画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: netabare.png

こちらには
『しんでなんかないよ』(しんない)のネタバレがあります。
また、シナリオに少し大きめの調整を加えています。
シナリオの概要・後遺症などが知りたいだけの方は▼の記事をどうぞ。


牧志 浩太

お人好しで温厚、だが意思は強い好青年だったが……。
とある事情で二年より前の記憶の大半を失い、代わりに悪魔使い波照間紅の記憶を持っている。
首から胸へと続く奇妙な【契約】の痣がある。たまに痛むという。
生贄体質らしく、事件に巻き込まれることが多い。

佐倉とは友人。


佐倉 光

サマナーで悪魔退治屋。ハッカーでもある。
基本、知性・理性・効率、そういったものを重視する冷静な青年。
巻き込まれ体質らしい。

牧志とは友人。


開始前
KP
「しんでなんかないよ」

楽しそうです。色々。
当然ですが佐倉は死体なので牧志くん一人で頑張って下さい。
確実に置き卓向きです。

抱きしめる、は、どうかなー、状況によっては必要かも知れません。
ゲームというよりは異様な日常を楽しむみたいなシナリオ。


注意点)
 行動によっては佐倉はあっさりロストしますが、こっちは多分大丈夫じゃないかな?

 確定で後遺症がつきます。
 佐倉の方が重めだけど、まあ……いいんじゃないかなと中のヒトとしては思う。
 牧志くんのは……ほぼ問題ない。
牧志 浩太
ほうほう。それは置き向きそう。
異様な日常、ぜひ楽しみたいですね。
後遺症なんだろ……。
KP
全体的にじっとりしてます。
牧志 浩太
今回シリアスありつつ軽めだったし、ちょうどいいですねじっとり。
異様な日常楽しみたいし置きでじっくり描写したいし これは楽しみ

トレーラー・注意書き
今日も二人 おはよう、おやすみを口にする

今日も二人 食事をする

今日も二人 一緒に眠りにつく

君から返事はない

君は空っぽだ


それでも繰り返さなければいけない。

君が死んでいないことを証明しなければいけない。

Call of Cthulhu


しんでなんかないよ
日常×死体

PC が KPC の死体に話しかけたりお世話したりたまにくる訪問者にドキドキしながら数日間過ごすシナリオです。
【シナリオ注意】
大変人を選ぶシナリオとなります。
以下の確認を必ず KP は PL に行ってください
本シナリオは探索者の意志に反する描写、理不尽な展開、神話生物の独自解釈が含まれています。
本シナリオは PC、KPC に継続可能な程度の後遺症が確定で付きます。
本シナリオは実際の事件・団体には一切関係ありません。
本シナリオにおいて RP、行動宣言は自由に行ってください。
本シナリオ中、PL がセッションの中断を宣言したら KP は認めなければいけません。
本シナリオはいつでも「家から出る」ことでセッションを終わらせることができます。
▼諸注意
・日常×死体に惹かれる人向け
・死体に話しかける特殊 RP
・後遺症が確定でつくこと
・KPC を”絶対に”諦めない心
・シナリオを完遂する心
・KP、PL の正常な健康状態
【アナウンス】
本シナリオは探索者の意志に反する描写、理不尽な展開、神話生物の独自解釈が含まれています。
本シナリオは PC、KPC に継続可能な程度の後遺症が確定で付きます。
本シナリオは実際の事件・団体には一切関係ありません。
本シナリオにおいて RP、行動宣言は自由に行ってください。
本シナリオ中、PL がセッションの中断を宣言したら KP は認めなければいけません。
本シナリオはいつでも「家から出る」ことでセッションを終わらせることができます。
今回のセッションにおいては、シナリオ本筋からは逸れないようにしつつも、PCの行動や描写はシナリオの記述よりもPLさんに任せる比率を高くしています。
それに伴いシナリオに、いつもより多めに調整や情報配置の変更、変更・追加などを行っています。



ラジオから壊れたように音声が流れ出る。


肉体的に死とは、生活機能が停止した状態を指します。
(ノイズ音)
人間の死とは心臓、呼吸の停止、瞳孔が開くことを基準に判断されています。
(ノイズ音)
法律により呼吸と血液循環が完全に停止、脳の全機能の停止、蘇生不能な状態に陥り、
且つその状態が継続したとき、人は死亡したものとみなされます。
(ノイズ音)
死が近しい人間程、死に対してポジティブな展望をみせることがわかりました。
(ノイズ音)
死に際、聴覚だけは最後まで機能しているという結果を得ました。
(ノイズ音)
人は人を声から忘れていくと言います。
(ノイズ音)
証明してください。彼がいたことを。今もいることを。


KP
耳鳴りがする。血の匂いが鼻を掠める。
全てはこの悪夢のような日から始まった。

「こいつはもう助からない」

目の前で血の海が広がる。
先程まで動いていた口はぽっかりと空いたまま ピクリとも動かない。

「死なせたくなければ俺の言う通りにしろ」

怒声と乾いた風と爆ぜた土と
叩きつける雨の温度に体が冷えていく

血の海の真ん中、彼と目が合う。
ぽっかり、
空っぽな 真っ黒の目


「体をもって、ついてこい」

あなたは訳もわからず、頷いた。
佐倉-----------による

SANチェック成功時減少 1d6失敗時減少 1d10
※これによる発狂はない
牧志 浩太
1d100 67 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→57→成功
1d6 Sasa BOT 1d6→4
SAN 67 → 63
導入での出来事は覚えていますか?
KP
あれは、夢です。

牧志 浩太
「佐倉さん」
牧志 浩太
「佐倉、さん」
牧志 浩太
「佐倉……、さん」
牧志 浩太
「佐倉さん……」

ずっと、名前を呼んでいた。
何を言っていいのか目の前の出来事をどう受け止めていいのか分からなくて、ずっと名前を呼んでいた。

そんな夢を見ていた気がした。


Day 1

天気:☀️

KP
あなたは鳥の鳴き声で朝が来たことを知る。
カーテンの隙間から眩しくあたたかい朝の光が差し込んでくる。
天気は快晴、気持ちのいい朝だ。

おはようございます。今日も一日を始めましょう。

ここは、見知らぬ部屋だ。
この部屋にはベッドが一つ。
あなたの隣に佐倉が眠っている。
牧志 浩太
「ふぁ……、」
夢が去ってしまえば誰の名を呼んでいたのかすら思い出せない。
牧志 浩太
「あれ?」
見知らぬ部屋だ。辺りを見回す。
見回して、佐倉さんの姿を見つける。
牧志 浩太
「また変な所に連れてこられたのか……」

佐倉さんの様子を確認する。
うなされていたり、手が繋がっていたりしないだろうか。何か変なものをつけられていたり、熱を出していたりとかは。
KP
佐倉は目を閉じて静かに眠っている。

彼の左側の頭部と、左手には包帯が広範囲にきつく巻かれていた。

……あなたは不意に思い出した。

あなたは、この傷を治療したのだ。
必死で、血の一滴も零さないように。
何故この傷がついたのかは……よく思い出せないが。

血が僅かに滲んで固まっている。
後で包帯を換える必要があるだろう。

声をかける?
牧志 浩太
「あれ……」
微かに記憶が蘇る。
必死でこの包帯を巻いた覚えがある。血の一滴も零すまいと、彼を損なうまいと、無我夢中で押さえつけ固定した。

思い出せない。
記憶に、ない。
どうしてこんな傷を負ったんだ。
こんな、酷い傷を。

声をかける前に、自分の身体が傷を負っていないか確認する。
牧志 浩太
変な所慣れしすぎてて驚かないし起こす前に様子を確認しようとする牧志。
KP
あなたの体には少しの擦り傷と打撲はあるが、大した物ではない。
昨日は彼の傷を治すのに必死で、自分の傷どころではなかった。
痛みはないが、後で少し様子を見てもいいかもしれない。
牧志 浩太
「おはよう、佐倉さん」
声をかける。
KP
佐倉は深く眠っているのか、反応がない。
隣で動いても起こしてしまうことはないだろう。

昨日、まともに食べなかったのだろうか、とても空腹だ。
この間に朝食でも作った方がいいかもしれない。
牧志 浩太
こんな酷い傷じゃ無理もない。起こすのはやめよう。
今のうちに朝食でも…… っていうか、今更だけど、どこだ、ここ?

室内を見回す。
ベッド以外に何かあるだろうか。
寝具の隙間やベッドの下に何かないか。
窓はあるか。外の風景は見えるか。

併せて自分の荷物を確認。持ち物はあるだろうか。
スマートフォンはあるか。あれば、電波は通じているか。
KP
※確認。あなたは普段荷物をどう持ち歩いている?
スマホはポケットに入れっぱなしにする派? 
ちなみに佐倉はスマホ一つをポケット、あとはウエストポーチに入れてます。
上着のポケットには何も入れてない。
牧志 浩太
スマホと日記帳とペンはジャケットのポケットに入れっぱなしにしてる派。
ハンカチとティッシュ、家の鍵はズボンのポケット。
あとの持ち物(ファーストエイドキットや懐中電灯、工具)はベルトポーチに入っています。
KP
ここは山中のログハウスのようだ。
少し古びており、所々にほこりが積もっているが住むのに問題はない。

あなた方の家のリビング程度の広さの部屋に
テーブルと二脚の椅子、小さな台所に冷蔵庫、
今は佐倉が一人で寝ている大きめのベッドが一台。
二人がけのソファが一台。
それから部屋の隅に小さな戸棚がある。

あなた方は今は何も身につけていない。

この部屋には扉が三つある。
ひとつは玄関。あと二つ部屋があるのだろうか。
牧志 浩太
「何だ、ここ……」
まずは外には出ずに、玄関が開くかどうかと外の様子を確認。

それから、残りの扉を開けてみて向こうにどんな部屋があるか確認します。
KP
ズボンのポケットに鍵は入っているが、ハンカチとティッシュは入っていない。
あなたは今ジャケットは着ていないし、ベルトポーチもない。
しかしそれらは棚に入っているのが見えた。
どうやら佐倉の黒いパーカーもそこに置いてあるようだ。

佐倉はシャツ一枚で眠っている。
そういえば、治療のために脱がせた気がする。


一つの扉には鍵がかかっていた。


一つの扉の向こうは小さなユニットバスとトイレ、洗面所があった。
洗面台に、びしょ濡れになってくしゃくしゃのあなたのハンカチが落ちている。


玄関に手をかけようと近づいたとき、不意に背筋に冷たいものが走った。

近づいてはならない。

KP
何故かそんな気がした。
牧志 浩太
「……っ、」
反射的に玄関から飛び退いてしまう。何だ、これ。
何かが外に出さないようにしてる?
無理に出たらどうなるのか気にはなったが、試さない方がよさそうだ。

薄ら寒いものを感じながら、ひとまず冷蔵庫と台所を確認する。
トイレはあるらしいし、食料があるか確認したい。

……あの館よりはずっと狭いけど、何となく以前に閉じ込められた館を思い出した。
あの時閉じ込められたのは、佐倉さんだけだったけど。
PLへのお知らせ
牧志 浩太
普通の探索してるけど推定死体…… ってにこにこしてますね
KP
このシナリオの情報、基本雰囲気と思って下さっていいです。
牧志 浩太
ふむふむ。ありがとうございます。
KP
細かいの積むの好きだから色々出すかもしれないけど、むつかしい謎解きなんかはありません。
牧志 浩太
なるほどなるほど、宣言助かります。では雰囲気を味わって描写していこう。

KP
台所には、コンパクトながらきちんと調理用具が揃っていた。小さいがレンジやトースターも置いてある。
コンロは二口。そこそこのサイズのシンクに洗い桶。なんと生ごみ処理機まで置いてある。
更に蓋のついたゴミ箱があった。中は空っぽだ。
食器も大体の物が二人分揃っている。
KP
冷蔵庫を開けると、中身はそこそこ混雑していた。
ソーセージやベーコンといった加工肉、ニンジンやピーマンといった野菜、卵にバター、未開封の牛乳なども。生肉や生魚も少しなら。味噌、だしなども。冷凍庫には冷凍食品もいくつか。
ストッカーにはインスタント食品や米も入っていた。
二人くらいなら数日は過ごせそうだ。

※一般的な道具や食材なら大体のものは出てきます。珍しいものも運が良ければ出てくるでしょう。
牧志 浩太
「え、すごいな」
その揃いぶりに思わず声を上げてしまう。
ぎっしり詰まった中身は、しばらく暮らすのには差し支えないほどの頼もしさと生活感を漂わせていた。
それらを見て朝食のメニューがいくつも浮かび、こんな所にいるのに案外俺元気だな、と苦笑。
牧志 浩太
そういえば、シローは大丈夫かな。食材を見て思い出した。
俺達に何かあったら頼む、って先輩に頼んでおいたから(頼っちゃって悪いけど、他に方法が浮かばなかった)大丈夫だとは思うけど……。

※おちおち行方不明になれない問題は人に頼ることにしました……。
牧志 浩太
そういえば電話通じるかな。
スマートフォンなどがあるか、小さな棚を調べてみる。
KP
棚には畳まれたあなたのジャケットを一番上に、佐倉のパーカー、二人のポーチがある。

あなたのジャケットは少し汚れていた。
ポケットにはいつも通り日記帳とペンが入っている。スマートフォンにふれると指先にざらりという感触があった。ガラスが割れている。覚えがない。新しいヒビのようだ。
電源は入っているが、アンテナは立っていない。
牧志 浩太
「通じないか……」
電話が通じればシローのこととか、確認したいことが色々あったんだけど。
KP
ジャケット以外の荷物に触れる気は起きなかった。
なぜか気が進まない。後にしても良いじゃないか、という気がした。
それは玄関を見たときの忌避感に似ていた。
誰かにそう強いられているというよりは、あなた自身がそうすべきだと思っているような。
牧志 浩太
「……?」
何だ、これ。
さっきから違和感がある。思考が、憶えのないことを思っている。

そう思わされているのか。
それとも。
俺は何か、忘れてしまっているのか?
KP
他にはしっかりした救急箱や爪切りなどの雑貨が置いてあった。

※ここにも基本的な雑貨はあります。
牧志 浩太
スマートフォンを手にとり、充電ケーブルとコンセントがあれば繋いでおく。
KP
充電ケーブルは万能アダプタと一緒にきれいに纏めて置いてあった。
充電も問題なくできるだろう。
牧志 浩太
スマートフォンの中身を確認し、メッセージアプリの履歴を見て情報を探す。
それから日記帳を確認する。
KP
スマートフォンのカレンダーには旅行の予定が書かれている。
昨日の日付から三日後までの四日間。
……そういえば、シローの視覚に問題がないと確信を持てた頃、みんなでどこかに遊びに行こうと話した気がする。

……。

メッセージや日記などにはきっと詳しいやりとりが載っていて詳細が分かるのだろうが、何故か今見る気にはならない。

あなたの中で「そんなのは後回しでいい。シローのことも大丈夫、何も心配するようなことはない」と訴えかける声がある。
暖かな陽の光。のんびりしたロッジ。鳥の声が聞こえ、のどかな時が流れている。
今はこれを楽しむべきじゃないか。
心配事は置いて出かけてきたはずだ。
牧志 浩太
「……」
何だか変だ。旅行に来た、それだけなのか?
本当に、これを楽しめばいいのか?
それなら、どうして佐倉さんはこんな怪我をしてるんだ。
どうして、怪我のことも無視して「楽しめばいい」なんて思いそうになる?

……そうだ、怪我だ。
もし本当に旅行に来ただけだとしても、佐倉さんの怪我は心配事のはずだ。

それなら、この思考は違和感を覚えるべきもののはずだ。
俺は、何を後回しにしようとしてるんだ。
牧志 浩太
「……」
ペンを取り、白紙と分かっている日記帳のページの最後に、今感じている違和感を全部書き出す。

自分自身の思考に抗うのは重い。うっかり忘れてしまうかもしれない。

棚を改めて確認する。佐倉さんのCOMP、あるだろうか。

棚に他に気になる物がなければ、一度、佐倉さんの怪我の状態を確認しに行く。
もう目を覚ましているだろうか。熱を出したりしていないか。
佐倉さんの目で俺に違和感がないか見てほしい、とも思っていた。
KP
棚にCOMPはない。
そういえば、佐倉が身につけていたような気もする。
KP
佐倉はまだ眠っている。
最近寝不足だったのだろうか。

左腕にCOMPがはまっていた。
傷一つ無く輝いている。早速あの願い事が功を奏したらしい・・・・・・・・・・・・・・・・

触れると、腕の包帯がずれて傷が見える。
きつく巻かれているように見えたのに、あまり上手に巻かれていない。
これを巻いたとき、余程動転していたに違いない。
きちんと巻き直さなければばならないだろう。
頭の方はきれいに巻けているし、今のところそんなに血は滲んでいない。あまり動かさない方がいいかもしれない。

熱はない。むしろ体温は心なしか低めに感じる。
だから佐倉はベッドから出たがらないのかも知れない。
牧志 浩太
「まだ寝てる……。寝不足だった所にこれだもんな、無理もないか」

起こすのはやめておこう。

熱がないのに安堵しつつ、包帯がずれているのに気づく。
よっぽど動転してたんだろうと思うけど、それにしては覚えてないのも気になるな……。

とりあえず包帯を換えるか。
洗面所から綺麗な水を汲み、救急箱を側に引き寄せてきて、消毒液と包帯の準備をして佐倉さんの包帯を換える。
併せて、傷の様子を確認する。

おっと、水は出るだろうか。確認してなかった。
ついでにハンカチの状態を確認する。汚れていなければ風呂の上にでも干してくる。
KP
包帯を外そう、と手を触れようとしたその時、また強い忌避感があなたを襲った。

あなたは何かを忘れている。
何か大事なことを忘れている。

包帯を外す前にまずは水が必要だ。
確認はそれからの方が良い。
傷を清めるのに水は必要なのだから。
KP
洗面所も台所も水は問題なく出た。
洗面所には桶がひとつ置いてあり、濯げば使えそうだ。
ハンカチは……
なんだか茶色っぽく変色している。何か汚れを拭くのに使ったのだろうか。
KP
水を汲んだ桶をテーブルに置こうとすると、そこには白い花をいけた花瓶とメモが置いてあった。

メモにはあなた自身の震える字で何行か書かれていた。

そのうちの一行が目に飛び込んできた。


『佐倉さんが死んでいることを
 誰にもばれてはいけない』



KP
微かな砂嵐のような雑音が鳴り続けているのに、そのとき、気づいた。
本編見る!
牧志 浩太
「えっ……、」

その文章に目が釘付けになった。
持っていた桶を取り落としてしまう。激しい音が響いて水の飛沫が足を濡らした。

死、んで、いる?
死んでいる?
死んで、いる?

死んで……いる?

何を言ってるんだ。
死んでる訳がない。
だって佐倉さんは、ここに、寝て、

……震える手でメモの記述を確認する。
KP
メモには、あなた自身の字でこう書いてある。
■約束
・玄関を開けてはいけない
・佐倉さんが死んでいることを 誰にもばれてはいけない
・寝食を共にすること
・たまに風呂にいれ包帯を取り換えること
・名前を呼び話しかけること
KP
あなたは、誰かからこの話を聞いて、訳も分からないままに必死で書き留めた……そんな記憶だけが残っている。
これは絶対に違えてはいけない約束だ。

違えたら……どうなる?


〈聞き耳〉または【アイデア】
KP
大事な情報は【メモ】の内容だけです。後は全部背景です。
ちなみにこの約束、シナリオに記載されている物とは少し違います。
のちのイベントでちょっと思うところがあったので書き換えました。
牧志 浩太
1d100 97〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→41→成功
KP
あなたはふと、ここに書いていない事があるのを思いだした。
その男は言っていた。
「アイツにバレるな」と。
牧志 浩太
「!」
咄嗟に佐倉さんの身体を隠すように抱きかかえて、布団を少し上に引き上げた。
自分で驚くほど心臓が速く鳴っていた。

男って誰だ。あいつって誰だ。何も分からない。分からないのに心臓が跳ねる。
佐倉さんが死んでる、死んでいるだって?

バレたら、違えたら、どうなるんだ。
分からない。分からないのに、絶対に違えてはいけないって確信だけがある。
牧志 浩太
「佐倉、さん」
死んでいる、なんて、そんな。
そんな、はずが。

名を呼ぶ声が震えていた。

何かの暗号じゃないのか。
そう信じたくてメモを裏返す。
せめて裏に、何かもう少し書かれてないか。

暗号なんて使うほど冷静な字には見えなかった。
牧志 浩太
「佐倉さん、起きてる……、よな? 寝てる?」

恐る恐る、佐倉さんの肩に触れる。
シナリオ
KP
例えばこういう(表)時、当然佐倉は動かないし返事もしません。
シナリオの方で「彼は寝穢いぎたなく寝ぼけているのか返事をしない」というような勝手な解釈をしてくれたことになるんですが、そう思い込もうとしている(または演技している)のは牧志なんで、そこまでKPがやるのは違うかな? それともヒント的にそういう『思い込み描写』をした方がいいですか?
今は最初だから、牧志くんにルールを飲み込んでもらうまで単純に「動かない」だけでもいいかなと思いますが。
牧志 浩太
あ、そこの思い込み描写は欲しいです。
何らかの状態変化によりPCが思い込んでしまう、のはこちらからは分からないので、「そういう思い込みがある」ことをキャッチしたい。
そこの思い込みはあった方が絶対味わい深い
KP
思い込みというか、結局全部「牧志が思い込まなきゃならない」ので微妙かなと思った。
でもやった方がいいかな。
牧志 浩太
そこは欲しいです。いただけたらこちらでお料理する。
実際の状態と思い込みの乖離がミソだと思うので。
KP
はーい。
でも今回はなしにしとこうかな?
牧志くんに飲み込んでもらってからにしよう。
牧志 浩太
はーい!
KP
あとぶっちゃけメモの裏にあるはずだった情報が諸事情で〈聞き耳〉情報に移行しました。
牧志 浩太
あるある。
「PCの状態・心情をシナリオがコントロールする」までは超アリというか楽しいとこだと思っていて、でも「行動・文章までフルオートで自分が行動・RPする隙がない」とこの二人である意味がないじゃんね、って案配です
シナリオに「依頼人の依頼を受けます、なぜならあなたは超金に困っている」って書いてあれば「実はこんな理由で金に困っていて」って言いながら楽しくシナリオに乗っかるけど、依頼受けてゴブリン倒すシーンまで全部流されたらあ~~待って~~ってなるみたいな
KP
決め台詞くらいは言わせてあげるよって言われると「それはそれで嬉しいけど違うそうじゃない」ってなる。
牧志 浩太
そうそれ。違うそうじゃない!!
でも「勝手に金に困っていることにしないでくれ!!」とか言ったりは別にしないで楽しく乗っかるよ、っていう
KP
まあそのぶん作者さんのやりたいことは分かりやすいシナリオだし、沿ってやるのは大丈夫だと思う!
牧志 浩太
はーい、お手数おかけします!

KP
メモの裏には何も書かれていない。
あなたは、自分の日記帳から一枚破り取って、必死でそれだけを書き付けたのだ。
失わないために。何を?
KP
佐倉は目を開かない。胸は動かず、音もなく。
僅かに低い体温のためか、触れた指先が少しひんやりとしていた。

しかし彼は生きているのだ。今は眠っているだけ。

そうでなくてはならない。
それがルール。
それが約束。

あなたは彼が生きているように振る舞わなくてはならないのだ。
牧志 浩太
そうだ、自分はそうした。
失わないために、何を?

何を?
死んでしまった、死んでしまったのに、何を?

遺されたシローのことが気になる、佐倉さんをこんな所に置いておくわけにはいかない、先輩にも知らせなきゃ、でも、いけない。

いけない。
破ってはいけない。

どうして。
でも、破っては、いけない。
牧志 浩太
「佐倉、さん……、」
触れた指先が痺れるような悲しみを訴えた。でも悲しみに浸ることは許されない。

彼は生きているから。
どうして。
目を覚まさないのに。
牧志 浩太
「佐倉さん……、起きてよ……」

彼の胸にもたれて細々と涙を流した。そこに音がしないかと願うように。

話したくて仕方がなかった。
かわいそう物語
牧志 浩太
自分自身にわけのわからないこと言われて引き裂かれる牧志超たのしー(酷)
KP
酷い目に遭ってるのは佐倉なのに、間違いなく牧志くん可哀想回。
牧志 浩太
死んだのに「生きてるから」って固執するタイプじゃないのに、その理由が分からないままそうするしかない牧志超可哀想。楽しい。
KP
そこはかとなく体温だけはあるから!!!
牧志 浩太
でも心音はしない!
KP
ないね。ふしぎだね。でもいきてるよ。
牧志 浩太
ここで牧志の〈医学〉47%が効きます 「気のせい、生きてる」って思えない
KP
あらあらおやおや。
佐倉を埋葬する準備しとくか……
牧志 浩太
ああーっ埋葬されちゃう!
KP
結構今までの言動とか見るとこのシナリオ合ってそうなんですよね、牧志くん。
牧志 浩太
ほうほう。
KP
佐倉がPCやるより面白いことになると思った。
牧志 浩太
今の時点で既に色々絡んで超楽しい。

KP
佐倉は返事をしない。
きっと体調が悪いのだろう。最近寝不足が続いたことだし。
体調が悪い時は不機嫌になりやすい。だから返事をしないのだ。
牧志 浩太
「ああ……、そうだな。そうだっけ」

呟く。自分でも何をしているのか分からないけど、きっとそうしなければならないのだ。

あいつが誰か分からないけど、きっと監視されてるのかもしれない。二度ストーカーされていい加減慣れ…… 慣れたくないな。

平時を再現しようと軽口が増える時は、強い不安や緊張を感じているとき、だっけ。
KP
腹の虫が鳴いた。誰の?
きっと空腹なのだ。
起こして食事にしなければ。
牧志 浩太
「いいや、朝食作るか」
意識的に声に出し、台所へ向かう。
一瞬一人分の食材を手に取りかけて……、首を振る。

生きてる、のなら。
生きてるのなら、二人分、だよな。
きっと、そのはず。
牧志 浩太
「起きてくるかな。起きなかったら俺の昼飯にしよう」

手早く炒め物を作る。皿を二つ手にとって料理を盛りトレイに乗せて、テーブルに置く。

俺の分は麦茶と、佐倉さんの分、コーヒーがあれば用意する。
牧志 浩太
何だかちょっと、死を受け入れるまでの古い儀式のようにも思えた。

……受け入れられるのかな、俺は。
きっと何か、することがあるからまだ気が紛れている。

解ってしまったら、きっと。
諦められないような気もした。
覚えとくって、言ったのにな。

あいつの顔が頭に浮かんだ。
口元を歪めた顔。追い詰められた泣きそうな顔。

見ていないはずの、落ちていく、最期の顔。
彼は、今の自分と同じように追い詰められ、けっして越えてはいけないラインを越えたある人のことを思い出している。
日常
牧志 浩太
珍しいものでなければあるっていうから、麦茶とコーヒーくらいあるかなって。
KP
あるある。
お酒とかも多分ある。
昆虫食とか満漢全席とか漫画肉ある? って訊かれたら、困る感じ。
牧志 浩太
「ここでへちまと八重山そばを炒め、コーレーグースと雪塩とピパーチかけていただきます!」
とか言い出したら無さそう。
KP
それが日常ならば……!
……どうだろう。
牧志 浩太
言ったらやりたくなってきた(送料を前に悩む)
どうしてもっていうならそういう趣味の人がここの品物揃えたことになるんじゃないかな。

KP
すっかり食事の準備ができたのに佐倉は起きてこない。
いくら機嫌が悪いからといって怠惰が過ぎる。
こうなったらもう無理矢理椅子に座らせるしかない。
牧志 浩太
「佐倉さーん、できたよー」

ベッドに向かって声をかける。いつもの声で。いつもの声になっているだろうか? 震えてないだろうか?
自分の声だけが響くのが胸を裂くほどに痛く、大した怪我もしていないのに軽く呻いた。
牧志 浩太
「佐倉さん、ちょっとは食べないと身体に悪いよ。コーヒー要る?」

横たわる佐倉さんの身体を見つめ、一度息を呑んだ。
意を決して脇に手を入れ、怪我人にするようにして抱きかかえ、椅子に連れていく。

……何だろう、どこか冷たく温い温度を感じるような気がする。
気のせいだろうか。それとも、俺が認めたくないだけなのかな。

これでいいのかな、従っていていいのか? 分からない。もっと何かするべきなんじゃないのか?

でも、何を。
これ以上何ができる?

違えてはいけない。
その確信が深く落ちていた。
牧志 浩太
自分の感情に自覚的だから、どれだけ痛くて悲しくて受け入れがたいかはっきり分かるのにいつもの声を出せてしまえる、そんなはた見と内心のギャップが楽しい
ご飯は牧志の昼食になるけど、このコーヒーどうするんだろうね~っていう
事情不明だから牧志に迷いがあるのも楽しい 感情ががっちゃがちゃでこれは確かに置き向け
KP
椅子に座らされると、佐倉は『いただきます』というように、かくん、と頭を下げた。
食べる気はあるらしい。
牧志 浩太
……食べる気はあるのかな、なんて一瞬思ってしまったあたり、この奇妙な状況にも少しずつ慣れつつあるのかもしれない。
牧志 浩太
「頂きます」
手を合わせ、炒め物に口をつける。
ああ、ちょっと塩辛いな、塩入れすぎたかな。
KP
少し食べて前を見ると、佐倉はまだ口をつけていない。
これはあれか。
口まで運べということだろうか。どれだけへそを曲げているのだ。
牧志 浩太
……いや、やっぱり動転してるかもしれないし弱ってるかもしれない。
一瞬、「食べさせないと」なんて発想が浮かんだことに驚いた。

生きてるなら何か食べさせないと、いや、そうなのか?

寝食を共にしろって、食べる所までやれってことなのか?
……腐って臭いそうだ。

いや、待てよ。
まさか心音が分からないだけで本当に生きてるなんてことは、ありうるかもしれないけど、いや、でもこの調子じゃ生きてても食べ物、食べられないよな? 誤嚥とかするよな?
牧志 浩太
「ううん」

死んでるなら誤嚥もしないだろう、俺が後でしんどいだけ! 生きて誤嚥したらその時考える!

決意して佐倉さんの分の箸を取る。炒め物をすくって口元に運ぶ。
KP
佐倉は目を閉じたまま、口をつぐんでいる。
口を開けてくれなくては食べさせることもできないというのに。
どうする?
KP
自分が食べちゃう! っていうなら、詳しい描写の前に宣言だけくださいね。
牧志 浩太
最初からそのつもりだったので迷いはない。
口を開けさせ、料理を含ませる。顎を上下から押さえて噛む動きを再現させる。
牧志 浩太
食べさせます!
KP
無理矢理開けた佐倉の口に食べ物を入れる。
彼は無体な扱いにも文句を言うこともなくおとなしくされるがままになっていた。
二度、三度、口腔内の食べ物の抵抗を感じる。
四度目になって、かち、かち、と歯がぶつかる音がした。

口の中から食べ物が綺麗さっぱり消え去っている。
牧志 浩太
「へっ?」
予想だにしない出来事に目を円くする。痛みも悲しみも一瞬吹き飛んだ。

えっ、え、え?
まさか、まさか本当に生きてるのか?
心音が聞こえない、実は閉じ込められてたりするだけで、生きてる?

驚いて佐倉さんの胸や口周りをぺたぺたと触れる。
食べ物がないことを、見間違いでないことを確かめようと口の中に指を突っ込む。
口の中は乾いているだろうか、濡れているだろうか。
どういうこと?
牧志 浩太
これ実際どういう状態なのか(佐倉さんも牧志も)めっちゃくちゃ気になるな~楽しい
KP
しんでなんかないよ。
牧志 浩太
ないない。
ここで「心音しないし動かないけど何かに閉じ込められてたりするだけで生きてたりする?」とか考えられちゃう牧志の怪異慣れ具合
KP
そうなんだよなぁ。
牧志 浩太
これも含めて全部牧志の思い込みかもしれないけどどうなんだろうなー
KP
シナリオにはPCさん生きてることに疑いを持っていないような描写されてるから大変スリリング。

KP
人の口に突然指を突っ込むなんていう強引にも程がある行動にも佐倉は怒らない。
機嫌が少し直ったのだろうか。

口の中は、僅かに湿っている。
牧志 浩太
……濡れてる。コーヒー、まだ飲ませてなかったよな。

まさか、まさか。
本当に、本当に生きて。

生きてる?
帰ってくる? いつまでか分からないけど、このよく分からない場所で守り続ければきっと、きっと?

初めて、今やっていることに希望が見えた。見間違い、俺の勘違い、いや何かに遊ばれているだけなのかもしれない、それでも。

そうじゃないかもしれない可能性と、考えるに値する違和感が、そこに。
牧志 浩太
「佐倉さぁん」
堪らず、その胸に縋って泣いてしまった。
あやうい
牧志 浩太
ここでだいぶん「生きてるかも」に傾いてきた牧志
KP
バレちゃ駄目なんだぜ!
牧志 浩太
ひえぇ! 内心まで見んといてぇ!
体調悪そうだから確認くらいしますしちゃんと食べてくれたから嬉しくて泣くくらいしますって

KP
胸はコトリとも鳴らない。
縋ったとき、あなたを元気づけるように佐倉の手があなたの腕に軽く触れた。

さあ、早く食べなければ折角の食事が冷めてしまう。
牧志 浩太
はっと、誰かが見ているかもしれないことを思い出す。そうだ、バレちゃいけないんだ。
牧志 浩太
「怪我してるのに、食べてくれなかったらどうしようかって」
涙をすすりながら付け足す。
ちょっとわざとらしかったかな……、いや、大丈夫だって信じよう。
牧志 浩太
「……よし」
改めて残りの料理に箸をつける。
少しずつ食べながら、佐倉さんの口にも食べ物を噛ませていく。
牧志 浩太
「佐倉さん、まだ食べられそう?」
自然と聞いていた。
KP
〈目星〉どうぞ。
【アイデア】でもいいや。
牧志 浩太
1d100 98〈目星〉 Sasa BOT 1d100→78→成功
KP
ふと、あなたは気付くだろう。
まだ飲ませていなかったはずのコーヒーが減っている。
あなたが自分の食事をしようと目を離している間に、
少しずつ皿から食べ物が減っている。
佐倉は返事をしないが、食欲が出てきたのだろう。
これは異変?
KP
SANチェック》? いや、人がご飯食べたの見たくらいで減るわけないでしょ?
牧志 浩太
何が何やってるんだろうなぁ
・実は横で透明な佐倉さんor動いてるけど牧志には見えない佐倉さんが食べてる
・何かが佐倉さんでおままごと遊びしている
・実は牧志にそう見えてるだけ
・その他
KP
うふふ

牧志 浩太
「……あれ?」
思わず不思議に思って声に出してしまい、言い繕う。
牧志 浩太
「自分で食べられるようになったんだ。よかった」
いつもの表情まで作り、そう口に出す。

動かない佐倉さんの傍らの食べ物が減っていっている姿は、実は俺が見てない間に動いてるんじゃ? という楽しい想像を過らせたし、
何かが人形遊びをしているような薄ら寒さも感じさせた。

……そういえば、ミルクを飲む人形ってあったな。構造が気になって分解して、結局どうなってたんだっけ。
KP
あなたが食べ終わる頃には、佐倉の前の皿は空になっていた。
珈琲まで空になっている。

満足したのだろうか。
佐倉は椅子に寄りかかっている。
リラックスするならソファの方が良さそうだが……

ところで食後の皿を片付ける気はないようだ。
最近は言われずとも手伝う癖がついていたというのに。
牧志 浩太
「佐倉さん、そんな所で寝ると背中痛くなるよ」
自然に声が出ていた。生きているかもしれない、と思えただけで随分と現金だな、と自分に自分で思う。

佐倉さんの身体を抱き上げて、ソファへ運ぶ。
人形を持ち上げるような手つきから、自然と人を運ぶ手つきに変わっていた。
KP
そういえば、テーブルの真ん中には花瓶がある。
食後の皿を整理していると、その花の物らしいタグが落ちているのに気付いた。
「スノードロップ」とある。花の名前らしい。
牧志 浩太
「あれ?」
そういえば室内、結局全部回ってないな。タグを拾いながら、何気なく裏面を見る。
こういう物の裏には花の説明とか書いてあったりするけど、何かあるだろうか。
KP
バーコードや価格が書いてあるくらいだろうか。

【知識】で判定どうぞ。
牧志 浩太
1d100 75 【知識】 Sasa BOT 1d100→17→成功
KP
あなたはふと、この花の花言葉を思い出した。

「希望」
または
「あなたの死を望みます」

牧志 浩太
「……」二番目の意味は思い出したくなかった。

皿を片付け、他にテーブルや椅子に何かないか見る。
なければ、ついでなので花瓶の水を換える。
KP
皿の汚れは綺麗に落ちた。
そういえば、佐倉が食べた皿はあなたが食べた皿より幾分綺麗だ。
隅の隅までこそげ取ったように。

テーブルや椅子に気になるものはない。
花瓶の水を入れ替えられて、花が喜んでいるような気がした。
牧志 浩太
そうだ、佐倉さんの包帯も替えないと。それとも風呂に入ってからの方がいいのかな。
まだ朝だけど、朝風呂も悪くない。
牧志 浩太
生きているかもしれないと思っただけで、随分と思考に余裕が出ている。不思議だ。
KP
そういえば、なんだかんだと調べたり佐倉を運んだり食べさせたりと悪戦苦闘している間に昼になってしまったようだ……。
KP
「……でした~。そうですよね…………ります……」

人の、声だ。
ふと、ずっとかすかに聞こえ続けていた雑音が、耳鳴りなどではなく、台所に置いてあったラジオの音だったのだと気付くだろう。
この部屋は相当電波の入りが悪いらしい。
牧志 浩太
「ああ、ラジオだったのか」
そういえば雑音を気にする余裕もなかったのだ。

何かあるかもしれない、一通り部屋を見て回ってから風呂にするか。

ラジオを持ってきて、リビングなど別の部屋、窓があれば窓辺に移動してみるが、電波の入りはよくなるだろうか。
KP
この場所自体にどうやらあまり電波が来ていないらしい。
窓際で辛うじて聞こえるかといったところだ。
牧志 浩太
ラジオに耳を澄ませてみる。外部の情報だ、現在地などが分かるかもしれない。
KP
「……え~ラジオネーム、クイックルワ……パーさん。……近同棲中の彼氏が全く動きませ……家事も全部私です。どう……たらいいでしょうか? ……」

ざらついた音声とノイズの隙間、ああでもない、こうでもないと談義が続き知らない人の笑い声が部屋に響く。

佐倉は全く知らん顔でソファに寄りかかるように座っている。
牧志 浩太
「……」
知らない人の楽しげな笑い声に、ふと、ああ寂しかったんだなと自覚する。

ここには俺と、喋らない佐倉さんしかいない。

名残惜しくなってラジオをつけたままにする。他の局を探してみるが、他に入る局はあるだろうか。
なければ、元のチャンネルのままラジオを流しておく。
KP
まともに言葉が聞こえる程度のラジオはこの局しかないようだ。
暖かい日差しが差し込む部屋でラジオを聴いていると、
なんとなくなんてことのない日常の延長であるような気がしてくる。

「……挨拶すらないんですよ、同じ部屋にいるんだから話したいですよねー。
もう実家に帰っちゃうぞ! なーんて』
ええ、分かりますー……やっぱり会話って大事ですよねー。
話しかけて欲しい! って思いますよね。
そう……時はやっぱり……分から意識的に話題を……」

穏やかな声だけが部屋に響いていた。
ゆったりと時が流れてゆく。
牧志 浩太
暫くぼんやりと、ソファに腰掛けてラジオを聴いていた。
暖かい陽射しの射し込む穏やかな時間が、思考力とか痛みとか、色々なものを身体から奪っていく。
牧志 浩太
「……」
どうやらしばらく眠っていたんだろうか。
牧志 浩太
ふと尿意を覚えて立ち上がり、トイレへ向か…… おうとして、誤ってもう一つの扉に手をかける。

変わらず鍵がかかっているようだろうか。
鍵がかかっているようなら、過ちに気づいて改めてトイレへ。
KP
扉には相変わらず鍵がかけられている。
KP
トイレは大体綺麗に清掃されていた。
前に人が使っていた形跡はあるが、きちんと片付けられている。
トイレットペーパーのストックもあるし、問題なさそうだ。

トイレから出ると、ソファにもたれかかっている佐倉が目に入った。
そういえば、あのメモには何と書いてあっただろう……
牧志 浩太
「佐倉さん」
トイレから出て呼びかける。
牧志 浩太
「そろそろ風呂入る? 入るなら入れるけど」
こうやって少し遠くから見ていると……、なんだか本当に、一緒にいるだけのような気がした。
KP
物思いに耽っているのだろうか。返事はない。
そういえば、たまに夢中でコードを打っている佐倉に声をかけて無視され、
後で「気付かなかった」などと言われることもあるのを思い出すだろう。
牧志 浩太
……あったな、そういうこと。
横顔を見ていると、どうしてかそんな日のことを思い出した。
本当に……、ただ一緒にいるだけみたいだ。
牧志 浩太
風呂に入ったら包帯を換えよう。
脱衣所のそばに救急箱と、それから洗面所に歯磨き粉と歯ブラシ、コップを二人分用意しておく。
KP
風呂に入る? 風呂に入れる?
動く気がない人間を風呂に入れるのは結構な重労働だ。
明日頭の包帯を換えるときにでも入れてやった方がいいかもしれない。
その時には動く気になっているかも……しれないし。
牧志 浩太
……とりあえず、換えるか、腕の包帯。
風呂は「たまに」って書いてあるってことは、毎日じゃなくてもいいんだ……、よな?
KP
自分はお風呂入ります?
牧志 浩太
少し汚れているようだったし、自分は風呂に入ります。自分だけならシャワーを浴びて身体を洗うくらいかな。
KP
擦過傷が少し痛むが、さっき見た救急箱に軟膏ぐらいは入っているだろう。
あなたの痣に痒みはないが、少し赤みを増しているように見えた。
入浴したからだろうか。
ともあれ体の汚れは綺麗に落ちて、随分とさっぱりした。
牧志 浩太
ん、と湯を浴びながら身体を伸ばす。気持ちいい。随分さっぱりした気がする。
やっぱり明日には佐倉さんも風呂に入れないとな、なんて思いが自然に浮かぶ。

食事して、歯磨きしてもらって、寝て。風呂に入れて。それが意味のないことだと思わないだけで、随分と気楽になった。

佐倉さんは、生きてる。
死んでなんか、いない。
KP
……前にもここで似たような事をした気がする。
牧志 浩太
……前にも、ここに来たことがある?
やっぱり俺はまだ色々忘れてるみたいだ……。
荷物を見たくない、なんて思うことにも、それがきっと関係してる。
どうするか考えなきゃいけないな、あれ。
KP
風呂から上がると、ラジオは音楽番組になっていたらしく、
雑音の中に紛れてアコースティックギターのメロディが聞こえる。
牧志 浩太
メロディの優しさをようやく聞き取ることができて、ああ、本当にただ旅行に来てるみたいだな……、なんて思う。
辺りに満ちる雰囲気が穏やかすぎて、訳が分からない。

俺は何を忘れていて、何をするべきで、何をしないべきなんだろう。
KP
佐倉はうとうとしているようだ。
まだ歯は……磨いていない。
牧志 浩太
あ、佐倉さん寝そうだ。
牧志 浩太
「佐倉さん待って、歯を磨かないと」
そういえば死体の歯って、虫歯になるのかな。ふとそんなことを思った。

歯ブラシに歯磨き粉をつけて、二人分のコップと一緒にリビングルームへ持ってくる。
佐倉さんの手元に歯ブラシを差し出してみる。
KP
駄目だこりゃ、眠すぎてどうでも良くなっているらしく手を出す気配がない。
まさかこのまま寝るつもりなのか。
牧志 浩太
「佐倉さん、歯を磨くよ」
声をかけて、佐倉さんの顎に手をかけて上を向かせる。口を開かせて、その中に見える歯をブラシで磨いていく。

そういうことができてしまう自分は、佐倉さんが生きてるけど動かないし目を覚まさないんだってことを、どこかで予測してしまっているようだった。

……少しでも、動いてくれたらいいのにな。
動いてくれたら、そうしたら。

確信が持てるのに。
KP
佐倉はもう寝たふりを決め込むことにしたらしい。
KP
歯を磨くことで反射で涎が出るようなこともない。
水を口に入れると、嚥下している様子もないのにどこかへ消えてゆく。
牧志 浩太
「え、飲んじゃったのか」
仕方ないので歯磨き粉をつけていないブラシですすぎ、もう一杯水を飲ませつつ、自分も歯磨きをする。

そういえば、トイレどうするんだ?
そんなことを思った。
KP
トイレには……行きそうな気配がないが、まあ行きたくなったら行くだろう、多分。

気がつけばもう外が暗くなっていた。
壁にかかっていた時計が九時を指している。
牧志 浩太
一通り終わってふと窓を見遣れば、すっかり暗くなっていた。
普段寝るより早い時間だけど、一緒に寝てしまってもいいか。……明日、色々考えよう。
牧志 浩太
分解したおもちゃの哺乳瓶の周りに白い液体が散っている姿を、いつ、どこのことだったかも分からないというのに、ずっと思い出していた。
おもいで
KP
赤ちゃん扱いw
お兄ちゃんお手伝いしようとしてあつあつミルクあげかけたりしたのかなぁ……(やらかしのお約束)
牧志 浩太
だって動かないのになぜか水は飲むんですもん。
傾けるとミルクを飲んだように見える哺乳瓶のおもちゃのイメージですね。>表

波照間は分解方面の興味はあんまりなかったっぽいのでこれはたぶん牧志の記憶。牧志んちは牧志と弟しかいなかったので、普通に買ってもらったのではなく「どうなってるのか気になる!!!」って訴えて買ってもらってすぐ分解したな。ひどいやつだ。
というのが分かりにくいから修正して「おもちゃの」ってとこだけ追加しました。
KP
なるほど。
単に赤ちゃん扱いからの妹or弟の世話見てた記憶かと思った。
牧志 浩太
嚥下した様子もないのに消えていく食べ物や水に、どこかで人形遊びのような不自然さや不気味さを感じ取ってる感じです。わかりにくいな!!

牧志 浩太
そういえば着替え、あるのかな?
シャツのままだとちょっと寝づらい。その辺を探してみよう。
KP
着替えか。
雑貨の棚に新品の綿シャツが何着かあった。
今佐倉が着ている物と同じだ。
そういえば、いつも彼が着ているものとは違う。
牧志 浩太
そういえば、佐倉さんが普段着てるやつと違うな。ここの備品とか、なのか?
そもそもここは何なんだろう。旅行で来たログハウスにしては、開かない扉もあるし。

どこかに鍵がないかな。明日探そう。

棚からシャツを取り出す。
まず佐倉さんの分と、それから俺のサイズに合うものはあるだろうか。
なければ、寝巻だし大きくてもまあいいけど。
KP
サイズは全て大きめだ。ぶかぶかになってしまうが、まあ問題はないだろう。
牧志 浩太
まあいいか。
小さいと困るけど、大きい分には困らない。
シャツを一枚ずつ持ってくる。
KP
佐倉はソファから起き上がる気配がない。
牧志 浩太
「佐倉さーん、ソファで寝ると身体冷えるよ。あと着替えようよ」
声をかけて傍らにシャツを放りつつ、着替える。
KP
いつの間にかラジオからはまたかすかな砂嵐のような雑音しか聞こえなくなっていた。
外からは風の音が微かに聞こえてくる。
KP
佐倉は本格的にソファの上で眠り始めてしまったらしい。
シャツを脱ごうとも着ようともしない。
ベッドに寝かせるなら、また無理矢理移動させるしかないだろう。
KP
ホント大変だこのシナリオ……
牧志くん頑張れ。
牧志 浩太
感情えらいことにされつつ頑張る。
牧志 浩太
シャツを脱がせ、新しいシャツを着せる。
シャツを着せながら、佐倉さんに話しかけた。
牧志 浩太
「佐倉さん、何だか前の時みたいだな。
あの徹夜の後、覚えてるよな?

ようやく眠れるからって泥みたいに寝て。二日くらいずっと寝ててさ、俺が帰ってきても起きなくて、二人とも起きたら脱水でからっからになってて。

寝すぎてくらくらする、っての、久しぶりに味わったよ。佐倉さんは頭痛そうだったし」

応えが返ってこなくても、もう寝てるからだ。
この時間なら、そういうことにできた。
KP
佐倉は眠ってしまっている。
触れた体がひんやりしているように思えたのはそのせいだ……
牧志 浩太
そういえばここ、洗濯機はあるんだろうか。
あれば服のポケットなどに入っているもの(あれば)を出してから、服を洗濯槽に放り込む。

なければ後で考えることにして、その辺に吊るしておく。
KP
ここには洗濯機はない。
洗濯板は洗面所の壁際に置いてあった。風呂場にある桶を使って洗うことができるだろう。
この桶と板にはごく最近使った形跡があった。
……いや、使ったような気もする。
牧志 浩太
……今から手で洗濯する気が起きない。
明日にしよう、明日に。
佐倉さんをベッドに運んで寝かせ、自分も布団の中に潜り込む。
KP
佐倉は静かに眠っている。
寝息もいびきも聞こえない。
牧志 浩太
何となく静けさが怖くて、ラジオをつけたまま寝る。誰かの声を、何か人工の音を聞いていたかった。

明かりは消すが、常夜灯などがあればつけたままにしておく。
真っ暗闇にするのが怖かった。
牧志 浩太
佐倉さんと手を繋いで目を閉じる。
KP
その手は冷たく、握り返してくることもない。
おやすみと微笑みかけることもない。

この空間はきっと異常だ。

それでも彼を、この生活を正常に戻すためにはこの異常を受け入れなければならない。

彼とまた、話をするために。
この異常な日常を繰り返すのだ。
牧志 浩太
「おやすみ、佐倉さん」
KP
今日も二人 おはよう、おやすみを口にする
今日も二人 食事をする
今日も二人 一緒に眠りにつく

彼から返事はない
彼は空っぽだ
それでも繰り返さなければならない。
彼が死んでいないことを証明しなければいけない。

あなたは固く目を瞑って、眠りについた。


Call of Cthulhu
「しんでなんかないよ」

ゆめたろう 様 作


きになる
牧志 浩太
一日目が終わった所でタイトルコール! 熱い
KP
よーしすっきりしたところで寝よう!!
牧志 浩太
牧志がこの異常な空間のルールを呑み込む回がここまでだったかぁ。
KP
がんばれ……
牧志 浩太
寝ましょう! 正直続きが気になりすぎて寝るどころではないけど

 >>>> 寝る <<<<
    / Neru \

寝る!  寝るぞ!  寝ます!!  おやすみなさーい!
KP
おやすみなさーい!
大丈夫、日常が続くだけ。
牧志 浩太
がんばれ牧志。
KP
続ける限りはね。
牧志 浩太
「続ける限りは」がどういう意味なのかがドキドキで怖いなぁ。
続けちゃっていいのぉ? これ。どきどき。
KP
多分明日何となく分かるんじゃないかな……
牧志 浩太
ほほう、それは楽しみ……。


コメント By.KP
おはよう、と目覚めて食事をして、ゆっくり話をしよう。
きみは不機嫌なのか応えてはくれないけれど。

題名とトレーラーで大体何が起きるか分かるシナリオです。
異様な日常を死体と一緒に。

TRPGリプレイ【置】CoC『スプーキィ・ポルカ』牧志&佐倉 1

「佐倉さん……! 俺、ここだよ!」

TRPGリプレイ CoC『インモラル・イミテーション』佐倉(子)&牧志 10

「割とこういう事多いんだよな……」
「手掛かりの事がなかったら、それこそ火つけでもなんでもできるんだけどさ」

TRPGリプレイ CoC『AND/HAND』佐倉&牧志 1

「死んだ隙に、か? 大胆過ぎる手口だな」
「死んだとかさらっと言うじゃん」

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

Call of Cthulhu is copyright ©1981, 2015, 2019 by Chaosium Inc. ;all rights reserved. Arranged by Arclight Inc.
Call of Cthulhu is a registered trademark of Chaosium Inc.
PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」


TRPGリプレイ CoC『欠落コディペンデント』モニファ&瀬戸 1

「アカネ、おっぱい丸見えなんだぞ」
「わっ、やだちょっとなに、ヘンタイ! こういう事があるならこっちからって思ってたのに!」

TRPGリプレイ CoC『VOID』継続『空白の航海』結城(終)

(そう、ゼロではない……可能性がないわけではない)

ゆうやけこやけ『たからもの』(終)

こどももTRPG たからもの