからやらないw
KP
洞川さんの冗談はちゃんと冗談だけど、波照間は基本大真面目に冗談やっちゃう。
佐倉 光
波照間さん冗談のつもりでやっていない気がする……
KP
ないですね、冗談のつもり……。当人いつもわりと大真面目。
春日さんは真面目に気まずくなりそう、穂坂ちゃんは仕掛けた瞬間にタッチアウトって感じ
穂坂ちゃんとアギなやりとりをできるのはやはり、洞川さんしかいない。
軽重を使い分けて軽やかにコントするあたりも大人なんだよなぁ、洞川さん。

佐倉の悪戯(対牧志)
佐倉 光
多分牧志には、純粋に関わりたいとか、反応が見たいとか、そんな動機で悪戯してそう。
対の棲みか事件以降にそんなことが発生し始めて、牧志君を困惑させ始めるかも知れませんねー
KP
なるほどなぁ。少しだけ、サークルの先輩の悔しそうな顔を思い出すかもしれませんね。帰りのバスで思い出した、その朧気な姿しか分からないんだけど。
最初ちょっとびっくりして、そのうち佐倉くんがじゃれてきてるのが分かって、なんだか楽しくなってきて軽く反撃するかもしれない。
佐倉 光
うっ。あんなイベントに繋がってしまうとは。
子供とは言わないけど若いですからねーまだねー。
意味のない悪ふざけだってやりたいお年頃です。
KP
高校出たばっかりですからね。意味のない悪ふざけ、本来やりたい時期にできなかっただろうし。
ちゃんと子供っぽい一面を見せ始める佐倉くん、いいなぁ。
繋がってしまうんですよ。二人分(三人分)のお兄ちゃんの記憶を持つ牧志くんに、「後輩」として可愛がられた微かな微かな記憶が……。
佐倉 光
子供っぽい思いつきを、確かなハッキング能力と悪魔の力で実現!
これどこの無垢系ラスボスですか?
KP
なるほど危うい。闇堕ちしてたら無垢系ラスボスになるやつ。
佐倉 光
年齢的には佐倉より確実に上ですしねー
KP
ですねー。それに三人分の記憶が全員長兄って、お兄ちゃん濃度がすごいなと思いました。
佐倉 光
高濃縮兄……凄いパワーワードを聞いてしまった。
KP
5才差・2才差・0才差とまたバリエーションも大きい。
高濃度お兄ちゃん。
佐倉 光
そんな牧志のお兄さん部分に甘えているのか佐倉!?
TAITOに仕掛ける場合と、「まあこのくらい許してくれるだろう」って甘えがある場合がありそう。
KP
なるほど? 楽しい。
牧志ならどっちで仕掛けてきてるかなんとなく分かりそう。
それとは別に、牧志は基本許しそうだし怒らなさそうなのはありますね。牧志の性格もそうだし、佐倉くんへの信頼もある。でも楽しくじゃれたりはする。
KP
悪戯をいなしたりじゃれたり軽く反撃したりは牧志の方が波照間より得意そう。人付き合いの多い少ないもあるし、きょうだいとの年齢差もあって。
佐倉 光
その牧志くんに「くたばれ」って言わせちゃうシャンちゃんさぁ……
わかります。
牧志くん大抵のことは許してくれそうだし、佐倉もまあ本当に害のあることはしないよ多分……
これはちょっと と言われたら謝ると思う。
KP
その牧志を心の底から怒らせてしまうシャンちゃん……
そうそう。本当に許せないことはしなさそうだし、しないだろうという信頼がある。

はじまり
佐倉 光
きましたよー
KP
こんばんはー
佐倉くん&牧志くんとこでKPするの久しぶりでKPは緊張しております。
AND/HAND以来では。
佐倉 光
そういえばそうかも。
宜しくお願いしまーす!
まだ牧志君の表情がチェックできてないな! やば。
KP
あっ、そりゃそうだ。水分補給してくる&皿かたしてくるので、その間に確認しちゃってください
佐倉 光
別室に拉致っていじろうw
KP
イントロからいきなりコマ交換になるので、コマしまってもろても大丈夫ですよ~
牧志 浩太
お、そうか。
文字の色もまるごと交換できるんですね。
KP
あ、そうかコマにくっついてるから。>文字色
牧志 浩太
これログでは色は元のままの方がいいんだろうなぁ。
紛らわしすぎるし。
KP
あー、色元のままにします? その方が分かりやすいしドラマチック
牧志 浩太
ログではかんたんにそれできるけど、
実プレイの時もやって大丈夫かな?
KP
大丈夫、というかぜひそれでいきましょう
牧志 浩太
コマに色コードメモっておきますか……
KP
お、ありがとうございます
牧志 浩太
佐倉カラー牧志!
佐倉 光
あーあーてすてす
牧志 浩太
okok

KP
さて今回なんですが、イントロからいきなり入れ替わった状態で始まります。
なので、タイトルコールした後、特殊ルール説明→導入の順で進めます。
牧志 浩太
どうも、今回PCやらせていただきます、いつもは佐倉の牧志です。
佐倉 光
こちらこそよろしくお願いします。
今回KP&KPCやらせて頂きます。
いつもは牧志の佐倉です。


『例えばそれは、時間の交通事故のようなものだ』




「100万回目のハッピーバースデー」

トロ川 / おさしみ大帝国 様




佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年なのだが、興味を持った物には危険を顧みずに突っ込んでしまう危うさがある。

牧志とは友人。


牧志 浩太

『地獄はやさしい』の事件に巻き込まれた探索者。それ絡みの割と大きな事情を抱えている。
人並み外れた頭脳を持っている。記憶に惑うこともあるが、お人好しで温厚、だが意思は強い好青年。
佐倉とは友人。


【地獄はやさしいネタバレ】牧志が抱える事情
元エピソード『地獄はやさしい』波照間

牧志はとある事件の影響で『ショゴスの【紅】』だった時期がある。【紅】はその時に悪魔使いの波照間紅と世界を救う大立ち回りをしている。
最終的に世界を救い、彼は牧志浩太として復活する事はできたが、波照間紅の記憶が85%上書きされた状態であった。牧志浩太自身の記憶はほとんど失われてしまっている。
そのため以前は悪魔使い【波照間】・強靱な【紅】としての記憶に振り回される事もあったが、最近は落ち着いてきている。

KP
さて、開始前にまずは説明を。
佐倉くん。
開始時点で、あなたは牧志くんと精神が入れ替わってしまっています。
牧志 浩太
前前前世しちゃったかー
牧志 浩太
うわ、違和感が酷いw
まきしくんはこんなことゆわないもん!!
KP
入れ替わりのショックで一時的に記憶を失ったあなたは── 鏡に映る、よく知った友達の身体を見て、自分を彼、牧志だと思ってしまっています。
しかし、あなたは佐倉です。それは変わらない。
あなたは一連の冒険を経て、彼のことを深く知っている。それでも知らないことはある。
例えばあの一夜、「彼」がどう駆けたのか。
例えば大学で、いまの彼にどんな友人がいるのか。あなたは彼から聞いたことしか知りません。
牧志 浩太
さすがにトランクス派かブリーフ派かまでは知らない。
牧志 浩太
なんかいつものような茶々を入れるだけで「ごめん」って気分になるのは何故!
KP
温泉行ってたし下着は知ってるかも?
牧志 浩太
あー、確かにね。
知らないけど、まあ俺記憶喪失だからなって思っちゃうかも知れない。
KP
そうしてあなた(PC、PL)が彼のRPにおいて何か疑問を覚えたり困ったとき、KPが許せば【アイデア】ロールを振ることができます。
成功すれば、何か“分かる”かもしれません。
牧志 浩太
ふむ?
例えば大学の友人なんて名前だっけ? って思ったときなんかにコールしたらいいのかな?
KP
そうそう。
……という所からお話は始まります。
牧志 浩太
はーい、了解しました!

牧志 浩太
この二人が互いをコピーするの、本人的に難易度高そうだなあ。
KP
なんですよねぇ。とてもよく知っている二人ではあるけど、タイプが、違う! あと色々複雑。
牧志 浩太
佐倉についてなんか疑問があればこっちででも投げていただければ。
KP
はーい!
このシーンはRP無しでお願いします。
牧志 浩太
はーい
そういや前回までの話、ほぼ100%背景画像はココフォリアの素材だったなぁ。
色々あって面白かった。
KP
そうそう、Unsplash連携でほんとにこまめに背景変更できるようになったから ありがたい

KP
どうしてこうなった?
人々の叫び声と、倒れる座席、止まない耳鳴り。
彼らは皆、逃げ惑いながらも、四肢を歪めて溶けていく。
伸ばした手は指先からどろりと肉塊へと変わる。
赤く染まる⽬の前で、誰かがあなたの名前を呼んだ。
牧志 浩太
ふ、不穏!
■佐倉視点

佐倉 光の導入

KP
あなたは、何かを聞いたような気がしてふと目を覚ました。
佐倉 光
「ん……?」
KP
寝返りを打つとシーツが手に触れた。自宅のベッドの上にあなたはいる。
ベッドサイドに置かれた栄養ドリンクが、真っ先に目に入った。その向こうに、コンピュータの通電ランプがぼんやりと辺りを照らす。
辺りはまだ暗く、静かだった。深夜のようだ。
佐倉 光
(いま何時……、)スマホに手を伸ばす。
KP
寝ぼけ眼でスマホのロックを解除する。指が覚えているのか、ほとんど夢うつつでも指は動いた。深夜一時。
佐倉 光
(ん……、変な時間に起きちゃったか)もう一度寝ようと目を閉じる。
KP
もう一度寝ようと目を閉じても、何となく落ち着かないような気がしてうまく眠れない。
先程一瞬見えた風景が、妙な違和感を起こしていた。自分がここにいることがおかしいような、ベッドの中に収まる感覚がそぐわないような……。
佐倉 光
諦めて身体を起こす。
KP
身体を起こすと、カーテンの隙間から夜の闇が覗いた。僅かな街灯だけが浮かぶ闇を背景に、あなたの顔が映る。
あなたの、佐倉光の顔が。
その時初めて、あなたは自分が佐倉光だということを自覚した気がした。
佐倉 光
(そうか、俺……、クソ、なんで曖昧になってたんだ)
眠いくせに眠れないのは大体、疲れ目か何かのせいだ。外でも眺めて目を休めるかと、カーテンを少し開ける。
KP
カーテンを開けて── 気づく。
どうして気づかなかったのだろう! あなたの背後に、見慣れない姿が、いや、人間を溶かして捏ねたような醜悪な肉塊が、立っている!
佐倉 光
「な── っ!?」咄嗟に振り返る。同時にCOMPを展開する!
KP
あなたの声に気づき、それはあなたにのしかかるように襲い掛かってきた。あなたは咄嗟に腕輪へと手を伸ばし、展開コマンドを入力する。
しかし、あなたの一部にして相棒であるはずのCOMPは、何も反応を返さなかった。ただ……、沈黙していた。
佐倉 光
「クソ、またイージーモードじゃねぇのかよ!」
そういう事態が初めてじゃないことが、パニックを防いだ。近くにある物を片っ端から投げつけて追い払おうとする。
KP
投げつけた中に何か鋭利なものが混じっており、偶然にも肉塊の胸? の辺りに突き刺さる。肉塊は一度大きくよろめくと、ふらつきながら部屋の外へと逃げ出そうとする。
佐倉 光
部屋の扉を開ける。
KP
それは速度を落としながら外へまろび出て……、部屋の外の廊下で、どうと倒れ伏した。
佐倉 光
「はっ、はぁ……、クソ、何だよこいつ」肩で息をしながらそれを見る。
KP
あなたはそういう肉塊を……、どこかで見た事があるような気がした。
佐倉 光
「悪魔か?」
KP
心当たりのない悪魔だ。部屋の前に横たわった肉塊はマグネタイトに分解される様子もなく、体格と色ばかり人間じみた形を共用部の廊下にさらしている。
佐倉 光
再度COMPを展開しようとする。アナライズを試みる。
KP
COMPはやはり、あなたの腕で静かに沈黙するばかりだ。さて、この肉塊をどうしたものか。幸い深夜で人通りはないが、朝になれば悪魔のことなど知らない人間、特に警察、がこれを目撃してひと騒ぎを起こすだろう。
佐倉 光
「……クソ」室内に引っ張り込もうとする。
KP
重い。その肉塊はとても重く、あなたの力では動かすことも困難だ。
佐倉 光
「ぐっ……、なんだよこいつ、クソ重てぇ」BARに連絡を取って引き取ってもらう。
KP
あなたはいつものBARに連絡を取る。「おかけになった電話は使われておりません」そんな無常な自動音声が返った。
まるで無関係な人間を拒絶するように、資格を持つはずのあなたの連絡をかの番号は拒絶した。
佐倉 光
「おい、なんでだよ」数度、連絡を試みる。
KP
結果は変わらなかった。
佐倉 光
「何だよ、COMPどころかBARもアウトってか」悪魔退治屋のメンバーに片っ端から連絡を取る。
KP
時間帯がまずいのか、誰も捕まらない。COMPが沈黙していては、あなたには動きを止めた肉塊を動かすことすらできない。
ふと、別の連絡先が目に入った。牧志浩太。
佐倉 光
「……」一瞬躊躇った。悪魔の死体処理に? 牧志を呼ぶ? いや、変だろ。俺自身が何かピンチならまだしも、この時間に悪魔の死体処理手伝ってくれって?
KP
あなたの前で、肉塊は静かに沈黙している。
佐倉 光
「……」変だろ。
KP
スマホの画面の中で、時間は静かに刻まれていく。
佐倉 光
「……あああ、クソ」
仮の宿とはいえ自宅で騒ぎになったら面倒臭ぇ。こんな事で牧志を巻き込むのには盛大に抵抗があったが、諦めて連絡先をタップする。まあ、こんな時間だ。牧志も捕まらないかもしれねーし。
KP
そうやって悪戦苦闘している間に、先程の違和感は消えていた。

KP
ここからRPOKです!
牧志 浩太
はーい

KP
牧志浩太。
あなたは、電話の着信の音でふと目を覚ました。
牧志 浩太
「ん……んん?」
目覚めたのはどこなんだろう。
KP
暗い室内に光るスマホの時刻を見れば、深夜二時。あなたの自宅の、ベッドの上。
牧志 浩太
持っているのは牧志の携帯だよね?
KP
そうです。牧志の自室で、牧志の携帯。
画面を見れば、「佐倉さん」という文字が浮かんでいた。
牧志 浩太
なんだか聴き慣れないような音に、ちょっとした違和感を覚える。
とはいえ、こんな時間だ、まだ目覚められていないのかも知れない。
スマートフォンをとって……
KP
室内がぼんやりとスマホの光に照らされる。棚の上に置かれた小さな工具箱、本棚に机。
牧志 浩太
「あ……れ? えーと……?」
まあ、とりあえずスマホをピッと。
ロックとか解除できるのかな。
KP
スマホのロックは指紋認証だ。
牧志 浩太
では、寝ぼけつつもすいと指を動かす。
あれ、こんなロック方法だっけ? まあいいか……
■佐倉視点
KP
コール音が途切れた。牧志が電話を取ったらしい。
佐倉 光
(あ、通じちまった)

佐倉 光
「牧志? 悪い、起こしたよな」
電話口から聞こえてくるのは、あなたが聞き慣れた佐倉の声だ。
牧志 浩太
「もしもしー……
あれ? えーと……
佐倉さん……?」
言ってから何だか妙な心地がした。
「いや……何か急用? また異世界に行ったとか」
佐倉 光
「あー、この時間だし、無理もねぇか……。悪い、手伝って欲しいんだ」
ぼんやりしたあなたの様子に気づいて、少し考えるようにしてから言う。

牧志 浩太
まだなんか自分が牧志なのか誰なのかよーわからん。
牧志だと思い込まされているんじゃなくて、自分で勝手に思い込むんですよね?
KP
そうそう。記憶を失ったというか、自分が誰か分からなくなってしまった状態で、体が牧志くんなので自分は牧志かな、と思っている感じです。
のでまだよくわからないでめっちゃOKです。

牧志 浩太
「ああ……ちょっと待って」
相手の真剣な様子に、体を起こして、頭を目覚めさせようとする。
じゃあここで、部屋の窓に映った自分の姿を見よう。
KP
窓の外は闇に覆われ、ぽつぽつと街灯の光が見えるばかりだ。その闇が背景となって、あなたの顔を映し出すだろう。
あなたはその顔を知っていた。
牧志 浩太
牧志浩太。そうだ。
「ごめん、少し頭がぼうっとしていて。
記憶の欠けのせいかな……」
■佐倉視点
佐倉 光
記憶の欠けを言葉に上らせたその声に、少し息を呑む。
牧志の記憶は欠けている。それはそうだ。それでも最近は紅の記憶も己がものとして、殊更に欠けているなんて言うことはなかったのに。
牧志の声が酷くぼんやりとしているのが、気にかかった。

佐倉 光
電話口の向こうで、少し息を呑んだような様子。
「いや……、寝ぼけてるだけだろ。深夜二時にいきなり叩き起こした奴のせいだ」
牧志 浩太
「ああ、それはいいんだ……。佐倉さん、どうかした?」
佐倉 光
「前の影響が残ってるとか、そんな訳……。ああ。悪魔の死体処分すんの手伝って欲しいんだ」
牧志 浩太
「えっ、俺に?」
そういうのは波照間さん……紅の得意分野じゃないのか?
「いや、必要なら手伝うけど」
佐倉 光
「いきなり襲ってきやがってさ。どうにか倒したけど、デカいし重いしグロいし、部屋の前に置いとくわけにもいかねーし。時間が悪いのか全員繋がんねーし」
牧志 浩太
「そうか、分かった」
牧志 浩太
何が起きてるんです???
KP
何かよくわからないことが発生しています。
佐倉 光
「いや、俺も牧志にこれ頼むのは変だと思ってんだよ? 思ってんだけど、本気でクソ重い、こいつ」
■佐倉視点
佐倉 光
(本当にそれだよ)

牧志 浩太
ああ、佐倉さんに力仕事は難しいかも。
納得した。
「分かった、部屋、ってことは、佐倉さんの家に行けばいいんだな」
■佐倉視点
佐倉 光
(こんな時間に死体処理で叩き起こされて、怒んねーのな…… いや、助かるけどさ)

佐倉 光
「悪いな、頼む」
牧志 浩太
「警察に気付かれる前に何とかしないと、大騒ぎになる」
佐倉 光
「本当にな。っつかなんで悪魔がこんなとこ出て来て、しかも死体残んだよ。おかしいだろ」
牧志 浩太
「そうだな……近くにゲートでも開いたのかな」
佐倉 光
「GPの反応はねぇんだけどな…… そんなんだったら全員叩き起こすの手伝ってくれ、に変わるな」
牧志 浩太
そういえばSAN値も交換されっぱなしでいいのか。
KP
そこは思ったんですが、「キャラシートを交換」だからSAN値も交換かなって。
KP
そうやって話していると、微かな違和感と、前からこうしていたような、しっくりとくる感じが入り混じる。
牧志 浩太
「今から急いで行くから」
佐倉 光
「頼む」
牧志 浩太
それじゃあ車……あれ? 俺は車は運転できないはずで。
チャリだな。
KP
チャリですね。
KP
佐倉くんチャリ乗れるのかな
肉体技能も脳と肉体依存になるみたいだから大丈夫か。
牧志 浩太
チャリくらいのれらぁっ!
問題はチャリ鍵どことか自転車どこに置いてんのとかそういう基本的なことがわかんないことでね?
牧志 浩太
電話は終わりだろうか。
佐倉 光
頼む、という言葉を最後に電話は切れる。
牧志 浩太
私が牧志君やると半端な紅さんになりそうだw
KP
いいんですよ佐倉くんのなんとなくイメージする曖昧な牧志くんで。
牧志 浩太
あくまで中身が佐倉だと、牧志君のにじみ出るような優しさとかはシミュレートできないと思うよ!?
KP
いいんですよ佐倉くんも雰囲気な佐倉くんだし。
牧志 浩太
若干柔らかい佐倉になっているかも知れない!
KP
しれない!
KP
スマホをしまおうとして、ふと画面にポップアップが出てきたのに気づくだろう。
牧志 浩太
「……?」
チェックしてみる。
KP
それはスケジュールアプリの通知だ。
 ・佐倉さんの誕生日
 ・プレゼント持っていくの、忘れないこと
明日の(今日ではなく、ちゃんと明日)の日付で、そう表示されている。
牧志 浩太
ふむふむ。24時間以降の話って事だな。
KP
ここで【アイデア】
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 23 > 成功
KP
プレゼント…… 何を持っていくんだっけ? 全く思い出せない。
牧志 浩太
「あれ、プレゼント……?」
KP
ただ、メールの通知がひとつあるのに気づく。
牧志 浩太
メールの通知も見てみる。
KP
牧志浩太様

このたびはご予約いただき誠にありがとうございます。
家電量販店バベルです。

数ある店舗の中から当店をお選びいただき、誠にありがとうございます。
以下の内容でご予約注⽂をお受けいたしましたのでご確認をお願いいたします。
牧志 浩太
「家電量販店……ああ、もしかして?」
KP
今日の日付の予約販売商品らしい。
何だろうと思って見てみれば、大きなサイズの新型モニターだ。
ご予約いただきました商品は店頭にて受け取りとなります。どうぞよろしくお願いいたします。

家電量販店バベル
KP
メールは既読になっている。通知だけ残っていたようだ。
牧志 浩太
「これか? プレゼントって」
KP
再度【アイデア】

牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 100 > 致命的失敗
あっれー
KP
これ成長どっちにつけるんだ? 佐倉くんの成長でいいです。
牧志 浩太
そうかー。じゃあ普段佐倉が使わない技能を使えば!!
KP
YES!!

KP
なるほど読んだ覚えがあるような気がした。これがプレゼントかもしれない。納得!
牧志 浩太
「そうか、これか。それにしてもこんな事まで忘れるなんて。
若ボケ……?」
本編見る!
KP
家電量販店のWebサイトへのリンクもついている。開く?
牧志 浩太
一瞬、指が止まった。
こういうの迂闊にクリックするな。
だれか言ってなかったか?
気のせいかな! 開く。
KP
白をベースに原色で飾られた、家電量販店らしいWebサイトだ。暗い中で見たせいでちょっと目に痛い。
牧志 浩太
まぶしい……
KP
ショッピングモールの中に入っている家電量販店だ。様々な電化製品を取り揃えていて、自作PCコーナーなんかも充実している。
バベッジ・インコーポレイティッド社製品、多数取り揃えております! 専用コーナーあり! というのが売りでもある。
牧志 浩太
なるほど、これはなかなか興味深い。
プレゼントに選んだのは間違いなさそうだ。
絶対好きそうだ、佐倉さん。
好きだと確信できるな。
牧志 浩太
バベッジ・インコーポレイティッド社って知ってる?
KP
なるほど、【知識】成功すれば知っているかも。あるいは検索してもよい。
牧志 浩太
CCB<=75 【知識】 (1D100<=75) > 17 > 成功

牧志 浩太
【知識】も入れ替わるの凄いな。
今の俺ならニャル目指せるって事じゃん。
KP
目指せるって事ですね。割となんでもできるかも。でも佐倉くんであることを忘れてしまっているんだよなぁ。
牧志 浩太
まー、方程式のやつは上書きされるから、佐倉的には絶対NOだけどね。
KP
ダオロスどころの話ではない。

KP
あなたはその企業を知っている。有名な企業だ。コンピュータ業界のカリスマの一人、ブラッド W.トンプソンが⽴ち上げた企業である。
コンピュータと電⼦機器の開発が主だが、関連会社が増え、最近は家電にも着⼿し始めたとか。
本社はサンフランシスコにある。日本法人であるバベッジ・ジャパンは広島県広島市に本社がある。
牧志 浩太
新企業だけど実力は確かだろうし、興味が……あったんだよな、佐倉さんが。
うん、多分。
KP
もしかしたら波照間紅の記憶が知っていたのかもしれない。彼もコンピュータを扱うことだし。
牧志 浩太
なるほど多分そういう事だろう。
KP
他にメールはないようだ。
牧志 浩太
ところで……俺、財布とチャリ鍵の場所は分かりますか?
KP
ベッドサイドにキートレーがあって、そこに財布と鍵が置かれている。
自転車の鍵らしいものも一緒になっている。
牧志 浩太
ちゃんとしてるな。災害時の備えもバッチリだ。
では着替えて……って簡単に言うけど、どこに何が入っているかも良くわからないなぁ。
KP
では【アイデア】をどうぞ。
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 33 > 成功
KP
衣装箪笥どこだっけ……、と探そうとすると、なんとなく身体が動くのに気づく。それはあなたの習慣のようだ。
なるほど着替えはよく取り出すものだ。さっき一瞬分からなかったのは、少し寝ぼけていたのだろう。
牧志 浩太
ほうほう。体の記憶が導いてくれちゃう。
KP
いえーす。習慣!
牧志 浩太
「最近寝不足だったかな」
首をひねりつつ、服を探す。
適当に着る。
こんな服あったかな。まあいいか。
KP
服を着るとサイズが合っており、少し着こなれたその服はしっくりと来た。
牧志 浩太
服の違和感がなくなるとともに、ずっと感じている違和感はきっと夢の残滓だろうと思えた。
こんな時間に佐倉さんから電話なんて来るから、あの大変だった事件の事を思い出してしまったんだろう。
■佐倉視点
佐倉 光
(そうだ、せめて布でもかけとくか、コイツ……、っくそ、重てぇ! ちょっとくらい持ち上がれよ!) 

牧志 浩太
はっ。今ならあの手紙を処分するチャンスなのに!
KP
どこにしまっているか発見しないと!
牧志 浩太
『牧志』には今それを探す理由がない!
牧志 浩太
鍵と財布とスマホを持って、扉に鍵をかけながらちょっともたついて。
KP
外へ出ると、深夜二時のひんやりとした静寂が、わずかな街灯の光とともにあなたを迎えた。
牧志 浩太
やっと目が覚めてきた。
寒さの中、自転車を探す。
自分の自転車だ、当然見ればすぐ分かるのだけれど……どこに止めたっけな。
KP
階段の下に駐輪場が見える。ごつい電動アシストやら半分放置自転車のような自転車の中、さて、あなたの自転車はどこにあっただろうか。
牧志 浩太
「もしかして昨日、飲み過ぎでもした……っけ?」
なんだかしっくりこない理由だ。
KP
【アイデア】
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 95 > 失敗
あれあれ???
KP
あれ? どこに置いた? いや、そもそも、あなたの自転車はどんなのだっけ? この超デカい三人乗りじゃないのは分かるが……。
おかしい。本格的に記憶がまずいようだ。呑み過ぎたかもしれない。
牧志 浩太
おい佐倉しっかりしろ。よく見てるはずだぞ!
牧志 浩太
「おかしいな……いまいち記憶がはっきりしない。
最近の記憶まで消えるの、まずくないか……」
分からない物は仕方ない。徒歩かな。
佐倉さんに、少しトラブルで遅くなるって連絡入れよう。
KP
あなたはふと思いつく。そういえば、佐倉さんは俺の自転車見てるはずだ。聞くか?
連絡を入れようとしてふとそう思うだろう。
牧志 浩太
そうかー。
ついでに訊こう。
電話をかける。

牧志 浩太
そういえば狂気ってどうなってるんだろう。残ってるならどっちに出るんだろうw
中身佐倉の牧志が佐倉さん佐倉さん言い出すの相当ユカイなんだけどw
KP
そういえば! 残ってるかも。さすがに不定の狂気は本物側かな?(その方が面白そうだし)
牧志 浩太
なるほど。つまり
『佐倉』が牧志牧志言いまくると?
KP
YES
牧志 浩太
病院には行っただろうけど、異常事態で再発したかしら……
KP
すごく異常事態ですしね。
■佐倉視点
佐倉 光
(電話? ……何かあったのか?)

佐倉 光
「牧志? どうした、何かあったのか?」少し疲れたような溜息が聞こえてくるだろう。
牧志 浩太
「ああ、ごめん、佐倉さん、ちょっと時間がかかってて。
で、ちょっと訊きたいんだけど、俺の自転車、昨日どこに停めたか見てないか?
飲みすぎたのかな、いまいち記憶がはっきりしなくて」
佐倉 光
「そうか。とりあえずなんとか布かぶせたから、ちょっとくらいは大丈夫だ。超不審なのは変わんねぇけど…… 記憶だって?」
疲れたような声は、悪魔の死体? を相手に悪戦苦闘していたせいだろう。
「牧志、どうした? 呑み過ぎたなんて珍しいな……
■佐倉視点
佐倉 光
(呑み過ぎた? 牧志が? 珍しいな。あいつ相当酒強いだろ。いくら呑んでもケロッとしてたはずだ。 ……? どこで見たんだっけか、そんなの。まあいいか、それよりチャリ)

佐倉 光
チャリなら駐輪場だろ。階段の下の、あの茶色いフレームのやつ。大学のシール貼ってあるの」
牧志 浩太
「ああ、よく見てるな……階段下の」
言われたところを覗いてみよう。
KP
言われたところを確認すれば、確かに使い込まれて少しくたびれた、茶色いフレームの自転車があった。鍵がかかっている。
牧志 浩太
「ああー、これこれ、こんなのだった」
言いながら鍵を差し込む。回るまで何故か確信が持てない。
KP
鍵はスムーズに鍵穴へと吸い込まれ、カチャリと鍵が回る。よく手入れされている。
牧志 浩太
「ああ、大丈夫。ありがとう。急いで行く」
佐倉 光
「ああ、頼む。待ってるからな、牧志」
そう言って電話は切れた。
■佐倉視点
佐倉 光
(そうだ、スコップくらい用意しとくか。素手じゃ無理過ぎる)

牧志 浩太
電話を切って、佐倉宅に急ごう。
悪魔の死体処理か……異界に放り込むとか、BARに連絡するとか……
BARに連絡で何とかなるなら俺に連絡は来ないだろうし。
KP
自転車に飛び乗れば身体はスムーズに動く。ハンドルの握りの少しすり減った所とか、ペダルの位置とか、そういうものがあなたによく合った。
ぴんと張った静寂の中を、風を切り走る。
牧志 浩太
牧志君ママチャリ派かな、スポーツバイク派かな。
KP
機械好きだし、スポーツバイク派かな。高いやつではないけど。
牧志 浩太
メットしてないや……
してた事にしていいかなぁ。
KP
してたことにして大丈夫です。
牧志 浩太
じゃあ、チャリを見て「あれ、メット忘れたな」と思って取りに戻った。
夜風を切って走り出すまでにもうちょっと間があった。

KP
深夜の道は車も少なく、歩行者の姿もなく、軽やかに走っていける。
こんな状況ではあるが、少し爽やかにすら感じた。
牧志 浩太
冷たい風ですっかり目が覚めた。
うーん、多分。覚めていると思う。
自信は、ない。
しかし、俺に頼まれる程度の仕事ならきっと問題ないだろう。
しかし、夜中に死体処理を頼まれるって、ちょっとした事件だな。
問題なく家にはたどり着けますか?
KP
あなたは迷うことなく佐倉の住むアパートまで辿り着ける。何も迷うことはなかった。
そういえばあの日も、きっとこうして行ったのだ。だから、だろう。
牧志 浩太
そうだな、うん。
まあ、事件がなくてもたまに近くまで呼びに行ったり、送ってもらったり、そんな機会もまあまああるし。
コーナーぎりぎりでカーブキメつつ、そんな事を思った。

KP
彼の家はアパートの二階だ。近づくと、部屋のドアの前に座り込む佐倉の姿が見えた。
牧志 浩太
「遅くなってごめん」
声をかけてチャリをアパートの階段玄関横に停める。
佐倉 光
「おー」
部屋の前で、何かやっつけ仕事に布にくるまれた物に腰かけて、彼があなたに手を振る。
牧志 浩太
階段を登ってそちらへ。
佐倉 光
「いや。それならこんな時間に呼んだ俺も俺だ」
牧志 浩太
「まあまあ大事件だしな。
それが悪魔?」
佐倉 光
「本当にな。ああ、悪魔かどうかわかんねぇけど、仮称悪魔。人型のなんかグニャグニャ」
牧志 浩太
「ゾンビとか、シャドウとか……」
佐倉 光
「ゾンビにしちゃ腐ってるわけでもねぇし、ああー、シャドウはあるかもな……」
牧志 浩太
ショゴスで作られたヒトっぽいものとかですかぁ? >人型
KP
ふふふ。
牧志 浩太
そのへん佐倉は詳しく訊いたのやら。
KP
話する、って言ってたし、どこかで話したんじゃないかなぁ。
佐倉 光
「聞いてくれよ牧志、またCOMP動かねぇんだよ」
牧志 浩太
「また? よく壊れるなぁ、COMP」
佐倉 光
「よく壊れたら困るっての。BARにも何度連絡しても通じねぇし、どうなってんだ……」
牧志 浩太
「……まあ、とにかくできる事からしよう。手伝う」
佐倉 光
「だな、愚痴ってても仕方ねぇ。そっち持ってくれ、牧志」彼は立ち上がって、その人間くらいの大きさの包みの片側を持つように頼んでくる。
牧志 浩太
「まるっきり事件現場だな、これは」
言いながら言われるままに端を持つ。
中を見たいような気がするが……
いや、そんなもの見てどうするんだ。
佐倉 光
「…………それは思った。とにかく、さっさと車に突っ込むぞ」
牧志 浩太
「分かった」
言って階段をゆっくり降りる。
KP
彼が言う通りそれは随分重く、彼一人で持ち上げることはできなかっただろう。
見たいなら見てみてもいい。
牧志 浩太
ちらっと見る。
いや、本当は死体なんて可能性を考えたわけじゃないぞ。
何故か見たくて仕方ないんだ。
なんでかなぁー。
KP
あなたは布をめくり、ちらりとその中身を見る。
牧志 浩太
ごめんよ牧志君。
『佐倉さん』、これ見て何故かダメージ受けなかった?
KP
なかったかもしれませんね。
SANチェック》発生してませんしね。
牧志 浩太
発生してたら1はくらってるはずだもんねー
KP
実は死体かもしれないと、一瞬だけ思っただろう。その中に見えたのは、人間のそれに似ている肉の色だった。
しかしながら、それは人間ではありえなかった。
まず皮膚がない。筋肉もない。形もない。手も足もない。
肉色のぐにゃぐにゃとした不定形の物体。
それは人間を溶かしてこね直したようにすら見えた。動きはしなかったが、そもそも動けるようにすら見えなかった。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3》。
牧志 浩太
CCB<=65 《SANチェック》 (1D100<=65) > 29 > 成功
[ 牧志 浩太 ] SAN : 65 → 64
「……うん。
何だろうな、これ。
こんなのは見た事がないな。何だろう。外道? スライム類? うーん」
佐倉 光
「大丈夫か? 牧志。俺にもわかんねぇ、起きたらいたんだよ、それが」
牧志 浩太
「迷惑だな」
佐倉 光
「全くだ。
COMP動かねぇし、慌てたのなんの……
っつかいきなり襲って来んな。COMP動きゃアナライズもできたんだがな」
牧志 浩太
「あれ、倒した? 一人で?」
佐倉 光
「……いや。物とか投げて追い出しただけ。偶然なんか刺さったみたいだけど。
そしたら家の前で力尽きやがった、もうちょっと粘れよな……」
牧志 浩太
「見た目よりレベル低い奴だったのかな?」
佐倉 光
「かもな。スライムの仲間じゃねぇのか」
牧志 浩太
「それは確かに迷惑な話だけど、町に出て人を襲ったりしなくて良かった、と思おう」
佐倉 光
「……まぁな。一般人襲ってたらそれ所じゃねぇ」
牧志 浩太
口調が佐倉漏れてんよー。
KP
よかったと思おう、に同意する佐倉くん(?)であった。
牧志 浩太
「車でどこかに運んで捨てる?」
佐倉 光
「そのつもり。車に詰めててもいいけど不審すぎるし。森かなんかに埋める」
牧志 浩太
「近所の人に見られないように気をつけないと」
佐倉 光
「……だな。っつか、思った以上に事件ってことに今気づいた。車まで入れたら帰っていいぞ、昼までかけりゃなんとかなるだろ……」
牧志 浩太
「いや、付き合う。早く終わらせた方がいいだろ?」
佐倉 光
「……ごめん、牧志。俺、意外と動転してるっぽいな。助かる。
ああ、こうなったらさっさと終わらせよう」
牧志 浩太
車にえっちらおっちら運ぼう。

KP
あなた達は重くて荷重のかかり方がおかしいそれを運ぶのに少々難儀するかもしれないが、二人がかりならば車のトランクに積み込むことができる。
牧志 浩太
すっと運転席の扉に手を伸ばしかけ、首をひねって助手席に座るか。
■佐倉視点
佐倉 光
運転席の扉に手を伸ばすのを見て、つられるように助手席に座りかけた。

佐倉 光
「牧志?」一瞬つられるように助手席に座りかけた彼は、不思議そうにあなたを見た。
牧志 浩太
「いや、間違えた。
昨日は相当したたかに飲んだかな……」
佐倉 光
「ふーん……? なんか本格的に寝ぼけてんな、大丈夫か、牧志?」
牧志 浩太
「大丈夫大丈夫、早く行こう」
佐倉 光
「お前がそんなに飲むなんて珍しいな。酒強いだろ、牧志」
牧志 浩太
そう、強い。はず。
たぶん。
佐倉 光
佐倉は一瞬レバーの位置に手間取ってから、車を発進させた。
牧志 浩太
『佐倉さん』運転大丈夫?
佐倉 光
「? 俺の顔に何かついてるか、牧志?」
最初こそ一瞬手間取ったものの、慣れた様子で車を走らせ、国道に合流する。
牧志 浩太
「いや、そういうわけではないんだが……」
佐倉 光
「……?」
KP
不審な物体をトランクに入れてしまえば、ドライブそのものは平穏なものだ。街を離れ建物がまばらになってゆくまで、営業時間外の店舗が並ぶ道を、車は走る。
佐倉 光
信号待ちでパネルを操作すると、流れてきたのは軽快な流行曲を流すラジオだ。
そのパネルの操作に、また数度もたつく。
■佐倉視点
佐倉 光
(なんか慣れねぇなこの車。いつも借りてんのと車種違ったか?)

牧志 浩太
「うーん。昨日飲んだのが本格的にまずかったのかな。
体に合わない酒だったのかも知れない……あ、その隣のパネルだ」
佐倉 光
「あ、そうか。んー……」少し首をひねりながら、彼はパネルを操作する。
「合わねぇ酒とかあるんだな」
牧志 浩太
「そうとしか思えないな……
何もかもがなんとなくしっくり来なくて、けどそれは気のせいで……ってことが続いているんだ」
■佐倉視点
佐倉 光
(牧志もか……。そうだ、俺もだ。目が覚めた時、しっくり来ねぇ気がした。なんでここに自分がいるのか分からない気がした)

佐倉 光
「……」その言葉をじっと聞いて、彼は少し考えた。一瞬だけ片手をハンドルから離して、数度、握って、開く。
牧志 浩太
お。
牧志 浩太
「ん……?」
佐倉のその何気ない動きに、なんとなく目が吸い寄せられた。
佐倉 光
「大丈夫か、牧志。前のやつの影響とか、残ってんじゃねぇのか。ってのが、だ。
目ぇ覚ました時、俺も少し似たような感じだった……。直後にこいつが襲って来たせいで、それどころじゃなかったけどよ」
牧志 浩太
何となく真似をして握ったり開いたりしてみる。
何故だろう、しっくり来ない。
佐倉 光
「……どうした?」
牧志 浩太
佐倉はヒランヤ下げてるかな?
佐倉 光
首から下がっているヒランヤが見えるだろう。

KP
あの話ですっかり特徴的なアクションになりましたからね。その前にも確かどこかでやってた。>握ったり開いたり
牧志 浩太
佐倉のヒランヤも、本編じゃそうでもなかったのに、すっかり特徴的なアクションの起点になったな。
KP
ですねぇ。ヒランヤも何かとキーになってる。
牧志 浩太
そういうことになっちゃった。
これ適当なところで「入れ替わってるー!?」していいのか、気づけないのか。
KP
今はまだお待ち下さい。現時点では気づけません。なんとなく違和感が積もっていくのはOK。
牧志 浩太
はーい
気づいちゃうと普通の会話になっちゃうからねー
KP
いえーす。

牧志 浩太
「うーん……
なんだか奇妙な気分だ。
俺は本当に俺だったか、なんて考えて……いや、波照間さんじゃなくて」
佐倉 光
「……また不安定になってんのか? 記憶が」
彼はどこか心配そうにあなたを見た。
牧志 浩太
「そうかもしれない」
佐倉 光
「牧志、……牧志浩太だろ。お前は牧志浩太だ」どうしてか、いつものように名を呼び始めるまでに一瞬だけ間があった。
牧志 浩太
あの時何度も名前を呼んで呼び戻してくれた。
そう、丁度こんな感じに。
「ありがとう、佐倉さん」
佐倉 光
「ああ、いいよ。俺でよければ何度でも呼ぶさ」彼はふっと微笑んだ。
「あの時みたいにな」
牧志 浩太
そう、こんな会話を、した。
なんとなくほっとした。
■佐倉視点
佐倉 光
(ああ、そうだ。あの時もこんな話をした。俺は俺で、牧志は牧志だ……)

KP
車は少しずつ市街を離れ、周囲には鬱蒼とした森が見え始める。
牧志 浩太
悪魔とはいえ死体遺棄はまずいよなぁ、なんてちらっと考える。
まあでも仕方ないし。
佐倉さんがそうするって言うなら、きっとそれしかないって事なんだろう。
そうかなぁ。なんか他にもありそうな気はしたけど……
KP
そうだったかなぁ。
牧志 浩太
首をひねりつつ車窓を眺める。

佐倉 光
彼は適当な場所に車を停めたあと、ドアを開いた。トランクから柄の長いスコップを2本取り出してくる。
牧志 浩太
用意がいいな、と思いつつ1本受け取ろう。
佐倉 光
「こっから本格的に穴掘り。本物の犯罪者とか来たらやべぇな。
まだ地獄の底にゃ帰りたくねぇぞ……、っと」
彼は穴掘りに取り掛かる。
牧志 浩太
「人一人を埋める穴って結構な重労働だな。
深く掘らないと獣に荒らされるし」
佐倉 光
「それだな。ま、獣が食い荒らしてくれりゃ、何が何だか分かんなくなるかもだけどさ」
牧志 浩太
「確かに……」
スコップを土に突き入れる。
KP
よくわからない違和感に覆われながら、あなたたちはこんな所で深夜に穴を掘るなどという、またよくわからないことをやっている。
牧志 浩太
流れは分かるけど、よくわからないな。
■佐倉視点
KP
目立つ照明をつけるわけにもいかないため、辺りは暗い。あなたは強かに岩を叩いてしまった。
佐倉 光
(痛ぇ!)

佐倉 光
「いてぇ、岩叩いちまった……」
牧志 浩太
「大丈夫か、佐倉さん?
佐倉 光
「くそー、俺の仕事じゃねぇよこれ。牧志巻き込んどいて言えた話じゃねぇけどさ」
牧志 浩太
「ここ暗いからな。明かりがないと岩避けられないし」
どうしてこんな事になっているんだろう?」
いや、理由はさっき聞いた。それでも口をつく。
佐倉 光
「俺も分かんねぇ。BARもアウトCOMPもアウト誰にも連絡つかねぇとか、不運過ぎる。牧志、付き合ってくれてありがとな」
牧志 浩太
「そういう時の最後の頼みの綱! ってとこかな」
佐倉 光
「あー、確かになぁ。そういう時に牧志頼りすぎだろ、俺。
ってか、そういう時がありすぎだろ」
牧志 浩太
「丁度良いときにいる! っていうのが俺の特性! 不思議な力は別にないけど、気合いと根性とやる気はある、ってとこ。
いい仕事するよ?」
■佐倉視点
佐倉 光
(何だか調子いいな、牧志。元気づけようとしてくれてんのかな)

牧志 浩太
完全に牧志の喋りじゃないわw
KP
しかしここには似たような状況になっていて、相手の違和感を気にするどころではない二人しかいないのだった。
ちょっとかわいい強めになっている気がする。>牧志くん(?)
牧志 浩太
ピコーンするにはフラグが足りないようだッ
KP
ないようだッ。
でもテンポのいい会話始めるとちゃんといつもの二人な気がします。

佐倉 光
「はは、本当にな。粘り強さと腰の据わってる所がお前の特技だよ」
牧志 浩太
言いながらスコップで土をかい出す。
重い。重すぎる。いくらも振るっていないのにスコップってこんなに重いのか。
佐倉 光
「……
やべぇ。スコップ重い。超重い」
■佐倉視点
佐倉 光
(くそー、こんなに非力だったか俺。いや非力だな。知ってんな)

牧志 浩太
「俺もそう思ってたとこ」
佐倉 光
「気が合うな」
牧志 浩太
「休憩するか……」
佐倉 光
「賛成、ちょっとだけ……
やべぇ立ち上がれない、最悪半分埋めてあとは獣に食ってもらおう、いや冗談。膝がっくがく」
牧志 浩太
「佐倉さん笑顔が引きつってる」
その場に座って汗を拭う。
佐倉 光
「あー、バレバレ? 分かる分かる。全身がぷるぷる震えてる。お、サンキュ」
牧志 浩太
「明日は全身筋肉痛だな」
佐倉 光
「だなー。熱出して寝込みそう」
牧志 浩太
ここ来るまでに飲み物買ってた事にしていいですかー
KP
いいと思います、どう考えても肉体労働が予想されたし。
牧志 浩太
「……」
自分が持ってきた飲み物をじっと見つめる。
モンエナ二本買ってる。
まあ、いいか。と思って一本渡す。
佐倉さんに渡すこと前提だったし、夜中だしな、モンエナ買ってることに疑問はない筈なんだ。

牧志 浩太
多分いつもこういう時牧志君はモンエナは買わないんじゃないかなぁ、と。
勝手に思った次第。
KP
少なくとも水分補給せねば! って時にモンエナは選ばないでしょうね。ソルティライチとか、塩飴と水とかにしそう。
牧志 浩太
牧志君ってカフェインに強い方かなぁ。
KP
あー、どうでしょうね。弱かったら面白いし、じゃああんまり強くないということで。
牧志 浩太
じゃあ軽い吐き気と動悸が!
KP
こないだのシーンでも飲んでたの麦茶だったし、そういうことなのかも。
牧志 浩太
この場合カフェインの影響受けるのどっちなんだろう。
KP
肉体が影響受けたら精神も連動しそうだし、精神もつられて気分悪くなっちゃうのでは。

佐倉 光
「お、飲み物? 気が利くな。サンキュ、牧志」パシッと受け取る。
牧志 浩太
「なんとなく買ったから、好みに合わなかったらごめん」
言いながら栓を開ける。
■佐倉視点
佐倉 光
(モンエナかぁ、初めて飲……? あれ? いつも飲んでたよな、俺? なんで一瞬初めて飲むような気がしたんだ?)

佐倉 光
「お、ここでモンエナとか意外にハードじゃん。ま、でも今は確かにモンスターの手も借りてぇな」
KP
プシュッ、と慣れた小気味よい音と香りがあなたを少し和ませる。
牧志 浩太
喉を鳴らし一気に飲む。
■佐倉視点
佐倉 光
確かめるように少し飲む。
KP
美味しく、爽快だ。疲れたあなたの身体によく馴染むような気がして、一気に飲み干してしまった。
佐倉 光
(お、美味ぇ)

佐倉 光
「はぁ、甘さが染みるー……。意外と美味いな、これ」
牧志 浩太
「あれ、いつも飲んでる奴じゃなかったか。間違えたかな……」
半分ほど飲んで、缶を横に置く。
「……」
佐倉 光
「そうだっけ? あー、効く…… ……? 牧志?
牧志?」
牧志 浩太
「やめとこう。なんか心臓が……
運動したせいかな。疲れてるのか?
おかしいな、結構慣れた味だと思ったのに」
佐倉 光
「あー、いきなり起こしたもんな……。夜中の肉体労働で回っちまったのかもな」
牧志 浩太
「うーん、ちょっと吐き気がする」
吐き気がする事になんとなくの違和感を感じつつ。
■佐倉視点
佐倉 光
(そういや、牧志はカフェイン駄目だ……! コーヒーでも目を回すのに、なんでモンエナ買ってきたんだ、間違えたのか?)

佐倉 光
「おいおい、本格的にやべぇな」彼はあなたの顔を覗き込んだ。顔色が悪いようなら休ませようとするだろう。
牧志 浩太
「そうかも……どうして俺こんなの買ってきたんだろう?
ああ、夜中だから? そうだったかな……」
佐倉 光
「休んでろ。何かと間違えたんだろ、暗かったし」
牧志 浩太
おかしい。何らかの確信を持って選んだ気がするのに。

牧志 浩太
佐倉いつもなら牧志用にはお茶とか買ってるんじゃないかなぁ。
KP
ですねぇ。それこそ麦茶とか。
牧志 浩太
自分用! モンエナ!
佐倉さん用! 佐倉さんならモンエナかな?
ってバグった。
KP
バグった! 混ざってる! 面白い。
情報がバグって両方ともモンエナになっちゃった
■佐倉視点
佐倉 光
(そうだ、何気なくコーヒー飲んで、吐きそうになってダウンして、それからずっと避けて……、避けて?)
KP
あなたの喉にせり上がってくる不快感が、ありありと蘇る。まるで自分のことのように。
佐倉 光
(妙によく知ってるな……)

佐倉 光
「……」数度、自分の手を見て、握って、開いて。
違和感を払うように穴に取り掛かった。
牧志 浩太
少し休んだら作業を手伝おう。
佐倉 光
「無理すんなよ。大丈夫だ、もうちょっとだし」
牧志 浩太
じゃあせめて、外に出された土が崩れないように移動したりしよう。
「なんだか今日は調子が悪いな……風邪かな。
熱とかないんだけどな」
佐倉 光
「引きかけなんじゃねぇのか。酔っ払ってると引きやすいぞ」
牧志 浩太
「そうかもしれない。帰ったら休む。
うつしたら悪いし」
佐倉 光
「ああ、そうしろ。は? 気にすんな、それくらい」
牧志 浩太
『死体』を穴の近くに寄せる。

KP
そうやってしばらく掘れば、その重い死体をなんとか収められるくらいの穴を掘ることができた。
佐倉 光
彼が軽く蹴り落せば、布に巻かれたそれは己の重さで穴の底へ滑り落ちてゆく。
彼はスコップを穴の中へ一緒に放り込み、上から土を戻していく。
牧志 浩太
戻すのにもスコップ使いません!?
佐倉 光
んなクソ不審な物は持って帰れません。
でも放り込むのちょっとフライングしすぎたなとは思います。
牧志 浩太
最初は、うん、ちょっと。
牧志 浩太
スコップである程度土をかけてから、こちらも中に放り込もうか。
佐倉 光
「そうだな、最初っから放り込むのは無謀だった」彼は実感をもって言う。
■佐倉視点
佐倉 光
(力仕事なんか慣れてねーよ。牧志も一緒か。ここにあいつがいれば、いや駄目だ、巻き込めねぇ)

牧志 浩太
土を素手で掘り返していると、なんだかいやなことを思い出しそうになる。
何だっただろう。ツメと肉の間で……
佐倉 光
「……牧志?
何か、思い出したか」
牧志 浩太
「いや、拷問?」
佐倉 光
「……拷問……?」
牧志 浩太
「いや、何でもない……と思う」
KP
大丈夫だ。この土は別に蠢かない。
牧志 浩太
ぼんやりと指先を見つめた。
土が動くはずないじゃないか嫌だなぁ。
動く土……彼はどこかでうぞうぞと蠢く土と格闘する羽目になった事がある。
具体的には『対の棲みか』をどうぞ。
■佐倉視点
佐倉 光
ぼんやりとした横顔を見て、ふと少し、心がざわついた。

佐倉 光
「……牧志?」
彼はまた、あなたの名を呼ぶ。
牧志 浩太
「聞こえてる、大丈夫」
佐倉 光
「そうか、ならいい……」
牧志 浩太
「ん……?」
この感覚も何となく覚えがある気がするが。何だっただろう。
「本格的に体調がまずいのかも知れない」
ぼんやりと呟く。
「土が動くはずがないし」
佐倉 光
「土……?」
牧志 浩太
「こう、指先でもぞもぞツメに入り込んでくる……」
牧志 浩太
でも土が動く話、牧志はしらんのだ。
KP
しらんのであるなぁ。
牧志 浩太
「悪夢かな?」
佐倉 光
「なんだその気色悪ぃの……。悪夢過ぎだろ」
牧志 浩太
口に出してみると、悪夢の産物としか思えなかった。
「ああ、悪い夢でも見たか」
佐倉 光
「風邪じゃなくてインフルエンザだったりしねぇだろうな」
牧志 浩太
「骨で穴を掘って……ああ、もう帰る」
KP
すべてが終わるころには空が白み始めていた。
牧志 浩太
(明日体調悪いじゃ困るし)
佐倉 光
「結構やべぇな…… 明日どうする? 何か引き取りに行くんだろ」
KP
【アイデア】
牧志 浩太
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 46 > 成功
KP
モニターを引き取りに行くこと、彼に話した覚えはないのだが……。確かに規格を見れば結構大きいので、一人で持つのは難儀ではあるが、それにしても当人に頼むものか? やはり、プレゼントではなかったのだろうか。
牧志 浩太
自分の体調が悪い。そう思ったとき、胸元に手が伸びていた。
KP
胸元に伸ばした手が空を切った。そこにはシャツの布の感触しかない。
牧志 浩太
手に触れるものがない事に少し驚いてから、それで当然のような気がした。
佐倉 光
「……?」あなたの仕草を彼がじっと見ていた。
「……牧志?」
少し戸惑ったような声だった。
■佐倉視点
佐倉 光
(何だ? 違和感が……)

牧志 浩太
「……引き取りって、俺が話した、のかな」
佐倉 光
「え? ……話したんだろ? いつ聞いたか忘れたけど」
牧志 浩太
「そうか、俺の勘違いだったかな。
明日までに体調整えておかないとな。うん、手伝ってくれるか」
佐倉 光
「ああ、体調悪けりゃ無理はすんなよ」
牧志 浩太
こんな流れでいいのかしら。
KP
おっけーです。違和感積んでおいていただければ。
牧志 浩太
「きっとこんな慣れない事したからだ。
マッスルドリンコでも飲んでディアかければ治……
……いや、食事して布団でもかぶって寝るのが一番だよな」
KP
マッスルドリンコ…… DEADしそうな気もする。
佐倉 光
「無理すんな。洞川さんみたいに一発DEAD引いても泉はねぇぞ」
牧志 浩太
「ああ、そうなったら困るし」
じゃあ泉探せばいいんじゃないかな、なんて思った。
俺が? どうやって?
泥だらけだし、どっかで洗わないと。
佐倉 光
「……」
■佐倉視点
佐倉 光
(……牧志……? 牧志、だよな? 何だ、さっきから違和感が……) 

KP
ともあれ、突然の遺棄遺棄タイムを終えたあなたたちは、車に乗って街まで戻ることだろう。
牧志 浩太
佐倉さんの沈黙に〈心理学〉使えるー?
KP
おっ、いいですよ。オープンでどうぞ。
牧志 浩太
CCB<=76 〈心理学〉 (1D100<=76) > 98 > 致命的失敗
ええー
KP
ファンブルおおない?
精神と肉体が違うから齟齬っているのか
牧志 浩太
齟齬ってるー
KP
あなたは彼の沈黙に……、 言いようのない不安を感じた。
彼にどうしてか、ひどく危ういものを感じた。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
CCB<=64 《SANチェック》 (1D100<=64) > 90 > 失敗
[ 牧志 浩太 ] SAN : 64 → 63
ごめん牧志くん。
佐倉 光
いいんですよ。

KP
あなたは確かに、その危うさへの不安を、ずっとどこかで見ていたのだ……。
牧志 浩太
「佐倉さん、何か隠していないか?
大丈夫か? なにかできることがあれば、迷惑かも知れないなんて思わずに相談してくれ」
佐倉 光
「……」彼は少し言いよどむ。
「……いや。久々に波照間さん出てんじゃねぇかって思ったんだよ。あん時から……、そういう混ざり方しなかったのにさ」
彼はためらいながら懸念を口にする。
牧志 浩太
「ああ……そうか」
牧志 浩太
ここですまないって言う?w
KP
いいぞ。
牧志 浩太
「すまない、大丈夫だ、俺は」
佐倉 光
「……
お前は、お前だろ、牧志……」
牧志 浩太
「俺は、俺……牧志、浩太」
(そうだっただろうか?)
佐倉 光
「ああ、そうだ。お前は、牧志浩太……
……?」
ひらり、と。彼は眼を瞬いた。
「牧志……?」そして、一度、確かめるように呼ぶ。
■佐倉視点
KP
牧志、と名を呼ぶ自分の声が聞こえる。そうだ、何も間違っていない。間違っていないのに、ひどく間違っている気がした。
少し気弱になっている自分の声の響きに、何か、とても大事なことを間違えているような気が、微かにした。

牧志 浩太
「正直、それに不安を感じる事があって、今日は記憶がまた混乱しているのかも知れないと思う。
そうだな、おかしいな、ずっと大丈夫だった筈なんだが」
佐倉 光
「風邪のせいかもな。明日治ってなかったら寝とけよ……」
牧志 浩太
「そうする……」
名前を何度も呼ばれる。
そんな記憶は確実にある。
しかし名前はそれだっただろうか。
俺は、牧志? 紅? 波照間さん……?
牧志 浩太
どれも不正解!
KP
残念!
牧志 浩太
帰っていいなら帰ろう。
■佐倉視点
KP
迷うあなたの眼に夜明けの光が射し込んだ。闇に慣れた目には眩しく感じる。とにかく今は、辺りが明るくなる前にここを去るべきだろう。

佐倉 光
「っ、眩し。とりあえず、とっととずらかんぞ。そのカッコでチャリ乗って帰るでもないだろ、シャワー浴びてけよ」
牧志 浩太
「そうさせてもらう。ありがとう、佐倉さん」
KP
かくしてよくわからない一夜を終え、あなたたちは戻るだろう。日常へ。……日常へ?
牧志 浩太
今日の予定がまず分かんない。
おしまい
KP
えらい時間になっちゃいましたけど、本日は以上!
牧志 浩太
はーい! お疲れ様でした!
牧志さんの再現? 無理!
KP
突然の無茶振りすみません。所々で当人視点の違和感がボロボロ見えてくる描写がとても楽しかった。
お疲れ様でしたー! 突然の遺棄遺棄タイムはKPもちょっと「すごいな?」って思ってる。
牧志 浩太
これ佐倉が悪魔捨てに行くよって言ってるから「まあそんなこともあるかな?」って思うけど、普通の人が「化け物落ちてたから捨てに行く」とか言いだしたら「何言ってんの警察に届けよ????」ってなる。
KP
それなんですよ。大丈夫? 発狂してない? 〈精神分析〉する? っていう。
牧志 浩太
いやーメガテンだったお陰でスムーズに遺棄できましたね。やったぜ!
カフェインつらい。
KP
牧志はカフェイン苦手なことが判明。
でもこの佐倉くん中身牧志なわけで、だからCOMPが使えないしBARに連絡取ろうとしてもつながらないんですね。あそこ選ばれた人しか連絡できないと思ってる。
牧志 浩太
でしょうねー。
もしかしたら『牧志』なら起動できるかも知れないけど、プロがいるのに横から手を出す理由ないよねー。
KP
ないですねー。まだ。
飲み物の情報がバグって両方ともモンエナになっちゃうの面白かった。
牧志 浩太
牧志君の記憶が混ざってできているお陰で、違和感に気づけない!!
自分に関する事はフルオートでやるだろうし、相手が佐倉なら気を利かせてモンエナにするの何も間違ってないからね!
KP
ないですからね! 佐倉くんがモンエナ飲むのはもう習慣かぁ。
下手に波照間と佐倉くんの属性が近いせいで、佐倉くんの記憶や認識が出てきても「波照間の記憶と混ざってしまっているのかな」ってなってしまう
牧志 浩太
そうなっちゃう。
たぶんあの事件の時に不安定な牧志も記憶しちゃってるから、「不安定な牧志はこうアクションすべき」っていうふうに思い込んじゃってるんでしょうね。
KP
ああー、なるほどなぁ。不安定に混ざっていく牧志が佐倉くんの記憶の中に強く残ってしまって、いま自分は不安定なんだ、っていう認識を強めてしまっているのか。
牧志 浩太
ずーっと「紅」じゃなくて「波照間さん」って呼んでるのに突っ込みが入らないのである。
KP
そう、ないのである。
牧志 浩太
二人の明日はどっちだ!
KP
どっちだ!
牧志 浩太
なんかもう私が喋るごとに牧志君が出てくるのが、慣れない!
KP
突然の無茶振りすみません 私は楽しいけど楽しめていただけているかしら
牧志 浩太
楽しいですよ!
楽しいけど、牧志君ごめんな!!
KP
楽しいならよかった! こちらもちょっと佐倉くんの口調が乱暴すぎるかなーとはなっています。
かげんが わからん
牧志 浩太
牧志君からはそういうイメージなのかも知れない。
わかる。中のヒトの中でもあんまり決まってない。>かげんが わからん
佐倉は気分で喋っています。
KP
その可能性はありますね。牧志くん自身のリソースの中にはない口調だもんなぁ。
佐倉くんのリソースの中にも牧志くんの口調はないし。
牧志 浩太
ちょっとしたアクションや言動が、ああ佐倉だわ、と思ったり、やっぱり牧志君だなぁ、と思ったりで面白い。
KP
そうそう、違和感を印象付けたり、かと思えば軽妙な会話がいつもの二人に見えたり、加減が見ていてすごく面白かったです。
体調が悪い時に咄嗟にヒランヤに手をやってしまうところとか。
牧志 浩太
手を握ったり開いたり。
KP
そうそう。
牧志 浩太
動揺したときに瞬いたり。
KP
あれ気づいてもらえて楽しかった。
そうそう、ひらりと眼を瞬いたり、微妙にいいやつな佐倉くんになっちゃってたり。
牧志 浩太
まさか蠢く土ネタを使う事になるとは。
KP
そうそう、あれは面白かった。牧志くんはその一幕を知らないのだ。
牧志 浩太
ああー、佐倉っぽいと言えば、疲れすぎてるときずっと笑ってるところとか佐倉っぽい。
KP
ああー、確かに。プルプルプルプル……
牧志 浩太
『死体』が実は本物の佐倉だったり牧志だったりしたらいやだなぁ!
と思ってたけどそんなことはなさそうかな!
そう思っておこう!
KP
あとあの「死体」はあんまりにも思わせぶりな登場しますが、二人はまっとうに入れ替わってるだけです。まっとう? まっとう。
牧志 浩太
そっかーよかった!
まっとうとは。
KP
まっとう(?)



女神転生TRPG派生CoC 4人の牧志について(シリーズ内シナリオバレあり)

これは佐倉と牧志がセットで動くことが多い、女神転生TRPG派生タイマンCoCシリーズのひとつのシナリオについて、大変致命的なネタバレがあります。

CoC『Switch』子供佐倉&牧志 3

やれるだろうか、じゃねぇ……やらないと殺されるぞ、佐倉光!
俺は元サマナーだ。COMPのことなら、知っている!

【置】CoC『スプーキィ・ポルカ』牧志&佐倉 3

やることはやるんです。それが最終的に誰かを優先するということだから。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


【置】CoC『骨組みだけの宇宙』 佐倉&牧志 1

「……大丈夫だよ。手を握ってても大丈夫。だから、いつもみたいに話そうよ」
「ああ……努力する……」

ダブルクロス 第八話『裏切りの阿修雷』 1

「お互い、本来の自分に戻るだけじゃないですか」

【置】CoC『鬼面夜行』 牧志&佐倉 1

俺が佐倉さんをあんなに壊して、傷つけて、痛めつけたからだ。
殺されてもいい。殺されたくない。