こちらにはキルキルイキル
ネタバレがあります。
  • 1 お見舞い (迅の友人、六甲視点)
  • 2 秘密   (なにかに気付く京)
  • 3 部屋探し (ルームシェア)
  • 4 彼女   (迅の彼女視点)
  • 5 退院   (『一人の帰宅』別視点)
  • 6 心配する友人(京の友人視点)
  • 7 混ざる  (京の想い)
トーク
海野 迅
一個言い忘れてた。
例の事件以降、旅に出かけるようになった京くんが、理由含め素敵だなと思いました! 以上!
渡川 京
ありがとうございます! 旅に出て日記をつけて、たまに記念写真とったりしながら。誰もいない空間をかたわらに旅に出る図、好きなんです
海野 迅
素敵だなぁ。
色々綺麗なもの見て行ってほしいなぁ。
渡川 京
離れてひとりっきりでLOSTすることはないんだなあ、この二人。


トーク
渡川 京
迅さん、友人といるとき友人を通称で呼んだりするんでしょうか? それとも普通に名字や名前?
あとは、元々PLのガバですけど、京が自身の存在をうっすら察した流れもこの後くらいの時間軸で補完してみたいですね……
海野 迅
友人はあだ名つけてそうですね。
やっぱり察しちゃいます? お互い優しい隠し事だらけになりますね!
渡川 京
あだ名いいですね!迅さんの友人視点の話をひとつ書こうと思ってるんですが、例えばどんな感じでしょうか? 名前からとったもの? 見た目や性格からきたあだ名?

優しい隠し事だらけの二人の生活、はあ、いいですね…… 水槽回顧でああなる前にも、薄々察してしまうんだと思います。迅さんが金庫のこと隠そうとしてることとか。
海野 迅
家を出るときに、倉庫に放置されていた金庫に脳缶入れちゃったのです。

脳缶の扱いめちゃくちゃ困りました!
でかいからこっそりもてないし、大人が中身を知ったら確実に取り上げるやつだし!
金庫くっそ重いのに自室に持ち込むの無理だし!
渡川 京
確かに!! 大人が中身知ったら確実にSANチェックだし。金庫めちゃ重いし。そうかあ、家を出るときに封印してっちゃったんですね

周囲の大人たちには声は聞こえなくて、迅さん(京)の異常事態に気を取られて謎の筒どころじゃなかったんだろうな……
海野 迅
幻で見たのはあくまでイメージとして、海野家のイベントでは変な缶を抱えてなんか言ってた、みたいな。

おかしくなった子供が、不審な金庫に執着してたら、大人、開けちゃうじゃないですか!
渡川 京
ですね。変な缶を抱えてぶつぶつ言ってた、っていう。外から見たら変な缶を抱えてぶつぶつ言ってるし、「迅だ」って言うし、迅さんの両親そりゃショックですよねえ……

開けちゃいますね!>執着してたら 家を出るときに、誰も知らないうちに金庫に封印して、そのまま。なんだろうな……
海野 迅
あだ名は名前いじりかな?
そんなにこった名前にはしなさそう。最後に っち つけるとか。
渡川 京
迅さんのバイト先で知り合った友達描写してて、そういえば迅さんバイトの履歴書とかどうしたんだろ…… って思いましたね
個人の料理屋とかでチェックゆるいのかもしれないけど
それかあるいはバイト申し込んだのは京で、そのときは渡川京で通って、渡川って呼ばれて俺は海野ですよって訂正してそのままになってるとか。
そもそも迅さんどんなバイトしてるんだろう 個人的には飲食が似合いそうな気がしてます
海野 迅
飲食合いそうですね。
「ウミノって呼んでください、友達みんなそう呼んでるんでー」
みたいにさらっとやってそうです。
渡川 京
包丁研いでるシーンもあったし、雰囲気軽いし似合いそうなんですよね飲食。割とゆるいとこに紛れ込んで身分証の名前を指摘されることもなく、そのまま通ってたんだろうな。

1



友人が入院したって聞いたとき、俺は肝を冷やした。──ああ、また、失ってしまうのかと思ったんだ。


海野迅。バイト先で知り合った友人。俺のことをみどっちだの、偶にふざけてミドリンだの呼ぶ。
だというのにルームシェアしてるっていう幼馴染みのことはちゃんと「京」って呼ぶから、
ああ、大事なやつなんだな、ってなんとなく思った。

音楽が趣味。普段は適当に遊んでバイトしてるらしいくせに、音を鳴らすときだけはふっと真面目な顔になる。
彼女は数ヶ月ごとに入れ替わる。お前なんで続かないんだよってからかったら、そーゆーもんなんだよって笑ってた。

迅が入院したって聞いたとき、初めて、俺は、迅がどこの大学なのかも知らないことに気づいたんだ。
普通に馴染みの友達って気分になってたから、ちょっとショック受けて。
それから、バイト先の店長に迅の入院先聞き出して、花も買わずにすっ飛んで行ったんだ。

「迅は、海野迅さんはいますか。俺、六甲翠っていいます。海野さんの仕事先の友人です」

ちゃんと免許証も出して名乗ったのに、受付の人は「そのような方は入院していません」なんて首を振る。
店長に電話もして、病院の名前も確認して押し問答してると、後ろを医者が通りかかった。

「能生先生」「渡川さんの」「はい」

少し何か後ろで話がされて、それから俺は病室に通された。

……迅は。
迅は、ぼんやりと目を開けたまま、病室の白いベッドに寝てた。

すっぽりと表情が抜け落ちて。普段してる化粧も落とされて、
そうやってると、ああ、こいつ京そっくりなんだなって、場違いにそんなことを思った。

何度か、会ったことがあるんだ。迅によく似た顔と背格好で、でも全然違う雰囲気の、迅の幼馴染み。
機械いじりが得意らしくて、喋るのはあまり得意そうじゃなかったけど、
それでも穏やかでやさしいたちっていうのが分かるからか、同じ学校の友人たちに囲まれていた。

目の下には大きな隈ができていた。
詳しい病状なんてもちろん教えてくれなかったけど、
ずっとずっとひどい無理をしていて、それが限界に来たんだと教えてくれた。

迅、迅。戻ってこいよ。バイト先のみんなもお前を待ってる。
身体がつらいならバイトは無理しなくていいけど、みんなお前に会いたがってるんだ。

迅。
お前の歌、また聞かせてくれよ。
バイト代貯めてようやく買ったギター、勿体ないだろ。
なあ。

少しして容態が変わったとかで、俺は病室を追い出された。
病室を出るとき、振り返ったネームプレートには「渡川京」と、あった。



作 闇司祭ファラリス 2021/8/12
トーク
海野 迅
あのときのラインの一人にいたのかなぁ、六甲さん
渡川 京
いたんじゃないかな、と思いますね。ああいうメッセージ送りあう感じで、バイト仲間グループがLINEにある感じの。
海野 迅
というかぶっ倒れているときにLINEしてたから、病室出たあたりでヘルプが来ていた可能性……!
脳内から送ってるから届くはず無いんだけど。
渡川 京
実際には送れてないんだろうけど、六甲くんが病室を出たあたりで、ちょうどLINE送ってたんだろうなあって感じですね……
京が現実世界に戻ったあたりで、六甲くんの「迅、大丈夫か? 待ってるから、また顔出してくれよ」っていう寂しそうなメッセージが迅さんのスマホに届いてそう。
海野 迅
そんなんあの後に見たら泣いちゃうわ
クソフザケた返信すると思うけど。
渡川 京
泣きながらクソフザケた返信する迅さん想像すると泣いちゃう なんて返すんだろう

海野 迅
「ちょっと運命と戦ってきたっすよ。いやー、死ぬかと思いましたわwww 寝不足で入院とか笑えるwww」

みたいな感じかなぁ。
渡川 京
ああああ迅さん…… スマホの画面にぽた、と涙が落ちそう……
「馬鹿、無理すんなよ。店長には言っとくからゆっくり休め」って返信だけ帰ってくるんでしょうね、それには。


トーク
渡川 京
京が自身の存在にうっすら気づく話、具体的な話あんまりないぼんやりした小話ですができました
海野 迅
ほんのり気づいてしまいましたか……
っていうか落書き持ち出せてしまうのですか。それは本当に大迷惑だ。
渡川 京
持ち出せてる(迅さん自分の顔に落書きしてた)のか、「落書きのせいで大笑いされた」と京が思ってるのかは謎です。
海野 迅
背の高さ、そういえば現実では同じなんですよね。なるほど……
渡川 京
そうなんですよ 友人の話書こうと思って改めて背丈どうだっけ? と思ってキャラシ見たら、迅さんの方がそこそこ高かったんですよね。でも現実では同じはずだよな、って。 キャラシみるたび新たな発見があります……
177cmと185cm、絶妙な身長差なんですよね、京と迅さん
海野 迅
体格違いすぎるひとがキルキルイキルやったら、現実との齟齬がめちゃくちゃになりそうですね。
渡川 京
それは思いました。158cmと192cm(自分とこの男性PC最大身長差)とかだったらガチャガチャになる


2



──息のできない俺を、迅が、遠くから。
遠くから見ている。


迅があの金庫のことを隠そうとしていることには、薄々気づいていた。
【ここ】で、【二人】で生きようと決めた時から、あれは棚の上に置かれたままだ。

あれを開ければ、きっと脱出ゲームみたいに玄関の鍵が入っていて、俺たちは外に出られる。
俺はそう信じて鍵を探した。【どちらかを殺せ】なんて。
【迅が本物じゃない】なんて、とても信じられなかったから。

いや。信じられなかった、じゃない。信じたくなかったんだな。
思い出してみれば──記憶はどうにも朧気だが── おかしな所はいくらでもあったから。

「よう、迅!」
偶に迅と間違えられて、困惑した。
これだけ顔の違う人間を間違えるなんて変なやつだと、少し拗ねながら思った。

「──?」
前髪から、ぱらりと肌色の粉が落ちた。化粧みたいな色だ。
化粧した覚えなんかないが、また迅の悪戯だろうか、と思った。
顔に落書きするのはやめてほしい、一度気づかずに出て友人に大笑いされた。

「……?」 
俺より背の高いはずの迅が共用スペースに置く物は、いつもきちんと俺の手が届く場所にあった。
迅はあれで細やかに気の利くやつだから、迅の配慮だと思っていた。

─他にも、思い出してみれば、いくつもいくつも。
例えば。
迅から、行ってる学部の話とか、単位の話、一度も聞いたことがないこととか。

そうだ。
いつも迅は意外と物分かりがよくて、最後にぐだぐだとごねるのは俺の方だった。
最初に俺の手を引いてどこかへ誘うのは迅で、無茶なことを始めて俺を困惑させるのも迅で、
でも、最後に無理を言ってふてくされるのは俺の方。

迅は一つずつ、一つずつ、根気よく諭してくれた。
現実に起きるはずのないことが起きていることを。【ここ】が、現実ではありえないことを。
物分かりの悪い俺が、呑み込むしかなくなるまで。

だから。
迅、分かるんだ。分かってしまうんだ。俺とお前は、ずっと一緒にいたから。
互いのことなら、誰よりもよく知ってるから。

あの中に入っているのは、俺が求めていた鍵なんかじゃないんだろう。
何か、もっともっと酷くて、どうしようもないものなんだろう。

だけど。
迅、お前がたった一人で秘密を抱えていくのが、どうしようもないものを必死に抱えていくのが、俺は。
……俺は。

分かってる。お前が隠し事をする時は、だいたい誰かのためなんだ。
お前はきっと俺のために、そうしている。


その夜、俺は久しぶりに、実家に電話した。
あのとき本当はなにが起きていたのか、俺たちがどうしていたのか、聞くために。

──息のできない俺を、迅が、遠くから、遠くから見ている。
薄暗い水の底から響くあの声は、迅の声じゃなく、俺の声だった。




作 闇司祭ファラリス 2021/8/12
トーク
渡川 京
高校or大学? になってルームシェア始める迅さんと京かあ…… ってなりました
海野 迅
そんなイメージで書いてました
渡川 京
そんな感じですよね 中学高校が寮で、大学に上がるときにルームシェアかなっていう
海野 迅
寮を出たらルームシェアかなと
渡川 京
そうそう
ルームシェアっていうと、どうしても物件探ししてる図を想像したくなります
海野 迅
中空に話しかけながら間取りを楽しそうに見ている若人
実際に住んでる部屋もあの間取りってことでいいのだろうか。
渡川 京
現実で住んでる部屋は片方しかない、という描写が第二段階あたりにあった気がする
海野 迅
あ、そうでしたっけ
迅の部屋の方は実は存在しない空間なのかな。
渡川 京
元シナリオの記述と脳内でごっちゃになってちょっと不明なんですけど、途中で見えた一つの部屋に二人分の物が詰め込まれてるひと部屋、あれが現実の姿だったような
海野 迅
シナリオにそう書いてあるのかな?
あれはあくまで「実は一人」を示すためのイメージかと思っておりました。
渡川 京
ああ~~どうだろ ちょっと記述確認してきます
確認しました、元シナリオのほうの補足記述でした 失礼 一応元シナリオの記述だと「本来部屋は1つしか存在していない」らしいです
海野 迅
部屋1個なのに別の人間として暮らしていて、彼らの認識としては二部屋有るつもりだった……ってのは、相当認知歪んじゃってますね。
渡川 京
なんですよね だいぶん歪んでしまっている <見えてない>部分がいろいろありそう
海野 迅
脳内部屋は二部屋のままなんでしょうか。
それぞれの荷物はそれぞれの部屋に戻ってるのかな?
そのへんはっきりしてなかったから、冒頭ぼかしちゃいましたけど。
渡川 京
あのあとどう暮らしているか、は元シナリオに言及ないんですよね。

ひと部屋で片方雑魚寝になってる、ってパターンも考えたんですけど、
【二人】で暮らしていくことに決めたのだし、二部屋に戻っていてほしいなぁ…… とは思いますね。
海野 迅
そうですね……そうだといいな
ある程度正しく見えるようになった後の迅は現実の「自分の部屋」の壁にぶつかりまくってそうなんですけど。
渡川 京
やってそう。齟齬が!
あと最初のうち、微妙な身長差で違和感がすごそう>終了後の迅さん
海野 迅
歪んだ認知が戻ったことで混乱の元に!
そういえば現実では一室設定で少し書いたとき思ったんですけど……
部屋は汚れているのか片付いているのかw
渡川 京
はじめて現実の自分の部屋を見たとき、ちょっと京は改めて現実を認識して呆然としそうだなあ、とか。>一部屋しかない

はんぶん汚れていて半分片付いていたりして。>部屋
海野 迅
ビニールテープで部屋区切ってやろw
「こっから先本を出すな!!」って
渡川 京
ビニールテープww いいなそれw

おっ了解です 迅さん鏡映しなんだなあ……

トーク
海野 迅
それと、しょうも無い妄想でアレなんですけど、元々迅の身体にはほくろはなかったが、鏡を見て「ある」と思った、というのもいいなぁと。
渡川 京
しょうもない妄想どんどんください ああ~~~~~~~~~なるほど~~~~~~~!?
そう、ちょっと思ったんですよ 対称の位置のほくろ、<鏡映し>だからなのか? って
海野 迅
あ、じゃあ迅のほくろはそういうことにしよう。
渡川 京
おっ了解です 迅さん鏡映しなんだなあ……
海野 迅
お互いが少しずつ影響受けてたらいいなぁと。
渡川 京
いいですね、それ。京はどんな影響受けてるんだろうな
海野 迅
歌ってるじゃないですかーってそうじゃないか
渡川 京
それは確かに!! なんですけど、開始前の時点から既になにかあるといいなーって
歌は影響もそうなんですけど、「迅さんの歌を、存在を自分の中に残しておきたい」っていう願いでもありましたしね。あの時点ではまだ迅さんが偽物だと思っていたので。
海野 迅
迅も壊れちゃってるから元の状態ではないし、もうお互い本物偽物関係ない状態だなぁ。
ありがとう京……
渡川 京
もうお互いどちらがどちらとも言えない状態。それに、【二人】で、って決めたんだから、迅さんは迅さんで、京は京ですしね。
迅さんも京を殺さずにいてくれてありがとう……
海野 迅
その選択肢はハナッからなかったなー。
ちょっと生に執着なさ過ぎではとプレイヤーとしては思ったんだけど、迅の中にその考えは浮かばなかったんで。
最初にうっすら「自分が偽物」という認識をして、部屋を失って、自分の無惨な死体を目撃して、少しずつ死に近づいていたから、どちらか犠牲になる必要があるなら自分の方だとあっさり飲み込んだのかも知れない。
渡川 京
そうなんですよね、迅さんわりと「自分が偽物」「自分が死んでいる」という認識するのが早かったから。そういうところはあったのかなと思いました。
海野 迅
「俺は京に生かされているんだよ」 京の心臓で、京の肉体で。
渡川 京
京は京で、「迅さんを殺す」という発想は最初からなかったんですよね。
「俺は迅がいたから生きてこれた」っていう思いが強くて。
海野 迅
つまりハナっからBエンド以外ありえませんでしたね!
渡川 京
ですね! BかDにしかならない二人!
海野 迅
私が最後に悩んでいたのも
もっと良い道があるのに、自分の鍵を隠すことでそこを塞いでいないか、という不安があったからで
包丁持ち出したのも、自分を人質にして情報絞りだそうと思ったからでしたし。
迅は割と死ぬ気でしたけども。
渡川 京
これは悩みますよね。もっといい道あるんじゃないの?? って見える構成に互いに見える。
迅さんと京で揉み合いになる展開は一瞬見えてましたね。迅さんが包丁を置いてくれてよかったけど。
海野 迅
揉み合ったらDだったかも。
「話し合え」とかいう解決策出してきたのがあの薄笑いジジィだったから信じられなかった、というのもあります。
渡川 京
そうそう。こちらもその状態でしたしね。医者が薄笑い爺さんだったから、これ他の道あるんじゃないの?ってなった。
あのシーンで吐き捨ててる迅さん好きです。
海野 迅
もうあのへん「クソ」しか言ってない。
渡川 京
秘匿窓でだけ乱暴にクソクソ言ってる迅さんがすごくいい
海野 迅
ありがとうございます。内心乱れる描写すごくたのしい。
そういえば他のログ読んで思いましたけど、二人は生きてゆくことにしただけで、自分たちに酷い仕打ちをしたヤツ見つけてやっつけようって方には不思議と行きませんでしたね。
終わってから、あれ、そういう道もあったよな……ま、いっか。って思ったのを、アレ見て思い出しました。
渡川 京
ですねえ。最中もそういう発想してなかったし(PCもPLも)、終わってからもそっちへいかなかった。
まあ、”どちらも力自慢というわけではない二人”だしなあ…… (本編中の描写)
海野 迅
どう考えても敵わないんだもん……
渡川 京
二人ともそんな好戦的な感じじゃないですしね。
どちらもケンカしなそう。
海野 迅
そうねー、迅は喧嘩になりそうなら面倒くさがってさっさと逃げる人だし。
渡川 京
京はそもそも喧嘩しようとしないし。
海野 迅
復讐に使う時間が勿体ないな……
渡川 京
復讐するよりも、楽しく二人で生きていきたい。っていう、”過去にする”タイプの二人ですよね、頂いた描写にあったように。
海野 迅
復讐しても自分たちの肉体と脳みそはもうどうしようもないですしねー
渡川 京
ですしねえ。あと終了時点で結構低SANで、先が長くないのもわかっているし。
それよりは幸せなこれからを。
海野 迅
そうそう。楽しい未来をね。


3



少し早い桜が咲いていて、ちらちらと花弁が散って。
これからの生活について、楽しそうに話す迅の背中があって。


高校を出たらルームシェアをしようと、二年生の頃から話していた。
俺は正直、あんまり自信がないから、受験の直前から自信がないだのと迅にこぼしたり、終わったら終わったでうだうだと不安を吐いたりしていた。迅はそんな俺を呆れつつ慰めてくれて、物件を探しに行こうと言ってくれた。

「でも、滑ったらどうするんだ」
「そん時はそん時だろ。まだ決めなくてもいいんだし?」

それもそうだ。少し気が楽になって、迅について不動産屋に行った。

初めて足を踏み入れる場所だ。少し緊張した。
そんな緊張なんかどこへやら、迅は楽しそうに物件一覧を見ていた。

「お、吹き抜けロフト付きメゾネットだってよ」
「値段見ろ、値段」

迅と顔を突き合わせて、色々な間取りが書かれた書類を見る。
もしかしたら受験に滑るかもしれないけど、見るだけ、と思えば楽しかった。
迅は受験に滑ることなんて、全然考えていないようで。

ふと目を落とすと、丁度いい値段の物件が目に入った。
対称形の二部屋と共同スペース。
ハート形みたいだ、と思った。

「なあ、迅」
「お? いいじゃねーの、これ」

他にあるのは、大体がワンルームかファミリー向けの数部屋。
二部屋なんて珍しい。舞い上がってその場で契約しようとして、逆に迅に止められた。

その後、大学合格が分かって。な、だから言っただろ、なんて迅に笑われて。
その足で、すぐにあの部屋を契約した。


少し早い桜が咲いていて、ちらちらと花弁が散って。
あれから数年目の春。
あの日の背中を思い出しながら、一部屋だけの俺と迅の部屋に、荷物を下ろした。




作 闇司祭ファラリス 2021/8/13


4




――迅が変な奴だってことくらい、ずっと前から知ってた。
それから、独りで抱え込む奴だってことも。


最初に迅と会ったのは、どこだったかな、どっかのクラブかフェスだったと思う。
イキった格好してる割に地味な面でさ、いまいち似合いきってなくて。
鼻っ柱に乗っかったそばかすが隠しきれてなくて、ちょっと背伸びしてんのかなって思ったんだ。

まあそれが、話してみると面白い奴だったんだよね。
面白いってボケてるって意味じゃなくて、普通に話が面白いってこと。
持ち上げるとこちゃんと分かってて、機嫌よく騒げて、場の空気にするっと馴染んでく。

たぶんそっから、もう、ちょっと惹かれてた。
前の彼女と別れたって聞いたとき、なんか、なんとなく、次は自分でもいいかななんて、思ってた。

迅と一緒にいるようになって、面白いけど変な奴だ、っていうのが少しずつ見えてきた。
幼馴染みとルームシェアしてるらしいんだけど、家に行ってもそいつは一回も姿を見せない。
彼女いないから拗ねてんだ、って聞いて笑った。

偶に、壁に向かって話しかけてるのを見た。京、拗ねんなよ、なんて。
ダイニングルームの向こうの少し黄ばんだ壁。
あいつの部屋にいる時はあたしも大概酔ってて、そんな様子をぼんやり眺めてたような気がする。

気遣いが上手い癖に、泊まった翌朝は決まって先に勝手に出てる。
朝起きるとベッドがひんやりしてて、誰もいない。
迅の鞄は置いたままで、幼馴染みのらしい鞄だけ持ち出されてた。

置いてくなよって迅をからかったら、あいつしらばっくれたんだよね。
覚えてないって飲みすぎだよ、飲みすぎ。でも迅が飲んでない日もそうだった。

迅がどこの学校に通ってて何してるのか、一度も聞いたことがない。
あいつは決まって忘れたなって笑う。
ギターとバイトとクラブとフェスと酒、そんな話しかしない。ま、あたしもだけど。

頭痛持ちみたいで、よく頭が痛そうにしてる。
やばい時はほんとにうずくまって動けなくなるから、たまにこのまま迅の頭が割れちまわないかって不安になる。

何だろ。面白くて、気遣い上手くて、でもどっか弱そうで、変な奴で、時々びっくりするほど優しい。
それで、音楽が好き。ほんとに心の底から好き。
お爺さんに貰ったっていうボロいラジオ、ずっと大事にしてるとこが可愛い。


突然別れてくれって言われたのは、入院しただかなんだかで、しばらく顔を見せなくなった後だった。
いつも気遣いが上手い奴なのに、いきなりあたしのこと女じゃないみたいに扱うようになって、デート先が美味いけどやたら食べにくいホットサンドなんか出す店になって、服にぼてっとチーズこぼして、でも見かねたのか笑って拭いてくれてさ、その日。

迅、下手すぎるよ。
くすっと笑いが漏れた。

そうすれば、あたしがあんたのこと一発ビンタでもして、それで終わると思ってんだ。

残念。まだ数ヶ月の彼女だけどさ、それくらい分かるよ。
狡さからそうしてるんじゃなくて、ただ、あたしにすっぱり自分のこと、忘れて欲しいからそうしてるってことも。


――迅が変な奴だってことくらい、ずっと前から知ってたよ。
それから、少しずつ、もっと変になっていってるってことも。

自分勝手なことするときは、いつも誰かの為だってこともね。

だから、迅。
あんたの我が儘に、付き合ってやるよ。
付き合ってやるから。

だから。
笑ってなよね、これからも。


作 闇司祭ファラリス 2021/8/13
トーク
海野 迅
あれ以降、迅もバイクの勉強してます。
突然入れ替わったとき、バイク上にいたら操作分からないと死んじゃうからね……
そういうときは『寝る』ことにしているから実際活かされることはないにしろ、今後どうなるか分からないから一応。
という考えで始めて、
あれ、楽しい!
となっているといいな。
唐突にサプライズ旅行やらかしたりしそうです。
渡川 京
ありがとうございます!

えええ迅さんかわいい。そこで楽しくなっちゃうのいいなあ。京はちょっとびっくりして、それから嬉しくなりそう。
同じものを共有できるのって、やっぱりちょっと嬉しいと思うのです。
迅さんにバイク、似合う。

海野 迅
か、彼女さん優しいな!!
今までの彼女はそんな変なところを不気味がったり面倒がって別れたりしていたんじゃないかな。
京くんの立場だと、起きたら隣に知らない女が寝ている恐怖。
いつものか……って女の子に布団掛けてあげて静かに出て行きそう。
迅にこんないい彼女さんを生み出してくれてありがとうございます。
渡川 京
たぶんそんな気がしますね。どこかで破綻していた。>不気味がったり それで数か月くらいしか続かなかったんだろうなって。

そんなかんじですね。最初ちょっとびっくりしたことがあって、でも、ああ迅の彼女か、寝ぼけてこっちに来たのか、って。

EDU低くて享楽的だけど、一本筋が通った女性のイメージです>最後の彼女
いえいえ、迅さんが迅さんだから、こんな彼女が似合うのです。こちらこそ好きにさせてくれてありがとうございます。
壁に話しかけてるの見たらえぇーってなっちゃいそうですしね……>前の彼女
海野 迅
一度二度ならともかく、しょっちゅうだとね……
そしてチーズサンド本当に食べに行ったことになってるwww
渡川 京
しょっちゅうでしょうしね…… >壁に そういういろんなことが積み重なって、なにこいつなんか変、ってなっちゃって。約束すっぽかされることもあったでしょうしね。

せっかくなので採用させてもらいましたwww
海野 迅
これ読むと、彼女さんのことをまだちゃんと理解できてなかったな?
これからどういう付き合いになるにしろ、大事にしてあげて欲しい。
約束破りは確かに多そう。
渡川 京
彼女としての付き合いではなくなるにしろ、わいわいといる友達の一人として、ちょっと切なげに、優しい眼で眺めているのかなあ、なんて思いますね。この話の終わり方だと。

開始前の状態だとまともにスケジュール管理できないだろうし、多そうなんですよね約束破っちゃうこと。お前昨日街にいたじゃん! 目が合ったのにスルーして! って怒られる。


5





目を覚まして、病院の天井を見上げて。あの白い壁が、その天井だったんだと気づいた。
傍らを振り返ると、誰かが置いて帰ったらしい菓子包みがあって、──手元のスマホに、着信の光。

”迅、大丈夫か? 待ってるから、また顔出してくれよ”

手鏡を借りて、覗く。
鏡の中の俺は、あの部屋で見た迅の恰好をしていた。

メッセージを見てしまったことは、後で迅に謝ろう。
俺と反対のカラーのスマホを抱いて、頬を涙が伝った。

病院の外に出ると、泣きたくなるような夕焼けの赤が、駐車場の上に広がっていた。


その日の夜、俺は帰るなりベッドに倒れ込んだ、らしい。半分記憶が曖昧だ。
相変わらず頭が痛くて、眠くて眠くて仕方がなくて、よく部屋の鍵を開けられたものだと思う。

翌朝起きたら昼で、一瞬自分がどこで何をしているのか分からなかった。
閉められたままのカーテンの向こうから、鋭い色の太陽光。部屋の中にごちゃごちゃと積まれた物の影を、その光が照らしていた。

(ああ、物がたくさんある。部屋が崩れてきて、俺と迅の部屋がごっちゃになって、──迅は、どこだろう?)

少しまだ頭が重いのを感じながら、ふらふらとカーテンに近寄った。迅、開けるぞ、と声をかけて。
──さあっと陽光が部屋の中を照らし出して、俺は全てを思い出した。

──ああ。

(ここは、現実だ)

部屋の中には、俺と迅の物が両方とも並んでいた。迅のギターが静かに陽光を浴びて、俺の部屋の中で光っていた。
俺の傍らに迅はいなかった。部屋の扉を開ければ、反対側に見えるはずの迅の部屋の扉は見えなかった。
ベランダの向こうには、見慣れた街の風景が広がっていて。見下ろした先の駐車場に、俺のバイクと、迅の自転車。
そこだけ以前見ていたものと同じで、唇が震えて、少し笑った。


狭くなったと感じる部屋を見回すと、俺が思っていたよりも随分と荒れていた。どこからか、物が腐った臭いと、黴の臭いがする。
あまり驚きはない。病院に通いだした頃から、本当に頭痛がひどくて、身体がだるくて、何もできずに寝てしまうことも多かったから。
きっとそれだけではないのだろうけど。俺は迅がそこにいると思っていて、本当に思っていて、迅とふたりで、……一人で、この部屋に暮らしていて。
あの部屋で腐っていたカレー。濁っていた風呂の湯。多分あれらと同じものが、いや、もっと酷いものがここにある。

……そういえば、病院に通いだしたのは、友人に勧められてだったことを思い出す。
この調子だと、随分心配をかけたかもしれない。まだ縁を切られてなかったらだが、後で礼を言っておこう。

溜息をひとつ。世界は、少なくとも今は、まだ終わらない。
それは涙が出るほど嬉しいことだけど、同時にこの部屋を片付けなきゃならないってことでもある。このままここで暮らしていたら、物理的に命の危機になりそうだ。

きっと酷い寝不足のせいなのだろう、身体が重い。ぐっと身体に力を入れて、立ち上がる。
ゴミ袋や消臭スプレー、雑巾。買うものを思い浮かべて玄関を出ようとしたところで、くらりと視界が揺らいだ。

ああ、駄目だ。

倒れ込む直前、咄嗟に、メモ帳を手に取る。

たったひとつだけ、どうしても伝えたいことがあった。
迅。
俺は。
本当に。

”おかえり ありがとう”
眠りに落ちる直前にそう書いて、目を閉じた。


作 闇司祭ファラリス 2021/8/15

6





”お前たまに、びっくりするほど適当だよな”

ルームシェアしているという幼馴染に、そう言われたという話を思い出す。
けれど近頃のあいつは、適当どころの状態じゃなかった。


渡川京。同じ学部の友達── 大学にもなって、友達、って言うのもくすぐったい。
同じ講義を受けていて、それが切っ掛けで一緒に飯を食いに行くようになって、講義の合間に話をするようになった。

俺は本命の学科に滑って機械にした口だが、渡川は俺よりもっと、真面目、真面目っていうのも違うな、好きで機械にいる奴だった。
壊れた古いカメラなんかを探してきては、課題でもないのに弄っていた。

人見知りで自信がなさそうで、口は上手くないが、たまに喋る言葉は穏やかで。そんな奴だった。


渡川の話題は機械のこととバイクでのツーリングのこと、あと幼馴染のことが多かった。
田舎から出てきて、家賃を浮かすために同じ部屋に住んでいるらしい。
いい加減そうに見えて意外と几帳面。共用スペースに本を散らかすと怒る。
音楽が好きで、バイト代を貯めてギターを買った。包丁を月一で研いでる。
同じ服ばかり着るあいつと違って、お洒落で色々な服を着る。
──落ち込んでるとき、励ましてくれる。

そんな話を聞いてると、ああ、ルームシェアってのもいいなあ、と、ぽろりと口から出た。
落ち込んでるとき、傍にいる誰か。
俺なんかつい彼女やそういうのを思い浮かべるけど、馴染みのやつと一緒に暮らすっていうのも、悪くないんだなって思える口調だった。


渡川と大学以外で会うことはあまりなくて、学外であいつが何をしているのか、俺はよく知らない。
どうせ四六時中機械いじりしてるか、ツーリングにでも行ってるんだろうと思っていた。
真面目そうなくせにちょくちょく講義を抜かすから、体でも悪いのかと聞けば、体が弱くて寝過ごすんだとぼやいていた。

その時に病院でも勧めていれば、倒れて入院なんてことにはならなかったんじゃないかと、今でも思っている。


ちょくちょく講義を抜かして、眠そうで、たまに講義中に居眠りする。
最初はそれくらいだったあいつは、それから少しずつおかしくなりだした。

最初に気づいたのは、目の下の隈が酷くなってきたことだった。
寝てるかと聞けばちゃんと寝てると応えるんだが、寝てるようには思えない。
不意打ちで夜中にメッセージを送って、応えたら寝ろと言ってやろうと思ったが、返答はなかった。
普段からそう返答の早い奴じゃないから、意味はないが。

次に気がついたのは髪が脂っぽいことだった。たまに痒そうに身体を掻く。
確かにあいつは普段から格好は雑だが、格好つけるつけないじゃなく、自分を省みなくなってきている様子に何か嫌な予感がした。

顔色が悪くなってきた。具体的にどうとは言えないが、何かやつれてきていた。
微かに、物が腐ったような甘怠い臭いがした。

さすがに心配になってきた。
帰宅しようとしていたのを捕まえて、何か困っているのか、ちゃんと食えよと言って握り飯だのを買ってきて渡した。
あいつは困ったようにして、傍らの誰も居ない場所を振り返った。

「食べているんだが……、悪い、ありがとう。
 なあ。これ、迅と分けても構わないか」

それから、あいつは傍らの空間に向かって話し始めた。
誰かを少し見上げるようにして、あいつの眼は遠くを見ていなかった。
まるでその少し高い所に、誰かがいるように思えた。その誰かの背丈まで推し量れた。

その様子があまりにも自然で、背筋に怖気が走った。


あいつに病院を勧めようと決心したのは、その後の二つの出来事が切っ掛けだった。
一つは、課題をまるきり忘れ、一緒に受けたはずの講義の内容まで忘れていたこと。
もう一つは、──もう一つは。

「あ? 誰だお前」

講義室を出ていくあいつを呼び止めたら、俺を忘れていたことだ。


その時のあいつは、どう言っていい、まるで別人のようだった。
困った時に頬のほくろを掻く癖がなかった。立つ時に体重をかける足が逆だった。人を見る時視線を向ける方向が逆だった。

「誰だって、俺だよ。どうしたんだ」

そいつは少し視線を傾けて、不思議そうに目を眇めた。

「んー? いや覚えてねぇな。どっかで会ったか? 
 ってか、ここ何処だ…… 学校?」

その瞬間、一瞬あいつの眼が曇った。

「ああ、京の。そういや、同じ学科のダチが居るって言ってたな」

肩から掛けた鞄を見下ろして、ああ、と納得したように頷く。

「京の鞄、届けに来たんだったな。
 全部忘れるとかさすがにバカだろ、なあ?」

俺は何と答えたか覚えていない。
ただ、嫌な予感が、どうしようもなく嫌な予感だけが止まらなかった。


その翌日、頭が痛いとうずくまっているあいつに、俺は病院を勧めた。
そんなに痛いなら診て貰え、大きな病気だったらどうすると言って、区内の総合病院を。

その時俺は、どうすればよかったのか。未だに、分からない。

それからあいつは倒れて入院して、退院して暫くして大学を辞めた。
それからも偶にメッセージは送りあっているが、もう顔を合わせることはなかった。



作 闇司祭ファラリス 2021/8/15

7



最近、偶に、不意に分からなくなることがある。
──俺は、誰で。いま、どこにいるのか。

ふたりの境界が、滲むように溶けていく。

迅と交代したと思って、交代できていなかったことがあった。
俺は自分を迅だと思ったまま動いていて、本物の迅に呼ばれるまで気づかなかった。

穴だらけになっていく記憶の中に、ふっと憶えのないものが過ることが出てきた。
それは居たことのない彼女と話す俺だったり、ギターを手に軽やかに唄う俺だったり、
……何か、薄暗い所で何かを抱えてる俺の、ひどく朧気な記憶だったり。

少し前のことを憶えていられない。約束を誰としたか忘れてしまう。バイトの日付が分からなくなる。
記憶が、認識が削られるように目減りしていくほど、俺を俺だという根拠が減っていく。

──例え記憶が全部なくなっても、俺は目の前のやつとは違うって言える。
そう断言したかった。したかったのに、頭の奥に俺じゃない俺の記憶が見えて散る。

記憶が全部なくなったら、俺たちはどうなるんだろう。
記憶がなくなって、バイクのエンジンの掛け方も忘れて、自分がいまどこにいるかも分からなくなって。

そうしたら、俺は、迅は。

波打ち際に立つ夢を見た。真っ白な波が寄せて、引いて、少しずつ迫ってきて。
俺たちを洗って、真っ白にしていく。


作 闇司祭ファラリス 2021/12/9