TRPGリプレイ Zephyranthes 第一話 『罪と罰』1

ディーラー ヴィクトリカ
DL(プレイヤーN)
はい、では始めます。えーっとその前にまず、自己紹介しようか。
使用するシステムは、「テラ・ザ・ガンスリンガー」。同社の「天羅万象(和風TRPG)」と同じ世界の物語で、基本的に西部劇の世界である。
プレイヤーA(以下ヨハン)
ヨハン=三浦。
元々天羅という南の大陸で、友達が無実の罪で投獄されたのを助けるために神宮家に反乱を起こしたんだけど失敗。
逆に追いかけられて船に飛び乗って、この大陸に来る途中難破して、ざばーってうちあげられたところを、近くにある修道院の人に助けられて、その場で改宗。
天羅とは日本風の世界。ヨハンはプリーチャーでサムライ。
プレイヤーK
何て呼べばいいの?
ヨハン
ヨハンでいい。
DL
ヨハンは「ミウラ」って言ってるんだけど、君ら(マグノリアとクリフ)にはウィリアムとしか聞こえない(笑)
ヨハン
で、神への信仰に目覚めた三浦は、西部の未開の地で困っている人たちを助けるために、盗んだバイクで走り出した(笑)
プレイヤーK
でかいバイクだな(笑)
プレイヤーH
若干壊れたアイアンホースをあげたいよ(笑)

プレイヤーH(以下マグノリア)
マグノリア。
ヨハンの弟子兼メイド。
頭に鹿の角をつけた、若干変わった人。
マグノリアはオートマータ(自動人形)。蒸気魔術の使い手である。
プレイヤーK
鹿の角……?
マグノリア
ダークっていう魔物がいて、それの能力を手に入れる【貴族の種】っていうのがあるんだけど、それを人工物に与えたらどうなるのかっていうための実験機で……。
DL
【貴族の種】って何かって言うと、ワンピースの悪魔の実。
使用すると、貴族と呼ばれる魔物の力を手に入れる代わりに魔物の特徴が現れてしまう。もちろん良い扱いはされない。
マグノリアの場合は、頭にカリブの角が生えた。
マグノリア
で、その研究所から逃げ出して暴走を起こし、研究員殺しつつ逃げ出し、角の生えた人間ってことで見世物小屋にいたのがまた逃亡し、ずたずたな服を着て、雨の中ふらついていたのを拾われたの。
で、「私はなんと運がいいのだ、神の奇跡だ」てな感じで、マスター(ヨハン)ラブになった。
で、この時点で何もできなかったけど、マスターが「お前は上級魔術を学ぶんだ、さあ、エーテル物理学を」っていうちょっと変わった人だった。
DL
異端じゃないの?
マグノリア
いや、南と北によってだから。
DL
ああ、北部出身なら問題ないね。
マグノリア
北部でしょ? っていうかこの人(プレイヤーA)出身天羅。
(一同笑)
マグノリア
だからほら、そういう広い考えなわけじゃん。天羅だし。
DL
なるほどね。北部か南部かって聞かれたらとりあえず「外部」だよな。

プレイヤーK(以下クリフ)
クリフっつー名前の、元ガンスリンガー。
自分の恩人が医者だったんですが、殺されたので、今は犯人を追っかけてます。
ヨハン
職業はガンスリンガーなの?
クリフ
表向き、ドクター。
DL
今再び銃を取ったって感じやね。
クリフ
そうね。殺された友達に「もう銃は取るな」って言われてるので、なるべく取りたくないなあと思いつつも、クズを見つけるとぶっ放しちゃうという。
クリフはギャンブル好きのため、ギャンブラーのスキルファクターも持っている。また、友の仇の手掛かりとして、一枚のカードを持っている。
この時点で、殺された恩人に関してはそれほど詳しい設定はない。友、恩人、などと表記が一定ではないのもそのため。

OPENING

DL
君たちが大陸横断鉄道に乗ったのは、東部のニューホープ、この国の首都ですね。
大陸横断鉄道ってのはどういうもんかというと、ひたすら西へ向かっている鉄道です。
途中に「ザ・マウンテン」という頂上部分は既に空気すらないという、ものすごく高い峰があるんです。
クリフ
ぶ、なんだそりゃ。
マグノリア
誰が確認したんだとか思うよね。
DL
登山家はいっぱいいるって書いてある。
で、トーマス・アルバ・エジソンという偉大な人がいましてですね。この人が発掘したでっかいドリルのおかげで既にこの山脈はぶち空けられて、西部が広がったわけです。
そのトンネルはザ・ゲートとよばれていて、そこに入る一個手前のところに、かつてここが西の果てと思われていたときに名付けられたエンズビルという町があります。
その町に停車しようとしているところで、この物語は始まります。

DL
ヨハンとマグノリア。君ら生活ランクいくつだっけ?
マグノリア
Cです。
ヨハン
Bです。
DL
マグノリアはBに準ずるんだね。
マグノリア
呼ばれるまで廊下でぼーっと立ってるから。
DL
二等客車か。君らが座っていると……
メッセンジャー(DL)
「すみませーん、ヨハン=ウィリアムさんはいらっしゃいますか。電報です」
ヨハン
「これはかたじけない」
DL
君の宗派の総本山からの電報でした。
「とある令嬢のご遺体をウェストエンドまで護送、到着次第葬儀を行い埋葬してほしい」
遺体は次のエンズビルで引き渡されます。
マグノリア
ふーん。

DL
で、クリフ。君が一等客車のデッキを……生活ランクは?
クリフ
B。散歩してんだよきっと。ギャンブルのカモいないかなーって。
DL
カモは見つからなかったけど。
一等客車には日本の寝台列車にもあるような、窓際に設置してある補助席みたいなのがあるんですね。
そこに、一人の女性が座って窓の外を眺めています。その表情はこわばり、悲しげでもあります。
君が近寄ってもしばらく気付きもしないけれども、君に気付いた瞬間席を立って、自分の客室へと消えてゆきます。
クリフ
そんな厳つい顔してたかな……と、かすかに傷ついたよ。
DL
大陸横断鉄道はエンズビルに到着します。

SCENE 1「コフィン」

キャストヨハン・マグノリア

このゲームでは、シーンというものが決められていて、ここには誰がいると明確に決められています。
メインとなるキャストは【シーンプレイヤー】と呼ばれ、【カラミティ・ノワール】と呼ばれるトランプのジョーカーが渡されます。これを所持しているキャストにカメラが向いているのです。
ノワール持ちのキャストが【フェイト】を使用すると、次の人にノワールを渡し、DLから【パワーチップ】をもらうことができます。
DL
エンズビルに到着しました。受け渡しの場所は集荷場です。
ヨハン
じゃ、集荷場に向かう。
DL
そうすると色んな荷物があるんですけれども、人気のない一角で神父と、そのお付であろう徒弟が二人待ち受けています。
ヨハン
待ち受けられた。
DL
アンブッシュ(不意打ち)された(笑)
マグノリア
マスターとその二人の間に入って、
「御用件は(機械的に)御用件は? 御用件は? 御用件は? (エンドレス)」
DL
そしたら神父の方が君(マグノリア)を胡散臭そうに見る。主にその視線は君の頭から生えている角だ。
マグノリア
じゃあ頭振りながら「素敵でしょう」(笑)
ヨハン
神を称えるような挨拶をしてから、
「これがその遺体ですか」
DL
彼らの背後には黒い布をかけてあるコフィン、棺桶が置いてあります。
で、神父は無表情なんですけれども、更に後ろの徒弟達は、聖職者にしてはガタイがいい。
ヨハン
神に使えるものにしては不気味だけど、人のことは言えないなと思った(笑)
(一同爆笑)
神父(DL)
「ヨハン神父、お勤めご苦労様です」
ヨハン
お名前は。
DL
あー……えーと……。
ヨハン
考えてないんだ。
神父(DL)
「ジョン=スミスです」(笑)
名前が決まらないキャラクターはジョン=スミスになる、というルールがあります。
マグノリア
とりあえず名前を聞いて重要人物か確かめたね(笑)
DL
カマかけられちゃった(笑)
じゃあ胸を張って「ジョン=スミスです」という。
マグノリア
これだけはっきり言うのなら本名かもしれない(笑)
ヨハン
「そうですか、ジョン=スミスという知り合いなら沢山います」
神父(DL)
「こちらがお話していた積荷になります。
高貴なお方ですのでくれぐれも丁重にお運び願いますよ」
ヨハン
「わかりました。汽車に置く場所は確保してあるんでしょうか」
神父(DL)
「そういうものは用意してあります」
ヨハン
「この遺体の資料などは?」
DL
ん?
ヨハン
向こうの葬儀で勝手に無縁仏として扱っていいのかと。
(一同笑)
マグノリア
丁重に扱え言われてるのに、無縁仏はどうやの。
ヨハン
向こうに家族がいるとか、特別なことしてくれとかあるのかなと。
DL
なるほど。
神父(DL)
「そういったことに関しては現地で指示が追って伝えられます。我々はこちらをお連れしただけですので」
ヨハン
「ではこの哀れな罪びとは必ずウエストエンドまで送り届けましょう」

DL
《観察》判定してください。
ヨハン
20。
DL
フェイトとか使わなくていいかい?
ヨハン
いや、ダイヤのフェイトは〈危険を楽しむ〉なんだよ。
(一同笑)
このゲームの判定で使うのは、ダイスではなく各プレイヤーに五枚ずつ配られる手札です。
これである程度は成功や失敗まで演出することができるのです。
判定時に【フェイト】というものを使うことができます。【フェイト】とは、そのキャラクターの特徴や感情、目的などといった指針です。判定時に出したカードと同じスートに決定されたフェイトにそった台詞を言うことで、【パワーチップ】を稼ぐことができるのです。
今回の場合、ヨハンはコフィンを観察しましたが、その際出したカードがダイヤでした。
彼のダイヤのフェイトは〈危険を楽しむ〉。フェイトを使いたいのであれば、コフィンを観察することで〈危険を楽しむ〉台詞を言わなければならないわけです。
DL
フェイトが発動する前にこれは教えるわ。
普通コフィンてのは板を使ってる。高い物になると黒檀とか使うわけだ。
なんだけれども、あれ、これひょっとして黒鉄使ってねぇ? っていう重厚なつくりになってる。
蓋のところに銘がヴィクトリカって書いてある。
ヨハン
会社の名前?
DL
中にはいっている人の名前だね。
ヨハン
じゃあ棺桶の蓋をちょっと開けて、〈危険を楽しむ〉
「ここは天国に一番近いところだッ」
(一同笑)
マグノリア
ただのマゾやないか(笑)
DL
フェイト使うときにギャグいらないから(笑)
ヨハン
こんな時に危険を楽しむようなことは何もない。
DL
ヒントあげるね。どう考えてもこの棺桶は普通じゃない。
ヨハン
ああ、そういう行為をするんじゃなくて、危険な感じを受けるだけでもいいの?
DL
感じを受けて、独白してくれればいいよ。
普通じゃない棺桶からは危険なにおいがする。でも君は危険に怖気づくことなく楽しむことができる。それをセリフにするわけだ。
ヨハン
「黒鉄か。こいつにのしかかられたら潰れちまうな」
(一同笑)
クリフ
まだ違うよーな気が(笑) (しばし間)
ヨハン
「黒鉄か。このなかに入っているのは相当重要な物らしいな。これは外から空けられるのが危険なのか、中から出ちまうのが危険なのか。こいつは面白そうな依頼だ」
マグノリア
かっこいい(笑)
DL
OK、【パワーチップ】一点あげよう。
クリフ
中に入っているのは死体だっていう前提がぶっ飛んでるね。
DL
まあどう考えても異常だからね。疑ってもらって結構。
マグノリア
やー、どきどきするね。
DL
で、このコフィンなんですけども、じゃ、運ぶかってマグノリアが手をかけると、ひっじょーに重いです。大体重量にして200㎏程。
マグノリア
ヨハンの方を見て泣きそうな顔をする(笑)
DL
一応オートマータの《怪力》のマニューバを使用すれば運搬は可能です。ミウラは?
ヨハン
早速外に出て待つ。
(一同笑)
DL
「急げマグノリア」って一言言って(笑)
マグノリア
それ聞いた瞬間に、フェイト〈主人への忠誠〉で、「マ、マスターの命令だ」
DL
(笑)【パワーチップ】一点。
マグノリア
で、よっこいしょって肩に担いで、「失礼します」って。
クリフ
マグノリアがそうやって後ろでふらふらしてるのを見てヨハンは危険を感じるわけだ(笑)
マグノリア
あー、こいつに潰されたら危ねえって(笑)
神父(DL)
「これも忘れないでください」
同じように十字が刻まれた黒いコンテナがひとつある。
「こちらはこの方の副葬品になりますので、お忘れなきよう」
ヨハン
「随分と……多い副葬品ですな」
マグノリア
どんぐらいでかいの? コンテナ。
DL
棺桶ほどはでかくない。一辺40センチくらいの立方体かな。
マグノリア
それも運ばされるのか。もっとでかかったら運べないよ。
「マスター……無理です」
DL
「マグノリア……運びなさい」
ちなみにコンテナも100㎏くらいあります。
マグノリア
ぐはっ(笑)じゃあ石畳がちょっと凹みながら。
DL
そうそう、メシッメシッって音立てながら。
クリフ
SMコンビかよ(笑)
マグノリア
首輪付いてるから。チェーンつきでいい?
DL
君らがそうやって荷物を運び込んでいると、空にはいつか暗雲たれこめ、遠雷の音が聞こえ始めていた。これで第一のシーンおしまい。ギーバタン(扉が閉まるジェスチャー)

SCENE 2「切欠」

シーンプレイヤークリフ

DL
とうとう降り出した雷雨の中、大陸横断鉄道は再び走り始めました。シーンプレイヤーはクリフです。
クリフ
はーい。
DL
一人の時のシーンプレイヤーはおいしいからね。使っても使ってもノワールが戻ってくるから、何度でも【パワーチップ】を稼げる可能性がある。
クリフ
……意味がよくわかんない。
マグノリア
さっきみたいな判定して【パワーチップ】貰うには【ノワール】がないといけない。何人かで順番に回すものなんだけど、一人だと回さなくていいから延々一人で何度でも判定できる。
クリフ
ああ、そこにいる人だけに回るのね。

DL
君はこの長旅で、ギャンブルでもしようかなあとカジノへ向かいました。
クリフ
あんのね、カジノ。
DL
なにしろ何ヶ月と旅をして、乗っている人間は一万以上ですから、娯楽車両ってのがちゃんとある。劇場もあるし。
マグノリア
映画館もあるし、その映画を車内で撮っていることもあるからね。
クリフ
んじゃトロそうな一般人を探すよ。
DL
君はそうしてカモを探しに行ったんだけど、残念ながら卓は一杯のようです。
クリフ
残念だな。じゃあそのへんの面白い勝負でも見物していようかな。
DL
こともあろうに神父がくわえタバコで(麻雀の手つき)、相手の後ろに明らかにその人のメイドであろう女性が立ってる(笑)
マグノリア
相手の手を見ながら超高速で指をカタカタ動かしてる(笑)
ヨハン
確実に追い出される(笑)
DL
で、ヨハンがマグノリアの指を見て、「うむ、これだ」って出したら「ロン!」って言われるわけだ(笑)
マグノリア
その瞬間に、ああお仕置きが待ってるぜってニターっとする。
DL
そういうのがいるんですけれども。
(しばしの間の後爆笑)
クリフ
いるのか!(笑)
とりあえず近くのカウンターにいって酒でも一杯。
DL
そうすると一人の男が寄ってきます。
男(DL)
「よう、兄さん。俺とカードで遊ばねえか」
クリフ
「卓は開いてないぞ」
男(DL)
「へへ、蛇の道は蛇ってな。他の所があんだよ。どうだ」
クリフ
「そりゃ面白そうだ」
男(DL)
「OK、じゃあ話は決まったな。付いて来なよ」

DL
一等車両を抜け、二等車両を抜け、三頭車両と二等車両の間に貨物車両があるんですけれども、その三階部分に入ってゆく。
クリフ
「おい、いくらなんでもこんなところにあるのか?」
男(DL)
「いわゆる裏カジノってヤツでね。お上の目に止まるとやべえんだよ」
DL
がらがらっと開けて、立てかけてある板っきれをひょいとどけると、もう何人もの男が車座になって賭け事をしています。
クリフ
とりあえずじゃあその辺を適当に観察してみようかな。もめごとなんかないかな。
DL
こういう場ですから、もめごとはありますよ。
男(マグノリア)
「おいてめえイカサマしただろう!」
男(ヨハン)
「馬鹿言うな。手が三本あるだけだ」
(一同笑)
DL
かっこいいなヨハン。やべぇ【パワーチップ】あげてぇ。
クリフ
なんか面白いのがいるな(笑)
「なるほどあんな手があったか。今度使ってみよう」
DL
じゃあ君は普通にギャンブルしてるだけ?
クリフ
え、そうね。
DL
しばらくしてそこそこ手が弾んできて、更なる掛け金をレイズしようと君が懐を探っていると、君の懐からカードが一枚落ちる。
それは仇の手がかりであるあのカードです。
クリフ
おっと、なくしちゃいけないなと回収。
DL
しようとしているところに【カラミティールージュ】が飛びました。
なんとも運が悪いことに、床の隙間を抜けて下の階へ落ちていってしまいました。
クリフ
オーマイガッ!
【カラミティー・ルージュ】とは、赤いジョーカーです。
DLが特定のプレイヤーにパスすると、そのシーン中何度でもそのプレイヤーに対して問答無用でトラブルを起こすことができます。
この迷惑なカード、シーン終了時にはDLがプレイヤーに【パワーチップ】三枚を支払って買い取らなければなりません。
また、パスされたプレイヤーはそのシーンで好きなときにワイルドカードとして使用することもできます。(使用した場合、その時点でDLに返却されます)
悪いことばかりではないのです。
DL
更にああっと思いつつ見ていると、二階の隙間も抜けて一階まで落ちました。
クリフ
なんですと?
DL
さすが【カラミティー・ルージュ】
クリフ
不運にも程があるぞ。
「すまん、この勝負はチャラだ!」
って言って掛け金とか半分その場に置いて出てく。
DL
「こりゃごちそうさん、また来いよ!」って見送られる。
クリフ
「ああ、今日はツイてないな。どこのどいつだ呪ってんのは」
DL
というところで、このシーンは一度閉まります。

クリフ
んー、稼ぎどころが解りませんでした。
DL
とりあえず【パワーチップ】三枚あげる。これでカラミティールージュは俺が買い戻した。
クリフ
あ、遊びに行くところで〈遊び好き〉とか使えば良かったのね。
DL
そうなんだよねえ。
マグノリア
そうやっておいおい慣れてけばいいんじゃないでしょうか。

SCENE 3「発端」

キャストクリフ
DL
君は貨物車両の最下層にたどり着きました。暗く、埃がうっすらと漂っています。人気はまったくありません。それで今は夜。
クリフ
明かりをかざして「まったく、ツイてないな」ってそのへんを手探り。
DL
いや、外からちょっとした明かりはともっている。
この大陸横断鉄道はエジソン社製なんだよ。
大陸横断鉄道は主に三つの会社が走らせている。
ローズウォーター財団、ロズモンド財団、で、このエジソン社製。
エジソン社っていうのは例の発明王エジソンが設立した会社で、この人がいろんな科学技術のパテント持ってるんだよ。
だからものすごい科学装備満載。一番低い車両にまでエアコンが効いてる。更に食堂車には冷蔵庫完備でいつでも新鮮な肉料理が楽しめるという。
だもんですから、この貨物車両にも常備灯みたいなのが薄暗く点灯してるんで、まあ、物を探すのは何とかなるかな。ライターとか点せばもっと楽になるかも知れないけど。
クリフ
煙草を吸うって設定はないから持ってないかな。床に目を近づけて必死になって探している。
DL
貨物車両真ん中が通路になってる。物も多少置かれているけど。両脇に棚があって色々な物が置かれているわけです。
その通路をどんと塞ぐ形で、こともあろうに棺桶が置いてあります。
クリフ
「……死体かよッ」
DL
黒い布がかけられているからおそらく中身入りでしょう。
クリフ
外から見て怪しい棺桶ってのはわかんないよね?
DL
暗いからね。台座の上にのっけられている。
クリフ
「……腐ってないだろうな」
DL
においとかはしないね。
マグノリア
強いていえば埃くさい。
DL
そうだね。
クリフ
くしゃみなんかを連発して
「くそー、死体がある所なんかに長居したくないぜ」
DL
そうだな、《観察》《追跡》で判定。
クリフ
しょぼいカードしかないんだなこれが……
出したカードと同じスートの能力値を合計して判定するのね。
DL
レベル1の《観察》を使うにはダイヤのスートが要るよ。
クリフ
私は《観察》3レベル持ってるからハート以外なら何でも使えるね。
DL
で、判定ですから、フェイトを使った方がいいですよ。
マグノリア
仇の手がかりだから、〈仇を討つ〉フェイトを使った方がいいよ。
クリフ
能力一番低いんだよこれが。そしてよりにもよってスートは今使えないハートだ。
DL
他の感情を仇討ちに絡めてもいいよ……〈遊び好き〉〈西部の掟〉〈正義感〉……なんだろ。
クリフ
絡めようがないから困ってるんじゃないかー。
マグノリア
君の正義は今仇を討つということにあるわけだ。で、その手がかりなわけだ。
クリフ
どっちかっていうと「クズは死ね」方向の正義感だからちょっと違うけど、まあいいか(笑)……16。
DL
ではロールプレイをどうぞ。
クリフ
難しい……あれを見つけないとあいつに顔向けできないぞ。みたいなことを言ってみよう(自信なさげに)
DL
うん、じゃあ言ってください。
クリフ
え。えーっと……ちょっと待って(笑)
マグノリア
ロールプレイの練習にはいいゲームだね。
DL
そうだね。照れちゃいけないよ。あまりにも意味不明のことを言わなければ【パワーチップ】はもらえるよ。
クリフ
「あれを見つけないと、俺の正義に傷が付くんだ!」
DL
OK。【パワーチップ】一点。で、君はこのシーンひとりなので、【カラミティー・ノワール】はまだここにあります。だからまだまだフェイトで判定できるってこと。
で、そうやって君が探していると、カードはどうやらこのコフィンの下、足があるだけの台座の下に潜り込んでいたようです。手を伸ばせば何とか届きそうだ。
クリフ
「よりによってこいつの下か」って顔をしかめて手を伸ばす。
DL
なんとか手が届きそうなときに、列車が大きく揺れます。
クリフ
鼻先をコフィンにぶつけます。
DL
するとコフィンがぐらっと揺れる。
クリフ
え、倒れそう?
DL
ていうか倒れる。
クリフ
慌てて……カードは取れそう?
DL
カードを取ろうとするとこのコフィンが君の背の上に。
クリフ
それは痛そうだ(笑)逃げる。
DL
そのままコフィンはがしゃーん!って落ちます。
クリフ
なんかいま凄い重い音がしたような。
「何だこれ。sumo wrestler かこの死体」
DL
コフィン自体は小さめだね。
クリフ
「中に金でも詰まってんのかな」
DL
近寄ると、コフィンからプシーって空気が抜けるような音がした。
クリフ
ちょっとやばいにおいがしてきたので、カードを回収して逃げようかな。
DL
カードはコフィンの向こうにある。
クリフ
退けるか乗り越えるかしないと駄目か。ひとりで退けられそうかな。
DL
君がそうやって回り込むと、蓋がずれて倒れかけている。
クリフ
「おいおい、死体とキスなんざごめんだぜ」
DL
中身が転げ出している。年の頃十歳くらいの女の子の遺体だね。
豪奢なフリルのドレスに飾られたその姿は、今もなお生きているように見える。
クリフ
生きているように見えても死体は死体だ。棺桶に戻すかな。
DL
まだ生きているように見える。そして君はマニューバ《医術》を持っている。
クリフ
なんとなく蘇生させたくなる(笑)
DL
そこで【マニューバ】を使用して【フェイト】を使うと更に【パワーチップ】がもらえるわけだ。
クリフ
「ひょっとしてコレ生きてるんじゃないのか?」って顔の所に耳を近づけて、息があるか調べる。
DL
呼吸音はない。でも一応判定して。
クリフ
《応急手当》《医術》を組み合わせろってことか。
DL
《応急手当》《医術》に共通するスートしか出せない。
クリフ
11。フェイト〈正義感〉で「生きてるならほっとくわけにいかないな」
DL
体温も脈もないですね。でも死後硬直とかそういった感じはしない。
クリフ
死後硬直が解けている状態?
DL
なのかも知れないけど、それほど古い死体には見えない。肌はピンク色だし。
クリフ
でもこんな棺桶に入ってて心停止ならとっくに死んでるはずだな。
DL
そうやっていると常備灯が消えて突然車内が真っ暗になります。そして窓の外から意味ありげに雷光が。
クリフ
「どっかの安いホラー映画かよ」
ぶつぶつ言いながら入り口の方で電気を探す。
DL
その時、窓の外から飛び込んでくる雷鳴の轟きと光の中、白々と断続的に照らされる貨物車両内で君は確かに立ち上がった少女の姿を見た。

クリフ
この世界ではゾンビとかアンデッドとかそういう存在はアリ?
DL
あります。いわゆるダークと呼ばれる存在だね。
クリフ
じゃあ銃を抜いて少女に突きつける。
DL
しかしまた車内は真っ暗になってしまいます。
君は電気のスイッチを探り当てることができました。
クリフ
銃を抜いたままでスイッチを入れる。
DL
電気はついたけど、その少女の姿は煙のように消えていた。
クリフ
側を通った気配はなし?
DL
ない。一応向こうの車両にも抜けられるけど、とにかく君の横を抜けた感じはしない。
クリフ
棺桶の主はこのへんにある物で解ったりする?
DL
蓋にヴィクトリカと刻まれている。
クリフ
今管理している人の名前はどっかに書いてない?
DL
荷札みたいな物に名前は書いてある。
「ヨハン=ウィリアム」
クリフ
「なりゆきとはいえ見ちまったもんはしょうがないから、報告だけしとくか……」〈正義感〉のフェイトを使う。
マグノリア
まずは荷札を探すための観察判定だね。
クリフ
合うスート持ってないんだけど。
DL
【パワーチップ】を一点使うとスートの変更が出来るよ。使わないで失敗してもいいけど。
クリフ
失敗したら見つかんないじゃん。
DL
判定に失敗しても【パワーチップ】はもらえる。
ヨハン
荷札が見つからないと出会うことはない。
DL
今はね。でもディーラーから言わせてもらうと出会わないはずはない(笑)
【パワーチップ】を使用すると、様々な有利なことができます。自分が居ないシーンに登場できたり、消費することで達成値を上昇させたり、【死亡】を回避したり。
ここでいうスートの変更もそのひとつです。手札には必ずしも自分が欲しいスートの数字があるとは限りません。そんな時に一枚消費することで、スートを変えることができるのです。
クリフ
判定は失敗。
「なんだよこれ、字が汚くて読めない」
DL
そんな感じだね。ヨハンはまだテラの字を書くのに慣れてないから。
クリフ
「なんだこのへんてこな字は。ヘタクソすぎて何が書いてあるかわかんねえぞ」
きっと毛筆の字だったりするんだ(笑)
で、カードは回収できそうかい?
DL
カードも消えています。
クリフ
え、マジ?
DL
コフィンを退かしてもない。コフィンの重さは50㎏くらい。
ヨハン
動かせないわけじゃないか。
クリフ
じゃあひとりで汗かいて動かして、ないよーないよーってやってる。
DL
君の背後でガコンって音がする。
クリフ
壁に背中を付けて、「誰だ」
DL
振り返ると、横に置いてあったコンテナの蓋が倒れてほこりが舞っている。コンテナにも十字が刻まれている。
クリフ
やばいにおいがぷんぷんするぞ。中をのぞいてみる。
DL
《観察》。プライベートアイとかあればもっと使えるんだけどね。
クリフ
この手札どーよ。一生懸命2とか3とか排出してんのに来るのはクズカード。
マグノリア
判定に失敗し続けても手札変えてった方がいいと思う。
クリフ
《観察》3レベルもあるのに何も解らないってどうなんだ。使うフェイトは〈西部の掟〉……いやー、難しいね。
マグノリア
暗いコンテナの中覗くんでしょ。
クリフ
「なんかわけの分からんことばかりで楽しくなってきたなあ」(笑)〈遊び好き〉で。
DL
じゃあ君は少し引きつった笑みで「面白くなって来やがった」って言うわけね。【パワーチップ】一点。山札からカードを一枚引いて。
クリフ
クラブ。また3ですよ(笑)
DL
レコードシート、フェイトのクラブの欄に、ストーリーの目的、【ストーリーフェイト】として、〈ヴィクトリカを探しカードを取り戻す〉を追加してください。
これは君がこのシナリオ中に遂行せねばならない目的で、これを遂行することで経験値をもらえるし、このシナリオが終わるまで、そのフェイトを使ってセリフを吐くことで【パワーチップ】をもらうことも出来ます。
これでこのシーンは終わります。
クリフ
いいとこなーし!
マグノリア
最初はそんなもんだよ。

SCENE 4「サバイバー」

キャストマグノリア
DL
シーンプレイヤーはマグノリアさん。
マグノリア
わたくしですね。
DL
ヨハンが、全く役に立たない壁役ぶりにマグノリアを折檻しながら一等客車の方に歩いていると。
マグノリア
「お許し下さいマスター」
DL
デッキを通りかかったところで女性の悲鳴が聞こえます。
マグノリア
……マスターの折檻にハアハアしてる(笑)
DL
ちなみに君(ヨハン)は本当に折檻してるの?
ヨハン
うん。「ゼロとかイチとか言われてもわかんねえんだよ!」(笑)
クリフ
二進数かよ(笑)
マグノリア
「マスター、何か声が聞こえますが」
ヨハン
息切らせながら「んあ?」って言う(笑)
マグノリア
誰かが困っているのかも知れないよ(笑)
ヨハン
「困っているならやることは一つだ。よし、行くぞ。案内せい」(笑)
マグノリア
スカートの裾をつまんでだーっと走っていく。案内せい言われても(笑)
DL
Yes,Masterってふり向くと角がヨハンに当たるよ。
ヨハン
当たったところを押さえながら「ま、待て、走るな」

DL
ひとりの女性が壁にもたれて座り込んでいる。顔面蒼白。一等客車だから客室にドアがあるんだけど、隙間から野次馬ものぞき込んでいる。
マグノリア
「どうなさいました?」
ヨハン
野次馬をかき分けて行く。
DL
女性は心ここにあらずという感じでぶつぶつと「あの女がまた……」
ヨハン
「この指は何本に見える?」(女性の目の前に指を出す)
マグノリア
状況的に放心している感じ?
DL
《応急手当》とかそういったマニューバで正気に戻せるかも知れないね。
マグノリア
《応急手当》します。
ヨハン
《応急手当》します。
DL
(ヨハンに)シーンプレイヤーに任せなさい(笑)
マグノリア
あ、失敗しとくわ。気付けをしようと思って強く叩きすぎて
「人間というものはよく解らないものですね、これで気づかないなんて」
DL
パーン!て叩いたら首が160度くらい回るよ。
クリフ
死んでるよ(笑)
マグノリア
「申し訳ありませんマスター、強く叩きすぎたようです」
DL
びんたをしたんならまた呆然としてますね。
ヨハン
女の身なりを確かめる。
DL
上等というわけでもなく、まあ、中の上級くらいかな。
ヨハン
じゃあ《話術》で何があったのかを訊く。
「お嬢さん、何か恐ろしい目にあったのだろうが、神は常にあなたを見守っています。何も恐れることなどありません」
判定には失敗した。じゃあ帰るか(笑)
マグノリア
諦めるの早い(笑)
DL
野次馬はひとり二人と減ってまだ何人かは残っているけど、彼女はその目を気にしながらもぽつぽつとしゃべり始めます。

女性(DL)
「皆さんはマリーという大陸横断鉄道のことを知っていますか?」
ヨハン
「さあ、そのようなものはとんと」
マグノリア
「(ヨハンに耳打ちする)消えた大陸横断鉄道ですよ」
ヨハン
「消えた大陸横断鉄道のことですな」
DL
「その通りです」
大陸横断鉄道ってのは、名前の最初の文字がアルファベット順になっているんだけど、それぞれたどり着いたところでそのまま解体されて町の名前になったりするわけだ。
しかし君たちが知っている駅の名前に、Mって頭文字はない。
それは何故かというと、ローズウォーター社製大陸横断鉄道「RW-J-M」通称マリーが、十年前に大陸横断鉄道史上唯一消息を絶ったから。乗客乗員含めて生存者はいないって話だ。
ヨハン
話が大きくなってきたな。

マリーにまつわる逸話は二つある。

ひとつはブラッディ・マリー。マリーという列車が姿を消してしばらく後、荒野に大陸横断鉄道の車両がうち捨てられているのが発見されている。車票は削り取られていたが、「**-J-M」だけはかろうじて判別できる状態だった。車内は鮮血に塗られ、乗員乗客は一切見つからなかったという。

もうひとつは、マリー・セレストという幽霊列車の噂。深夜、雷雨の中を大陸横断鉄道が走っていると、存在しないはずの隣線で「RW-J-M」が目撃される。

彼女はマリーの乗客であったという。マリーは今まさに通過しているここ、「ザ・ゲート」内を進行中に少女の姿をしたダークの襲撃を受けたそうだ。その結果は現在も知られている通り。

彼女はマリーが消息を立つ直前に窓から外へ身を躍らせて脱出できたらしい。彼女はマリーセレストの噂を聞き、当時同乗し自分をわが身を犠牲にしてまで助けてくれた家族を探し出すために、今また大陸横断鉄道で西を目指しているのだそうだ。
今でもその端正なビスクドールのような凍った美貌と、鮮血に染まった豪奢なフリルのドレスが忘れられないという。

実はさっき、その少女をまた見たのだと言う。十年ぶりに再会した少女はまるで歳をとっておらず、彼女へ一瞥もくれず脇を通り過ぎ、前方の車両へ消えていったという。

次はこの列車を乗っ取る気なのではないだろうか。プレイヤー達が深刻な顔になった頃、女性は口を開いた。
女性(DL)
「でも、私の見間違いだったのかも知れませんね。さっきの暗がりであの時のことを思い出してパニックになってしまったのかも知れません。お騒がせしました」
マグノリア
「これもマスターの仕事のひとつですからお気になさらず」
ヨハン
「あなたの心の奥底に眠る恐怖心が、この暗闇で顔を出したのでしょう……マグノリア、そろそろ降りるか」
(一同爆笑)
DL
今走行中ですから(笑)
マグノリア
じゃあ窓をがっと開ける。
DL
目の前をものすごい勢いで壁が流れていく。
マグノリア
「マスター」(手をさし出す)
DL
ヨハンが嫌がってるのにもう半分身を乗り出してるんだ。
ヨハン
「(あわてて)トンネルを抜けるまでは待ちなさい」
DL
女性も落ち着いて、事態が収束しそうかなというところで、ざわめきが起こり……いったんシーンが閉じます。

SCENE 5「邂逅」

キャストヨハン・マグノリア

マグノリア
ざわめきが起こっている方を見ちゃう。何かしら何かしら。
DL
野次馬達は一様に窓の外を見て、怖れおののいている。
ヨハン
なるほど。トンネルしかないのに。見る。
DL
もちろんトンネル内を走ってはいるわけなんだけど、暗闇が広がる車窓の外、その遙か向こうに、横一列が三段並んだほのかな明かりが見えています。
野次馬女性(DL)
「おい、あれ鬼火なんじゃねえのか」
DL
光は近づいてきています。
マグノリア
《観察》して……失敗した。
「何をあんなたかだか火ぐらいで驚いているのかしら。人間ってやっぱり解らないものだわ」
DL
徐々にその明かりがこちらへと近づくにつれ、それがなんであるかがはっきりと見え始めた。
それは、大陸横断鉄道だった。
ヨハン
「まさにあれがかの有名な幽霊列車。マグノリア、写真はあるか」
マグノリア
えっ?
DL
一応三流オカルト誌みたいな写真はあってもいいかもしんないけど(笑)
クリフ
「メー」とかいう名前なんだきっと(笑)
マグノリア
写真撮れってこと? 目がフラッシュになってガチャン!て(笑)
とにかく近くの人にカメラ借りて撮る。
DL
フラッシュの光で、近づいてくる大陸横断鉄道の横で何かがきらりと光ります。
ヨハン
きらりと光ったところを《観察》
クリフ
露光時間長そうだね。っていうか、こんな暗くちゃ今のカメラでも撮れないじゃん。
マグノリア
フラッシュをたけば多分大丈夫だよ。
DL
たぶんあれ、アルミの粉末を燃やす奴。ボン!って。それでも撮れてしまうのがテラガンの謎。
ちなみに、フェイトを使うときは、スキル効果が発動した後でもいいからね。そのへんは使い分けて。
ヨハン
「乗員乗客が消えた話を聞き、くだんの電車が今ここに。これは、神もまた小粋な試練を用意してくださる」
〈危険を楽しむ〉判定は失敗。「全く解らんな」
マグノリア
《観察》します。18で、〈主人への忠誠〉
「大丈夫です、マスター。私のこの目があれば」ってにゅにゅにゅにゅと伸ばしてる。
クリフ
どこ伸ばしてんの(笑)
DL
ワンダフルエンジェルアーイ、千里眼モォォォド!
光ったのは車票だった。刻まれた認識番号は「**-J-M」
このトンネル内にはありえない隣線を疾駆するダブルトラックス。
あんな遠くから、しかも近づいてくるように大陸横断鉄道が走ってくることはない。
マグノリア
「マスター。消えた、列車です」
ヨハン
「では車掌と協議してこの問題を打開するぞ」
「マリーセレスト……」

誰かが呟いた。それを皮切りに、ざわめきは悲鳴に取って代わった。一等客車のデッキをパニックが包む。
マリーセレストはこの列車に併走している状態だ。向こうの車両は明かりはともっているが全くの無人。

先刻悲鳴を上げた女性は茫然自失状態でつぶやく。「マリー、どうして……」

突然、前の車両の方から窓のシャッターが閉じ始めた。あっという間に全ての窓にシャッターが降りて、幽霊列車は見えなくなってしまう。

クリフは消えた少女を追っている途中で事態に遭遇した。
彼もまた幽霊列車の噂を聞き、今併走するマリーセレストを目の当たりにする。
クリフ
「……何だあれは」
DL
《観察》判定をどうぞ。
クリフ
9。
DL
マリーの車中にさっきの少女がいます。こっちの方をしばらく見ていたんだけど、くるりと背を向けて奥へ行ってしまいます。
クリフ
近くの人を捕まえて「おい、今の見たか?」
客(DL)
「え、な、何をだ?」
クリフ
「女の子が乗ってただろあっちの車両」
客(DL)
「何言ってるんだあんた。そんなの知らねえよ」
クリフは他にも何人か捕まえてみたが、誰も見ていないという。
客(マグノリア)
「幻覚でも見たんじゃないかい?」
クリフ
「さっきも変なモン見ちまったし、寝不足かな」
客(ヨハン)
「見たとしたらマリーに乗っていた少女の幽霊だ!」
DL
そうだね、そんな感じだね。チップあげたいな。でもあげられないなー。
ヨハン
いや俺はもらってもいいんだよ。
(一同爆笑)
そうこうするうちにクリフがいる車両の窓もシャッターが降りてしまう。
クリフ
シャッターが降りたところで、さっき見た少女のことを思い返して、ひょっとしてあいつが俺のカードを持っているんじゃないか、と慌てる。
DL
前の車両に行けば、まだシャッターが降りていない窓があるかも知れないね。
クリフ
じゃあ車両をうつりながら、通りすがりを捕まえて「女の子を見なかったか」と訊いてみる。
DL
見たという情報は得られないね。
客(マグノリア)
「兄ちゃん疲れてるんじゃないのかい? 今日はもうそろそろ寝た方がいいぜぇ。こんな状況になってるしよぅ、明日は我が身ってことだがなァ。はっはっはっはっ」
DL
えらく喋るエキストラだな(笑)

クリフが一等客車に到着した頃、扉が開いて、車掌とシェリフが入ってくる。
車掌(DL)
「皆さんお静かに。外部への対処は直ちに開始しております。我々にお任せ下さい。皆さんには何ら危険は及びません」
DL
彼らは何とか乗客をなだめようとしているが、効果は現れないようだ。
ヨハン
では話術を使って「落ち着きなさい、いつでも神の加護は偉大だ。あのような幽霊列車に冒されるような信仰心ではない。皆、祈ることだけがこの事態を打開する」
クリフ
教祖がいるよ(笑)
マグノリア
新興宗教やないですか。
DL
さあ祈りましょう。
クリフ
神は救ってくださいます。ついでに私が販売するこのお札を持っていれば。
マグノリア
どうぞ。どうぞ。免罪符ですよ(販売中)
ヨハン
「迷える子羊たちよ。我ら神の僕がこの列車には指一本触れさせはせぬぞ。落ち着いてただ神に祈りを捧げているがよい!」
マグノリア
ヨハン(のプレイヤー)の聖職者っていつも狂信的な方向に進むよね(笑)
DL
高いところから言うよね(笑)
少し事態は落ち着いたようだ。客達は少し不安げな様子ながらもそれぞれの席へ戻ってゆく。
そして、車掌達がやってきます。
車掌(DL)
「いやあ、神父様助かりました」
マグノリア
「どうです? マスターは素晴らしいでしょう? マスターの力は偉大なのです。お困りの際はこの免罪符を(笑)」
車掌(DL)
「この事態は私たちにとっても何が何だか解らない状況でしてね。まさかこんな所で幽霊列車と遭遇することになるとは」
ヨハン
「これも神の与えた試練なのです。しかしこの事態は一体どうやって解決したらよいのかな」

車掌達から聞けたのは悪いニュースばかりだった。

現在走行しているザ・ゲート内部には、現在どの辺りを走行中か知るための信号機が点在しているらしいが、それを一切確認できなくなっていること。
いつまでたっても、地図上に存在しているはずのカーブ地点に差し掛からないこと。
それらから推測されるに、おそらく何らかのダーク的、またはロステク的な方法でこの大陸横断鉄道が囚われてしまっているのであろうということ。
車掌(DL)
「我々はこれから有志を募り、マリー号へ潜入し、内部を探索するつもりです。可能であれば原因の排除を行いたいところですね」
ヨハン
「うむ、そうだな。今はそれしかあるまい」
クリフ
「(横から割り込む)ちょっと待った。あの列車に乗るのか?」
マグノリア
「あら、どうなさいました。あなたも向こうの列車に興味がおありですか?」
クリフ
「ヤボ用がな。不本意ながら向こうに行かなきゃならない。
それなりに腕に覚えはある。人手が必要なら使ってくれないか?」
ヨハン
「おお、これもまた神のお導き」
DL
さっきからシーンプレイヤーじゃない人ばかり喋ってるぞ。カード回してやれ(笑)
マグノリア
じゃあ入ってきた彼を《観察》しちゃう。
「どんな方かしら。マスターに害をなさないかしら」感情のない目でじーーーっと見る。
クリフ
普通の女の人に見えるんだっけ?
DL
頭から角が生えている。あと首輪して鎖がのびてて、鎖の先は神父の手に(笑)
クリフ
じゃあその変態臭い格好の女にじーっと見られている? 「なんだコイツ」
とにかくこっちでも訊いてみよう。話術で「いま向こうの列車でこんな少女を見かけたんだが、これこれこういう格好の」……その子は棺桶に入っていたのと同一人物だって解る?
DL
間違いなく同じ奴だよ。
クリフ
「それがまた変な話でな。ちょっとしたヤボ用で貨物列車に行ったんだが、その少女が棺桶から出てくるのを見たんだ」
マグノリア
「はて、棺桶?」
ヨハン
「棺桶?」
マグノリア
「マスター、他に棺桶があったりしませんでしたか?」
クリフ
「それがな、荷札がすっごい汚ねぇ字で読めなくて、持ち主が不明なんだ(笑)」
マグノリア
急いで紙出してこの人(ヨハン)の文字をうつす……「それはこんな字ではありませんでしたか?」
クリフ
「おう、そうそれ。なんだ、あんたの字だったのか」
マグノリア
「……いいえ(笑)我がマスターの字でございます。どうです、この美しい字」
ヨハン
「これは「書」というのだ」
クリフ
「そうか……(引き気味)」
マグノリア
「書は武に連なると、マスターは常々言っておられます」
クリフ
このふたりの変な格好を見て、ああ異国の人間ならしょうがないなと納得する。
ヨハン
「まったく「書」の美しさをわからないとは困った……
ホァァァァァァ!?棺桶だと!?(叫ぶ)」
(一同爆笑)
ヨハン
貨物列車にだだだだだだと駆けてゆく。
DL
床に落ちたコフィンともぬけの殻のコンテナ。
ヨハン
「ギャァァァァァァァ!」
マグノリア
倒れたところを「マスター、気を確かに。気を確かに」
ヨハン
「うう、どうしよう。教会の依頼なのに。蓋閉めときゃわかんないかな」
(一同笑)
マグノリア
「マスター、マスター、依頼は埋葬です。中確認されてしまいます」
クリフ
後ろからヨハンさんの肩をぽんと叩いて
「やったのは俺じゃないからな」(笑)
マグノリア
「で、この中身はどこへ?」
クリフ
「ああ、それが俺もはっきり見たわけじゃあないんだが、さっき電源が落ちちまって何も見えなかったときに、少女が立ち上がったのは見えた。
その後すぐに姿を消して、次に俺が見たのは向こうのマリーセレストに乗っている姿なんだ。わけが解らんッ。
あんたたちは何か知っているのか? つーか何だあれは」
ヨハン
「我々は教会の依頼でこれを西の果ての墓地に埋葬する予定だったんだが、まさかそんなものが入っていたとは」
クリフ
「最近の死体は人のものを盗んでいくのか?」
マグノリア
「私も長年マスターに付いておりますが、死体が動いたという話は……」
DL
ヨハンとマグノリアに【ストーリーフェイト】〈目的:ヴィクトリカを保護する〉

ヨハン
「どうやら今回の事件は嫌が応にも我々が解決しなければならなくなったようだ」
マグノリア
「素敵です、マスター」
ヨハン
「よし、マグノリア、飛び移るぞ」
マグノリア
窓開くの?
DL
今シャッターは閉まってるよ。とりあえず車掌の所に戻ったらどうかな。受けると言ってくれれば開けてくれるんじゃないかな。
ヨハン
「クリフよ、無用な混乱を避けるためにこのことは誰にも言うなよ」
クリフ
「あ、悪ィ。十人くらいに言っちまった」
ヨハン
「よーし、後でその十人の名前を調べておけ」
DL
何をするつもりなんだ(笑)
ヨハン
神の教えをたっぷりと(笑)
「(車掌に)窓を開けてくれ。飛び移る」
車掌(DL)
「神父様自ら行ってくださるのですか」
ヨハン
「神の使徒たるもの、常に危険に一番近いところにいなきゃならん」
マグノリア
いやいや別に車掌が開けてくれなくても、マスターが開けろって言ったら開けるよ。
車掌(DL)
「わかりました。それではこれからここの窓を開放し、向こうへの橋渡しを行います」
クリフ
三人で行けと?
DL
そうだね。君らが貨物車両でギャーとかやっている間に有志を募ったんだけど集まらなかった。
マグノリア
みんな自分たちの席でガタガタブルブル。「神よ、神よー」
DL
報酬は三千ドル。
クリフ
おお、太っ腹!
DL
やってるうちに太っ腹じゃないと思うようになるから。ああ、このくらいもらわないとなって気分になるから大丈夫だよ(笑)
君たちがさあ行こうかなってやってると、突然君たちの背後から「私を連れて行って!」って声が聞こえる。
マグノリア
「誰かしら」
DL
さっきの女性ですね。
ヨハン
「危険だ。危ない、やめるんだ」
女性(DL)
「きっと私を連れに来たのよ……一人だけ生き残った私を赦さないつもりなんだわ……」
クリフ
その人をじろじろ見て「邪魔だから帰れ」……残念ながらノワールは持ってなーい(笑)
DL
弱者はおとなしく震えているがいい。それが〈西部の掟〉だ。って言えたのにね(笑)
クリフ
もしくは〈正義感〉で、あんたみたいなのを危険に晒せないよ。でも良かったのにね。
【パワーチップ】はかなり重要です。
もちろん、【フェイト】を使った判定には【ノワール】が必要なので、【ノワール】持ちのプレイヤーが黙っているとみんな困るわけです。
このプレイでは【ノワール】のパスはせずに順に回しています。
DL
マーグノーリアー。(現在のノワール持ちはマグノリア)(笑)
マグノリア
じゃあ失敗なんだけど《話術》〈鋼の心〉
「いいえ、あなたを連れて行くようなことではないと思いますよ。さあ、早くお帰り」
クリフ
12で〈正義感〉「あんたみたいな女を」……(マグノリアを見て)女いるね。
「まともな女が首を突っ込むようなことじゃないだろう」
マグノリア
「わたくしがまともではないと?」
クリフ
「あんたは黙ってろ」
マグノリア
「はい(笑)」
ヨハン
「今あなたの命があるのは全て神の加護によるもの。それを自分の意志で無にすることもありますまい」
シェリフ(DL)
「彼女は一体どちら様ですか?」
ヨハン
「この列車の乗客だろう」
クリフ
「なんで赤の他人の俺たちに訊くんだい」
マグノリア
「どうやら向こうの列車に連れて行けとせがんでいるのです」
DL
彼女は自分がマリー号の生き残りであることを大暴露しちゃいます。
シェリフ(DL)
「彼女になんらかの起因するところがあるのかも知れません。彼女も連れて行ってあげてはどうでしょう。どうやらここまで思い詰めているようだ」
ヨハン
《話術》で、「神が助けたもうた……」
DL
はい、カラミティ・ルージュ。ドーン(笑)
ヨハン
「助けた命をこの私が無にするわけには……(消え入るような声)」
DL
じゃあ君ちょっとダウナー系に入っちゃったから説得することが出来なかった。
クリフ
頭に神の意志がずどーんと「連れて行きなさーい」
マグノリア
啓示が来たよ啓示が。
DL
そう、こっから生えたアンテナが。
ヨハン
「ワカッタツレテイキマス」途端に物わかりが良くなる(笑)
マグノリア
「マスター、正気ですか?」
ヨハン
「ワタシハショウキダ」
マグノリア
「マスターがそう言うのなら私も反対はいたしません」
DL
君(ヨハン)称号にメタトロンて書いといて(笑)
というわけで君たちは共に潜入を開始することになります。
シェリフからクリフに、教会で聖別された弾丸が1カートン。当然大陸横断鉄道だからこういう備えもあるんですね。
クリフ
銀の弾丸てことでいいのかな。ちなみにワンカートンて5発?
DL
50発。さらに聖水をあげる。これを武器につけて戦うと。で、【チーム】は結成するかな?
クリフ
【チーム】って何ですか。
DL
ひとつの目的に対して何人かが協力体制を取るってことだね。
【チーム】を組むときは、構成するメンバーがそれぞれ【チームチップ】として自分の【パワーチップ】を供出します。この時に一番多くチップを出した人がリーダーとなります。
【チームチップ】はチームの誰でも、メンバーの許可が出ればいくらでも使うことが出来ます(もめた場合はリーダーの判断による)
【カウンターチップ】といって、相手の【パワーチップ】効果を打ち消したりも出来ます。
更に、【チームチップ】として供出した【パワーチップ】三点ごとに一点、シナリオ終了時に経験点として加算されます。
自分で持っている【パワーチップ】は借金返済にしか使えない(お金になるわけではない)ので、無駄に余らせるくらいならチームに貢献した方が色々お得ということになります。
DL
……というわけで君たちは【チーム】になりました。
【チームチップ】【パワーチップ】をいくつ供出するか宣言してください。
ヨハン
3点。
マグノリア
3点入れておこうかな。
クリフ
とりあえず6点?
DL
じゃあチームリーダーはクリフね。
それから【チーム】としての目的、【チームフェイト】を設定しなければなりません。
ヨハン
マリー号事件を解決する。
DL
【チームフェイト】として書き加えてください。