こちらには
『今昔 狼龍奇譚
のネタバレがあります。
また、凄まじく盛ってますので
回す際の参考にはしないでください。
本編見る!
こんばんは
KP
ストッ
高瀬川の和樹
スコッ
間違えた!
早浪
改めてこんばんはー!
KP
河童だ
こんばんはー
早浪
確かに獣でも人でもないけども>河童
KP
では本日、子供に睨まれたところから。
早浪
よろしくお願いします!

鳳佳
「客、ですって?」
氷凪
「そうだ。その手を離してくれ」
早浪
胸倉を掴まれたまま、言い返しも振り払いもせずに氷凪の言葉を待つ。
鳳佳
「暢気なものね、氷凪。
こんな所に閉じこもっていたのでは何も分からないでしょうけど」
氷凪
「手を離せ、鳳佳。
無礼な行いはやめろ」
鳳佳
「ふん、いいわよ」
KP
鳳佳は手を離す。しかしその目の憎しみは消えない。
早浪
数度咳ばらいをして息を整える。
「構わないよ、彼女の言う事は尤もだ。互いに状況を説明してくれるか?」
鳳佳
「舐められたものね。騎士が? 客ですって? はっ!
民を救う薬の実験だなんて偽物の大義名分掲げやがって! あんなの拷問じゃない! 攫った皆を八つ裂きにして、弄んで、全身細切れにして! 非道なことばかり!」
氷凪
「拷問……? どういうことだ」
鳳佳
「騎士様なら知っているんじゃないの?」
早浪
「……そんな事までやっていたのか」
鳳佳
「私たち龍族はね、命が尽きなくとも、痛みはちゃんと感じるの!
何度も、何度も何度も、死にたいと願うまでに痛めつけられて、それでも、死ねはしない。
何間抜け面してるの? 騎士様。
まさか知らないとでも?」
早浪
「氷凪。あの女の差し金だろうが、事態は思ったよりも不味いらしい」
氷凪
「鳳佳……早浪は何も知らない。
落ち着いて、詳しく話して欲しい」
KP
鳳佳は呆れたように笑った。
鳳佳
「そのツラ見せてくれてどうもありがとう。改めて覚悟が固まったわ。
あんたたち王都のヤツら、わたし全員許さないから。
氷凪。あなた、騙されてるのよ」
氷凪
「鳳佳!」
早浪
「私は顔を見せない方がいいな。
王都の現状が気になる、落ち着くまで話を聞いてやることはできるか?」
そう言って一歩下がる。
鳳佳
「結構よ。
暢気者同士、せいぜい仲良くしてなさい」
KP
鳳佳は荷物をその場に置いたまま、きびすを返すと歩き去って行く。
氷凪
「待て、鳳佳!」
KP
氷凪の手が鳳佳を掴もうとするが、彼女はするりと身を躱して駆け去って行く。
降り続ける雪の中だというのに、瞬く間にその姿は遠くなって行く。
早浪
「……あれは不味いな。
こちらの数が少なく、あちらは強大だというのに、協力どころか意固地になっている。
こちら同士でいがみあっては、あちらの思う壺だ」
氷凪
「ああ、なんて足の速い」
KP
〈聞き耳〉
早浪
CCB<=75〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 49 > 成功
KP
あなたはふと鉄臭い血の臭いを嗅ぎ取った。
それはほんの微かだったが、どことなく懐かしいにおいに思えた。
早浪
「……?」
KP
【アイデア】もしくは再度〈聞き耳〉
早浪
CCB<=75〈聞き耳〉 (1D100<=75) > 59 > 成功
KP
懐かしい。あれは慈空のにおいだ。
早浪
「…… 慈空!」
早浪
「あれは……、昨日話したろう、慈空の匂いだ」
KP
村から出て行く足跡を雪が覆い隠してゆく。
氷凪
「慈空? 村の場所を知っていたという……」
早浪
「ああ。追うぞ、彼女が気がかりだ。何か自棄なことを考えているんじゃないか」
氷凪
「このままではまずいな……」
KP
「そいつ、騎士なのか」
低い声が聞こえた。鍬や鋤を手にした村人が道をふさぐ。
早浪
「そうだ。だが今は立場を追われた只の罪人。あなた達に悪し事をする気はない」
氷凪
「そうだ。昨日一日話をした。
彼女の言葉は嘘ではない」
早浪
「彼女が気がかりだ。追わせてくれるか、あるいは追ってくれるか」
KP
村人達は視線を交して迷っているようだ。
氷凪
「よく聞いてくれ。この者は人狼だ。異形の血を持っている。
私はこの人狼に力を借り、龍王ロンワン様に謁見をする。
不死を捨てる代わりに龍として大成をし、皆を守るために。
ゆえに、この者に危害を加えることは認めぬ」
KP
「……」
村人達はあなた方を、氷凪を見て、振り上げかけた農具をおろす。
「この雪の中、あの子を追うのは無理だよ。
あの子は速く、強い。
……あんたはこの雪の中、いくらももつまい」
早浪
「すまない。先程彼女が語った事が真なら、到底信用儘ならない事と思う。
彼の言葉をでも、ひととき信じてくれたことに感謝する」
早浪
「氷凪。行けるだけ追ってみようと思う。雪の中で狼がどれだけもつものかは分からないが。構わないか?」
氷凪
「ああ。彼女が心配だ」
早浪
狼の感覚を利用して鳳佳を追います。
性別不詳
早浪
そういえば確認漏れなのですが、氷凪さん男性でいいのかしら。
KP
明言はしてないなー
彼できてるし彼でいいんじゃないかな!
早浪
してなかった!
じゃあ仮称彼で

KP
真っ白な道を、微かに残るにおいと僅かなへこみを頼りに追う。
雪は次第に激しく降り始め、手を伸ばした先も見えなくなる。
においは途切れ、道に刻まれた足跡は消え去った。
あなたの手足はかじかみ、体の感覚が薄れてゆく。
早浪
「……」
氷凪
「……まずいな。早浪、戻ろう。
私でも道を失ってしまいそうだ」
早浪
「そうか……、彼女はこんな所をよく行けるものだな」
氷凪
「伊達に旅をしていない、ということかも知れないし、怒りに我を忘れているだけかも知れない。
いずれにせよ、ここまでで彼女の姿は見ていない。先へ行ってしまったか、方向が間違っているのか……」
早浪
「あるいは、どこかに隠れたか」
氷凪
「いずれにせよ、1日2日雪に埋まっていればよい私と違い、きみは死んでしまうだろう」
氷凪
「……私も、死なずとも凍りたくはないしな……」
早浪
「ああ。心配ではあるが、私ひとりの肉体でもないのだ。
すまない、退こう」
氷凪
「……すまない」
早浪
「こちらこそ、力不足で悪いな」

KP
ようよう村まで戻ったときにはもう村人達はそれぞれの家に閉じこもってしまったらしく、村はしんと静まりかえっていた。
固く冷たくなった体を引きずるように氷凪の家へ戻る。
氷凪はすぐさま囲炉裏に火を入れ、湯を沸かしに行った。
早浪
まるで自分まで心臓を失ったかのようだ。手足が氷の塊と変じている。
KP
氷凪はあなたを囲炉裏の側に座らせ、褞袍を渡した。
氷凪
「薬、か。
きみもそういったことを言っていたな」
早浪
「あやしげな連中の事か。
それとも、龍の心臓に纏わる噂か」
氷凪
「ああ、さっき鳳佳が言っていたことだ。
時折騎士が龍族を捕らえて連れて行く、ということがある」
早浪
「ああ……、薬の実験をやっている、と言っていたな。状況は思ったよりも悪い。
あの女の差し金だろうが、惨い事をする……」固く凍った歯を合わせ、歯噛みをする。
「龍の心臓の噂も、薬だ。あの女は死なずでも求めているのか?」
氷凪
「気になっていることがあるのだ。
そうやって実験を行っているというならば、龍族に心臓がないなどということは百も承知であろうに。
なぜ、きみには心臓を取ってこいなどと」
早浪
「そうか……、そうだ。細切れにすると言ったな。あまりに惨いとしか思わなかったが、確かに、そうだ」
早浪
「私をここへやったことに、他の思惑があるのだ」
氷凪
「しかも、この村のことは、その者とは違う者から聞いたのだろう」
早浪
「ああ、そうだ」
氷凪
「そして、騎士がこの村へ攻め寄せたことはない……つまり、『龍の心臓』などないようなものだ」
早浪
「女の言葉だけならば、単純にていのよい追放、存在しないものを求めて絶望して野に死ね、という解釈もできる。だが、慈空は?」
氷凪
「その者は何故、ここのことを知っていたのだろうな。
しかもそれを、きみに命じた王などには伝えていない、ということだろう」
早浪
「先程、気づいたことがあるんだ」
氷凪
「何をだ?」
早浪
「鳳佳と言ったな。彼女が来た時に、慈空の血のにおいがした」
氷凪
「血の臭い……戦ったということか」
早浪
「戦ったか、そうでなければ怪我をしたものをどこかへ匿っている、のかもしれない。
あれほど強い雪の中だ。少なくとも、遠くでつけてきたなら、もう薄れているだろう。慈空が近くにいるか、いたんだ」
氷凪
「……もうひとつ、気になることを思い出したよ。
彼女が向かっていた方向だ。
彼女は山頂を目指しているのかも知れない。
しかし慈空とやらがこの山に来ていたとして、この吹雪では……」
早浪
「山頂を? ……彼女も、龍王にまつわる何かをしようとしているのか?」
氷凪
「昨日調べた限りでは、そういうことになるかも知れないが……」
KP
話すうち、指先に血の感覚が戻ってくる。
じわじわと冷え切った血管を押し広げ、血が廻る。
氷凪
「優しい子なんだ、あの子は。放浪癖はあるがね」
早浪
「そうだろうな。そうでなければ、あれほど怒るまい」
氷凪
「誰よりも村の皆のことを考えている。
外へ行くのもそのため……
そして、きみが騎士と見抜いたからには、都へ行っていたのだろう」
早浪
「ああ。あの時顔を合わせて分かった。以前に慈空と会っていた娘で間違いない」
氷凪
「では、この村のことをきみの友人に伝えたのも、鳳佳なのだろうな」
早浪
「ああ、そうだろう。
……慈空と顔を合わせて話を聞きたいものだが、あいつは何処にいるんだろうな。
あの様子を見ると、村では見かけられていないんだろう」
氷凪
「ああ……きみが話してくれた容姿の者は見ていないな」
氷凪
「……早浪」
早浪
「どうした」
氷凪
「私はきみを信じている」
氷凪
「……鳳佳も聡い子だ。話せばきっと、分かってくれる」
早浪
「そうだと助かるな。状況は思ったより悪いし、慈空の意図も分からない。
ここでいがみ合っている場合じゃない」
早浪
「信じてくれて、ありがとう。
証立てができるものがないのが心苦しいが、私が語ったことが真実だと、行動で示そう」
氷凪
「きみが力を貸してくれて、龍の身になれるならば、この村の龍族全員が救われるのだ。
できる限りの恩返しはするつもりだよ。
無論、都に巣くうかたきを除く、というようなことでもね」
氷凪
「きみは、なにを望む」
早浪
「私は愛する国を救いたい。この穏やかな村を救いたい。
私を救ってくれたきみを助けたい。
慈空のやつが……もしも困り事を抱えているのならば、あいつの事も助けたい」
早浪
「大それた願いだな。それだけだよ」
氷凪
「それはなかなか、大変そうだな。
できる限り手伝ってやりたいと……」
氷凪
「……そうか。心臓をやらねばならないのだった」
氷凪
「まいったな。惜しくなってきた」
早浪
「自覚はしているさ」
早浪
「一先ずは目の前のものからだ。今は私を救ってくれたきみと、この村の人々を助けたいよ。
心臓の事は置いておくとしよう」
氷凪
「ありがとう。
風呂の様子でも見てくるとしよう」
KP
氷凪が立ち去った後、あなたの横にひんやりとした冷気が残っていた。
早浪
「……」
その場で温まってきた手足を静かに組み、少しばかり考え事に沈む。
慈空のやつは何を考えているのか……、彼女は何を考えているのか。
分からない事が多すぎる。
自分の願いは大それたもので、全てを叶える事は叶わないかもしれない。
……覚悟を決めながら、今は目の前の物を追うしかないのだろう。兎を見つけた狼のように。

己が弱さで全てを失わぬよう、今は心を整えるだけだ……。

KP
翌朝、空は真っ青に晴れ渡っていた。
太陽の光が差し、昨日降り積もった雪を溶かす。
氷凪はあなたにかんじきなど、雪の上を不自由なく歩くためのものを渡してくれるだろう。
藁と毛皮で作られた外套のようなものは、見た目よりもずっと暖かい。
早浪
「助かる。晴れているうちに歩を進めた方がいいな」
氷凪
「ああ、急ごう。
ここからはそれなりに距離があるからな」
早浪
村を一度振り返る。
昨日は残っていた未練も、彼女の視線を浴びて消えた。
ここで安寧を貪るなど、最初から叶わぬことだった。
急がねばなるまい。彼女から聞いた行いはあまりに惨い。
きっとあの女ならずとも、人は似たような行いを繰り返したのだろうが、
それにしても只事ではない。
KP
村人達は、あなたをじろじろと見つめている。
それは一昨日のような不意の客人を見るものではなく、憎しみと怒りを押し殺したような、諦めたような、視線だった。
早浪
その視線の中にある諦めが胸を痛ませた。
氷凪
「はぐれぬように着いてきてくれ」
早浪
「ああ」
KP
村を出たあたりで、背後から駆け寄る気配がひとつある。
「氷凪さん」
村の男が一人、追ってきていた。
見覚えがある。想い人を探していた男だ。
氷凪
「どうした?」
KP
その視線のただならなさに気付いたか、氷凪は振り向いて正対する。
男の目はくらやみだった。
KP
〈心理学〉を振ってもよい。
オープンでかまいません。
早浪
CCB<=80〈心理学〉 (1D100<=80) > 17 > 成功
KP
男の目にあったのは深く暗い絶望だった。
希望というものが一切なく、彼女の行方を聞いたときのような焦りすらない。
KP
「氷凪さん、夏芽はどうなったのか一夜考えたんです。
考えても考えても、何一つ希望が見いだせなかった」
氷凪
「そうと決まったわけではないだろう……」
KP
「聞いたんですよ、鳳佳から。
王都の奴らに酷いことをされて、痛い思いをして、それで……」
肩を、そして声を震わせ男は続ける。
KP
「輪廻転生をご存知ですか。
生死は繰り返されている。
死んだ命は、新しい生命へと生まれ変わるんです。
その命に宿った因果を抱えながら、ずっと、ずっと生きていく。

でもどうです。龍族にはそんなことも許されない。
ああ、僕は、彼女のいない命をもう終わらせたい……」
KP
そう男が告げた瞬間、身体の輪郭が溶け始める。
男の肉体がどろりとした粘液状の物質へと変化していく。
早浪
「!」
氷凪
「ああ……」
早浪
「これは……、氷凪、何が起こっているんだ」
氷凪
「龍は……消えるのだ」
KP
「あはは、僕、このまま消えられるんですね。あはは、あははは。
嬉しいなぁ。ああ、嬉しいなぁ……
氷凪さん、そして人狼の方、僕は彼女に会いに行きます。
先に行って彼女をいつまでも待ちます。
それでは、また来世で」
KP
男だったものは地面へと流れ、染み込んでいく。その場には跡形も、何も残らなかった。
早浪
「これが……、消えるということなのか」
KP
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
早浪
CCB<=64 《SANチェック》 (1D100<=64) > 90 > 失敗
1d3 (1D3) > 2
[ 早浪 ] SAN : 64 → 62
早浪
「これが……、消えるということなのか。氷凪、私はふうと姿を消すようなものを思い浮かべていたよ。まさか、こんなものだとは」
氷凪
「……まさかきみにこの瞬間を見られるとは。
龍族の終わりはいつもああなんだ。身体が溶け、そのまま消えてなくなる。いつも満足そうな顔をして消えていく」
氷凪
「そうして皆、わたしを置いてゆくのだ」
早浪
「そう、だったのだな……。あれが、消えてしまうということなのだな」
早浪
「すまない、私達の責だというのに……、動揺した」
氷凪
「……
この問いにもお答えいただかねばならぬ」
氷凪
「そして、な。早浪。
きみの責ではないだろう」
氷凪
「さあ、行こう。晴れているうちに急がねば。
私もいつああして消えるか知れないのだしね」
早浪
「ありがとう。そうだな、急ごう」

KP
雪道をあなた方は歩く。
深い雪道を踏みしめ歩くが、藁で編まれた巨大な網のようなものにより脚が沈み込むことはない。
寒さは随分と和らぎ、歩きやすくなっていた。
何より、この数日しっかりと体を休めたためだろうか、身が軽い。
鬱蒼と生えた木々を抜け、滝裏の洞窟を右に曲がり、見上げる程の大木をさらに右へと進んでいく。
KP
〈目星〉〈追跡〉〈ナビゲート〉
早浪
CCB<=75〈目星〉 (1D100<=75) > 60 > 成功
KP
洞窟に入ったところで、あなたは一人分の小ぶりな足跡が続いているのを見つけた。
それは確信に満ちた歩調で、あなた方の先を行く。
雪がかからない場所に入るたび、導くかのように足跡は続いていた。
早浪
「これは……、彼女の足跡か?」
氷凪
「おそらくそうだろう。
なんて無茶を……」
早浪
「足跡からして、彼女一人か」
氷凪
「そのようだな……
異形のものも連れずに独りきりでどうするつもりなのか」
早浪
「ああ。彼女が何を考えているのか、それが分からない。だが確信はあるようだった」

KP
そうして数時間歩き続けていけば、頂上へとたどり着いた。
日の出頃に出発したというのに、既に日は西へと傾いている。
氷凪
「刻が歪んでいるのだろうか」
早浪
ふ、と息を吐く。
道具があるとはいえ、雪歩きは慣れない。
人狼の身でなければ、疲れ果ててしまっていたことだろう。
早浪
「確かに……、一日歩きとおした、とも感じないな。
ここは陽が早いのかとも思ったが、村ではそういった感じでもなかったな?」
早浪
「時間が、歪んでいるというのか?」
氷凪
「ああ、明らかに……」
KP
山頂に立ち入った瞬間に肌をひりつかせる形容しがたい感覚があなたを襲う。
やはりここは特別な場所なのだと、漠然とではあるが実感をすることだろう。
氷凪
「ここが一番、天に近い場所」
早浪
「……!」
考えるより早くいちど身構えて、辺りを見回す。
彼女の姿はそこにあるだろうか。
KP
そこには何者も立ってはいない。
早浪
足跡は?
KP
このあたりは雪に埋もれているのか、足跡は見つからない。
ただ誰にも踏み荒らされていない真っ白な雪景色が広がっている。
早浪
「彼女の姿は…… 見当たらないな」
辺りを警戒し、ゆっくりと見回す。
彼女の姿こそ見えないが、ここを目指していたことは間違いないのだ。
氷凪
「やはり異形の血が足りず、引き返したのかも知れないが……」
KP
山頂には生きるものの気配はない。
自分たちの呼吸のおとだけが耳に届く。
しんと静まりかえった山の上には風鳴の音すらない。
全てが静止した世界に、あなたがたは踏み込んでいる。
氷凪
「人は決して立ち入ることのできない、理から逸れた世界への入口。
鳳佳が龍王に謁見できたのか、それとも引き返したか、そもそもの行く先が違ったのかは分からないが……」
氷凪
「私は何があろうと自分の道を進むつもりだ」
早浪
「ああ、そうだな。始めよう」
頷く。それでも、今にもよからぬことが起きるのではないかという予感が、己をして氷凪を庇うように立たせた。
氷凪
「……」
KP
氷凪はあなたの動きに、少し驚いたように眉を上げた。
氷凪
「では血を、いただけるかな」
早浪
「ああ」
自然と息を呑んでいた。
龍王など、本当に現れるのだろうか。現れたとして、一度おこなった契りを違えたいなどと、本当に聞いてくれるのだろうか。
それは、神なるものは、人の声をなど聞いてくれるのだろうか。

すべてが思うように為されればいいと願った。
彼の願いが、すべて叶いますように。
早浪
剣を取り、どうすればいいのだろうかと少し戸惑ってから、肌に刃を滑らせる。
KP
氷凪はゆっくりあなたへ一歩近づき、言葉を紡いでいく。
氷凪
「何の因果か運命か、異形の力に魅入られてしまったきみよ。
我らが龍族の光となるため、どうかその血を委ねてくれ」
あなたの腕をそっととり、優しく口づけるように傷口に唇を寄せる。
早浪
「……、」声を上げぬように飲み込んだが、眉根に皺が寄ってしまうのは隠せなかった。
KP
その瞬間、わんわんと大きな耳鳴りが響く。
早浪
「ぐ、っ……、」
KP
氷凪は両耳を手で押さえてよろめいている。
何が起こっているのか。理解をしようにも、だんだんと大きくなる音のせいで思考が上手く纏まらない。
早浪
「ぐ、うぅ……、ああ……、」
呻く。呻く。音が耳の中で渦巻き、心をかき乱す。
KP
そのままあなたたちは意識を手放していくのだった。

KP
はっ、として目を覚ます。
どうやらひんやりとした空間に横たわっているようだ。意識を手放していたはずだが、やけに頭は明瞭だ。身体に異変もない。
早浪
「! すまない、気を失った。氷凪、気は確かか?」
はっと飛び起き、氷凪の姿を探す。
KP
氷凪はあなたのすぐ側で倒れていたが、あなたが声を上げると瞼をピクリと動かした。
氷凪
「早浪……無事か。良かった。
酷い音だったな」
早浪
「よかった、居たか。ああ……、すまない、気を失ってしまったようだ」
氷凪
「……ここは、どこだ? 神の領域なのか?」
早浪
「あの音は龍王様の声なのか? 到底、意味が分かるものではなかったが……、
そうだ、ここはどこだ?」
周囲を見回す。
KP
地面は白く輝いておりひんやり冷たい。
触れれば水面のように揺れるが、上を歩けば地面のようにかたい。
周囲はうっすらとした霧に覆われている。
だが、霧の向こうに桃白の滝のようなものが見えた。
早浪
上を見上げるが、空は見えるだろうか?
KP
空は白く、果てしなく広がっている。
早浪
滝以外に周囲に何か見えるだろうか?
KP
広い広い空間に、霧が立ちこめている、と思える。
他には何もないようだ。
氷凪
「これは確かに、人の世界とは思えないな」
早浪
「ああ……。夢まぼろしのようだ」
KP
さらさらと音が聞こえる。
水ではなく、草木が揺れる音のようだ。
早浪
「あれは草木の音……、か?」
辺りを見回すが、草木はあるだろうか?
KP
どうやらそれは、桃色の滝の方から聞こえてくる。
早浪
「あれは、滝か。龍王のおわす場としては、似合いに思えるな。
向かってみよう。他にあるものもないようだ」
氷凪
「ああ。神は何処におわすのか……
あの書にはここまでは載っていなかったな」
早浪
「ああ。山頂に降臨なさるものだとばかり想像していた」
KP
〈目星〉
早浪
CCB<=75〈目星〉 (1D100<=75) > 90 > 失敗
KP
歩を進めると、桃色の滝が巨大なしだれ桜であると知れる。
桜の前に、白い球体が浮かんでいた。
早浪
「こ、れは……、滝ではなく、桜だったのか。
なんという威容だ」
KP
そのまま向かっていけば、桜の元へとたどり着く。
さらさらと枝が揺れれば、淡い桃色の花片はなひらが舞い、地面へと溶け消えていった。
そして、枝垂桜の前には青白く輝く球体が浮かんでいる。
氷凪
「これが桜というものか。美しい」

早浪
「桜」って言おうとするたびに変換に佐倉さんがこんにちはする
氷凪
あるある
これが佐倉という者か
ちがう。

早浪
「ああ。桜だ。この枝が下がっているのは枝垂桜という。
しかし、ここまで巨大な枝垂桜は見たことがない……」
KP
氷凪がおもむろに球体へ手を伸ばした。
その瞬間、突風があなたたちを襲う。
早浪
「!」
思わず身をかばう
KP
枝から離れた花片はなひらたちが風によって吹き上げられ、大きな渦を描いていく。
その渦の中心を通るようにして球体が高く昇って行ったかと思えば、ぱちりと宙で弾けた。光の粒子が辺りへ降り注げば、次第にそれらは一つの形へと変容していく。

輝く青い鱗。しなやかに靡く鬣。
万物を見通すような淡青の瞳。
その全てが網膜へと焼き付き離れない。目を逸らすことができない。
これこそが何よりも気高く尊いものだと、頭ではなく、魂へ刻みつけられているような心地がした。
KP
正気度減少成功時減少 1D6 / 失敗時減少 1D20》
早浪
CCB<=62 《SANチェック》 (1D100<=62) > 43 > 成功
1d6 (1D6) > 3
[ 早浪 ] SAN : 62 → 59
早浪
意識よりも先に肉体が頭を垂れた。
自然と、平伏す。
ああ、これが彼らに加護を与え、その運命を捻じ曲げた。

龍王、なのか。
KP
龍王ロンワンはあなたたちを見つめると、言葉を交わしてくる。
その声は穏やかで、慈愛に満ちた母のような囁きだった。
KP
「よく来たな、元人間の狼。
そして私を崇める龍の子よ」
早浪
「有難く存じます」
KP
「ふむ。この姿の方が話しやすかろう」
姿を変えた。
そんなことにも気付かなかった。
あなたたちの前に、異形の老人がいた。

KP
ほんじつここまで!
のびちゃった。
早浪
ありがとうございましたー! 龍族の消え方が大層怪しいぞ
KP
なんなんでしょうねー
早浪
一体なにとどう契約しちゃったんだよぅ。
自称龍王おまえなにものだよぅ。
KP
龍王だよー
早浪
えぇー
KP
割と過去編が終盤だったりします。
早浪
ほうほう。
マントが決まらなくて立ち絵全身版できてないんだけど、次回までには完成してなくてもとにかく何かしら上げよう。
KP
これでも劇中時間一日延ばしてるんだな。
早浪
なんと。のびてた。
KP
割とサクサク進んじゃうからなぁ。
早浪
割ともったいないなぁ。
キャンペーンというより一日かけてやる単発に近いスケール感なのかしら。
KP
ねー。
龍族の里で一月ほど過ごして欲しい。
早浪
お話が重くて絆や関係性が大事だから、サクサク進んじゃうと色々もったいない。補完ありがとうございます。
KP
シナリオにあるテキストだけ読む感じなら、全部ぶっ通しで一日かければできそうな規模ですね。
早浪
なるほどぉ。
とはいえそれだと本当にもったいないし、お話に追いつけないままお話が流れるだけで終わっちゃうからなぁ。
ちゃんとPCとKPCがその中にいるものとして味わいたい。
KP
そうなんだよねー、大変勿体ないと思うこのお話。
あまり歪めないようにしつつも大盛りでやります!
早浪
前にやったボイセで、お話としては本当にダイナミックで面白いのに、サクサク進み過ぎてRPや心情を挟む余地がほとんどないまま終わっちゃった卓があるんですよね。もっと色々感じたかった。
KP
卓の雰囲気とかもあるでしょうけど、盛った方が楽しそうなのにサクサクだと寂しいですからね。
早浪
なんですよねぇえええ。言いたいことやりたいこと話したいこともっと色々あった。
あんまり長期間かけるキャンペーンってはやらないのかなぁ。
KP
この話なんかはコミックス5巻分くらい欲しいところ、ガンガンイベントすっ飛ばして1巻に纏められてる、学年誌漫画感がある。
早浪
ああんもったいない。
KP
シナリオがそれしか語る気ないパターンと、KPがそれしか語る気ないパターンあるからなぁ。
ボイセだとなかなか盛るのは難しいかなという気はします。
デッチアゲも大変だし。
細かい描写覚えてられないしなぁー
早浪
ですねぇ。会話も聞き取りにくかったりするし。
タイマンしっとりシーンだけテキストで行われていた卓もありましたね。
KP
なるほどー。
早浪
全部ボイセでも濃密な会話をできて、尺もがっつり取られていた卓もあったから、そこは本当にシナリオとKPのスタイルなんだろうなと思いますね。
KP
ですねぇー。本当に卓次第。
でも私はもうボイセで分厚いのやれる気がしないなぁー。
ノリで打ち返すのはできるけど、心情汲んだり人のRP拾ったりする余裕がなーい。
早浪
分かる。テキセの方がそこは遥かに拾いやすいんですよね。
ノリシナリオのスピード感のある会話はできても、RP拾ったりがっつり心情描写したりするのはボイセだと無理ッッ
特にボイセで心情描写はまず無理ッッ
KP
ボイセで心情描写やったらくどくなるから演技するしかないなぁ。
早浪
なんですよねぇ。台詞表現や心情描写が使えないから、演技できないとボイセでRPはなかなか難しい。
早浪
おおおお背景が龍王様!!
KP
狙ったわけじゃないけどこれでいいや!
早浪
狙ったわけじゃなかった!! でもメッチャアリだと思います
KP
おっと、30分でございますね。
早浪
ですね。ありがとうございました。
KP
ありがとうございました!

KP
そういえばこの回ラストでの血を飲むシーン。じつは喉食い破って飲むとこでした。
早浪さんが先に血を流したし、喉じゃなきゃならない理由が分かんなかったので、折角だからってことで紳士的な吸血になりました。
早浪
なんと喉だった!
それも衝撃的かつ耽美でいいけど、早浪が先に話を聞いてたから紳士的になった。

コメント By.KP
憎しみと怒りを知り、早浪は氷凪の願いを叶えるために山を登る。
早浪自身の願いは天に届くのか。

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【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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「不安ではあるけど……なんか、こう……」
「こう?」
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