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こちらには『青白い馬』
ネタバレがあります。

波照間 紅

真・女神転生発のサマナーで悪魔退治屋。弓術を得意とする真面目な青年。
沖縄出身である。

宇宙に並々ならぬ思いを抱く。


波照間 紅

とある奇妙な縁で波照間と出会った。
おっとりして見えるが、いざという時の爆発力は高い。
ダンスが得意。


最初に
KP
この話、牧志たちのと時系列合わせて一年経った後のにします?
それとももう少し前の話にします?

東雲からの呼び方は「紅さん」「紅ちゃん」「波照間さん」「テルさん」「ダーリン」等、なんか希望ありますか?
夜中に突然KPCが訪れてランデブーする話です。
東雲さんが東京に越してきてまともなデート一発目がこれだったら面白いなぁとか思っちゃってごめん。
波照間 紅
よろしくお願いします!
付き合いだして少し~数ヶ月くらい、呼称はまだ苗字にさん付け or 「團さん」「紅さん」あたりだと初々しさがあっていいなと思います

>まともなデート一発目
あ、それ面白い。ぜひそれで!
KP
じゃあこの話で呼び名変えようかなー
波照間 紅
ああ~~~ いいですねそれ
KP
そうすると牧志たちのルートでは引っ越してあの事件も終わって落ち着いたあたりですかね。
お互いに引っ越し手伝ったりしたんじゃないかな。
波照間 紅
ですね、ちょうどいい時期っぽい。
引っ越し手伝ってそう。手伝いつつ荷物の話とかしてそう。
波照間が牧志の荷物詰めたりしてたら途中で思い出話になって進まなくなったりしてそう。
KP
波照間さんが覚えているのに牧志くんは忘れた、牧志くんは記憶しているのに波照間さんは忘れたちょっとしたことがあっても面白いなぁ。
波照間 紅
ああー、ありそう。
牧志が覚えていなかったり記憶を継いでいなかったり忘れていたりは想像がついても、波照間の方が忘れちゃったことを牧志が覚えているのはちょっと不意をつかれるだろうな。
KP
それじゃ引っ越しのシーンからやろうかな?
今日の昼あたりに最初の描写落としますね~
波照間 紅
あっ、ぜひ! >引っ越しから
はーい、よろしくお願いします!
早速引っ越しのシーンでやりたいシーンができたので、どちらの引っ越しでもいいんですが、もし入りそうなら
 ・牧志と波照間が並んで引っ越し作業してて、同じ空間に東雲さんもいるシーン
がやりたいです ✋🏽
KP
はーい。シーン的には牧志たちの引っ越しとあの事件が終わって翌週くらいに、みんなで東雲さんの引っ越し手伝ってる感じです。
波照間 紅
なるほどなるほど。そのシーンなら機会があれば挟めそうです。
ありがとうございます!
KP
その場に佐倉はいない方が良いですか? それだったら買い出しとかで離席させる。
波照間 紅
いても大丈夫です。
むしろいたら波照間の面白い一面が見えるかも

KP
牧志たちが引っ越しをした翌々週。
東雲がこちらでの仕事などを決めて関東へと引っ越してきた。
都内まで電車で乗り換え1回から2回。そこそこ便利な場所である。

一月の寒空の元、『運んでくれるだけ』の引っ越し業者に頼んだため、
家具を配置したり大雑把に梱包を解いたりで人手が必要になる。
そこで波照間と、丁度手が空いていた牧志と佐倉が手伝いに来たのである。

東雲の荷物はそう多くない。
四人いればさほどかからずに大きめの作業は終わるだろう。

何故か佐倉がカーテンのサイズをやたらに気にしていた。
女性の部屋だから、かもしれない。

ベッド、タンス、こぶりな棚がいくつか。テーブルにイス。割とこぢんまりとした、シンプルなものばかりだった。

対して、箱から出てくる小物はなんだか可愛らしい。
「可愛いとつい買ってしまうの」と東雲は頬を染めていた。
波照間 紅
そんな様子をつい目で追ってしまい、顔が赤くなるのを自覚する。

いやいや、今は作業だ。
波照間 紅
「ありがとう、二人とも。助かるよ」
自分たちの引っ越しが終わったばかりなのに、手伝いにきてくれた二人に礼を言う。
佐倉 光
「仕事外でも色々お世話になってるからさ。
これくらいならやるよ」
佐倉 光
「つーかガチで何度も命救われてるし。
借りが返しきれねーっつーの」
キッチンで調理用具を出しながら、佐倉は遠い目をした。
東雲 圓華
「命、ですか?」
佐倉 光
「あー、比喩です比喩。死ぬほど助かるなぁ、みたいなそんな」
KP
慌てて付け加えるその腕には、無数のみみず腫れのようなものがあった。
牧志 浩太
「確かにな、どれだけ助けられたか分からない。あの時だってあの時だって……、
あ、これ棚の中で大丈夫ですか?」
こまごまとした小物を緩衝材の包みの中から出しながら、東雲に聞く。
数の少ない家具などは先に配置し終わり、細かい作業に入っていた。
東雲 圓華
「はい、ありがとうございます、牧志さん。
そこの一番上に並べていただけますか? そう、その右で」
KP
東雲は楽しそうに忙しそうに片付けをしながら問いに答える。
その表情はとても明るい。
牧志 浩太
「分かりました。ここですね」
可愛らしい小物を言われるままに並べていると、ふと横から視線を感じた。
波照間 紅
「……」
牧志 浩太
なんとなくもの言いたげな視線に、苦笑する。
牧志 浩太
「大丈夫だって。取ったりしないよ、先輩」
波照間 紅
その言葉に、波照間はばつの悪そうな顔でこめかみを掻く。
波照間 紅
「あー……、すまない。別に疑ってるわけじゃないんだが、君はその」
牧志 浩太
「東雲さんのこと、好きになっちゃうかもしれないって?
確かに東雲さんはいい人だけどさ、先輩は先輩で、俺は俺だよ。
それに、東雲さんが好きになったのは俺じゃなくて、先輩だろ」
牧志 浩太
「自信持てよ、紅」
小声でそう呼んで、いつにない表情を見せる波照間の背中を、ぱんと叩く。
波照間 紅
「わっ。あー、そうだな。ありがとう」
近いが故に
波照間 紅
これがやりたかった
KP
微笑ましいなぁ……!
波照間 紅
佐倉さんも近くにいるから、そんな会話してる様子を見ちゃってもいいんですよ
KP
見ちゃってるよ。
波照間 紅
いぇい

佐倉 光
(わー、波照間さんが嫉妬してら。珍しいとこ見ちゃった。
東雲さん美人だし優しそうだしなー。
自分の記憶があるヤツは趣味も似てるかも知れないし、心配になってもしょうがないかー)
佐倉はフライパンセットしながらニヤニヤしてる。
うわきだ
佐倉 光
ピクシーにチクってやろ。
波照間 紅
「だから、彼女はそういうのじゃないと!」
波照間 紅
楽しい

佐倉 光
(彼女かー。出会う暇もねーよ。
いいなぁ、適度に変な事件に耐性ある彼女……激レアじゃん)
そしてまた遠い目してる。
東雲 圓華
「ありがとうございます、お陰であっという間に片付いちゃいました」
東雲はお茶のボトルを皆に手渡してにこりと笑った。
東雲 圓華
「あとは私の方でできますから、大丈夫。
本当に助かりました、有り難うございます」
牧志 浩太
「丁度暇な所でしたから、気にしないで下さい。先輩にはいつもお世話になってますから」
家具運びでそれなりに汗をかいた。ありがたくお茶を頂いて飲む。
波照間 紅
「東雲さん。車も持ってきていますから、要る物があったら買ってきま……、あー、っと。買ってこようか」
丁寧語やめたい。ぎこちない。
東雲 圓華
「ううん、大丈夫よ、波照間さん。
今日はもう終わりにして、続きは明日に……します」
KP
東雲はあなたと会っていた時間が長いせいか、たまに力の抜けた話し方をする。
それでも、あなたの方が経験した時間が少ないことを気にしてか、どの程度崩していいか測りかねて、かえって固い話し方になってしまっているきらいはある。
佐倉 光
「中学生か」
KP
佐倉をしてこんな事を言わせる初々しさである。
波照間 紅
「言うな……」
互いになんとなく、距離を測りかねている。
波照間 紅
「そうか、ならいいんだけど。
荷物があるようなことがあったら、いつでも言ってほしい」
東雲 圓華
「ええ、ありがとう!
みんなのお陰で予定よりずっと早く終わりましたし、のんびりします」
KP
佐倉が軽い咳をした。
佐倉 光
「ごめん、俺ちょっと帰った方が良さそう。風邪かも。
牧志、悪いけど付き合ってくれる?」
牧志 浩太
牧志は佐倉に一瞬目配せをした。
牧志 浩太
「分かった。それじゃ先輩、東雲さん、また今度」
軽く手を振って、佐倉とともに去っていく。
佐倉 光
「あー、なんか急にだるくてさぁ。
牧志 浩太
「え、ガチ? 本当に?」
佐倉 光
え? いやガチだけど。
大丈夫、サトミタダシでディスシックを……」
KP
そんなことを言いながら帰って行く。
波照間 紅
「……気を遣われたのか本当にそうなのか、分からないな、あの二人は……」
去っていく様子をなんとなく見送ってしまった。
東雲 圓華
「大丈夫……かしら。
……二人にもお礼、したかったんだけど」
波照間 紅
「僕から伝えておきます」
結局丁寧語に戻ってしまいつつ。
KP
東雲は猫のように伸びをして、あなたに笑いかけた。
東雲 圓華
「ご飯、食べに行きましょうか」
波照間 紅
「あー……、そう、ですね。何を食べに行きましょうか。近所で何か、探してみましょうか」
笑いかけられて、思わず声が上擦ってしまう。
東雲 圓華
「ここに来るときに気になったお店があったんですよね!
今日はお礼なので奢りまーす!」
KP
元気良く叫んでからぎこちなく「それでいいですか?」と問いかけてくる。
波照間 紅
数度咳ばらいをして、上擦った声を落ち着ける。
丁寧語は諦めた。無理しない方が自然に喋れそうだ。
波照間 紅
「ええ、そうしましょう。どんなお店なんですか?」
東雲 圓華
「ええ、ちょっとお洒落なイタリアンみたいで……」
KP
東雲は頬を上気させてスマートフォンで地図を出す。
歩いてさほど距離のない近所に、個人経営のこぢんまりとした店があった。

店に向かう間、互いに距離を測りながらのどこかぎこちなく甘酸っぱい時間が流れた。
波照間 紅
楽しみですね、だとか、何が好きですか、だとか、そんな意味もないようなことばかりを話していた。
あの時はいくらでも話せたのに、今ときたら、喉でも詰まってしまったように声が出ない。
KP
東雲はそんなあなたにぽつぽつと話しかけた。
彼女も距離を測りながらも、少しずつあなたとの距離を縮めようとしているらしかった。
東雲 圓華
「波照間さんのことはいっぱい知っているけど、
改めて沢山お話がしたかったの」
KP
あなたの言葉の一つ一つに、東雲は嬉しそうに笑った。
集中がみだれる!
KP
横でずーーーーっとTRPGの動画が流れていて、文章組み立てるのに時間がかかるwww
気が! 散る!!
波照間 紅
んんwwwwwww 横wwwwww
ちょくちょく押しの強い横で笑う
KP
ホラー動画とかなら無視できるんだけど、TRPG動画覿面に意識かき乱してくる……
波照間 紅
よりによってTRPG(置き)してるときにTRPG動画は撹乱
ハイテンションハイテンポの合成音声でばんばん進むTRPG動画、余程見慣れたものでなければ、甘酸っぱい恋愛ロールのBGMにはあんまり向いてないと思う……!

KP
出会ったときの話を、星の話を、変わった彼女の故郷の話を、東雲は語る。
恐らくあの日に別れてから幾度となく話したかも知れない話も。
無限の出会いのときに話したであろう記憶は、東雲の記憶に朧気に残っているらしい。
波照間 紅
「……僕もです。
あなたと、こうやって穏やかに話がしたかった。
すみません、なんだかぎこちなくて。改めてこうやって一緒にいると、どう話していいか分からなくなって」

あの時の話になると、するりと言葉が出てきた。
東雲 圓華
「私も。不思議ね、ずっと一緒にいたと思ったのに、まるで初めて出会うみたいで、何を話したらいいか」
KP
東雲は顔を赤らめて視線を落とした。
東雲 圓華
「明日も会えるというだけで、ただ嬉しくて」
波照間 紅
「僕も……、です。あなたがここにいる、いてくれるなんて、今でも少し、信じられなくて」
波照間 紅
「でも、嬉しいんです」
顔が赤い自覚はある。きっと傍から見れば、どちらも顔を真っ赤にしている。
くすぐったくて、どうしていいか分からなくて、けど嬉しいことだけは間違いない。
KP
東雲の緑色を帯びた物言いたげな瞳があなたを見つめていた。
細い指がひっきりなしに自らの手を撫でている。
いつでも触れられるほど近くにいる、と意識した途端にまるで、あの不思議な繰り返しの時が夢だったかのよう。
その日ついに彼女の手があなたに触れることはなかった。
波照間 紅
あの時は、一歩踏み出せたのに。
日常の中で距離だけを意識してしまうと、途端に踏み出せなくなった。

いや、踏み出していい理由がここにはないからなのかもしれない。
背を押してくれる理由がなければ、触れることもできないくらいに意気地なしだってことを、初めて知る。
KP
その日は引っ越しの疲労もあり、早めに食事を切り上げて帰ろう、という流れになった。
夜の、七時頃だっただろうか?
波照間 紅
結局、互いに見つめ合ったまま店を出た。
美味しかったはずの料理の味も、よく分からないまま。

冷たい夜気の中。
また明日、と言う声は、未だに少しだけ震える。
東雲 圓華
「ええ、また……明日」
KP
ほんの少しの間東雲はあなたを見つめ、小さく手を振って家に入っていった。
明日になれば、また朝の光の中で会える。
そんな確信を抱いた、しかし少し名残惜しそうな目をして。
波照間 紅
家の中に消える姿を、扉が閉まるまでずっと見ていた。
すすまない
KP
今日中にオープニングにたどり着かないな!
波照間 紅
波照間と東雲さんの関係性はあんまり描写できていないし、オープニング前の「そして、それから」の描写は重要だと思うんですよ
KP
意識をかき乱すハイスピードギャグTRPG動画に対抗するために「対の棲みか」をBGM代わりに流してなんとか事なきを得ました。
もっと早くそうすべきだったな!
波照間 紅
なるほど!
ハイスピードギャグTRPG動画と対の棲みかが流れる空間、カオス
対の棲みかはBGMしかないので……

KP
そして翌日……
佐倉 光
「マジでごめん波照間さん……死ぬほど体調悪い。
ほんっっっと申し訳ないけど異界の方お願いします。
うちからアシストはするから……」
KP
ヘロヘロになった佐倉からの電話により、あなたは昼から外出する羽目になった。
波照間 紅
「本当に体調が悪かったのか……。
ああ、分かった。こっちは任せてくれ」
ガチすぎた
佐倉 光
波照間さんマジごめんなさい
波照間 紅
いいんだ、無理はするな。というか大丈夫か、それ?
(シナリオ都合上毎回初動が遅れる波照間、わりと気にしてそう)

波照間 紅
弓を鞄に入れ外へ出る。

彼らは何かと巻き込まれがちだから、体調が悪いというのは少し気にかかるが、ひとまずは目の前の異界のことだ。

昨日のむず痒いような時間がまだ少し余韻を残していたが、仕事のことに意識を切り替えれば頭は冴えた。
KP
仕事が始まる少し前に、東雲から電話があった。
今日一緒に買い物に行く予定だったが、それはあなたの手が空いた後日で良いとのことだ。
東雲 圓華
「今日は食料品と消耗品だけ買いに行ってくるから、ショッピングモールで済むし、それなら電車で大丈夫。
また今度付き合ってくれると嬉しいかな」
波照間 紅
「すみません、楽しみにしていたんですが」
思わず本音が漏れてしまった。
一緒に買い物にでも行ければいいな、と思っていたのだ。
東雲 圓華
「それじゃ気をつけて。オニさんにもよろしく伝えて下さいな」
波照間 紅
「ええ。今度また、ぜひ」
また、今度。
少しくすぐったい気持ちで言葉を唇に上らせて、仕事に気持ちを切り替えた。

KP
仕事がつつがなく終わった頃には夜になっていた。

1件、東雲から不在着信が入っていたようだ。
波照間 紅
強い悪魔こそいなかったが異界の構造が厄介で、随分と手こずってしまった。
一通り終わってふと見ると、東雲さんから着信が入っている。
東雲 圓華
「波照間さん、今日は仕事いつ終わるのかしら、ちょっと相談が……」
KP
声を潜めたような、そんな一言が録音されていた。
波照間 紅
……相談?
その言葉は気になった。何かあったんじゃないのか、そんな焦りに近い感情が湧いてくる。
KP
しかしコールバックしても彼女は出ない。
時間は夜22時。早めに就寝してしまった可能性もあるだろうか……
波照間 紅
引っ越したばかりの彼女のことが心配になる。女性の独り暮らしだ、不審者でも出たとか近所で何かあったとか、勢い悪い想像が湧いてくる。

そうでなくとも、彼女は一度異変に巻き込まれているのだ。それも、深く。
波照間 紅
急いで彼女の家へ向かう。
KP
家は施錠されており、暗かった。
あなたはまだ合鍵をもらっているわけではない。
中を確認することはできそうにない。
波照間 紅
起こしてしまうかもしれないが、再度電話をして、返事が無ければ家のインターフォンを鳴らす。

職業柄、だけではない、心配性になってしまっている自覚はある。
もし彼女を起こしてしまったら、心配になってしまったのだと謝ろう。
KP
電話にもインターフォンにも返事はなく、カーテンが閉じられた家は静まりかえっていた。
遠くから救急車のサイレンだけが幾重にも聞こえていた。
波照間 紅
暫く、じっと待っていた。

焦りが過る、まさか、本当に何かあったんじゃないだろうか。
じっとりと掌に汗が滲んだ。

眠っているだけだと願いながら、もう数度インターフォンを鳴らして電話をかけ、返事がなければ帰路につく。
KP
何度電話をかけようと、インターフォンを鳴らそうと、返事はなかった。
深く眠っているのか、それとも留守なのか。
外からでは判断ができなかった。

帰路につくあなたの耳に再び救急車のサイレンが届く。
それは何故か、何かが始まる……否、終わる前兆のようにも思えた。


『青白い馬』
By.ヴォンボ 様


波照間 紅
後を引くその音が、ずっと耳に残っているような気がした。
KP
夜は更けてゆく。
あなたの心配を余所に東雲から連絡が来ることはなく、時刻は夜中を回った。
あなたはどのように過ごしているだろう。
波照間 紅
気が気でなく、自室で眠れないままそわそわと過ごしているだろう。
電話を手にとっては、返事がないんだから掛けたら迷惑だ、と思い直す。
何かをしようにも手につかない。
KP
帰宅する頃には救急車の音がやけに聞こえた気がするが、
今日は車の走行音はあまり聞こえず、犬の鳴き声が時折聞こえてくる。
やがてそれすらもやみ、街は眠りについた。
骨に浸みるほどにしんしんと冷える夜は、
まるで世界が丸ごと凍り付いてしまったかのように思えた。


静寂の中、聞き慣れない物音がした。

沈黙の中に響く、重く硬質でリズミカルな物音。
早駆けをする馬の蹄が道を叩く音だ。


数頭の馬があなたの住む家の前を風のように駆けていったようだった。
波照間 紅
「えっ?」
仕事の疲れと気掛かりが入り混じり少しばかり胡乱な意識の中、あるはずのない音を耳が聞く。

早駆けをする馬の蹄の音。

真っ先に連想したのは流鏑馬で。
直後に異変に気づいて窓を開け、身を乗り出し、馬の駆けていく先の様子を確認する。

こんな所に馬が走ろうはずがない。
KP
波照間さんちってどんな感じだろう。
一軒家? アパート? 何階?
波照間 紅
アパートの一室でワンルームですね。
「地獄はやさしい」でワンルーム描写あった気がする。

仕事柄出入りの時間が不規則なので、学生や若い社会人の多いアパートの2~3階くらいに住んでます。
KP
見下ろせば、通りの向こうに数頭の馬の蹄の響きが遠ざかって行くところだった。

ほどなく、去って行った馬たちを追うように、一頭の白い馬が夜のとばりの中に現われた。
馬はかつかつと蹄の音を高らかに立てながら、ゆるゆると速度を落とす。

馬には黒い騎手が乗っていた。
黒いマントをまとった小柄な騎手は、黒い山高帽をかぶって、ランタンを下げている。
帽子の下に、波打つ銀の髪が緩やかになびいていた。

馬は窓を開けたあなたの窓の真下で止まった。
馬が鼻を鳴らす。騎手は優しく馬をなだめ、ランタンを掲げてあなたを見上げた。
東雲 圓華
「こんばんは、波照間さん」
KP
ランタンに照らされたのは、東雲圓華だった。
彼女はどこか、初めて出会ったときのような気配を漂わせて穏やかに言う。
東雲 圓華
「こんな時間にごめんなさいね。寄ってもいい?」
波照間 紅
「えっ」
驚いた。
目の前の光景はそれこそ夢のようだとしか言えなくて、正に幻想のような風景の中、探していた人が佇んでいる。

どこか初めて会った時の雰囲気にも似ていた。
あの時もこんな幻想の中、彼女はたったひとり佇んでいた。

悪魔が僕を化かしているんじゃないだろうな、そうも思った。
馬とはなにかと縁のあることだし。

それでも目の前に佇む彼女に、否と言う選択はなかった。
波照間 紅
「は……、はい。勿論」

弓を差したままの鞄を肩にかけ、部屋の外、彼女がいる所へ飛び出す。
KP
あなたが玄関に出ると、静かな星空の元、東雲圓華は馬を降りるところだった。
年代物の黒く重々しいマントを纏い、高く黒い山高帽をかぶった彼女は、まるで体重がないかのようにふわりと地面に降り立つ。
ランタンの光は赤々としているのに、それに照らされる肌は青ざめて白く、髪は星明かりに照らされてぼんやりと輝いていた。
緑色の瞳は深い海のように穏やかで、いつもは溢れんばかりの生気が感じられなかった。

後ろで待つ馬の毛並みも、よくよく見れば真冬の月から生まれたような青みを帯びた白。
烏珠の瞳がさえざえとあなたを見つめていた。


本編見る!
東雲 圓華
「お邪魔しますね」
KP
そう囁いた声は穏やかで小さく、それなのによく通って耳に届く。
そういえば窓の下であなたに語りかけたときも、彼女は叫んでなどいなかったのに、奇妙に声が良く聞こえたのだ。
波照間 紅
「ええ……、」
青ざめた白い肌が星明かりに照らされて、本当にあの時そのままだった。

引き込まれてしまう。
唯一違うのは、そこに悲しみがないことだけだ。
波照間 紅
「随分、静かな夜ですね」
東雲 圓華
「そうですね。とても寂しい……
だから立ち寄ったの。
波照間さんならきっと、まだいてくれると思ったから、一緒にいたくて」
KP
東雲はあなたの所へ近寄ってくる。

〈目星〉または【アイデア】。……おそらくあなたにはもう察せられていることと思うが。
波照間 紅
1d100 85 【アイデア】 ☆ささぼっと☆ 1d100→2→決定的成功クリティカル)!
波照間 紅
察しまくった
KP
彼女は間違いなくあなたが知る東雲圓華だ。

しかし同時に人間ではない。出会ったときのような幽霊じみたもの、いやもっと人間離れした存在になり果ててしまっている。
彼女からは死のにおいがする。
悪魔使いとしての勘がそう告げていた。

東雲は家に入れて欲しいという。
KP
よりによってこんな感じになっちゃった。
波照間 紅
息を呑む。
それはほんとうに・・・・・あの時と同じだ

生きて傍らにいてくれたはずのその人が、痛いほどに青い幻想の下、ひとり白く佇んでいる。

手を伸ばしたくて堪らなくなって、ただ、その前に、一歩だけ立ち止まる。
波照間 紅
「教えて下さい。
一体、何があったんですか」

問う。
あの時のように。
波照間 紅
その結果こんな感じになった。
迷うな~ 入れたら首もってかれそう
KP
入れて~
まあ入らなくても進めるけど。
KP
あの時よりも尚血色のない、表情に乏しい東雲は、言葉に詰まることはない。
彼女にとって当然のことを語るように答えた。
東雲 圓華
「私は四番目なの。あの馬はその証。
本当はすぐに発たなければならないのだけれど」
KP
東雲はあなたをじっと見つめる。
東雲 圓華
「あなたに会いたいと、思ったので寄ったの……」
東雲 圓華
「何があったのかは、もう話しても仕方のないことです……」
KP
あなたは気付くだろう。
街が静かだ。
深夜だとはいえ明かりがなさすぎる。
東雲の姿は闇の中に青白く浮かび上がり、寒そうに見えた。
波照間 紅
部屋やっぱり1階にさせてください
KP
1FOkです。
波照間 紅
後ろ手に部屋の扉に手をかけて、向き合う。
彼女の眼に自分の姿と、闇ばかりが映るのが見えた。
波照間 紅
「どうして、行かなければならないんですか」
東雲 圓華
「私が四番目で、最後だからです、波照間さん……

テレビやラジオは、まだ使えますか」
東雲はあなたの手に触れた。
それはひやりと冷たく感じた。
波照間 紅
その手はあの時よりもなお、冷たく感じた。
波照間 紅
テレビもラジオもたぶん部屋にない
たぶん車の中でだけ聴くタイプだと思います。>ラジオ
波照間 紅
「……?」
突然の言葉を不思議に思い、片手でスマートフォンのラジオアプリを確認する。入れっぱなしになっていたものだ。
KP
ラジオアプリからは緊張のためかかすれた声が聞こえてきた。
「速報です。お伝えしていた原因不明の感染症の罹患者が世界で4億人を越えました。
さらに昨晩から罹患者たちの死亡が次々と確認され、日本は中国地方および日本海側が完全に沈黙。
現在どの自治体にも連絡が取れません」
げほ、げほ、と激しい咳が聞こえる。空風のようなひゅうひゅうという空気漏れを伴ったそれは、急激に苦しみを伴った物になる。
そして、ラジオからは雑音が聞こえるばかりとなった。

いつの間にか、周囲の家からも街灯からも明かりが絶えていた。
波照間 紅
アッ滅んでる。
KP
この流れなら入らなくてもいいかも。
波照間 紅
佐倉さんが大変なことになってそうな気がする
KP
たいへんなことになってるなー
波照間 紅
呆然と……、その内容を聴く。
そんな内容を耳にしたことはあっただろうか。
昨日まで、きちんと街は騒がしかったはずだ。
波照間 紅
「これ、は……、東雲さん、これは、一体」

目の前の彼女は、この世界に起きたことを知っているかのように思われた。
波照間 紅
「あなたが行かなければならないというのは、そういうことなんですか。
あなたは、もう」その後は口にできなかった。
東雲 圓華
「私は……
四番目を止めようとしたのです。
けれど自分が四番目になってしまいました。

私が地球を全て回り終わったとき、この星の全ての生命は死に絶えるでしょう」
KP
東雲は淡々と言う。
彼女が纏った黒いマントは厚く重そうで、少しカビ臭いような古いにおいがした。垣間見える中に着たブラウスも年代物のようだった。

〈歴史〉〈人類学〉〈服飾系の技能〉で判定。
波照間 紅
1d100 70 〈歴史〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→39→成功
KP
彼女が纏うマントは襟がついた防寒用の物だ。19~20世紀にヨーロッパのヨーロッパの一部地方で、漁師や夜警などが羽織っていたものに近い。

あなたが衣服を見ているのに気付いたか、彼女は白い指でマントに触れた。
東雲 圓華
「これは、四番目になった時に、馬とともに授かった物です」
波照間 紅
「……」
どうして、と問いそうになった。何故、と。
けれど言葉を飲み込む。戦ってくれたというのなら、きっと彼女に問うことは、彼女を悲しませるだけだ。
波照間 紅
「そう、ですか」
一度唾を呑み込み、乾いた舌を顎から引き剥がす。
波照間 紅
「あなたは、止めようとしてくれた、戦ってくれたんですね。
僕達が出会った……、あの時のように」

目を離したら発ってしまいそうな気がして、前を向いたまま片手で部屋の扉を開ける。
波照間 紅
「遅くなりました。
まだ時間があるなら、少し話しましょう。

仕方がなかったとしても、聞きたいんです。
あなたに、僕らに何があったのか……」
東雲 圓華
「ありがとう、波照間さん。
来てみて良かった」
KP
東雲はぽつり、と呟いた。
波照間 紅
結局招き入れそうな流れになりました 間に合うかは知らない
KP
※ここから少し情報収集パートになります。

KP
室内に植物とか置いてありますか?
波照間 紅
大きな物はないけど、ちょっとした観葉植物くらいなら置いてありますね。
KP
扉を開き、中へ入るが、東雲はマントと帽子を脱ごうともしない。
そして奇妙なことに、さっきまで明るかった家の電気が頼りなくまたたいていた。
電力の供給が滞っているのだろうか。
家の中は急速に気温が落ちつつあるようだった。

東雲が部屋に入ると、部屋に置いてあった観葉植物が急速に萎れて縮み、茶色に変色して砕けてゆく。
波照間 紅
植物が、生き物が萎れて縮む様子を目にした。

照明は頼りなくまたたき、先程まで生きていたはずの世界が、彼女を迎え入れると共に死んでいくかのようだった。

彼女がここに来たせいで、この街も死んでしまうのだとしたら。
そんなことを一瞬考えてしまい、首を振る。
波照間 紅
「コーヒーでも淹れたかったんですが、難しそうですね。
お茶でも構いませんか?」

烏龍茶のペットボトルを手に取り、中身をカップに注ぐ。
KP
東雲はそっと首を振った。
東雲 圓華
「……いいえ、そういったものは必要ないので。
でも、ありがとう」
KP
あなたはその貌に死を見る。
見知った女性の背後に絶対なるものの影を見る。
そしてこの街におりる沈黙と闇の正体を知るだろう。
もはやこの周囲に生きているのは自分一人しかいないであろう事を。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1d4
波照間 紅
1d100 72 《SANチェック》 ☆ささぼっと☆ 1d100→10→成功
SAN 72 → 71
波照間 紅
ああ、……思い知ってしまった。
彼女は死。彼女こそが死だ。

あのラジオを聴いた時、体調の悪かった佐倉さんのことが気にかかり、少し迷った。
けれど、思い知ってしまった。

この街にはもう、沈黙しかない。
この周囲で生きて動いているのは、もう僕だけだ。

……どうして、とまた口をつきそうになった。
それを彼女に問い質すことは、意味がない。

自分の分のカップを持ったまま少し凍って、自分が生きていることを確かめようと、それを啜る。
波照間 紅
「……」
声を出すまでには、少しばかり時間がかかった。
波照間 紅
「話しましょう……、
聞かせてくれますか。
あなたに、何があったのか」

せめて、知りたかったのだ。
戦ってくれた彼女に、何が起きてしまったのか。
この星は何を負ってしまったのか。

僕に何かまだ間に合うことがあるのか。
KP
東雲は少し哀しそうに目を伏せた。
東雲 圓華
「私は四番目。役目以外のことはできません。
私にできるのはただ、あと少しの間待つことだけ……」
KP
彼女はそれ以上喋ろうとはしなかった。
あなたのスマートフォンが震えた。
速報が来たらしい。
波照間 紅
「……すみません」
何を言っていいか分からず、彼女の手に手を重ねようとしたとき、速報が来たことに気づいた。
波照間 紅
その速報を確認する。
合わせて、世界の現状を確認しようと、ニュースサイトなどに目を走らせる。

また、マントを着た騎手と馬と死、そして四番目という象徴について、知識で何か思い当たるか、調べることはできるだろうか。
KP
ネットは重く、SNSの書き込みは少し前に爆発的に増え、そしてほとんど途絶えている。
ネットワークが落ちているのか、繋がらないサイトも多い。

断片的な書き込みから、世界中で以上に感染力の強い病が突然広がりだしている事が分かる。
「原因不明」「急速な感染力」「対応策なし」「このまま行けば日本はあと数時間で滅亡……」
そんな絶望的な言葉がネット上に踊っていた。

ただ、分かることはあった。
最初に感染症が発生したのはヨーロッパあたり。それ以前のニュースで、直前に大規模な火災が起きていたらしい。

▼馬などについて調べる
〈図書館〉〈コンピューター〉

▼四番目とは?
〈オカルト〉
波照間 紅
その火災について調べることはできますか?
1d100 76 〈図書館〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→21→成功
1d100 47 〈オカルト〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→68→失敗
KP
▼火災について調べる
〈目星〉〈コンピューター〉〈図書館〉
波照間 紅
1d100 76 〈図書館〉 ☆ささぼっと☆ 1d100→31→成功
KP
悪魔使いであるあなたは、『四騎士』と呼ばれる強大な悪魔を知っている。
詳しく思い出すことはできないが、それらは世界に死をもたらすものたちであったはずだ。
遭遇したら逃げろと悪魔使いたちが囁きあっていたように思う。


検索をすると、『ヨハネの黙示録の四騎士』が現われ、
黙示録が始まったのだという噂が囁かれていた。

第一の騎士は白馬に乗って勝利を、
第二の騎士は赤い馬に乗って戦火を、
第三の騎士は漆黒のような馬に乗って飢えを、
第四の騎士は青白い馬に乗って死を。

人には祈る力も残されない。


また、火事などについてはこのような記事もある。

イタリアで政府転覆を狙った革命軍が勝利したと報じられたのが半日前。
その2時間後には混乱を恐れた欧州諸国が市民の弾圧を始め、
畑も果樹園も焼かれ、そうしたらいつの間にか、みんな空咳をし出した。


「逃げる場所などない」
誰かが嘆く。そこに誰かが答える。
「騎士を止めればいい」
迫る死を恐れる者の途方に暮れたような書き込み。

「どうやって?」
恐ろしい気配がする
KP
セーブポイント前に現われるライダーは許さない。
波照間 紅
ひえぇ。嫌過ぎる。
KP
真3でどっかの街でそういうのありませんでしたっけ。だいぶ酷い目に遭った記憶がある。
波照間 紅
どうでしたっけ。こちらがやったのREMASTER版だからちょっと微妙。
KP
アマラ深界攻略してたら、どっかのセーブポイント前に必ず出るようになっちゃって辟易した覚えがあるんですよね。
波照間 紅
それは嫌過ぎる。どうだっけなぁ、こちらはあんまりその覚えはないかも。
真・女神転生3の四騎士はだいたいターミナル前に陣取っています。ゆるさない。

波照間 紅
「……」
最初は勝利を。次に火を。続いて飢えを。
そして最後に来るのが彼女なのだとすれば、順番は合う。

それが半日前のことだとすれば。
異界で僕が仕事をしている間に、彼女に何かがあって。
それで、みんな死んでしまったというのか。

あまりにも急激すぎて。
それでいて時系列が合ってしまうことに、スマートフォンを持つ手が震えた。

あまりにも急激すぎて実感が持てない。
持てない癖に、じわじわと実感が追いかけてくる。
その死が彼女だというのだから、何を思っていいのか分からなかった。
・『ヨハネの黙示録の四騎士』についてさらに詳しく調べてみることはできますか?
・佐倉さんやBarに連絡を取ろうと試みますが、連絡はつきますか?
KP
では、四騎士について調べようとしていると、まだ動いていたSNSに赤い馬の動画が上がっているのに気付いた。

それはおそらくイタリアの街角で、革命軍の勝利に沸く市民の間を一頭の赤い馬が駆けていくものだった。
馬の上には大きな剣を差した騎士が乗っており、それが通り過ぎるや否や、駆け付けた政府軍に市民が蹂躙され、そこかしこに火をつけるという凄惨な様相へと変わった。

Barに連絡をしようとした矢先、佐倉の番号から電話がかかってきた。
波照間 紅
急いで電話を取る。
KP
かすれた声のようなものと、酷い咳が聞こえ、そしてガタン、という雑音ののち静かになった。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
波照間 紅
1d100 71 《SANチェック
KP
Sasaさんもしずかになっちゃった。
波照間 紅
なっちゃった。
KP
昔自キャラが雑に毒で死ぬシナリオやったなって思いました。→クリフ
波照間 紅
クリフゥウウウウ!!
波照間 紅
1d100 71 ☆ささぼっと☆ 1d100→32→成功
波照間 紅
「!」
まだ、生きているのか!
今すぐにでも駆けつけたい気持ちに駆られ、腰を浮かせかけて背後の彼女を振り返る。

彼女を……、置いてはいけない。
もう何も残っていない、何もできないのかもしれないと思ったから、彼女の手を取っていたかった。
そうではないのだとすれば。

迷う。
きっとあれは倒れた音だ。
すぐに駆けつけて介抱して、そうすれば少しでも、それか合流して対処法を、

けれど彼女を置いてはいけない。
最後に来る死になってしまったという彼女を。
KP
電話の向こうからはもう何も聞こえない。
KP
佐倉は電話かけようとして力尽きて、それを継ごうとした牧志も
みたいな……
波照間 紅
ああー……。
折り重なって倒れていそう
東雲 圓華
「佐倉さんも死んでしまったのですね」
KP
東雲は静かに呟いた。
そこには悲しみも後悔もないような、本当にただ静かな声だった。
彼女にとって死は当たり前のものなのだ。
波照間 紅
「……」
傍らの静かな声が、焦り惑っていた心に冷水を浴びせた。
ああ、今の彼女は「そう」なんだな。
当たり前の、どうしようもないことだって、そう言うんだな。
東雲 圓華
「長居をしてしまいました。
そろそろ発たなければなりません」
KP
東雲は立ち上がった。
波照間 紅
「すまない、置き去りに……、してしまって。
もう少し、いられないのかな。せめて、もう少しだけ」

引き止めるように、彼女の手を取ろうとする。
ここで引き止めていられないかと思ったのも事実だったが、彼女の手を放したくない、このまま一人で行かせたくないのも、本当のことだった。
東雲 圓華
「私はもう行かなくては……
波照間さんもここで死ぬ?」
KP
東雲は小首をかしげた。
東雲 圓華
「一緒に来て下されば、
私はとても嬉しいのですけれど」
KP
東雲はうっすらと微笑んであなたが差し伸べた手を取った。
波照間 紅
「……行くよ。
一緒に、行かせてくれ」

少しためらい、彼女の手を握った。
彼女と共に行く道は、きっと死を見届ける道だ。死と叫びばかりをぶつけられる道だ。

それでも彼女をひとりで行かせたくはなかった。
彼女がもう、あの時手を取りたいと望んだ彼女ではなかったとしても。
KP
その時やっと東雲は嬉しそうに笑った。
彼女の肌はひやりとしてなめらかだった。

コメント By.KP
奥手になってしまったふたりの初デートにこちら提案させていただきました。
静かなところで馬に乗って二人っきりで密着デート!
いやぁ楽しそうですね。

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