こちらには
『インモラル・イミテーション
のネタバレがあります。

佐倉 光(子)

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。

とある事件で子供に戻り、そして元に戻れなくなってしまった。
記憶はそのままだが、子供としての感情や衝動に引きずられることがある。

牧志とは友人。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。子供になってしまった佐倉と奇妙な同居生活をしている。

最近突然謎のCOMPとカードを授かりデビルシフターとして覚醒した。




Call of Cthulhu 6th
「インモラル・イミテーション」

香月悠 様


KP
しばらく暗闇の中を彷徨ったのち、あなたの意識を覚醒させたのは、つんとした不快な薬品のにおいだった。
どうやら辺りが真っ暗であるのは、あなたが目を閉じているためだ。

あなたはぼんやりと、少しずつ思い出すだろう。
学校帰りに牧志と合流して二人で歩いていたら、突然音もなく、背後から何者かの手が伸びてきたのだ。
少しひんやりとしたそれが、直後、無音で忍び寄ってきた一台のワゴン車の中から伸びてきたものだと気づく。
気づいた理由は、何人もの手があなたと牧志をそこへ押し込んだからだ。
抵抗する間もなくスタンガンか何かを押し当てられ、意識を失った。
どうやら薬品のようなものを同時に嗅がされたのだ、と気づいたのは、つんとした不快な薬品のにおいを、最後に覚えているからだ。
ファンタジー
佐倉 光
こっちの佐倉も薬漬けにされるの!?
そういやもうなってたわ。
またスタンガンにやられてるし。
KP
そう、またやられている。
スタンガン対策、うーん。難しい。
佐倉 光
ファンタジースタンガンは便利だなぁ。
あとファンタジークロロホルム。
KP
そう便利。特に導入に。
そこにツッコミを入れるのはヤボってもんだね!

本編見る!
牧志 浩太
「う……、」傍らで、誰かが呻く声がした。誰か。いや、牧志の気配だ。
佐倉 光
「……」
薄目を開け、周囲の状況を見ようとする。
とりあえず牧志はいる。無事みたいだ。
KP
そこは、ベッドの上だった。
きたならしく、錆びつき薄汚れたベッドの上だ。
天井には染みや埃の汚れが目立ち、なんとなく病院の病室のようなのに、とても清潔とは言い難い。
薬品臭に混じって、辺りから血や腐敗臭、饐えた膿のにおいが微かにした。
佐倉 光
(どこだよ、ここ)
牧志がいる、というだけ随分気が楽だけど。
周囲に人の気配がないようなら牧志に声をかける。
KP
周囲に人の気配はなく、なにがしかの脅威の気配もない。
佐倉 光
「おい、牧志」声を抑えて囁く。
牧志 浩太
「っ、うう……、佐倉さん?」
傍らで牧志が身じろぎした。あなたが声をかけるとほぼ同時に、牧志が声を潜めてあなたを呼ぶ。
佐倉 光
「ここに来た経緯、知ってる?」
牧志 浩太
「いきなり引っ張り込まれて、何か嗅がされて意識を失った所までしか覚えてない。くそ」
佐倉 光
「俺も」
言って起き上がる。
牧志 浩太
「だよな」
佐倉 光
体に何かついている? 注射された跡なんかはある?
KP
起き上がると牧志の姿が目に入るだろう。
彼は長袖の手術着のようなものを着せられており、そのところどころに血痕のようなものが付着している。
また、胸のあたりに何か出っ張りのようなものが見える。
佐倉 光
「なんだそれ?」
自分も同じ格好してるのかな?
KP
そして、どうやらあなたも、同じような服を着せられているようだ。
また、身体を確認するなら、あなたの胸にも同じ出っ張りがある。
ふたりは、自分の右腕の代わりに金属の腕がついているのを見る。
佐倉 光
「……は」
KP
時折金属のこすれる不快な音を立てるそれは、どうやらあなたの腕だ。
佐倉 光
「はぁぁぁ!?」
佐倉 光
あらあら。とうとう女神転生2主人公みたいになっちゃった。
今までネタで何度も言ってたけど。
牧志も右かな。惜しい。因縁的には左なんだがな。
牧志 浩太
なんですよね。牧志も右。
牧志 浩太
「えっ、佐倉さんどう……!?」
あなたの異常に牧志も気づき、目を見開く。
牧志 浩太
「佐倉さん、それ、腕なのか」
牧志はあなたの腕に手を伸ばす。
伸ばした手が、金属同士のぶつかるかちんという音を立てた。
佐倉 光
「なんだこれ!」
牧志 浩太
「……え、」
佐倉 光
動くかな……
牧志 浩太
「な、なんだこれ、俺も?」
伸ばされた牧志の腕も、同じく金属の塊だった。
KP
その腕は金属のこすれ合う不快な音を立てながら、不気味な程にあなたの意思に従った。
無骨な見た目なのに、怖気がくる程に動きが滑らかだ。
牧志 浩太
「デビルシフトしたわけじゃ……、ない、な。
っていうか、COMPなくなってるし」
佐倉 光
「スゲー嫌な記憶が」
佐倉 光
「つーか俺の腕ドコ。
あの時みたいに変質したんじゃねぇだろうな!?」
牧志 浩太
「また、あの時みたいなやつなのか……?」
牧志は左手を右腕へと伸ばし、金属の塊と化した腕を、肩を辿る。
佐倉 光
胸の出っ張りってナンダロ。
KP
服をめくって確認する?
佐倉 光
するよ
それは彼らの胸に埋め込まれ、中には不吉な輝きを放つ青い液体が入っていた。
佐倉 光
「俺達ロボットに……いっそなってるといーなー、なーんて」
KP
そう漏らせば、ついでに気づくことがある。
腕は重いというのに、妙に身体が軽い。
よく寝た後の軽さ? いや、違う。

何か別な動力でも埋め込まれたかのような軽さだ。

あなた達は、一時的に 【STR】【CON】に+4 してよい。
さらに、戦闘技能に一律+10 の補正が入る。
牧志 浩太
「……」
牧志が自らの服をめくる。
あなたの胸で光を放つものと同じ装置がそこにあることを確認して、困惑した顔をした。
佐倉 光
ほかの部分は肉っぽいのかな。
KP
金属の腕と胸の装置以外は、まったく見慣れた肌の色をしている。手を添わせれば、体温も脈も通常通りに感じ取れるだろう。
佐倉 光
「かえってこれは不安要素だなぁ。
いっそロボットに意識インストールされたとかの方が安心するわ」
牧志 浩太
「人体にくっついてていい色じゃないしな、これ……」
佐倉 光
「また実験体にされた、っぽいけど」
牧志 浩太
「らしいんだよな。今度は脳じゃなくて、身体を弄られたのか」
牧志 浩太
「……何だろう、人間を原子力動力にする研究?」
佐倉 光
「効率悪そう。
つかなんで片腕だけ金属になってんだよ」
牧志 浩太
「そうなんだよな。義手みたいな感じではあるけど……、もしかしてこれ、この腕の動力だったりするのか?」
牧志 浩太
「前みたいに、そのうちこの金属がどんどん侵食してきてロボットになる、ってのは考えたくないな」
佐倉 光
「やだなぁ。いやむしろその方がいいのかなむしろ。
意識がそのままなら。
俺腐って溶けて死ぬのやだよ?」
牧志 浩太
「嫌だよ俺も。ロボットもロボットで、意識がそのままって保証ないし」
佐倉 光
「人こねーし、拘束もされてねーし」
佐倉 光
「動くか。
寝てても仕方ねぇし」
牧志 浩太
「だな」牧志は頷き、金属の腕でベッドの縁を掴んで立ち上がる。
KP
まったく普段通りの血流を湛える身体の中で、存在を主張するように青い光が揺らめいた。
KP
ここまでの諸々で《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D3》。
佐倉 光
CCB<=71 《SANチェック》 (1D100<=71) > 31 > 成功
牧志 浩太
CCB<=66 《SANチェック》 (1D100<=66) > 22 > 成功
佐倉 光
こんな安定感のある佐倉久しぶりだぁ!
牧志 浩太
こんな安定感のある牧志も久しぶりだぁ!
KP
周囲を見回せば、室内は窓のない病室のようなつくりだった。しかし、血のついた包帯や脱脂綿、汚れたシーツや服などがそこらじゅうに落ちており、非常にきたならしい。
他のがらくたなども落ちており、半分ゴミ置き場のようだ。
あなた達が寝かされていたベッド以外に機材はなく、あなた達の持ち物はCOMPやストーンを含め全てなくなっていた。
佐倉 光
「また放置されてるのは、用済みだからなのか、なんかトラブルなのか、観察されてんのか……」
牧志 浩太
「COMP取られてるし……。力をつけてもこれじゃ意味がない、って二度目じゃないか。しかも前回より悪い」
佐倉 光
「ま、どれだっていいや。
遠慮する必要はねぇ、調べてみよう」
佐倉 光
「拘束されてなくてラッキーじゃん」
牧志 浩太
「それは確かに。要らなくなったから簀巻きにして海にポイ、とかされたらゲームオーバーになる所だった」
佐倉 光
「さーてと。
不潔なとこだなー。なんか残しといてくれてねーかな」
ガラクタの中に何かありそう? 金属の腕突っ込んで調べてみる。
KP
お。では、〈目星〉で判定。
佐倉 光
CCB<=88〈目星〉1D100<=88) > 6 > スペシャル
KP
明らかに触りたくない汚れの付着したがらくたの感触を、金属の腕は金属であるにも関わらず明確に伝えてきた。
この腕はあなたの神経、感覚と繋がっているのだ……。

その指先に、かさりと紙の感触が伝わった。
乱暴に丸められた紙は、どうやら何かのページを丸めたものだ。
牧志 浩太
その間に牧志は部屋全体を見回していた。
ベッドの下を覗いたり、汚いシーツを辿ってみたりしていたようだが、そこには何もなかったらしい。

彼は部屋の壁に目を向ける。
そこには、古びた木製の扉がひとつあった。
牧志 浩太
「うーん、持ち物がどこかに隠してあるってことはなさそうだな……」
佐倉 光
紙を拾って広げて見る。
KP
それは何かのマニュアルの一部だ。
佐倉 光
「んー?」
それは、金属の腕についての説明書の一部のようだった。
佐倉 光
「牧志ー。
トリセツおちてた」
牧志 浩太
「ん? 取説?」
あなたの持っている紙を覗き込む。
佐倉 光
紙きれを渡して、自分の腕や胸にそれらしき物がないか探す。
KP
調べると、二の腕の内側、腋のそばに三角のマークが刻まれたプレートが見つかった。
佐倉 光
「これかー。やっぱ戦闘用にするとエネルギー多く使うとかすんだろうな」
牧志 浩太
「そうなんだろうな、多分。そのための、この装置か?」
佐倉 光
「オフする方法とかも書いとけよなーもー。
破って捨ててあったけど、これの元っぽいのは……なかったんだな」
蓋の所を軽く指先で叩く。
佐倉 光
とりあえず開けてみよう。非常時に開きませんでしたじゃ困る。
牧志 浩太
「なんだよな。紐引っ張って起動ってチェーンソーか何かみたいだけど、あれってどうやってオフするんだっけ?」
佐倉 光
「引っ張ってかける奴のほかに主電源があるんじゃねーの?」
牧志 浩太
「少なくとも、止めるスイッチとかはあるよな。なんで捨てたのか知らないけど、止め方のページも捨てておいてほしい」
佐倉 光
「いっそマニュアル置いとけよなー」
蓋は開けそうかな。
KP
プレートを軽く押すとそこが開き、中から小さな取っ手がひとつと、【停止】と書かれた赤いスイッチが出てきた。
あなたの腕だというのに、まったく機械の見た目だ。
牧志 浩太
牧志もあなたに倣い、二の腕のプレートを押す。
牧志の腕も同じつくりになっているらしく、同じように取っ手とスイッチがでてきた。
牧志 浩太
「とりあえず操作の仕方が直感的でよかった」
牧志 浩太
「自分の腕に停止スイッチついてるの、不思議な気分だけどさ……」
佐倉 光
「なるほど。初心者に優しい」
ほかに何か見当たるかな? 互いに腕を観察してみよう。
KP
機械の腕をよく観察すると、関節部分以外にもいくつか継ぎ目のようなものを見つけた。
その「戦闘用機構」に関係するものなのだろうか?
また、その腕は胸の装置と同様、肩の所で肉にしっかりと食い込んでいる。
うっかり取れる心配はないだろう。
佐倉 光
「なんか展開しそー」
佐倉 光
「自分の腕がないのは不安ではあるけど……なんか、こう……」
牧志 浩太
「こう?」
佐倉 光
「ワクワクしない?」
牧志 浩太
「……あー」
佐倉 光
「起動してみてぇー」
牧志 浩太
「ちょっと分かる。変形するんだよな? これ。正直、どうなるのか気になる」
佐倉 光
「代償が不明瞭だから迂闊に試せねーけどさ」
うっかり引っ張ってみたいなぁ、という顔をしている。
佐倉 光
こんなんまず起動実験するべきだろう! と思いつつ
コストがギリギリなヤツだと嫌だなぁ、なんて思ったりして。
リアルでもあったらウキウキしちゃうよ。
ひとまず自分の腕として使えるならさ。
KP
感覚も動作も滑らかみたいですからね。ギシギシいうけど。
そりゃあワクワクするし試したい。
牧志 浩太
「……停止スイッチあるみたいだし、一瞬だけやってみないか? 交替で。前みたいに、何かいたら困るしさ。ここ」
牧志 浩太
「それに、あー……。起動したらどうなるのか、知っておいた方がいいかもしれないし?」
佐倉 光
「やっちゃうか~。必要だよな? 実験。うん。必要」
あからさまにウキウキしている。
牧志 浩太
「そう、必要。必要だと思う。いざ必要になった時に思ってもないものだったら困ると思うんだ」
うんうん、と牧志は自分に言い聞かせている。
牧志 浩太
「正直楽しそうな佐倉さん見てたら、変形ロボかなって気がしてきた。
気になる」
佐倉 光
「気にならねー方がおかしいこんなの。
やってみるから見てて」
牧志 浩太
「ああ、一応離れとく」牧志は少し下がって、あなたに正対する。
佐倉 光
腕を壁の方に向けて、一度深呼吸して、起動用の取っ手を握り……
佐倉 光
気合いとともに引く!
KP
紐を一気に引くと、強い抵抗を感じた。
腕の内側からブゥウウウン、という強い駆動音と振動を感じるとともに、腕がふたつに割れる。
佐倉 光
「うわわわ!?」
KP
そこからせり出してきたのは、振動しながら回転する鎖刃を備えた鋸だ。
それは戦闘用器具、というには少しばかり印象を異にするものだった。
これ…… チェーンソーだ!
佐倉 光
神を真っ二つにできる!
牧志 浩太
「えぇえ」
佐倉 光
「えー。微妙」
牧志 浩太
「思ってたのと違うやつが出てきた。変形ロボっていうより…… 工具?」
佐倉 光
「俺の体格でチェーンソーはねーだろ。
懐に突っ込まないと使えねーじゃん」
牧志 浩太
「だよな。銃とかレーザーとかもうちょっとこう、そういうやつがよかった」
佐倉 光
あとチェーンソーは使い方間違えるとスゲー危ない。
佐倉 光
「ま、まあ、変形はしたし?
何もねーよりはいいかな?」
停止スイッチを押す。
青い液体減ったかな?
KP
停止スイッチを押すと、ブウゥン……、と音を立てて振動が停止し、刃が腕の中に引っ込んでいく。
液体の入った部分に特に何か異変はなく、脱力感などもない。
牧志 浩太
「まあ、紐引くだけで使えるし、護身用にはなりそう…… か?」
牧志 浩太
「戦闘用っていうより、工具だよな。完全に」
佐倉 光
「俺の力でも一応抑えられる程度という気はする。
工具にしたって距離が近すぎて危ねぇし」
牧志 浩太
「腕のすぐそばだもんな。全身金属ならまだ実用的かもしれないけど、腕以外金属じゃないし」
牧志 浩太
「普通に危ない」
佐倉 光
ハルカが喜びそうだなぁ、こういうの。
腕に関する説明などが入る。
牧志 浩太
牧志も同様に起動してみるが、彼の腕に仕込まれているのもチェーンソーだった。
あなたのものより大振りの刃が、彼の腕で振動音を立てる。
佐倉 光
「そっちの方がまだしも頼りになりそう」
牧志 浩太
「これくらいの大きさなら、最悪何かに使えそうだな。危ないけど工具としても、何か来た時用にも。……こんなので戦ったら血やら何やら、派手にひっ被りそうだけど」
牧志 浩太
「あと振動がすごい。神経傷めそう」
佐倉 光
「なんとかまともな武器を手に入れたいな」
牧志 浩太
「同感。できればCOMPとストーン取り戻したい」
佐倉 光
「なんで人間の体にこんなのつけたんだか」
牧志 浩太
「さあ、案外おもしろメカ的発想かも。何かのトラブルがなかったら十徳ナイフ人間になってたかもしれない」
牧志 浩太
「面白そうだけど困る、そういうの」
佐倉 光
「面白そうだけどな」
佐倉 光
「だいぶ」
牧志 浩太
「面白そうだけどな。無断でなければ」
佐倉 光
「毎回それなんだよな」
牧志 浩太
「本当にそれだよ。なんで毎回毎回無断なんだ。やりたい人いるだろ、こういうの」
佐倉 光
さて。実験も終わったことだし、扉に向かおう。
扉にくっついて〈聞き耳〉立ててみよう。
佐倉 光
「正直俺は詳細問題なければやりたい」
牧志 浩太
「俺も正直、ちょっと思う。ちゃんとしてれば便利そうなんだよ、これ」
牧志 浩太
「突然変な所に閉じ込められた時にとかさ……」そんなことを言いつつ、牧志も扉に近づき、口を閉じて物音に耳をすませる。
佐倉 光
「前の超能力といい、この腕といい……前の仕事なら」
言葉の途中で止めて、外の様子をうかがう。
KP
〈聞き耳〉で判定。
佐倉 光
CCB<=79〈聞き耳〉1D100<=79) > 26 > 成功
牧志 浩太
CCB<=97〈聞き耳〉1D100<=97) > 58 > 成功
KP
物音はしないが、微かに煙草の臭いがした。
牧志 浩太
「……!」
佐倉 光
「う」
けむい。
牧志 浩太
「煙草の臭いだ……、誰か、いるかもしれない」
牧志が小声で囁く。
佐倉 光
鍵はかかってるのかな? 扉の隙間を覗く。
隙間があれば、の話だけどね。
KP
ノブを回そうとすれば、鍵はかかっていないようだと分かるだろう。むしろノブそのものが取れかけているような、ちょっと危うい感触だ。

隙間を覗けば、微かに薄暗い通路のようなものが見える。危うげな明かりが点滅している。
佐倉 光
横からドアノブに手をかけ、親指を立てて外を指す。出てみよう、の合図だ。
牧志 浩太
二の腕に手を這わせながら、微かに頷く。
佐倉 光
呼吸を合図に扉をゆっくり開ける。
KP
あなたは息を吸い、吐き、呼吸を合図にして、ゆっくりと扉を開く。
古びた扉がキイ、と音を立てた。

KP
扉の向こうは薄暗い、ごちゃごちゃとした通路だった。切れかけの蛍光灯がぱちぱちと明滅しながら、壁の無数の落書きを照らす。
佐倉 光
(廃墟みたいだ)
(俺達、破棄された? それにしてはベッドだったな)
KP
地面には空き缶やがらくたが散乱しており、先程よりも更に雑然とした印象を与えていた。
ジュースか何かの半分腐ったような、甘怠い臭いもする。
煙草の臭いの源は、通路に座り込んで煙草を吹かす、手首までびっしりと刺青を入れたスキンヘッドの大男だった。
反対側の通路の壁にはぼろを纏った女が座り込み、汚い瓶から酒臭い液体を飲んでいた。
彼らはあなた達の姿を目にして、一斉に不審げな視線をよこした。
通路にはいくつもの扉が並んでいるがどれも閉じられており、何の扉なのかは一見してよく分からない。
雑然とした廃墟に何者かが棲みついている、そういった雰囲気だった。
牧志 浩太
「……」
牧志があなたを庇うように一歩前に出た。
佐倉 光
どうすっかなー。
佐倉 光
「ねえ、おじさん……ここどこ?」
声をかけてみる。
「ママはどこ?」
KP
大男は気だるげにあなたの方を向くと、じろりとあなたを睨んだ。
「あ? なんだガキ。新参者か? そこのチャラい男はお前のパパか?」
チャラい
佐倉 光
チャラく見えるのかw
あ、そうか。絵には反影されてないけど、変な呪文はいってるんだよね。
イレズミっぽいかも。
KP
呪文は不定形の痣にしか見えないけど、この男は牧志の髪の色と耳飾り見て物言ってますね。
佐倉 光
あ、そうか。呪文は同業者にしか見えないんだった。
グラフィックは余所から見た牧志ビジュアルになってるんだ今。
KP
そうそう。

佐倉 光
「う、うん。シンザン? ってなに?」
KP
「ここの奴じゃねぇ、って事だよ」
佐倉 光
「ここ、って、どこなの? おうちに帰りたいんだけど」
KP
「九頭龍街。後は広場の連中にでも聞きな」
男は気だるげに言うと、通路の奥を指さした。
佐倉 光
「くーろん……」
なんか聞いたことあるな。
佐倉 光
「ありがとう、おじさん」
KP
男はこちらを一瞥するだけで、あなたの礼に返答することはなかった。
佐倉 光
「もういこうよ、パパ」
言って腕を引く。
牧志 浩太
「ああ、だな」
佐倉さんと手を繋ぐ。

佐倉 光
「ガキくさくしすぎたかな。パパはやめようパパは。
笑いそうになる」
牧志 浩太
「結構似合ってた。まあ、必要に応じて使い分ければいいんじゃないかな」
佐倉 光
「親父ィ。うーん。しっくりこない」
牧志 浩太
「うーん、それはしっくりこないな。
息子よ! ってか? いや無理だ。それは無理」
佐倉 光
「いつも通りでいっかー。
あ、でも佐倉『さん』はやめろよ? 悪目立ちするから」
牧志 浩太
「だな。その方がい……、あー、佐倉さん駄目か」
牧志 浩太
「何て呼ぼう、名字で呼び捨ても変だし…… 光?」
佐倉 光
「いいよそれで」
牧志 浩太
「違和感すごい。頑張る」
佐倉 光
「よしっ。さしあたって情報集めか」
牧志 浩太
「だな」
佐倉 光
「ほんと、何なんだろうなぁココ。クーロンって日本じゃないだろ……」
牧志 浩太
「その割に、さっきの人は日本語喋ってたしな」
佐倉 光
「めっちゃくちゃリアルっぽい夢か異世界だったりして」
こんなんだし、と腕をキリキリと動かす。
牧志 浩太
「うーん、あり得るな。というか、もう何があり得ないのか分からなくなってきた」
佐倉 光
「なんでもアリだ」
異界だと思って動こう。その方が良さそうだ。
牧志 浩太
「それだよ」
佐倉 光
さて、噂の広場に向かってみるか。
KP
あなた達は手を繋ぎ、通路の奥へ歩き出す。
進んでいく程に、微かに大勢の人が喋るようなざわめきが聞こえてきた……。

KP
というところで、本日は以上!
佐倉 光
ありがとうございます!
KP
ありがとうございましたー!
突然ボディが大変なことになっちゃった。
佐倉 光
建物探索しなかったなー
KP
建物の扉、あれは人に聞くと分かったのですが、誰かの住居とか店舗とかです。
佐倉 光
あー。持ち物はなしか。ココのゴミ捨て場あさって出るかどうか、だな。
また青い光かぁー。
KP
そう、まさかのイケナイ青い光二連発。
そうそうタッチしてはいけないタイプの青い光に軽率に遭遇しすぎだ。
佐倉 光
つかそれだったらもう光ってる時点でアウトなんだよ。
こっちのルートもロクでもない縁があるなぁ。
KP
そうなんですよ。光が漏れてる時点で完全にアウトや。
青い光との縁、普通にやだなぁ。
佐倉 光
こっちでもハゲるじゃん(そんな問題ではない)
KP
そんな問題ではない。まあ似ているだけでそうじゃないかもしれないし。
あるいは人間の身体に見える方も改造済みかもしれないし。
佐倉 光
もうそれならそれでもいいんだよ。半端が一番良くない。
KP
それは本当にそう。
佐倉 光
とりあえずなんか服を探したいところだな。目立つもん。
KP
どちらも手術着ですからね今。
佐倉 光
ではまた次回っ! たのしみ!
KP
ありがとうございましたー!
佐倉 光
久しぶりのテンポのいい会話も楽しい。
KP
ですねー、やっぱりリアルタイム卓の方が会話のテンポはよくなる。
その代わりやっぱり描写は置きの方が深くなる。
よし、ではログを取ります!
佐倉 光
ノシ

コメント By.佐倉 光
ここはどこなのか全く分からない。
何だかとんでもない事が起きている。
しかしそれでも……何だか面白そうじゃないか?

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本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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