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こちらには『識に響奏』
ネタバレがあります。

波照間 紅

真・女神転生発のサマナーで悪魔退治屋。弓術を得意とする真面目な青年。
沖縄出身である。

宇宙に並々ならぬ思いを抱く。


東雲 圓華

とある奇妙な縁で波照間と出会った。
おっとりして見えるが、いざという時の爆発力は高い。
ダンスが得意。




識に響奏
哀色の犬 様


KP
ガタンゴトン、心地よい振動が体を揺らす。
車窓から見える景色も青々とした田園風景が広がり、自分たちが随分離れた場所までやってきたことを実感させる。

本日、8月12日。あなた達はお盆休みに合わせて、ふたりで温泉旅行へと向かっている最中だ。本日から1泊2日の温泉旅行へと向かうのだ。

ふと、目の前を見てみれば、向かいに座っている東雲が、ガイドブックを熱心に読み込んでいるのが目に入るだろう。
はじまり
KP
日付が超タイムリー
波照間 紅
タイムリーだ!
開始したのが8月15日でした。
波照間 紅
わーい、よろしくお願いします。
KP
よろしくお願いします!

波照間 紅
傍らにいる人の横顔に、思わず見入ってしまう。
青々とした田園風景を背景に流れ落ちる髪がまばゆく、美しい。
KP
その髪の毛の中、柳の間を飛ぶように青く煌めく蝶が見え隠れする。民芸品じみたピアスだ。
ちょっと前に二人でそぞろ歩きをしているときに、露天で見かけたものだ。似たような蝶のアクセサリーが並んでおり、「なんだか綺麗だから」くらいの軽い気持ちで、互いに似合いそうなものを買ったのだ。

KP
勝手にプレゼント交換生やした!
そんな大それたものじゃないけど!
波照間 紅
素敵!
後で意味が乗りそうで楽しい。
波照間、耳飾りしなさそう&ブレスレットだと牧志とかぶるand弓を扱うときにごちゃつきそうなのでチョーカーになりました。

波照間 紅
きらめく髪の間を飛ぶ青い蝶に視線が吸い込まれそうで、つい胸が高鳴る。

自分の首にも、同じ形のチョーカーがある。
こういう飾り物には慣れなくて、身につけてすぐはいちいち意識してしまってそわそわとした。
KP
あなたのチョーカーは、店で見たときから妙に気に入って思わず手に取ってしまったものだ。
シンプルな蝶を思わせる銀の細工の中央に水色の石がはまっている。
普段アクセサリーなどつけないあなたが身に付けているのは、そういったいきさつの品だから、というだけではなかったかもしれない。
波照間 紅
普段つけないアクセサリーのある姿が電車の窓に映ればどこかくすぐったかったが、涼やかな煌めきが常に見えるのは悪くなかった。
東雲 圓華
いつのまにか「なあに?」といいたげな目が、あなたを見ていた。
波照間 紅
「あ……ああ、すまない。
その、綺麗でつい見惚れてしまって。不躾だったな」
翠の眼と向き合って、心臓が高鳴る。
東雲 圓華
「やだ、紅さんたら」
KP
東雲は目を丸くして、少し伏せた。
東雲 圓華
「たまにびっくりするような事を言うんだから、もう」
KP
呟いたその耳が少し赤くなっていたような。
波照間 紅
「あ、ああ、すまない。ついそのまま出てしまって……」

KP
そもそもこの旅行に行こうと言い出したのはどちらだったか。
きっかけはあなた方が交換したアクセサリーだったのは確かだ。
この蝶の意匠が、目的地の新八徒村にやとむらの伝統工芸だったらしいことから、そこで見られる星空が綺麗らしい、等といったことに話が及び、一緒に行こう、という話になったのだ。
最初に勇気を出したのはさて、どちらだったか。
波照間 紅
村の名前がもう完全にアカン(メタ
KP
なんの事でしょう?
KP
▽チョーカーをよく見る
▽目的地について調べる
などができますよ。
波照間 紅
確か、発端はあの意匠について調べたことだった。

チョーカーを牧志に珍しいと言われ、経緯を話していたら(圓華さんと交換したことは伏せた。口に出すのが何となく恥ずかしい)、珍しい意匠だと言われて調べる流れになった。

その村の情報を眺めていたら、圓華さんと話が弾み、そうして……、

……最初に勇気を出したのは……、たぶん僕ではなかった。
行ってみたいとは思った。その星空は圓華さんに似合うだろうと思った。
二人で旅行、という言葉に余計なことばかり考えてしまって、言葉が出なかった。
波照間 紅
赤い顔を誤魔化すように、こちらもガイドブックに目を落とす。
波照間 紅
▽目的地について調べる
KP
旅行先はN県にある新八徒村にやとむら。人口500人の小さな村だ。
新八徒温泉は古くから有名で、昔は湯治先としても知られていたようだ。
特にこれと言って有名な観光地はないが、村の裏手にある「普亭山ふていやま」は初心者にも登りやすいハイキングコースとしておすすめらしい。

本日宿泊予定の旅館は「彫徒羅ほるとら旅館」という旅館である。
温泉には疲労回復や美肌効果などがあるらしい。
KP
観光地として楽しそうだ、なんて話がでた時に、
東雲 圓華
「いつ、行きましょう?」
KP
何でもないことのように言ったその言葉には、精一杯の勇気が込められていたに違いなかった。
波照間 紅
たぶん振り返った時に、顔は真っ赤になっていたのに違いないのだ。
それでも上擦った声で、どうにか、今度の盆休みにどうか、と提案したのだった。
波照間 紅
思い出すとまた顔が赤くなってくる。
チョーカーの飾りを手にとって、何とはなしに弄る。
波照間 紅
▽チョーカーをよく見る
KP
〈目星〉または【アイデア】
波照間 紅
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 53→成功
KP
あなたのチョーカーは、綺麗に磨いてはあるが、なんとなく使い込まれた古いものである、という気がする。
角の丸み、細い装飾部のほんのわずかな黒ずみから年代を感じる。
東雲のピアスは新しく作られたもののようで、よくよく見るとあなたの物とはデザインに差異があるようだ。真似て作られたもの、という気がする。
波照間 紅
ふと、指先で辿る角の丸み、黒ずみに気づいた。
骨董品のたぐいなのだろうか?
しかし汚らしい感じはせず、品よく時を経ている。

しかし僕に新しい物で圓華さんが古い物というのも具合が悪いから、これでよかった。
波照間 紅
そう思えば由来が気になる。
チョーカーに何か文字などは書かれているだろうか?
KP
チョーカーには特に他に気になるようなものはないが、大事にされていたものなのだろうと想像はつく。
波照間 紅
村の裏手にある山のハイキングコースについて、事前にルートを調べておこう。
また、現地の天気も調べておく。

そういえば、山に何か謂われなどはあるのだろうか?
アヤカシ読者の癖として、つい一緒に調べてしまう。
KP
ハイキングコースは最長でガチ山登りの3時間コースとちょっとした散歩に最適な40分コースがある。
現地の天気は晴天。星を見るにもちょうど良さそうだ。
KP
山は普亭ふてい山という。
昔々、弓の神が、鳥の嘆きの声を聞いて化物退治をしたらしい、という簡単な童話らしきものを語った書き込みが昔話を集めるスレッドのなかに見つかった。
出身者が幼い頃に聞いた昔話といった感じで、断片的なものだ。
波照間 紅
へえ、弓の神。
昔話が気になってもう少し調べてみるが、何か見つかるだろうか?
KP
あまり有名な物ではないらしく、他に語られている物は見つからなかった。
波照間 紅
では、気を取り直して40分コースの詳細をメモ帳か何かに控えておこう。

波照間 紅
ふー……、と火照りを冷ますように、座席にもたれて息を吸う。
波照間 紅
「その……、東雲さ……、圓華さん。
今日はありがとう、誘ってくれて」
東雲 圓華
「ありがとう。久しぶりに、ね、一緒に空が見たくなったの」
KP
彼女は嬉しそうにピアスに触れる。
東雲 圓華
「それから、これから行くところには弓の神様のお話があるらしくて、
少し気になったから」
KP
彼女もあなたと似たような情報を目にしていたらしい。
ただ、内容はやはり似たり寄ったりで、詳しくは分からないらしい。
波照間 紅
「そうか、そう。僕もあの話がちょうど気になっていた。
もし地元でお社か何か見つけたら、お参りさせて頂こうか」
東雲 圓華
「そうね、お守りなどないかしら。
関係あるかどうかは分からないのだけれど、新八徒にやと神社っていう神社があるみたい」
KP
彼女が示すガイドブックには、小さな神社の写真が載っている。
波照間 紅
「そういえばガイドブック、ちゃんと見ていなかったな」
示されたページを見る。
ガイドブックには、神社の位置や謂れについて詳しく載っているだろうか?
KP
神社の場所は書いてあるが、謂れなどは載っていない。
随分と古く、あまり観光客を熱心に呼んでいるような神社ではないようだ。
幸い、宿泊する予定の宿から徒歩でも行けるような近さだ。
ちょっと足を伸ばせば行く事もできるだろう。
波照間 紅
「結構近いな。
行けそうなら、行ってみようか」
東雲 圓華
「そうね、ハイキングコースにも近いみたい」
波照間 紅
そのような神社であれば、現地にあまり詳しい解説がないかもしれない。
神社について、ネットで少し調べてみる。
KP
その神社については驚くほどに情報がない。
現地の人間が通っているのみ、といった感じの小さな物なのだろうか。
波照間 紅
きっと、山の合間にあるだけの小さな社なのだろう。
たまに関係者が訪れて掃除をするだけのような。
行くなら邪魔をしないようにしよう。
波照間 紅
ガイドブックをもう少し見てみる。
他に気になる物は載っているだろうか?
KP
ガイドブックに載っている、といってもほんの小さなコラムみたいな物で、
そもそも観光地としての人気が高いところではないらしい。
波照間 紅
ガイドブックから視線を上げる。
「あまり情報はないみたいだ。行ってみてのお楽しみ、かな」
東雲 圓華
「楽しみね。書いていない分、色々見つかるかも」
KP
東雲は嬉しそうに笑った。
KP
突然、眼の前がチカチカと揺らめく。
立ちくらみや目眩とは違い、なにか光が目に入ったような感覚だ。
しかしそれもまばたきをするうちに、もとに戻る。
【アイデア】
波照間 紅
「ええ、行くのが楽しみ……、?」
不意に何か光が目に入ったような気がして、数度瞬きをする。
気のせい……、だろうか?
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 64→成功
KP
視界の中に一瞬、紫色の光が見えた気がする。
波照間 紅
一瞬見えた紫色は、何か視覚のいたずらか、気のせいかと思えた。
しかし悪魔使いとしての感覚が、何かの関与の可能性を少しだけ想像させる。
東雲 圓華
「……紅さん?」
KP
あなたのわずかな反応に気付いたか、東雲が声をかけてくる。
電車が速度を落とし始めていた。目的地が近いのだ。
波照間 紅
「ああ……、すまない。
さっき、紫色の光が見えなかったか?」
目的地に向かって落ち始める速度を感じながら、振り返る。
東雲 圓華
「えっ? いいえ?」
KP
東雲はきょろきょろと周囲を見回した。彼女は見なかったらしい。
窓の外には真夏の田園風景が見えている。
波照間 紅
「そうか。なら、気のせいだったのかもしれない」
彼女を安心させようと、少しぎこちなく微笑む。
KP
東雲は曖昧に頷いて、あなたを少し心配そうに見ていた。

電車は次第に速度を落とし、駅へと滑り込んで行く。

KP
『にやとむら~にやとむら~ お降りの方はお忘れ物のないよう……』
どことなくのんびりとしたアナウンスが流れる中、あなた方は駅へと降り立った。

ミンミンとうるさいセミの声と、頭上から降り注ぐ太陽の熱が貴方達を出迎えた。
空調の効いた車内から降り立った地面は、ゆるく熱をはらんでいる。
しかし都会の輻射熱に比べれば、ずいぶんとマシな暑さに感じるかもしれない。

濃い緑と碧の山々に囲まれた延々と広がる田園風景の中に、
ポツンと「ようこそ、新八徒村へ」という看板が見える。
文字が掠れてわかりにくいが、どうやら看板のある方向が村の中心地のようだ。
地図を確認する限り、本日の宿も恐らくそちらの方向だろう。
時間は昼過ぎだ。観光する時間はある。
東雲 圓華
「結構涼しい」
KP
帽子のつばの下から物珍しそうに、また嬉しそうに景色を眺めている。
波照間 紅
電車から降りた途端に、一斉に辺りを包み込む蝉の声。
見渡す限り眩しい緑の中、都会とは違う温度と風の匂いが肌を撫で、ああ旅に来たという喜びが込み上げる。
波照間 紅
「宿に荷物だけ置かせてもらって、辺りを回ろうか」
東雲 圓華
「そうね、静かでいい場所……」
KP
東雲は伸びをして深呼吸をしているようだった。
濃い緑と土のにおいがする。からりと暑い夏の空気のなか、ゆったりと蜻蛉が飛んでいる。
波照間 紅
「ああ……。風まで緑の匂いがする。
いい所だ」
KP
鳴き喚くセミの声と、田舎特有の緑の匂い、そして額から流れる汗を拭いながら宿泊の荷物を抱えて、田舎道を歩いていく。
ちらほら並ぶ民家の軒には葦簀よしずが掛けられ、通りがかった店先からは風鈴の涼しげな音が聴こえる。

バシャ、と豪快な水の音に目をやれば、モンペを履いて腕まくりをした老婆が、涼を得るための打ち水を家の前に勢いよく撒くのが見えるだろう。
店先に大きな信楽焼を置いてある骨董品店を通りがけにちらりと覗けば、店主と思しき老婆が団扇片手にラジオを聴いている様子もうかがえる。
まるで、平成どころか昭和にまで時間が巻き戻ったかのような、のんびりとした空気が流れている。
波照間 紅
打ち水の音に振り返る。
東京で打ち水をしてもアスファルトを蒸し暑くするだけだが、ここでならちゃんと効果があるんだろう。

何もかもが緩やかで、穏やかだ。
小さい頃に時折遊びに行った、島の北の方の村々の雰囲気に似ているようで、それよりもなお時間が、長い。

ここには旧い時間が、ずっと残っているのだ。
KP
そうして駅から徒歩15分ほどのところで、ようやく本日の宿である「彫徒羅ほるとら旅館」が見えてくる。
昔は湯治先として有名な村だったこともあり、創業何百年なのだろうか。
よくいえば随分と趣のある旅館だと感じるかもしれない。
黒々とした木の平屋で、綺麗に磨かれている。古いがみすぼらしさはない。
波照間 紅
旅館の古めかしい威容に眩しさを覚えた。
自然と、お邪魔しますと戸口に呼びかける。
KP
旅館の入り口をガラリと開けば、ちょうど何かを話していた着物姿の男女が顔を上げた。
貴方達の姿をみると、表情を明るくして玄関へと駆け寄ってくるだろう。

「あらあら、いらっしゃいませ!
遠路はるばる、ようこそ、彫徒羅ほるとら旅館へ」

その男女はにっこりと微笑み、深々と一礼する。おそらく、この旅館の主人と女将なのだろう。

女将は受付へ向かい、さっと台帳を取り出した。
「まずはこちらにご記帳をお願い致します」
波照間 紅
「お邪魔します。暫くお世話になります」
一礼を返し、荷物を持って台帳へと向かう。
波照間 紅
旅行に行きたくなるッッ
KP
割と旅行行こうぜな話ですからねこれ!
波照間 紅
描写がまあ美しくて雰囲気に溢れていて、旅行行きてぇ~~~~~~ってなりますねこれね 特に温泉街行きたくなりますね
波照間 紅
自分と東雲さんの名前を書きながら、他に宿泊客はいるのだろうかと、何となく帳面を見てしまう。
KP
少なくとも今はほかの客はいないらしい。前の名前は一昨日の日にちとともに書かれている。
「ご予約の波照間様ですね。暑い中、ありがとうございます」

あなたの後ろで内装を眺めていた東雲に向かって、主人が口を開く。
「お荷物は私がお持ちします」
東雲 圓華
「ありがとうございます。素敵なところですね」
KP
「そうでしょう? 今日は天気も良いですし、お部屋からの見晴らしも最高ですよ」
波照間 紅
書き終わると台帳から顔を上げ、ペンを置いて振り返る。
波照間 紅
「ありがとうございます。
星空も美しいと聞いていて、夜が楽しみです」
KP
「ええ、今日などはきっと綺麗ですよ。
お部屋からもよく見えると思います」
波照間 紅
「そういえばこの意匠、こちらで昔から作られているものと聞きましたが、ご存知ですか?」
首のチョーカーを指さして聞く。
KP
女将さんはあなたの首元をじっと見つめた。
「ええ、見た事はありますね。お土産品に蝶の意匠の物があったと思います。
あまり詳しくは存じませんけれど……
民俗資料館に由来などあるかも知れませんねぇ?」
首を傾げている。
波照間 紅
「実は、こちらを店先で見かけたのがこちらを知った発端で。
資料館はどちらにありますか?
一息ついてから、間に合うようならぜひ行ってみたいと思います」

ああ、君がよければだけど、と東雲さんの方を振り返る。
東雲 圓華
「ええ、荷物を置いたら行ってみましょ!」
東雲は乗り気なようだ。
星はもちろんだが、ここに来るきっかけになった意匠の事や、伝承の事などが気になるらしい。
KP
「では早速お部屋にご案内いたしましょう。
いい日に旅行にお越しになりましたね。一番景色の良い部屋をご準備しております」

記帳を終えたあなたがたは主人の案内で、部屋へと向かうことになる。

KP
旅館内は外観から想像するよりも、だいぶ現代的だと感じるかもしれない。
じっとりと汗ばんだ体に、冷房の風が心地よい。
旅館内はしんと静まりかえっていて、遠くから蝉の声が降ってくる。
荷物を持って先を歩く主人が笑いながら言った。
「今日、この宿はお二人の貸し切りですよ」
波照間 紅
しんと静まり返った廊下を歩く。
遠くから降ってくる蝉の声さえも、静寂を強調した。
真夜中ですら東京にはない静けさが、ここにはある。

ふと少しだけ、遊び疲れ果ててひっくり返って寝た、あの日を思い出した。
遠くから聞こえてくる、大人たちの飲み交わし歌い踊る声……。
波照間 紅
「そうですか、それはいい時に来られました。二人きり……」
波照間 紅
「二人きり……」
うっかり意識した。意図せず顔が赤くなる。
KP
旅館の階段を上がり、二階の角部屋へと通される。
ここが貴方達が本日宿泊する部屋である。畳のイグサの匂いが鼻孔を擽るだろう。
窓も大きく、広縁ひろえんの椅子に腰掛けて景色を楽しむことも出来そうだ。
東雲 圓華
「静かで……いいですね」
KP
呟いた東雲の顔も少し赤くなっていた気がする。
その声に少し喜ぶようなひびきがあった、と思えたのは、考えすぎだろうか?
波照間 紅
「そう……、ですね」
頬の赤さを払うように、あわあわと室内へ入る。
室内の穏やかで雄大な風景が、心を落ち着けてくれる。
波照間 紅
爽やかなイグサの匂いを吸い込み、息を吐く。
「いい所ですね」実感するように再度そう口にした。

KP
主人は手早く緑茶を用意してくれる。
小さな饅頭がお茶請けについていた。

「お食事は午後7時頃にお部屋にお持ちします。
普亭山ふていやまで採れたての山菜やジビエを使った料理をお楽しみいただきます。
温泉は裏手にあります。入浴時間は夜11時まで。朝は5時から空いています。
なにかご不明なことがあれば、お気軽におっしゃってくださいね」
波照間 紅
温泉について深く考えるとまた顔が赤くなりそうなので、ひとまず置く。
「はい、ありがとうございます」室内に荷物を置き、一礼する。
波照間 紅
※別に混浴とか想像しているわけではなく、温泉に入る東雲さんを想像するだけで顔が赤い
KP
「はい、それでは、どうぞごゆっくりお過ごしください」
主人はそう朗らかに笑い、部屋をあとにする。

KP
あとにはなんとなく向かい合って座るあなた方が残された。
東雲は早速立ち上がると、窓の方へ向かっていった。

現在時刻は午後2時すぎ。
アーリーチェックインができたため、ゆっくりと時間を過ごすことができそうだ。
机の上には、宿泊施設の案内のほか、この村の観光案内マップが置いてある。
波照間 紅
「いい所でよかった。
さっきの神社のことや山のルートのことも、この案内にならもう少し細かく書いてあるかもしれないな」

そういえば、スマホの電波は入るだろうか? 何となく確認する。
電波を確認したあと、まず宿泊施設の案内から手に取って読む。
KP
電波はぎりぎり入る状態だ。
少し読み込みに時間はかかるものの、ネットも繋がる。

宿泊施設案内には、非常口の事や食事の時間や風呂の時間、食堂のことや内線一覧、
部屋で頼める手書きのドリンクのサービス表などが載っている。
波照間 紅
成程、少し離れたら繋がらなくなるかもしれないな。
電波の入りにくい場所にいる旨、Barにメッセージで連絡を入れておこう。
KP
Barから特に返事はなく、既読だけがついた。
仕事は気にせず楽しんでこい、ということらしい。
波照間 紅
非常口はしっかり確認しておこう。
ドリンクに何か珍しいものはあるだろうか?
KP
非常口確認に行くなら東雲もついて行く。
幸い廊下出て目の前すぐに非常口がある。
ドリンクは、普通の物に混ざって山葵ドリンクと蕨ドリンク、カジカの涙という謎のジュースがある。
波照間 紅
「……何だこれ? 風呂に入った後にでも頼んでみようか」
一覧の謎ジュースを見て言う。
東雲 圓華
「わさびにわらび……。
カジカって、カエルよね。何味なのかな」
KP
東雲も興味ありそうにしている。
KP
※謎ジュースはシナリオとは一切関係ありません。
波照間 紅
※楽しい
波照間 紅
宿泊施設案内を確認したら、観光案内を見てみる。
件の神社や民俗資料館のことなどは載っているだろうか?
KP
観光案内には、簡単な地図が載っていた。
それぞれの施設が簡単な画で示されており、どこにあるか分かる。
どちらも徒歩ですぐの所にあり、神社の方が若干近そうだ。
案内は簡素で、詳しくは行ってみた方が良さそうだ。
波照間 紅
観光案内の地図をスマホで撮影しておこう。
東雲 圓華
「あっ、資料館と神社ね?
行ってみましょう」
KP
マップにテープを貼って消してある文字がある。
よくよく見てみるなら〈目星〉。テープを剥がして読むなら判定不要。
本編見る!
波照間 紅
「全く想像がつかないよな。
怖いけど楽しみだ。……あれ?」

よく見てみる。
1d100 76〈目星〉 Sasa 1d100→ 63→成功
KP
よくよく見ると、裏から透けて見える。
ハイキングコースについての案内のようだ。
内容は来る前に見たコースと同じ、ちょっとした散歩レベルの40分コースとガチ登山3時間コース。
波照間 紅
「これは、ハイキングコースの案内が消されているな?
もしかして、何かあって今は山に入れないのかもしれないな。
後で聞いてみよう」
波照間 紅
「ともかく、資料館と神社、行ってみようか」

波照間 紅
部屋に荷物を置き、出る準備をする。
貴重品を服のポケットに入れ、鞄にCOMPだけ入れて持っていく。

行きがけに宿の人を見かけるようなら、ハイキングコースの案内が消されていることについて聞く。
KP
東雲は小さなハンドバッグだけを手に部屋を出る。
無人の宿はちょっとした異世界のように見える。ひんやりとした木の床はきしきしと軽い軋みをあげ、窓から差し込む光は暖かく踊る。
波照間 紅
妖精が踊っているような光の柔らかさに、軽く目を細める。
ああ、いい所に来られたな。
KP
玄関のところで掃除をしている女将さんがいた。
「あら、お出掛けですね?  行ってらっしゃいませ」
波照間 紅
女将に軽く会釈をする。
「はい、少し足を伸ばしてきます。
そういえば、ハイキングコースの案内が消されていましたが、今は山に入れないんですか?」
KP
「え?  いいえ?  そんなことはないはずですけど?」
女将は首をかしげていた。
波照間 紅
「そうですか? ありがとうございます」
ただの誤字などで消しただけだろうか。
現地に行ってもう一度話を聞いてみよう。観光マップのルートが古いのかもしれない。
波照間 紅
外に出て、資料館へ行く。
KP
神社の方が近いが、資料館を先に? 
※どっちから行っても良い
波照間 紅
どちらも徒歩距離なら、資料館を先にします。

資料館で基礎情報を得てから行けば、神社の意匠や祭神など、より味わえる所が増えるだろうというアヤカシ読者的発想ですね。
KP
なるほど。
KP
宿を出ようと靴を履くため屈んだときに、ちかり。また視界が揺らめいた。
今度は紫の光ではない。だが、暗闇の中で急に懐中電灯で照らされたような、そんな眩しい光を感じる。
しばらく瞬きを繰り返せば、すぐに元に戻るだろう。
立ち眩みとは違う、奇妙な視界の違和感に
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
波照間 紅
1d100 55 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 83→失敗
SAN 55 → 54
波照間 紅
「う……、」
急に眼に光を射し込まれたように感じて、眼を押さえて呻く。
しばらく瞬きを繰り返し、視界が戻るのを待つ。
何だ。
眼に何か起きているのか? 何か、いるのか?
二度目ともなると、気のせいとは思えなかった。
東雲 圓華
「紅さん? どうしたの?」
KP
あなたの変調に気付いた東雲が心配そうに背に触れる。
東雲 圓華
「立ちくらみ? 休んでいきますか?」
波照間 紅
「……、」
東雲さんの身を案じる思いと、折角の旅行が、という思いが交錯した。

僕だけなら最悪どうとでもなる。でも、東雲さんは。

でもまだ決定的じゃない。
今のうちに身を引くべきか? でも、東雲さんはずっとこの旅行を楽しみにしてくれていて、僕も正直、忙しい中ようやく空けた予定で……。

たっぷり迷ってから顔を上げた。
波照間 紅
「ああ、すみません、ちょっと目に光が射し込んで。

大丈夫……、大丈夫。目に何か紫色の光が見えて、驚いたんだ。
東雲さんは、そんなことはなかったか?」
波照間 紅
動揺するとまだ東雲さんへの口調がゴチャゴチャになる波照間。
東雲 圓華
「紫の光……電車でもそんな話、してたかしら。
私は大丈夫ですけれど」
KP
手をすっと出してあなたの額に触れる。
東雲 圓華
「熱はないみたい」
波照間 紅
「そうか、よかった……」
ひやりとした指先が心地よくて、その感触にしばし身を委ねる。
ここでこの一時を捨てられなかったことを、後悔することがあるのだろうか。
波照間 紅
「すまない、もう治った。行こう」
東雲 圓華
「……ええ」
KP
心配そうにしながらも、あなたについて宿を出る。
波照間 紅
改めて資料館へ向かう。
KP
初々しすぎるぞここ二人。
波照間 紅
めちゃくちゃ初々しい。青春だなぁ。
青春の時期を弓道とオカルトからのデビルバスターで過ごした波照間のちょっとおそい青春はともかく、東雲さんの方もすごく初々しい。良い。

KP
あなたたちは、さんさんと照りつける日差しの中、村の中を歩いていく。
田からはゲコゲコと蛙の声が響き、林からはセミの声が響くだろう。
両肩に招き猫を乗せた狸の信楽焼が置いてある骨董品店の前を横切り、チリンと風鈴が鳴る駄菓子屋の前を通る。
ノスタルジック、という言葉を体現したような風景に都会の喧騒を忘れそうになるかもしれない。

そうしてしばらく歩けば、目的地へとたどり着くだろう。
KP
新八徒にやと民俗資料館

こぢんまりとした、公民館のような建物に古びた看板が立てられている。
文字がやや薄れかけているが「新八徒にやと民俗資料館」と書いてあるようだ。
波照間 紅
歩きながら、ああ、いい所だなと改めて思う。
住む分にはなにかと苦労もあるんだろうが、こうやって歩いていると、本当に空気がやさしい。

僕らの街も、来る人にはこういう風に見えていたのかな。
波照間 紅
「お邪魔します」
資料館の建物に声をかける。
受付などはあるだろうか。
KP
入り口にある受付へと向かえば、暇そうに新聞を読んでいる老人が顔を上げた。
「おやぁ、珍しい。お客さんがいらっしゃるなんてね。
ほれ、入場料は大人100円だ。あとこっちに記帳もしてくれ」
指差す方を見れば「入場料:大人100円・こども50円」と書いた案内板と、小さなお賽銭箱のような箱が置いてある。
波照間 紅
「はい、お邪魔しています」
入場料を箱に入れ、帳面に名前を記す。
KP
「はい、ありがとうねー」
老人は新聞を横に置いてパンフレットを渡してくれる。
「あんたたち、夫婦モンかい? 観光? 泊まりなら彫徒羅ほるとら旅館だろう?
この辺で泊まるところといえば、そこしかないからね」
波照間 紅
「」
思わず言葉にならない声を上げつつ、東雲さんと顔を見合わせてしまうだろう。
東雲 圓華
「は、はい」
KP
反射的に返事をして、あっ、という顔であなたをちらと見た。
波照間 紅
「あ、はい、そうです、観光で。その旅館にお世話になっています」
しどろもどろになりつつ。
KP
仲いいね、と言いたそうに老人は呵々と笑った。
波照間 紅
お約束~(良い)
KP
「あそこね、旦那も奥さんも良い人だよ。ゆっくりしていくといい。
あそこの旦那もねー、最初は余所者だったが、奥さんに惚れ込んで村に居着いたのさ。
都会のモンが猟師になれんのかい! と先代の主人が一喝したら、どでけぇイノシシを撃って帰ってきたってのさ。
ありゃ語り草だね」
波照間 紅
「大きな猪! それはすごい人ですね」
それは確かに一目も置かれるだろう。
愛の力、というやつなのだろうか。
KP
「百発百中、ほんとに腕がいい旦那だ。
若いマタギ連中からも師匠なんて呼ばれてるが、自分が教えられることは何もないと言って、いつも一人で山小屋にこもっているんだ。
先代が亡くなって旅館を継いでからも旦那が山に獲物狩りに行ってんのさ」
波照間 紅
「へえ……、それは凄い。
天性の才なのか、それだけ修練を積んだのか……。

今日は山の幸を頂けるそうなので、旦那さんのお世話になるのかもしれませんね」

動くもの、生きようとするものを射るのは、弓道の大会よりもずっと難しい。得物が銃でも、それは変わるまい。
ここ最近の諸々で、それを思い知った。
波照間 紅
「撃ったといえば、弓の神様の話ってご存知ですか? あの山の」
何だか気恥ずかしくなり、話を移す。
KP
「ああ、そりゃ火哩斗ひりと様の事だね」
老人は展示室の方を指した。
「あの奥にある大弓は火哩斗ひりと様のだと言われてるのさ」
波照間 紅
「ご存知なんですね。お話についても資料はありますか?」
展示室の奥を見やる。
KP
「ああ、昔語りが展示してあるはずだよ。
なんだい、外の人なのに火哩斗ひりと様を知ってるのかい。珍しいねぇ」
展示は色々な土器や書物など、規模は小さいがちゃんとした物のようだ。
波照間 紅
「実は、山について調べた時に見かけて。
僕も少し弓をやるので、それで興味を惹かれたんです」
KP
「なるほどなるほど、それで来てくれたんだな。
火哩斗ひりと様にお参りしていけば御利益があるかも知れないね。
ゆっくり見ていってくれ」
波照間 紅
「ええ、ぜひとも」
小さく会釈して、展示室の中へ入る。
KP
ぐるりと中を見渡せば、普亭山ふていやまの模型やこのあたりで出土したのであろう縄文時代の土器、鈍く光る日本刀などが展示してある。
中でも最も目を惹くのは大弓おおゆみの模型だろうか。
傍らには「火哩斗ひりと様の大弓」という展示名と、それについての昔話が掲載してある。
波照間 紅
まず見るのは大弓の模型と、傍らの昔話だ。
弓はどれほどの大きさだろうか?
KP
丁寧な装飾がされたかなり古い物で、3メートルほどの大きさだ。
人間が使う事は想定されていないのだろう。
その横に昔話のパネルがある。
もらったパンフレットを手に、東雲も展示室に入った。
東雲 圓華
「大きな弓ね! 神様も大きかったのかしら?」
波照間 紅
「きっと、そうだろう。何せ神様だから、山を渡るほど大きかったんだ。
それか、人が神様への敬いの念の大きさを示すために、大きく大きくしたのかもしれない」

弓引きは今でも神事で、神器だ。
そんなことを思いながら、昔話のパネルを読む。
火哩斗という弓神が、片翼の海鳥の最期の願いを聞いて一つ目の巨人を倒す物語が書かれている。
波照間 紅
暫くの間、静かに文字を追っている。
さすがにこれは物語だろうけど、この弓を引くとしたらどれほどの背丈になるのだろう。
波照間 紅
「このお話によると、この山に巨人が封じられているということなのかな。
一つ目の巨人というとダイダラボッチが思い浮かぶけど、ここの巨人は違うらしい」

そういえば、立場は逆だけど、ダイダラボッチもキュクロープスも、火に纏わる物語だな。
東雲 圓華
「火山の事、かしら? でも鳥を助けてくれた神様なら違うのかしら」
波照間 紅
「どうだろうな、これを読めば海から来たようにも読める。
もしかすると、昔海辺の方に別の集落があって……、なんて話だったのかもしれない」
東雲 圓華
「一つ目の巨人……本当にいたりして」
KP
ほら、と彼女はパンフレットを広げて見せてくる。

新八徒村にやとむらの観光案内パンフレットのようだ。
波照間 紅
「勿論、本当にいたのかもしれないな」
広げられた観光パンフレットを見る。
波照間 紅
少し夢を含んだ、本当にいるのかもしれない、なんて言葉が少し新鮮だった。

元が物語だろうがいずれ姿を持ち、本当に存在するようになる、そんな世界をいつも相手取っていたから。

成る程、何かを知ることによって空想の幅が減るというのは、こういうことなのかもしれない。

それを思えば夢のない仕事だ。

波照間 紅
境界が緩いのと神話知識はないのとで、「ああ、いるなー」にいまいち夢がなくなってしまう波照間だった。
KP
本当にいる、のが当たり前だからロマンがないのか。なるほどなー
波照間 紅
「いるかもしれない」という楽しい想像の余地が「いる」という確信になっちゃいましたからね。
かといって「何か分からない脅威が、果てない闇の中にいる」という恐怖にはまだ至っていない、という。
こういう所では波照間の方が自分がズレてる自覚があるんですよね。職業デビルバスターなのもあって。
牧志は自分が決定的にズレている自覚が、いまいち、ない。

KP
民俗資料館の場所や、宿泊する彫徒羅ほるとら旅館、新八徒神社などが載っている。
また普亭山ふていやまの案内もあるようだ。
初心者でも登りやすい小さな山のようで、3時間の山頂コースや40分のハイキングコースがあるようだ。時間があるならば行ってみてもよいだろう。
【一つ目の化け物に注意!?】というコラムがある。
最近、普亭山に一つ目の化け物が出没する事などが書かれている。
波照間 紅
そんな話を見て真っ先に思い浮かぶのが、はて、GPは上がっていなかったよな、という発想なんだから全くだ。
波照間 紅
「ああ、それでハイキングコースの案内が消されていたのかな。危ないからって。
もし本当に一つ目の巨人に遭ったら、どうしようか?」
空想のように、そうやってうまく、笑えていただろうか。
東雲 圓華
「そうね、本当に出たら……お話しできそうなら話して……
無理そうなら逃げましょうか」
KP
東雲は小首を傾げた。
波照間 紅
「そうしようか。話が通じる人だといいな。
……でも、弓の神に封じられてしまったんだから、怒っているかもしれないな」

何の話をしていいか分からなくなって、他の日本刀や出土物などに視線を移す。
昔の地形とか海辺の集落とか、そういう話はないだろうか。
KP
他の展示物については、昔の地形などの展示もあるにはあるが、それほど地形が変わったというような物でもないように見える。
KP
突然。

ちかり、
また視界が瞬いた。今度は先程よりも長く視界がぐらぐらと揺れる。
まるで巨人に頭を掴まれて宙ぶらりんにされているような、そんな奇妙な浮遊感がある。
実際には体が浮いているわけではない。ただ、視界だけが揺れる。

パチパチと何度かまばたきをすれば、そこはまるでどこかの店内のようだった。
奇妙な造形の箱、象牙のようなオブジェ、鹿の頭部の剥製。埴輪の隣に並ぶスフィンクス。
日本人形とフランス人形の間にはトーテムポールが並んでいる。
調和だとか、センスだとか、そういったものを一切合切無視したような光景が眼の前に広がっていた。

さらによく見ようとしたところで、まるで電源がきれるように視界がブラックアウトし、数秒もすれば今現在の視界が戻ってくるだろう。《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1d3
波照間 紅
1d100 54 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 78→失敗
1d3 Sasa 1d3→2
SAN54 → 52
波照間 紅
一瞬、確かに見えたのだ。

センスや統一性を一切合切無視した、まるで博物館というよりも倉庫のような、そうだ、偶に生活用品を買いに行く、リサイクルショップの店内が一番よく似ている。
波照間 紅
気のせいじゃない。
見間違い、白昼夢? 記憶の想起?
いや、夢だったとしても無視していいものじゃない、と聞き慣れた戦友の声を思い出した。
波照間 紅
突然戻ってきた視界に頭がついていかず、数度頭を振ってまばたきをした。
それでようやく現在に立ち返る。
KP
気がつくと、東雲が心配そうな顔であなたを覗き込んでいた。
東雲 圓華
「紅さん、やっぱり具合が悪いのね? 宿に戻りましょうか」
波照間 紅
「いや……、すまない、大丈夫。
少し暑さに中ったのかもしれない。
神社は近いし、このまま行こう」

今の所、彼女が何も視ていないらしいのが幸いだと思えた。
同時にすこし、迷う。

今の所彼女は何も視ていない。
彼女には旅を切り上げて、電車が終わる前に先に帰ってもらうべきだろうか。
山にも行けないようだからと。あるいは、何かまずいことが起きているに違いないからと。

けれど、けど、それもどこか薄情なような気がして、迷う。
東雲 圓華
「……そうね、帰り道だし」
KP
東雲は小さく頷いた。

KP
道を少し引き返して脇道に逸れる。
数段の石段を登り、赤茶けた鳥居をくぐれば寂れた神社が見える。
石碑に刻まれた文字は「新八徒にやと神社」とある。

随分と寂れたように見えるが、それでも村の人からは大切にされているのか、ところどころ丁寧に修繕されたような跡が見えるだろう。
波照間 紅
お邪魔します、と鳥居に頭を下げ、鳥居をくぐる。
手水が生きていれば清めを済ませ、本殿へと向かう。
KP
手水からは水がちゃんと出ていて、柄杓も置いてある。
きちんと手入れがされているようで、水も綺麗だ。
東雲 圓華
「確か、柄杓を持って、手を洗って……」
KP
あまり慣れていない手つきで手を清める。

そういえば手水で清める事によって『こちら』へ戻ってくる事もあったのを思い出すかも知れない。
波照間 紅
手を清めながら、そういえばそんなこともあったな、と思い出した。
あの時は随分危うかったそうで、助けに来てくれなければ今の自分はなかっただろう。
以前、波照間は人間の域を外れかけ、手水で清める事により戻ってこられた事がある。
KP
お参りをするのであれば〈目星〉
波照間 紅
お参りをし、賽銭箱があれば賽銭を入れる。
1d100 76〈目星〉 Sasa 1d100→ 98→致命的失敗ファンブル
波照間 紅
おおっと。
KP
まあー、話に出れば普通に気付くような事なのでー
KP
お賽銭が賽銭箱から跳ね返って草むらに落ちてしまった。
波照間 紅
「うわっ、ああ」
慌てて落ちたお賽銭を追いかける。
東雲 圓華
「あら……」
すぐに屈んで探す。
KP
ふたりでかがんだもんだから頭ぶつけちゃったね。
HPダメージはなし。
東雲 圓華
「きゃっ、ごめんなさい!」
波照間 紅
「うわっ、すみません、大丈夫ですか」
慌ててぶつけた頭を離し、立ち上がる。
KP
東雲はゆっくり立ち上がると、あなたの手に手を重ねた。
掌に硬い物が置かれた気配がする。
東雲 圓華
「はい、元気なコイン」
KP
あなたが投げた小銭を拾ったらしい。
波照間 紅
「ありがとう。ちょっと元気が良すぎて参ったな」
その言い方が可愛らしくて、少し笑う。
元気なコインを改めて賽銭箱に入れて、本殿を見る。
謂れなどを書いた札のたぐいはあるだろうか?
KP
祭ってある祭神の名前は「火哩斗ひりと大神おおかみ」であるようだ。
KP
※というわけで〈目星〉情報。
東雲 圓華
「これ、さっき見た弓の神様ね」
波照間 紅
「そうかなとは思っていたけど、そうだったんだな」
波照間 紅
「……」
改めて本殿に向き合い、目を閉じてこの旅の無事と、この弓で彼女を守れるようにと祈る。
KP
蝉の鳴き声が降り注ぐこの森の中を、涼しい風が通り過ぎていった気がした。
東雲もあなたの隣で柏手を打って目を閉じる。
波照間 紅
傍らを抜けていったように感じる風に、今まで考えていた何もかもがふと抜けて、ただ穏やかな祈りの気持ちが湧いた。

コメント By.KP
波照間は東雲とともに温泉のある旅館へと旅行に行った。
距離感を掴みかねてどぎまぎしてしまう奥手二人。

描写が素敵で旅行に行きたくなるシナリオです。

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「トイレを何に使ってたんだよここの連中は」

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俺は、牧志? 紅? 波照間さん……?

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「甘えたになる+キス魔になる。すごい組み合わせが出たぞ。」
「牧志さん!?」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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「いってらっしゃい、職員さん」
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