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こちらには『あのこが巨大化するシナリオ』
のネタバレがあります。

本編見る!
KP
幸い、振動が止まるまでそんなに時間はかからなかった。

目的地は小学校の裏手に面する大きな公園で、幸い牧志が寝転んでも十分足りるほどの大きさがある。
牧志 浩太
「疲れた……」
牧志は呟くと、公園の片隅に造られた小山を枕に寝そべる。
KP
警察官二人はあなた達から事情を聞くと、特に頼みたいことなどがなければ、牧志の周囲を三角コーンと黄色と黒のバーで囲って撤収していくだろう。
佐倉 光
酔いがおさまるまで暫く一緒に胸ポケットを布団のようにして寝っ転がっている。
小高い丘の上で心地よい振動に包まれてうとうとするのは気分がいい。

動けるようになったら胸ポケットの上から声をかける。
佐倉 光
「良かったな、ひとまず何とかなって」
佐倉 光
正直悪魔扱いされるの覚悟してたからなぁ。
牧志 浩太
「ああ、怪獣扱いされなくてよかった」
KP
身体を包む心音と牧志の声、顔を撫でる爽やかな風。
見上げればよく晴れた空に雲が浮かんでいて、それだけ見ていれば何もかもが穏やかだ。

見慣れない丘を見つけた鳥が飛んできて、不思議そうに牧志の胸の上を歩く。
佐倉 光
「牧志。さっき言ってた『溶ける』とか『食べたから大きくなる』って何だよ?」
寝転がったまま、さっきから気になっていたことを訊いてみた。
牧志 浩太
「ああ。……、そうだ、言っとかなきゃ」
巨大な掌を彼がいつもそうするように掲げて、一度握り、開く。
あなたの位置から、牧志の表情はよく見えない。

一瞬だけ躊躇って牧志は口を開く。
牧志 浩太
「俺がこんなに大きくなったの、俺が街を食べちゃったからかもしれないんだ。
浩子さん達みたいに、あの時の佐倉さんみたいに」

ぽつぽつと落ちる言葉が次第に速くなり、ぐずぐずと歪む。みるみるうちに盛り上がる涙が見えるようだった。
牧志 浩太
「俺、化け物かもしれない。いや、きっとそうなんだ。
人間になって戻ってきたと思ってたけど、化け物のままなんだ。

この気持ちも擬態してるだけで、そういう風に見えるだけなんだ。それで知らないうちに街を食べちゃったんだ。このまま大きくなってこの星を全部食べちゃうんだ」

喋っていて悲しくなってきたのか、牧志には珍しく自棄のように言って鼻水をすする。
佐倉 光
「……おう」
どう解釈したもんかなこれは。
俺の相棒は実は悪魔でした。
それはそれで別にいいけど。
いいけどなんか、しっくり来ないな。
佐倉 光
いくらなんでもタイミングが良過ぎないか?
佐倉 光
「えー……と?
言ってることと心配していることは何となく分かったけど、どうしてそうなったんだかがさっぱり分からん。
お前も物体Xだって言いたいのか?」
牧志 浩太
「ううん、俺は別の化け物だったんだ。
でも似たようなものだったのかもしれない。

俺、先輩のコピーだった、って言っただろ。
俺、何の姿にでもなれる化け物と、人間の死体と、それから先輩の記憶でできてたんだ。

先輩が願ってくれて、俺、生き返ったんだって思ってた。
でも、でも。俺、生き返ったんじゃなかった。化け物のままだった。生き返ったような気がしてただけだった」

牧志はすっかり取り乱した様子でぼろぼろと泣きながら、自分が牧志浩太に擬態した化け物で、自分の意思も存在しないのかもしれないと訴える。
佐倉 光
ショゴスって存在について佐倉は知っているかな?
〈クトゥルフ神話〉知識で振れませんか?
KP
お、どうぞ。
佐倉 光
1d100 36 〈神話〉 Sasa 1d100→ 95→失敗
しらんわ。
佐倉 光
「そうか。どうして突然そう思った?  巨大化したからか?」
さて、超巨大な相棒を元気付けるにはどこへ行ったらいいんだ。
これじゃあ目も見えやしない。
牧志 浩太
牧志はうー、と唸ってまた鼻水をすする。
彼が少し首を起こしたことによって、どうにか顔が見えなくもない。
超巨大な顔が涙と鼻水まみれになっていた。
牧志 浩太
「うん……、だってそれに、こんなに溶けちゃってるんだ。
指が、手が溶けてて、脚が……、大丈夫、佐倉さん埋もれてない? 息、できる?」
佐倉 光
「溶けてる?」
首を捻る。巨大で見渡しづらいとはいえ、溶けているようには見えないが。
佐倉 光
「牧志、溶けてるっていう手を胸に乗せてみてくれないか。俺もそっちへ行く」
牧志 浩太
牧志はこくんと頷いたようで、髪が揺れて微かに風が起こった。
巨大な手がぺたりと胸の上に乗せられ、あなたのいる位置から見えるようになる。
大きさこそおかしいが、牧志の見慣れた指の形だった。
佐倉 光
注意深く指先に触ってみる。硬い爪、ごわごわと感じる指先。何か感じるだろうか……
KP
指先を探ると、指紋の凹凸を爪の硬さをはっきりと感じる。
この大きさだと爪の尖りもなかなか巨大で、ちょっとしたささくれが鋭利にこちらを向く。
佐倉 光
「今指先触ってんだけどー、溶けてないぜー?」
牧志 浩太
「えっ、見えないのか? こんなに、こんなにどろどろに溶けてるのに、佐倉さん半分埋もれてるのに」

こんなに、と牧志は脱力した手を反対の手で撫でた。あなたの頭上に巨大な影がかかる。
佐倉 光
「いや溶けてねーって! 埋まってねぇし! あぶな!」
牧志 浩太
「あっ、ごめん。溶けて……、ない?」
牧志は慌てて手を浮かせ、手の甲を辿る。
佐倉 光
爪を拳で軽くコンコンと叩く。
佐倉 光
「大丈夫だって。ほら、ちゃんと固いから!」
牧志 浩太
「えっ、でも、こんなに溶けてるのに」
佐倉 光
「そう見えているだけだと思うよ。
いいか?」
佐倉 光
「お前と会って二年……いやもう三年なのか?
人間じゃない要素なんか特殊なとき除いてなかった。
夜中に家食ったこともなかった。
それがいきなりあいつらに会って目覚めたってのか? おかしいだろ、それは」
佐倉 光
「そうじゃなかったとしてさ。完璧すぎる模倣に過ぎないんじゃないかって、それ問題なのか?
それ言うなら浩子だって元の牧志浩子じゃなくて物体Xの模倣だぞ。
元の牧志浩子は死んでるし、別人だな。
そこと、あいつらと俺達が友達だってことに何か関係あるのかよ」
佐倉 光
「ハナッからお前が牧志浩太を象った模倣生物だったとしても、お前はお前だし、
今までここで生きていたのはお前だろう。そこは気にするところじゃねぇんだよ、今更」
牧志 浩太
「……」
涙に潤んだ巨大な眼が、一度瞬きをしてあなたに焦点を合わせた。
虹彩の皺が収縮し、瞳孔が動く。
牧志 浩太
「さくら、さん」
ぽたり、と滴が落ちたのが分かる大きさで、涙がまた溢れてくる。
牧志 浩太
「そっか、おれ、……佐倉さんのこと、偽物でもよかった。浩子さん達のことも。
佐倉さんも、そう思ってくれてたもんな……、あんなにしても、古島たちのこと、助けてくれて。

そっか、そうだな、おれ、ここにいるもんな」
佐倉 光
「そうだよ。大丈夫だ。もう泣くな」
牧志 浩太
牧志が手を伸ばして涙を拭う。
こぼれ落ちた涙が地面に落ち、大きな水たまりを作っていた。
佐倉 光
びしゃびしゃとバケツからこぼれるような涙にちょっと引く。
早いところ何とかしないとまずいぞこれは。
牧志 浩太
「うっ、うう……、ありがとう、佐倉さん……」
牧志はズボンのポケットを探ると、見慣れた柄のハンカチを取り出して鼻をかんだ。

驚くことに、持ち物まで牧志に合わせた大きさになっている。
ハンカチを鼻水だらけにして、ようやく落ち着いたようだった。
佐倉 光
そういえば、物体Xみたいな模倣するやつって涙を流したりするんだろうか?
人間の消化管や循環器系まで模倣しているなら、そんな可能性もあるのか。
佐倉 光
「それとこれとは別の問題で、巨大化は何とかしないとな?」
牧志 浩太
「そうだな、このままじゃ大変だもんな……」
佐倉 光
「そういえば」
佐倉 光
「目が覚めたらそうなっていた、ってのは、起きたらもう外にいた?
寝ていたままで巨大化したら家なくなってるもんな」
牧志 浩太
「そう。
起きたら外で座り込んでた」
佐倉 光
「で、星が降ってきたって? このあたりだったのか?
行けるようなら現地に行ってみようと思う……」
牧志 浩太
「ああ、そうだ、この小山、いま枕にしてるやつ。
この頂上に立ってたんだ」
佐倉 光
「枕んなってんのか。大体このへんに立ってたって場所、見せてくれよ」
近くに降ろして貰おう。
佐倉 光
そんなこんなしている間に波照間さんに連絡入れて、
紅のこともうちょっと詳しく聞いておこう。
そいつって巨大化するの?
KP
連絡を取ろうとすると……、ネットが死にかけている。
何とかメッセージは送れるが、応答は受けられないかもしれない。

そういえば移動中に「あっ」「電柱が」「電波塔が」という声が聞こえたような。
牧志 浩太
牧志はあなたを小山の傍らに下ろし、あなたを注視しながら慎重に身を起こす。
KP
小山の周辺はさっきの一件で水浸しになっていた。アリスかな?
頂上付近は牧志の頭のおかげで無事だったが、平たくなった草木はどことなく濡れている。
大した高さはなく、階段もあるため、頂上まで行くのは容易い。
佐倉 光
地面が凄い勢いでぬかるんでいる。これ塩害なんかも出そうか?
そういや体表にいるだろう微生物や細菌ってどうなってるんだ?
このサイズの人間が残す影響って……
佐倉 光
影響や被害額は考えないでおこう。天災だこんなもの。
KP
細菌のサイズは約1~10マイクロメートルだそうで、30倍したら…… 頑張れば見える大きさになるかもしれない?
佐倉 光
見たくないなぁー。巨大ウイルスは害はなさそうだけども、細菌は怖いなぁー。
KP
巨大ウィルスはデカい細胞探してウロウロするだけだろうけど、巨大細菌は完全にパニックホラー。
佐倉 光
とりあえず頂上に行ってみるか。
佐倉 光
「これで俺も星に当たって巨大化したら笑えるなー!」
牧志 浩太
「そうなったら収拾つかないな。
でっかい佐倉さんが悪魔呼んだら、悪魔もでっかくなるかな?」
目元と鼻の頭が赤くなった顔で、牧志が微かに笑みを覗かせた。
佐倉 光
「なるほど。巨大化した時にやってみよう」
KP
佐倉さんは【幸運】で判定。
佐倉 光
1d100 75 【幸運】 Sasa 1d100→ 88→失敗
KP
ボチャァ!
うっかり足元の水溜まりにはまった。

見ればそれは元から穴ができていた場所のようで、そこに髪を伝った涙が溜まって水溜まりになったようだ。

小さな穴で、はまらなければ気づかなかったかもしれない。しかし踵が濡れて気持ち悪い。スン。
佐倉 光
「ぐわ!?」
足元がドロドロになっていて気付かなかった。
佐倉 光
「あーくそ、もー」
家の中、しかも起き抜けだから裸足かなw
濡れた草と泥の感覚が気持ち悪い。
KP
水の上に何かキラキラと光るものが漂っている。
穴の中に何かあるのだろうか?
佐倉 光
「んー? なんだこれ」
油みたいな? それとも穴の中の何かが光を反射している?
KP
何か繊維状の……、毛のようなものが漂っているように見える。
佐倉 光
毛?
近くにある棒きれで穴の中を探ってみよう。
KP
こつこつと、何か小さく固いものに突き当たる。石ころのような感じだ。
佐倉 光
石ころに毛。良く分からないな。
思い切って水の中に手を入れて探ってみよう。
KP
拾い上げてみると、それは何かの鉱石のようだ。

鉱石といっても、外側が綿毛のような繊維状の鉱石で覆われた愛らしい見た目をしている。
尖ってはいないようで、持っても痛くない。
ただ、繊維状の部分は脆いのか、触った所からほろほろと崩れてしまう。
KP
〈地質学〉または【知識】/2成功すれば、何か思い当たることがあるかもしれない。
佐倉 光
1d100 42【知識】 Sasa 1d100→ 82→失敗
佐倉 光
「うーーん」

一応見つけた物を牧志にも見て貰おう。
……といってもなぁ。
スマホがあるようなら写真撮って送信? いやネット死んでるんだったな。
一応やってみるけど。
佐倉 光
「なあ、これ見えるか?」
牧志 浩太
1d100 49〈目星〉 Sasa 1d100→ 65→失敗
牧志 浩太
牧志は見づらそうに目を眇め、何度も角度を変えて覗き込もうとする。
睫毛がぴくぴくと震えている。
牧志 浩太
「うーん、小さいな……、ごめん、小さくてよく見えない。
それ、何なんだ?」
佐倉 光
「鉱石、に見える。表面が繊維状のもので覆われているんだけど、これも多分鉱石だ。
細い部分は随分脆い」
できるだけ詳しく見た目を伝える。
サイズはどれくらいなのかな。
KP
あなたの拳の中に握り込めるほどの小さな石だ。
牧志 浩太
1d100 38 Sasa 1d100→ 3→決定的成功クリティカル)!
牧志 浩太
「あー、何だっけ繊維状の鉱物って聞いたことがある。
石なんて思わないようなふわふわした見た目で。

ネコ……、じゃない。そうだ、あれ。オーケン石」

牧志は頭を掻こうとして思いとどまった。
そういえばあの不定形事件以来、記憶を探る時に髪を掻く癖が増えている。
牧志 浩太
「思い出せるのはそれくらいだな……。
石のこと調べればもうちょっと何か分かるかもしれないけど、巨大化にオーケン石、何が関係あるんだ……?」
佐倉 光
「そんなのネットで……ああ、調べられないか。
まいったな、靴やら服やら置いてきちまったし、
もう一度牧志に送って貰うわけにも行かないな」
どこか下ったところで調べるとかできるんだろうか?
学校なら図書室とか?
牧志 浩太
「俺はここにいるよ。また壊したら悪いし」
牧志 浩太
「……靴か。悪魔呼んだら靴ごと出てくるのかな? あ、でもMag持ってきてないか」
佐倉 光
通信通じて調べられそうな所まで下れるかな?
KP
学校のすぐ近くに図書館が一つあるようだ。
いつも世話になっているほど大きなものではないが、鉱物について調べる程度なら十分だろう。

また、ネットが繋がる場所を探しに行くこともできる。
どこまで行けば繋がるか見当はつかないが、壊したのがこの近辺だけであることを考えると、そう遠くまで行く必要はないだろう。
裸足では少々難儀だが。
佐倉 光
「しゃーねぇ、行ってみるわ。なるべく早く戻る」
室内着に裸足で図書館か、顰蹙ものだな。
佐倉 光
牧志と別れて図書館に行ってみよう。
佐倉 光
「牧志、汚れていないハンカチかティッシュ持ってないか?」
牧志 浩太
「ハンカチはさっき使っちゃったな。ティッシュならあると思う」
牧志はごそごそとポケットを探る。
あなたの身体を包めるほどの、巨大なティッシュペーパーが出てきた。
牧志はそれを指先でちぎり、あなたに渡す。
佐倉 光
ではそれをマントのように纏っていく。
千切ってくれるなら足が拭けるように少し余分に持っていく。
これだけでかければ変わった布程度には見えるんじゃないだろうか。
さすがに50倍の厚さで足をくるんでも靴代わりにはならないかな……
1ミリ以下だな。靴代わりは無理だ。
KP
室内着の上にティッシュを羽織っても……、ティッシュかもしれない。
見ようによっては薄いマントのようにも見える。
厚手のティッシュの、普段はあまり気にすることもない毛羽がふわふわとあなたの頬に当たる。

辺りは突然出てきた巨人の話で持ちきりで、不思議な格好のあなたを気に留める者はない。
佐倉 光
足元が隠せればいいんだ、贅沢は言わないことにしよう。
図書館に向かおう。
佐倉 光
さすがに裸足でペタペタ歩いていたら悪目立ちしそう。
KP
みんな視線が上に行ってるから大丈夫かもしれない

佐倉は図書館で謎の石について調べた。 それが再生する物質で、少なくともオーケン石ではないことが分かった。
KP
それはガラス状の細い繊維だ。
よく見れば、グラスファイバーの類にも何となく似ている。
繊維が生えている本体の所は何らかの黒っぽい石のようだ。
KP
この石について、オカルト関係の書物に記述はほとんどない。白い毛玉という見た目から、ケサランパサラン、あるいはケサラパサラという民間伝承上の生き物に擬せられる── という記述が辛うじてあるだけだ。
KP
繊維そのものに、動いたり、何かをしたりする様子はない── しかし、折り取った所はいつの間にか元に戻っている。
佐倉 光
なんだ、人工物?
それは握ったままポケットに入れて、ほか何か気になるものはないかぐるっと見回してみる。
なんかフェアとか展示書物とか……新聞とか。
といっても落ちてきたのは昨日?
KP
特に鉱石や宇宙にかかわる展示がされている、ということはない。
あ、大いに急ごしらえだと分かる巨人特集コーナーがある。
KP
〈目星〉で判定。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa 1d100→ 91→失敗
佐倉 光
巨人かー。なんかそんなアニメだか漫画だか話題になっていたな。
KP
小さな物だからか、特に何かが落ちてきたなどと話題になっていることもないようだ。
隕石なら、もうちょっと話題になってもよさそうなものだが。
佐倉 光
そういえば牧志っていつからでっかいんだ? 騒ぎからいって今朝からだよな。
昨日は……朝は俺のために買い物に行ってくれたはずだな。
首をひねりながらひとまず図書館を出て、外で巨人の噂でも聞こうか。
そのへんで話題になっていないだろうか。

KP
外へ出ればもちろん巨人の噂で持ちきりだ。
皆が皆、ここからでも見える牧志の姿を見やっては、スマホで写真を撮ったりしている。
KP
話を聞こうとすると、
牧志 浩太
「ひゃあぁ、駄目だって、駄目」
牧志の情けない悲鳴が聞こえた。
何かあったのだろうか?
佐倉 光
急いで戻る。
KP
あなたは裸足のまま、公園への道をひた走る。

KP
そういえば前回の青に染色後日談見てて思ったんですが、

>シローに、人は時に急激に成長する という変なサンプルが与えられてしまう……

牧志巨大化をシローが普通に受け入れてたの、このせいでは。
佐倉 光
なるほどそれでか!
成長と巨大化は違うぞシロー!
KP
一人きりで暮らしていたからなぁ。むしろ成長の概念が怪しいのでは。>シロー

KP
学校の横を抜け、公園に駆け込むと、
牧志 浩太
「佐倉さん、助けて、この子たちなんとかしてぇ……」

情けない顔をして座り込んだ牧志が、物怖じしない子供達にわらわらと集られていた。
KP
「でっけー!」
KP
「俺一番乗りぃー!」
KP
「あっこらずりぃぞ! じゃあ俺こっち!」
牧志 浩太
「や、やめろって、登ったらあぶない、靴下の中だめ、くるぶしやめてえぇ」
KP
「なーなー兄ちゃんなんででっかいの? ケツの穴もでっけー?」
牧志 浩太
「元は普通の大きさだったんだよ……」

子供達の遊具状態になった牧志は哀れ、おちおちくしゃみもできない状態になってしまっている……。
佐倉 光
警察何やってんだよもー。
佐倉 光
「駄目駄目、この大きなお兄ちゃんがどんなに優しくたって、くしゃみ一発したらお前らぶっとぶんだぞ。
大体、人が嫌がってることするなって教わってないか?」
子供達を追い払おうと割り込む。
KP
「えぇー」
KP
「兄ちゃん誰?」
KP
「教わってないもーん」
屁理屈をこねながら子供達はわらわらと逃げていく。

が、やっぱり気になるのか、周囲を包囲しながらあなた達を眺めている。
牧志 浩太
「た、助かった……、くすぐった死ぬかと思った」
佐倉 光
「割と洒落にならないサイズ差だからな。悪意がなくても危ない」
牧志 浩太
「あの子達潰しちゃうかと思って怖かったよ。こういう時は物怖じしてほしい」
佐倉 光
「あまり収穫はなかったな。
あの石がどうやら宇宙から来たで間違いない変な物だってことは分かった。
そもそもオーケン石ではなさそうなんだ。
あとこれ、壊すと勝手に直る。
生き物か、それとも何か意図を持った者に作られた物なのかもな。
俺としちゃあ、こいつのせいで巨大化が起きたんじゃないかって思うけど……」
牧志 浩太
「……壊すと勝手に直るだって? 
どう見ても怪しいな、それ。
俺も同感だけど、それをどうすればいいのか……。
割れば元に戻ったり? でも、このまま戻れなくなったりしたら困るしな」
KP
その時、不意に。
地を這うような低い唸りが一帯に響き、あなたの身を揺さぶった。
佐倉 光
「なんだ?」
周囲を見回す。
ガキども安全な場所にいるだろうな!?
KP
それは、牧志から響いていた。
正確には、牧志の腹部から。
牧志 浩太
「……」
牧志が座り込んだまま、腕で腹を押さえている。
佐倉 光
「……おぉ……なんかすげぇな。
正直地鳴りかと思ったぜ」
牧志 浩太
「ごめん……、腹減って」
どうやら先程の唸りは牧志の腹の音だったらしい。

それを聞きつけて、子供達がにゅっと首を伸ばしてくる。
KP
「お? 兄ちゃん腹減ったの?」
KP
「すげー、でっけー腹の音」
KP
「なあなあ食べる飯もでっけーの!?」
KP
「でっけー飯作ろうぜ! 俺、給食の先生に言ってでけー鍋貸してもらってくる!」
KP
何だか子供達は勝手に盛り上がり始めた。
このままではあなたも否応なしに巻き込まれそうだ!

あなたは巻き込まれてもよいし、断固拒否してもよいし、何か別の手段を検討してもよい。

とりあえず牧志はお腹を空かせている。
佐倉 光
うーん。
まあ腹は減るだろうって時間だ。
俺一人でどうにかなるもんじゃないし、子供の力を借りて飯を何とかして貰うってのも……アリか?

ちら、と牧志を見上げる。
一体どれだけ食べるんだろう、今のこのサイズ。
佐倉 光
※なんとなく巻き込まれてみる。
牧志 浩太
身長が30倍になれば、胃の容積も30倍になるのだろうか。
いや、厚みも増しているから、それ以上だろうか?
KP
「どうしたの、騒がしうわっ」
子供達の声に気づいて職員室を出てきた教師たちが目の前に広がる光景を目の当たりにし、驚きの声を上げた。
KP
「でっけー兄ちゃんに飯作るんだ!」
KP
「おにぎり! おにぎりがいい! でけー鍋貸して!」
KP
「こらこら、ちょっと落ち着いて」

うーん、すっかりテンション上がった子供達だけでは要領を得ない。
あなたがちょっと説明してやった方がよいだろう。
KP
〈何らかの交渉系技能〉で判定。
佐倉 光
「突然巨大化しちゃって困っているんですよー。
ご覧の通りですから、空腹だからって暴れたりはしませんけど、
聞いて下さいよ、あの音。
五月蠅……可愛そうだと思いません?」
学校にしてみればあの音は騒音だ。止めたいと思うんじゃないのか!?
1d100 52〈言いくるめ〉 Sasa 1d100→ 52→成功
佐倉 光
額に冷や汗浮いてたかも。「邪魔だからどっか行って」と言われてしまう可能性もあるわけだし。
KP
「うーん、確かに」
KP
「そう思うと気の毒ね……」
KP
「子供達の勉強にもなるかもな」
KP
教師たちは、えっどうするのこの状況? って顔をしていたが、状況を呑み込む前にあなたの華麗な説得に飲み込まれた。
KP
「わかりました、調理室と食材は使って下さって大丈夫です。

その代わり、彼にお仕事を頼んでも構いませんか? こちらも無料でというわけには行きませんので……。
校舎の塗装が剥げてしまっていて、塗り直す予定だったんです。道具はこちらで用意しますので」
KP
冷静に考えればなかなかな要求だが、彼らもまだ動転しているのだろう。
牧志はジオラマ塗装的な仕事をする羽目になるようだ。
佐倉 光
願ってもない話だし、多少働けって言うならそれはそれでいいことだと思う。
……牧志は模型とか作ったことあるかな?
聞いたことねーな。
大体何で塗りゃいいんだ。普通の刷毛じゃちっちゃいだろどう考えても。
佐倉 光
「ちょっと本人に相談してきます」
佐倉 光
牧志の所に戻って、カクシカするね。
牧志 浩太
「ありがとう、話つけてくれたんだな。
なんだか任せちゃって悪いな」
牧志はほっとしたように、あなたを振り返った。
佐倉 光
「飯が食いたきゃ模型を塗れってさ」
牧志 浩太
「……と、塗装? いいけど、俺プラモとか作った事ないんだけど……。
はみ出たらどうしよう」
KP
「窓は覆ってありますから、大丈夫ですよー」
牧志 浩太
「いいのかな、学校の壁なんて塗っちゃって」
KP
「あくまで補修なので、お気軽にどうぞ。
範囲は狭いんですけど、高い位置なんでどうしようか困ってたんですよね」
KP
「あ、刷毛も大きなの用意しました。本当は別の用事で買ったものなんですけど」
牧志 浩太
「そういうことなら、やってみます」
一通り話を聞いて牧志は頷く。
牧志 浩太
「巨大化したことが役に立つなんて、不思議な感じだな。
佐倉さん達が作ってくれるご飯、楽しみだ」
佐倉 光
「後でタダ飯の返礼をしろって無茶なこと言われるより全然いいもんな。がんばれ」
牧志を元気づけるように座った足元をペチペチ叩く。
……多分これ触っているのにも気付かないんじゃないのか。
佐倉 光
もし戻らなければ塗装屋や運送屋もアリか?
いやー、そもそも現場に行くのが難しいもんなー。
佐倉 光
「飯作るのはいいけど、何もかもほぼ粥か飲み物みたいになっちまわねぇか?
巨大で満足感得られる飯って結構難しいな」
佐倉 光
「まあなんとかやってみる」
では学校へ行こう!

そして周囲の人間の興味が迷惑さを下回る前に何とかするのだ!
牧志 浩太
ん、と軽く頷いて笑う。少し元気が出たようだった。

佐倉 光
巨大化した人が使える刷毛を買ってあるって、何に使う気だったのだろう。
新年なんかに出てくるでっけぇ書道用筆!?(刷毛ではない)
KP
でっけぇ筆! じゃないけど、何らかの出し物で使うつもりだったようです。学芸会とか。

KP
調理室へ向かうと、すっかり調理実習の趣で子供達と給食の先生がスタンバイしていた。

こちらをどうぞ、とマスクに手袋、予備の割烹着を貸してくれる。
KP
「何にする?」
KP
「おにぎり!」
KP
「おかか!」
KP
「俺カレー食べたい!」
KP
「こらこら、君が食べるんじゃないのよ」
KP
あなたはご飯物で、かつ簡単に量を増やせそうなメニューであれば、好きなものを作ることができる。
ステーキ! とかは物理的に無理だ。
KP
普段目にしない巨大な鍋と大量の炊飯器、デッカいしゃもじがあなたを待っている!

メニューを決めたら出来映え判定タイムだ。
メニューによって判定内容が異なる。
佐倉 光
でっけぇ人間が食うんだからおにぎりは論外だ、ただの米粒になる。
だったらまあ、カレー、いいんじゃないかな。
多少スープだろうがお粥だろうがそんなに味に影響が出ないメニューだ。
なんなら具なしでもそれなりに食える物だし、具が小さくても何とかなるだろう。
何より大量に作るのが簡単だ。
佐倉 光
最悪具や米が小さすぎて食感なくてもカレーは飲み物っていうしいけるいける!
佐倉 光
というわけでカレーを選択する。
KP
カレーだ!
あなたが挙げた通りの理由により、野外炊飯や調理実習の鉄板メニューでもある。

調理室には巨大な積み重ね型の炊飯器がある。
なかなか目にできない光景だ。
そして鍋もこれまた、デカい。
ピーラーやまな板や包丁は……デカくない。

あなたはあまり料理を作ったことがないが、子供達混じりなのでそこは心配無用だ。
給食の先生と担任の先生一人がテキパキと指揮をしてくれる。

さあ、まずは炊飯タイムである。
米は米なので必要なのは…… 体力! 異様な物量の米の塊と水を扱う体力だ!
KP
【CON】×5 で判定!
佐倉 光
1d100 30【CON】 Sasa 1d100→ 66→失敗
佐倉 光
無理だ。
KP
無理だ。
中身の詰まった大量の流体がどれだけ扱いづらいものか、思い知らされることだろう。

せめて流れないでほしい。重心移動せずに固まっていてほしい。
もう悪魔を呼んで運ばせたい。子供達は無限に元気だが米同様に好き勝手動く。

重い。何もかもが重い。
KP
へとへとになってになってどうにか米を炊飯器に投入し終えると、次は人参とじゃがいも、玉ねぎの皮をピーラーで剥き、切っては鍋に投入していく作業が待っている。

……皮むきはともかく、切る必要あるのだろうか、これ?
ないかもしれない。むしろ人参とじゃがいもは皮も誤差な気がしてきた。
KP
【DEX】×5で判定。
野菜を切るかどうかと皮については好きにしてよい。
佐倉 光
玉葱はまあ剥いた方がいいだろうし四分の1位には切るけどさ。
じゃがいもの芽とにんじんの首だけとりゃいーだろ。
ちゃんと洗えば皮のままでいいよもう。
それくらいの刺激がないと多分ただの液体みたいになる。
1d100 45【DEX】 Sasa 1d100→ 87→失敗
佐倉 光
子供よりへただった。
野菜洗う係になるべきだな、俺。
KP
子供達が「きゃー」「わー!」とか言いながらじゃがいもを宙に舞わせている中、あなたは玉葱で涙目になっていた。

痛い。染み通るような痛さだ……。
佐倉 光
いくつ剥いたら、いくつ切ったら終わるんだ……
ガムを食べながら切ればいいとかいうことを今更思い出した。
持ってないし、学校にあるわけないから意味がないな!
ボロボロ泣きながら玉葱を剥き続け切り続ける。
佐倉 光
ポケットの中の謎の石のことを思い出した。
お前の仕業か? だとしたら後で覚えてろぉぉぉぉ
KP
あなたは無限に続く玉葱を泣きながら切り続ける。玉葱地獄だ。玉葱地獄にはどんな悪魔が棲むのだろう。
KP
ようやくすべてを終えると、今度は巨大な鍋を混ぜながら煮込む作業が始まる。

幸い巨大鍋を混ぜる作業は子供達が真っ先にやりたがるため、あなたは任せて小休止を取ることもできる。

もちろん、我こそはと参戦することもできる。
牧志 浩太
窓の外では牧志が指で刷毛をつまみ、ぷるぷるしながら建物の外壁を塗っていた。
佐倉 光
無理。休む。俺の仕事じゃない。というかむしろ邪魔にしかならないこんなの。
子供が鍋に落ちないように一応見とこうね……

一応牧志が食べるのに必要な食卓というか食器などを考える輪があれば加わる。
KP
鍋にルーが入れられると、煮物だった鍋の中身が見慣れた茶色に染まり、とろみがつき始める。
牛乳や蜂蜜、ソースで味を整えているのを、子供達が目を輝かせて見ていた。
KP
さて、食器は……どうしよう?
あの大きな刷毛を指でつまんでいる姿を見るに、普通の食器が扱えそうな気はしない。
佐倉 光
適当な鍋そのままつまんですくってもらえばいいんじゃないかな。
小さじ程度のサイズにはなるんじゃないかな……

正直一番でっかい鍋でも盃程度のサイズだし、食器なんか要らない気もするな。
KP
そんな事を考えつつ休憩していると、炊き上がったご飯のいい香りがしてきた。……多い。

炊き上がることによってさらに量感を増した大量の白米は、普段は意識することのない強烈な粘り気でしゃもじにのしかかる。
KP
鍋の中の超巨大なカレーにうまく白米を盛れるか、【STR】×5 で判定!
佐倉 光
1d100 30【STR】 Sasa 1d100→ 95→失敗
佐倉 光
この量になると米も暴力なんだなー。びくともしねー。
KP
びくともしない……!
結局、給食の先生が助けてくれた。
KP
巨大鍋のカレーにそのままご飯を盛って…… とうとう、超巨大カレーライスが完成した!

デッカい。とにかくデッカい。
デッカいが、それは確かにいい香りを漂わせるカレーライスそのものだった。

飛び込めそうなほどの大きさに子供達は目を輝かせ大騒ぎし、先生達も普段見ることのない風景に思わず写真を撮っている。

あなたの交渉と努力と疲労の結晶は、いっそシュールにすら思える姿で目の前に鎮座していた。
KP
先生が鍋を運ぶための台車を持ってきてくれる。
佐倉 光
俺なーんもしてないけどね。
まあこんだけあれば牧志も少しは腹の足しになるだろう。
運ぶの手伝おう。
あ、学校でスリッパ借りてく……
牧志 浩太
ちょうど牧志も仕事を終えたようで、窓の外にひょいと顔を見せる。
牧志 浩太
「おっ、できた?」
佐倉 光
「カレーだよ。スプーンなんかはないけど何とかしてくれ」
手を振る。
牧志 浩太
巨大鍋の中のカレーライスを見て、牧志の表情がふわぁ……っと嬉しそうに綻ぶのが見えた。
牧志 浩太
「いい匂い……。
佐倉さんも、子供達みんなもありがとう。
先生達も、ありがとうございます」
KP
あなた達も分け前をもらい、牧志を囲んで昼食にすることになるだろう。
牧志 浩太
「頂きます」
牧志が巨大な手を合わせ、鍋を片手で取り上げる。
佐倉 光
自分の食事をするのはさておき、ついつい見上げてしまう。
なかなか人の食事を『見上げる』なんて機会はないだろう。
あっ。やべ、シロー大丈夫だったかな。
さっき小学校に行ったときに来るように言えば良かった。
牧志 浩太
遙か頭上で鍋が動く。

調理室にあった時は飛び込めそうな大きさだったはずの鍋が、牧志の手元にあると小さなカップに見える。

牧志はそれを傾け、大事そうに一口啜る。
牧志 浩太
「……美味しい。給食のカレーだな、って味だ」
KP
「おいしい?」
KP
「おいしいって!」
KP
「うまいよな、カレー! 俺も好き!」
子供達が彼の周囲で嬉しそうに飛び跳ねる。
佐倉 光
鍋を持って啜る牧志の写真を撮る。
牧志が何か食べていると何となく日常、という気がするのは何故だろうな。
佐倉 光
いや平和ではあるけど全く日常じゃないし。
これが明日も続くと恐らく色々問題が出てくるな。
佐倉 光
ともあれ自分もカレーを食べる。
大ぶりだがしっかり煮込まれた具材が甘い。
小学生向けって感じだな。
佐倉 光
そういえばここ給食室があるんですね。
私立か。
KP
なのです。給食室は公立でもあるとこあったと思いますが、ぶっとんだ要求と柔軟な対応からここは私立っぽい。
KP
辛味の代わりに優しい甘味とコクで構成されたカレーは舌を和ませてくれる。

公園の小山を背景に、座り込んで美味そうに、大事そうにカレーを食べる牧志の姿を映していると、偶に子供がピースを割り込ませてくる。遠近の関係でただの日常だ。
佐倉 光
感覚がバグる。
確かに牧志は巨大であるのに、まるで玩具の鍋で食べているだけのようだ。

見上げていると首が痛くなるしアリになったような心地がする。
牧志の声ははるか上から降り注ぎ、空間を震わせるというのに、
写真に撮ればいつもの牧志を下から撮っているようにも思えてくる。
むしろ小さくなっているのは自分であるかのような。
佐倉 光
そういえば学校の塗装はうまくいったのかな。
牧志 浩太
1d100 40 Sasa 1d100→ 25→成功
牧志 浩太
牧志の傍らに刷毛が置かれ、水に浸かっている。
彼が作業をしていた辺りを見れば、手作業感はあるが派手にはみ出ていたりはしない。頑張ったらしい。
佐倉 光
良かった良かった。
ここでファンブル出していたら大惨事だったね……
KP
ファンブル出してたら校舎が大変なことになってましたね……。
佐倉 光
落ち着いたら子供達や教師にお礼を言いつつ、
牧志に悪意がなくても大変なことになるから、牧志に黙って死角から近づいたり悪戯したりしないようにと注意もして貰おう。
牧志は感覚が優れているから気付きやすいとはいえ、気付いていてもどうしようもないって事もあるしさ。
あと言ってもどうしようもないことだろうけど、プライバシーとかそういうやつを。
佐倉 光
「君たちもいきなり知らない人に家の中じろじろ見られたりしたら嫌だろ?
部屋に知らない人が入ってきて後ろから『遊んでー』って言われたらちょっと怖くないか?」
KP
「うーん」
KP
「怖いかも」
KP
「逃げて先生にゆーんだ」
KP
「わかったー」
KP
「じゃあ前から行く!」
KP
「えっじゃあ俺横から行くーし」
KP
一緒にカレーを作って楽しかったのか、比較的素直だ。
話が逸れだしてる子もいるが。
佐倉 光
「そういえば、みんなは昨日隕石落ちてくるところとか見た?」
ダメ元で質問!
KP
あなたが口を開こうとした、その時。

不意に世界が揺れた。
いや、違う。背後から頭を殴られたかのような激しい痛みが、あなたの視界を揺さぶったのだ。

KP
視界が歪む。
暗く脈動する視界の中、誰かがあなたの枕元に立っている気配だけを感じた。

体は鉛のように重たく、身動きが取れない。あなたは目を閉じていた。瞼を開けることすら難しい。

ひんやりとしたものが額に触れる。触れられた部分から、青白く発光する液体が滴り溢れ、部屋を青へ染めていくのが、どうしてか見えた。
そこから熱を奪われ体が冷えていく。

青い。
何もかもが青い。
飲み込まれるように、冷たく、青い。

このまま死んでしまうのだろうか。そんな恐怖すら過った。

SANチェック》。
佐倉 光
なんだぁ? こっちが悪夢を見てるパターンか?
佐倉 光
1d100 50 《SANチェック》 Sasa 1d100→ 59→失敗
SAN値 50 → 47
佐倉 光
見えていた世界が砕け散って霧散する。
ぼやけて震え、不確かに膨らんだり縮んだりしている暗い視界。
佐倉 光
俺は、どうなって……
溶ける?
違う、俺は俺、だから、溶けるはずがない……
青に沈む。
青に染まる。
果てない氷海に沈んで行くような錯覚。
手を見下ろせば死体のように白かったり、青く透けて溶けていたり、水かきがあったりする。
冷気にこわばった体は動かない。声も出ない。
枕元に立つ誰かに助けを求めようと手を伸ばした。
KP
手を伸ばそうとしたとき、すっと視界が晴れた。

牧志 浩太
「佐倉さん?」
痛みが消え、巨大な牧志が心配そうにあなたを見下ろしている。
KP
あなたは自分の体に違和感を覚える。
痛みはないが、何となく体がだるい。
体の感覚がぼやけたように足取りがふわふわとする。
KP
ここから、全技能に-10%の補正がかかる。
また、〈医学〉または【アイデア】で判定。同一情報。
佐倉 光
1d100 85 【アイデア】 Sasa 1d100→ 43→成功
佐倉 光
「いや……疲れてんのかな……頭痛がして、幻覚が」
言いかけて、よく考えてみる。
KP
そういえば、すっかり治っていたが、昨日まで風邪を引いていたのだ。この倦怠感はあの時に似ている気がした。

体力を使いすぎてぶり返したのだろうか?
牧志 浩太
「幻覚? 昨日の風邪……、にしてはおかしいよな。
詳しく……」
KP
牧志がそう言いかけた直後だった。
牧志 浩太
「うわ……!?」
彼が突然声を上げてよろめいた。直後、今度こそ腹の音ではない、周囲一体を揺るがす地響きが起こる。
牧志 浩太
「うわ、うわ、うわ、うわぁああ!?」
子供達が一斉に逃げ出す中、足下の街灯や木々をなぎ倒しながら、牧志の身体が徐々に大きくなっていく。
佐倉 光
慌てて逃げる。
これは戻った後のことなど考えている場合ではない!
いやむしろ靴の上にでもしがみついておくべきか!?
靴の上に登れそうなら登るけど、速度が無理そうなら逃げる。
KP
牧志の脚が風船のように膨れ上がり、公園を埋め尽くしていく。
教師たちの悲鳴。子供達の驚きの叫び。
あなたは彼の靴の上に飛び乗る。じりじりと風景が外へ流れていく。
牧志 浩太
「……」
暫くして巨大化が止まる頃には、座り込んだままの牧志の脚が、広い公園を埋め尽くしていた。

なんとか校舎は無事で、子供達と教師達は校舎に避難している。
牧志 浩太
これは……、どれほど高いのだろうか。
靴の大きさからすると、彼の背丈は優に五倍にはなっている。
座り込んでいても、ここからでは顔もよく見えないほどの高さだ。

五倍。
250m。渋谷ヒカリエの最上階よりも高い。超高層ビルの高さが人間の厚みをもって存在している。
あなたが登っている靴すら、もう随分高い所にある。
KP
それと同時に、あなたは体調の悪化を自覚する。
身体がだるく、ひどく重い。地面に縫いつけられるかのようだ。
牧志 浩太
「佐倉さん……」
牧志の泣きそうな声が遙か天空から降ってきた。
いっしょに
KP
佐倉さんも牧志も姿が変わりすぎである。
>死体のように白かったり溶けてたり水かきがあったり

そして、牧志はもっとでっかくなっちゃうのでした。
佐倉 光
なんてこったい。
KP
50m=30倍がさらに5倍になって150倍。ワーオ。そろそろ細菌見えそう。
佐倉 光
悪魔召喚して細菌と戦う回。
150倍って顔ダニは既に子猫くらいのサイズだぞ!? やばい……
計算間違ってた。子猫までは行かないけど指の長さ程度はあるんだぁ……こわいよ……
KP
指の長さ程度のダニが体表からわらわら落ちてくるのホラーすぎる。
佐倉 光
牧志君の靴ってどんなやつでしょう。
KP
決めてなかったんですよね靴。
あの恰好ならローファータイプも合いそうだけど、何かあったときの動きやすさを考えるとスニーカーかなぁ。
その時によって履き回してそうだけど、今はスニーカーということで。

佐倉 光
「うう……」
牧志の靴の布地の凹凸に溺れる……キャンバス地がまるでスキー場の上級コースだ。
佐倉 光
「体が、重くて……」
音圧がやばい。
牧志が恐らく身じろぎをするたびにゆさゆさと揺れる。
冷や汗を流しながら見上げた。
頭上に揺らめく分厚い板のようなもの……これおそらくパンツの裾だ……
牧志の顔は遙か上すぎて青白く霞んでいる。
牧志 浩太
再び名を呼ぼうとして牧志は躊躇った。

あなたの姿を探そうとしてか、頭の上で巨大な指先が動いているらしい影が何度もちらつく。
その動きの危うい迷いでどうにか、今の牧志が不安を感じているのだろうことが分かる。
佐倉 光
おそらくスニーカーの紐であろう抱えるほどの板状の物(幅1.2m)によじ登り、できる限り声を上げる。
佐倉 光
「牧志……! スニーカーの、紐の上だ!」
この距離、聞こえるのか?
ぞっとした。気付かれなければ何かの拍子で潰されるかも知れない。
咄嗟に牧志の体に乗ったのはいい判断だったかも知れない。
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 94→成功
牧志 浩太
「……!」
頭上をさ迷っていた肉色の屋根が、頭の上から去った。
牧志 浩太
「……、」
辛うじて声だけが届いたらしい。遠すぎて内容が判別できないのだ。
あなたは全身に視線が降り注ぐのを感じる。牧志があなたを探している。
佐倉 光
纏っていたティッシュを外して思いきり振る。
自由を求める戦士たちを先導する乙女のように。
牧志 浩太
「……!」

不意に、視界に映るものが変わる。
あなたの目の前に、蠢く何かが広がった。
黒く円い中心を持つ、放射状に広がる無数の襞状の何か。

それを包み込む肉が大きく閉じて、また開いた。
眼だ。
牧志の眼。
牧志 浩太
「さくら、さん」
あなたを呑み込めそうな程に巨大な唇がゆっくりと、声を出さずにあなたの名を呼んだ。
佐倉 光
声を聞いて力尽きた。
体が重い。
牧志が上でくしゃみどころかまともに声を出しただけで吹っ飛ぶのではないかと思った。
佐倉 光
どうなっている。
あの、石のせいなのか?

ポケットから謎の鉱石を取り出す。
KP
鉱石を取り出そうとした所で── 身体がぐらりと傾いだ。

瞼があなたの意に反し、落ちる。
牧志の姿が、視界から消えた。

意識が暗いところへと、滑り落ちてゆく。
佐倉 光
駄目だ、これでは何も見えない、考えられない……
くらやみのなかに滑り落ちて行く。
佐倉は謎の場所で、恐ろしい三ツ目の獣を目にする。
途端呼吸ができなくなり、佐倉は喉を掻きむしりながら意識を失った。
KP
どれだけ眠っていたのだろう。

身体はひどくだるく、頭に鉛でも詰められたかのようにずっしりと重い。
思うように身体が動かない。明らかに、体調が悪化している。
KP
あなたの【STR】【CON】【DEX】が一時的に-1される。(全技能-10%も継続)
KP
あなたは生暖かく、湿った洞窟のような空間にいた。
外から光と、微かに風が入ってくる。奥の方は真っ暗で何も見えない。

地面にも壁にも、取り囲むように毛が生えている。
しかし、あの鉱石のような硬質な毛ではなく、哺乳類のそれに似た細く柔らかい毛だ。
佐倉 光
ピコーン! 鼻の穴!
うん。たぶんそれはない。
KP
また、あなたは手に何かを握っているようだ。……紙?
そんなものを握って寝た記憶はない。
佐倉 光
くそ……何が起きている。
牧志の巨大化とは別に何かが起きているんだ。
俺は……俺はどこにいる。
洞窟の光指す方へ寄って行って、手元の紙を見る。
何かが書いてある?
KP
それは、近くに新しくオープンしたという、-ケセラセラ-という聞き慣れない店名の鉱石専門店のチラシだった。

店のマークにあしらわれた金色の蜘蛛が目を惹く。
輸入品から化石まで幅広い品ぞろえらしいが、店の雰囲気が独特で人を選ぶのだとか。
「幸運を運ぶ癒しの石が見つかります」などとスピリチュアルなことが書いてある。

……あなたがそれを開いた時、微かに金色の糸が視界の端で散ったように見えた。
もう一度そこを見ても、そこには何もない。
佐倉 光
「蜘蛛……」
蜘蛛。そういえば夢を見たな。
蜘蛛を、指に……

ぼんやりする意識でチラシをひっくり返してよく見てみる。

また、周囲の洞窟の様子についてよく見る。
岩みたいな物か? それとも触れると暖かい生物なのか?
KP
光さす外には、高い位置から見下ろす街の風景が広がっていた。
どうやら、ここは随分と高い場所のようだ。

地面から弾力のある大きな板が突き出しているため、うっかり落ちてしまう心配はなさそうだ。

周囲の壁に触れると柔らかく、生暖かい。
何か硬いものを柔らかい外皮が覆った…… 何かの皮膚のように思える。
佐倉 光
耳かここ?
KP
実はそうでした。耳の穴。
牧志が「また自分が大きくなるかもしれないから、近くに寝かせていても危ない」と考え、うっかり佐倉さん潰してしまわないように&会話できるように耳の穴に格納しました。
牧志 浩太
「佐倉さん、起きた? 大丈夫?
ごめん、いつ俺がまた大きくなるか分からなかったから、勝手に移動した」
どこからか牧志の声が聞こえた。
KP
チラシをひっくり返すと、描かれているのは店の地図だ。
それ以外のものはない。
佐倉 光
「ああ……もしかしてここは、耳の穴、なのか……?」
呟く。
俺のこの声で牧志の鼓膜を震わせることなんてできるのか?
牧志 浩太
「うん。
ここならうっかり潰したり飛ばしたりしてしまわないし、声も聞こえそうだったから」

牧志の声は辺りの空間全体から響き、会話ができる微かな喜びと現状への不安を湛えていた。
佐倉 光
「牧志。俺、いつの間にか知らないチラシを持ってた。
俺が気絶していた? 間に何かあったのか?」
牧志 浩太
「知らないチラシ? いや、それは知らない。
持ってても見えなかったと思うけど、そこに誰か来たりはしなかった。

そう、佐倉さん気を失ってたんだ。
ぐったりして全然動かなかった。

チラシって、どんな?」
佐倉 光
体全体に響くような牧志の声に少しほっとする。
チラシを読み上げて内容を伝える。
牧志 浩太
「鉱石専門店か。専門店で分かるかどうか知らないけど、もしかしたら、あの石について詳しく聞けるかもしれないのか」
佐倉 光
「蜘蛛だ……蜘蛛といえば、俺、変な夢ばかり見ている。
本当の夢から、白昼夢みたいなのまで」
牧志 浩太
「夢……、そこまでの頻度も不思議だな。
もしかして、また夢が何か絡んでる?

蜘蛛の夢を見た?
なんだとすると、関係ないとは思えなくなってきたな。
耳にチラシなんて飛んできたら、いくらなんでも俺も気づくと思うし」
牧志 浩太
「夢って言うと、この状況の方がずっと夢みたいだけどさ」

小さく苦笑するように呟く声と息の動きが、あなたの身体を震わせた。
佐倉 光
「不条理だらけで、体もだるくて頭も働いてねぇけど、
夢だろうが何だろうか何とかしないとな……」
佐倉 光
「現状と原因と思われるものを考えると、偶然というにはできすぎだ。
このチラシは手がかりだ。ここに行ってみようと思う」
ポケットにまだ鉱石はあるだろうか。
KP
まだあの鉱石はポケットの中にある。
再生したのだろうか、崩れた様子もない。
牧志 浩太
「ああ。……ごめん、任せた。
どの辺? 下ろすついでに送るよ」
佐倉 光
地図に書いてあった住所を伝える。
牧志 浩太
時折段を踏みながら、下降していくエレベーターのような加速度と、振動があなたの身体にかかる。

牧志が頭を傾けないようにしながら、少しずつ、少しずつ頭を下げているのだ。
振動は単純に体勢がきつくて牧志がぷるぷるしている。
佐倉 光
「あまり『うっかり』して恨みを買っても面倒だし、無理はしなくていいよ。
俺の方でもなんとかするから」
耳毛に掴まって、転げ落ちないように体を支えながら外を見る。
手に移そうとしてくれているならうつる。

もし距離や間隔で大変そうならマカミあたり喚んで手伝って貰うか。
なにしろ元々体力勝負は苦手なのに、体調不良で調子はどん底だ。
牧志 浩太
「分かった。
そうだな。これ以上壊しちゃったら悪すぎるし、誰かを巻き込んだら大変だ」
外の風景がエレベーターから見る風景のように、少しずつ地面に近づいてゆく。
KP
眼下の屋根の形が分かりだした頃に、穴の向こうに巨大な指先が差し出された。

あなたは指先から合わせられた指の上に乗り移り、広々とした肌色の地面の上で息をつきながら、地上が次第に近づいてくるのを眺めることになるだろう。
佐倉 光
マカミを喚んで、その細い体をローブ代わりにたぐってアスレチックをこなす。
「いてててやめろそこは千切れはしねーけど痛ぇ!」
などと文句を言われながら。
KP
マカミの助けを借りるのは名案だ。
何せ手に乗り移るのも手から降りるのも一仕事な距離で、今のあなたはあらゆることが覚束ない体調だ。
佐倉 光
指先から降りるのですら肝が冷えた。
散々マカミの体をくしゃくしゃにしてようやっと地面に降り立つと、思いのほか寒くて驚く。
違う。今までいた場所が暖かかったんだ。
いきなり固い地面に降りたからか、船から下りた直後のような、揺れている感覚も加わってふらふらしてしまう。
KP
地図にある店は、住宅街の路地の中にある。
幸い、手から下りた所からすぐ近くだ。
住宅の合間に、洒落た木の扉と看板が覗いている。
佐倉 光
木の扉にたどり着くまでマカミにぶら下がるようにして移動していた。
佐倉 光
ノックする前に牧志の方を見上げ、見えはしないだろうけど一度手を振った。
マカミを還してから深呼吸して扉をノック。
牧志 浩太
牧志は巨大な建造物のように座り込んでいて、相変わらず表情はここからは見えなかった。
KP
「ママー、遊園地あるよ! 遊園地!」
すれ違った子供が牧志を指さして叫んでいた。

コメント By.KP
暢気なことをやっていていいんだろうか?
多分大ピンチなんだ。意味が良く分からないけど。

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本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


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