こちらには
『のうみそのきみ
のネタバレがあります。
本編見る!
佐倉 光
つまりこの空間は現実であると考えて良さそうだ。
牧志は複製された体に脳だけを乗せられている。
ホンモノの肉体は何だか分からないが碌でもない実験に使われている。壊されるかも知れない。

俺は記録係だ。牧志の様子を観察して報告するためにいる。
奴らにとっては牧志は実験体、俺はそのオプション。
用がなくなればどんな扱いを受けるか知れない。

そして、俺に対する扱いが適当すぎる。
人間への理解度低すぎだろ超越存在。観察足りねぇぞ。このままだと観察係が早々に死ぬぞ。

報告をしつつ、何とか交渉できないだろうか。
俺達を解放しろと。
……今のところそれができるビジョンが浮かばねぇが……
佐倉 光
頭をガリガリ引っ掻く。
どうしたらいいか、考えよう。この水槽から逃げ出す方法……

牧志に事情を伝えるべきか?
実験主旨的にそれはなしか?
「平穏な生活」じゃなきゃいけないんだよな。
そのへん、訊いてみるか……
佐倉 光
佐倉はベッドでゴロゴロしながら難しい顔をしている!
牧志 浩太
「……佐倉さん、何か分かったんだな?」
気づいたのだろう。あなたの顔がはっきりと強張ったのに。
あなたの顔に怒りが浮かんだのに。
あなたが頭を引っ掻きながら、思考を回転させているのに。
佐倉 光
「まあね。色々分かったような気がする。ほんと、マジでさぁ、クソ。
悪いけどちょっと待っててくれよ」
ルーズリーフに、管を掴んでしまったときの牧志の様子を書き記す。
そしてその下に、「実験について被験者に話すことは可か不可か」と書き、ひっちゃぶいて床に捨てる。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
どう攻める?
佐倉 光
一応ねー。肉体にも記憶の蓄積はあるんだぞとかその辺を使ってちゃんと実験したいなら肉体返せよーって訴えるつもりではいるんだけど
KP
このシナリオの「何か」さんは結構話を聞いてくれますし、結構交渉に応じてくれます。応じ方は場合によるけど。
佐倉 光
うむむ。リアルアイデアによる交渉が大事な感じかな。
がんばれ佐倉~
佐倉がひたすら書き物している時点で日常ではないwww
次あたり記録媒体をデジタル機器にしろって書こうかな。
まずはこいつが要求を聞いてくれるか否かの把握からだ!
KP
シナリオ的には、「そこまでリアルアイデアしなくても、相手側から流れを提示してOK」となっています。
いくつかのルートが想定されていて、質問と回答を通じてそのどれかへ流れていく感じ。
もちろん、ナイスな交渉によってより面白い展開が発生するのなら、そちらに向かってもいいとKPは思っています。
佐倉 光
いくつかー。「実験動物で在り続けることを甘受しつつ外で生活させて貰う」が一番簡単そうではあるな。

KP
あなたは怒りまじりに報告を書き上げ、床に捨てる。
書き上げた文章には、あなたの怒りが随分と混じっていた。
KP
天井から紙が一枚落ちてくる。
「無駄な部分が多い。事実のみを記せ」
その後に、こう書かれていた。
「実験上のノイズとなるため不可だ。
頻回な記憶の改竄は脳に負荷をかけるのでね。こちらとしても行いたくはない。
レポートについては、しまい忘れていたようですまないね」
KP
あなたがその文章を読むと同時に、あなたの手元にあったはずのレポートⅠ・Ⅱは、消えてなくなってしまった。
佐倉 光
おっと。俺がレポートを読んだことを知らせる必要はなかったか。
俺まで記憶の改竄をされちゃかなわないな。気をつけないと。
俺は優秀な記録係であり続ける必要がある。
佐倉 光
それにしても、会話が、できるのか……今までの奴らとは随分違うな。
これはやりようがあるかも知れないぞ。
佐倉 光
「牧志。やっぱ俺の思い違いかも知れない。
『そっちがホンモノ』の可能性がある。しばらく確かめる」
牧志を〈言いくるめ〉るぜ!!
KP
〈言いくるめ〉で判定!!
彼は〈心理学〉で判定する。
佐倉 光
1d100 61〈言いくるめ〉!  Sasa 1d100→ 52→成功
牧志 浩太
1d100 77 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
あーらら

牧志 浩太
「思い違い……、だって?」
彼の声が曇った。
牧志 浩太
「あれだけ……、佐倉さんだけ何かを見つけていたのに?
あんなに何か確信していたのに?

そうだ、佐倉さんがいた位置は明らかにおかしかったのに、顔に触られてる気がした。

佐倉さん、……そこにいるの、本当に佐倉さんなのか?
俺、また見間違えてるんじゃないのか、」
牧志 浩太
水槽の中で、脳が俄かに神経の束を跳ねさせた。もがくように、揺れる水の中で暴れ、もだえる。

彼は頭を、水槽を両手で抱える。爪が柔らかい脂肪の塊に、食い込んでしまいそうに見えた。

彼はあなたの唐突な翻意に、その意図が分からなくなった。
ふと、あなたの意図を、疑ってしまったようだった。

そこにいるのがあなたであることを、疑ってしまった。
牧志 浩太
1d100 42 牧志《SANチェック》 Sasa 1d100→ 17→成功
SAN 42 → 41
KP
〈言いくるめ〉成功しているので、
 ・通常失敗ならうまく〈言いくるめ〉できて、「そっかー!」ってなる
 ・成功なら佐倉さんに悪意がないのがわかり、納得して頷く
所だったんですがファンブル!!

「思いっきり読みそこなってKPから全然違う結果をお出しされてしまい、疑わんでいいものを疑ってしまう」という形の〈心理学〉ファンブルです。
佐倉 光
そういう心の動きもいい実験材料になるかもしれんな!!

佐倉 光
「落ち着いてくれよ。
俺だって思い違いくらいする。俺をなんだと思ってるんだ」

くそ、位置の整合性くらい取っとけよ。
佐倉 光
「可能性がある、って言ったろ?
俺の考えが正しいかどうか精査したいんだ。
俺も変な状況にいるように見えるから冷静になれていない。考えないと」
牧志 浩太
「本当にか? 明らかに何か隠してるよな?」
彼はあなたの肩を掴み、強く握った。
握りつぶそうとする程に強い力だった。
害意ではなく、確かめようとする不安を帯びていた。
そこにいるのが土くれの幻ではなく、あなたであることを。
KP
その時、不意に水槽の中でパチッ、と小さな音がした。
彼の手を通じて、あなたの肩に微かな衝撃が伝わった。
牧志 浩太
「……、」
彼の手から力が抜けた。
だらりと手が肩から滑り落ち、水槽の中で脳みそが落ち着きなく泳ぐのをやめる。
彼はぼんやりと立ち尽くす。脳みそは死んだように浮いている。
佐倉 光
あーあ、書き換えられちゃった
KP
書き換えられちゃった。
佐倉 光
「牧志?」
佐倉 光
「牧志、おい!」
すぐ理由に思い当たった。
感情が乱れて実験に不都合なことが起きたから、中断された?
佐倉 光
「……」
中断されるのか、さっきの資料にあったように記憶を戻されるのか。
中断イコール廃棄で二人纏めて死、なんてのも考えられる。

焦る気持ちを抑えてベッドに座り直し、頭を掻きむしって一度振ると、
ルーズリーフにさっきまでの牧志の不安と混乱までの流れを書き記す。

これは自分自身への戒めでもある。
牧志が戻ってくるなら、俺は慌てていたり混乱していたりしてはいけない。
日常の続きでなければならないんだ。
牧志 浩太
「えっと……、」
あなたが報告を書いていると、彼が微かに声を発した。
佐倉 光
戻ってきた!
安堵に思わず声をかけたくなるが、書き物に没頭していた振りをする。
KP
天井から紙が一枚ひらりと落ちてきた。

「ノイズレベルが閾値を超えたので、一度干渉させてもらったよ。

分離状態で不安定化させるのも興味深い実験ではあるが、実験の趣旨が変わってしまうので、後にして頂けるかな」
牧志 浩太
「俺、何をして……、ああそうか、佐倉さんが、朝食食べなかったんだっけ……。
シローは旅行中で……。

佐倉さん、体が痛むんだよな? 
まだ、食べられそうにないくらい痛むのか?」
佐倉 光
「ん……ああ、悪いな、痛みはまだあるけど、寝かせて貰ったら大分マシになってきた」

俺が悪魔をペテンにかけるやり方を知っている牧志に隠し事をしろって?
随分と無茶を言ってくれるじゃないか。
だいたいこの牧志は「どこ」まで覚えているんだよ。
佐倉 光
「食欲かー、今んとこちょっとないから、後にするよ。
少し体調悪いのかもなー」
牧志 浩太
「そうか……、よかった。
何か買ってこようか」

声の調子が少し不安そうに陰ったのが、あなたには分かるようになり始めていた。
彼は元々弱っていたせいか、それか、意識の底では先程の出来事を憶えているのかもしれなかった。
佐倉 光
「ああ、心配しないでくれ」
佐倉 光
言いながら凄惨な報告の後に「了承した。以後留意する。
食事に味がなく不快なレベルだ。これでは食事が摂れず日常を装えない。最低限人間が楽しんで食べられるレベルの食事をくれ。分からなければ人間社会で販売されている食品と同じ物をくれ」と書き加えて床に捨てる。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
紙は床へと消え、ひらりと天井から紙が落ちてきた。

「それはすまない事をした。
うまく再現したつもりだったが、不足だったか。
改善しよう。不満があれば感想を頼むよ」
実験と観察
KP
というわけで今度は佐倉さんが実験に協力させられる話、だけどまたひどいめにあってるのは牧志だ。
佐倉 光
日常を送らせたいなら佐倉の環境にも注意を払わないと日常にならないなぁと思わなかったのかなこの観察者~。
せめて同じ情報をブチ込めば良かったのに。
KP
この観察者、人間の感覚に対する理解&佐倉さんの扱いがわりと雑なんですよねぇ。
佐倉 光
これだからミ=ゴはぁ。ミ=ゴか??
KP
悪意というより、単純に「理解が薄い、よくわかってない」って感じのお察しの通りミ=ゴですね。
佐倉 光
初心者か!!
なんであいつら情報共有しないんだッッ
KP
情報共有してみんなでかかってこられたら探索者ひとたまりもないから……、もとい、ミ=ゴ側にも利害関係いろいろあるのかもしれない。
牧志の側だけ日常の再現がちゃんとしてるのは、脳へ干渉して牧志の脳自身に日常を再生させているからですねっていう。

佐倉 光
「何とかなるさ」
言って立ち上がる。
佐倉 光
「食事は後にするよ。気晴らしでもしたいな」
クローゼット開けて見よう。
着替えかゲームでもないかなぁ。あるわけないか。
牧志 浩太
彼は、心配そうにしながらあなたの傍らを離れた。
自分の部屋らしい場所から本を取ってくると、リビングルームのソファに座り、読書を始める。
KP
クローゼットの中には着替えが何枚か揃えられていた。
あなたが普段着るような服だ。
残念ながらゲームはない。
佐倉 光
とりあえず気合いを入れるために着替えをしよう。
KP
用意された服に着替えると、少しさっぱりするような気がするだろう。
服を脱いで着替えても、元々着ていた服が消滅するようなことはない。
佐倉 光
そしてここまでの牧志の様子を記録。
不安を感じている様子。それでも不安定な同居人に気を遣う様子。
それが彼の注意深さと思慮深さを形成した経験、なにより信頼と優しさからきているものだと。
佐倉 光
つとめて冷静に書いて、溜めていた息を吐く。とても熱い気がした。
それから「日常なら外出することもあるが、外出は可能なのか? 制限はあるか?」
と書いて床に捨て、本を一冊持ってリビングへ行く。
コーヒーマシーンは……あるわけないか。
KP
1d100 57 Sasa 1d100→ 85→失敗
KP
おっと伏せ忘れた。気にしないでください。
佐倉 光
はーい
KP
天井からひらりと紙が落ちてきた。
「君は感傷的な人物だな。だが、解釈は興味深い。
彼の行動は室内に制限している。君が外出する分には差支えはない。

それから、食餌については昼食時までに改善しておく。
一先ず、精度を改善した粉末飲料を配置しておいたが、どうだろうか?」
佐倉 光
『感傷的』。俺は感傷的になっているか。
佐倉 光
つーかこの何も分かっていなさそうな奴にそう言われるのもなんかムカつくな。
佐倉 光
牧志が外に出ようとしたらどうなるんだろう。
食料……最悪俺が外で買えるようなら買ってくるという手も……
いや、せいぜいが研究施設内に出られる程度か。缶ジュースでも買えれば上等って程度だろうなぁ。
後で試してみるか。
牧志 浩太
「佐倉さん」
リビングルームへ戻ると、本から顔を上げて彼が振り返った。
相変わらず頭の上には脳みそが乗っかっているが、少しぎこちない仕草は彼のそれだ。
佐倉 光
「おう」
軽く言葉を返してキッチンへ。
牧志 浩太
脳みそがあなたを見送り、本に視線(?)を落とす。
彼は難しい本でも読んでいるのか、本を読みながら水槽の側面を軽く揉んでいた。
佐倉 光
「今何読んでんの?」
なんとなく訊いてみた。
牧志 浩太
「ん? ああ、これ」
彼が見せた本は、写真術:物理光学と美術技法から見る構図理論」という本だった。
その本には見覚えがある。彼が数日前に図書館で借りていた。
佐倉 光
そういえばモチモチ事件以来ちょっと写真に凝っていたな。
理屈から入るのもちょっと珍しい気がするけど。
KP
コーヒーマシンは、と見ればキッチンにある。
そういえば、先程朝食の時にコーヒーが出てきた。

……コーヒーマシンの横に、どこかで見たインスタントコーヒーの袋が置いてある。
コーヒーマシンの横にインスタントコーヒー、というのも不思議な風景だ。
佐倉 光
インスタントか……まあいいけど。ちゃんと飲めるなら泥水よりはマシだな。
お湯を沸かすのは自分でもできそうかな。
ここの水道、蒸留水が出てきそうw ちょっと飲んでみよう。
KP
コーヒーマシンを使えば湯を沸かすことができるだろう。
薬缶はないが、鍋はあるため、鍋を使うこともできる。

水道の水に口をつけると、これまた味のない生温い水分だ。
普段飲んでいる水には、意外と味や匂いがあるものなのだと気づけるだろう。
佐倉 光
水に「まずい」じゃなくて「おいしくない」があるとはね。
それでもコーヒーに味があれば少しはマシかも知れないな。
適当なマグにインスタントコーヒーを入れてにおいを嗅いでみる。
香りがするようならマシンからお湯を注いで一口飲んでみる。
KP
粉を嗅ぐと、嗅ぎ慣れたコーヒーの香りがした。
湯を注いで一口飲むと、芸のない苦味が舌に乗る。

まずい。
が、その香りと苦味で、まあコーヒーだなとは思える。
佐倉 光
風邪引いたときに飲むコーヒーみたいだな。
軽く、うぇぇ、と息を吐く。
まあ、さっきのよりは随分とマシだ。
味覚がカスなのか観察者。
佐倉 光
少しリビングで本を手に持ったままでぼんやりとつきっぱなしのテレビを見ている。
日常を過ごしている間の感情を記せ、ってことだよな。何も無ければそんなに感情って激しく動くようなもんじゃないからなぁ。
だからってさっきみたいなのは危険だし。
KP
点きっぱなしのテレビは、そのうち音楽番組を流し始めた。
互いの声と気泡の音ばかりが聞こえていた室内に、軽やかなトークとBGMが満ちる。
佐倉 光
「なー牧志。ちょっと本借りていい?」
牧志の部屋の方を指す。
牧志 浩太
「俺の? 珍しいな、いいよ」
彼は指でフレームを作り、室内の風景をあれこれと覗き込みだした。
佐倉 光
その場に本とコーヒーを置いて、『牧志の部屋』へ行く。
彼があると思い込んでいる彼の部屋には何があるのだろう?
KP
その部屋は『あなたの部屋』同様に、寒々しく無機質な雰囲気を纏っていた。
白いベッド、灰色のカーテン、椅子と机、クローゼット。

ハンガーにかけられたジャケットと、本棚に詰まった本。
それから机の上に置かれた手帳とペンが、少しだけ彼の部屋の雰囲気を室内に与えていた。

机の上にタブレットPCが置かれている。
それは、彼が普段使っているものと同じ機種だった。
しかし、彼が愛用しているマグカップや棚に置かれた工具箱など、諸々の小物はそこには存在しない。
佐倉 光
ここが今あいつには自分の場所に見えているんだな。
佐倉 光
……それはちょっと、放っておいて良い状態とは思えないな……
たとえあいつが満足していたとしても、俺は知っている。
KP
ふとあなたはベッドに違和感を覚えた。
佐倉 光
あの状態でどうやって寝るんだ? とまず疑問が湧いたせいかもしれない。
ベッドをよくよく見る。
KP
ベッドを見ると、布団は見慣れた形をしているが、枕が見慣れない形をしていた。

首から肩まで支える巨大な枕は、明らかに大きく四角い頭を嵌め込むための形をしている。
管を圧迫しないように固定するガイドもついており、これはあの『脳みそ』が眠るために用意されたものだと思えるだろう。
佐倉 光
こんな形状でも牧志に違和感を感じさせずにいるのは大したものだな。
それを言うなら食事からしてどうしたって普通に食っている感覚に変換するのは随分と無理があるが。
何されても分からない状態、なのか。
部屋をざっと見回してみる……特に本棚を見てみるけど、何か気になるものはあるだろうか。
KP
本棚に入っている本は、彼がよく読んでいるような本だった。
数学の本、パズル特集、機械工学の本、宇宙の本や天文学の本、医学書や応急手当の本、大学の参考書、それから、やさしい写真入門。
……よく読む本のジャンルも増えたものだ。

漫画がここにないのは、大体電子書籍だからなのだろう。
先程と違い、そのラインナップに違和感はない。
佐倉 光
少し考えて医学系を借りる。俺が趣味程度に読んでいる本より随分専門的だ。
そしてここには『忘れ物』はないか。
そっとクローゼットを開けてみる。
KP
クローゼットを開けると衣装ケースがあり、彼の着替えがいくつか入っているようだった。
……そういえば、シャツの色は同じだが、形が違う。前で留めるボタン付きのものになっている。
思い返せば、彼はいつものシャツではなく、この形のシャツを着ていた。
佐倉 光
頭から被るタイプは着られないからだな。
少し前に自分がそんな体型になったときのことを思い出す。
上のチューブでも引っかけたら大変だもんなぁ。
服に首を絞められるなんてことになるのか?
佐倉 光
あとは得に何も無ければタブレットPCのスイッチを入れてみるかな。
KP
タブレットPCのスイッチを入れると、漫画アプリやワードアプリなどが入っているのが見えた。
メッセージアプリも入っているが、ログやフレンドリストは寒々しく空だ。
そもそもネットワークにも繋がっていないようで、むなしくオフラインのマークが表示されている。
KP
起きていたのか、眠っていたのかは分からないが。
あなたがここに来るまで、彼はひとりきりでここに繋がれていたらしい。
佐倉 光
脳味噌だけ取り出して、こんな見せかけだけの平穏に繋いで、その反応を見たい、だと。
孤独が何よりも苦手なあいつに、孤独を感じさせずにいられたのか?

さっき、牧志が取り乱したときのことを思い出した。
そんなことがあったとしても、きっとあいつは覚えていないんだな。

自らの頬を叩いて、借りた本を手に部屋を出る。
その時一応窓の外を見るけど、似たような風景かな。
KP
彼の部屋の窓は、リビングで見えたものと変わらず、どこにでもあるようなぼんやりとした街並みを映していた。
佐倉 光
孤独が嫌いな牧志を独りぼっちで閉じ込めて、
何かあったらただでさえ少ない大事な記憶を削り取る。
最悪だな。
KP
ミ=ゴが「あれこれ観測者いないとわからん」とならなければ、牧志は本当にひとりぼっちで閉じ込められていたんですよね。最悪である。

牧志 浩太
部屋から出ると、調子のいい音楽を背景に、彼がひとりで本を読んでいた。
少し俯いた水槽の傾きが、ぼんやりとした外の光を反射していた。
その角度がどこか物憂げに見えたのは、きっと気のせいだ。
佐倉 光
「これ、借りるよ」
持ってきた本を軽く上げて見せた。

そして、本を広げてその横で書き物を始める。
さしあたって、人間の記憶と感覚は脳のみで管理されているわけではないこと、当然それに起因する感情は脳のみでは観測できないであろうこと。
完全な研究を望むのであれば速やかに本来の肉体に戻すべきである、ということ。
本も参考にしてレポートする。
コーヒーまずいなぁ……。
佐倉 光
「コーヒーに苦みしかない。コクがなくてまずい。感覚の理解が低すぎる。感覚と感情は人間を理解するのであれば必要な要素である」
ここまで書いて床に放り捨て、伸びをする。
KP
天井からひらりと紙が落ちてきた。
「改善を試みよう。
しかし、コクとは随分と解釈の幅が広い単語だ。君の定義と解釈を記載すること。

完全な観測には脳と肉体の連携が必要。一理あるな。
分離観測の段階が終了後、肉体との再結合を行おう。
しかし、肉体との結合によって■■■……、(消した跡)

おっと、すまない。
少々都合があってね。肉体と結合した状態では、その空間を彼に維持することが困難になる」
かえして
佐倉 光
なるほどそういう理屈かー。うまいなぁ。
KP
この辺牧志に合わせて盛り盛りしております。
佐倉 光
それは佐倉も何となく納得せざるを得ない。
KP
わーい。
佐倉 光
随分前に脳缶の話やったときに、「脳缶化された親友の感情が消えてしまう前に、ミ=ゴになんとか感情を理解させて親友を救う」みたいな与太話したけど、それに近いことやってる気がするなぁと思います。
KP
ああー、確かに。こんなところで。
確かに近いですね今の状況。
佐倉 光
ところでじゃあ脳さえ切り離せば牧志は不思議な事件と縁が切れるかっていうと、多分そんなことはないんだろうな。
きがついたら脳に爪痕ついてそう。
KP
ないですねぇ。「模造の肉体にも、ちゃんとはっきり痣が浮いている」ので。

契約の要である心臓と脳を分離した上で、ミ=ゴの干渉でなんとか誰かさんの目をくらました……、ことで、「へ~何かおもろな状態になってる、おもろ、しばらく置いとこ」って思われてるだけですね。
ミ=ゴの干渉がなければ分離ごときで契約をかわすことはできないし、干渉したとしても「人間程度にはその意図も論理も技術も理解あたわぬ超科学知的種族」程度が「誰かさん」を真に凌駕することはできないだろうな~と思っております。
佐倉 光
ただの紳士協定!
というよりルールを理解した気まぐれだな。
KP
ルールを理解した気まぐれですね。
佐倉 光
なんとなくあれこれ試してみようと思っております~
のんびりやってて大丈夫かこれw だいじょばないよな。
あと「コク」をミ=ゴさんに理解させるの大分無理ゲーって気はする。
おいしい珈琲を飲むために脱出するんだ!
KP
それは重要だ!! >おいしい

シナリオ的には「のうみそのきみとの暮らしを楽しみつつ、ミ=ゴと交信して話を進めよう。室内を調べると背景情報も出るよ」という感じなので、のんびり楽しんで頂いても展開的な問題はありません。
佐倉 光
そっかー。じゃあ佐倉は焦りつつ慎重になっていて貰おう。
KP
ミ=ゴにコクを教えるのは難しいだろうなぁ……。
既存のもの持ってきてもらうしかない。

佐倉 光
さっきの資料をもとに考えれば、ここは「異変が起きない平穏な環境」であるらしい。
異変まっただ中で異常しか起きていないのにおかしな事を言う。
まあ、ここの観察者以外のものの影響を受けない、と解釈していいだろう。
で、……牧志の痣だ。
あれと無理矢理引き剥がしている状態であり、肉体の痣がそれに関連しているのだと言いたいんだろう。
佐倉 光
「コクとは、味覚を形成する全ての要素が適度に混ざり合って形成する、熟成された風味を言う。味とは別の要素である。
コーヒーを始め、カレー、酒などの一部食品に存在するものであり、総合的な『味』に多大な影響をもたらし、食事をする人間の感情にも影響を与える。
食品により差異があり、具体的な数値を一般化して伝えることはできないので、既に存在する食品の成分等を参考にされたし」
それから自分が好きな珈琲の銘柄を書き記す。まあダメ元だ。

「観察者は感覚や感情に無頓着であるように感じる。
被験者の脳に入力される情報にはそういったものは再現されていないのか。
それにより記憶との不整合は発生しないのか。
正確な味覚情報はより精緻な出力の再現を……」
と、ここまで書いて、牧志はどう感じていたのかな、と首をひねる。
佐倉 光
「牧志、なんかあったのか」
牧志 浩太
「ああ、大丈夫。……? いや、何もないけど。
そろそろ昼にしようかと思うんだけど、佐倉さんこそ、体調はどう?」
彼は緩やかに振り返った。物憂げな雰囲気は消えている。
部屋の時計が、昼近くを指していた。
佐倉 光
「痛みが相変わらずだし味も変だし、低調ってとこだな」
実際そうだし、そういうことにしておけば便利かも知れない。
牧志 浩太
「味もおかしいのか。
亜鉛不足か、呼吸器系の病気か……」
佐倉 光
「そういやさぁ、牧志は最近の飯美味しく食べられてんの?」
訊いてみる。
牧志 浩太
「俺?
俺は特に異常はないな。今日の朝飯もちゃんと美味しかった。

味に影響が出るのは辛いな。
どんな味なら分かりそう?」
脳みそは心配そうな声とともに、こちらを見た。
佐倉 光
「ふぅん。さあ、俺は食べてみないと分からないな。
昼飯は自分の分自分で作るよ」
牧志 浩太
「そうか? 分かった」
彼は本を置き、立ち上がる。
『昼食の準備』をするのだろう。

あなたの口調に、何となく異変を感じているのか。
立ち上がる背中に、そわりと落ち着かない気配があった。
佐倉 光
すると牧志は「味」そのものを入力されているんじゃなくて、強制的に「おいしい」と思わせられているんだろうか。
そういう推測をレポートに書く。そして、それでは正確な情報は出ないであろう、と書き直す。
佐倉 光
俺は明らかに変な行動を取っているだろうし、異常な状態であることは牧志にはバレているだろうしなー。
かえってある程度伝えた方が安心しそうなんだけど、下手な伝え方をするとさっきの二の舞だ。
【あれ】は牧志の脳に負担がかかるそうだし、俺の評価が落ちたら牧志の側にいられなくなる可能性がある。
どうしたもんかな……

考えながら牧志の行動を見るとなしに見ている。
今日の『昼飯は何』なんだろう。
佐倉 光
「昼何にすんの?」
牧志 浩太
「野菜炒めでも作ろうと思ってる」

彼は冷蔵庫の扉を開け、あの缶を取り出した。
缶を横に置いたまま、包丁とまな板を取り、何もない所で切らせる。
そこには何もないというのに、野菜の表面に当たって一瞬包丁が止まるのが感じられた。
脳みそは、そこに物体の存在を感じ取っているのだ。
佐倉 光
デヴァ・ユガってきっとこういうことなんだろうな。
そこにあると思い込んで食う。
できると思い込んで空を飛ぶ。
いると思い込んで話す。
佐倉 光
当人に見える範囲が幸せならいい。外からとやかく言うことじゃない。
だけどこれは、違うだろ。
佐倉 光
「俺はもう少し後にするよ」
言って書き物に戻る。

「被験者の状況について。
被験者は βである自分が来るまでに、人と話したと認識しているのか?
認識しているならその内容を教えて欲しい」

味についてのレポートの最後に書き付けて床に投げる。
佐倉 光
昼飯はもう少しましな物が食えれば有り難いんだけどな。
食は人間を幸せにする。まともに考える力をくれる。どんな状況でも、ある程度は。
牧志 浩太
「分かった」
小さく、返事。

暫くして、あの半固体の吸い上げられる気味悪い音が、
ダイニングルームの方から微かに聞こえてきた。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
天井からひらりと紙が落ちてきた。

「被験者の感覚情報には、被験者自身の脳が生成する予測情報がフィードバックされている。
君にも同等の処置を行うことを検討したが、脳摘出が必要である関係上、観測精度が下がる可能性があり望ましくない。

些末な不整合は脳波フィルタリングと模造肉体への直接行動入力によって被験者の脳による補正を促しているが、大幅な不整合は補正困難だ。

外部との交流は外出イメージの入力時に印象記憶を与えている。
被験者は『普段通り会話を行った』というイメージのみを得る。

生活を共にする人間については矛盾が生じやすいため、模擬していない。

君は実験に興味を抱いているようだ。協力的で喜ばしい。
なお、食餌については改善しておいた」

KP
つまり佐倉さんが同居していなかったら、本当はいないのに「普段通り佐倉さんと話した」というイメージだけを持たされていた可能性があるんですねぇ……。
この辺シナリオで語られていない部分が多いので、盛大に盛りまくっています。
シナリオにはこんなに酷いことは書かれていません。
佐倉 光
なるほどー、それっぽいふわふわしたものに囲まれていたか。
それは、よく誤魔化されてるな、牧志。ひどい。
盛りもいつも通りひどい。
それじゃなんとなく東浪見や波照間さんと話したかもしれないんだな。

佐倉 光
「それはどうも」
興味があるのは事実。牧志が酷い目に遭ってさえいなきゃ純粋に楽しみたいところだ。

牧志が『酷い目に遭っている』と認識していなければいい。
ずっとそういう考えだったけど、外から見える立場としては黙ってはいられないな。
佐倉 光
あの音も、牧志にとってはないものとなっているのか。
器用なことをしているな。
なんとなくその音が止むのを待ってから、冷蔵庫や棚を開ける。
佐倉 光
「ちょっと治ってきたし、食おうかなー」
さっき牧志と見た時と様子が変わっているだろうか。
変わっていればその食品を手に取って味など確かめてみる。
牧志 浩太
あなたの言葉に、脳みその周囲に漂う気配が少し和らいだ。安堵したのだろう。
KP
棚や冷蔵庫を開けると、先程あった食材の姿はなくなり、様々な種類のインスタント食品や、冷凍食品が入っていた。

たまに食品でないものも混じっている。
フルーツのパッケージの洗剤とか、食品コーナーの横にあったのかハンドクリームなどだ。

スーパーのものらしい棚が半分に切られて一緒に詰まっているのは、恐らく巻き込まれたのだろう。
KP
食品を手にとって嗅ぎ、味を確かめる。
ぼんやりした味だが、先程よりもそれらしい味がした。

どうやらこの部屋の向こうの「何か」は、分からないなりに努力したようだ。
きのせい
佐倉 光
えっ、やさしい
やってることは絶許なんだけど、今までの奴らと比べると目茶苦茶まともに見える(気のせい)
KP
このミ=ゴに悪意がないかどうかは記載がないので完全にKP解釈なんですけど、
結構要望聞いてくれるよって書いてあるので、
ズレてるのと実験動物扱いなだけで悪意そのものは無いと面白いなーと思ってこんな解釈になっています。やさしい(気のせい)
あと、人間とありかたの違う生物が人間を快適にしようと頑張るけど根本がわかんなくてズレちゃうの浪漫だなって。

佐倉 光
これならなんとか食べられそうだ。
味が濃そうなインスタント食品を選ぶ。
湯は面倒なのでコーヒーメーカーで沸かした。
佐倉 光
こういう物はコピーできるのに、食品のコピーは無理なのか?
わざわざそれっぽく見えるように作っているんだな。
意外と何でもアリか。
佐倉 光
洗剤が間違えて入っているのについ笑ってしまった。
なるほど理解度が足りない。
やっていることは許しがたいが、研究を進めるためだか、俺の言うことを聞いてくれる意思は感じた。
上手いこと説得できれば、牧志を解放してもらえないだろうか。

よくあるカップ麺っぽいものを食べる。
KP
湯を注ぐと、ふわりと麺の香りが漂った。

何だか薄味で旨味が足りず、「美味い」とは言えないが、ちゃんと舌先に脂の味を感じた。

少なくともこれは食事だ。
牧志 浩太
「よかった。体調、戻ってきたんだな」
彼はシンクの横の籠に置いていた洗い物を、食器棚に戻している。
佐倉 光
「んー、まーな。ちょい味覚狂ってっけど食えなくはない」
もうすこしがんばりましょう、ってとこだな。
まあ主旨は俺の食事じゃないし、これで良しとしておくか。一応食えるし。
佐倉 光
しかし、牧志が出かけられない、ネットも繋がってない、ゲームもない、人もいない、とすると割と本読むかテレビ観るかしかねぇな。
研究の意図としては平穏な日常を送る牧志にどんな変化があるかだろ?
そんなの……

一年ほど何事もなかったときのことを思い出せば、安堵からの忘却で、日常を過ごすだけって感じだが。
まあ俺はたまに「また面白いこと起きないかな」なんて考えたりはしたかな。
佐倉 光
「なあ、一時期さー、あの、引っ越した直後。
ずっと何事もなかった時期があったろ?
あの頃ってどんな気分だった?」
牧志 浩太
「どんな気分だったかって?
最初は怖かったかな。何かの前触れなんじゃないかって。

数ヶ月して、ようやく何も起きないのかもって考えられるようになりだした。
一年後のことを考えられるようになって……、未来の予定に現実味が出た。

将来のことをちゃんと考え直して、このまま何も起きない未来のことを考えた。
……半年経っても何も起きなかった時、嬉しかったな。
一気に未来が現実味を帯びてきて、ちょっと焦ったよ。

それと同時に、先輩はともかく、佐倉さんは退屈するかもしれないな、って少し思った。
こうやって一緒に暮らしてる理由がなくなっても、変わらず友達でいたいなって思った」

彼は両手を重ねて、ゆっくりと語りだした。
やさしく、愛しそうな声だった。
なにごともない世界を愛する声の向こうで、脳みそがこぽりと気泡を吐いた。
牧志 浩太
「まあ、 結局は一年後に何か起きたわけだけどさ」
重ねられた手を離して、彼は微かに肩を揺らした。
佐倉 光
「そうだよな。牧志は俺とは違うんだ。何も起きないのが一番に決まってるよな。
そもそも俺達生きてる世界が違ったはずだったしな」
佐倉 光
「俺はあの時期は確かに少し退屈してたよ」
佐倉 光
「最近ほどの異変を期待していたわけじゃなかったけどな。スリルが欲しかった」
佐倉 光
「それでも、あ……家を出る理由はなかったよ」
注意して喋らないと。今俺は自宅にいるんだ。
佐倉 光
「なんとかその痣、消す方法を見つけたいな」
俺はスリルが欲しいだけで、親友が傷つくのが見たいわけじゃない。
運命なんてくそ食らえだ。

牧志の脳を見つめた。きっとほんの少し苦みを含んで微笑んでいる。
牧志 浩太
「違う、か。そうだな。
あの時のあれがなければ、きっと一生会わなかったか、会っても気づかなかったんだろうな、って思うよ。
死にたかったわけじゃないけど、先輩と、佐倉さんと会えたことは嬉しく思ってる。

……ああ。見つけたい」
彼は軽く拳を握り込み、はっきりと頷いた。
それから、脳の皺をまっすぐにこちらへ向け、あなたの眼を覗き込んだ。
牧志 浩太
「……どうしたんだ? 突然そんな話して」
佐倉 光
「ああ。急に、いつか、ずっと前にさ。お前の『記録』を見たときのことを思いだしたんだ。
きっとあの時俺が、あの『記録』を壊せば、お前は平穏に暮らせていたんだろうと思った」
牧志 浩太
「そうかもな。
全部忘れて、全部思い出して、楽しくやってたんだ。
でも……、それでも今がいいってのは、変わってないよ」
佐倉 光
「どうかしてるな、俺は。やっぱり体調が悪くて不安定になっているのかも知れない」
佐倉 光
今回の佐倉割と混乱してるな。
KP
相当酷い事されてるけど牧志当人は平穏そうという、割とバグる状況に置かれてますしね。
佐倉 光
「久しぶりに謎を出してやる。解いてみな」
即興でパズルを作ろう。解いたときに出てくる言葉は『ボブを信じて』だ。
佐倉 光
どうせ牧志はおれの態度が変なの感じるだろうし、俺も演技ができるわけじゃない。
ある程度何かが起きているのを伝えた上で、落ち着いて貰った方がいい。
口で普通に伝えたらあいつに怒られるかも知れないからな。
牧志 浩太
彼はパズルに取り掛かる。
出てきた言葉に、楽しむようだった手が止まった。
牧志 浩太
「……、そうか」
少し、彼は考えたようだった。
泡がこぽりと上がり、首の動きに添って管が揺らめいた。
牧志 浩太
「またアリスが何か困ってるんだな。
悪いけど、頼むよ」
彼は即興のパズルをひとつ返した。
あなたのパズルを逆転させて解くと、『KO』おっと、答えも逆だ。
『OK』とだけ、出てきた。
佐倉 光
「ああ。サンキュー、相棒」
牧志の言葉を聞いて、わずかに顔を伏せ微笑んだ。
例えば今の牧志に、俺の姿は見えているんだろうか。それっぽいだけのものではなく?
牧志 浩太
微笑む目元に、ペンを手に取るあなたの手に、彼の視線が向いた気がした。

どうやらそれは肩や首の筋肉の動きから見えるもののほか、一種のパレイドリアだ。

頭の位置にあるべきものと向き合って話しているがため、刻まれた皺の少し深いうろが、目のように見え始めているらしい。
佐倉 光
「またちょっと書き物するから」
言ってボールペンを紙に走らせる。
佐倉 光
自分が食事をとろうとしたとき、食べられると知ったときの牧志の感情の変化を記録し、そして
「先程、肉体を接続するのは好ましくないと聞いた。理由も理解した。
しかし人間の情動は、動作や声色だけではなく、表情や瞳の動きなど、細かい動きにも現れる。完全な観測にはやはり肉体、特に顔は必須である。
被験者の肉体を傷つけたり、ましてや破壊しないように願う。大きすぎる情報や刺激を与えることにより肉体が損なわれることがあれば、観測に支障をきたすことになる」
佐倉 光
まずはこれだな。牧志の肉体を守らないと。
佐倉 光
「それから、入力手段をPCなど、できればキーボードを使用したものを追加できないだろうか。
自分は普段ペンを使用した書き物をしないため、報告速度がどうしても遅くなる。
可能であれば検討をお願いしたい」
ベストはいつも自分が持ち歩いているような、小型キーボード付きのスマホかポケコンなんだけどなー、みたいな詳細情報も書く。
図解するには紙もあると助かるし、変更ではなく追加、と。
時間がかかる
佐倉 光
この下り書くのに時間かかりすぎてしまった。そして一時だ!
ありがとうございましたー!
KP
ありがとうございました!
久しぶりのパズル会話のシーン好きです。
佐倉 光
どこまで伝えようか散々迷った挙げ句「信じて」だけにした。
なにげにレポート書かないと要求や質問も書けないので、色々話しかけたい、
だけど話すほどに佐倉が変なのは気付かれる……ということで伝えることにした。
KP
詳しく伝えるとまた記憶改竄される可能性がある、結構綱渡り状態。
でも『信じて』だけで何か起きていること、それ以上伝えられないのだろうということが伝わる、という。いい。

牧志は話していれば、佐倉さんの様子がおかしいことには確実に気づきますしね。
佐倉 光
毎度紙にみっしりと文字がひしめく感じになってるんじゃないかな。
KP
その分量、普段紙で書かない佐倉さんには超しんどいよな。というか佐倉さんでなくてもしんどい。

KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
天井からひらりと紙が落ちてきた。

「問題ない。
我々の技術であれば、少々の破損は元の通り再構築することが可能だ。
生命状態の破壊については留意している。

了承した。入力方式を変更しよう」
佐倉 光
そもそも壊すな。
KP
落ちてきた紙に視線が向いて戻った直後、目の前に古めかしい手回し計算機があった。

と思った直後にそれは消え、あなたが普段使うようなキーボード付きの小型PCになっていた。

間違えたらしい。
佐倉 光
おおー、いまのは博物館でしか見たことがないタイガー計算機……
佐倉 光
ってあれじゃ文字書けねぇだろ! せめてタイプライターだろ!
佐倉 光
なんにせよキーボードは助かるな。
報告用のソフトっぽいものかチャットウィンドーでも立ち上がっているのかな。
腕ならしにキーボードを叩く。
KP
それは報告・取り消し・一時保存という基本機能を備えた、昔流行ったメモ端末のような単機能端末だ。
KP
ミ=ゴのキャラはKPの浪漫で盛り倒されているほか、キャラ解釈もちょっと変わっています。
佐倉 光
浪漫大事。
佐倉 光
「先ほどからのやりとりで理解してもらえているものと思うが、そちらは人間について理解が完璧ではない。そもそもそこを理解するための実験であると自分は理解している。
『元通りの再構築』がされたとしても、そちらに観測されない範囲で差異が生じる可能性がある。もとより変化を加えないことを希望する」
佐倉 光
よし、手書きより随分とラクだ。手書きでずっとやらされたんじゃ早々に首と肩が死ぬところだった。

さて、この要求を読ませるための報告だな。
まずは、一年前に一度、何も起きなかった時期があることについてのべる。その時の自分から見た牧志について記載。それから……
続きを描こうとして手を止めた。報告はあまり纏めすぎない方があいつと喋れるか。
佐倉 光
「入力方法の変更については満足した。早い対応に感謝する。
食事についても不満はあるが、最低ラインではある。努力に感謝する」

ひとまずここまでとして、報告ボタンを押す。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
佐倉 光
可愛げ見せてきたなミゴサン
とりあえず一生懸命なのは分かった。
報告ごとにはいる判定なんなんだろうなー
KP
フフ
KP
端末の画面に返答が表示された。

「その一年間については興味深い観測結果だ。詳細報告を願う。

実験Cの実行には肉体の損傷が必発である。
修復は事前記録を元に行うため、我々の理解には依存せず問題はない。

君の意図は実験Cの中止と認識できるが、一致しているだろうか。
実験Cの中止を要求するならば、相応の代替物が必要である」
佐倉 光
「そうくるか、そうだよなー」
椅子の背もたれに寄りかかるようにして体を伸ばす。

そして先ほどのレポートの続きとして、牧志の発言と示した反応について述べる。
『一年の流れについては後ほど詳しく、被検体の話も交えて記載する。』
佐倉 光
代償を示せ、か。難しいことを言うな。
簡単に考えれば代わりの実験台を寄越せってことだろう?
現状俺にそれを差し出せる手段はない。

俺が代わりになる? それは論外。
報告と要求による道を探らなきゃならないのにそんなことしている場合じゃない。
というか根本的解決にならない。

代わりの肉体ではなく、何か別の、あいつが欲しがっているものや情報があれば代理にならないか……

『希望する代替物の例を提示してほしい。
例えば、自分達は肉体を傷つけられた経験が多種ある。
予定している実験に近しい体験があれば、その際の記憶をもとにしたレポートを提出することは可能である。』
佐倉 光
疲れてきた。欠伸をして少しストレッチをする。
佐倉 光
さっき借りた医学書の脳のページを開いて、牧志の脳と見比べる。
ちょっとした気分転換だ。
佐倉 光
しかしこう、神経ぶった切られた状態で牧志のままでいるってのも恐ろしい話だな。
元に戻せるんだろうか。
あいつの視覚ってどこからどう見えているんだろう。
目のあるべき所に何かあるようには見えないけど……
気がついたらしげしげと眺めてしまっていた。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
牧志 浩太
昼下がりの陽光は曖昧であたたかい。
彼は興が乗ったのか、それとも思考を回しておきたいのか、パズルの本を持ってきて解き始めた。

医学書の中に示された写真やイラストと、目の前の脳はよく似ている。
ホルマリン漬けのしらけた写真に比べて、水槽の中の脳はむちむちと柔らかい。
成程、これが「生きている脳」なのだ。
三百六十度、生きた脳をどの方向からでも見放題とは、珍しい体験かもしれない。
牧志 浩太
「……俺、もしかしてまた顔に何かついてる?」
彼はくすぐったそうに言い、揺らめく神経の束に水槽の上から触れた。
佐倉 光
「まあ、ちょっとね」
牧志 浩太
「……?」
彼は洗面所へ向かった。
洗面所の鏡の中に、彼と脳みそが映っている。
脳みその皺と皺が鏡を通して向き合った。
佐倉 光
なんか科学雑誌のイラストみたいになってる……
コードが目だって言ってたな。
天井から入力されてるってことは、どこかに視覚情報を作り出すカメラがあるんだろうけど、そんな物は見えないなぁ。
佐倉 光
こうやって見ていると、なんだかちょっと変わっているだけでやはり日常なんじゃないかという錯覚を……
佐倉 光
覚えはしないな。部屋真っ白で明らかおかしいし。
貴重な経験ではある……
KP
せっかくなので、【POW】×4で判定。
佐倉 光
1d100 60 POW Sasa 1d100→ 60→成功
KP
あなたは思わず、今しかないだろうライブ脳みそ見放題医学書付きを、心ゆくまで味わいたい衝動に駆られた。

が、どうにかこうにかその衝動を堪えることができる。
これは牧志だし、今は異変の最中なのだ。

もちろん、あなたは抵抗を放棄して知的興味に身を任せ、心ゆくまで脳みそを観察してもよい。

その場合、日が暮れるまで観察することで〈医学〉の成長ロールを1回行うことができる。
成長ロールに失敗した場合、〈医学〉が+1d5%される。
佐倉 光
せっかくぎりぎりで耐えたことだし真面目にやろう。

惜しいが。実に惜しいがこれは牧志だ。
余計な時間を費やすと牧志の肉体がまたキズモノになる。
時間があればなーーーー!
佐倉 光
人体の神秘から目を逸らした。いや逸らす必要なくないか? アレ一応牧志にとっては顔だろ?

『外出をする場合、普通にドアから出れば良いのか?』
『被験者が外に出る、という行動は止めるべきか?』
追記して送信。
KP
返事が返るまで、少し時間が掛かった。
「了承した。

案1、君の肉体と脳を用いて実験C・Dを行い、他の観測者を用意する。
案2、君の肉体を用いて実験Cのみを行い、君の脳は他の実験に使用する。
実験終了後は、希望に応じて記憶を消去してもよい。

他に案があれば提示すること。
君の報告は貴重な資料ではあるが、報告のみでは実験そのものを中止するには至らない。

君は通常通り外出して構わない。半径1kmまでは作成してある。

被験者については外へ出ようとした時点で脳活動を抑止し、復元時に記憶補完を促す」
ルート
KP
あ、そうだ。いくつかルートがあるって言っちゃったので、「案1・2以外にもルートはある」とお知らせしておきます。
このKP口が滑りがち。
佐倉 光
ハァイ
あるのかー想定。体験談以外に何があるのかなー。
今のところ、脳味噌出してどうこうは論外としても、自分の肉体を生贄に出して代わりに拷問される、という手段はあるわけだなー。
意味は……あんまりないな。
KP
あるわけです。いちおう。

佐倉 光
実験はするから代わりを寄越せ、ってか。くそ。
どうしようもねーじゃねーか。
佐倉 光
半径一キロの街か。
この理解度でどんな風に作ってあるのか気になるな。
なんか頭痛がしてきたし、少し外の空気吸ってくるか。
……外、って言えるのかわっかんねーけど。
佐倉 光
「ちょっと散歩に行ってくる。すぐ戻るよ」
牧志 浩太
「分かった。何かあったら連絡頼む」
彼は自身のスマートフォンを、服のポケットから出してかざした。

……彼が普段使っているものとは、機種が異なっていた。
KP
玄関には男物の靴が二人分、並んでいた。
片方は彼の足の大きさに合うスニーカー。
もう片方は、あなたがいつも履いているのと同じ種類とサイズの靴。
KP
〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
1d100 79〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 41→成功
KP
扉に手をかけようとした時、静けさに気づいた。

外には通りを歩く人の姿が見えたというのに、足音ひとつ、鳥の声ひとつしない。

外にスーパーも見えたというのに、そこに集まる人の声も、車の音もない。
佐倉 光
そりゃあそうだろうな。そこに何かあるわけじゃなくて、それらしく作ってあるだけなんだろうから。
自分の靴らしき物を履いて、表に出てみる。

KP
表に出れば、すぐに違和感に気づいた。
通りを歩いていたはずの人がひとりもいない。
車もない。
どこにでもあるような無人の街並みは、白く無機質な家でできている。
遠くに見える公園も、スーパーも、白い。
家から見える風景は生きていたというのに、ここは生きていない。

遠くがぼんやりと霞む街路は、ずっと前に見た夢のようだった。
佐倉 光
まっすぐ通りを進んで、行き止まるまで歩いてみる。
KP
歩いて歩いて、それなりに歩いた頃だろうか。
どこまでも道は続いているのに、こつんと額が透明なガラスにぶつかった。
KP
ゲームのように、街路が見えるのにその先へ行けない状態だ。
佐倉 光
動くものもなし、触れるものもない作り物の町が広がっているだけかな。
外に見えるものもなにもない?

あと、町の作りは近所の再現というわけじゃなくて、似たような町並みのコピペみたいな感じかな。
KP
動くものもない作り物の街が続いているだけだ。

途中に公園やスーパーなどを見かけたが、店先に並ぶパッケージや野菜も白く、到底味がしそうには思えない。
遊具で遊ぶことくらいはできそうだろうか。

そう。似たような白い街並みがどこまでも広がっている。
佐倉 光
それなら迷子になっても困るし、しばらくその辺うろついたら帰ろう。
しかし凝り性だなここ作ったやつ。さっきの食事周りもそうだけど。
この町見るの俺だけってことは、研究に直接関係はないんだろ?
人間理解のための副産物ってやつなのかな。

スーパー内でどれだけ小物が作っているか見るというのも意外と楽しそうだと思ったが、気晴らしの粋を出てしまいそうだし、帰ろうかな。

俺たちはミニチュアの中に閉じ込められている。

そういえばここには入れない、とか言っていたな。
どういうことだろう。

公園のベンチで、町に関する感想を簡単に書いて、
「そちらがここに入れないとはどういう意味だろうか?
サイズ的なことだろうか」
と打ち込んで送信。
佐倉 光
ふと見上げたら、巨大な顔があったりしてね。
空を見上げた。
KP
Sasa 🎲 Secret Dice 🎲
KP
空を見上げても、異様なものが見えることはなかった。
KP
返答が表示される。
「その空間の中に我々のようなものは存在できない。
我々のようなものが存在しない空間である、という前提を崩してしまう」
佐倉 光
なるほど、そういうことか。
明らかに人間と異なる思考と態度だからな。
佐倉 光
まあ気晴らしにはなったし、牧志が俺を探しに来ようとしてもまずいから帰ろう。
買い物はできそうにない。

戻ってただいまと声をかける。
佐倉 光
単純な理由だった!
まあごもっとも。
KP
ということでした。
佐倉 光
「人間にとって自分らは異分子だ」って認識してんの面白いな。
相当な変わり者だなこやつ。
KP
そうなんですよね。そこの認識がある。
キャラ盛ったからもだいぶんあるけど、こいつもなにかと変わり者だと思います。
佐倉 光
ある意味メタ的思考だからなぁ。
そこに対する人間の解像度がたっかい。
KP
自分たちが「宇宙的恐怖」だと認識しているの、なかなかメタ思考をお持ち。
そこに対する解像度は高いのに、ご飯に対する解像度は低い!
佐倉 光
オタクだな!?  こやつ、オタクだな!?
KP
なるほどオタクだった!
それ故にこちらにも比較的やさしいのかしら。
牧志 浩太
「お帰り」
出迎えた彼の周囲の気配がふっと和らいだ。
どうやら、あなたの帰りに安堵したようだった。
牧志 浩太
「風呂入る? いま入れてるけど」
そういえば彼の手足がしっとり濡れている。風呂を洗っていたらしい。
佐倉 光
「別に何もなかったよ」
文字通りね。
佐倉 光
「ああ、風呂か。そうだな、入る」
そういえば今どうかはよく分からないが、昨日?  一昨日?  は風呂どころじゃなかったな。
しかしその水槽、実際と感覚で差異があるならぶつけたりしないのかって心配になるが。

帰宅時の牧志の反応を枕にして、異変がなかった一年間のことをより詳細にレポートに書く。
最初のしばらく、互いに何事もなく戻ってきたときは、また何かあるのではないかと怯えて暮らした。
佐倉 光
「ずるむけ荘……ここにこしてきてすぐは毎日ビクビクしながら病院通いしてたなー。
明日は何が起きる、みみず腫れ消えたらなにか起きる、一ヶ月たったら何か起きる、って」
打ち込みながら笑う。
そういえば今回もずいぶん平穏な時間が続いた。
さすがにもう二ヶ月程度で解放されたなんて思えなくて、毎日の互いの無事を確認する儀式が途切れたことはない。
牧志 浩太
「してたな。
振り向いたら佐倉さんが消えてないか、一歩踏み出したら違う場所に迷い込むんじゃないか、出ていったら帰ってこないんじゃないかって、怖かった」
KP
軽やかな音楽が風呂場から聞こえてきた。微かな湯の香りが鼻をくすぐる。
牧志 浩太
「お、沸いた」
佐倉 光
「もうちょっと書き物するから先に入っててくれよ」
どう入っているが気になるから途中で理由付けて覗こう。
佐倉 光
これは牧志を助けるための。正当な。……。
いや求められている情報じゃないからただの興味だな。うん。
佐倉 光
……ちゃんと丁度いいお湯なんだろうな?
朝出てきたコーヒーのこと考えると不安だ。
下手な温度だと牧志の脳が茹で上がっちゃうかも知れないだろ。
いや水で囲われているから安全なのかも知れないけど、見た目丸出しだと……不安だ。
佐倉 光
風呂場に温度チェックに行こう。
牧志 浩太
「分かった。何だか珍しいな」
KP
風呂は柔らかい湯気に包まれていた。
幸い、湯はちゃんと丁度よい温度になっている。

風呂はあなた達が住む家の風呂よりも大きく、ゆったりとしている。
浴槽の背もたれの部分が大きく切り欠いてある。
どうやら、ここに水槽を嵌め込むと丁度よい具合に入浴できるようだ。
KP
ふとあなたは、壁に見慣れない物があるのに気づく。

小型の耐水液晶テレビだ。
側面にスイッチがついているが、現在は電源が入っていない。
佐倉 光
「今、面白い悪魔の観察してんだよ」
俺達を観察しているやつがある意味面白い。
これで牧志の命かかってなきゃ楽しめるんだけどなぁ。
佐倉 光
何だろう。スイッチを押してみる。
KP
先にチェックしに来たため、牧志はまだ風呂場に来ていない。
あなたは一人、テレビのスイッチを押す。

テレビが薄暗い部屋を映し出した。
そこに映っていたのは牧志の姿だった。
ちゃんと顔のある頭、頭のある身体の、牧志。

暗くてよく見えないが、どうやらベッドに寝かせられているようだ。
拘束されている様子はない。
佐倉 光
牧志の肉体か……脳が抜かれているんじゃ拘束の必要もないよな。
つか、どうして風呂にモニターがあるんだ。
今のところ、ぱっと見は無事に見えるな。

ほっと胸をなで下ろす。

ところでこのパネル、もともとの家にあったものと同じ場所にあるわけではないよね。
例えば同じ場所にテレビや風呂の操作パネルがあるなど。
KP
同じ場所ではない。
何もない壁の筈の場所にある。
佐倉 光
何考えてこんな所に……

佐倉 光
風呂が広いって、一緒に入れってことだろうか。
もしかすると一緒に入ってこれポチーすると牧志が「ギャー!」ってなるトラップだっただろうか。
KP
単純に「ぶつけずに水槽頭で入るにはそこそこ大きさが必要」ってだけですね。
佐倉 光
なるほどなるほど。
何故風呂場に設置したッ
KP
実はシナリオではここにある理由について何も語られていないのですが、理由については補完してあります。後で出る。

KP
胸をなで下ろすあなたの前で、小さく音声が流れた。

「△月□日 嗅覚反応」

画面に変化はない。
暫く同じ画面が続いた後、ザザッという音と共に、一瞬画面のブレが生じる。
映像は続く。
佐倉 光
リアルタイムじゃない……記録映像!?
モニタを見つめる。
KP
「△月△日 味覚反応」

すると今度は、何処からか機械的なアームが伸びてきた。
寝転ぶ牧志の口を、いとも簡単に引っ張り開けさせる。

飴玉のようなものを一粒口に放り込む。
牧志は動かない。

次に飴玉を口内から取り出すと、今度は蜜柑のようなものを。
これにも反応を示さないことがわかると次はカレー、唐辛子など、段々と味の強いものを放り込む。

胃のあたりが一瞬びくんと跳ねた。
身体に管がつながれ、赤い血を往き来させているのが見えた。

一頻り実験を終えた後、アームは画面端へと戻っていく。

再びザザッという音がして、画面にブレが生じる。
映像は続く。
イブクロ君の災難
佐倉 光
ミ=ゴちゃん! この状況で肉体が反応できるのは痛み(辛さ)だけよ!
KP
だけよ!
ちょっと色々調べたんですが、無意識の準備電位も脳で発生するし、高度な反射もだいたい脳だし、小脳ないと運動制御できないし、脊髄だけでやれるのは痛み回避反射だけだよなーってなった。

脳を経由しない感覚器~脊髄のルートを探してるのか、回避反射でどこが先行するか探そうとしてるのかな。
イブクロ君「巻き込まれて遺憾である」
佐倉 光
かわいそ
KP
案外「メインのボディに脳が無いときのイブクロ君の反応」だったりして。>調べてること
佐倉 光
「人間の構造上その実験には意味がねぇぞ!!」って抗議が封じられた!!
KP
封じちゃった!!
佐倉さんの場合? そりゃ「隻眼牧志がどこにいるのか」探そうとするのでは。
あとまあミ=ゴちゃんの実験だからなぁ……人間にとって意味があって意図の分かる実験するとは限らないんですよね。
ミ=ゴにしかわからん理論かもしれない。

佐倉 光
次は。触覚、だったな。
強ってどういうレベルなんだ。
KP
機械音声は淡々と続ける。
「△月■日 触覚反応」

すると今度は画面端から何かが
──何かとしか形容できない、まるでそこだけ画面がバグってしまったかのように映像がモザイク処理されたかのようで──

それが、牧志へと近づいていく。

初めはどうやら顔、腕、腹、脚と、全身を軽くつついているようだ。
何かが覆いかぶさった画面からはそう多くのことは読み取れないが、そのように見える。
佐倉 光
得体の知れない化け物が牧志にのしかかるのを見て息を呑んだ。
次は、触覚。皮膚への刺激だ。
化け物が牧志の体をつつき回しているのを見ていると、まるで自分がつつかれているように怖気だった。
KP
次に同じように全身を軽くはたいていく。牧志は動かない。

ここまでくると、次に来る行動も次第に読めてくる。
佐倉 光
叩かれる。その瞬間思わず身を縮めた。モニターに写っている小さな映像が視界いっぱいに広がっていた。
KP
“何か”は人間でいう拳の強さを次第に強めながら牧志を叩いていき、ついには殴る、という言葉の方が相応しい領域にまで達する。

牧志の身体が躍る。まるで嫌がってもがいているかのように、その暴挙から逃れようと手が動いた。
佐倉 光
それが殴打と呼ぶにふさわしい強さになり始め、思わず声をあげかけ、拳を握った。
ダメだ。牧志に気付かれる。
KP
胃のあたりで何かが激しく動いた。腹を突き破ろうとするかのように蠢き、暴れる。
それは役立たずな主を引きずりながら、必死に暴挙から逃れようとしていた。
佐倉 光
牧志の胃袋だ。あいつは体に残されて、生きているのか。
少なくとも牧志の体は確実に生きている。牧志が死んだとき、あいつも死ぬはずだから。
その確信と同時、声が飛び出した。
佐倉 光
「牧志!」
一度きられた堰はもう溢れるがままだ。
KP
暴れるそれに拳が当たる。強く抉り上げる。牧志の身体が蠕動して口から吐瀉物が吐き出された。
どうやら死んではいない。

しかしそのような仕打ちを受けようとも、顔はピクリとも動いていない。
佐倉 光
「ちくしょう、やめろ、やめろよ馬鹿野郎、治すからいいってわけじゃねぇんだよ」
容赦ない殴打に跳ねる頭を、逃げるように蠢く腹を。見つめていると、言葉を止めることができなかった。
佐倉 光
「人間を何だと思っているんだ。クソが、クソが、クソが! いい加減にしろ、やめろ」
表情を歪めることもなく人形のようにされるがままに翻弄される体の中、逃れようと足掻く生き物の必死の抵抗が、より牧志の体が【生きているだけの物】になっているのだと強調しているように見えた。
暴虐がやむまで、口から漏れ続ける怒りを止めることはできなかった。
KP
散々いたぶった後で”何か”は画面端へと消えていく。
そこでようやく、映像は終わりを迎えた。
KP
あなたの持つ端末に、ぱっと文字が表示された。

「君は実験Cにおける肉体の破損を気にしているようだ。
触覚反応:中までの現状を見せよう。

見ての通り、目的は観測であり肉体の損壊ではない。安心されたい」

安心できようはずがない。
正気度判定
順番前後しますが、読みやすいように描写並び替えました。
実際は、KPから纏めて描写を貰い、判定を行い、その結果を基にして描写を返しています。
KP
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D4+1》。
佐倉 光
1d100 55 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 61→失敗
1d4+1 Sasa 1d4+1→ 4+1→合計5
佐倉 光
あっやべ
KP
あーあ。平穏なのになぜか発狂する佐倉さん! 【アイデア】ロールどうぞ。
佐倉 光
SAN 55 → 50
不定目前だし。
1d100 85【アイデア】 Sasa 1d100→ 32→成功
1d10 Sasa 1d10→4
佐倉 光
早口性的嗜好かー
KP
えーっと4番…… 意味不明の会話あるいは多弁症ですね。
長期4(奇妙な性的嗜好)でもいいですよ。

佐倉 光
さ「牧志殴りたいハァハァ」色々アウト。
さ「殴られる牧志ハァハァ」うーんアウト。というか解決できなくなる。
しかし多弁症は多弁症でこの状況だと大問題なんだよなぁ。
KP
なんですよねぇ。>大問題
大丈夫1日~数日すこし経てば我に返るよ! >できなくなる
案外「暴れる胃袋ちゃんかわいいねぇ」だったりして。
佐倉 光
健気な胃袋ちゃんに欲情する佐倉???
KP
かわいそうな胃袋ちゃんに欲情する佐倉さん。ひどいな。

佐倉 光
この流れで性的嗜好はヤバい流れしか思いつかないんで短期にしとこうね……
KP
はーい。1d10+4で持続ラウンドをどうぞ。
佐倉 光
1d10 Sasa 1d10→5
KP
あっ忘れてた。〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 66→成功

KP
牧志の頭は異常に軽いらしく、少しの衝撃でからころと左右に揺れている。

揺れる頭に視線が向かうと、
実験の終わりに、最後の方で指先をぴくりと動かしたのに気づいた。

生きているのだと示すように。
KP
この「指先が動く」描写の意図はシナリオ読んでもよくわからなかったため、生きていることを示している、ということにしました。
佐倉 光
痛みに対する反射行動? かもしれない。生きている、でいいんじゃないですかねー
二分程度喋り続けるか。
KP
ですね。

牧志 浩太
「佐倉さん? ……佐倉さん!」
行きどころのない怒りをわめき続ける耳に、彼の声が聞こえた。
牧志 浩太
「佐倉さん、どうしたんだ。何を見ているんだ」
彼があなたの手を握り、背筋に触れた。
喚くあなたをいまここに取り戻そうと、背筋をさすり、声をかけ続ける。

いまここが見えていないのは、彼の方だというのに。
KP
見れば、あの小型テレビはそれそのものごと消えてなくなっていた。
佐倉 光
「くそっ、くそっ、ちくしょう……! なんでだよ、なんでいつも牧志が、畜生、馬鹿野郎」
モニターがあった場所を殴ろうとして、牧志の声に息を呑む。
佐倉 光
「あ、ああ、牧志。牧志。牧志。まき……」
その体に触れ、どこかひんやりとしたような真新しいものの感覚に戦く。
今見たのは現実だ。
佐倉 光
「俺、幻を、見ていたんだ」
佐倉 光
「ごめん、それ以上はさんてんいちよんいちよん……」
よろめいて風呂場の外に出た。

弾みでまずいことを口走りそうで、それを抑えるために咄嗟に円周率を口走った。
目を閉じて情報を追いだして数列で思考を満たす。
考えを止めろ。今だけでいい、考えるな。
牧志 浩太
「言え、ないんだな」
ひやりとした温度。色の薄い声。
あなたを案じる響きだけが彼だった。
重い沈黙の向こう、気を紛らわせるように、彼が湯を浴びているらしい水音が聞こえた。
佐倉 光
頷いて『自室』へ行き、勢いのままにベッドに寝転がる。
佐倉 光
100桁くらい口にしたところで息を吸ったが、続きは出なかった。
高ぶった心を静めるように長い息をつく。
そしてキーボードに胸に渦巻く怒りを叩きつけるように打ち込んで、
言葉を全部吐き出しきったところで読み直し、半分ほど削除して怒りを圧縮する。
佐倉 光
……よし、落ち着け。感情に流されている場合じゃないんだ。考えないと。
大体、どうして俺にあんな物を見せたんだ。
実験内容のこともそうだが、本当にあれはただのうっかりなのか?

コメント By.佐倉 光
ひたすら慎重に会話を続ける佐倉。あぁぁぁぁストレスが溜まる!!

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牧志の胸の中の鼓動を掴むように軽く引っ掻いた。
今まで、追い出そう、忘れようとしてきた執着を呼び戻さなくては、壊れてしまうと思った。

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「やだ。なんでこう、得体の知れない物を飲み食いしなきゃいけないんだ」

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「もし、辛いことを洗ってしまえるとしたら、どうする?」
「あまりに酷い記憶なら忘れてもいいと思うぜ、たまには……」

【クトゥルフ神話TRPG】
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