エモクロアTRPGリプレイ『テディベアズ・デイ』 /CoC『VOID』継続 結城&ヴィキ 4

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こちらには
エモクロア『テディベアズ・デイ』
CoC『VOID』

のネタバレがあります。

本編見る!
DL
では、初日の夜は終わり
朝を迎える
結城 晃
伸びをして目覚めて、部屋の中に広がるドールハウスに一瞬ぎょっとする。
結城 晃
そして、寝る前にヴィキを隣に寝かせたことを思い出した。
DL
朝、目を覚ますと
隣にヴィキの姿は無い
結城 晃
慌ててベッドのわきや隅っこを確認する。
「ヴィキ?」
DL
貴方がそうやって彼女の姿を探すと
リビングに置かれた小さなローテーブルの上に置かれたドールハウスが目に入る
そしてその中から、何かぶつぶつと声が聞こえる
結城 晃
「……?」
思わず聞き耳を立てる。
ヴィキ(?)
「うーん……これはなんというか……
こっちのも、捨てがたいけど……
でも、ちょっと特殊すぎるというか……」
DL
そんな声が聞こえてくる
結城 晃
何となく察したのでそのまま身支度に向かおう。
プライバシーだプライバシー。
DL
では、貴方がなんとなく時間をかけて朝の身支度を終えてリビングへ戻ってくると
ヴィキ(?)
ちょうどドールハウスのドアが開いて、中からヴィキが姿を現すところだった
結城 晃
「おはよう、ヴィキ」
ヴィキ(?)
「うわっ?」
結城 晃
「何?」
ヴィキ(?)
不意に声を掛けられて、そちらを見やる彼女の姿は、童話のアリスのようなエプロンドレスを纏ったもの
「あ、あっくん、起きてたの」
ヴィキ(?)
「ご、ごめん、なんか店長さんがお洋服も用意してくれてたみたいなんだけど、こんな可愛らしいのしか……」
結城 晃
「あっ、可愛い」
ヴィキ(?)
「えっ
そ、そうかな」
なんとなく、エプロンの裾を摘んではにかむ
結城 晃
「うん、似合うよ。そこに鏡ある? 洗面所に行く?」
ヴィキ(?)
「ありがと……。姿見は、ちゃんと中にあったんだ。なんか、おもちゃのシール貼ったやつとかじゃなくて、ちゃんとしたやつ」
結城 晃
「へぇ、さすが……そうだっけ」
あんまり覚えてないな、と首をひねる。
何しろ昨日は慣れないことで必死だったから。
ヴィキ(?)
「でも、そっか。変じゃなかったら、よかった」
テーブルの上で、彼女がくるりと回……ろうとして、
「あわわ」
やはりふわふわの足でバランスを崩して、転んでしまう
結城 晃
おっと。慌てて手を差し伸べる。
DL
その手の中に、ポスっと倒れ込む
やはりその体は軽く、柔らかい
結城 晃
そして、昨日店主が言っていたことを思い出す。
なるほど、この姿だと人に構って貰える。
人に世話をして貰える。そういうことか。
しかしそれは……どうなんだろう。
病気の時は構って貰える、と何が違うんだ?
ヴィキ(?)
「おっとっと……。ごめんね」
結城 晃
「いや……
しかし治る気配はなしか……」
ヴィキ(?)
「うん……」
結城 晃
「まあゆっくりやろう」

結城 晃
今日は平日だよね。
DL
平日ですね
結城 晃
では職場に連絡だ。なるべく具合悪そう~な声で。
「すみません、ちょっと、体調が悪く……申し訳ありません」
DL
職場、つまりはドロ課オフィスですね
そこの固定電話に掛ける感じ? それとも同僚に掛ける?
結城 晃
上司っていないのかな?
いればそこにかけるけど。
DL
そうか、黒田さんの代わりの人が上席に入っているかな
結城 晃
上司の携帯にかけてー
繋がんなかったら仕方ないからメールも送りつつ同僚にかける、だな。
普通に有給取ってもいいか。
そんな直前に取れるかどうかはしらぬ。
DL
じゃぁ、まぁ上席の人を考えるのもアレなので

佳菜子 ハルトマン
『はい、ハルトマンです』
結城 晃
「お早う、ハルトマンさん。
ごめん、今日も体調が悪くて……」
佳菜子 ハルトマン
『あ、おはよう。どう、具合は……って、そうか』
結城 晃
「マツイさんに連絡したんだけど繋がらなくて。
メールは送ったんだけど、ハルトマンさんからも伝えておいて貰えないかな……」
佳菜子 ハルトマン
『OK OK、了解』
結城 晃
ナニを了解したんだろう。
一抹の不安。
佳菜子 ハルトマン
『いいけど、ヴィキちゃんは大丈夫なの? お節介かもしれないけど、彼女の立場はあくまで貴方の補佐なんだからね。貴方がちゃんとしてないと、彼女も変な目で見られることになるんだから……』
結城 晃
「ああ。うん。それは、もちろん」
大丈夫なのか、という言葉に少しドキリとする。
佳菜子 ハルトマン
『一応、リモートで対応だけはするって伝えておくから……』
それからいくつかの連絡事項の申し送りなどを交わし
『それじゃ、お大事に。彼女にもよろしくね』
『メンテ明けなんだかハーとさら、あまり無理はしないように』
結城 晃
「ああ、ありがとう。伝えておく」
DL
釘を刺すようにそう伝えて、通話は切れた

結城 晃
「……はー。
あの子勘がいいんだよなぁ」
ヴィキ(?)
「あっくん、大丈夫?」
結城 晃
「ああ、ハルトマンさんがヴィキのこと心配してたよ。
よろしくって」
ヴィキ(?)
「そうなんだ……
ごめんね、迷惑かけて」
結城 晃
「迷惑?
ああ。別に迷惑じゃないよ。
困ってるんだし当たり前のことだし。
さてと、休みは取ったし、食事にしようか」
ヴィキ(?)
彼女は少し何かを考えるようにしていたが
「うん、お手伝いするよ」
結城 晃
「手伝いかー」
ちょっと考える。
レンチンでも手伝って貰おうかな。
冷凍庫からご飯出して、魚と納豆と……
ヴィキ(?)
「OK、任せて」
結城 晃
「ヴィキ納豆平気?」
いや、いつもは平気なんだけど……
ヴィキ(?)
「どっちかっていうと好きだけど……この体だと、汚れちゃうかな?
匂いとか、取れなくなっちゃったらイヤだなぁ」
結城 晃
「やめとこうか」
ヴィキ(?)
「うん、お願い」
結城 晃
「じゃあ豆腐と……」
と、適当に冷蔵庫にある物などを出して簡単な朝食を準備しよう。
ヴィキ(?)
彼女は、運び上げてもらったキッチンの上で、電子レンジのドアを全身で開き
中に食材を入れて、ボタンを押……そうとして
「む」
指の無いふわふわの手でボタンを押そうとして、その手は ふに、っと凹んでしまう
結城 晃
意外と難しかったか……
苦戦している様子をちらちらと見るが手は貸さない。
ヴィキ(?)
それでも、何度かチャレンジして
「むむむむむ……えいっ」
力一杯押し込むと、電子音がしてようやく電子レンジは動き始めた
結城 晃
「ありがとう」
ヴィキ(?)
「……ふう。いえいえ、どういたしまして」
結城 晃
熱い米は彼女の体にもやっぱり熱いんだろうな。
ヴィキ(?)
「うわー、この視点で見ると、ダイナミック」
覗き窓の向こうで、音を立てて加熱される食材を覗き込んでいる
結城 晃
「……大丈夫?」
おっと、魚が焼けた。
回収して、一切れ取り分ける。
DL
そうして、二人で(?)朝食を用意し
人間サイズと人形サイズの朝食が、それぞれの食卓に並ぶ
結城 晃
ドールハウスから椅子とテーブル持ってきて、彼女も座れるように準備しようか。
ヴィキ(?)
では、そのように用意してもらった家具の席について、彼女は手を合わせる
ヴィキ(?)
「いただきまーす」
結城 晃
「いただきます」
DL
とはいえ、貴方の手助けはやはり必要だろうけれど
結城 晃
必要そうなら手を貸すよ。
DL
そうして、二人で朝食を食べ進める

ヴィキ(?)
「そういえば、今日もお休みになっちゃったんだっけ」
結城 晃
「ああ。そんなすぐに状況変わりそうにないしな」
ヴィキ(?)
「そっか……」
結城 晃
「原因も良く分からないんじゃ、どうしようもないし。
寂しさが原因、っていうけど、最近なにかあったかなぁ」
ヴィキ(?)
「……」
彼女は、その言葉に黙り込む
結城 晃
「そういえば……メンテ中さ」
ヴィキ(?)
「うん」
結城 晃
「忙しかった?」
ヴィキ(?)
「んー……」
少し考え込むようにしてから
「そうだね、まぁアップデートが終わってからは、あとは色々なチェックとかして、そのフィードバックを見て、また調整、みたいな感じの繰り返しだったかな。
忙しいっていうか、まぁちょっと退屈だったかも」
結城 晃
「退屈だった?」
ヴィキ(?)
「なんか、知能テストとか、指先の動作のチェックっていうのかな。ほら、見たことない?」
身振り手振り
「棒が何本かあって、それに大中小の輪っかが通されてて。
何回の手順でそれを順番通りに端から端まで移動させる、とか」
結城 晃
「あー、頭は暇だけど体は忙しい、みたいな?」
ヴィキ(?)
「そうそう、そんな感じ」
結城 晃
「VOIDもそんなことやるんだ……?」
ヴィキ(?)
「他にも、階段を何度も何度も上り下りしたり」
結城 晃
「大変だな、動作チェック」
ヴィキ(?)
「認識系や知覚系、フィードバック系……色々あるからね」
結城 晃
「それでメールなんか返してる暇なかったのか」
ヴィキ(?)
「あー……
ん……まぁ、そんな感じ、かな」
少しだけ黙り
「あっくんは? 私がいなくて、お仕事は大丈夫だった?」
結城 晃
「ああ、なんとか。
ヴィキがいないと、色々困ることはあったけど。
色々助けて貰ったからね」
ヴィキ(?)
「そっか……」
結城 晃
「まあ、仕事は、ね」
ヴィキ(?)
「仕事『は』?」
結城 晃
「ヴィキのメールの返事は……うん、仕方ないんだけど。
メンテも大事だしさ」
ヴィキ(?)
「えっ?」
結城 晃
「俺は早く帰ってきて欲しかったな、正直言うと」
ヴィキ(?)
「……」
結城 晃
「早く会いたかったから。
ああ。ごめん。俺が寂しかったって話しても仕方ないな……」
ヴィキ(?)
「あ、ううん。大丈夫、大丈夫」
なにが大丈夫なのかはわからないが、彼女はフォローするように言い
「そっか。あ、じゃぁさ。
せっかく、お休みいただけたんだし、今日は久しぶりにいっぱい一緒に過ごそうよ」
柔らかい手を挙げて、提案
結城 晃
「そうだな。せっかく休みになっちゃったし。
とはいえ……外に出てまた烏に襲われても困るなぁ」
ヴィキ(?)
「うーん……そっか……」
結城 晃
「家でできることかー。また映画観るとかでもいいけど。
折角だから、その体じゃないとできないことやってみるというのも」
ヴィキ(?)
「この体じゃないと、できないこと?」
不思議そうに、自分の指の無い手を眺める
結城 晃
「……かくれんぼとか。
……」
ヴィキ(?)
「お、おおー、なるほど?」
結城 晃
「いややっぱ今のナシ……って。
案外乗り気?」
ヴィキ(?)
「ううん、せっかくだしやってみようよ。
こんな経験、今だけ……と思いたいし、今だけかもしれないし」
結城 晃
「それじゃあ折角思いついたことだし。
この部屋限定で」
と居間を指す。
ヴィキ(?)
「OK!」
結城 晃
「俺は部屋に行っておくから、15分経ったら開始ってことで」
壁の時計を指す。
ヴィキ(?)
「おっ、そんなに時間もらっちゃっていいの?」
結城 晃
「移動に時間かかるかも知れないだろ?」
ヴィキ(?)
「ふふふ、その余裕が命取りだよ」
結城 晃
「そっちこそ」
ヴィキ(?)
言って、ローテーブルからひらりと飛び降り、床で尻餅をついて跳ねる
「わっとと」
結城 晃
「わっ。大丈夫?」
ヴィキ(?)
「うん、大丈夫大丈夫。この体、柔らかいから」
結城 晃
「壊れは……しないかも知れないけど、あんまり無茶しないでくれよ」
ヴィキ(?)
「ありがと。さーて、どこにしようかな」
結城 晃
それじゃあ、と自室に入る。
ヴィキ(?)
「ベッドの下……
……は、わかりやすいか」
なんて声が聞こえてくる
結城 晃
そのまま15分、じっと待つ。
それにしても、寂しい、か。
メンテナンスなんてそれなりにあることだけど、今回は何か違っただろうか……
ヴィキ(?)
やがて
「いいよぉ」
とくぐもった声が聞こえた
結城 晃
「お」
捜しに行こう。
DL
貴方が部屋へと戻る
彼女の姿は、パッと見る限りどこにも無い
結城 晃
大きめの家具の下、裏を覗いていく。
それなりにちゃんと掃除してあるので、そんなに隠れられる場所はないだろうと思ったのだが……意外とあるな。
DL
そうだなー、では
3回、【知覚】系で判定してもらおう
かくれんぼ判定
結城 晃
〈直感〉は使える?
DL
OK
結城 晃
2DM<=4 〈直感〉 (2DM<=4) > [3, 7] > 1 > 成功数1 成功
2DM<=4 〈直感〉 (2DM<=4) > [1, 2] > 3 > 成功数3 トリプル
2DM<=4 〈直感〉 (2DM<=4) > [8, 6] > 0 > 成功数0 失敗
DL
では、貴方の勝率は66%といったところだった
全部直感なので、あまりあちこちを探し回るというより、ここだ! というところをがっと覗き込んだ、って感じかな
結城 晃
あの体ならここに違いない! とか
ヴィキならきっとこういう所は避けるからこっちだ! みたいな。

ヴィキ(?)
「うわっ!?」
なんとなく、と覗き込んだキャビネットの裏、狭い隙間に、その柔らかい体をぎゅむっと押し込んだヴィキを見つけたり
ヴィキ(?)
「残念、ここだぁ!」
とスピーカーのネットの向こう、ドライバーコーンの窪みに収まっていることで、裏を掻かれたり
結城 晃
「むむむむ。どこだ……
お前のプリンは預かった。すみやかに出てこないと食べちゃうぞ。
なーんて」
遊び続ける内に段々子供じみたおふざけが入る。
ヴィキ(?)
「ちょっと、ずるい……」
言いながら、洗濯物の山の中から出てきたり
DL
彼女も、この現象の要因であると言われたような、寂しさを時折見せていた昨晩と打って変わって
いつしか無邪気に、どころか自らの今の体を活かして、思いも掛けないところに隠れたり
結城 晃
「こういうシーンを例えば誰かが見ていたとしたら、どう見えるんだろう?」
ヴィキ(?)
「うーん、一人で床に這いつくばって、棚の向こうのテディベアを『ははは、見つけたぞこいつぅ!』って嬉しそうに取り出してる人?」
結城 晃
「うわこわい」
ヴィキ(?)
「あんまり、お近づきになりたくないタイプに見えちゃうかもなぁ」
DL
いつもとは違う二人の関係で臨む隠れんぼは、とても楽しく
お互いに抱えていた『寂しさ』も、どこか忘れてしまっている内に時間が過ぎていたようだ
結城 晃
「ちょっと休んでお茶でも飲もうか」
DL
そう言って時計を見れば、すっかりお昼を回っていた
結城 晃
「おっと。随分遊んでたな。もうこんな時間か」
DL
そうして、貴方がお茶の提案をすると
ヴィキ(?)
「はーい」
明るい顔の彼女が、最後に隠れていた場所から姿を現す
そして
「……あれ?」
怪訝な声
結城 晃
「ん?」
ヴィキ(?)
その声に貴方がそちらの方を見ると、自分の両足を不思議な顔で見下ろす彼女の姿
その両足は、ほんのりと光っていた
結城 晃
「うわっ」
ヴィキ(?)
「あれ? あれ? なにこれ」
結城 晃
「光ってる?」
DL
そうして、二人が見つめる先で
やがて、光が収まってくると、彼女の両足は、これまでの膝や足首などといったくびれも無いようなぬいぐるみのそれであったものから一転、サイズこそ小さなものであったが、見慣れた彼女自身のものへと変わっていた
結城 晃
「うわ!?
足が、治った」
DL
彼女は、その様子に戸惑いながらも、恐る恐るその爪先で床を突いてみる
すると、とん、とん、という確かな実体のあるもので床に触れる音がした
DL
そして
その様子を見た貴方は共鳴判定を
強度3/上昇1d3
共鳴感情:庇護「関係」
結城 晃
1DM<=3 〈∞共鳴〉 (1DM<=3) > [6] > 0 > 成功数0 失敗
DL
では、共鳴はなしです
DL
そして、マスターシーンを入れますね
結城 晃
はーい

DL
幾度か、試すようにしていた彼女は、やがて嬉しそうに足を踏みしめる。
一歩、また一歩。
歩み、走り、その様子は自由を取り戻すことに喜びを露わにしているようにも感じられる。
一人でどこへでも行ける。
そんな喜びが
一人でどこへでも、貴方を置いて、どこかへ。
その様子を見ていた貴方は、自由に歩けるようになったヴィキが、一人で立ち歩く姿に、胸を締め付けられる。
……いや、不安を覚える。
結城 晃
なんだろう、この気持ちは……
DL
危険な目に遭わないだろうか?
怪我はしないだろうか?
連れ去られたりしないだろうか?
危害を加えられやしないか?
守らなければ
守らなければ
守らなければ
そんなもっともらしい言い訳を小さな黒いインクにして、自ら貴方の瞳に落とす。
ヴィキの姿が黒く滲んでゆく。
気がつくと、貴方は無意識に、喜びはしゃぐようにして歩き回るヴィキを、手の中にしまい込むようにして抱え上げていた
結城 晃
ぎゅっと。放さないように。
遠くへ行かないように。
ヴィキ(?)
「わ……! あ、あっくん?
どうしたの?」
結城 晃
「あ、ああ、良かった。うん。
けどその、バランスがさ。悪そうで。心配になって」
仕事の時に盾になってくれる勇ましい彼女の姿が、
遠い遠い過去の記憶と重なる。
このままの方が、いいのではないのか、と。
ヴィキ(?)
「ああ、そういうこと。
でも、大丈夫だよ。見て、ほら。足がね、足だけだけど……治ったの。
これで、私だけでも歩けるよ」
結城 晃
「ああ。ああ。そうだな。だけど。
急がなくてもいい、んじゃないかな……」
ヴィキ(?)
「え?」
結城 晃
「あしたも有給取るからさ……」
ヴィキ(?)
「でも、そんな何日もお休みするわけにも……
もしかしたら、今晩には元に戻れてるかもしれないしさ」
結城 晃
どきりとした。
「戻れていないかも」
ヴィキ(?)
「え、えぇ?」
結城 晃
「昨日変わって、足だけ治るのに丸一日かかったんだ。
普通に考えて、まだまだかかるんじゃないのか?
原因も良くわからないし……さ」
ヴィキ(?)
「そ、そんな怖いこと、言わないでよ……」
彼女の顔が曇る
結城 晃
「ここにいていいよ。治るまで。
ここにいてくれよ」
ヴィキ(?)
「あっくん……」
DL
貴方が自身の内に生まれた不安に迷い、戸惑っていると
不意に、連続した電子音が鳴る
通信端末の着信だ
結城 晃
「うわっ!?
はい、ゆ、結城です」
出る。
DL
貴方がヴィキの体をテーブルに下ろし、通話に出ると、それは佳菜子だった
佳菜子 ハルトマン
『もしもーし』
結城 晃
「も、もしもし。
何かありました?」
佳菜子 ハルトマン
『どうしたの慌てて……。あ、もしかしてお邪魔でしたかしら?』
結城 晃
「いや、いや、そういう訳ではないです」
佳菜子 ハルトマン
『ふーん。ま、いいけどね』
結城 晃
「そうだ、有給申請出しておかないと……
急ぎの件、ありますか」
佳菜子 ハルトマン
『うん、それならさっき書面作ってメールしておいたから。あとは貴方がハンコ押して戻してくれればいいから』
『それで、ね。貴方がこの間相談してきた、ほら……一緒に住むっていう話』
結城 晃
「えっ?」
佳菜子 ハルトマン
『なによ、えって』
結城 晃
「あ、ああ。うん。あれか」
ちらっとヴィキを見る。
佳菜子 ハルトマン
『大丈夫? 彼女、近くにいるの?』
結城 晃
「看病に来てくれているから」
佳菜子 ハルトマン
『ああ、そうか。それはそうよね。じゃぁ、ここであまりお話しするのも何だね』
『セカンドオピニオンっていうわけじゃないけどさ、もしかしたら参考になるかもしれない記事とかあったから、リンク送っておくから』
結城 晃
「あ、ああ、ありがとう、助かるよ」
佳菜子 ハルトマン
『いえいえ、どういたしまして。まぁ、あまり構え過ぎないようにね。自然が一番よ。これから長いんだから』
結城 晃
「そうだね。ああ。ほんとうに……」
ヴィキを見つめる。
「そう願うよ」
ヴィキ(?)
「……?」
佳菜子 ハルトマン
『それじゃ、これからランチだから。彼女にもよろしく』
言って、通話は切れた
結城 晃
「……」
DL
そして、ホーム画面に戻った端末が、手の中で再び鳴る
今度は短く
SMSの着信だ
結城 晃
お。誰だ。
コナー
コナーから
結城 晃
コナー君w
結城 晃
文面を確認しよう。
コナー
『お疲れ様です。コナーです。ハルトマンさんから、お話を伺いました。お加減はいかがですか? 何かお手伝いできることがあれば、お気になさらず、お申し付けください』
彼らしい几帳面な書き出しから始まる
『これは、当人からは言うな、と言われているんですが、城山さんから』
『ヴィキさんですが、大丈夫でしょうか?』
『実は、先日ラウンジでお会いした時のことなのですが、あの日、実はヴィキさんが署においでになっていたのです』
『そこで、結城さんとハルトマンさんが談笑されているのをご覧になられていたらしく』
『結局、お会いにならないまま、お帰りになられてしまったそうですが、その件で城山さんがやたらお二人のことを気にされていて』
『お恥ずかしながら、私はまだそうした人間の皆さんの機微というものに敏くありませんので、よくはわかりませんが、城山さんが『大丈夫なのか、大丈夫なのか』と』
結城 晃
おやおやー? 城山ぁー?
コナー
『先日もそれでお邪魔をしてしまったらしいのですが、何かお困りではありませんか? お加減のこと含め、お力になれたら幸いです。返信も不要ですので、お大事にしてください。それでは』
DL
という内容
結城 晃
「……ハルトマンさん……?」
DL
そうまで聞けば、貴方にも彼女の『寂しさ』の要因に察しがついても良いでしょう
結城 晃
あまりに鈍すぎてプッシュされたwww
DL
シナリオにも、ここまで来ればわかんだろ? って書いてあるから

結城 晃
「ああ……そうか」
DL
そういえば、あの日を境に、ヴィキからのメッセージは素っ気の無いものとなった
貴方が、そう呟いた時
佳菜子との通話を終え、彼女の名を呟いた時
ヴィキ(?)
「あ……わぁっ」
ヴィキの小さな悲鳴
結城 晃
振り返る。
ヴィキ(?)
見ると、彼女の足は元のぬいぐるみの足へと戻ってしまっていた
そのために、バランスを崩してしまったのだろう、彼女は尻餅をついていた
DL
あの日のこと
貴方が、ヴィキとのこれからについて、佳菜子に相談を持ちかけた日
その様子を、ヴィキは目撃していたという
メンテナンスの合間を縫ってのことだったのか、その理由はわからないが、その時、貴方と同じ会えない『寂しさ』を癒そうと訪れた先で、それを目撃した彼女は、何を思っただろうか
ヴィキ(?)
「戻っちゃった……」
結城 晃
「ヴィキ」
ヴィキ(?)
「あ……えっと、何?」
彼女が不安げに見上げる
結城 晃
小さなクマを抱き上げる。
このままの姿でいれば。ずっと側にいてくれる。
俺だけのものでいてくれる……
じっと、縫いぐるみを見つめた。
DL
では、共鳴判定
強度3/上昇1d3
共鳴感情:庇護「関係」、「関係」
結城 晃
1DM<=3 〈∞共鳴〉 (1DM<=3) > [8] > 0 > 成功数0 失敗
ここでヴィキの判定が抜けていたことが判明。一気に判定を行う。
DL
1DM<=3×2
1DM<=6 (1DM<=6) > [1] > 2 > 成功数2 ダブル
2DM<=3 (2DM<=3) > [5, 1] > 2 > 成功数2 ダブル
1d3 (1D3) > 1
3DM<=6 (3DM<=6) > [2, 7, 8] > 1 > 成功数1 成功
1d3 (1D3) > 2
[ ヴィキ(?) ] 共鳴値 : 3 → 5

DL
ヴィキの心細くなった要因は分かった
誤解を解けば、彼女は安心し、あの店長が告げたテディベアの憑依は解けるだろう
そういう貴方の脳裏の閃きとは別に、甘い囁きが撫でる
もしこのまま誤解を解かずにいれば、ヴィキは自分の側を離れることができなくなるのではないか?
ヴィキは今、自分を頼らなければ生きられない
一人でどこへ行くことも、何もできない
ただ真っ直ぐに、自分だけを見ている
貴方は思う
今がずっと、ずっと続くことが約束されるのならば、このままでも良いのではないか?

DL
これよりクライマックスフェイズとなりますが、その前に一点確認です
貴方は、この妖精からの贈り物、テディベアの意思に同調・同意する気持ちはありますか?
結城 晃
ないよ。
DL
OK
では、貴方はこの甘い囁きが、妖精からの贈り物、テディベアに誘導されているものであると認識できます

結城 晃
ああ、俺は、おかしいんだ。
俺が愛しているヴィキは……俺だけを見てくれる人形なんかじゃない。
自分の足で立って、自分で考える、自由で聡明な女性だ。
彼女が何を思おうと、何をしようと、俺が縛る権利なんかない。
ヴィキが例えVOIDだからといって。
俺の管理下にあるVOIDだからといって。
彼女は俺の『もの』ではないんだ。
彼女は、一個人であるヴィキなんだ。

DL
では、クライマックスフェイズへと進行します
結城 晃
はーい
DL
クライマックスフェイズの説明
クライマックスフェイズの説明
DL
ご質問などありますか?
結城 晃
ないけど、これはなかなか大変だな。
DL
RPによるボーナスもありますので、頑張って

コメント By.結城 晃
ちょっと子供じみたことをする結城。本当にこれで大丈夫?