TRPGリプレイ【置】CoC『青白い馬』 波照間&東雲 2

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こちらには『青白い馬』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
扉を開け外に出ると真っ暗闇の街に星の光が降り、青白い馬がほとんど涸れて萎れた草をゆっくりと食んでいた。
あなたの目には、東雲がやって来た方向の庭木も街路樹も公園の草木も全て枯れ果て、時折風に乗って灰色の塵が舞っているのがうつるばかりだった。
波照間 紅
「本当に……、死んでいるんだな」
呟く。
何もかもが死んでしまった光景は薄ら寒く、いっそ美しくすら感じた。
KP
東雲は慣れた手つきで馬の首を撫で、胴を軽く叩くとそのままふわりと馬に飛び乗った。
そして「どうぞ」と声をかけ右手をあなたに差し出す。
波照間 紅
彼女の手を取り、馬に乗る。
本当なら恐ろしいのかもしれなかったが、あまりにも圧倒的な死の姿はまるで異界のようで、現実感とともに恐怖をも掻き消していた。
KP
東雲の腕は思いがけず力強く、安定してあなたを引き上げ、前に座らせた。
東雲の腕があなたを包むようにして後ろから回され、馬の手綱を握った。
東雲 圓華
「これなら前がよく見えますよね」
KP
あなたは確かに前の様子がよく見えた。
だがどう考えても騎手である東雲にはあなたで前が塞がっており見えないだろうと思われた。
しかし東雲は気にする様子もなく馬の腹を軽く蹴り、馬はゆっくりと駆けだす。
波照間 紅
「そうだな。
僕は、どちらかというと、君の顔を見ていたかったけど」

向かう先に見るもののことを思うと、晴れやかな気分にはならなかった。
ひやりとした腕は密着する身体の実感も湧かせず、ただ死に抱かれている冷たさがあった。

それよりも彼女の横顔を見ていたかった。
そこにいるのが彼女だと感じていたかった。
波照間 紅
何もかも死んだあとには何が残るのだろう。
草木も生き物も残らないとすれば、そこに残るのは灰色の砂漠のようなものかもしれないと思った。
KP
少し、あなたの背に当たる冷気が強くなったように思える。
東雲が更に身を寄せたようだった。
彼女が短く息を吐いて膝をしめ、手綱を繰ると、馬は次第に早駆けへ、そして襲歩へと足を速める。

青白い風のように馬は沈黙した街を走る。

時折、息のある人々の声や気配が感じられた。
僅かな食料を奪い合っている人々の罵る弱々しい声が聞こえた。
だがそれらも、あなたの横を流れると何もかも黙り込み死に沈んでゆく。
見知った街が、あなたの目の前ですみやかに死んで逝く。

東雲は呼吸一つ乱すことなく馬を走らせ続けた。
東雲 圓華
「一緒に来てくれて良かった」
KP
あなたの後ろでぽつりと東雲が呟いた。
波照間 紅
小さな呟きに、僕もそうだと返せなかった。
目の前で人々が、世界が死んでいく。
自分達だけが、最後に来る死として存在している。

青白い馬が駆けたあとには何が残るのだろう。
復活の神の国が来るとは、到底思えなかった。
逃げろと言った先輩の悪魔使いたちも、その後については語らなかった。
波照間 紅
「東雲さん」
波照間 紅
「この星の全てを巡り終わったら、君はどこへ行くんだろう」

半分独り言のような問いかけだった。
彼女と話していたいだけかもしれなかった。
KP
馬の蹄が静寂の中に響き渡る。
東雲はあなたに寄り添うようにして囁いた。
東雲 圓華
「分からない。
世界が滅びたら私の役目は終わり。
その時は私も終わるのかも」
KP
東雲は言葉を止め、あなたの背に頬を寄せたようだった。
東雲 圓華
「あなたはその時まで一緒にいてくれる?」
波照間 紅
「もし、一緒にいられるのなら」
彼女の手に、そっと手を重ねる。

死は何もかもを静かに黙らせて、打つ手などないように見えた。
もし本当にこのまま死んでいくしかないのなら、ひとりで死ぬより彼女といたかった。

牧志は孤独が一番苦手だとこぼしていたが、
僕だって、孤独が得意なわけじゃない。
東雲 圓華
「うん……ありがとう、嬉しい……」
KP
東雲は少しの間、本当に黙り込んだ。
東雲 圓華
「私は四人目。でも、あなたは違うから」
やっと呟いたその声がほんの少し震えていたように思えたのは、錯覚だろうか。
波照間 紅
彼女の細い手を、思わず少し強く握りしめた。ここにいる、と示すように。
彼女にも、世界にも、何もできないのが痛かった。
KP
東雲の青白い馬は、あなたの思いをよそに、ほんの少しの荷物をぶら下げたまま走り続ける。
鞍にくくりつけられた小さな袋があなたの膝に時おり当たった。

静寂を破る蹄の音が、前方からも聞こえてきていた。
前方に二頭の馬の尻と、それにまたがる騎手の背が見える。
東雲の馬はその二頭を追っているようだった。
波照間 紅
何だろう、と首を回してその袋を見遣る。その袋には何が入っているようだろうか。
それについて彼女に聞く。
KP
所々穴が空いてボロボロの布袋だった。
東雲 圓華
「気になる?
開けても大丈夫よ」
KP
あなたの様子に、東雲は言う。
後ろからあなたを抱くような腕の下、何が固い棒状のものが、馬の背の動きにつられて微かにこすれるような音を立てていた。

袋の中身については彼女の役目とは関係ないのか、それとも単に知らないのか。説明するような様子はない。
馬の速度は全く落ちないが不思議なほどに安定しているので、袋に手を伸ばして外すことはできるだろう。
また、振り向けば彼女の姿を見ることもできるだろう。
波照間 紅
先程から手持無沙汰でならなかったのだ。
何かの手掛かりになるかもしれない、とまだ思う気持ちもまだ、あった。
それを外し、中身を確認する。
KP
布袋の中には小さなラジオと小さな手帳、それから旅行者や学生が使うような伊日訳ができるポケット辞書が入っていた。
ラジオを取り出すときにスイッチに手が触れたか、音が流れる。まだいくつかのチャンネルは生きているようだ。
波照間 紅
ラジオを流しながら、手帳の中身を確認する。

生きている、生きていた人間の気配に触れるのはひどく心を痛ませた。きっとこれから、通り過ぎる毎に彼らも死んでいく。

実感のないような静かな死に、ただ彼女と浸っていたいような気もした。その方がきっと、安らかだ。

けれど何かできることを探したくなってしまったのは、きっと、相棒の死に様を思い浮かべてしまったからだ。
境界
KP
そういや佐倉、「何もかも空に落ちて何もなくなればいいのに」とか言ってたな。
望みが叶っちゃった。
波照間 紅
そういえば。叶っちゃった。
もうそれを望んだ頃の佐倉さんではないんだけど。
ここの二人は最期の瞬間まで抗った痕跡を残したまま、折り重なって倒れていそうだな、と思います。
波照間もきっとそういう姿を思い浮かべてしまった。

東雲さんとふたりっきりでデートだけど、東雲さんがいつもの東雲さんじゃないから、案外思考が色んな所へとっちらかる。
KP
こんなんが初めてのまともなデートでごめんな!!
こんなに体をくっつけたのもあの日以来だきっと。
まとも??
波照間 紅
全くまともではない。
波照間が丁寧語をやめて口調を切り替えたのも、「いつもの東雲さんではない」からですしね。少し別扱いしているんだ。
いいんですよ!! >初デートこんなん
そう異変の時は密着できるのに普段だと距離を縮められない。
それで言うと「今度は異変関係なく普通に遊ぼう」って言ったら異変に巻き込まれた誰かさんもいますし。
KP
そこには境界をひきたいんだなぁ、波照間さん。
波照間 紅
異界には境界を引かないのに、そこには境界を引くんですねぇ。
KP
知識食うアメーバについていこうとするどっかの人との決定的な差かなぁ。
それとも彼女だからかなぁ。
波照間 紅
彼女だからはあるかもしれないし、愛した人だからというのもあるかもしれないし、知識食うアメーバについていこうとするどっかの人との差もある気がしています。
牧志はそこに「佐倉さん」を見いだせてしまえば、相手がどうあれ「佐倉さん」って呼ぶからなあ。

KP
ラジオからは雑音に紛れて歌のようなものが聞こえた。電波が良くないのだろうか。場所が変われば聞こえるようになるだろうか。それまで……生きていれば。
また、他の局なら聞こえるかもしれない。

手帳はシンプルなもので、日本語と英語混じりで様々なメモが取られているようだったが、パッと見で読めるのは最後の殴り書きのみだった。
“外套を見ていたら霧が立ち込めた。
きっかけは些細な事なのだろう。
私が偶然イタリアに旅行していただけだったように、騎士たちが目覚めた理由も大きなきっかけなどないのだろう。私は逃げなければならない。”
波照間 紅
ラジオのチャンネルを動かし、聞こえる局を探しながら、他に何か有用な内容がないか手帳の中を探す。
KP
手帳からはもう今意味のあるような文章は読み取れなかった。
おそらく備忘録的に使っていたのだろう。

ラジオのチューニングを変えると、人の声が聞こえてきた。

日本語でニュース速報が流れている。
この「終末」はイタリアから始まり東欧諸国やウズベキスタン、中国などに広がり、
日本へと到達したようだ。
富裕層は既にアメリカへ避難したらしい。

〈ナビゲート〉または【知識】をどうぞ。
※また今後、好きなタイミングでラジオをチェックすることができます。
波照間 紅
1d100 85 【知識】 ☆ささぼっと☆ 1d100→85→成功
KP
あなたは地球儀を思い浮かべる。
ニュースで言われた国々は、大体北緯43~44度に位置している。
イタリアを起点に同じ緯度を保って東へと進むのであれば、日本の次は北アメリカを通るだろう。
この馬群は海をも渡るというのだろうか。
波照間 紅
それが非現実的だとは思わなかった。
馬が滑るように波を蹴立てて進んでゆく様が、ありありと浮かんだ。
僕はまだどこかで、これが現実だと思えていないのかもしれない。

世界に夜が来る。
二度と明けない夜が。

前を向く。
前を走る馬はどんな色で、跨がる騎手はどんな人物だろうか。

※前方を確認します。
KP
前を走っているのは闇のような漆黒の毛並みを持つ馬、そしてその前を行くのは地獄の業火のごとき真っ赤な毛並みの馬だ。
騎手たちは東雲同様真っ黒な山高帽とマントを纏っており、背後からでは様子はよく見えない。
猛スピードで駆けているというのに、騎手たちの山高帽は微動だにしなかった。
東雲 圓華
「気になる?
言ってくれれば横につけるくらいはできると思うの」
波照間 紅
「ああ、少し。
君を連れて行くのがどんな奴なのか、気になるんだ」
東雲 圓華
「そう」
KP
東雲は馬の腹を蹴った。
青白い馬は首を下げ、更にスピードを上げる。
周囲の景色はもう早すぎてまともに見えず、目が回るようだ。

いつの間にか馬たちは水面を駆けていた。
月明かりを受けた飛沫しぶきが一瞬宝石のように輝き、探索者の頬に当たって弾ける。
無数の冷たさと、無数の輝きの中、紺碧を割るように突き進む漆黒の馬を捉える。
長い尾が水気で少々重たさを孕んで揺れるのを見たとき、次の呼吸の間にはもうあなたは黒の騎手と肩を並べていた。
東雲 圓華
「このまましばらく併走するから」
東雲は歌うように言った。
KP
黒の騎手は女性で、あなた方には全く注意を払う様子もなく馬を走らせ続けていた。
波照間 紅
「ありがとう」
彼女に礼を言い、黒の騎手の顔を覗き込む。
KP
騎手は金髪をなびかせてた、東雲と同じような年代物のコートと山高帽を被っている女性だ。

手綱を握る手はほっそりとして傷もなく、爪には綺麗なジェルネイルが施されていた。
口にはうっすらと綺麗なピンクの紅がひかれているが、山高帽が落とす影が不自然なほどに濃く暗く、顔はよく見えなかった。
だが、微かな香水の香り、耳に光る大振りのイヤリングが、このカビ臭いマントとは全く不釣り合いで、格好と裏腹に東雲同様今の時代に生きている普通の女性であるように見えた。

あなたが無遠慮にのぞき込もうとも彼女は全く反応しない。
KP
〈目星〉
【アイデア】
別情報。
波照間 紅
1d100 76〈目星〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→86→失敗
1d100 85 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→38→成功
KP
あなたは、この騎手は東雲以上に役目にただ忠実であり、その他の出来事について全く意識を向けないのではないか、と思った。
彼女の所持品に触れたり、外したりしても、興味を示さないかも知れない。

しかし、ぱっと見気になるようなものが見当たらない。
彼女は東雲同様古いブラウスとベストを身につけていて、東雲と全く変わらないようなカビ臭い格好をしている。
マントが腰のあたりに引っかかっているので、その内側に何かあるかも知れないが……
その引っかかりを、手を伸ばして外せば何か見えるだろうか。
東雲 圓華
「騎手になってしまったら、頭に渦巻くのは深い霧ばかりになってしまうの」
KP
東雲は隣の騎手をのぞくあなたの背に、軽く額を当てた。
東雲 圓華
「私もいつ同じようになるか分からない」
波照間 紅
そうか、……そうか。

いつまで彼女が彼女でいてくれるのか、僕はいつまで彼女と一緒にいられるのか。

分からないのか。

不意に彼女との時間を逃してはならないような気がして、背後を振り返る。
波照間 紅
「そう……、か。すまない、僕は」
波照間 紅
「君といるのに、余所見ばかりしていて」

彼女の肩に手を伸ばす。
不自由な姿勢ながら、片手で彼女の肩を抱こうと。
波照間 紅
※背後を振り返ります。
※東雲さんの腰にある棒状の物を確認します。
KP
不安定な姿勢になるあなたを、
東雲は姿勢を崩すことなく細い腕でしっかりと支えた。
その力は、彼女が人であった頃とは比べものにならないのだろうと見て取れる。

四人目の乗り手となった彼女は、
いまあなたの隣にいる無表情の女性のようにあるのが正しいのだろう。
いつもの彼女とは違う平坦な表情と思われた東雲の貌も、
【正しい】乗り手と比べればまだ随分と人間らしさが残っているように思われた。

そもそも、足を止めたり、この馬に人を乗せたりすること自体が
役目からは外れているのではないだろうか。

あなたが彼女の肩に手をかけると、
東雲はほんのわずか微笑んだ。


彼女が纏うマントが翻り、彼女の腰についているものが見えた。
装飾がされた長い剣だ。
波照間 紅
「圓華さん」
酷い無力感を覚えながら、彼女の腕に身を預けて、じっと目を閉じる。
彼女の細い腕の感触を、肩の感触を暫く、味わった。
それがこの世界に最後にあるもののように思われた。
波照間 紅
「ありがとう、僕を連れていってくれて……」

少しだけでも、足を止めてくれて。
そちらは言葉にならなかった。
東雲 圓華
「波照間さんが来てくれて良かった」
KP
小首をかしげて、言うべき言葉を探しているようだった。
東雲 圓華
「……寂しかったから」
KP
彼女の背後には死した世界が広がっている。
波照間 紅
そうか。
たったひとりで滅んでいきたくないのは、きっと彼女も同じだ。
馬が水を蹴る音も、水の冷たさもあるのに、ここには静寂しかない。

喉が詰まって、声が出てこない。
代わりに、不安定な姿勢のまま、彼女の肩を強く抱きしめた。

その向こうに、世界の亡骸が横たわっていた。
まどか
KP
今日、ずーっと「東雲圓」って書いてたのに気づいたんだけど、正しくは「東雲圓華」でした。
ログこっそり直しました!
波照間 紅
ああっと!
そういえば圓さんは別のお姉ちゃんだ
修正ありがとうございます
KP
そっちのまどかさんに引っ張られちゃうんだよなぁ!
波照間 紅
別のお姉ちゃんも大事な人だったからなぁ 引っ張られちゃう
KP
※ところでこのシナリオ、解決策が一つしか無いわけではありません。
リスクの高いもの、低いもの、いくつかあります。
よって全てのヒントがひとつの方法を指すわけではありません。
波照間 紅
アナウンスありがとうございます!
雰囲気とRPが光るシナリオだとついその場の雰囲気に乗って話を進めてしまうから、複数あるよと教えてもらえて助かります。

二人と波照間にとって一番らしい道を探していきたい。

波照間 紅
彼女の腰にある長い剣に目が行く。
これも、「騎手」としての持ち物なのだろうか。
KP
あなたが東雲の腰についている剣に気付いたのを知ると、東雲は剣を引き抜いた。
東雲 圓華
「よく見てみますか?」
KP
それはやけに軽く、刃は丸く、素人目にはまったく使い物にならなさそうな飾りのようだった。
だが刀身に文章が彫られている。
“それに乗っている者の名は「死」といい、
それに黄泉が従っていた。”

一見文字だと認識できるし読むこともできるが、
意識してよく見れば、何語にも見えない不思議な文様だった。
波照間 紅
※その言葉に思い当たるものはありますか?
※剣をよく見て、他に気づくことがなければ、東雲さんの姿を見ます。
KP
剣と衣服は彼女の役割を示すもののようだ。
東雲 圓華
「これは私に役割が与えられた時に授かった物です」
KP
東雲は黒いマントに指を滑らせる。

そういえば室内に入るときも脱ぎはしなかったと、あなたは思い出すかも知れない。

不安定な姿勢で自分を抱くあなたの背を、支えるようにして東雲は馬を駆る。
あなたが落ちないように。
己から離れないように。

※情報として出るものはありません。
波照間 紅
「そうか……、授かったって、誰、いや、何から?
その剣も、そうなのかな」

その衣装は彼女に似合っていたが、そう聞くと忌々しく思えてしまう。

彼女を睨んでしまいたくなくて、肩から手を離して前を向く。

※黒の騎手の腰にあるものを確認します。
KP
では【DEX】×5で判定。
波照間 紅
1d100 25 ☆ささぼっと☆ 1d100→50→失敗
KP
黒の騎手の外套を払おうとしたとき、バランスを崩してしまった。
あっという間に世界がひっくり返る。
背後から小さな悲鳴のようなものが聞こえた。
波照間 紅
「うわっ……!?」
しまった!
咄嗟に馬にしがみつこうとする。
KP
指先が何かに触れ、あなたはそれを咄嗟に握る。
次の瞬間、あなたは強引に引き戻されていた。
どう考えても東雲の細腕で出せるとは思われないパワーで。
東雲 圓華
「大丈夫?」
KP
再度安定して馬の上にいることを知覚したあなたは今更ながらにぞっとするだろう。
一歩間違えたら、海面に叩きつけられて絶命していたに違いない。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
波照間 紅
1d100 71 《SANチェック》 ☆ささぼっと☆ 1d100→32→成功
KP
あなたは右手に何か棒状の物を持っていた。
それはどうやら天秤だ。
はずみで、黒の騎手の腰から引き抜いてしまったのだろうか。
波照間 紅
「す……、すまない。助かった……、ありがとう。大丈夫だ」
どっと冷汗が出てくる。軽率なことをしてしまった。彼女の腕がしっかりと僕を掴むものだから、速度を忘れていた。

はずみで引き抜いてしまったらしいものを見る。
KP
天秤を持ち上げると、あなたの前で右に傾いた。
東雲 圓華
「大丈夫。私は絶対に離さないから」
KP
そう呟く彼女の方に反射的に向いた天秤は、左へと傾いた。

天秤には何か文字が刻んである。
“小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。”
その反対側にも。
“小麦とスペルタ麦はおくてであるため打ち倒されなかった。”
波照間 紅
「小麦……?」
そういえば、黒い馬は飢饉をもたらす、のだったか。先程の剣の文句は、死にまつわるものだった。
……象徴のようなものなのかもしれない。

天秤をしばらく右に傾かせたり左に傾かせたりしてみる。
特に気がつくことがなければ、改めて前を向く。
無言の騎手が跨る黒い馬の背を目で追った。

※天秤を調べてみます。
KP
天秤を持ったままで黒の騎手の方を向くと、天秤は左へと傾いた。
見開いた黒の騎手の目には何もうつっていないようだった。
波照間 紅
※黒い馬をよく見てみます。
KP
黒い馬の毛並みは荒れ果て、焦土から這い出たかのように黒かった。
太い足が水面を蹴ると、そこは大地であるかのように嵐のごとき蹄の音が聞こえる。
馬の胴にはエナメル質のポシェットがかけられ、場違いに煌めいて揺れていた。
波照間 紅
荷物? ひどく古風な格好に、場違いなポシェットが目に入った。
もしかして、元の彼女のものだろうか。

そういえば、東雲さんは荷物など持っていただろうか?
KP
少なくとも東雲が乗っている青白い馬に載っていた荷物は、ボロボロの布袋だけだった。
ポシェットは、騎手の女性が現代風のお洒落な格好をしていたならさぞ似合っただろう。
彼女の持ち物なのかも知れない。
波照間 紅
中身が気にかかる。情報が欲しい。
そのポシェットには、並走している間に手を伸ばせそうな距離だろうか。
波照間 紅
先程やらかしたばかりなので、やるなら東雲さんには先に言うつもりではある。
KP
〈目星〉+10をどうぞ。
波照間 紅
1d100 86〈目星〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→65→成功
KP
東雲に声をかけるなら、片手であなたの体を支えてくれるだろう。
安全に手が届く距離を見極め、ポシェットを外すことができた。
中には小さな手帳が入っている。
記してあるのはアルファベットだが、英語ではなさそうだ。
波照間 紅
ありがとう、と彼女に礼を言い、手帳を開く。
英語でもラテン語でもなければ、イタリア語、という可能性はあるだろうか?
先程見つけたポケット辞書と見比べてみる。
KP
どうやら記してあるのはイタリア語で間違いなさそうだ。辞書を使えば翻訳することができるだろう。

どうやら日々思ったことや気に入った物、気に入らなかった物などが赤裸々に書かれているようだ。
全てを翻訳する意味はなさそうだ……

最後のページの簡単な走り書きは比較的容易に読むことができる。
演劇で見た死に感激したこと、霧が出ていて蹄の音がする事が書かれている。
KP
走り書きはここで途切れていた。
KP
※ところでラジオってどうしていましたか?
止めていた? つけていた?
波照間 紅
※特に止めていないので、つけたままだと思われます。
KP
あ、あと天秤ってどうしました?
波照間 紅
※大きさによりますが、ポケットなどに入れられそうな大きさなら入れておきます。
難しい大きさなら、片手で持っておきます。
捨てたり、元の場所に戻したりはしません。
KP
了解です。
KP
日本ではニュースが聴けた局はいつの間にか雑音に埋もれていたが、辞書片手に手帳と格闘している間に別の電波を受信し始めたらしい。
ノイズ交じりの音声が何かを朗読している。
四騎手がもたらす災厄と、現在イタリアを起点に現在起きている異変とが、一致していると訴えている。
KP
ラジオは希望を捨ててはならないと訴え続けている。
KP
うーん。波照間さん4騎士知らなかったから、これが何かも知らないかな。
いや、ヨハネの黙示録って言ってるし分かるよな。

そういえば、東雲さんにも質問によっては答えられることはありますよ。
波照間 紅
お、ありがとうございます。聞いてみよう。
東雲さんともお話したい。
KP
これは『新約聖書』の一部だろう。
波照間 紅
希望、か。
希望を訴え続けるラジオの声は、逆に陰鬱な気分にさせた。
それでも人の声を止めてしまう気にはならなくて、ラジオをつけたままにしておく。

他に生きている局はあるだろうか。
KP
先ほどあまり聞こえなかった局が少し聞こえやすくなっていた。
 ノイズ交じりだが歌のようなものが聞こえる。イタリア語の歌らしい。男が叫ぶような声で人名を呼びながら歌っている。
おそらくオペラか何かの歌なのではないか、と思えた。
あなたは芸術に明るいだろうか?
KP
あんまり学校で聞いたことありそうなヤツじゃないからなー
波照間 紅
あまり明るくはないが、歴史とラテン語、それからオカルトを学んだ時に何かしら見聞きしはしたかもしれない。

現代では死語であるラテン語は当時の芸術を読み解くのに使われるし、歴史の傍らには常に芸術が存在した。
「隠されたもの」を意するオカルトはもとより、芸術の中にその寓意が織り込まれることは多い。
波照間 紅
ごねてみる。
アカンかったらスパッとアカンで大丈夫です。
KP
有名な奴じゃないんですよ。私も今回初めて知った。
波照間 紅
なんと。気になるなぁ。
KP
では、対象のスキル全部半分で振って、2個成功できたら知ってることにしよう。
波照間 紅
1d100 35 〈ラテン語〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→28→成功
1d100 35 〈歴史〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→46→失敗
1d100 23 〈オカルト〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→48→失敗
KP
さすがに知らなかった。
波照間 紅
さすがにだめかぁー。ありがとうございます。
KP
歌には聞き覚えがない。
怒りを表現しているのだろうなぁ、ということくらいだ。
波照間 紅
知らない歌だ。
行き所の無い怒りを唄うようなその歌は、辺りに空しく響き渡るように聞こえた。
そういえば神というものは、人がなにかを諦めるために生まれたという話を、どこかで聞いたことがある。
波照間 紅
「東雲さん」
ふと彼女の腕の存在を感じて、背後に話しかける。
波照間 紅
「君はこの歌、知っているのかな。
僕はあまり、芸術には明るくなくて」
東雲 圓華
「……私は聞いたこともないし知らないのだけれど……
どうしてかしら、気になるの……」
KP
東雲は呟いた。
波照間 紅
「そうか……。こんな時に流れる歌だから、もしかしたら黙示録や、そういうものを唄う歌なのかもしれないな。

世界が滅びたら、どうなるんだろうな。
さっきの天秤の文章にも、残った小麦があったって、書かれていたけど」
東雲 圓華
「大地が揺れて、太陽は黒くなって、月は血のように赤くなって……」
東雲 圓華
「けれどもう、その地に生きていられるものはいないのよ。
役目を終えた私たちも滅びるのではないかしら」
KP
東雲はあなたを見て物思うように呟く。
東雲 圓華
「私と一緒に行く限り死なないあなたは、残された小麦とも言えるのかも知れないわね」
KP
東雲はあなたが持つ天秤に視線を落として言った。
東雲 圓華
「その天秤は【飢え】を象徴しているみたい。
飢えると人は理性を失ってしまうでしょう?
あの天秤が彼岸に傾いた者は、正気を失っているということ……」
波照間 紅
「そうか……、皮肉だな」
小さく呟いた。このどうしようもない死と、僕も彼女も共に行くというのに。
KP
まああれ、情報まだいっぱいあるのであまり考え込まなくて大丈夫です。
波照間 紅
ありがとうございます。
情報収集と雰囲気と東雲さんと会話したいのバランスを考えておりました。
KP
大事な行動や選択の前にはお知らせ入りますので~
波照間 紅
それは助かる~!
では遠慮なくお話します。
波照間 紅
「天秤は飢えか。
それなら君の剣は、“死”なのかな。
あの赤い馬の乗り手は、“戦火”の剣を持っている?」

世間話のように問いながら、赤い馬を見やった。
この行軍はいま、どこまで来ているのだろうか。
KP
今は太平洋を渡っているのだろう。真っ青な海がどこまでも続いている。
しかし行く手に黒い影のようなものが見えてきている。陸地が近いのだろうか。
東雲 圓華
「そうなのでしょうね。
気になるなら、あちらの馬にも寄せてみるけれど」
波照間 紅
「頼んでいいかな。気になるんだ。
……四番目だって言ったよな、あなたは。
それならあの馬たちの向こうに、一番目の馬もいるのかな」

このままずっと、海を渡っていられればよかった。そう、思ってしまう。
どこにも辿り着かなければいいのに。
KP
今赤い馬は黒い馬とほぼ隣り合うように走っている。
ちょうど今あなたが乗る馬の反対側だ。
東雲 圓華
「任せて」
KP
あなたの言葉に応えて、東雲は馬の速度を僅かに落とした。
速度を調整しながら赤い馬の後ろへと回り込み、今度はスピードを上げてゆく。
行く手の影がみるみる近づいて、太平洋を越え陸地に近づいたのが分かった。

と、視界が夜の濁流に飲まれ、一瞬にして土色に染まる。
ガツッという蹄の音でこの馬が大きく飛び上がって小さな島に降り立ったのだとわかった。
馬はいくつもの島を飛び歩き、その度に土が力強く弾け飛ぶ。それは前方の馬も同様で、真っ赤な稲妻のように上がっては落ち上がっては落ちを繰り返した。

7つ目の島を越えたとき、ついに二頭が横並びになった。
炎のようなたてがみと灰燼のようなたてがみが境目をなくすと思われるほどその距離は近かった。
東雲 圓華
「これでいい?」
KP
東雲の声には少し得意げな響きがあったように思われた。
赤い馬の騎手はどうやら男性のようだった。
波照間 紅
「ああ、ありがとう。助かる」
意識的に少し口角を上げて、彼女に微笑む。
得意げな響きは可愛らしく、つい一日前の、引っ越しの日のことを思い出させた。

まだ何もかも失われる前のこと。

追想を振り切るように、赤い馬とその騎手に目を凝らす。
KP
馬には重そうなブリーフケースがかかっている。

騎手は初老の、もじゃもじゃと髭を生やした小汚い男だった。彼もまた古めかしい山高帽と黒いコートを身に着けていたが、なぜだかそれがしっくりくるような、奇妙な風格があった。

だが男の顔に眼球はなく、代わりに二つの虚ろがそこにあった。
あなたが顔を近づけて様子を伺っていると、男の口から大量のフナ虫がこぼれ出た。それらは逃げるように男の体を這ったが、数秒もしないうちに死に絶えた。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1

▼よく見るなら〈目星〉
波照間 紅
1d100 71 《SANチェック》 ☆ささぼっと☆ 1d100→36→成功
波照間 紅
うわっ、と思わず声が出てしまった。
君達よく生きてたな。僕もだが、彼らと一緒にいると、巡り終わるまでは生きていられるのか?

逸れた。
改めて騎手をよく見てみる。
1d100 76〈目星〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→16→成功
KP
男は大きな剣を背負っていた。
これが争いを招く剣なのだろうか。
波照間 紅
背負っている剣には何か書かれているだろうか。
KP
外して手に取らないと分からないだろう。
外す?
波照間 紅
東雲さんに声をかけ、支えてもらいつつ剣を外す。
東雲 圓華
「大丈夫よ」
KP
東雲はあなたの体に手を添える。

手を伸ばして剣を外すと、心の奥がざわつく心地がした。
手に取って確認すると「地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。」という銘文があった。

この刀身には怒り狂った多くの人間たちの顔がいくつも映し出されていた。
それは文字を読むあなたの心臓に、火をくべた。
ぐらりと視界が歪む。
手あたり次第に全てのものを蹂躙し、傷つけ、支配したいという欲望が頭の中に渦巻く。

まずは、背後にいる女からだ……。

※【POW×5】成功か自傷(HP-1)でこの剣を手放すことができます。
波照間 紅
※どちらかのみですか? POW×5で失敗したら自傷する、などは可能ですか?
KP
どちらかですね。
一度失敗すると何らかの行動は取ってしまいます。
その後で再度判定することは可能ですが。
波照間 紅
「……」
その剣を手に取り文字を読む毎に、ぐらりと視界が赤く歪んだ。
剣を手にした腕がどくどくと脈打っている。背後にいる女の顔が炎に塗りつぶされ掻き消えていく。

いけない。
反射的に思った。

彼女は四番目だが、僕はそうじゃない、と彼女は言った。
僕まで呑まれてなるものか。

彼女に向かいかけた切っ先を、咄嗟に自らに向ける。正気を戻そうと、肌を刃にさらした。

※自傷します。
HP 10 → 9
KP
痛みが走り血がしぶく。
あなたの中に巣くったものがわめき声を上げる。
血を見る、傷つけるという行動を行ったことと、
同時に鈍り始めていた感覚の中に鋭い痛みを捻じ込んだことにより、
あなたの意識は浮上する。
東雲 圓華
「波照間さん……!」
KP
東雲の叫び声には悲痛な響きが混じっていた。

争いを呼ぶ禍々しい剣は、あなたの手から離れて落ちていった。
吹っ飛んだ剣はばさばさと音を立てて遙か後方へと消えてゆく。

だが再び目を上げたとき、死んだ男の背にはあの剣があった。
馬が駆ける震動によってか、男の顎がカタカタと揺れる。
東雲 圓華
「……あまり遠くへ離れることはできない、ということかも知れないわ……」
KP
東雲があなたの腰を見て言う。
先ほど抜き取ったはずの黒い騎手の天秤が消えていた。
東雲 圓華
「大丈夫、波照間さん。
あなたはそこにいる?」
KP
ひやりと冷たい指先があなたの傷をおずおずと撫でた。
『死』が、あなたを失うことを恐れていた。
波照間 紅
「……大丈夫……、大丈夫です、東雲さん」
痛みの鋭さを中心にして、意識を引き起こす。
波照間 紅
「僕は、ここにいます」
冷たい指先を包み込むように、手を重ねる。撫でられた傷に痛みが走ったが、今はそれに救われた。
波照間 紅
「すみません、二度も。
……いっそあなたのその剣を奪って、捨ててしまえれば、なんて思っていたのに、当てが外れましたね」
己の軽率さに苦笑する。
まさか、手に取っただけで呑み込まれるとは思わなかった。
二度も助けられてしまって、少し照れくさい。
東雲 圓華
「私は四番目……」
KP
ぼんやりと呟いた彼女の目は、霧の中を彷徨っているかのようだった。
まるで確かなものがあなた以外にない、というように瞳を見つめ、何度も何度も「そこにいて」と囁いた。
波照間 紅
「僕は、ここにいます」
緑の瞳を見つめ返す。
冷たい手を手で包み込んで、繰り返した。
波照間 紅
「東雲さん。
あなたは四番目じゃない。
僕は、ここにいます。
あなたも、ここにいます」

冷たい手に縋るように。
祈るように。


暫くそうしてから、赤い馬にぶら下がったブリーフケースに手を伸ばす。
東雲 圓華
「私は」
KP
あなたの言葉に、東雲はほんの少し泣きそうな顔をした。
KP
赤い馬にぶら下がったブリーフケースはそこそこの重量がありそうだが、東雲が馬をぎりぎりまで寄せているため、手に取るのは難しくはないだろう。

ブリーフケースを外すと、東雲がケースに手を添え

パンフレットは男女が見つめ合う写真が表紙であり、
男性の方は赤い馬に乗っている見るも無惨な男とそっくりだ。
「Giacomo Puccini Il tabarro」とロゴがでかでかと印刷されている。

冊子の方は表紙に「Giacomo Puccini Il tabarro」と書かれている。
中身をぱっと見ると台本であるようだ。
波照間 紅
先程の辞書を使って、パンフレットと台本から内容を拾おうとする。
KP
パンフレットと台本に記されている『Giacomo Puccini Il tabarro』は、
「ジャコモ・プッチーニ 『外套』」。
プッチーニといえば、トスカ、蝶々夫人の作者であるとぱっと思い浮かぶだろう。
(ある程度知っている前提になったし。)

パンフレットの方は、中に載っている写真や単語から、
これは『外套』という名のオペラのパンフレットで、この騎手は主役。
老船長ミケーレ役として世界的に評価されている役者であることがわかった。

〈芸術(舞台系ジャンル)〉〈人類学〉/【知識】1/2 で判定。
波照間 紅
1d100 42 【知識】 ☆ささぼっと☆ 1d100→74→失敗
KP
あなたは詳しい内容までは知らなかった……

台本はラストシーン付近の台詞が赤い丸で囲まれている。
あなたが訳そうと辞書に触れるか触れないかのうちに、後ろから声がした。
東雲 圓華
「妻が言う、『昔貴方は言ってたじゃない、“人は皆、一枚ずつの外套を持っている、時にはそれに喜びを包み、時には悲しみを……”』
ミケーレがそれに答える、『そして時には犯罪を、だ。さあ入って来い』」
KP
東雲がイタリア語の台本の内容と思われるものをすらすらと喋っていた。
その表情は微笑んでいるようでもあり哀しんでいるようでもある。
波照間 紅
微笑んでいるような哀しんでいるような表情は、心に痛みに似た細波を引き起こす。
東雲 圓華
「すべてはここから始まった。だからこの格好なのね。
けど、だとしたらこの“外套”の中は何? 何かに使えるかな……」
波照間 紅
「外套……、そういえば、着たままでしたね。
この馬に乗って来てから、ずっと」

振り返り、彼女の黒いマントの合わせ目に触れる。その内側を問うように。
東雲 圓華
「なかに触れては……だめ……」
KP
東雲はわずかに恐れるようにあなたの手を遮って合わせ目に触れた。
あなたはその合わせ目から、ほんのわずか白い冷気が漏れ出している気がした。
東雲 圓華
「何故かは分からないけれど、そう感じるの」
波照間 紅
ペルソナかな? >外套
KP
いきなりわけ分からんこと言い出す東雲!
KP
ラジオからは泣いているような女性の歌声が聞こえてきていた。
あなたは、先ほどから聞こえるこのラジオの歌は、『外套』を演じたもので、今は登場人物の一人、ジョルジェッタが歌っているのだと気付く。
波照間 紅
「っ、すみません」
拒絶に指先が跳ねる。
どことなく気まずくなり、話を変えた。
波照間 紅
「分かるんですか? この内容が」
東雲 圓華
「……知らない……けれど分かるの。
これははじまり。
だからきっと、『私たち』はこの一文と関係がある……」
KP
東雲の目が宙を泳いで、そしてあなたの手をそっと握った。
東雲 圓華
「ごめんなさい。私は、四人目だから」
KP
呟いたその声は、深い悲しみを纏っているように聞こえた。
波照間 紅
言葉が見つからず、無言でその手に手を重ねた。
泣いているような声が響く中、疾走する馬の背で、ただ静寂ばかりが感じられた。

先程の傷が微かに痛んだ。

コメント By.KP
沈黙の世界をわたる波照間と東雲。
なすすべもなく滅亡と死に流されてゆくふたりは、どこへ向かうのか。

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本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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