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こちらには
『しんでなんかないよ』のネタバレがあります。

本編見る!
KP
※ここからはあなたの夢です。
反応する場合、今の記憶ではなく当時の記憶という想定でお願いします。


ある春の朝に

KP
春の朝、あなたは自室で目を覚ました。

自分の部屋を出ると、佐倉が難しい顔をしてリビングのテーブルに突っ伏してうんうんと唸っている。
あなたの姿を見るとこの世の終わりのような顔をしておはようと挨拶をし、頭をかきむしった。
牧志 浩太
「おは……、どうしたんだ、何か難問?」
KP
佐倉は頷いて口から早口で意味不明の言葉を垂れ流し、
そして唐突に決心したような顔で立ち上がると、買い物に行く、とあなたを誘った。
牧志 浩太
「う、うん。いや聞き取れなかったけど」
何だか分からないままだが、とりあえずついていく。
KP
店数が多い、割と何でも揃うショッピングモールまで付き合わされた。
そして、今欲しいものを教えろ、と言われた。
あなたは思い出すかも知れない。
今日が何の日なのか。
牧志 浩太
「へっ、え? 台所の洗剤切れてたし葉物がそろそろ無いけど、って、あ」
驚いてズレたことを言ってしまった後で、思い出す。

春の朝。4月の26日のことだろうか。
KP
その通り。
牧志 浩太
「そうか。誕生日か、俺の」
佐倉 光
「しょーがねーだろ! 何なら邪魔にならないか分からなかったんだよ!」
牧志 浩太
「ごめんごめん、いっぱいあるからうっかりしてた。
……ありがとう、聞いてくれて嬉しい。それなら、一緒にちょうどいいもの考えられるしさ」
牧志 浩太
「そうだな、欲しい物がひとつあるんだ。

俺が日記書くのに使ってるボールペン、あるだろ。
あれ、キャップの所が少し割れちゃっててさ、たまに抜けるんだ。
それに、折角だからもうちょっといいのが欲しいと思ってた」
KP
佐倉の「その手があったか!」というような照れ笑いが、遠くかすんで消えた。
プレゼント
KP
なるほどなぁ……
牧志 浩太
誕生日、3つある。
(波照間の、紅さんの、牧志の)>いっぱいある
というわけで、日記帳と一緒に持ってるアレです
牧志 浩太
誕生日を祝われた記憶もほとんど12月(波照間の)だし、10/31は本当に印象強い日だから、自分の誕生日はうっかりしちゃいそうだなって。
牧志は「牧志浩太」の誕生日と、一度別の存在(紅)として生まれた日と、彼のほとんどの記憶を上書きしてしまった「波照間紅」の誕生日を自分のものとして認識している。
三つ目は厳密には違うが、記憶の量が多いため印象は最も強いだろう。
KP
なるほど確かに。
それはもう何が何でもインパクト強く祝わなきゃと意気込んだ&リアリスト故に迂闊な物贈るわけにはいかないと悩みすぎた末何も思いつかなくて「あぁぁぁぁ」となってた。
いや、思いついた物は色々あるんだけど、どれなら「邪魔にならない」のかわからなくて!
牧志 浩太
何を考えてくれたんだろうなー!
どれでも、佐倉さんの意気込みを感じて牧志は喜んだと思うけど。


DAY3

天気:☁

KP
あれから2,3日が経った。
たまに扉を叩く音が聞こえ、外から人間の者とは思えない地を這うような声が聞こえることがある。
無理やり扉を開けられることはないが居心地が悪い。

カーテンのすき間から見た空は曇っていた。
正気度現象 -3
牧志 浩太
SAN 59 → 56
KP
おはようございます。今日も一日を始めましょう。
牧志 浩太
あんまり爽やかじゃない目覚めだ。
一度姿を見せたら遠慮がなくなってきたな、あいつ。
牧志 浩太
……ちょっと前のことなのに、随分と懐かしく感じるような夢を見た。

佐倉さんの声がまだ耳元にはっきりと残っているような気がして、忘れたくないなと思ってしまう。
牧志 浩太
棚の日記帳とペンを手に取り、最終ページから書きだした日記のあとに、夢の内容を書きつける。

あの時に佐倉さんがくれたペンだった。
俺のイニシャルと、4/26と刻印してある。
俺の誕生日、気を抜くとつい忘れちゃうから。
見た目に寄らない人
牧志 浩太
しかし今思ったけどイニシャルと誕生日入りのボールペンって、必ず半日~一日に一回連絡取ってるのと合わせて束縛強い彼女いる疑惑がさらにアップしそう。
KP
たしかにwww
牧志 浩太
イニシャル入りだけならまだしも誕生日入りだし。そんな牧志が子供服やおもちゃを買ってるところを目撃され「やらかした?」「やらかされた?」って心配される。
KP
一致しちゃったwww
牧志 浩太
なんと状況証拠が全部きれいに一致しちゃった。
KP
彼にあらぬ疑いがかかるw
牧志 浩太
しかも指輪がないので余計にややこしい疑惑になる。
KP
意外とだらしないやつ疑惑が!
牧志 浩太
意外すぎて、ちょっと好奇心混じりの変な心配が飛び交いまくる。
でも当人に聞くのも聞きづらくて誤解が解けないor変な聞き方をしてしまい誤解が解けない。

牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん」
夢の内容を捕まえ終わってから、ペンを置いて佐倉さんに呼びかけた。
KP
今日も佐倉は返事をしない。
彼も何かを思い出したりしているのだろうか。
また包帯がぐしゃぐしゃになっていて、隙間から見える傷が悪化しているように思える。
前回包帯を換えたのはいつだっただろう?
牧志 浩太
悪化しているように見える傷は、重たい記憶を刺激した。
腐って嫌な臭いがしてきそうな気がして、その想像を振り払う。

そうだ、何だか億劫な日が続いたんだったか、包帯を換えられなかった。
牧志 浩太
「佐倉さん、風呂に入って包帯換えようか。お湯張ってる間に朝食作るよ」

浴槽を洗い、スイッチを入れる。
台所に立って、今日は何を作ろうかと考える。
KP
今日は何だか寒い。
野菜が余っていることだし、暖かいスープなどはどうだろうか。
牧志 浩太
「あ、いいな温かいスープ」
自分の思いつきに膝を叩く。

キューブコンソメとハーブソルトで余った野菜を煮て、二人分のスープに卵をひとつ落としてかき混ぜる。

便利だよなハーブソルト、とりあえずなんとかなる。
牧志 浩太
作り終わったスープを陶器の器に注ぐ。
椅子に座らせた佐倉さんの前に、いつものコーヒーと匙と一緒に差し出した。
牧志 浩太
「いただきます」
KP
佐倉は一度も汚れたことはない匙を見下ろしてだらしなく腰掛けたままだ。
相変わらずやる気が無い。
それでもあなたが食べ終わる頃には食器は空になっている。
これももう見慣れた光景だ。

スープは温かくて美味しいと思えたが、全部食べきるのは少し大変だと思えた。
作りすぎただろうか?

ラジオのノイズの中、途切れ途切れにパーソナリティが何か喋っている。
最近、ラジオの調子が悪いのか、あまり音声が聞き取れない。

外は曇り空で、部屋の中は薄暗い。
牧志 浩太
少しずつ気だるく感じる身体。
少しずつ薄暗くなっていく室内。
少しずつ、調子が悪くなっていくラジオ。
少しずつ、遠くなっていく人の声。

何だか少しずつ世界から切り離されていくようだ。
本当に、これでいいのかな。
でも外に出るわけにいかないのは明白だった。
牧志 浩太
「佐倉さん。
東浪見とシロー、どうしてるかな」

スープの温かさに縋るように啜りながら、ほろりと口に出した。
牧志 浩太
スープ、少し作りすぎたかな。
取っておいて昼食の添え物にしよう。
KP
佐倉は答えない。心配する必要は無い、と言いたいのかも知れない。

片付けを終えたとき、ふと、部屋の違和感に気付いた。
明らかに様子が変わっている。

ずっと施錠されていた筈の部屋のドアが、開いているのだ。
牧志 浩太
「……あれ?」
目の前の出来事に気を取られて、半分忘れかけていたドアだった。

誘われるようにそちらへ向かう。

ドアの正面から身をかわして、入りはせずにその向こうの様子を確認する。
KP
向こうには誰もいない。気配もない。
牧志 浩太
ドアの向こうはどんな様子になっていて、何がある?
KP
そこはちいさな書斎のように見えた。
机には雑然と物が置かれている。
本棚にはびっしりと本が置かれていた。
牧志 浩太
「本……?」
あの館の書斎や、あの研究所の読めない本が大量にあった部屋を思い出した。
字が読めなくなったのかと思って慌てたっけ、あの時。
牧志 浩太
入ろうとして思いとどまり、佐倉さんを抱えてくる。
佐倉さんと一緒に、その部屋に入る。
牧志 浩太
佐倉さんがここに入らないはずはないから。
KP
牧志くん
優しい……
牧志自身のためであるとしても優しい。
牧志 浩太
このまま扉が閉まって佐倉さんと離れ離れになってしまったら、と思ったのもあるし、佐倉さんが生きてるなら当然そうする、と思ったのもある。
KP
佐倉はここの本に目移りしているのか、本に手を伸ばしはしなかった。
背表紙を眺めて楽しんでいるのかも知れない。

ここには机と本棚がある。
KP
机には骨董品じみた物や怪しげな資料が大量に置いてある。
どうやら日本語ではない言語の物が多く、
見ていると読めもしないのに惹き込まれそうな気持ちになる。

調べるなら 〈目星〉
KP
本棚には机にある物と同じような、読めない言語の本が大量に並んでいる。
ぱっと見であなたに読めそうな物はないと思えるが……

調べるなら 〈図書館〉
牧志 浩太
何だか本格的に何かありそうな様子だ……。
開いた理由もよく分からないし、今のうちに色々見てみよう。

机から先に調べ、それから本棚も見てみる。
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→88→成功
牧志は書斎でこの状況を理解する助けになるものをいくつか読んだ。
牧志 浩太
「……妖怪かグレムリンみたいな奴だな。食事……」

食事、とぽつりと口にして、ふと匙も取っていないのにスープが減っていくのを思い出した。

死体を食うんなら、野菜は分からないけど肉だって食える…… ってことだよな。
ああ、そうとは限らなかった俺もいたけど……。
牧志 浩太
「佐倉さん?」
確かめるように、呼びかける。

もしかして。
もしかして、だけどさ。

そいつがここにいるだけなのか、ただ。
KP
佐倉は答えなかった。
牧志 浩太
少し薄暗いのも気にかかった。ランプを引き寄せて視界を確認する。
薄暗いんじゃなくて、見えなくなってきてる、なんてことはないよな?
牧志 浩太
という推測をしつつ【アイデア】情報欲しいです。
KP
よーし【アイデア】振ろう!
牧志 浩太
1d100 90 Sasa BOT 1d100→95→失敗
牧志 浩太
おおっと!
KP
おぉっと!
KP
突如玄関からまた激しいノックの音が聞こえた。
意識がかき乱される……!
牧志 浩太
「!」
咄嗟に佐倉さんを庇うように抱きかかえる。
何かを思いついたような気がしたけど、霧散してしまった。
牧志 浩太
何か、引っかかった気がしたんだ。考えないといけない気がする……。

後でまた考えよう。
牧志 浩太
ノックの音が去るまで、佐倉さんを庇いながらじっと息を潜める。

書斎に他に気になるものがなければ、ノックの音が去るのを待って、風呂に入って包帯を換えよう。
KP
部屋の電気は元々薄暗かったが、最近は調子が悪いのか点かない。

ランプの光はほの暗い室内で暖かく揺らめいた。

給湯器の調子も悪くなっているのだろうか、風呂が温い気がする。

あなたは思う。
先ほどの記載を考えるなら、光や温度が弱まっているのではなく、自分の感覚がおかしくなっているのではないだろうか。
そうすると、ここにいるのは自分にとっては危険なのではないだろうか?
KP
【アイデア】情報その1!
牧志 浩太
神との我慢比べかなぁ。
KP
佐倉の怪我は少し変色していた。

〈医学〉で判定。
牧志 浩太
1d100 47 〈医学〉 Sasa BOT 1d100→84→失敗
KP
きっと化膿しているのだ。
牧志 浩太
そうか、少しずつ奪われていっている。
あいつがここにいるせいだ。

もしかしたら、俺は餌なのかもしれない。
ここで、ゆっくりと喰われていくんだ。
あの男は最初から俺達をゆっくりと餌にするつもりで、俺達にぶつかってきて、佐倉さんを……

佐倉さんだって、本当に食べてくれたんじゃないかもしれない。
きっと、こいつが佐倉さんの中に巣食っているんだ。

ふっと、白い蛆を想像した。白い蛆みたいなものが、腐って骨になりかけた佐倉さんの眼窩や喉の穴、腕の傷から、繰り返し繰り返し出入りして、
そんな佐倉さんが椅子に座っていて、
牧志 浩太
「うっ、」
思わず小さく嘔吐いた。

それでも渡せやしない。
KP
からだがだるい。
もう寝た方がいいかもしれない。
ラジオのノイズの向こうから、女性の物悲しい歌声が微かに聞こえた。
牧志 浩太
「う……、でも、包帯、換えなきゃ」呻く。

佐倉さんをそのままにはしておけない。身体が怠い。引きずり込まれるようだ。

手を離すわけにはいかない。
四日徹夜した俺だぞ、これくらい平気だ。
牧志 浩太
「来るな、ここには死体なんてない」

呻く。

縋りつくようにリビングへ戻って日記帳を手にし、分かったことを書き留める。

佐倉さんの包帯を換える。
KP
つくづく酷い怪我だ。
こんなの普通ならとうに死んでいる。

包帯をきちんと巻き直すと、随分と人間らしく見えた。
佐倉は読める本がなかったことにがっかりしているのか、呆然としている。
牧志 浩太
「佐倉さん、戻ろうか。
寝る前にさ、ソファで話でもしよう」

佐倉さんをソファの上に運んでいく。
その途中に風呂や台所、室内を見回し、何か変化がないか確認する。
KP
室内には特に変化はない。
窓の外は日が落ちて暗く、明かりを点けたらきっと外から丸見えだ。
牧志 浩太
外にいるもののことを考えると、カーテンを開けている気にはもうならなかった。
カーテンをぴったりと閉め、クリップで閉じる。
牧志 浩太
「希望じゃないものが希望に見えてしまうの、二度目かもな。

それでもやっぱり、諦められないんだ」
牧志 浩太
五感、か。
全部奪われてしまったら、どうなるんだろう。
真っ暗闇の中でひとり、何もできない塊として存在するのなら。

それでも、俺に声をかけてくれる誰かはいるだろうか。
俺に触れてくれる誰かはいるだろうか。

俺は、この手を握っていられるだろうか。

それができるのなら。
牧志 浩太
そういえば、ランプを書斎から持ち出すことはできるだろうか。
可能なら、生活の助けにするために持ち出してリビングに置く。
KP
ランプの持ち出しはもちろん可能だ。
じゆう
牧志 浩太
寝てしまう前に行動できるならですが、やりたい描写が二個ほどできたかも。
KP
寝たら進む、というだけで、行動は自由ですよ。
牧志 浩太
お、分かりました。やろ。
KP
日中の行動は、自由です。
こころまで死んでしまわないように、存分にどうぞ。
牧志 浩太
はーい。

KP
ソファに座らせると佐倉はうつむいて座った。
あなたの言葉に返事もせず、黙っている。
牧志 浩太
自分のスマートフォンと日記帳、ペンを棚から出して、充電ケーブルをつないだままベッドサイドに移す。
牧志 浩太
音声認識アシスタントの操作を変更して、ボタン操作だけで呼び出せるようにする。

スマホをタップした時の触覚フィードバックをオンにする。録音アプリと再生アプリを簡単に呼び出せるように変更する。
牧志 浩太
「俺と、佐倉さんは、ここにいます」
簡単に音声記録を吹き込んで確認。
牧志 浩太
そこまで終わったら、包帯など使うものをベッドサイドの、すぐ触れられる場所に移動する。
ベッドサイドに飲料水と、包帯を洗うのにも使うだろうから水を多めに置いておく。

台所から調理しなくても食べられる保存食などを取り出し、分かりやすく記憶に残るように並べる。
牧志 浩太
そこまで全部終わったら一度目を閉じてそれらに触れ、目を閉じていてもつつがなく行動できることを確認する。
牧志 浩太
ハーブティーを淹れてソファに座り、佐倉さんの横顔を眺めた。
牧志 浩太
というわけで見えなくなったときのための準備でした。八つ当たりしたときの用意周到ぶりからして、牧志こういうことしそう。
KP
体はだるく、眠気は耐えがたかったが、生きるための行動をしていると不思議と気力が戻ってきた。
KP
少し冷めたと感じられるハーブティーからは、ほのかに湯気が上がっている。
KP
佐倉は目を閉じたままで、闇の一部になろうとしているようにひそやかに座っていた。
こちらを見てくれる気も、元気づけてくれる気もなさそうだ。
牧志 浩太
ああ、動くってのもいいな。そう思う。
ハーブティーの香りに耳を澄ませるようにして、ゆっくりと味わった。
牧志 浩太
「寝る前にちょっと話そうよ、佐倉さん」

コーヒーをもう一杯淹れ、佐倉さんの前に置く。
牧志 浩太
「コーヒーマシンの使い方知ったの、佐倉さんがきっかけだった。
先輩あんまりコーヒー飲まないんだよ、無理する時に飲むって感じで日常じゃないんだ。知ってた?」

もしずっとこのままだったら俺はどうするのかな、ふっとそんなことを思った。

目も声も佐倉さんに触れる手さえも少しずつ失っていって、喋らない佐倉さんが横にいるって信じたまま、ここで何もできない塊になっていくんだ。
牧志 浩太
「東浪見、心配してくれるかな」
ぽつりと息が漏れた。
牧志 浩太
「してくれるよな。先輩は探してくれるだろうな。シローはどうなるかな。先輩たちに託すことになっちゃうな、俺達が背負ったのにさ」
牧志 浩太
「佐倉さんは誰か、思い出す人、いる?」
牧志 浩太
包帯がぐしゃぐしゃになってるの絶対もぞもぞ出てきてるよなー 牧志の感覚や記憶はおかしいけど、端から見たらどうなってるんだか。(そういうギャップ楽しい)
KP
ハーブティーはほのかに甘みのある香りがあり、腹に落ちると中から温めてくれた。
コーヒーを置くと、佐倉がゆら、と頷いたような気がした。
ランプの明かりが揺らめいてそう見えただけだろうか?
KP
佐倉は答えず、あなたの声だけがぽつりぽつりと闇に溶けてゆく。
もう明るいのはこのランプが置いてあるテーブルの周囲だけだ。
時の流れがゆったりと遅くなって行く。そんな気がした。
牧志 浩太
ああ、すっかり暗くなったな。

暗いのか俺の眼が見えなくなってきているのか分からないけど、佐倉さんと俺の顔だけをゆっくり照らし出す明かりは、状況に似合わず妙に穏やかだった。
牧志 浩太
「いっそ、また前みたいに繋いじゃおうか、この手。
そうしたら、俺が何も分からなくなっても、手放さずにいられるしさ」
牧志 浩太
ランプを片手に持ち、二人分のコップと歯ブラシを持ってきて、佐倉さんの歯を磨く。
牧志 浩太
磨き終わったら寝ようか、ずっと思い出話でもしながら。
KP
ベッドに横たわって手を繋ぐと、佐倉の手の温度が随分下がっているように感じた。
一緒に布団をかけると寒気を感じるほどだ。
牧志 浩太
ひどく寒く感じて肩を震わせる。
そういえば風呂の湯もぬるく感じた。
温かさを感じる感覚も奪われつつあるのかもしれない。

触覚か視覚かどちらかが絶えたら、本当に手を繋いでしまおう、そう決める。
牧志 浩太
「佐倉さん、覚えてる?」
そう始めて、眠りが意識を引きずり込むまで、ずっと思い出を口にしていた。

KP
いつの間に眠っていたのだろう。
ふと、身震いをして目が覚めた。
ベッドが妙に広い。
牧志 浩太
「佐倉、さん?」
まさか。まさかまさか、寝てる間に持っていかれてしまったのか。
辺りに触れる、探し回る。飛び起きる。名を呼ぶ。見回す。
牧志 浩太
「佐倉さん!!」
そんな、そんな、そんな。
諦めないはずだったのに。

佐倉さんを探す。
KP
ベッドから起き上がったあなたは、玄関の扉の前に佐倉の後ろ姿を見る。
彼は扉を見つめてぼんやりと立っているようだった。
牧志 浩太
「起きたのか? 佐倉さん。
覚えてる? ずっと寝てたんだよ」

横から呼びかけて、手を繋ぐ。
声が震える。目の前の出来事に何が起きているのか分からない。

本当に、起きてくれた?
目を覚ましてくれた?
本当にそうなら泣くほど嬉しい。この時をずっと待ってたんだ、でも。
あいつが佐倉さんを連れていこうとしているだけかもしれない。それなら連れていかせない。
KP
佐倉は声に反応してゆっくり振り返った。
闇の中で表情は見えなかった。
牧志 浩太
情報開示のタイミングと演出とブラフがい~い塩梅でめちゃくちゃ楽しい&こわい
牧志 浩太
「起きてる? まだ、寝てる?」
染み込ませるように、ゆっくりと呼びかける。
KP
触れた彼の手が、やわらかい。
やわらかい。
ぐず、と指が沈む。
頭のてっぺんから体が溶け落ちてゆく。
形を失い、ただの肉色のゼリーの塊のように流れ落ちてゆく。
死んでいく。命が失われていく。

黒い瞳を貼り付けた目玉が転がり落ちた。
それは床からあなたを見つめている気がした。

【POW】×5
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1d2
牧志 浩太
1d100 60 POW Sasa BOT 1d100→99→致命的失敗ファンブル
わお
1d100 56 SAN Sasa BOT 1d100→19→成功
牧志 浩太
なんと狙いすましたかのようなファンブル
KP
うーん、そっちファンブルしてSAN成功しちゃったか~。
牧志 浩太
これは真実を見そこなったかなー?
それとも死の幻を見させられるかなー?
SAN成功しちゃったかーってとこからして前者かな?? こわいなー
KP
手が勝手に動いた。誰かに操られているように自分の意思に反して体が動く。頭の中で知らない誰かが会話をする。食事ですね。食事だね。生きるためには何かを殺し何かを食べなければいけない。それもそうだとあなたは頷いた。これは至極当然のことだ。
彼の体を掴む。どろりと柔らかくなった肉を喰む。噛む。食いちぎる。咀嚼する。唾液と共に飲み込む。喉がなった。腹に溜まった。
KP
こんなんです。
牧志 浩太
あーあー。
KP
屍肉食い、せっかく回避したのに……
牧志 浩太
佐倉さんが守ってくれたのにねぇ。
牧志 浩太
「え、あ、ああ、」
膝から力が抜けてへたり込む。
佐倉さんが、崩れて、崩れてしまった。
手放さずにいようと思っていたのに、生きて、生きていたはずだったのに、どこかでそうじゃないかと思ってた生きてなんてなくて俺は見届けたはずで、違う、生きてる、佐倉さんは生きてる、生きてるのに、

俺が佐倉さんを、

殺した。

手が勝手に伸びる。
俺が佐倉さんを殺して食べている、どうして、首筋の中で白い糸がうねる感触がする、手が動く、柔らかくなった肉が口の中に満ちていく、腐って蛆の涌いた死体のあの鼻を突く臭いがする、口の中に満ちた肉を喉と舌が勝手に動いて呑み込む、手離さないって決めたのに、諦めたくなかったのに。

腹の中で何かが絶えず蠢いている。
佐倉さんが腹の中に落ちていく。腹の中に佐倉さんがいる。頭の奥で何かの羽音がする。首筋で白い糸が蠢いている、それが喰いたいと望んでいる。

手を離したくなんかなかったのに。
勢い余って自分の手に噛みついた。腹の中と自分の手を繋ぐ。

手を離したくない。
経験の刺激
牧志 浩太
そして寄生された系の記憶を全部トリガーされた+(運転手だった自分が)「佐倉さんを殺した」という意識をトリガーされた結果、
もちろん直接体験してはいないんだけど、巣窟になった牧志の感覚を仮想体験してしまう牧志です。
KP
あーあ。
本当に牧志くんに酷い話だ。
牧志 浩太
本当にな。ここであの話がかぶってくるんだもんな。
心配性とかそれ系の後遺症生えそうだし確定でしばらく運転はできなくなる。肉はまあ夢なので(佐倉さんのおかげで実際には実行せずにすんだので)まだましそうだけどひどいはなしだ。

KP
血が滲んで、塩辛い味がした。
血が真っ赤な固まりと溶け合ってゆく。

また彼に手を伸ばす。引きちぎる。ぐちゃりと血肉の音がする。
彼は生きている。あなたの中で生き続ける。
あなたが食べることで彼は

生きた
KP
ふと、真っ赤になった手に焦点が合った。
今までいったい何をしていたのだろう?
牧志 浩太
真っ赤に染まった手を呆然と見る。
KP
横に落ちている目玉があなたを見ていた。
なぜだか泣いていると思った。
牧志 浩太
「ごめんな、痛いよな」
牧志 浩太
「痛かったよな」
見慣れた色の眼を見つめ返す。
牧志 浩太
「痛かったよな、あのとき」
牧志 浩太
「無念だったよな」
牧志 浩太
「佐倉さん……」
途方に暮れて名を呼んだ。
KP
目玉に表情があるわけがないのに、なぜか苦しそうだと思った。
彼は今苦しんでいるのだろうか。

KP
ラジオの雑音が飛び込んできて、あなたは目を覚ます。

ランプは切れていて、あなたは佐倉と手を繋いでベッドに横たわっていた。
牧志 浩太
「あ……、れ、」
何が起きたか分からなくて、辺りを見回した。
背中にひどい汗をかいている。

手を繋いでいる感触があった。
思わずその手の形を辿る。崩れないかどうか両手で揉む。

夢? 夢だったのか?
佐倉さんが起きて、溶けて、食べて、俺が佐倉さんを殺して頭の中でぶんぶんと羽音がして、

思わず自分の腹を撫でる。
腹が満ちてはいないだろうか。
そこには何もいないだろうか。
KP
そこにはなにもいない。
あなたのなかにはなにもいない。
満腹感も、空腹感もない。

佐倉も溶けてはいない。
ただ冷たいだけだ。
牧志 浩太
「よかった、夢だったんだ」
意識して息を吸い、はっきりと声に出す。
牧志 浩太
「佐倉さん、変な夢を見たよ。俺が佐倉さんを食べちゃったんだ」
牧志 浩太
「美味しくはなかったよ、塩辛くて、痛かった……、」
刃物でも食べてるみたいに痛かったよ。

呟いて辺りを見回す。
スマートフォンの画面を点けて、今の時刻を確認する。
KP
三時頃だ。朝というにはまだ早い。
牧志 浩太
画面がちゃんと見えることに安堵する。暗いだけか。
牧志 浩太
なんとなく怖くなって、スマートフォンの明かりで照らしつつ、ロープの残りを棚から持ってくる。

部屋の間を行き来するのに困らない長さを確保して、片側を自分の手に、片側を佐倉さんの手にしっかりと結ぶ。
牧志 浩太
これがあれば、もし俺が佐倉さんを見失ってしまっても、辿れば佐倉さんの所に戻れる。
KP
あなたはロープで佐倉と自分を結んで眠る。遠くへ行かないように。見失わないように。なくさないように。

となりに横たわる佐倉の体は冷たくて、あなたが触れると熱を奪われてゆくような気がした。
あなたが冷えて、佐倉が少し暖かくなる。


眠りに落ちる直前、ふとあなたは思うだろう。
もしも、佐倉がかつての『あなた』のように巣窟になっているとしたら。
それらが時をねじ曲げて、彼を保っているのかもしれない。
ここが『彼ら』の棲みかだ。
たったら佐倉はここを出れば、『彼ら』がいなくなったら、どうなってしまうのだろう。

それは、うすら寒い予感をもってあなたに忍び寄った。
佐倉を保つならここにいる必要がある。
しかしあなたは、ここにいればいずれ死ぬのだ。


SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
【アイデア】情報2とファンブルペナルティ。
牧志 浩太
1d100 56 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→43→成功
牧志 浩太
「あ……、」
気づいて、しまった。

佐倉さんはここにいる。
ここにいる、けど。
生きている、けど。

もう抜け殻なのかもしれない。

空っぽの佐倉さんの中に蛆がいっぱいに詰まっている図を想像して、嘔吐く。
扉を開けて、玄関を出て、光の中へ踏み出す佐倉さんが、溶けて崩れてしまうのを想像した。

もう全部終わった後なのかも、しれなかった。
俺は空っぽの抜け殻とここにいて。
人形遊びをしながら、ゆっくり死んでいくだけなのかもしれなかった。

今やっていることに意味なんか、ないのかもしれなかった。
牧志 浩太
「諦めたくないんだ、ないんだよ、佐倉さん……、」

呟く。
諦めないことに意味なんか、ないのかもしれなかった。
印象深い出来事
牧志 浩太
PL<牧志さん相変わらず自分のことは???
いやぁしかし揺さぶりがすごくて楽しい 外に明らかに脅威がいるのが判明しているのと、トレーラーである程度情報開示されている(でもはっきりしない程度には意味深)のもあって「揺さぶりだろこれ、いやでも」って迷いつつ進めるいい塩梅
KP
AND/HAND以外で、牧志くんが佐倉とのことで一番印象強く残っている出来事ってなんだろう? 
私がチョイスしてもいいんだけど、あくまで「牧志視点の」だから
牧志 浩太
ああー。「対の棲みか」での一連の出来事じゃないかな、と思います。

佐倉さんと「共に駆け抜けた」初めての時だし、牧志が大事な記憶を取り戻してちゃんと牧志になったきっかけだから。
その印象強い出来事に何が起きちゃうんだろう??
KP
思い出すだけですから……
対か。解釈一致で良かった。
牧志 浩太
わーい。
あれは本当に牧志が今の牧志になる根幹だから。

コメント By.KP
光が失われ、全てが崩れてゆく。
立ち止まっていたらきっと一緒に沈んでゆく。

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「鏡よ鏡。世界で一番イケてる悪魔使いは誰。なんつってな」

CoCキャットゥルフ『それは月の明かりの下で』 ユキ 1

気のせいだなんて思えるほど、猫の第六感は鈍くはないのだ。

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(くそ、何が不安だ……、それどころじゃなかった!)

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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「『どちらでもない』だったら……ちょっと怖いですね」

TRPGリプレイ CoC『レッド・グランド・セパレート』牧志&子供佐倉 1

どうして、また、佐倉さんを、これだけ多くの人達を。
巻き込んじゃったんだ、俺は、あいつは!

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記憶のゆがみ