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こちらには
『けものシッターKPC』 のネタバレがあります。

牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。


佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
悪魔を召喚して戦う。契約中の仲魔はラミアとマカミ。

とある事件より、体中の痛みに悩まされているが、桜色の勾玉により少し改善した。
巻き込まれ体質らしい。

最近牧志への奇妙な執着に囚われているため、家を出ている。

牧志とは友人。


とある事件以来、特殊な事情のため二人が面倒を見ることになった少年。
超美形で類い希な理解力と知性を有する。
年齢は7歳程度。生育環境が特殊だったため、一般的な教育を受けていないので、言語が年齢の割に幼い。最近になって急に一般的な生活を送り始めたので、外界への興味が強い。


本編見る!


CoCシナリオ「けものシッターKPC」

- 甘いもの市場 -


牧志 浩太
わーい! よろしくお願いします。
KP
はーい。モフモフして癒やされよう。
牧志 浩太
癒されよう癒されよう。
KP
あ、最初に申し上げておきますと、マジで不穏要素はないので、警戒は不要です!
牧志 浩太
ありがとうございます! 実は不穏とか実はショゴスじゃなかった!

KP
奇妙な夢をみてから更にしばらく。
佐倉からは一切の連絡はない。
シローもふたりきりの生活に慣れて、少し寂しそうにすることはあるものの、佐倉のことを口にすることもそう多くはなくなっていた。

波照間からは「問題ない」とだけ聞かされている。
それ以上のことは伝えるなと言われているのだそうだ。
佐倉はとある事件で不定の狂気による牧志への異常な執着を発症し、それがおさまるまでと家を出ている。
牧志 浩太
二人きりの生活にもすっかり慣れた。
シローは随分と色んなことを一人でできるようになって、気づけば佐倉さんが欠けても、生活は普通に回っている。
牧志 浩太
ふとした時に、佐倉さんのことが心配になる。
あの日から閉ざされたままの部屋の扉を見ると、また話したいなと思ってしまう。
牧志 浩太
けど先輩が見ていてくれているし、きっとどこかで元気に……、元気じゃないだろうけど、それなりにやっている。
それなら、いつか戻る日のことを考えながら、いつも通りに過ごすだけだ。

こんなのじゃなくても、例えば留学とかで誰かが一年いないなんて、たまにあるしな。

ああ、そういえばアメリカに行ってるあいつ、今度帰ってくるんだっけ。マサチューセッツ州のどこか、って言ってたな。
なんだっけ、アーなんとか……
KP
そのお知り合い大丈夫?
牧志 浩太
そのお知り合いシナリオフック持ち帰ってきそう。>アーなんとか
牧志 浩太
窓辺に置いた花瓶には、あの夢から覚めた時に握っていた青い花が生けられている。
あれを見ていると、ああ今頃どこで何をやってるのかな、なんて思う。

その青は、生活の中に変わらず佐倉さんの気配があるような、そんな安心感を与えてくれた。
KP
そうしてゆるやかに時は過ぎた。

KP
ある日、あなたのスマホにメッセージ通知がきた。見知らぬ新規アカウントからだ。
ただひとこと、
『たすけて』と。
牧志 浩太
「!」
その一言を見てどきりとする。
何だ、これは?

いたずらかもしれない。
もしかすると、俺を誘い出そうとしているのかもしれない。

この前にも、見知らぬ女性が助けを求めてきたと思ったら、実はなんて事件をニュースで聞いたばかりだ。
牧志 浩太
でも。
『助けて』なんて、無視できないだろ。
牧志 浩太
『あなたは誰だ。どうすればいい?』

そのアカウントのプロフィールを確認してスパムっぽくないかチェックしながら、そう返す。
KP
『まき』
メッセージが来た。
そして直後に真っ黒な画像。
ぶれていてよく分からない。
プロフィールには何も書いていない。本当にできたてといった風情で、アカウント名はランダムに並べられた英数だ。
牧志 浩太
『まき』? 牧志?
少なくとも、この誰かは、このアカウントが俺のだって知っている?
ただのスパムって可能性は減ってきたな。
牧志 浩太
『牧志』。
新規アカウントで送ってきそうで、俺をそう呼びそうな人を、ひとり思い浮かべてしまった。

いやいや、違う。それはない。それなら俺じゃなくて先輩に助けを求めるはずだ。

いつもみたいに忙しくて対応できなかったってことがないように、悪いけど先輩も仕事、減らしてくれているんだし……。
牧志 浩太
▽波照間が仕事減らしている
もちろんシナリオ導入に差し支えがあったら「今回ばかりは外せない仕事があった」で大丈夫です!

波照間がいつものように「忙しくて対応できなかった」をやっている間に佐倉さんに何かあったら牧志がSAN0になってしまいそうなので、フレーバー的にそういうことにしました。
KP
はーい。
波照間さんには大変な目? に遭って貰おう……
牧志 浩太
これだけ色々起きてて連絡を絶つことを選べた、となると、波照間がそれなりに頼りにならないとできなさそうだったので……(同居の理由、元々異変対策でしたしね)
KP
〈目星〉
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 85→成功
KP
写っていたのは、黒い獣の足から生えた爪、のように見えた。
近すぎて詳細がよく分からないが……
牧志 浩太
……何だこれ?
猫が何かみたいに見えるけど……。

とりあえず、画像の明るさを変えて何か出ないかやってみる。
その爪は犬か猫か、どんな獣のものに見えるだろうか?

また、画像には位置情報など何かついていないだろうか?
KP
爪だけでは猫とも犬ともつかない。
どちらかというと犬寄りだろうか。がっしりとした太い足に見える。
位置情報はないか、と見ていると、もう一枚写真が送られてきた。

あなたの家の近所の公園にある遊具が写っている。それと、画面のすみに鮮やかな青。
あの日から不思議と枯れることのない勿忘草の花弁が写り込んでいた。
牧志 浩太
「……!」
はっ、と振り向く。その青は、窓辺にあるのと全く同じ青だった。

まさか。まさかまさか本当に、佐倉さん?

感激や何かよりも先に焦りが来た。
連絡を絶ったはずの佐倉さんが、あれだけ決意したはずの佐倉さんが、助けを求める? 先輩じゃなくて…… 俺に?
牧志 浩太
何があった!?
牧志 浩太
「ごめんシロー、留守番頼む!」

また留守番で悪いけど、一人になってから前より留守番の機会が増えてしまって、慣れたものだ。

急いで出かける準備を整え、先輩に一報を入れて、公園へ向かう。
牧志 浩太
偽者や別人かもしれないし、送らされている可能性もあるから、現地に近づいたら一度様子を見る。
KP
ブランコのすぐ横、砂が積もった所に人だかりができていた。
誰かが犬に襲われている。
そんな声が聞こえた。

真っ黒な服を着た誰かが、何か一抱えほどのものにのし掛かられて顔を噛まれている。
ように見えた。
周囲には子供が数人、スマホを手にした大人が数人。
大丈夫ですかと声をかける者もある。
牧志 浩太
「警察には!?」
周囲の人に確認しながら、焦る心を抑え、他に周囲に犬がいないか確認する。

ジャケットを脱いで丸め、壁にしながら横から近づく。
KP
緊迫した空気で近づいてゆくあなたに、子供たちが好奇の視線を向ける。
「かわいいねぇ!」
指を指す女性。

よく見ると、黒い獣は黒服を着た青年の顔にのし掛かり、顔をひたすらなめ回していた。
佐倉 光
「うわ、ちょ、やめ」
聞き覚えのある弱々しい声が下から聞こえた。
牧志 浩太
よかった、噛んでいるわけじゃなさそうだ。
……ああ、安堵するとその声を聞いて、色んな感情が湧きそうになる。
牧志 浩太
それでも油断はせず、そっと横から近づく。
興奮させたらうっかり噛むかもしれない。
ミーちゃんに穴だらけにされたのはもう結構前だが、あの経験を忘れたわけではないのだ。
KP
そうだよなー、ミーちゃんに襲われたことがあるんだ牧志。
牧志 浩太
なんですよね。ちょうどそのログ読んでて。よく犬恐怖症にならなかったもんだ。
牧志は一度、無抵抗で犬に襲われる恐怖体験をしたことがある。

牧志 浩太
犬? はどれくらいの大きさだろうか。
抱え上げられそうなら、背中から抱え上げて佐倉さんを助ける。
KP
犬っぽい黒い毛玉は耳が三角でぴんと尖っていた。尾は長く先が筆のようにふさふさとして、そこだけ明るい色だ。サイズは中型犬程度、足は太くてがっしりしている。
あなたが抱えあげようと後ろから近づくと、黒い獣は佐倉の顔の上に座って振り向き、くりくりとした赤く丸い目であなたを見つめ、「ばうっ?」と吠えた。

その姿は犬のようであり狐のようであり、そのどれでもなかった。
あどけなく可愛らしい、保護欲を掻き立てるような大きな目、三角形だが大きな耳、ツンと尖っているが丸っこいつやつやとした鼻は、動物の赤ちゃんを思わせる。警戒心を失なわせ、そのふわふわとした毛並みを撫でたいと思わせる。
だがそれは地球上のいかなる動物とも違うものなのだと、あなたは感じた。
牧志は何故かその生き物に衝撃を受けた。
牧志 浩太
「う、うわ」
その可愛らしく見える何かは、予想したもの── 誰かの飼い犬、恐ろしい野犬、実は猫、そのどれとも異なっていた。

何だか分からないがサイズに似合わない可愛らしさを備えた何かは予想を裏切り、思考をバグらされたような不快感と、ぬいぐるみのようで可愛いという好感を同時に呼び起こす。
牧志 浩太
見事に《SANチェック失敗した結果、大きさと予想外と可愛さが頭の中で不整合を起こして牧志がバグりました。
牧志 浩太
「と、とととにかく、佐倉さんの頭からどいてくれ」
小さく見える。でも大きい。結構大きいぞ。どうするこれ。

一瞬迷った結果、それの眼を見据えたまま手足を伸ばして体を大きく見せつつにじり寄る、という行動に出た。

とにかくそこからどいてほしいのだ。あと背を向けたくない。
牧志 浩太
どいてくれるならそれでよし、どいてくれないなら抱え上げたい。
KP
参考資料
牧志 浩太
あらかわいい。でも中型犬サイズはでかいぞ。
KP
佐倉はふわふわの尻に顔を擦られながらジタバタともがいた。
モフモフの生き物は小首をかしげる。口を開け、あなたを見つめる赤い目が期待に満ちている。ハッハッと息を吐きながら獣は微笑んで、佐倉の顔の上に伏せた。
佐倉 光
「もが」
KP
佐倉は両手で獣を引き剥がそうとしているが、その努力は報われていない。
抱えあげるしかないだろうか。
牧志 浩太
違う。そうじゃない。
思い切って抱え上げる!
KP
ふわふわの毛の中にむちっ、としたしっかりした筋肉と重みを感じる。
獣はあなたの手を飛び出してあなたの顔にのしかかってペロペロし始めた。

あたたかい。重い。もっふもふである。
牧志 浩太
「わ、わわわ、人懐こいなお前」
近い! 近い! もふもふだ! でも近い! 近すぎて結構怖い!
佐倉さんを助けられたことに安堵しつつ、そいつを宥めようとする。
牧志 浩太
家で飼ってるのはどっちも猫だった。犬の扱いはよく分からない!
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「牧志!?」
KP
迷う気配があった。
それからふわふわの生き物があなたから引き離された。

あなたの目の前に、黒い生き物を抱えて何とも言えず情けない顔をした、顔面びしょびしょの佐倉がいた。
と見る間に黒い獣は佐倉の肩を這い上がっている。
牧志 浩太
「ご、ごめん助かった……」
ハンカチで自分の顔を軽く拭いてから、ハンカチを佐倉さんに渡す。
佐倉 光
「サンキュ。久しぶ……だぁもうやめろって」
KP
黒い生き物は頭によじのぼろうとし、佐倉はバランスを崩して座り込んだ。
佐倉 光
「こいつ何とかしてくれよ~。俺、動物なんか飼ったことないんだよ」
ハンカチに手を伸ばすが、獣に邪魔されて手が届かない。
牧志 浩太
「…………佐倉さん」
向き合えば、そこにいるのが佐倉さんだ、という実感がじわじわと昇ってくる。
牧志 浩太
「久しぶり。何だか、また変な会い方しちゃったな」
獣の毛をよけて、ハンカチを取って佐倉さんの顔を拭く。

会えて嬉しい、などとは到底口に出せなかった。
本当なら、まだ戻るべきでも会うべきでもなかったはずだ。

でも、困ったことに、やはりどうしようもなく、会えて嬉しかった。
牧志 浩太
「えっと……、そいつ、何? 悪魔?」
ひとまず、目の前のものに意識を移す。
佐倉さんの悪魔にしては話が通じなさそうだな。
佐倉 光
「ああ、たぶ……」
KP
佐倉はそう言ってから周囲を見回した。
子供たちの好奇の目、大人達の微笑ましそうな目。
ここはあまりにも……内緒話に向いていない。
佐倉 光
「……」
KP
真剣な顔で考える佐倉の鼻を謎獣が舐める。
佐倉 光
「うお!? 中やめて!?」
KP
何故子犬は鼻の穴の中を舐めようとするのか。
KP
佐倉は頭をかきむしって、ため息をついた。
佐倉 光
「家に戻ろうか……」
牧志 浩太
「そう……、だな。戻ろう。
部屋、そのままにしてあるよ。掃除だけたまに入ったけど、物には触ってない」
牧志 浩太
見知らぬ野生? 動物 meets 佐倉さんということで、色々いらんこと考えてしまいそうな〈医学〉61。
KP
〈医学〉で何を考えているんだ牧志……
牧志 浩太
「そうだ、噛まれたり引っ掻かれたりしてないよな? 
そいつが飼い犬や悪魔じゃなかったら、後で念のため病院行こう」
牧志 浩太
そりゃ狂犬病や寄生虫の事ですね……。
というわけで表でも出しました。
KP
なるほどなるほど。
牧志 浩太
牧志の〈医学〉は実戦ベースだけど、途中で医学書読んだりしてる描写もしたし、何かと知識を追いつかせようと色々学んだりはしているイメージです。
佐倉 光
「ああ。まさかこんな」
KP
ヨッジヨッジ
佐倉 光
「こんな状態で帰る羽目になるなんてなぁ!? やめて登らないで」
KP
見た感じ噛まれている様子はない。
牧志 浩太
ちらりと佐倉さんの顔や腕に視線を走らせ、傷がなさそうなことに安堵する。
家に戻ったら、きちんと見てみよう。
牧志 浩太
「ほんとにな」
その様子を見て、少し微笑ましく思ってしまいつつ苦笑を漏らす。
佐倉さんと仮称子犬、不思議な図だ。
牧志 浩太
「でも、何か考えてる暇がなさそうなのはいいかもしれないな。
その調子じゃ、『それ』どころじゃないだろ?」
佐倉 光
「ああ!? ああそうかも!?」
頭を乗り越えようとしている黒い獣の脇腹捕まえて顔面を尻尾でピタピタ叩かれつつ、佐倉は返事をした。

佐倉の頭の上から黒い獣はあなたを見下ろして、満面の笑顔で「ばう!!」と高い声で吼えた。

※何も無ければ自宅に着きます。
牧志 浩太
「ああー、ああ、なんでそんなに頭に登りたがるんだお前」

※自宅に戻ります。
KP
扉を開けると、帰ってきていたらしいシローが玄関に走ってきて、そして目を丸くした。
KP
「さくら!」
佐倉 光
「ああ、ただいま……」
佐倉は疲れ切った顔で眩しそうに微笑んだ。
牧志 浩太
「ただいま、シロー。留守番ありがとう」

あれから過ぎた時間は、小さなシローにとってはきっと長いものだ。
シローが佐倉さんのことを忘れずに、そうやって名を呼んでくれたことが嬉しかった。
KP
「……? ●▼■≧?」
彼は何かを発音した。だがあなたたちにはそれは聞き取れなかった。
牧志 浩太
「……? シロー、こいつのこと知ってるのか?」
シローが何か言ったような気がしたが、聞き取れなかった。
KP
「図書室、よんだ、似てる」
シローは首をかしげつつ、佐倉に纏わり付いている黒い毛玉に興味津々だ。
彼は何度か聞いたこともないような発音の言葉で説明を試みたが、そのひとつとしてあなた方には理解不能だった。

牧志 浩太
「佐倉さん、麦茶かコーヒー要る?」
佐倉 光
「ああ、いいな、珈琲欲しい。久しく飲んでない」
佐倉は足を引きずるようにして家に入ると、ソファの横に持たれるように座り込んだ。
黒い生き物は佐倉の頭からソファに飛び乗ると、フンフンとにおいを嗅ぎ始めた。
佐倉 光
「やっぱイヌじゃねぇんだな、こいつ……」
牧志 浩太
「そうみたいだな。普通、って言うのも変だけど、普通の生き物じゃないってことなんだろう」
言いながら、コーヒーを淹れる。
随分、随分久しぶりに嗅ぐコーヒーの香りに、涙が出そうになって一度顔を背けた。

室内に満ちる香りと、部屋の主の気配。
これが、これがこの家の本来の姿だ。そう思えてならなかった。
牧志 浩太
黒い液体を湛えたマグを、佐倉さんに差し出す。
獣が邪魔になるようなら、獣を抱え上げて一旦どかし、マグはシローに渡してもらおう。
佐倉 光
「サンキュ……」
佐倉は力なく言ってコーヒーを受け取って啜ると、心底安らいだような声を上げ、
あなたに感謝の笑みを向けた。
牧志 浩太
漏れる声を聞いて、心の底から安堵する。
ああ……、よかった。

会えたこともだけど、そんな状態になっている佐倉さんを助けられたことが何より嬉しい。
KP
黒い獣はソファから飛び降りると、
佐倉の膝を飛び越えては部屋の端から端へと駆け巡り、
今度は膝をくぐりを繰り返すのに夢中になっている。
シローはそのルートに手や足を出して獣が飛び越える様を楽しんでいた。
佐倉 光
「波照間さん大丈夫かな。いや、大丈夫だとは思うけど……」
牧志 浩太
「何があったか、教えてくれるか」
佐倉 光
「大して語れることもないんだ。
昨日波照間さんたちと行ったのがほぼ害のない異界で、
トラブルの原因はそことはあまり関係のないヤツだったからさっくり退治して、
さあ帰ろうかって話して出たところで、
フードを被った男に遭遇して、こいつらを押しつけられたんだ」
佐倉が見た先で黒い獣が軽々と佐倉の膝を飛び越える。
牧志 浩太
「うーん……。本当にいきなり押しつけられたってことだな」
牧志 浩太
「こいつ“ら”? もしかして、先輩も同じの押しつけられてるとか?」
佐倉 光
「ああ。全部で五匹くらいいたと思う。
『一晩だけ預かってください』ってんだよ。
で、そいつに詳しく事情聞く前にいなくなっちまってさ」
佐倉 光
「そういやあいつ、なんか涙ぐんでたな」
佐倉 光
「言うこと聞く義理もないし置いていこうって言ったんだけど、まあなんだかんだあって、
異界に放しておいて、悪魔の力とか借りて隔離しとこうってことになったんだ」
牧志 浩太
「なんだそれ……。でも、確かに先輩は置いていけそうにないな、そういうの」
佐倉 光
「そしたらちょっとドジって俺だけ外に追い出されてさー。異界のゲートは閉じるし一匹漏れるしでもう……」
牧志 浩太
「それで、この状況か。
その一匹漏れたってのが、こいつ?」
佐倉 光
「そう。他のみんなは異界開けるように中から色々やってくれてるらしい。
で、俺にはこれを逃がさないように面倒を見るようにって。
そもそもこいつ逃げないけどさ~」
佐倉 光
「こんなのそれこそ波照間さんや春日さんのほうが適役だろ!? なんで俺なんだよ!?」
牧志 浩太
「あー……。確かに」

想像した。春日さんならうまくいなしてくれそうだし、洞川さんは扱いがうまそうだ。
なんだかんだで先輩は頑張るだろうし、穂坂さんは手玉に取れそう。

あと体力の問題。
佐倉 光
あの五人の中で一番向いてなさそう。
牧志 浩太
なさそう。
佐倉 光
「異界開くの明日までかかりそうだっていうし、俺だけでしかも外でこいつの世話すんの無理」
牧志 浩太
「それは災難だったな」
佐倉 光
「これ一応俺の仕事なワケだから正直どうかと思ったし、もう少し様子見たかったんだけど」
佐倉 光
「もう無理なんだよ、限界だ!」
牧志 浩太
「それで、俺に連絡を?」
新規アカウントから来たメッセージを見せる。
佐倉 光
「あ、それ送ったの俺」
佐倉 光
「詫びでも償いでも埋め合わせでも後で何でもやるから!
一日だけここに置いてくれ!」
牧志 浩太
スマートフォンを持ったまま、ふ、と笑う。
牧志 浩太
「勿論。詫びなんていいよ。

ここは佐倉さんの家だ。部屋も掃除してあるし、傷まないように個包装のやつにしたけど、コーヒーだって置いてある。

佐倉さんが困らないだけ居てよ。
俺は手伝うし、俺と顔を合わせるのが大変なら、俺は外へ行く。

ここは、佐倉さんの場所だよ」

閉ざされたままの部屋の扉に蜘蛛の巣などはない。
塵一つないわけではないが、いつでも帰れるようになっていることが窺われる。
KP
佐倉は一瞬泣き出しそうな顔をして顔を伏せた。
その顔に黒い獣が突進してきてぺろぺろ舐める。
佐倉 光
「うわわわわ!?
いや駄目、一人にしないでくれ!」
KP
必死の形相の佐倉が黒いむくむくした生き物にひっつかれている!
牧志 浩太
「わわわわ、いや大丈夫だから! 一人にしないから!
慰めようとしてくれてるのかな、でももうちょっと手加減が欲しい」

獣に〈心理学〉……できるだろうか!?
KP
うむー、〈心理学〉か。難しそうだ。
〈心理学〉/4〈生物学〉
牧志 浩太
1d100 20 Sasa 1d100→ 5→決定的成功クリティカル)!
KP
なにぃ!?
牧志 浩太
わお
KP
あなたはその獣の瞳の奥に……
純粋な好意 と好奇心と「あそぼう!!」という気持ちを読み取った。
ぶんぶんと振り回される尾も、ぴんと立った耳も、にっこり笑った顔も、素直に全力で無邪気な子犬と変わりない!
佐倉のことはちょっぴり心配したかも知れないが、どっちかというと興味の方が強そうだ。
牧志 浩太
「……」
見えてしまった。その眼の奥の心が。
赤い眼を覗き込んで絶句する。
牧志 浩太
「……」
牧志 浩太
「お前ほんとに元気だな……」
KP
「ばうっ!」
獣は吠えて、おまけに佐倉の顔を舐めた。
佐倉 光
「つかれた……」
真っ白に燃え尽きた佐倉がされるがままになっていた……。
牧志 浩太
「お疲れ様……。これは大変だ」

KP
といったところでこのシナリオの目的。
このちっちゃいのと一日過ごします。

一応シナリオに
・調べる
・ご飯
・あそぶ
・お風呂
と項目はありますが、これ以外のことをしてもいいです。
牧志 浩太
「佐倉さん、大変だったろ。
風呂入る? そいつは水大丈夫なのかな」
牧志 浩太
佐倉さんがびしょびしょなので、まずはお風呂だ!
佐倉 光
「見た目犬っぽいし水いけるんじゃないか?
つーかこいつなんなんだ?」

〈目星〉をどうぞ
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa 1d100→ 17→成功
KP
あなたは黒い獣の首の毛の間に不自然な凹みがあると感じた。
首輪でもついているのだろうか。
牧志 浩太
「あれ?」
洗い方を考えながら獣を見ていると、ふと首の毛の間に凹みを見つけた。

飼い犬? みたいだし、首輪でもあるんだろうか。
牧志 浩太
「何かあるな。ちょっと見ていいか?」
首の毛を掻き分けて、そこを確認することはできるだろうか。
KP
あなたが手を出すと、獣は「あそんでくれるのですね!」とばかりに前足をくるくると動かす。
首を弄られるとくすぐったそうにぱたぱたと暴れた。
真っ黒な革の首輪がはまっており、ドッグタグがついていた。
ドッグタグに書いてある文字から、牧志は不穏なものを読み取る。
牧志 浩太
その文字を目にして一瞬凍りつく。

犬の首輪に犬って書くようなのどうかと思う、いや違う、違う、これは何だ、いま俺の手の中にいるこれは。

これは何のための獣だ。

何かの扉がぐつぐつと頭の中で音を立てている。
俺は何の名前を思い出しかけた。

何の。
牧志 浩太
首輪を見つめたまま、しばらくの間たっぷり凍っている。
知識とは
KP
本当はシナリオに公開情報として書かれていますが伏せさせていただきました。
牧志 浩太
ありがとうございます。きっと無意識に理解を拒んだのでしょう。
理解してはいけないということを知っているから。
牧志 浩太
しれっと忌まわしい本もなにかと読んでいることになった牧志。
そりゃ40%だもんな。やっぱり魔きしに足を踏み入れかけているのでは。
KP
いやいや、今までに調べ物のたびに色々見ているじゃないですか。
何気なく〈図書館〉って言っているときに読んでいるはずですよ。
牧志 浩太
確かに。本って目的情報以外も色々載ってるし、調べ物の度に色々一緒に目にしちゃっているんですねぇ。
KP
〈神話〉知識が溜まるってそういう事だと思ってます。
牧志 浩太
確かに。そりゃ目的の情報だけ取り入れられるわけがない。忌まわしい書物に触れる度に知らんでいいことまで目にしてしまう。
因果が過ぎて最高。牧志&佐倉さんの中には忌まわしい知識が正気を食い潰す程に詰まっている。

佐倉 光
「どうか、したのか……?」
KP
獣は佐倉の既にぐちゃぐちゃになった頭を尾で叩きつつ、あなたの手の中で普通の動物のようなあどけない顔をしていた。

【アイデア】
牧志 浩太
1d100 90 Sasa 1d100→ 67→成功
KP
そうすると佐倉らは『誰』に出会ったというのだろう?
それが明日この獣を引き取りに来る、ということか?
牧志 浩太
決まっているじゃないか。
これがあれのための獣なら、いや、あれとは何だ、あれは?

あれは?

考えるべきではない。
獣の眼は赫い。
牧志 浩太
「……頑張ってお世話しよう。
おれ、ふろ、いれる。しろーおふろはいろう」

ぎくしゃくした声で応えた。
KP
「はーい」
シローは元気よく返事をして、風呂場のドアを開けた。
佐倉 光
「…………」
KP
佐倉はげっそりしていて返事もしない。
「ばう!!」
獣は体の割に太い前足であなたの痣をぺちぺちと叩いていた。
牧志 浩太
忘れよう。いや、忘れなくてはならない。
忘れ…… 忘れられる?

頭の中に埋め込まれた無数の知識がもう少しで点から線になりかけている。
いままで目にする度に少しずつ少しずつ脳の底に焼きついてしまったものが意識の奥で蠢いている。

意識の先で理性がひっきりなしに警告を発している。
ポンコツ佐倉
KP
獣が佐倉にやたらなついているの、痣のせいなんですよね。
つまり牧志も
牧志 浩太
なるほどなー!! >痣のせい
KP
だから異界組はここまで纏わり付かれていないけど、そのぶん異界を好き勝手走り回る獣sに手を焼いているかも知れない。
牧志 浩太
好きな所入り込んで縦横無尽に走り回る獣sに大変な目に遭わされてそう。

牧志 浩太
とりあえず風呂の準備をして佐倉さんを風呂に入れてご飯の準備をしよう。
あとシローとこいつも。風呂にはもちろん俺も入る。
KP
佐倉はゆらゆらしながら幽鬼のような顔で風呂に向かった。

獣はあなたが気に入ったらしく、あなたの顔を舐め始めた。
なにかを思い出させる真っ赤な瞳の奥には不穏な物はひとつもない。
獣はおとなしくあなたの腕に収まっている。
牧志 浩太
「……そうやって見てるとただの犬だな」
苦笑いしてその背を撫で、柔らかい感触を楽しむ。

ひとまず「あれ」にも「これ」にも害意はない。
今の所。それでいいってことにしておこう。
牧志 浩太
「シロー、佐倉さんを見てやっててくれ。
疲れてるみたいだから、寝たり沈んじゃったりすると危ないからな」
牧志 浩太
浴槽に湯を溜めておく。
KP
獣の毛並みは柔らかいが、触れてみるとそれなりに汚れていると感じられた。
あなたに撫でられて獣は気持ちよさそうに目を細めている。
温かくやわらかい手触りが、あなたの嫌な知識や想像をどんどん脳から追い出そうとしてくる。
牧志 浩太
ああ、柔らかい。
こうやって触れてると本当に、ただの犬だな。
どう思っていいか分からずに、暫く目の前の温かさだけを楽しんでいた。
牧志 浩太
まずは佐倉さんの手足から背にシャワーをかけて、冷えているだろう手足に熱を与えていく。
自分で浴槽に入る元気がなさそうなら、佐倉さんを抱えてお湯に入れる。
それからシローにかけ湯をさせてやって、入っていいぞと浴槽にゴーサイン。

そこまで済んだらとうとう犬洗いだ。
KP
佐倉は虚ろな目をしていたが、あなたに抱えられそうになって慌てて自分でお湯に入って足を滑らせずっこけた。
牧志 浩太
「ってうわ、危ない! 佐倉さんごめん!?」
目の前で発生する惨事に、そんなこともまとめて頭から吹き飛ぶ。

佐倉さん、頭をぶつけたりしていないだろうか!?
KP
佐倉は背をしたたかに打ったらしく、「でぃあー」とかぼそぼそ呟いていた。
牧志 浩太
「あっ、あっああ」
痛そうだ! でも手元には犬!
犬を洗ったら佐倉さんの怪我を確認すると誓うが、まずは手元の犬だ。
KP
そんなどたばたをよそに、シローは丁寧に体を流して湯船に入った。
おせわ
牧志 浩太
やることが獣の、というか佐倉さんのお世話になっている。
KP
シナリオ内容は正直ただの「わんこのおせわ」なので、スパイスになっていいかもしれ
……ない?
牧志 浩太
しれない?
KP
っていうかこれ「けものシッター佐倉」じゃなくて「けもの+佐倉シッター牧志」になってしまう
牧志 浩太
そう。牧志が佐倉さんとシローとけものの世話をしている。
しかも牧志は犬のお世話には慣れていないけど、重たいものを抱え上げて世話をするのには慣れている!
KP
あれれー? おかしいなー?
これ佐倉の仕事の筈なのに佐倉がポンコツ過ぎるwww
牧志 浩太
佐倉さんの【CON】では仕方がない。そもそも狂気と戦いながらの単独生活で佐倉さんすり減ってますしね。
KP
隙あらば狂気ひけらかしてポンコツ化しようとしているのに既にポンコツだったかー。
牧志 浩太
そういえばシローも色々一人でできるようになった(でないと牧志一人でシローと暮らすのは無理がある)とはいえ、ふたりきりの生活でシローちいさいものの世話にも慣れてますね、牧志。
もっとポンコツになってもいいんですよ。>狂気ひけらかして

KP
シャワーの水を出すと、獣は耳を倒してぐるるるる、と低いうなり声を上げた。

▼何らかの〈交渉技能〉を振ってください。
牧志 浩太
佐倉さんが無事そうなら、シャワーの湯を出して、〈説得〉で獣をゆっくり宥める。
1d100 77 〈説得〉 Sasa 1d100→ 52→成功
牧志 浩太
「そうかお前エジプト系なんだもんな、水は苦手か? 大丈夫、温かいし気持ちいいよ」

ひとまず深呼吸。穏やかな声で語りかけながら、端から少しずつ濡らして毛と肌をもみほぐし、温かさを教えていく。
KP
きっと水が嫌いだったのだろう。獣は明らかに恐怖と威嚇の唸り声をあげていたが、あなたが穏やかに語りかけていると声はおさまってくる。
あなたの体にぴったりとくっついて、シャワーを疑い深そうに眺めているが、逃げ出しそうな気配はなくなった。
牧志 浩太
逃げそうな様子がなければ、自分のシャンプーで獣を洗う。
KP
獣は湯をかけられるとピタリと動かなくなった。尾の先だけをプルプルと震わせ、体も細かく震えている。
ヒンヒン、スンスンというようなか細い声を漏らしていた。
泡が見る間に汚くなってゆく。意外と汚れていたようだ。指をたててマッサージしてやるうち、体の震えが止まっていた。
牧志 浩太
「おお、結構汚れてるな」
みるみるうちに汚れていく泡。
洗っている! という実感が湧いて楽しい。
KP
なんだか手元に視線を感じる。
牧志 浩太
「?」
獣を洗うのにしばらく夢中になっていて、視線に気づくのが少し遅れた。
視線の来る方を見る。
佐倉 光
「……」
KP
佐倉があなたの手元をじっと見つめていた。
佐倉 光
「!」
牧志 浩太
手元には犬。黒いふわふわの毛。
何となく佐倉さんの頭と、犬の毛を交互に見た。
佐倉 光
「何でもないって」
KP
佐倉はふいと目をそらした。
牧志 浩太
「佐倉さんも洗う?」
そして視線の意図を誤った。
佐倉 光
「…………」
KP
何故か間。
佐倉 光
「いやいいって。俺そこまでおかしくねぇし!?」
牧志 浩太
「? いや、佐倉さん随分しんどそうだったから」
佐倉 光
「…………」
佐倉 光
「おかしくねぇし!!」
洗うのは拒否された。
牧志 浩太
不思議そうにしつつ犬洗いを続行する。
牧志 浩太
「あ、そうだ。
さっきぶつけた所と、あと怪我ないか後で見るよ」
佐倉 光
「大丈夫だから!」
何故か強固に拒否された。
牧志 浩太
うーん。また意図せず佐倉さんにしんどい思いをさせてしまったかな。
でも怪我と疲労は心配なんだよな。
牧志 浩太
そんなことを思いながら、脚の間などの細かいところを洗い上げてやる。
バグる距離感
牧志 浩太
『しんでなんかないよ』のせいで牧志の距離感がバグった。
KP
実は合ってたから慌てた。
余裕が出たおかげでうっかり「いいなぁ」と思ってしまった!
牧志 浩太
ですよな!
牧志は完全に洗う気だったしPLはそうかな~と思っていました。
佐倉さんのお世話が体にしみついてしまっている。
牧志は随分長いこと死体状態の佐倉を介護していた時期があるので、そういったことに慣れている上に抵抗が薄い。
その時のことを佐倉は覚えていない。

KP
獣は洗われるうち落ち着いてきたようだ。
黒い毛はツヤツヤと光り始める。
尻尾の先がぺったりとつぶれ、本当に耳が大きなイヌのようにも見える。
獣はあなたの手に軽く顔をこすりつける。すっかり落ち着いたようだ。
「かわいいねぇ!」
シローがニコニコして獣に手を出すと、獣はスンスン、と鼻を鳴らした。
佐倉 光
「そいつ洗い終わったら体拭いてやらなきゃだろ。
先に出て拭くよ。自分の体洗うのは後でやる」
牧志 浩太
「ああ、ありがとう。
どうしようかと思ってたから助かる」

言って、すっかり洗い終わったのを確認し、獣を佐倉さんの手にあずける。
その間にシローと入浴しよう。
牧志 浩太
「冷蔵庫に総菜と、あとはキッチンの戸棚にパンとかいくつか入ってるから」
KP
獣は水が止まるやいなやぶるぶると体を振った。
びちびちと勢いよく水が飛び散る。
シローがきゃあきゃあと騒いだ。
KP
佐倉は先に出て自分の体を拭いて服を着ると、びしょびしょの獣にタオルを被せてわしわしとこする。
黒い獣はするっと佐倉の手から抜け出して居間の方へ走っていった。
牧志 浩太
「あっ」
佐倉 光
「あぁっ、ちょっと待てこら!」
KP
佐倉はドタバタと獣を追いかけて出て行った。
牧志 浩太
これはそれなりの破壊を覚悟する必要がありそうだ。
牧志 浩太
とにかく風呂に入ってしまおう、と大きく伸びをして浴槽へ。
シローと二人、すっかり慣れた距離だったけど、その間の空気はずっと違う。
KP
「まきしー、さくらかえってきた。よかったね」
牧志 浩太
「……うん。よかった。
嬉しい。佐倉さんが帰ってきてくれて嬉しいよ。
また行っちゃうかもしれないけど、でも、会えて嬉しい」

佐倉さんには言えなかった言葉を、呟くように言って、そっとシローの頭を抱きしめる。
KP
「うれしい」
シローは呟くと、あなたの背をぽんぽんと叩いた。
牧志 浩太
「……ありがとう」
シローの手のやさしい肯定に、しばらく身をあずけていた。
身を取り巻く温かい水は、滲む涙を意識させずに済ませてくれる。
牧志 浩太
今回はほんと間にあるドタバタの存在に助けられてるなぁ。佐倉さんは大変だけど。

KP
風呂場から出てみると、タオルを手にした佐倉が闘牛士のように黒い獣に立ち向かっていた。
黒い獣は湿った毛をつやめかせ、部屋を走り回る。
そして部屋の隅に纏めてあったゴミ袋の山に突っ込んで崩し、ソファの上のクッションを蹴立ててすっ飛ばし、コップを倒しまくっている。
佐倉 光
「ステイ!! ステイだってんだろうがこの野郎!!」
牧志 浩太
「……ああー」
そして風呂を上がると、予想した通りの大惨事が涙を吹き飛ばした。
KP
獣はテーブルの上に飛び上がって長い尻尾で乗っているものを箒のように払い落とし始めていた。
佐倉は慌てて落ちそうになった品物をキャッチする。
明らかに獣は右に左にと意図的に佐倉を振り回して楽しんでいた。
佐倉 光
「だめだこいつ悪魔っぽいのにTALK通じねぇ」
牧志 浩太
「とっ、とりあえず危ない物どけよう。
佐倉さん、交代する。風呂入ってきて」
コップや写真立てなどの危ない物を急いでキッチンに移動する。
佐倉 光
「ああ、助かった」
KP
あなたが危険物を移動してくれたのを確認すると、佐倉は疲れた顔で風呂に向かった。
佐倉 光
「このクソガキ、マカミ喚んでわからせてやろうかっ」
牧志 浩太
「マカミが振り回されるかもしれない」
真顔で言い、佐倉さんを見送る。

KP
獣は期待に満ちた目であなたを見ている。
牧志 浩太
「ほんと元気いいな、お前。
分かった分かった、こっちで遊ぼう」

獣を受け止めようと腕を広げる。
KP
獣は尚も佐倉を追おうとしたが、あなたが声をかけるとあっさりと向きを変え、あなたにまっすぐ突っ込んできた。
小さな前足があなたの胸に飛び込む。
想像以上の衝撃と痛みが走った。
前足に全体重が乗っているのだから、力が集中してしまい、見た目よりも痛い。それはすぐ想像がつくだろう。それにしてもあなたは獣を受け止めきれずによろめいた。

【CON】×5
牧志 浩太
1d100 60【CON】 Sasa 1d100→ 20→成功
KP
あなたは転ばず踏み止まった。
牧志 浩太
「おぶぁ」
変な声出た。
しまった、忘れていた。こいつは人間のための獣じゃない。

獣のきらきらした目がこちらを見上げてくる。
やっぱりやめよう、とは言えなかった。そうすれば待っているのは大破壊だ。
KP
獣は床に飛び降りると、あなたをキラキラした赫い目で見上げてくる。
【CON】×5
※ここ実は処理【POW】です。
牧志 浩太
ええい、仕方ない、覚悟を決めよう!
全力で向き合うつもりで身構える。
牧志 浩太
1d100 60 Sasa 1d100→ 55→成功
意外と痛い
KP
全力で遊んで欲しい子犬の前足って痛い。
牧志 浩太
痛い痛い。なるほどこれは佐倉さんの【CON】では扱いきれない!!
KP
赤ちゃんだけど神話生物ですからねー
※でもルールブックよく見ると、肉体的には神話生物より野生生物の方が意外と強いんですよね……
牧志 浩太
なんと。野生生物のデータはちゃんと見てなかったなぁ。
何でもない自然が一番の脅威だった。
KP
じつはクマ、前に出した召喚悪魔の「オニ」よりずっと強い。
というかクマ使おうと思ったら強すぎたからシナリオに合わせて弱めたんですよ。
牧志 浩太
熊に襲われたらオニがいても勝てないのか。怖ぇ。無理もないけども。
そりゃ熊なんていたら神話生物いなくてもパニックホラーだもんなぁ……
KP
神話生物は人間に理解できない特徴を持っているのと、恐ろしい外見で精神攻撃をして来るから怖い、「生物」なんだなってことですね。
まあクマは悪意を持って魔法撃ってきたりしませんしね……
牧志 浩太
ということですねぇ。
物理的な力というより、あるべきではないもののおそろしさ。
それはそう。人間の体に種子植えたり脊髄にとりついたりしませんしね。
KP
クトゥルフの一番恐ろしい要素である「キリスト教にとっての冒涜的」要素って、日本人にはピンとこないから、「あれ、意外と強くない?」って感想になっちゃう。
牧志 浩太
「キリスト教価値観と1920年代の工業・理性・科学至上主義への冒涜」が一番のテーマですもんな。フォードの時代。
でもそれはさておいて寄生系神話生物はたの…… こわい。
KP
リアルでは絶対会いたくはない。
牧志 浩太
全くで。

KP
「ばう!!!」
獣は嬉しそうに吠えた。
牧志 浩太
全力で身構えて……
何をする? と考えた。

犬といえばボール遊び?
だめだ。そんなことしたら今度こそこの家が危ない。ここは賃貸だ。

だめだ。猫の遊び方しか浮かばない!
東浪見に聞いておけばよかった!
KP
【アイデア】で何か思いつけるかも知れない。
また、何か遊んであげる内容があれば何でもどうぞ。
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 Sasa 1d100→ 3→決定的成功クリティカル)!
牧志 浩太
って【アイデア】クリティカル
〈心理学〉といい、牧志…… 獣との親和性結構高い?
※東浪見んちには犬いそう いなくても東浪見の友人親戚のどこかには犬いそう
KP
あなたはずっと前に何の気なしに読んでいた本の内容を思い出す。

犬は「とってこい遊び」や「ひっぱりっこ」が好きだ。
ボールなどを投げて取ってこさせる遊び、
タオルを犬と人間で引っ張り合う遊びなどである。
いずれも最終的に人間が勝って遊びを終わらせることが、序列を重んじる犬のしつけには大事なところである……
牧志 浩太
無理である。
真っ先にそう思った。
俺んちの犬じゃないし、しつけは「あれ」に任せよう。

大型犬飼ってる人とかどうしているんだろう。
今度誰かに聞いてみよう。
いぬのちしき
KP
シナリオだとここでラップの芯で取ってこい遊びするのを思いつくんだけど、ラップの芯は紙の欠片食っちゃいそうでちょっといやだなぁ。
ボールなら部屋にあります。
牧志 浩太
食べちゃいそうだなぁ。この獣なら食べてもどうということはないかもだけど。
KP
だと思うんだけど。
この話、リアル子犬の記憶総動員だ。
牧志 浩太
わんこのおせわだ!
リアルではPLも猫しか知らないんですよね。
KP
うち猫は飼ったことないんですけど、犬なら二匹ほど経験があるもので。
牧志 浩太
おおー。それは記憶総動員ですな。
それだと実感が出そうでいいなぁこの話。

この獣相手に室内でボール遊びやったら賃貸の危機になりそう。
KP
折角お風呂入ったばかりだし、外には連れて行きたくないなぁ。
牧志 浩太
洗い直しは、大変……!
「これ」を外に連れて行く気にはならなさそう、牧志。
弱ってる佐倉さんが心配なのもあるし、基本外には出ませんね。

牧志 浩太
とにかくボールはシローのがあるけど、ここでそんなの使ったら賃貸の危機だ。

長いタオルを持ってきて、端を獣の方にひらつかせる。
KP
獣は尻を振ってタイミングを図りながらぴょんぴょんと左右に跳び、嬉しそうに吼える。
そして先っぽに噛み付いて引っ張り始めた!

【STR】 11 との対抗
牧志 浩太
1d100 50【STR】 Sasa 1d100→ 13→成功
KP
獣は小さい体で強力にタオルを引っ張る。
あなたは何とか制御して程よく引っ張り合いになった。
獣は大喜びで時々首をひねったり唸ったりしながらタオルをぐいぐいと引っ張っている。
牧志 浩太
「だぁああああ!」
全力で引っ張る!
よかった、東浪見の全力より強くない!
一瞬でも気を緩めたら持っていかれる緊迫を覚えながら、獣と引っ張りあいを演じる。
東浪見
牧志 浩太
※東浪見の全力=【STR】18
KP
まだ子供だからそこまではなかった!
佐倉だとこんなの25%だからあっさり負けてずっこける。
牧志 浩太
しかも【CON】でも耐えられない。
KP
だから転んでひたすら顔を舐められていた!
牧志 浩太
東浪見の全力、一度出してもらってあっさりひっくり返されたんだろうなぁって感じですね。
普段は競技とトレーニング以外で全力ださなさそう、東浪見。
KP
彼強い上に優しいから、こういう遊びするときも痛くないようにふわっと負けさせてくれそうだ。
牧志 浩太
ああー、やりそう。慣れてそう。
子供と遊ぶのも子犬と遊ぶのも慣れてますしね。>痛くないように
手加減は強者にしかできないのだ!

KP
暫く引っ張ったり引っ張られたりを繰り返しているうち、佐倉が風呂から上がってきた。
佐倉 光
「すっげぇ、よく相手できるな」
頭を拭きながら感嘆の声を上げる。
牧志 浩太
「あっ、佐倉さん」
そちらに気を向けた瞬間に、うっかりひっくり返りそうになった。
KP
横からシローが手を出して、あなたに加勢した。
「やりたい!!」
牧志 浩太
「えっあっ怪我しないようにな!?」
ひっくり返りかけたところでの加勢はありがたい!
シローとチームを組んで引っ張りあい続行だ。
KP
小さな生き物相手に二人がかりで綱引きを始める。
獣はさすがに引っ張りきれず、前足を浮かせた。

そんな感じで暫く交代しながら引っ張り合いかな。
あなたともう一人なら確実に勝てるが、佐倉とシローチームだと勝てるかどうかは五分といった感じだった。

KP
30分ほども遊んでいただろうか。
獣はソファに登って丸くなった。

「あれ、おわり?」
シローは獣の横に座ってその毛をなで始め、
佐倉 光
「やっとおわったぁぁ?」
佐倉はへろへろと座り込んだ。
牧志 浩太
「シロー元気だな!」
命の危機がない時に、こんなに全力で力を振り絞ったのは久し振りかもしれない。
相手に害意がないって素晴らしい。

佐倉さんの横に疲れ果てて座り込むが、何だか爽やかな気分だ。
心地よい疲れのおかげで、丸くなっている獣も何だか可愛く感じる。
牧志 浩太
賃貸の危機は免れたがそれなりに惨事になった部屋のことは…… 後回しだ!
牧志 浩太
佐倉さんの肉体的能力があんまりなせいで牧志がつよく見える。実際に【DEX】以外は劣った所がない上に【EDU】/【INT】が高いのでつよいのですが。
佐倉 光
「子供ってなんでこうやたら元気なんだ。
俺こんなんじゃなかったぞ……」
KP
佐倉はぜぇはぁと息をつきながら、避難させていたコップに水をくんで、ついでにあなたにも渡してきた。
牧志 浩太
「あ、ありがとう」
コップを受け取り、水がからからになった身体を潤すのを存分に味わう。
佐倉 光
「なんなんだよこの犬。いや犬じゃねーんだろうけど」
牧志 浩太
「さっき首輪見たんだけど、テュフォンの獣、だってさ。
明らかに犬じゃないよな、もう」
さらっと口にし、苦笑。
佐倉 光
「テュフォンの獣?」
1d100 31 〈クトゥルフ神話〉知識 Sasa 1d100→ 93→失敗
佐倉 光
「聞いたことないな。いつものやつの同類で、普通の悪魔とは違うのか……」
KP
獣は欠伸して、すっかり乾いた尻尾をふっさふさと振っている。
牧志 浩太
ここで牧志が成功して佐倉さんが判定失敗するの、妙にらしいなぁ。
佐倉 光
「それにしても、やっぱここは落ち着くなぁ」
KP
佐倉はようやっとゆっくりと周囲を見回したようだった。
牧志 浩太
「……お帰り」
笑おうとしてしくじった。あ、と思う間に表情が崩れた。じわりと涙が滲んだ。
佐倉 光
「少しの間だけど、ただいま。
だいぶ良くはなったけど、もう少し様子を見るつもりだったんだ」
牧志 浩太
「うん……、お帰り……、そっか、良くなってきてるのか、よかった……」
涙声で言う。会えて嬉しいという感情を呑み込もうとすると、形のない感慨になってしまって表情がめちゃくちゃになる。
佐倉 光
「俺も……」
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「やっぱ帰ってくるの早すぎたな。
こいつのことが片付いたらもう少し外泊してくる。
長居したら出られなくなりそうだ」
KP
佐倉は気まずそうにあなたから目を反らし、ぐっと拳を握っていた。
佐倉 光
「二人とも元気そうで良かったよ」
牧志 浩太
「そっか。……そうだな。
佐倉さんも、生きててよかった。顔が見られて安心した」

唇が何か動きそうになって、声にすることだけは堪えた。
アソンデ
KP
あっ。大事(?)な判定一個ミスってた。
遊び始める前、前足アタッククリア後の判定【POW】でした。数値的にはクリアしてた。
牧志 浩太
【POW】
何が起きてたんだろう……
KP
失敗すると……
その目に魅了されて「遊んであげなきゃ!」となります。
あんまり関係なかった。
牧志 浩太
なるほど!
牧志の目がハートになるかどうかの違いだった。
KP
ちなみにこやつが大人になると麻痺機能がつく。
牧志 浩太
こわい。
あと魅了と言ってもいわゆる魔法的なヤツではなく、どっちかっていうと有無を言わせぬかわいさの暴力でKOされる感じみたいです。

佐倉 光
「ここ暫く何も無かったし、一日くらいなら」

【CON】×5 判定。(佐倉は×3
失敗すると腹の虫が空腹を声高に叫んでしまいます。
牧志 浩太
1d100 60【CON】 Sasa
1d100→ 7→成功
佐倉 光
1d100 18【CON】 Sasa
1d100→ 42→失敗
KP
佐倉の腹が盛大に啼いた。
ぐきゅるるるる
牧志 浩太
獣の鳴き声よりも大きな腹の虫に、ふっと笑いを漏らす。
佐倉 光
「なんか作ろう……」
牧志 浩太
「賛成。思いっきり動いたら腹減った」
佐倉 光
「そういやこいつ何食べるんだ?」
牧志 浩太
「何だろうな? 犬でも猫でも狐でもだいたい肉は食べるし、肉なら間違いないかな」
佐倉 光
「犬っぽいしなぁ。雑食と考えていいのか?」
牧志 浩太
「そもそもこういうとき犬に何あげればいいのか、よく分かってないな。
……というか、押しつけるなら飼い方くらい教えていけよな、そいつも。
変な物あげて何かあったらどうするんだ」
KP
▼似た生物を調べる〈生物学〉〈図書館〉〈コンピューター〉
▼とりあえず冷蔵庫を調べる 【幸運】
牧志 浩太
ネットで犬の食べ物、狐の食性、似たような生き物などについて調べてみよう。
1d100 85 〈図書館〉 Sasa 1d100→ 48→成功
牧志はこの動物が何なのか調べてみるが、何なのかは良く分からなかった。
KP
「ばう」
優秀なハンターで悪魔の化身は、真っ赤な目で愛らしく微笑んで元気に鳴いた。
佐倉 光
「肉でいいんじゃね?」
牧志 浩太
「だな、肉でよさそうだ」
改めて冷蔵庫をゴソゴソやってみよう。【幸運】
KP
【幸運】どうぞー
牧志 浩太
1d100 60 【幸運】 Sasa 1d100→ 42→成功
KP
冷蔵庫の中に鶏もも肉と豚肉の細切れがあった。
牧志 浩太
どっちがいいのかと一瞬考え、かぶりつき感優先で鶏肉にした。
ペット用の皿はないので、一切れほど適当な紙皿に乗せて獣の前に差し出してみる。

つい、恐々とした手つきになってしまう……。
KP
獣は目の前に皿を置かれると興味深そうにフンフンとかいで、尻尾をパタパタと振って肉に飛びついた。
小さな口ではむはむと食べ始める。
肉はあっという間に小さな口に消えていった。
わう!!オカワリ
そんな声が聞こえた気がした。
牧志 浩太
「お、口に合ったみたいだな。もうちょっと解凍してくる」

どれくらい食べるか分からないので、多めに鶏肉を解凍する。
余った分は? 俺達が焼いて食べればいいかなって。
KP
一体どこに消えているのか。小さな体がポンポコになるまで獣は食べた。二枚は食べただろうか。
牧志 浩太
随分食べる…… ことにあんまり驚きはない。
むしろ、俺達が食べられたりしなくてよかったまである。
KP
満足そうに舌で鼻を舐めると、シローの所に駆けていって、その足を飛び越える遊びを始めた。
牧志 浩太
「佐倉さん、シロー、適当にこれ焼くのでいい?」
聞くなり既に鶏肉を焼き始めている。腹が減った。目の前の肉が食べたい。
佐倉 光
「あー、いいねー、肉食べたい。
こっちの皿を出せばいいかな」
KP
佐倉はテーブルの上を片付け始めた。
牧志 浩太
「あー、その辺ので」
KP
シローはまた獣と遊ぶのに夢中になっている。
牧志 浩太
焼いて塩胡椒を振って適当に野菜を放り込んで、以上! だ。
シローのは胡椒控えめにして、代わりに甘いソース。

シローがあいつを見ててくれるから助かる。
リクエスト聞きそびれたけど、まあ、何かあったら明日にでも聞けばいいか。
佐倉 光
「いい匂いだな~!」
KP
人間たちが食事を始めると、しばらくテーブルの上に上がろうとしてうろうろしていた。
KP
「あげていい?」
とシローが訊いてくる。
佐倉 光
「あいつはもう食ったからいいの」
と佐倉はにべもない。膝に上ろうとする獣を追い払う。
KP
くーん。哀れっぽい声で獣は鳴いた。
【POW】×5判定。
牧志 浩太
1d100 60 Sasa 1d100→ 4→決定的成功クリティカル)!
KP
つよい。好きにアクションしてください。
佐倉 光
1d100 75 Sasa 1d100→ 77→失敗
KP
あれっ。
佐倉 光
「う……もう……そんな目で……見るなよ……」
視界から追い出すのに苦労している。
佐倉 光
「動物に食わせるわけにいかねぇだろ!
体に悪い!
変な癖がつく!
だいたいこれは俺の久しぶりのまともな飯で……!」
佐倉 光
「せっかく牧志が作ってくれた奴で……っ!」
理性と欲と執着が、訳の分からない衝動と情に抵抗している。しかし放っておけば佐倉は自分のご飯をあげてしまいそうだ。
KP
ひどいポンコツになってしまった。
そして風呂のとあわせて治りかけてた狂気が再発するぅ
牧志 浩太
あーあー。
牧志 浩太
「だめだよ、シロー。

人向けに味付けされたものは、塩が多すぎるし、動物に毒になる物が入ってるかもしれない。
でも、動物はそんなの知らない。

それに、自然ではこうやっていつでもご飯が手に入るなんてことないから、あげたらあげただけ食べちゃうんだ。

だから、俺達が何を、いつ食べるか決めてあげないといけないんだよ」

そう、覚えているのだ。
家の猫ナガグツに自分のご飯をあげようとして、誰かに同じことを言われたような、ぼんやりとした記憶。

ゆっくり言い聞かせて、伸ばされる手をそっと下ろして諭す。

諭したら……
佐倉 光
「ううっ、分かってんだよ、分かってんだよ、んなこたぁ……」
牧志 浩太
「あれ?」
シローだと思ったら、掴んでいるのが佐倉さんの手だった。
KP
「はーい」
シローは素直に食事を始めた。
佐倉は涙目でぷるぷるしていた。
佐倉 光
「なんか俺おかしいなぁ?
やっぱり戻ってくるの早かったんだよ、ここに来るべきじゃなかったんだ」
泣きながら手を握られた。
牧志 浩太
「ご、ごめん佐倉さん、ごめん」
シローが素直に食事を始める傍ら、おろおろと両手で手を握る。
シローだと思っていた影響で包み込むようになってしまった。
KP
もらえないらしい、と悟ると、獣はあっさり諦めてソファの方へ行って丸くなった。
自分の食事はしたから腹はくちくなっているし、遊びまくって眠いのだ。
佐倉 光
「……あれ?」
KP
そして佐倉はふつりと切れた衝動に放り出されて呆然とする。
しばしぼんやりと、重なったあなたの手と自分の手を見つめ……はっ、と息をのんだ。
佐倉 光
「あれ、なんで俺泣いて?
ああ、悪い、食べよう。折角のが冷める」
慌てて手を引っ込める。
牧志 浩太
「ああ、大丈夫。
だな、食べてしまおう」
また欲しがられないうちに、と自分の食事に手をつける。
牧志 浩太
「それにしても、佐倉さんが獣に餌あげたくなるなんて、なんだか珍しいな」
牧志 浩太
そして牧志が全成功クリティカルしている&佐倉さんが狂気で不安定なことを知っているので、獣のせいでは? ということに……気づきにくい!
ので話を振ってみる。
佐倉 光
「ああ、やる気なんかなかったよ。
互いにいいことないだろうし」
佐倉 光
「それなのに、あいつの目を見たら突然、やらない奴は最悪のクズみたいな気がしてきて」
牧志 浩太
「……? 変だな。
目を見てたら突然、だって?」
丸くなっている獣を見やる。
KP
あなたはあの目を二度見ているのだし、その正体に気づいてもいいかもしれない。
牧志 浩太
「なあ佐倉さん。
それ、佐倉さんが疲れてるからかと思ったけど、もしかして。

……魅了CHARM、ってあるよな。パーティ半壊しかけたやつ」
獣を見やる視線に、また少し恐れが宿る。
牧志 浩太
そういえばCHARMでひどい目に遭ったことあるなって。
真・女神転生TRPGにおいて、魅了魔法による同士討ちになってしまったことがある。
KP
佐倉はしばらく沈黙した。
佐倉 光
「この悪魔絞め殺した方がいいんじゃないかな」
牧志 浩太
「まあまあ、今の所害意はなさそうだし。
それに普通に無理だろ、あれ」

マカミが手玉に取られ、絡まって巨大な片結びになる姿が頭に浮かんだ。
佐倉 光
「分かってるよ。言いたくなっただけだ」
KP
佐倉は食事を始めた。そして長いため息をつく。
佐倉 光
「美味いなぁ……」
KP
そうしてゆっくり食べ始めた。
佐倉 光
「悪かったな、面倒ごと持ち込んで」
牧志 浩太
「いいよ、大丈夫。今更だろ、そんなの。それに」

それに。
ふっと唇を割りかけて、口に鶏肉を押し込んで止める。
佐倉 光
「それに、何だよ」
鶏肉を噛みしめて促す。
牧志 浩太
「ごめん。なんでもない。なんでもないよ」

出そうになる言葉を呑み込む。
繰り返し、繰り返し呑み込む。
喉が震えているのが分かる。
ずっと出そうになっている。
佐倉 光
「何でもないってことないだろ。さっきからずっと奥歯に物挟まったみたいにさ」
いつもなら追及しないであろうところを何気なく追う。
佐倉 光
「言いたいことがあるならはっきり言えよ」
牧志 浩太
「……」
言葉の代わりに、ぼろ、と大粒の涙が突然こぼれ落ちた。
牧志 浩太
「あるよ、あるよ。
でも、でも、言ったら佐倉さん困らせちゃうだろ」

ぼろぼろと涙をこぼしながら、半分聞き取りにくいほどの涙声で訴える。
涙をこぼしていないと、代わりに言葉が出てしまうとでもいうように。
佐倉 光
「お、おい、なんだよいきなり、泣くなよ。
もういい、もういいから」
KP
ようやっと自分が触れるべきではないものに触れていた、と気付いて踏み止まる。
佐倉 光
「ああもう、くそっ」
KP
頭をかきむしってティッシュ箱を押しつけ、無言で食べ続ける。
牧志 浩太
ごめん、ごめん、と不明瞭な声で謝り続けながらぐずぐずと鼻をかむ。
結局、食事を終えるまで泣きながら食べていた。
ままならない
KP
変な執着のお陰で、離れることもできなければ、近づくこともできない……!(それがトリガーになって暴走するのも怖いから)
牧志 浩太
つらい!
牧志も会えて嬉しいって言いたいのに言えない。
KP
寝るときまで一緒にいてポンコツ晒すかさっさと逃げ出すかw
描写見るに、シローは今寝るとき牧志の部屋ですよね。
牧志 浩太
ですね。牧志の部屋。
獣が牧志にもなついちゃって、獣返却するまで一緒にいないと牧志に獣押しつけていく羽目になるとかで一緒にいてしまえばいいのでは。>寝るとき
KP
結局そうなんですよね!
獣的にはご飯が貰えて快適で一杯遊んで貰えるここを離れる理由がない。
牧志 浩太
そうそう。離れる理由がない。

KP
なんだかしょっぱくなってしまったご飯を食べ終わった頃には、またシローが獣にちょっかいを出していた。
獣はぱたぱたと尻尾を振って、シローがそれを追いかける。今度はシローが遊んで貰っているような雰囲気になっていた。
佐倉 光
「シローは今牧志と寝てるんだろ?
俺の部屋にこいつの寝床作る」
佐倉はダンボールか入れ物か何かを物色し始めた。
牧志 浩太
「ああ、分かった。
確かに、ソファで寝かせるのもな。粗相されても困るし」

タイミングがよければ、まだ捨てていない段ボールなどがあるだろう。
タイミングが悪ければ衣装ケースだ。
KP
じゃあある。
牧志 浩太
何か買ったらしい段ボール箱が、きれいに畳まれてリビングルームの隅に残っている。

佐倉さんの部屋は、彼が出ていった時のままに保たれている。
生もの以外は放り出していったようなもの、使いかけのものも全て。

意識しているかしていないのか分からないが、そこにいた人の気配が必要なようだった。
佐倉 光
「なんだよ、俺がパーツ買ったときの箱まだあんのかよ……
虫湧くぞ。捨てろよ」
言いながら箱を開いてチェック。
虫も湧いていないし湿っていない、使えそうだ。
牧志 浩太
「まあまあ。丁度よかっただろ」
KP
他やりたいことがなければ就寝まで飛ばします。
牧志 浩太
シローと獣を寝かせたら佐倉さんと話したい。

KP
佐倉は箱とバスタオルを手に寝床を作成し始めた。
牧志 浩太
その間にシローの様子を見る。眠そうなら寝る準備をしてやって、シローを先に寝かせよう。

それからちょっとした飲み物と軽食(酒はやめておこう)を二人分準備して、リビングのテーブルに置く。
佐倉 光
「……」
KP
佐倉は暫く迷ったような様子を見せ、結局テーブルにつく。
少し居心地が悪そうに目を反らしながら。
佐倉 光
「ありがとう」
牧志 浩太
「ごめん。
ようやく落ち着いたし、ちょっと話したくてさ。
あれから互いにどうしてたとか、そんな話でいいんだ」
佐倉 光
「俺は話すほどのことはないよ……仕事以外の時は、街をぶらついて寝てるだけだ」
KP
自嘲気味に笑った。
牧志 浩太
「……」
困ったように苦笑する。
そうされると何を話していいのか分からなくなって、数度口を開いたり閉じたりする。
牧志 浩太
「こっちはさ、見て分かったと思うけど、元気だよ。俺も、シローも」
視線を手元に落として、ハーブティーを啜る。
佐倉 光
「ああ。良かったよ。
会えて嬉しいし、助けて貰えて助かった。
帰ってきたいのは本当なんだ。ただ……
帰ってくるべきではないんだ。もう少しの間は」
佐倉 光
「ごめんな、困らせる気はなかった」
牧志 浩太
「ああ……、俺だって、会えて嬉しい。こうやって話せてよかった。
困ってなんかないよ。それだけは間違ってない。

分かってる、分かってたはずなのにな。
こっちこそ、ごめん」
何度も何度も言葉を迷わせて、指先をカップの周囲でうろつかせて、ようやくそう返す。
KP
なんかそのまま食事するような雰囲気じゃなくなってごめん!! 
食べた後ってことにしようかこの話。
牧志 浩太
そうしますか。
佐倉 光
「昔は当たり前だったことが、今は当たり前じゃなくなっている……」
ぽつりと呟く。
佐倉 光
「この程度のことで心が乱れるなんてことはなかったと思う。俺は、確実に弱くなっているんだ」
牧志 浩太
「佐倉さん……」
佐倉 光
「色々なことを経験すると、普通は経験と知識が助けてくれるだろう?
対処法も増える。心にも耐性がつく。
そう思っていたんだ」
佐倉 光
「知が力ではなく毒……そんなことがあると思うか?」
牧志 浩太
「どうだろうな……。あるかもしれない。
だって、例えば後ろから襲われたことがあると、後ろから来る車が怖くなるだろ。
火傷したことがなければ、火は怖くない。

……闇の中に怖いものがいることを知らなければ、真っ暗闇にだって入っていける。
でも、真っ暗闇で何も見えなかったら、一番おそろしいものを想像してしまうから、やっぱり怖い。

綱引きなのかな、って思うよ。
知って怖くなるのと、知らなくて怖いの。
でも、」

どうしてだろう。
ふと、知らないうちに弱っていたらしい心の隙間から、言葉が滑り出た。
カップが皿に触れて、かちゃりと音が鳴る。
牧志 浩太
「知っても知っても絶え間ない闇がそこにあるのに気づいた時が、一番怖いのかもしれない」
佐倉 光
「絶え間ない闇……か。
そうだな、そういうものなのか、ここに在るのは」
KP
佐倉は自らの胸に手を当てた。
佐倉 光
「今の俺には御しきれないものなのか。俺の限界なのか?
いや、より深く知れば、もっと強い力があれば……」
ぶつぶつと呪文のように呟いた。
牧志 浩太
「……佐倉さん?」
ふと、不安に駆られて手を伸ばしそうになる。
触れそうになった所で、どうにか手を止めた。
佐倉 光
「大丈夫。帰ってくるさ」
KP
佐倉はにこりと笑った。
牧志 浩太
「……待ってるからな」
これまで一度も言わなかった、待ってる、という言葉を口に上らせる。
さりげなく、何気なく言おうとして、それでも少し詰まった。
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「ありがとう」
卓上の空になった皿などを静かに片付ける。
牧志 浩太
「……」
何となく視線を合わせられないまま、手元に目を落としながらコップを片付けた。

佐倉 光
「それじゃあ、俺はそろそろ休むよ。
あいつは俺の部屋に入れとくから」
牧志 浩太
「うん、……お休み」
KP
佐倉は黒い獣を抱え上げて箱に入れ、自室へ運んでいった。
牧志 浩太
その姿を見送り、こちらも歯を磨いて自分の部屋に戻る。
久しぶりに感じる気配が懐かしかった。
次の予定
牧志 浩太
これ、このまま次にハムやったら佐倉さんがまた帰れなくなっちゃいそうだなぁ。
『眼窩に祝福』が先の方がいいかも?(シナリオ確認しました)
KP
ふむふむ。ずっと同じネタやるのもなんですしね。
牧志 浩太
なんですよね。落ち着いたと思ってからぶり返す方が緩急もつくし。
佐倉さんが落ち着く助けになるかどうかは…… 展開による?
導入が平穏な日常ベースなので導入を触る必要はありますが、そのものはクローズドなので今の状態でも行けそうです。
牧志 浩太
『眼窩に祝福』、もしかすると牧志が重ための後遺症(継続は可能)負う可能性があって結構怖いんですが、それはそれでめちゃくちゃ重たいことになって楽しいかな、と思っております
KP
こうやってみると佐倉の不定期間がなっっっがい。
牧志 浩太
そう。牧志もなんかかんかで不定は貰っているんですが、佐倉さんの不定の内容が面白かったがために!
あ、眼窩に祝福も結構《SANチェック》重いので、不定増えたらすみません。
KP
最近常に不定
牧志 浩太
佐倉さんが健やかになれないッッ!
KP
治る暇もなくシナリオとチェックと不定が襲ってくる!
牧志 浩太
最近わりと《SANチェック》重たいシナリオが多いですしねぇ。
いやでもこれ佐倉さんPCだとめちゃくちゃ良い感じに大変だし因縁なんですよね……
KP
そうなのかーなんだろう。
今回の執着は3ヶ月なんで、そろそろ終わってもいい筈なんだッッ!

KP
そして、夜は更ける。
あなたは自分のベッドに入って、眠りについた。
すぐに眠れただろうか。眠れなかっただろうか。
そんな真夜中に。

〈聞き耳〉
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 97→致命的失敗ファンブル
牧志 浩太
わお
KP
そっかー。
牧志 浩太
ここぞというところでファンブルするなぁ。
これは夜中に佐倉さんが出ていったかな。

KP
では。
▼再度〈聞き耳〉
牧志 浩太
1d100 97 Sasa 1d100→ 47→成功
KP
ふと寝返りを打とうとしたあなたは気付く。
ベッドが狭い。
顔の横になんか暖かい物が乗っていて、なんとなく息苦しくて目が覚めたのだ。
牧志 浩太
逆だった!
牧志 浩太
(ん……?)
あいつかな? 寝ぼけたままその何かを撫でる。
KP
ふかふかした暖かいものがそこにいた。あなたの顔を柔らかい物がペチペチと叩く。
牧志 浩太
やっぱりあいつだ。
何となく気持ちいいし温かい。そのまま暫く撫でていよう。
KP
そのまま寝ちゃう?
牧志 浩太
しばらく撫でてから、うっすら目を開ける。
KP
目の前に落ち着いた寝息を立てる佐倉の顔があった。
あなたが撫でていたのと逆側で、あの獣が丸くなっていてその尾があなたの顔をふわふわと撫でている。
牧志 浩太
ああ、なんだあいつかと思ったら、佐倉さんだったのか。
起こしてしまわなくてよかった。
そっと撫でていた手を下ろして、そのまま寝よう。
ポンコツ
KP
二段階イベントだったのです。
牧志 浩太
なるほどなー。二段階だったかぁ。
「なんだ、そのまま寝よう」ではない。
KP
獣が来る→気付いた佐倉が獣連れ戻しに来たけど欲に負けてそこで寝る でした。
これがポンコツイベントだ!!
牧志 浩太
なるほどなぁ。それで二段階。
最初の〈聞き耳〉成功していたら佐倉さん来たところで目を覚ましていた?
KP
ですね!
慌てて帰るところだった。
牧志 浩太
それはすごいところでファンブルした。
異様に鋭敏なはずの牧志が気づいた様子もなくすやすや寝ているの見て欲に負けちゃったかー。
KP
くっついて寝ました。

KP
翌日。
起床は【CON】勝負するか。
【CON】×5で張り切ってどうぞ。
牧志 浩太
1d100 60【CON】 Sasa 1d100→ 36→成功
佐倉 光
1d100 30【CON】 Sasa 1d100→ 7→成功
KP
同時に起きたかな!
牧志 浩太
うっすらと意識が浮かび上がる。
数度まばたきをして、たぶん同時に目が合った。

佐倉さん困るだろうから、先に起きたら寝たふりをしておこう、という思惑が盛大に外れた。
佐倉 光
「……」
佐倉 光
「!?」
佐倉 光
「うわ!?」
KP
佐倉が慌てて起き上がりかけ……ベッドから落ちた。
牧志 浩太
「うわっ、危ない!?」
慌てて起き上がり、様子を確認する。
KP
下で寝ていたシローがびっくりして起き上がる横に、佐倉が頭を抱えて丸くなっていた。
牧志 浩太
「えっ、え、頭打ったのか!?」
佐倉 光
「え? え、なんで? 俺どうしてここに?」
牧志 浩太
「えっ、また忘れちゃったのか!? 変な所打ってないか!?」
佐倉 光
「ちょっと痛い……ってここ牧志の部屋だな!?
ああそうか帰ってたんだ……」
KP
「おはよう、さくら」
佐倉 光
「ああ、おはよう、シロー、牧志……」
KP
そう言う佐倉の顔がみるみる青ざめてゆく。
佐倉 光
「……俺、なんかした?」
KP
恐る恐る問いかけてくる。
牧志 浩太
「いや、大丈夫。何もしてないよ。
こっち来て寝てただけ」
KP
あなたの横で、獣がくぁぁ、と欠伸をした。
佐倉 光
「あ、ああ、それなら良かった! ごめん」
佐倉はその獣をひっつかむと、あたふたと部屋を出て行った。
牧志 浩太
「おはよう、シロー」
その様子を見送って、朝の光が射し込む部屋をなんとなく眺めた。
……ああ、昨日はいい一日だったな。
ちょっと名残惜しいけど、これくらいがいいんだろう、きっと。
KP
そんなあなたの穏やかな心地に、隣の部屋からの獣が元気に走り回る足音と佐倉の悪態が割り込んだ。
シローが布団から起き上がってウキウキとリビングに向かう。
まるで『特別な日常』の始まりのように。

KP
玄関のベルが鳴る。
牧志 浩太
玄関のチェーンと電子錠がかかっていることを確認して、インターフォンに出る。
牧志 浩太
「はい」
KP
モニターに、背が高い黒いフードの人物がうつっていた。
「佐倉さん、こちらにいらっしゃいますよね?  うちの子がお世話になっているはずなのですが」
穏やかな声が聞こえる。だがその声は少し不安そうだった。
顔は影になっていてよく見えない。
牧志 浩太
ああそうか、特別な一日はお終いみたいだ。

その正体を覗こうという気は起きなかった。
たぶん覗かない方がいいやつなんじゃないか、という気がする。
牧志 浩太
「はい、こちらでお預かりしています。
今、連れてきますね。

そういえば、どうして突然佐倉さんにあの子を預けたんですか?」

それでもちょっと聞かずにいられなかった。
KP
「可愛い子には旅をさせよというでしょう?
それで人に預けてみることにしたのですが、全く知らない相手にというのも不安でしたからね」

インターフォンから聞こえる声に、獣は耳と尾を立てて嬉しそうに鳴きながら玄関に向かった。
牧志 浩太
知らない相手じゃないって言ってるよな、それ……。

牧志 浩太
追求をやめ、室内に声をかける。
「飼い主さん、来たってさ。俺、こいつを返してくるよ。
シローは中にいて」

扉にチェーンがかかっていることを確認し、扉を少し開ける。
シローにはあまり会わせたくない、さっさと返してしまおう。
KP
あなたの後ろに、シローに対しての壁になるように佐倉が立つ。
牧志は扉の向こうにいたはずの『飼い主』に衝撃を受ける。
牧志 浩太
「あ、ああ、ああああ……、」
チェーンをかけて対応したはずなのに、神と自身を隔てるものはなかった。

全身ががたがたと震えた。ひれ伏したいような恐怖と腹の底から沸き起こる怒りと、どうしようもない無力感と絶望感が膝を折らせかけた。

そこにいるのが神であるとわかってしまった。
牧志 浩太
「と、とにかく、こいつは返します」

何だかんだで楽しかったし、礼を言っていいのか怒っていいのか分からないな、なんて、そんな風に思っていたことも吹っ飛んでしまった。
KP
あなたたち二人の足元をすり抜け、小さな獣は神に飛びついた。
神は獣を抱き上げて撫でた。
「迎えに来たよ、テュフォン。寂しくはなかったか?」
「わう!!」
「そうかそうか」
楽しそうな獣の様子を見ると、神は獣の言いたいことを理解したのかうんうんと一人で頷いている。
「一晩他人に預けてみると変わるものですね。この子、一回りも二回りも成長したように感じます。
あ、これ、預かってくださったお礼です。お早めにどうぞ」
上機嫌の神は、手に持っていた植物で編まれたらしい袋をあなたに押しつけた。
牧志 浩太
「は……、はあ、はい……」
呆然と袋を受け取る。
KP
目の前でばたん、と扉が閉じる。
扉には確かにチェーンがかかっていた。
あなたが押しつけられた袋は一抱えほどのものだ。何か丸くて軽いものが入っているらしい。
佐倉 光
「い、今の……まさか」
佐倉が後ろで呟いた。
牧志 浩太
「……」
チェーンがかかっていることを確認し、鍵をかけ直して扉を閉じる。
へたりと扉にもたれて座り込んだ。

とにかく、扉の向こうに見えたものを頭から追い出したい。
牧志 浩太
「何だろう、これ」
変なもの入ってないよな? 恐る恐る中身を出してみる。
KP
あなたの手の中の袋には、おおぶりで瑞々しいレタスが三個入っていた。
まるで収穫されたばかりのようにぴんと葉が伸び、
大きな茎(500円玉より大きい!)から白い汁がにじみ出ている。
見るからに新鮮で美味しそうだ。

※彼が「セト」であるということには気付いてよい。
 さらに察するのは……〈神話〉知識次第かな?
牧志 浩太
判定…… していい?
KP
いいよ!
牧志 浩太
1d100 40 Sasa 1d100→ 43→失敗
佐倉 光
1d100 31 〈神話〉 Sasa 1d100→ 56→失敗
KP
なにか、得体の知れない「気安さと興味」を感じた。
だがその正体は分からない。
牧志 浩太
「神……、」
レタスを持ったまま振り向く。
強張った声で佐倉さんと目を合わせた。
牧志 浩太
「な……、なあ。これどうしよう。
何か、もらっちゃったけど」
牧志 浩太
「朝飯に、して、いいと思う?」
佐倉 光
「一応、報酬だし……
ここにトラップってことはないと思うし……」
KP
佐倉はぼんやりと呟いた後
佐倉 光
「いいよもう食っちゃおうぜ! 美味そうだしさ!」
KP
やたら明るくそう叫んだのだった。
牧志 浩太
「あ、あ、ああ! そうだな、腐ったら勿体ないしな!」

忘れよう。そうだ忘れよう。忘れたい! 
たぶん無理だと感じながら、その明るい声に合わせた。
物語の終わり
KP
佐倉は朝食食べて後片付けしたら帰ります。
牧志 浩太
どうしようかな。
これ朝飯にして何も起きないようなら、会話の雰囲気が被ってしまいそうだし、佐倉さんが帰った後まで飛ばした方が綺麗かな?
KP
そうしましょうか。話すべき事はもう話したし。
牧志 浩太
ですね。
KP
レタス三個あったけど一個貰っていこうかな?
牧志 浩太
ああー、いいですね。それで。
分け合う以外にも三個は多いし。
KP
多分普通のヤツより若干日持ちする。

佐倉 光
「それじゃあ、色々ありがとう。またな!」
KP
佐倉は軽く手を振り、手にはレタスが一個だけ入った袋を持って出て行った。
その足取りは随分と軽くなっていた。
牧志 浩太
「ああ。
またな、佐倉さん」

手を振って、笑ってその背を見送る。
またな、と素直に言えた。
KP
ぱたん、と扉が閉じ、部屋はまた静かになった。

「●▼■●とさくら、またくる?」
シローが少し残念そうに言った。
牧志 浩太
「あいつはもう来ないかな。でも、佐倉さんは帰ってくるよ。
どれくらい後か分からないけど、絶対。

帰ってきたら、今度はどこに遊びに行こうか」
シローに声をかけ、室内に戻る。
牧志 浩太
「……」
扉が開けられたままの佐倉さんの部屋を、何となく眺める。
乱れた寝床や室内の温度に、人がいた気配がぼんやりと残っていた。

手の中にはレタスが二つ。
リビングルームの窓辺には青い花。
遠くに住んでいる友達が帰っていった後のような、素直な寂しさと痕跡が、そこには残されていた。


けものと佐倉シッター牧志

END


生還報酬!
KP
うーん、回復しない!
あわよくば回復する話だったのに。
牧志 浩太
佐倉さーーーん!
こちらはちょうど最初の値に戻った。穏やかな終わりでしたね。
KP
まあ、数値上はともかく少し牧志成分を吸って回復した。
成長どうぞ。
牧志 浩太
【アイデア】【POW】ロールは何かなぁ。
KP
【アイデア】は興味、【POW】は関係ある技能又は使用した技能 かなー
牧志 浩太
シナリオにはあまり関係ないですが、佐倉さんと久々に会っていつもの牧志した話だし、【アイデア】は興味ポイント振ってる技能ということで、〈機械修理〉上げてしまいます。

この後獣に壊されたなんやかやの修理が待ってますしね!

【POW】の方は、獣の魅了に気づくきっかけということで〈オカルト〉でどうでしょう?
KP
はい、どうぞ!
牧志 浩太
ありがとうございます!
1d100 54〈機械修理〉 Sasa 1d100→ 75→失敗
1d10 Sasa 1d10→4
1d100 44 オカルト Sasa 1d100→ 2→決定的成功クリティカル)!
1d100 77〈心理学〉 Sasa 1d100→ 22→成功
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa 1d100→ 89→成功
〈機械修理〉54→59、SAN59で終了。
59! 結構成功率が見込める値になってきた。
KP
結構上がった!
牧志 浩太
そう!
本編の牧志には、まだ素直な未来へ進む希望があるんだ。ある…… あるかなぁ?(最大正気度59)
KP
あるかなー

真相と改変
真相 略
KP
【この卓限定の真相】
どうせ預けるなら信頼できて悪魔扱いに慣れてて、無碍に断ったりしないヤツがいいよね。
牧志 浩太
嬉しいのか嬉しくないのかわからん信頼だなぁ。
KP
【改変】
シナリオのセトさんもうちょっとえらそうだしお礼もくれません。
牧志 浩太
なんと! やさしくなってくれている!
KP
仕事にして佐倉が放り出す理由を潰しました。
後単に手元にシナリオがないときに台詞書いて「あっ」てなったのもあり。
牧志 浩太
なるほどーーーー。
佐倉さんが「それどころじゃないッ!」って放り出しちゃったら話が進みませんもんね。
能力的に悪魔で実力行使すれば放り出せなくはない能力だし、佐倉さん【POW】高いし。
KP
多分神父に「仕事終わってますよね!?」って抗議して「そこをなんとか」って言われた。
牧志 浩太
なるほどなーーー。
その結果アクシデント重なって牧志に頼るしかない事態に追い込まれた災難な佐倉さん。
KP
万一放り出したら冥界で数千年説教じゃない?
牧志 浩太
ひえぇ。
KP
終わったら帰してくれるけど。
牧志 浩太
それは牧志が困るので困る。
帰ってくるって信じて待っているのにその佐倉さんが数千年説教コースは困る。狂気どころじゃなくなりそうだけど。

KP
あとレタスは普通にもの凄く美味しい栄養価の高いレタスです。
セトの好物なんだって。
なんでセトの好物とされたのか、ってところは検索してはいけない。
牧志 浩太
へえぇーーー。>レタス 初めて知りました。
好物とされた理由も検索しちゃった☆
KP
まあ、今回のセトさんに他意はなく、ただのレタスですよ!
牧志 浩太
ただの好物好物!
男三人の家にレタス三つ贈っても別に意味深なエールではない。
KP
レタスイコールBLなんて隠語あったような? まさかここが語源? と思ったら、単にBL→ベーコンレタスだった。
牧志 浩太
関係なかった。
KP
そういや前回のエジプト絡みのときにセトの力借りてたなぁ、佐倉。
牧志 浩太
そういえば。ニャル以前に直接的な縁ができちゃってたかー。

牧志 浩太
今回、佐倉さんが回復へ向かうきっかけにもなったし、話したかったことも今度こそ家でゆっくり話せたし、最後のレタスでまた分け合うものができたし、佐倉さんにとっては災難だったけどいい話でしたね。
KP
佐倉は色々やらかしたけど結果的にはいい話でしたねー。
今回の佐倉はポンコツエピソード多かったなぁ。
・ひとりで結界の外に出てしまう
・仕事なのに、狂気のため距離を置いていたはずの牧志の手を借りる
・犬の世話牧志に任せる
・シローにご飯あげちゃダメって言った直後にあげそうになる
・牧志のベッドで寝る
結界の外に出たのは、犬ーズが結界作ってる悪魔に絡んで困らせた結果、混乱のどさくさでペッされた。
そのとき佐倉気に入って絡んでたヤツが一匹同時に追い出された。
牧志 浩太
だいたい犬のせいだった!
KP
大体犬のせいでありセトのせい。
異界組にも山積みレタスが届けられたと思う。悪魔にも。
後で神父とマスターが労ってくれたと思う。
異界組はチクタクとの縁が強い洞川さんと穂坂さんがいるし、波照間さんもロアさんと遭遇したことがあるし、だいたいみんな絡まれていると思います。
牧志 浩太
ですよねぇ。縁がありすぎる。
ご飯の所、あそこで牧志がクリティカルしたのも含めて鮮やかすぎる流れでしたね。牧志が犬に対して冷静ッ!
KP
あ、そうそう。最大の改変あったわ。
元シナリオでは犬一匹だけです。
他のメンバーの助けではなく牧志の所に転がり込む理由を作るために、預けられる犬が兄弟全部になりました。
牧志 浩太
ああー、ですよね。そんな気はしていました。
そう、劇中で牧志も言っていた通り、普通なら波照間に頼ってしまう。
だからこそ牧志が最初超慌てた。
KP
波照間さんが駄目なら他のヒトにってなっちゃうから、みんな纏めて巻き込まれていただきました。
牧志 浩太
その結果、疲労困憊した上に牧志しか頼る人がいなくなった。ナイスです。
悪魔絡みだし明らかに地球上にいない何かだから、東浪見にも頼れませんしね。
KP
たぶんBarに行くには距離が遠すぎたんだ。
牧志 浩太
Barに行く前に犬にじゃれつかれて疲労困憊し「無理…………」ってなる佐倉さん。
KP
顔にじゃれつかれてまともに文章うてず、うっかり自分から連絡しないようにいつものメッセンジャー消してたから、新たなアカウント作ってやっと断片的な情報を送る。
牧志 浩太
牧志が無視しないタイプでよかったね佐倉さん。
ちょっと犬が元気すぎる。
KP
しかし体力的な問題って言ってたけど。
真・女神転生のメンバーで一番体力ある筈なんだよなぁ佐倉。
牧志 浩太
実はそうなんですよね。まあこの世界では波照間も速がなかったりしますし。
KP
メガテン本編とはまた別の世界線ということで!
牧志 浩太
ということで! 一年経過したりもしてるし!
牧志が犬に対して冷静過ぎるのと、佐倉さんが魅了に負けてるのがちょっと面白い。
KP
最近の佐倉精神攻撃に弱すぎないか。
牧志 浩太
佐倉さんの方がずっと【POW】高いはずなんだけどなぁ。
KP
最後のセト神の描写、シナリオだとジャッカルになっているけど、本来ツチブタらしいし、むしろ色々混ざってるとする説もあるので、そのへんイメージまぜこぜしました。

解説このくらいかな?
牧志 浩太
かな? 割と素直なお話ですしね。
KP
本来、いきなり犬を押しつけられて一日過ごすだけの話ですからね。

牧志 浩太
大層ドタバタしつつも、話すべきことを話す機会ができたり、ドタバタのおかげで深刻になりすぎなかったり、振り回されるのが互いに面白かったり、いい機会にいい話だった。

牧志とシローもなんだかんだで助け合っているな、というのも見えましたしね。今回シローいなかったらもっとひどかったと思う。
KP
シロー君も一員ですからね! 彼は彼なりに自分の居場所を守るために日々頑張っていると思うんだ! ごみ捨てとか。
牧志 浩太
ですね!
シローは気負っているし頑張っていると思う。
KP
いつもそうなんだけど、ギャグシナリオとして始めたはずの話が終了時「いい話」になっていることが多いの不思議だなぁ。
牧志 浩太
確かに。『Look, LOOK Everyone!』の時も大変なことになったりしっとりいい話になったり。
ギャグシナリオやりたい! と思うタイミングが二人が弱っていたり大変だったりするタイミングが多いからなのでは。
(『スプーキィ・ポルカ』はそういうタイミングではなかったのに重大なことになったけど)
KP
ああー、確かに。
大変なことがあった後に来ること多いですからね。

いやほら、『ふえるKPC』とか……
牧志 浩太
ああー、確かに『ふえる』はまさにそうでしたね。ギャグシナリオのはずなのに後にまで印象の残るいい話になった。
KP
癒やされたいタイミングでドタバタ系来ると、緩急の「緩」のところでしっとりしたお話し合いになりやすいのかー
牧志 浩太
その前が大変すぎたりすると、丁度しっとり話せるタイミングになったりしますしね。
KP
それ抜きにしても、その前のシナリオでついた傷を癒やす要素引いてくることも結構多くて驚きますけどね。『Look, LOOK』のときなんてまさにそう。
これだけ経験積んでると「前に起きたアレと関係ある」は必然的に多くなりますが、それにしたって当たること多いなって。
『鬼面夜行』の時みたいにほぼ意図的にやることもありますけど。
 ※あれもちょうど「次これやりたい」が合ってた
牧志 浩太
『Look, LOOK』の時なんて、全くそんなの意識していなかったのに気づいたらそうなってましたしね。あれはびっくり。
KP
始まってから「これってそういうこと?」っていうこと結構ありますねー
ニャルの仕込みかな??
牧志 浩太
KPPLにも知らない所でニャルが仕込んでいる、ありそうでもう。
『眼窩に祝福』はどうなるのかなぁ……。KPに見えている所で「これどうなるのかなぁあああ」って要素は既に結構あるんですけど、どう転んじゃうのかなぁ。
次の予定
牧志 浩太
あ、そうだ。
>今回の執着は3ヶ月なんで、そろそろ終わってもいい筈なんだッッ!

確か二ヶ月のはずッッ!
『眼窩に祝福』、狂気が終わって帰れて平穏な日常を味わえている所からスタートしても、狂気が残ったまま巻き込まれスタートでも、どっちでも大丈夫です。

(ただ残っていた方が面白大変そうな内容ではある……)
KP
残し……ますか。
牧志 浩太
佐倉さんごめん…… 落ち着くきっかけが得られるかもしれない出来事あるから……。
期間的にもさすがに抜けかけで、この回で狂気を抜けるのかな、とは思いますね。
別な不定になっちゃったらすみません。
KP
そうなったらそんときはそんとき!
おかしいな正気度は基本佐倉の方が高いはずなのに。
牧志 浩太
おかしいな佐倉さんPCの時に限って《SANチェック》重たい。
KP
まあ《SANチェック》に限ってファンブル振る男だから。
牧志 浩太
佐倉さんの《SANチェックファンブルっぷりはすごいけど、そもそもシナリオの《SANチェック》重いのが連続したのもあるから!!

コメント By.KP
佐倉からのいきなりのSOSに慌てて駆けつけた牧志の目の前で、佐倉は恐ろしい黒い獣に襲われていた……
狂気のためかとにかくポンコツ化する佐倉。牧志はお世話をしなければならない!

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