こちらには
『今昔 狼龍奇譚
のネタバレがあります。
また、凄まじく盛ってますので
回す際の参考にはしないでください。
本編見る!
こんばんは
早浪
こんばんはー!
KP
こんばんはー
早浪
全身絵全然間に合わなかったけどなんとか過去編ラストまでには間に合ってよかった


早浪
全身絵が間に合わなかったために最初顔のとこだけカメラで撮影して顔絵と表情差分を作り、その後スキャンして全身絵を作ったらどうしても色調が合わなくなってしまい全身絵と表情の連動ができなくなった早浪です。
KP
なるほど。
早浪
スキャンのほうが原画通りの色で、カメラの方は照明の色がだいぶん入っちゃったっぽい。

KP
多分今日で終わるだろうしなぁ。
早浪
思ったより短かったなぁ。
KP
そうなのですよー。
情が芽生える時間が欲しい。
早浪
そう欲しい。
シナリオ的には「そういう心情になったということとして」お話が進むにしても、PCにちゃんとそれについていく時間が欲しいなぁ。
盛ってくれて本当に助かります。
KP
さて、始めます!
早浪
はーい!
よろしくお願いします。

KP
あなたがたの前には龍王がいる。
その姿が人であるのか龍であるのか、あなた方の視覚では正確に捉え切れてはいないのだろう。
ただ、あなたがたの精神が焼き切れぬよう、龍王はその一部のみをあなた方に見せているようだった。
「確かに異形の血は受け取った」
人とも龍ともつかぬ存在はあなた方を見下ろす。
早浪
我々に合わせてくれているのだろう、とは思った。
それが神、ないし神にひとしきものなら、まのあたりにして目がつぶれぬはずもない。
KP
「龍の子よ。人としての生を歪められた狼よ。
そなたらがいかに異形のものといえども、この神域に長くおれば、神気にあてられ精神はひび割れ砕けてしまうことであろう。
許された刻は短いぞ。
我に問いがあるのであろう。何なりと申してみよ」
早浪
「氷凪」
龍王の言葉に、はたと己がもどった。
呆けている場合ではない。なすべきことがあるのだ。
静かに一歩退き、氷凪を促す。
KP
ここ、確かに氷凪が訊く場面ではあるんですが
延々とKP劇場になっちゃわないかな!?
早浪
KP劇場になっちゃったら適宜リアクション入れていきます!
氷凪
「はい、私は心の臓を求めて参りました」
早浪
ひとつ、息を呑む。
これから訴えるのは、契約を違えたいという意図だけではない。
それ以上のものが欲しいと、龍王相手に強欲を言おうというのだ。
氷凪
「人に戻りたいというのではございません。
私は龍として生きとうございます」
KP
「ふむ」
龍王はひとつ頷いてあごひげを撫でた。
「龍としての命を得ることはできよう。そなたの望む力も得られよう。
簡単なことだ」
KP
氷凪は息を呑んだ。
早浪
「……」
簡単なことだ、と龍王は言う。
本当にそうなのか?
龍王は寛大にも、指先のひとひねりで氷凪がずっと求めていたものを、与えようというのか?
早浪
……それだけなのか?
KP
「そなたの友の血を媒介に、心臓を作り上げることができるでな……
だがのう、龍の子よ。
そなたは同時に不死を失うぞ」
氷凪
「生き物のことわりを取り戻せるならば、むしろ本望でございます」
早浪
静かに、だが息を呑み、問答を見守る。
全身の筋肉が撓むのを感じる。
身構えてなにをしようというのか。身構えたとて、龍王相手に可能なこともない。
それでも、自然と身構えてしまう。
KP
「……よく聞くがよい。愛し子よ。
神とは、魔とは、人の信仰を、思いを糧に永らえるもの。
龍の血族が失われるごとに我の力は弱まっておる。
そなたが龍としての命を得たところで、その心の臓がそなたの生を支えるは一晩限りよ。
朝を迎えれば、その身は死して朽ちるであろう」
氷凪
「一晩……」
早浪
「……」
KP
「そなたの望みにそれほどの価値があるのか、よくよく考えることだ」
氷凪
「……」
早浪
「氷凪……」
KP
氷凪は黙り込んだ。

KP
龍王はあなたに視線を向ける。
「異形の狼よ。そなたの身を蝕むのは《瞋恚の呪い》というものだ」
早浪
「はい」
頷き、言葉を待つ。
KP
「生ける者には覆すことはできず、その身には人々の瞋恚が降り積もり、それはやがてそなたの心を蝕み、異形の獣の姿にふさわしきものと変ずるだろう」
早浪
「そうか、私の怒りだけではないのですね。私が負うのは」
ふと、胸に手を当てる。
KP
「然り」
龍王はゆったりと頷いた。
「力を失った我には、そなたらの世界に触れることはできぬのだ……」
龍王はそこまで言って言葉を止めた。
早浪
「生きて死ぬばかりの身に、心を傾けて下さいましたか。有難く存じます……、龍王」
龍王が言葉を止めるとともに、騎士の様式で一礼する。
氷凪
「龍族として永らえたとて……消えるばかりではありませんか」
KP
氷凪はちらとあなたを見て、叫ぶ。
氷凪
「龍の心臓に、呪いを解く力はないのですか」
KP
「……ううむ」
龍王は目を閉じた。
早浪
「いい、氷凪。今は君が迷うべき時だろう。
余計なものを負うな。私や国のことは、考えずともよい」
思わず割り入っていた。
これは氷凪の決断だ。何よりも彼が望むようにしてほしかった。
氷凪
「余計? 余計なことならば訊きはしない」
早浪
「……氷凪」
ぴしゃりと放たれた一言に、思わず口を噤む。
KP
「異形の血を媒介とし、我の力を与えた心の臓は、一夜限りとはいえ世界に存在することとなる。
存在する心の臓は我が力を受けたものゆえ、異形の力を喰らうのだ。
人を歪ませる瞋恚の呪いであろうともな」
氷凪
「私が龍として大成すれば呪いは解けると?」
KP
「……一夜限りで、呪いを食い尽くせるほどの力は残っておらぬであろう。
心の臓を喰らい、全身に行き渡らせることができれば、あるいは……のぅ」
氷凪
「ならば好都合。
もとより一夜限りの命だというならば、惜しむ理由もない」
氷凪
「なあ早浪。私は何もきみのために身を犠牲にしようとしているのではない。
これは300年を無為に過ごした私の悲願だ」
早浪
「もとより、それが君の悲願だというのだな」
氷凪
「そのついでに恩人を……友を救えるのならば一石二鳥。きみの願いも叶うのなら一石三鳥ではないか」
早浪
「そうだな……、そうだな。真にそうならば、私は君に感謝し、君の心尽くしを受け取ろう。あの時のように」
早浪
「だが、無二の友を失うことを、名残惜しいとは思わせておくれ」
一度目を閉じ、目元を歪ませて、笑みを形作ろうとした。
その実、それはうまく笑みにならなかったような気もした。
早浪
「君は私を救ってくれたよ、氷凪」
早浪
「そして今、二度も救われる」
早浪
「いずれ輪廻の果てに返す機会があるのなら、何としてでもこの恩を返そうじゃないか」
氷凪
「私もきみのように生きてみたくなったのだよ。
きみのおかげだ、早浪。
この二日は本当に楽しかった」
早浪
「そうか、私も少しなりとて、君を救うことができたのかな」
早浪
「思えばこの数年、ずうっと無力感ばかりと共に生きてきたのだ」
早浪
「そうだとしたら、嬉しいな」
KP
龍王は静かに口を開いた。
「かつて人は生きることを願ったのだ。
故に我は不死を与えた。
のう、子らよ。それでも生きてみたくなったとは、いかなることか」
早浪
「龍王よ。あなたのお陰で龍の一族は飢えを脱して腹をくちくし、穏やかな生をひとたび手に入れたといいます。
友として、心より感謝致します」
早浪
「腹がくちくなり、着る物を得、住む所を得たならば」
早浪
「人は獣の生以上の生を── 人の生を望むものなのでございます」
早浪
「それは時に、生きながらえたいという獣の願いよりも、強いものとなります」
氷凪
「人の……生」
早浪
「彼の何十分の一も生きぬ、若輩の言葉ではありますが……、それだけなのでしょう、きっと」
KP
龍王は黙ってあなたを見下ろし、その言葉を聞いていた。
氷凪
「私は、死にたくないのではなく、生きたかった。
彼女と出会い、思い知ったのです」
氷凪
「私は今まで生きてはいなかったと」
KP
「……子らよ。
先ほど龍は消えると申しておったな」

早浪
申したっけ(確認中)
KP
申してなかったっけ
龍族は消えるだけじゃんって氷凪が文句言ってた。
早浪
おっとそうでしたか。それは失礼しました。
早浪
牧志と佐倉さんは「何としてでも生き残るために諦めない」二人だけど、
ここの二人は基本「思いのために死ぬことを許容、共有している」所があるなと思って言葉にしてみました。

早浪
「はい」
KP
「それは、人の力が増し、異形のものが絶えつつあるが故よ。
異形の血の力を必要とするわしの力を受けた龍族は、異形が巣くう闇を人の光が切り開くごとに失われるのだ。
人が魔を駆逐する。これも時の流れ、押しとどめることはできぬ」
早浪
「そうだったのか……」
早浪
「では、消えてゆく龍の一族をなぜ、国は、騎士は捕えたりしたのだ?」
KP
「生命の理を外れた龍族は、意思によって生くるのだ」
早浪
「意思?
生きんとする願いを失えばこそ、消えてしまうということですか?」
KP
「そうだ。《在りたいと願う意思》。
それが尽きたものは身を留めることができぬ。
そうなればその魂はほどけて散るのみ。
人間は貪欲な生き物だ。生きたいと願う意思が尽きることなどそうはあるまいとふんだのだが」
早浪
「そうだったか……」
眼の裏に、絶望に身を染めて溶けていった男の姿が浮かんだ。
KP
「わしは子らに酷な道を与えてしまったか」
氷凪
「龍王よ。私からも感謝を。
龍族の始祖はあなたの力に縋り生きたいと願ったのです。
そして私はそのお陰で今龍となり、龍族のために、友のために生きられるのです」
KP
氷凪は深々と頭を下げた。
氷凪
「偉大なる龍王。私の長い刻はこの一晩のためにあったのです。
どうか私に心の臓をお返しください」
二人のみちゆき
早浪
鳳佳ちゃんどこでどう出てくるんじゃろうなーこわいなー
KP
11時か。ルートによっては次回持ち越しだな。
早浪
ふむふむ。
クライマックスだし、次回持ち越しになったとしてもしっかりやりたいですね。
KP
このお話ここから、ルートはあってなきようなものなのです。
早浪さんが何を望むか。それ次第ですね。
早浪
ふむふむ。何があるのかなぁ。

早浪
彼の決断に、もう声を挟むことはなかった。
全身の筋肉が撓む。
いま身構えているのは、もしも彼の決断に何らかの邪魔の入ることがあるならば、全身全霊をもってそれを止めるためだ。
慈空がどうしているのかも、鳳佳の動きも、分からぬままなのだ。
KP
「よかろう……
そなたの願い、しかと聞き届けたぞ」
龍王は指をすいと上げた。
その指が、氷凪の胸を貫いた。
細い老人の指に見えたものは巨大な龍の爪であり、やすやすと細い体を突き破る。
早浪
眼を開く。見届ける。少しもこぼさぬように。
KP
氷凪が叫び声を上げた。
それは激痛に翻弄され、思考を失った人間の声だった。
そして、巨大な爪が引き抜かれると同時、目をうつろに開けたままでその場に倒れる。
胸にも着物にも傷一つなかった。
早浪
「……」いつしか、見守ろうとしていた眼で、行われたことを睨みつけていた。
KP
「異形の狼よ。
現世へ戻れば子には心臓が宿っていることであろう」
老人は、否、滅びつつある龍の神は語る。
早浪
「……っ。はい、承知致しました」
は、と我に返る。
KP
「そのまっすぐな魂が歪む前に帰るが良い。
かの里へ送り届けてやろう」
早浪
感謝の意を示し、再び、深く一礼する。
その場に倒れ伏した氷凪の身体を見送った。
KP
「狼の子よ、我らの都合に付き合わせてすまなかった。ただ、そなたのおかげで彷徨っていた一つの命にとって道が開けたのも事実」
早浪
「いいえ、構いません。元より、私は己の無力がゆえに捕らわれ、呪われたようなもの。
すべて、我が国の都合でございます。
それに道を示して頂けたことを、むしろ感謝すべきことです」
KP
龍王はあなたの瞳の奥に燃える意思の光を眩しそうに眺めた。
「人の世で生くるにはその呪いは少々枷になろう。
この子が望むのであれば、龍の心の臓を喰らうもまた道。
そなたらの望むように生きるがよい」
早浪
「有難く存じます。心やさしき龍王よ」
KP
視界がだんだんと白み、意識が遠のいていく。
KP
〈聞き耳〉をどうぞ。
早浪
CCB<=75〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 69 > 成功
早浪
アブネー
KP
あなたは吹き散らされる意識のはしで、神がひとりごちるのを聞いた。
「こうも連なって心の臓を求める者が来るとは」
早浪
「……連なって、だと?」
鳳佳のことか。氷凪の願いとぶつからなければよいが……。
早浪
そら龍王さんも「エー」ってなるわな>連続二人返却願い
KP
儂余計なことしちゃった? って悩んだ。
早浪
鳳佳のこと(推測)だからそれはそれはアングリーだっただろうしなぁ。
KP
「さっさと心臓返しなさいよ!」
ぐらいの剣幕だったかも知れない。
いやさすがに龍王様には恨みないしそれはないか。
早浪
どれくらいアングリーを引きずって龍王様の前に来ちゃうか次第かしら。

KP
気付けばあなたがたは龍族の里の入り口に立っていた。
早浪
「氷凪!」思わず、彼の存在を確かめる。
KP
意識を失ったままの氷凪はあなたの横でふらりと崩れ落ちる。
空は茜に染まり、太陽が昇り始めている。
早浪
「氷凪。気は確かか」
名を呼びながら、その胸に手を当て、熱を確かめる。
KP
あなたの指先に、生命の脈動と熱が伝わる。
それは人よりもずいぶんと緩やかで、熱を持ち、強く打つ心の臓の音だ。
早浪
「そうか、取り戻したのだな。龍王様の言う通りなら時間がない、起きてくれ」頬ぺちぺちする。
氷凪
「ああ……
寒いな……ここは、龍族の里か」
KP
ため息をつくように氷凪は呟くと、両手を見下ろした。
早浪
「そうだ。寒さがわかるようになったのだな」
氷凪
「今まで寒くなかったというわけではないのだが、刺すような痛みを感じる。
まるで、世界にかけられた布きれが取り払われたようだ」
早浪
「そうか……、君の言う通り、君ははじめて生きているのかもしれないな」
KP
氷凪は自らの手を胸に当て微笑んだ。
早浪
「その心持を鍋の前でゆっくり聞きたい所だが、そうもいかないな。
氷凪、他に何か手応えはあるか?」
氷凪
「ああ。今日限りの命だ。
どこまででも飛んで行けそうなほどに力が漲っているよ」
KP
吐いた息は熱く、あなたの服についた雪を溶かした。
早浪
「そうだな、まるで炎の塊のようだ。
それが本来の龍というものなのかもしれないな」
氷凪
「これが生きているということなのだな。
素晴らしい気分だ。
ふふ。まずは空の散歩としゃれ込もうか。
今宵は月が近い。さぞ上からの眺めも良かろうし、地上からもよく見えよう」
早浪
「ああ、早速空を味わうとしよう。
ふふ、楽しみだ。世の変わり者、発明家たちがいくら望んでも叶わなかった場所だぞ」
KP
氷凪は楽しそうにからからと笑い、手を天にさし上げた。その気配が膨らみかけた。その時だ。
村人が駆け寄ってきた。
「良かった! 2人とも帰ってきてくださった……大変なことになったんです」
早浪
「!」浮つきかけていた己の頬を打ち、振り返る。危惧したことが起きたのか。
氷凪
「どうしたのだ」
KP
「鳳佳が龍の姿になって王都を潰すって飛び去って行ってしまって……」
早浪
「氷凪、戻る直前に聞いたんだ。心臓を求める者が二人あったと」
氷凪
「心臓を……鳳佳か。
やれやれ。少しくらい寄り道をと思ったのだが」
氷凪
「……早浪」
早浪
「ああ」
氷凪
「一応、問うておこう。
王都に戻ることをきみは望むか?
時には限りがある。累の及ばぬ場所へ逃れ、私の心臓を喰らう、ということもできるのだ。
もし争いに巻き込まれたならば、私は心の臓をきみにやれなくなるかも知れない」
早浪
「今更だな。ここまで来て、君の決断を見届けずに逃れる気はないよ」
早浪
「もしそんな事をしてやり損じたら、浮かばれなくて輪廻も叶わなくなりそうだ」
氷凪
「ふ……愚問だったね。
刻を無駄にしたこと、許してくれ」
早浪
「いいや、確かめてくれたことが嬉しいよ」
早浪
「さあ、行こう」
氷凪
「ああ」

KP
氷凪はあなたへと微笑み、胸元を握りしめると、大きく息を吸い込む。
その瞬間、全身が粘液状に変化をし始める。しかしそのまま溶け消えていくのではなく、体積は何倍にも増していった。
やがてそれは固い鱗と靡く鬣を携えた大きな龍となった。
巨体を屈ませるとあなたへ変わらぬ声色で話しかけてくる。
氷凪
「さあ、乗ってくれ」
早浪
「それが……、龍のすがたか」
氷凪
「なかなかに気分が良いものだ。毛の一筋にまで風が通る。
世界はこんなにも美しく、語りかけてくるものだったのだな」
早浪
「ああ……、美しいな。今の君も美しいよ。これが君たちの、本来のありようだったのだな」
早浪
躍動する巨大な鱗の手触りに少し戸惑いながらも、馬にする要領でよいのだろうかと、手をかけてよじ登る。
氷凪
「首の後ろに座り、角を掴めば落ちずに済むだろう」
早浪
「分かった。もしも生き延びたなら、これは末代まで語り継げる話だな」
言われるままに首の後ろへとよじ登り、角を掴む。
氷凪
「さあ、ゆくぞ。
なにしろ風を浴びるのも初めての有様だ。
急がねば」
早浪
「ああ」
KP
そうしてあなたは龍と共に、故郷たる王都へ向かうこととなった。

KP
産まれたばかりの白竜は、もう何百年の昔からそうしてきたかのように、夜を駆け上がり雲を蹴って天へ舞い上がった。
不思議とあなたの体に当たる風は緩やかで、何かに守られているようだと感じた。
早浪
「くすぐったくはないか、氷凪? 
ここぞという時に君を笑わせて落ちてしまったら、末代までの笑い噺になってしまうからな」
氷凪
「不用意に逆鱗を撫でてくれるなよ。
……どこにあるかも知らぬがな」
KP
その声は笑っていた。
早浪
「鱗の手触りに注意しておこう」
KP
びょうびょうとなる風を供にして、龍は山を越え飛び続ける。
遙か下に、あなたが越えた山が飛び去ってゆく。
早浪
「ああ、山ひとつふたつみっつが一瞬だ。これは爽快なものだな!
風も心地が良くて、まるで月が掴めそうな程に近い」
氷凪
「これでは人も気付くまい。どれ。ひとつ唄ってやろう」
KP
あなたの体を強烈な震えが駆け抜けた。
龍がひとつ咆哮したのだった。
それは恐ろしいというよりは、生命の謳歌だった。
早浪
「おお……、おお! 凄いな、大地が咆えたと思ったぞ。
これが龍の……、これが、君の生」
氷凪
「龍が在ることを知らしめ、人間を脅かしてやらねばならんからな」
早浪
「ああ、そうだったそうだった。
さあ人々よ、龍がここにあるぞ。十の山をひと飛びで越える龍だ。家を出て空を見上げ、声を上げるがいい」
楽しそうに龍の背の上でうたう。
氷凪
「ああ、気分がいい。
空は広く、月は近く、星は降るようだ」
KP
もはやあなたと語らいながら唄い飛ぶことだけが楽しいといわんばかりに、白い龍は飛び続けた。
早浪
きっとこれが、彼との最後の平穏だ。
思うさま声を上げ、語らい、そのひとときを楽しんだ。
KP
あなたがそう予感してほどなく。
七つ目の山を越えたときだった。
行く手が赤く染まっていた。

氷凪
「山火事か……いや」
早浪
夜を染める赤をみとめて、笑みが消える。口の端が引き締まった。
KP
人里が燃えている。
山二つ向こうの王都の上空に、何か巨大なものがのたうっていた。
早浪
「あれは……」
氷凪
「……おそらく、鳳佳だ」
氷凪は高度を下げ、荒れ果てた畑を這うように飛び、王都の外れで人の姿へと戻った。
KP
黒々とした鱗に身を包んだ一頭の龍が、深紅の瞳を都へ睨みつけていた。
そして、ぬらりと鈍く光る牙の隙間から炎が吹かれれば、民家が、人が、全てが灼熱の地獄に包まれる。
燃え盛る街へさらに目を凝らせば、逃げ惑う人々を守るようにして見覚えのある顔たち――騎士たちが刀や鉄砲を黒龍へと向けていた。
鉛玉が龍の鱗を貫けば、そこからは赤い血が溢れだしている。
しかし怯む様子はまるで見られず、龍は王都の上空を飛び回り続け蹂躙の限りを尽くしていた。
黒龍は怒りにまかせ、王都を焼き払わんとしていた。
早浪
く、と息を吐いた。
王都が、燃えている。
守るべき人々が。友であった騎士たちが。
氷凪
「ああ、彼女はこの地を灼き尽くすつもりなのだな。
……早浪。
今宵一度の命、きみに預けよう。
彼女の憎しみを止めるも、ともにこの地を焼くも、きみの望みのままに」
早浪
「いいのか。王都ほどの都を焼き払い灰となせば、人は龍を存分に怖れよう。
君達はそれを望んでも構わぬほどの行いをされてきた」
氷凪
「供に都を焼くとも、鳳佳を止めようとも、人は龍を恐れるよ。
ならば、友の願いを叶えたいと、私は思う」
早浪
「……ありがとう、友よ」
早浪
「私は、ずっとこの地を守りたかった。この地の民を守りたかった。
あの女をどれだけ除きたくとも、それは変わらない。

それだけじゃない。
彼女は優しい子なんだろう。なら、また君と言葉を通うようにさせてやりたい」
早浪
「彼女を、止めるぞ」
氷凪
「ああ。では互いに覚悟を決めるとしよう」
早浪
「ああ」
KP
氷凪は再び天を指した。
その身が龍に変じ、暴虐の夜空に舞い上がる。
都を救うために。

KP
本日、ここまで!
早浪
ありがとうございました! クライマックスじゃー!
おおお、背景が狼と龍!
KP
これからどう転がるのか……私にも分からん!
早浪
どうなるんだろうなぁPLにも分からん! 楽しみ
KP
とにかく後悔のないように生きてください。
早浪
走り切りましょう。
KP
最後まで走りきりましょう。
折角の命だから。
では、本日はここまでっ! ありがとうございました!
早浪
ありがとうございましたー!

コメント By.KP
心を通わせることでそれぞれにすべきことを見据えるふたり。
後悔はない。空へ。

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Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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