
『波間のダージュ』
のネタバレがあります。
クトゥルフ神話TRPG 目次
波間のダージュ 一覧
注意! これはシナリオをクリアした方、シナリオを全て知っている方向けのリプレイ(?)です。
KPC側の事情だけでなく、KPが背景で何を考えていたか、なんてのを基本伏せナシで出しています。
ネタバレの塊ですから、遊ぶ予定の方は絶対見てはいけません。
TRPGリプレイ【置】 CoC『波間のダージュ』牧志(塔)&波照間&東浪見&東雲&佐倉 1-1
余計な情報なしでシンプルなリプレイを読みたい方はこちら
本編見る!
KPのひとりごと
折角遊ぶならなるべく「なかったこと」にはしたくないですからね。
それでどのチームで遊んだ方がいいかものすごく悩んだのです。
まずNチームはナシです。色々厄介なことになります。
本編の二人を使うのも怖いです。【POW】ボロボロで継続って割と死ねますし、またシローくん放置で長期捕まるのはちょっと。
で、子供佐倉チームと塔牧志チームを候補に挙げました。
あまりに悩みすぎてChatGPTくんに相談したくらいです。
それで内容を検討しつつあれこれ悩んだ結果、塔牧志で行くことにしました。
万一のことがあってもここ二人ならアレコレして何とかなりそう、という謎の気楽さがあったのは正直なところ。
色々変なの持ってそうだし。
結局ここ二人で遊んだのが大正解だったなと思います。
参加キャラクター

牧志 浩太(塔)
お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
数奇な運命に弄ばれた挙げ句、波照間とともに事件に遭遇、独りだけで帰還した。
以来本格的に魔術に手を染め、異なる時が流れる塔に自らをつなぎ止めて波照間の手がかりを探し続けている。
通称魔きし。
佐倉とは運命共同体。最早自分の歳が分からない。

佐倉 光(塔)
異なる世界線の佐倉。
悪魔使いでありハッカー。
牧志とは運命共同体。最早自分の歳が分からない。
✦見た目について
PCたちは10歳ほどの子供の姿で羽を持ち、波間で生まれ育ったと記憶している。
✦ロストPCを使う場合
SANを初期値に戻せば、他は通常PCと同様に使用可。
KPのひとりごと
んー、まあ、見た目は子供だけどほんとは大人だし、いけるいける……
✦波間
灰色の織り手に支配された閉じた空間で、紡ぎ手の子供たちが生活する幻想的な異世界。
✦波間の人々
成長しない子供たちが70人ほど暮らしており、羽を持ち日中は労働、夜は自由時間。
✦くらげ
結界を破って侵入し、住民を襲う異形の存在で定期的に討伐対象となる。
✦羽化
呪いにより進行する病で、末期には異形化と凶暴化を引き起こす。
✦場所
ヒースの丘や神殿など、紡ぎ手の労働や生活の場が複数存在する。
KPのひとりごと
なんとなく海があるって思っちゃったり、ね。
✦KPC
年上に見える体の弱い子供で、羽化の進行が早く、個室で静養している。
✦ダージュ
灰色の織り手の長で、PCたちに穏やかに接しながらも何かを抱える存在。
✦レンの子蜘蛛たち
PCに懐いている4匹の個性豊かな子蜘蛛たちで、癒しポジション。
参加PC
羽が生えるの、意外と大変なことだった!
佐倉さんがなかなかつらい立場だ。どきどき。
よろしくお願いします!
>〈神話〉知識を除いた最大値まで回復してよい
おっと全然回復しないぞ魔きし。
一応このシナリオ1~4人用になっています。
くらげとの戦闘なんかもあったりします。
シナリオ上で、人数が足りない場合にたすけてくれるNPCはいるのですが、
ソロだとちょっと難易度が高すぎるかも知れません。
なら、PCデータのある東浪見海・波照間もPCとして参加させていただこうかな。
難易度といえば、正気度 は魔きしのSAN(最大38)で大丈夫そうでしょうか?
もし差し支えがあったら(いい所を味わえずにドロップアウトしそうなら)、一時的に〈神話〉知識を忘れているということで、下駄をはかせて頂けたら嬉しいなと。
牧志のSAN値は何とかしますので大丈夫。かな。
ありがとうございます。>何とか
でも戦闘能力ないんだよな、東雲ちゃん。
美雪ちゃん作って参加しましょうかねー。
あとは月影くん能力持ちだったな。東雲ちゃんと大差ないけど。
戦闘能力必須なようなら東浪見弟のデータ作ります。
縁が遠いキャラクターがいるというのもそれはそれで楽しいかも知れない。
「参加」しないみんなもその場にいて、何か別のことをしていたりで戦闘には参加しない、などの扱いになります。
月影くんとの共闘というのも楽しい。
東雲さんなにげに回避ちょっとだけ持ってた。
その他の条件も東雲さんの方が向いているようなのでこちらで!
例えばマキシコウタさんは 名前を全部覚えていて、「マキシ」と呼ばれる方がいいのかな。
それとも「マキシ」か「コウタ」になるか。
トラミふたりになっちゃうから姉弟は名前かなぁ
佐倉さんも同様に「サクラ」がいいな。
東浪見sは区別つかないから名前の方ですね。
波照間は「コウ」かな。
ミユキはなぜかカイを「ウミ」と呼ぶ。
不可思議な色彩の空に美しい波のような光。
花々も家も人々も、淡い色彩とまろやかな輪郭で描かれた世界。
「灰色の織り手」と呼ばれる者たちに統治されたここに名前はない。
ここ以外に国はなく、またここを出る必要がないからだ。
あなたたちはここで生まれて、生きて来た。
あなたたちの使命はこの世界に巣を張る、レンの蜘蛛と呼ばれる種族の手伝いをすること。
彼らの親がこの場所に来るための架け橋を作ることだ。
糸車を回し、蜘蛛たちが生み出す糸を撚り合わせる。
それがあなたたち「紡ぎ手」の日常だ。
ここは海水と波打ち際の間
妖精たちの、秘密の国。
波間のダージュ
つきめぐり/つきのわむく 様 作
佐倉視点
施設を突き止め侵入し、協力者に情報を残し、かつ施設にじわじわと後で効いてくる【爆弾】を残せたのは上々と言っていい。
これでドジを踏んで自分が牢に放り込まれていなければ最高だった。
あなたは傷を負って牢に転がっている。深入りしすぎたのだ。
長いこと塔で【新婚生活】をしていたせいで気が緩みすぎていた上に、久しぶりの「何かありそうな気配」に功を焦ったのだ。

彼は気晴らしにと自分の話をして、薄れゆくあなたの意識をつなぎ止めようとしてくれていた。
それでもあなたの意識は急速に闇に沈んでゆく。
【新婚生活】でちょっと笑っちゃった
恐ろしいレンの蜘蛛に、灰色の織り手たちに怯え、言われるままに糸を紡いで捧げ続ける。そんな日々が暫く続いた。
導いてくれたのはダージュという名の灰色の織り手だった。
彼は仕事と戦い方を教えてくれた。
なぜかあなたにはマキシが暢気すぎるように思えてならなかった。
自分たちはこんなことをしている場合ではないのではないか。そんな焦燥に追われ続けていた。
それがある日、ダージュと話している時に、弾けた。
この世界全てが実は牢獄で、何故か絶対にいるはずのない相棒がいるということ。
自分たちは本来大人であるということ。
あなたの記憶は封印されておらず、混乱していただけだったのだ。

この世界が存在する理由、ダージュの望み。
あいつはヒプノスの気配がするとか言って、俺たちに特別目をかけてくれていた。
何度か会って話をし、あいつの話に乗ってやるのも悪くないと思えた。そもそもそうしなければ俺たちは、遅かれ早かれ呪いで歪んで死ぬんだそうだ。
全く、クソだな。

俺たちがここを出るまでの間、少しでも楽しめるなら、それはそれで牧志にとってはいいことなのかも知れない。

牧志はあなたに手を取られたとき、ほっとしたように表情を緩めることもあれば、眉根を寄せ不快そうな顔をすることもあった。
どうやら夢のクリスタライザーは紡ぎ手とされた者達に違和感を発生させるものらしい。

だがそうし始めた途端、俺の背にはぐしゃぐしゃに潰れた翅が生えた。
体は急速に歪み、歩行にも痛みが伴うようになったし、あっという間に息が切れるようになった。
俺の軟弱な体は、いきなり蓄積した呪いの重さに耐えきれなかったのだ。
ダージュに、負担が大きくなりすぎたことを理由に、過度な呪いの引き取りは止められた。
呪いの蓄積は必要だが、俺に死なれては元も子もないと。
だから俺は、牧志以外からの引き取りをやめた。
いつか俺達はここを生きて出なければならない。そのために善意や情けをばら撒けるほどの余裕なんかない。
参加キャラクター

波照間 紅
真・女神転生発のサマナーで悪魔退治屋。弓術を得意とする真面目な青年。
沖縄出身である。宇宙に並々ならぬ思いを抱く。
牧志の大学の先輩であり相棒だったのだが、とある事件で異界に落ちてしまい行方不明となっていた。

東雲 圓華
とある奇妙な縁で波照間と出会った。
おっとりして見えるが、いざという時の爆発力は高い。ダンスが得意。
行方不明の波照間を追って異界に行ってしまい、以来行方不明だった。


いつが始まりだったかは覚えていないが、そんなのは他の子供達も同じだ。
ある日、夜に廊下を歩いているときに、窓から夜空を見上げている見慣れない少女と出会った。
彼女はあなたを待っていた気がすると言い、嬉しそうに笑った。
その時あなたは、空に無数の輝くもののまぼろしを見た。初めて見るものであるのに、あなたはそれの名を知っていた。『星』だ。
だがそれは、何故か口外してはならない大事な事のような気がした。
ここ、カンブリックの家には時折「紡ぎ手」が産まれる。
誰も知らぬ間に家に新しい顔が増えている。
彼女も、そしてあなたも、「紡ぎ手」はそうやって産まれたのだ。
いつまでも姿を変えることなく生きる「紡ぎ手」に蔓延する、恐ろしい病だ。
発症すると背に羽が生え、体は次第に歪んでゆく。
「紡ぎ手」たちは皆病に冒されており、病によって死を迎えるのだ。
羽化を発症してしまったときも、あなたとシノノメは奇しくも同じような青く広い翅だった。


その……、きみの羽、綺麗だ」
怖くないといえば嘘だった。
あんなふうに歪んで死んでしまうのは怖かった。
シノノメさんがあんなになってしまうことも怖かった。
でも、怖いなんて言いたくなかった。
彼女はこんなに強いのに、泣きべそなんてかきたくない。
それに。
シノノメさんの青くきらめく翅は、綺麗だったんだ。
見惚れるくらいに。
KPのひとりごと
まだちゃんと設定が頭に入っていなかったのですね。
いずれもシナリオに支障がなければシレッとそのままにしちゃえと思っていたのですが、「海もないここでは」……ってダージュが言うシーンがあったり、空に見えるものは結構大事だったりしたので、ここでの描写は後でごっそり差し替えられました。
星については一日目の夜にPCが夢で星を見るシーンがあるので、夜空に縁が深い二人なら希に幻視しててもOkだなと思って『そういう白昼夢・フラッシュバックを見た』というような形で残しています。むしろ後でそんなシーン足してます。
参加キャラクター

東浪見 空
牧志の親友。
あまり詮索せず深入りせず、程よい距離を保ってあるがままの牧志を受け入れ続けてくれた。
だが牧志が塔に閉じこもって以来会えていない。

東浪見 海
東浪見空の姉。
美雪とは前世からの縁があるらしいが、それはあまり関係なく二人は幼なじみの友人である。
牧志とは顔見知りだった。
とある事件で佐倉とはただならぬ縁がある。

士幌 美雪
海とは前世からの縁があるらしいが、それはあまり関係なく二人は幼なじみの友人である。
とある事件で牧志とはただならぬ縁がある。


あなた方二人は同時にここに産まれた。
気がついたら背中合わせにもたれかかるようにして、ここにいたのだ。
だからきっと双子なんだ、と誰かが言った。
もしかしたら一人の人間がふたつに分かれたのかも知れない、とも。
確かに、髪の色、目の色、羽化したときは羽の色と形までそっくりだった。
それぞれが名前だけを持って産まれてくる。
ぽかっと開いた心の中に、大事に抱えている唯一のものだから、名前は大事なものだ。
空と海。この地を構成する大きな二つの名を持つあなた方は、
何か意味があってここに産まれたのかも知れない。


そんな風に呼び合うようになった。
KPのひとりごと
ただ、海と空は一緒に捕まった想定だったので、実際の檻の中でもそうやって互いを守るように寄り添って眠らないようにとつつき合いながら眠っていったのかも知れない、などと……
いや、二十歳超えの男女姉弟でそれはないか!
ここでは年齢差が意味を成さないので、年齢差のある人なんかは関係性変わりそうで面白いですね。

ぱたぱたと駆けてきて身を乗り出してカイにこう言ったのだ。

彼女自身にも分からないという。


その時はびっくりした。
突然やってくるし、変な名前で呼んでくるし。

でも、その時なんでか、そう頷いちゃったんだ。
勢いに押されたのか、どうなのか分かんない。
でも、その変な呼び名が、何だかしっくりくるような気がした。
KPのひとりごと

あなたは果てしなく長い刻をここで過ごしている。
始まりの時、ここにはあなたともうひとりの他は誰もいなかった。
だからあなたと彼、サクラは必然的に友になった。
仕事を二人きりでするのは辛く、最初はへとへとになっていたし、内容は覚えていないが奇妙な悪夢を見ていた気がする。

サクラはよくあなたにそう訊いていた。

サクラがいてくれてよかった」
聞かれる度に、いつもそう笑い返した。
一人だったら、くじけてしまっていたかもしれない。
そんな確信に近い実感があるのだ。
二人きりで紡ぐ糸がどれだけ重くても、サクラが一緒にいてくれたから、楽しくいられた。

サクラはつらくない?」




この仕事終わったら、一緒に遊ぼうな」
そんな時、手元の仕事がちょっと憎らしくなる。
早くおれもサクラみたいに上手になって、早く仕事終えられるようになって、もっとサクラと一緒に遊んだり、話したりするんだ。
あなた方は後輩達に仕事を教える機会が多く、仕事は減ったが負担はしばらく減らなかった。
そんなわけで二人でのんびり遊べるようになるまでは少し時間がかかった。
そして気付いたら、あなたは羽化していた。

誰か産まれる度に嬉しくて、何だか不思議で、不思議で?
そんな気持ちもいつか日常になっていった。
先輩をやるのは大変で、ちょっとくすぐったかった。
教え方を工夫したり、教えても教えても飽きちゃう子に骨を折ったり、楽しいけど、大変。
でも頑張ればサクラと一緒に遊べる、みんなと一緒に遊べる!
それが楽しみで頑張ってたら、いつの間にか羽が生えてた。

サクラと、そんな話をしたかもしれない。

その頃の彼は、よくダージュと話していたな、という印象がある。



心配になって、その顔を覗き込む。
ダージュは灰色の織り手の一人だ。
「紡ぎ手」とは随分違う姿をしているが、そのひとがどれだけ優しいか、あなたはよく知っている。
いつでも「紡ぎ手」たちを気遣い、相談にも乗ってくれる。
どこか冷たい「灰色の織り手」の一人だというのに、ダージュは優しかった。
黒い無数の足で、不安な「紡ぎ手」を抱き締めてくれるし、太い体に乗せてくれたりもする。
あなたはダージュにも問いかけただろうか。

ダージュは優しい。
仕事でへとへとになった時も、なんでこんなことしなきゃいけないんだろうって思った朝も、翅が生えてちょっと泣いちゃった夜も、俺達を気遣ってくれた。

サクラ、調子悪いの?」
何か抱え込んでる様子のサクラが心配で、ダージュの傍をくるくると回って聞く。
ダージュはいつも通り優しい念話で答えてくれる。
『そうですね。サクラは休みたいと言っていましたよ。
それに……』
ダージュは長い足であなたの額を撫でた。
『羽化の兆候が出ていて、不安なのでしょう』
羽は広がらずに縮こまったまま乾き、彼の背に垂れ下がっていた。
それはまるで病が一気に進んでいるかのような不気味さだった。
体は弱り、よく転ぶようになり、いつのまにか杖をつくようになった。
そうなればもう仕事どころではなかった。
サクラは一人で部屋に閉じ籠るようになった。

サクラの翅は広がらなかった。
花が咲いたように広がる俺の翅と違って、まるで蛹のまま羽化に失敗した虫みたいだった。


それきり羽のことを話すのはやめた。

何度も何度もサクラの名前を呼んだ。
俺達の、大事な名前。
KPのひとりごと
どこか落ち込んだような顔をしていても、あなたと遊んでいるときは昔のままのように見えた。

ふっとした時に迫ってくる恐怖を埋めるように、暇があればいつでも遊びに行った。
もうどれだけ一緒にいたか分からないのに、それでも離れたくなかった。
あなたが部屋を出るときには、そちらの手をあなたの左手と重ねた。彼はここに来てすぐの頃からこうやってあなたと手を繋ぎたがった。


ずっと前から繋ぎ続けてきた手は、そうしているのが自然だった。
そうやって手を繋ぐと、くらげなんか怖くないって思えた。
KPのひとりごと

カイとクウはひとつの人間が分かれたみたいだってみんなに言われてたけど、どうしてか、おれとコウもそんな気がした。
コウはおれの一部みたいで、おれもコウの一部みたいだ。
見た目も顔立ちも全然違うのに、そんな気がする。
シノノメのことがすきなんだなー、って気づいた時にはびっくりしたけど、叶ってほしくて応援した。
シノノメもコウのことすきなんじゃないかな、って思うのはおれの勝手な直感。

俺も会いたいな。今度連れてきてくれよ」

佐倉視点

だから、牧志以外は全員見捨てることに決めた。
だから……コウとシノノメが『産まれた』と聞いたときは、どうやって平静を装えたのか覚えていない。
どうして俺は上手くやれたんだろうか。嬉しすぎて混乱していて、それが結果的に良かったのかも知れない。

こうなったら二人を連れて脱出できれば、全ての問題が一気に解決するじゃないか!
もし直接連れ帰ることが難しければ、記憶が戻ったときに【どこにいるのか】訊けばいい。
俺は呪いの引き取りを波照間さん……コウとシノノメさんからも始めた。
シノノメさんの手を取ろうとすると、コウの目がちょっと怖い。

序盤のマキシとサクラが本当にすれ違っていて、つらいけど面白い。
波照間と東雲さん、そうだよなぁ。違う二人だなんて分からないもんなぁ……。

二人分くらいの仕事をしても全然へこたれない。
外遊びを覚えるのがすっごく早くて、すぐに外での遊び相手になった。
クウとみんなと一緒に遊ぶのは楽しい!
夢中になって遊んだ。
そのたびに、外で見つけたものをサクラの所に持って帰った。


佐倉視点

どうして彼らまでいるんだ。捕まってしまったのか?
正直もう表情隠せる自信がなくて、抑えた声になってしまったのは自覚していた。

すっごく高い所まで木登りできるし、ボールを蹴ったら誰も追いつけないんだ。
でもすっごくいいやつで、新しい子の面倒なんかも見て……」
KPのひとりごと

その顔に、サクラが何かよくないことを考えている気がして、口を閉じる。
マキシ視点


それから、クウのことはあまり話題に出さなくなったかもしれない。
クウの姉やその友人のことを知れば、彼女らにも会いたがった。
KPのひとりごと
佐倉視点

あの老人だ。
あなたを元気づけようとした優しい老人。
今はあどけない顔をした金髪の少年。

彼はほんの少し優しさをくれた。それでもただの偶然同じ牢だったというだけの男に過ぎない。




みんなの元気な姿が見たいんだ。窓越しなんかじゃなくて、直接さ」




サクラってずっと前からここにいたんだって?
昔の話、聞かせてよ」
その間、ぬくもりが欲しい、と言って来客に手を取ってもらいたがった。


それでもどこか、物思うような目をしていた。

とダージュは言っていた。

ダージュ、みんなに言ってやってよ。役立たずなんかじゃないよ」

「紡ぎ手」ほどには感情が分かりづらいダージュの声にはその時、確かな陰りがあった。
いつの日かきっと、報われる日が来ることでしょう」

握る手に、少し力が入った。

サクラはここにいる。一緒にいる。ずっと、ずっと一緒にいるんだ。
そう訴え、願う心が、力を込めさせた。



ぽつり、と雫が滴った。

第一波
『縫い目のないシャツ』
しんと冷えた空気が、布団からはみ出した小さな足を撫でる。
窓から差し込む朝日も、瞼を無理矢理こじ開けようと意地悪をするものだから、せめてもの抵抗として布団の中へと鼻先を埋める。
そうして、寄って集ってあなたを布団から追い出そうとする朝との攻防戦は、先に起きて朝食の準備をしていた子供達の声で終わりを告げる。
諦めて、一晩せっせと温もりを貯め込んだ布団から出れば、同室のコウとクウのほかに、見慣れない顔がいた。

ぺちぺちと布団を蹴って、ようやく布団から這い出す。
その勢いで誰かの足を蹴ってしまった。

参加キャラクター

月影 蓮
とある事情で佐倉と縁があるのだが、この世界とは関係ない。
そして彼自身もその事件の記憶をほぼ失ってしまっている。


新しい子?」


おはよう、おれはマキシ。
ここはおれたちの部屋。きみは紡ぎ手」
戸惑うその子をびっくりさせないように笑う。


おれたちみんな紡ぎ手なんだ。
ここで糸を紡ぐ仕事をして暮らしてるんだよ。
やり方はあとで……」



レンは産まれたばっかりだから、まだだな」
つきりと喉が痛んで、その意味する所を語らなかった。
サクラの辛そうな顔が頭の裏に浮かんだ。

無論、あなたの背中にも同じようについているそれは、この世界に生まれた祝福であり呪いだった。
【羽化】と呼ばれるこの土地特有の病で、これは【ヒプノス】と呼ばれる悪い神様がこの土地にかけた呪いなのだと、
【灰色の織り手たち】からいつかに教わった。

翅の生えてなかった子たちにも、今はみんな翅が生えた。
どうして悪い神様は、おれたちを、この土地を呪ったりしたんだろう。
呪いを解くことはできないのかな。サクラの体が弱いのも、その呪いのせいなのかな。
翅のことを考えるたびに心臓が重たくなって、レンにそのことを言わなかったのも、喉が痛んで声が出なかったからだ。
説明され役
第一波前に皆の出会いをやったのも、ある程度そのシーンを使って説明を行うためです。
その場で知りたいことがあれば情報としてお渡しします。
先輩風吹かせ放題!!
では楽しく料理させていただきます。
まずはみんなで朝ごはんですね。
日常パートだー!

レンの手に手を伸ばした。

ない星空
この世界星ないわ。
東雲さんとの出会いは「彼女が空を眺めていた」からってことにしてください。
作業着に袖を通して、顔を洗って、髪の毛を整える。
もう何十年、あるいは何百年も繰り返して来たルーティンだ。
あなたやほかの子供たちは、定められた休息の日以外は【紡ぎ手】として朝から昼まで働かなくてはいけない。
まず【レンの蜘蛛】たちの居るあなぐらへ糸を取りに行き、それを糸車でより合わせる。
完成した糸は【神殿】へ持って行き、【灰色の織り手】たちへ手渡すことになっている。
仕事道具や、各個人の持ち物以外に、子供達は皆武器を携帯している。
これは波間に時折訪れる【クラゲ】と呼ばれる魔物に対処するためだ。
・近接武器-判定:〈ソード〉、〈ナイフ〉など任意の近接武器技能/ダメージ〈1d6+DB〉
・遠距離武器-判定:〈拳銃〉、〈弓〉などの任意の遠距離武器技能/ダメージ〈1d5〉1R1回攻撃/装弾数、故障ナンバーなし
・肉弾戦補助用武器-判定:〈キック〉や〈こぶし〉などの肉弾戦技能/算出ダメージに+1
このままレンがこの部屋の住人になることになるだろう。

同じ部屋だったアオもいなくなった。
もう何度も見送ってきた。
でも、サクラがいなくなるのは嫌なんだ。
嫌なんだよ。
この部屋にはクウとコウがいます。



糸を紡ぎ、クラゲを追い払う。
ここは波間。
ずっとずっとそうしてきた。
それに疑問を抱くことはない。

作業着はこれ。
レンは眼鏡かけてるんだな」
服や洗い場の場所などをレンに教えていく。

KPのひとりごと
記憶がなくとも完全に「物を見る」というアクションが変わってしまうのはストレスがかかるだろうなーと思いました。



武器
NPCだし演出的にあってもいいのでは?
実は〈投擲〉と〈キック〉を65持ってたレンくん。
牧志は好きな武器を使って構いません。
牧志のみ、選択した武器スキルに+30入ります。
合計61%でちょっと頼りないけど。
前衛一人後衛二人でバランス悪ければ〈こぶし〉にします。
〈拳銃〉技能で振って構いません。

レンは壁にかけてある武器に興味を示した。
壁にはコウの弓などがかけてある。

その弓は僕のだ。
ここにはたまに危ないものが来るからな、みんなで追い払うんだ」


顔を洗ったりしながらレンは不思議そうに問いかけた。
時折この地を守る結界の破れ目から現れる魔物だ。
それは、まるで水中を浮遊する大きな黒い袋に見える。
雲のように不確かな輪郭の体をゆらめかせ、そんな体の下には長くしなやかな触手が生えている。
いつかのお伽話で見た「くらげ」という生物に似ているので、子供たちは皆この魔物を【くらげ】と呼んでいる。
倒して取れる肉をダージュに届けると褒めてもらえるのだ。
触れるとビリビリするし、あまり美味しそうではない。

特徴を掻い摘んで説明する。

うまいのかな? 珍味?」

美味しくはなさそうだけどな」


みんな、得意なものを使うんだ」

部屋の外を、シノノメとカイが通った。同室の女の子達がふたりを置いて先に食堂へ向かう。





その時間はあるかな?
ではそのタイミングで。
プレートの上にはこんがりと焼かれた食パンと、目玉焼きが乗せられている。
横に添えられた小さなガラスのボウルには、不器用に刻まれた色とりどりの野菜が盛り付けられていて、お椀にはミルクスープが湯気を立てていた。
台の上にはバターや様々な木の実のジャムが並べられており、それぞれ好きなものをパンに乗せて食べることができる。
あなた方は大体いつも決まった席に座る。
今日からはアオがいなくなっていた空席にレンが座ることになるだろう。



アオのことに言及するのはやめた。
精一杯に笑って、レンをみんなに紹介する。

ミユキがウキウキしながら席に着いた。


KPのひとりごと
ご飯の材料なんかは灰色の織り手がくれるみたいですし、それっぽいものは何でも出てくるんじゃないかな。



顔を赤くするコウに、カイが小さく笑う。


食パンタワーをこしらえている。

こちらへ来るレンに手を振る。

代表でマキシが振ります。
1d100 60 マキシの【幸運】 Sasa 1d100→ 96→致命的失敗(ファンブル)
まあたまにあることだ。
いつも食事をとりまとめているベテランのグレースがいるため、そこまで大きな被害にはなっていないようである。
金の髪がふわふわとした、緑の瞳の少年だ。
彼は食事を載せたトレイを持っている。
食事ももう自分の部屋でひとりで取ることも多くなった。
とくに仲の良いあなた方は食事の運搬を頼まれることもよくある。

サクラの部屋に行く役は、いつも真っ先に買って出る。
自分がその役を買って出ない時でも、何かしら理由をつけてはついていった。
マキシが行ったときが一番嬉しそうだし」
グレースは苦笑した。
マキシ、どこかいい係ないかな」

でも、料理係やってる時のクミン、すっごく楽しそうなんだよな。
じゃあってアイラに頼んだときは、おいしいんだけど、毎回何だかよくわからないやつになったし」
あの騒動を思い出してか、グレースはくすくすと笑った。
だれのこと?
本人に?
ちょうど少し前にカレーログ読んでて。料理係クミンちゃん似合いすぎて笑う。
キッチン大惨事(ネタバレ)
クミンは自覚のないメシマズ属性持ち、アイラは料理は上手いものの結果が不安定。
いろいろあって二人は仲が悪い。悪い? 多分。
TRPGリプレイ インセイン『カレーを作ろう!』(秘匿オープン版) 1
キッチン大惨事

そう言ってグレースに笑いかけた。
実際に、グレースが来てからほんとに色々うまく回るようになった。
僕がくらげに襲われたときに助けてくれたの、忘れてないよ」
グレースはくせっ毛の先を揺らして微笑んだ。

彼に手を振って、サクラの部屋に向かう。
KPのひとりごと
せっかく印象的な退場をするキャラクターですからね、伏線は多ければ多い方がいい! のです!
クトゥルフ神話TRPG 目次
波間のダージュ 一覧
たまにはこうして舞台裏でドタバタする様を記録しておくのも面白いかなと思いました。
KPが世界観を呑み込み切れていないがためのわちゃわちゃがありますね。
メインルート
メインルート
子供佐倉ルート
子供佐倉&デビルシフター牧志ルート
塔牧志ルート
塔牧志&佐倉ルート
Nルート
N牧志&N佐倉ルート
波照間ルート
波照間(&東雲)ルート
佐倉~月影ルート
佐倉・アナザールート
【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」
















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