TRPGリプレイ【置】CoC『ふえるKPC~あなたが落としたのはきれいなKPCですか?~』 牧志&佐倉 3

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こちらには『ふえるKPC』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
中の水位がぐんぐん下がってゆく。
5分ほどたっただろうか。背後が静かになってしばし。
タンクの蓋が開くと、中にびしょ濡れの佐倉が裸で座り込んでいた。
ぼんやりと目を開けている。
牧志 浩太
「佐倉さん! 佐倉さん、大丈夫か!?」

意識があるか、応えられそうか呼びかけながら、急いで佐倉さんをタンクの中から連れ出す。

同時にその姿を確認する。俺の知ってる佐倉さんで、合ってるか。
佐倉 光
「うーん……牧志……? ここは」
KP
佐倉はぼんやりと周囲を見て、自分が裸であることに困惑している。

あなたが知っている佐倉で間違いないように見える。
牧志 浩太
「よかった、佐倉さんだ……」
生きていること、ちゃんと意識があること、佐倉さんであることを確認して、安堵の息をつく。
KP
佐倉の目があなたの背後を見た。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→7→成功
1d100 85 【アイデア】 Sasa BOT 1d100→85→成功
佐倉 光
「あ、あああああっ! てめぇ!」
佐倉が叫んだ。
「TARONで襲ってきた奴!」
彼が見ているのはあの男だった。
牧志 浩太
背後を見て上げられた声に我に返る。

「佐倉さん! こっちは助けた!」
赤と青の二人に叫ぶ。
KP
あなたの声に、青の暢気な声が応えた。
「大丈夫大丈夫、もう終わってるから。
はい、服!
それからこれ、キミのだね」
KP
青はあなたの横から、黒い服一式とタオル、それからポーチとCOMPを佐倉に手渡した。
牧志 浩太
「え、なんとかなったのか、さっきの……?」

いやあいつらは普通に帰ったのかもしれないけど、いや、本当にこの二人がいい奴でよかった。俺達が本物の佐倉だ! とか言い出さなくてよかった……。
佐倉
「お、目が覚めたんだな! 良かったな、無事で!」
佐倉 光
「あ、どうも」
KP
佐倉はぺこりと頭を下げて受け取り、タオルで体を拭きながら……あなたに
佐倉 光
「え、あいつら誰???」
と困惑した声で問いかけた。
牧志 浩太
「あー、あの男が作った佐倉さんのコピー。ちょっと色々盛られたせいで、だいぶんオーバーになってるけど」

言いながら背後の様子を確認する。
牧志 浩太
……この場所に佐倉さんが三人。何だかすごいな。
佐倉 光
「は? 俺のコピー? は??」
KP
佐倉はぽかんと口を開けた。
佐倉 光
「え、どこが?」
牧志 浩太
「そう、俺もびっくりしたけど。
話してると結構佐倉さんだよ、二人とも」
KP
背後からはあのマシンは消えていた。
あの桃色生物の死体などはないものの、良く分からない粘液などが壁に付着している。
あなたが振り向くと、赤がニヤッと笑って見せた。
あの男は半泣きでへたり込んでいる。逃げる気力もないらしい。
牧志 浩太
応えるように、赤い佐倉さんに向かってにっと笑い返した。
牧志 浩太
あいつらはきっと、要る物を取り返して去っていったんだろう。そのことについては、もう考えないことにする。

この男は……どうするかな。
警察沙汰にすると、俺達が侵入したのもなし崩しにバレそうだし。
友達が攫われて助けようとしてって言えば、厳重注意くらいで済んだりしないかな。

よし、佐倉さんと相談しよう。
縛れそうな物があれば男を拘束して、佐倉さんの方に振り返る。
KP
あなたが拘束しようと男の方を見ると、赤と青が二人で男に何事か言っていた。
男は真っ青でがくがくと首を縦に振っている。
どうやら、二度とこんなことはしませんとか、それだけはご勘弁を、のような言葉が漏れ聞こえた。
牧志 浩太
うーん、大丈夫そうだ。少なくとも、もう一度同じことをされる可能性は…… ない?

それなら、まあ、いいか……。
何を言ったのかは、そっちも考えないでおこう。
牧志 浩太
「やり返したい」という発想がないのは、それでもやっぱり優しいのかもしれない。
佐倉 光
「なんかよくわかんねーけど、また俺助けられたみたいだな」
KP
服を着終わった佐倉がタンクから飛び降りる。元気そうだ。
牧志 浩太
「そうなるかな。
今回はほとんど、あの二人のおかげだけど」
佐倉 光
「仕事終わって帰る途中でいきなりTARONに襲われてさー、撃たれて死ぬかと思ったけど、電気銃かなんかだったんだな。麻痺してる間に糞でかいザルで捕まってさー」
牧志 浩太
「TARONで? それで使うのがザルって、なんだか使う物の大袈裟具合とのバランスが悪いな。
それで、あの中に詰められてたわけか」
佐倉 光
「らしいな。
畜生、エネミーソナー仕事しろ」
KP
佐倉はぼやいてCOMPを発動。
二人に向けた。
そしてモニタを覗き込んでうーん、と唸る。
佐倉 光
「ひとまず人間じゃないことだけは確かだ」
牧志 浩太
「最近本当に多いもんな、COMPが動かなかったり、反応しなかったり……、あ、やっぱり人間じゃないのか」

そんな気はしていた、最初から。力だけじゃない、青い方の佐倉さんの雰囲気も頭の回り方も、人の届く範疇を超えて感じた。
「どーもはじめましてボク!
あいつは大丈夫だよ。
資金とか材料とか、ヤバ~い連中からパクってたみたいだけど、『説得』してお帰りいただいたし、あの謎虫の素材や資金ないとなにもできないから」
牧志 浩太
「そっか、ありがとう。
二人がいてくれてよかった」
佐倉
「いやー、オレたちあんなのからできてるんだな。なかなか刺激的だった」
牧志 浩太
「……何からできてたのか気にはなるけど、知らない方がよさそうだな、それ……」
佐倉 光
「えっ、詳しく。
こんな人間そっくりの、しかも強化版が作れる素材ってなんだよ」
KP
即食いつく佐倉に、青が困ったような顔で笑う。
「ボクはそう言うと思った。
まあでもさ、詳細は知らない方がいいよ。
いつかの、夢の町に行った……というか、連れていかれちゃった時のこと、忘れてないでしょ?
それにもうあいつらに返しちゃったもん」
KP
青は肩をすくめた。
1d100 55 佐倉〈心理学〉 Sasa BOT 1d100→97→致命的失敗ファンブル
佐倉 光
「そうか……残念だな」
KP
佐倉は素直にしょんぼりする。
一方あなたは、青が「ちょろいな」みたいな顔を一瞬した気がした。
KP
青「だって忠告しても見るじゃん……」
牧志 浩太
忠告しても絶対見そう
KP
あいつらのじゃないので引き取ってくれませんでした。
牧志 浩太
じゃないんだ。
牧志 浩太
「……」

まあ、それ以上追及はしない。
きっと、それ以上知らない方がいいこともあるんだろう。
佐倉さんには悪いけど。
牧志 浩太
「それじゃ、さっさとここ、出ようか。
今、何時くらいかな」
自分のスマートフォンに目を落とし、時計を確認する。
KP
今は大体午後5時半くらい。からすが啼いている。

牧志 浩太
他に問題がなさそうなら、三人と一緒にこの場所を脱出する。
「明日の夕方まで……、だっけ」
佐倉
「いや、後片付けとかもしたいから、明日の昼までかな。
外で溶けても困るし。事件になるだろ?」
牧志 浩太
「そうか……、それじゃ、昼まで、かな。
今日くらい、オールしてもいいか」

夕方までで、後片付けもあるから昼まで。
そんな話をしてると、まるで遠くから来た友達と遊んでたような、そんな気がした。

佐倉さんが危ないかもしれないって焦ってて、あんな態度取っちゃったけどさ。
二人と遊ぶのも、それはそれで楽しかったな。
それきり消えてしまうと思うと、感傷がある。
佐倉 光
「溶ける? 溶けるって何だよ?」
牧志 浩太
「ああ、佐倉さんには言ってなかったっけ。
二人とも、明日の夕方には……溶けちゃう、らしいんだ」
KP
青がかくかくしかじかと軽い口調で自分たちの寿命について語った。
「ってわけだから、あんまり時間がないんだよ」
佐倉 光
「えぇぇぇぇぇぇ、それにしちゃお前らあまり気にしてるように見えないな」
KP
佐倉は信じられない、と言いたげに首を振った。
佐倉
「いや、だって……フツーの人間、寿命が5000年ないからってがっかりしたり悲観したりしないだろ? それと同じだよ」
佐倉 光
「いや、俺寿命はいくらでも欲しいけど。
そんな諦め良すぎなの俺じゃねぇよ」
「アハハハ強欲だなぁボクは~」
佐倉 光
「俺から欲取ったら何が残るってんだよ。
やっぱりお前らなんか俺じゃねぇ」
牧志 浩太
その仲がいいのか悪いのか分からない様子を眺めて、ふっと笑う。
「二人ほどあっさりしてはなかったけど、どっちも分かるな」
KP
佐倉は機嫌悪そうに腕を組む。
佐倉 光
「牧志。こんなのに俺名乗られると迷惑だし、適当な名前つけようぜ」
牧志 浩太
「そうか?
……名前か。いいけど、やっぱり佐倉さんって呼んじゃいそうだな。

じゃあ、そうだな」
スマートフォンで何か調べだす。

「うん、合ってる。
呼びづらいかもしれないけど、
赤い佐倉さんが緋寒ひかん、青い佐倉さんが深山みやまで、どう?」
さくら
KP
桜かー。早くいなくなっちゃうことも合わせていいネーミングだなぁ。
牧志 浩太
ああー、牧志もPLもそこまで考えてなかったけど、そんな意味まで乗っちゃう。なるほど。
牧志 浩太
因みに緋寒桜(最近は彼岸桜との区別で、寒緋桜って呼ぶ方が多いそうなんですが、語呂の関係で緋寒にしました)は濃い赤の桜、深山桜は白い桜ということで、一応色も意識しました。
KP
いい名前をありがとうございます。
牧志 浩太
いえいえ。名前をつける機会があるのもあの時と重なるようで楽しいです。
今回、確かにこれは牧志PCだと本当に色々重なる。
KP
偶然だけど、「紅」って字が入ってるのも因果を感じるなぁ。
緋だけどねー
牧志 浩太
ああー、確かに。「紅」と「緋」って共通項。
牧志 浩太
ログで表情差分が拾えるおかげで顔芸もできる わーい
KP
顔芸残るの楽しいですねー
牧志 浩太
ですね。くるくると変わる表情が残るの本当に楽しい。
ココフォリアでもログに残ってほしいなぁ。

緋寒
「緋寒?」
深山
「深山かー。さくらだね。
ありがとう、牧志くん!」
緋寒
「オレの名前、か。悪くねぇな。サンキュ、牧志!」
深山
「あとボク……光も。ありがとう。
気遣ってくれてるんなら、もーちょっと素直に言ってくれた方が喜ばれると思うよ?」
KP
深山はやれやれ、と言いたげに肩をすくめ、
佐倉 光
「俺の記憶程度で知った気になってんじゃねぇぞ!」
KP
佐倉はやっぱり噛みついた。
牧志 浩太
「ああ、そういう。お見通しってわけだ」
やっぱり仲がいいで合ってるんじゃないかな、とまた笑う。
牧志 浩太
「じゃあ佐倉さん、緋寒、深山、どこ行こうか。時間的に、とりあえず飯かな? 何食う?」
深山
「バーガーは昼に食べたしー、コンビニ飯もさっき食べたしー。
それ以外何でも食べたい!」
緋寒
「オレは肉系だと嬉しい。ソーキ蕎麦ってのもいいな!」
佐倉 光
「めんどくせぇなお前ら」
KP
佐倉は呟いて、
佐倉 光
「牧志、ちょっと遠いけどショッピングモールのフードコートにでも行こう」
牧志 浩太
「お、いいな。色々あるしな、あそこ。ゲーセンちょっと寄って、その後飲みに行って、それからは何がいいかな、オールでカラオケ?」
緋寒
「おおー、いいな、欲張りセットだ!」
深山
「ボクいつ溶けてもいいって言ったけど、溶けてる場合じゃないよこれ!」
KP
はしゃぐ二人を見て、佐倉はとうとう吹き出すように笑った。
佐倉 光
「明日の昼まで休む暇ねーからな! 覚悟しとけ!」
KP
そして先頭に立って歩き出す。
牧志 浩太
「最高だろ!」
その次に続いて歩き出す。満面の笑みを浮かべて。


ふえるKPC

逆立ちスクランブル
塩化物イオン(B)様 作
END


エンディングは『もうちょっとだけ』続く。

KP
フードコートにて。
深山
「わー、ボクあれもあれも気になる! 牧志くんシェアしようよ!」
緋寒
「オレは大盛りと追加と小鉢も足して……」
佐倉 光
「財布は一つなんだから少しは加減して!?」
牧志 浩太
「あ、ああー、俺も出すから!
あ、東浪見。ああ、あの人達佐倉さんの親戚で今だけ来てて、あ、東浪見も一緒に食うって? いいよ、じゃあもう1席取っとく」
KP
人が増えた!
牧志 浩太
東浪見と緋寒の大食いコンビを見たかった。
KP
しばらくして東浪見が現われ、わいわいと食事をとる。
緋寒
「目の前で見ると迫力が違うなぁー。
あ、オレ佐倉のコ……またいとこの緋寒! よろしく!」
KP
緋寒は東浪見に競うように食べ始める。
深山
「わー、胃袋四次元かな? あ、ボク深山ー! 短い間だけどよろしくねー」
佐倉 光
「食べ盛りのヤツでもこんな食わないだろ」
KP
 小食組は水飲みながら半分呆れて見物してる。
東浪見 空
「お、そっかそっか! 俺、東浪見。牧志と佐倉さんの友達! 緋寒さん、深山さん、よろしくなー」
牧志 浩太
「明日の昼までいるんだ。それでさ、今日は力一杯遊ぼうって」
東浪見 空
「お、いいじゃん。オール?」
牧志 浩太
「そうそう。カラオケ」
そんな話をしながら、東浪見は緋寒と並んで次々と食べている。周囲の人たちが唖然としていたり、よく食べるねぇとにこにこしながら眺めていたりする。

KP
食事が終わり、少し飲もう、なんて話になるだろう。
深山
「佐倉くんてまだ飲めない歳だよね? ボクたちどうなるんだろ」
佐倉 光
「そこ気にする? にん……じゃないし別に良くね? 俺はノンアルにしとこ。
……酒の強さってどうなんだ二人とも」
緋寒
「あ、オレ生お願いしまーす」
牧志 浩太
「決断が速い速い。まあ、あれって成長に悪影響だからって話だから……、緋寒と深山は、いいんじゃないかな」
そう言う時だけ、少し言葉の端が沈む。
牧志 浩太
「あ、俺も同じので!」
一度沈んだ語尾をまた持ち上げる。
深山
「じゃあボクこれがいい」
カクテルを楽しそうに選び始める。
牧志 浩太
東浪見は明日早くから練習らしく、休養してくる! と言って一旦帰った。カラオケには合流するからって…… オールだぞ!? って確認したら、終わったら寝るから大丈夫って、うーん。
KP
深山は東浪見はいつ戻ってくるのかと気にしていた。
佐倉は珍しく、たまに写真や動画を撮っていた。
牧志 浩太
「あ、確かに」
佐倉さんが動画や写真を撮っているのに気づいて、倣って撮り始める。
確かに、この姿は残しておきたい。

三人を一緒に画面に収めて撮って、それから俺も入る。
東浪見が戻ってきたら、あいつも入れよう。
KP
二人は酔っぱらうことはないらしかったが、その雰囲気を大いに楽しんでいるようだった。
佐倉 光
「緋寒が酔っぱらって制御なくしても困るし、正直助かった」
KP
佐倉はあなたにこっそり漏らしていた。
二人には秘密である。
牧志 浩太
耳打ちされた内容に苦笑する。
確かに、そうなってたら誰も止められなかったな……。
ラミアさんでも止められたか怪しい。
KP
あの常識外れのパワーを目の当たりにしていなくとも、
『TARONを一撃で沈めた』という言葉だけでそのヤバさが伝わるのである。
佐倉 光
「だって確か物理耐性あったんだよあいつ!?」

KP
酒の席での佐倉は、自分がいなかった間の話と、二人の正体について聞きたがった。
二人の正体については、
深山
「まあそこはいいじゃん。知ったからっていいことないよ」
KP
深山がにっこり笑ってそう言うと、そうかな、という気分になってしまうのだった。
牧志 浩太
「映画行こうと思って待ってたら、二人が来てさ。

最初、全然別の偽物なのか、佐倉さんがどうにかなったのか分からなくて困ったんだ。

佐倉さんが今もピンチになってたら、遊んでる場合じゃないって思うのに、二人ともなんだか無下にできないしさ…… あ」
牧志 浩太
「深山、映画のあの考察! あの考察話してくれよ」
佐倉 光
「えっ三人だけで映画見に行ったのかよ、ずっりぃ」
深山
「まあまあ、映画は来月までやってるから。
それよりさー、聞いてよ……」
KP
深山の話を最初不機嫌そうに聞いていた佐倉は、あっという間に話に引き込まれてしまった!
牧志 浩太
一気に話に引き込まれてしまっている!
その鮮やか振りに目を見張る。

緋寒の力が目立つけど、深山もやっぱり十分異様だ。本当に、二人ともいい奴でよかった、そう思う。

牧志 浩太
男の家に向かってから、そこで何があったかという話もした。
佐倉 光
「俺……さらわれすぎじゃない?」
緋寒
「そう思う」
深山
「多分ね、牧志くんの生贄体質と似たようなものだと思うよ。
巻き込まれ体質……みたいな? 更に自分から頭も突っ込むしさ、光」
牧志 浩太
「……巻き込まれ体質と生贄体質なのか? 俺達。それは色々あるわけだな」
焼酎の猪口を片手に苦笑する。

緋寒と深山がずっと居てくれたら心強いのにな、そう一瞬思って、そうなったらなったでトラブル多そうだ、と軽く首を振る。
佐倉の初期クラスは『候補者』。
女神転生の主人公属性持ちなので巻き込まれ体質は当然なのかも知れない。

牧志 浩太
「そういえば結局、あの夢はただの夢だったんだな。

泉から押しの強い天使が出てきて、あなたが落としたのは金の佐倉さんか銀の佐倉さんかっていう……。
最初それで、余計に混乱したんだ」
佐倉 光
「なんだよそれチョコボールかよ。
あと俺落ちたんであって落とされたんじゃないだろそれ。
大体こいつら俺と似てねぇし!」
KP
ツッコミが追いつかなかった。どうやら佐倉はそんな夢は見ていないらしかった。
牧志 浩太
「そっか、じゃあ今回は偶然だったんだな。
タイミングの悪い夢見たせいで混乱した。……」
佐倉 光
「最近変な夢ばっか見てるからなぁ。
夢共有したりしてたし、その影響かもな?」
緋寒
「さっき泉から聞いたんだけどな? あ、泉って『自称親父』のこと。
オレたち、ベースから色々強化する関係で変えてるんだってさ。
似てないのも当たり前だな。
だからその影響で……」
深山
「泉? もう逃げちゃったんじゃない?」
KP
深山の言葉は、緋寒の話をわざと遮ったように聞こえたかも知れない。
牧志 浩太
深山がわざと話を逸らした。
それに気づきはしたが、何も言わず、焼酎に口をつける。
安いのに美味しいよな、これ。
緋寒
「それ飲んでみたい」
牧志と同じ焼酎を注文して飲んでる。
深山
研究資料やサンプルは軒並み破棄しといたし、あいつならもうほっといても大丈夫だよ」
佐倉 光
「破棄したぁ!? なんて勿体ないことを。
おまえらやっぱり俺と似ても似つかねぇじゃねーか!」
牧志 浩太
「まあまあ。残しててあいつにまた同じ事されても困るしさ」
だろ? と、佐倉さんに焼鳥をすすめる。
佐倉 光
「美味いな……」

KP
ゲームセンターにて。
東浪見 空
「よっ、緋寒さん」
東浪見が戻ってきて、眠そうな様子も見せずにひょいと手を上げる。
緋寒
「おっ、東浪見おかえりー。対戦やろうぜー!」
KP
指さすのは太鼓型のゲーム機である。新曲の所に暁月 ミントとあった。
東浪見 空
「おっ、いいじゃん。やろうやろう」早速バチを構える。
牧志 浩太
「二人とも壊すなよー、特に緋寒」
緋寒
「撫でるように撫でるように……」
ぶつぶつ言いながらバチを振るう。リズム感はまあまあ。叩いているのはいつかのハロウィンで流れた曲だ。
緋寒
「この曲いいよな~」
東浪見 空
「いいよな! この後カラオケだろ? 歌おうぜ」
リズム感はちょっと外し気味といった所だが、楽しそうに叩いている。
暁月 ミント……歌手。東浪見と牧志の同級生である。
佐倉はそうと知らず彼女の歌を気に入ってよく聴いていた。
詳しくは『100万回目のハッピーバースデー』にて。
深山
「あと100円で落ちるから! ねーあと1回」
佐倉 光
「うるせぇ確率機なんかに払う金はねぇんだよ!」
深山
「でもこれどう見てもジャックフロストだよ!」
牧志 浩太
「深山、それもいいけどこっちで落ち物パズル対戦しないか?」
深山
「わーいやるやるー!」
KP
あっさりとクレーンから離れてパズルの方に興味津々。
牧志 浩太
「よし、真剣勝負だ! これさ、反射神経もそうだけど思考力が勝負になるやつで……」
佐倉 光
「ゲーセンってほとんど来たことないなぁ、俺」
牧志 浩太
「三人対戦モードあるけど、佐倉さんもやる?」
ゲーセンに殆ど来たことない、という呟きを聞きつけて振り返る。
佐倉 光
「お、やるー」
KP
手持ち無沙汰だった佐倉は嬉しそうにパズルに混ざる。
深山
「ボク、思考はともかく反射はあんまり自信ないなぁ」
牧志 浩太
「実は俺も。思考力でカバーしていこう」

結果がどうなったかはさておき、「盤面展開は遅いのに、やたら高度なバトルしてる一団がいる」と注目を浴びたとかなんとか。

KP
夜中回ったあたりでカラオケに突入。
とりあえず佐倉と深山と緋寒で曲の取り合いが発生し、最終的には合唱していた。
緋寒
「東浪見ーさっきの曲入れたから一緒に歌おーぜー」
東浪見 空
「おっ、いいじゃん」
牧志 浩太
「俺も入っていい?」
そんなこんなで結局全員で合唱になったとか。

夜が更けてくると、次第に空気が穏やかになってくる。
誰かが歌ったり歌わなかったり、何となく駄弁り始めたり、夜食にしたり。

そろそろ、積まれたポテトの前で誰かしらうとうとし始めているかもしれない。
東浪見は元気だった。
KP
佐倉は早々に喉嗄らして寝てる。

KP
朝方大分グッダグダになった時間に、牧志がトイレに立つと深山がついてきて言う。
深山
「一個お願いがあるんだ。
ボクたちが帰るときに佐倉くんがついてこようとするかもしれないし、時間をおいて見に来ようとするかも知れない。
それとなく夜まで止めといてくれないかな」
牧志 浩太
「……分かった。止めとくし、寝てたら起こさないでおくよ」
深山
「……まあ、体力使い果たしちゃって、そんな心配要らないかなとは思うんだけどね」
牧志 浩太
「佐倉さん、絶対やりそうだもんな」

その時を思うと、またふっと感傷がついてくる。
顔に出さなかったつもりだけど、きっとバレてるだろうな、深山には。
深山
「どんな理由だったとしても、だよ。
生きてる時間の9割遊んで終わるなんて最高なんだからさ、気にする必要はないんだよ」
KP
深山はあなたの目を見据えて言う。
牧志 浩太
「なんだ、お見通しか。だよな。
大丈夫、ちゃんと止めるよ」
深山
「さーて次何歌おうかな~」
KP
などと言いながら部屋に戻っていった。
牧志 浩太
その後姿を見送ってから、飲み放題のドリンクを起きてる面子の分だけ追加して部屋に戻った。
知りたい
KP
佐倉 強化コピーはすっごい技術なので詳細知りたい
深山 泉の研究は全部葬りたいし、特に佐倉には教えたくない
この辺の話、後でもうちょっとだけやろう。
牧志 浩太
牧志 佐倉さんの気持ちも分かるけど、知らない方がいいんだろうなと思ってる
あの時とは素材も状況も違うっぽいけど、紅さんとしての実感もあるから余計に。>知らない方がいいんだろうなと思ってる
どたばたに終わった関係で、結局佐倉さんは聞きたいことが多いし、牧志も話したいことが多いから長くなるw
KP
話の都合で佐倉あっさり飲み込んでいるように見えるけど、飲み会の間に目茶苦茶事情訊きまくってると思います。
〈心理学〉ファンブルのせいで、「一番大事な素材はなくなった」と納得しちゃってるけど。
牧志 浩太
それはもう訊きまくってそう。東浪見が戻ってくるまで延々と。
緋寒が口を滑らせそうになる度に深山が鮮やかに話を逸らしてそう。

あそこの〈心理学〉ファンブルはあまりに鮮やかでした。ダイスの女神が知るなと言っている。

KP
終了時間が近づき、しばらく話に花が咲いて途切れがちだった歌がまた連続で入り始める。
佐倉も起きてきて、眠そうな目で画面を眺めていた。
牧志 浩太
なんとなく身体を浸す眠さに任せて、地元では歌わないけど出身を言うとだいたい歌わされる歌とか、そんなのを歌ったりもした。

最後の2曲くらいを、起きてきた佐倉さんとずっと元気だった東浪見とも一緒に、みんなで歌っただろう。

KP
カラオケ屋を出ると、ぼんやりと空が明るい。
緋寒がまぶしそうに東の空を眺めていた。
牧志 浩太
目を細めて東の空を眺める。眠気ににじんだ眼に、覗き始める陽の光が眩しい。
KP
近所の蕎麦屋に寄って、ちょっとした食事を摂って出ると、街が目覚め始めていた。
深山
「一気に人の世界になるって感じだねー」
深山が呟く。
牧志 浩太
「だな。目が覚めてくる感じがする」
佐倉 光
「東浪見今日何かあるって言ってなかった? この時間までいて大丈夫なわけ?」
東浪見 空
「俺? 直行するから大丈夫」
よく見ればスポーツバッグを持っている。
佐倉 光
「えぇぇぇぇ今からまだ動くの? すげぇな」
東浪見 空
「大丈夫大丈夫、さっき歌って目が覚めたし」
牧志 浩太
「徹夜はできても、そこから練習は普通できないよ」
東浪見 空
「そうか?」
緋寒
「オレはまだいけるぞ!」
深山
「何張り合ってんの。ボクは運動はちょっと無理かなー」
佐倉 光
(東浪見悪魔以上か……)
深山
(ボク悪魔じゃないし、悪魔だって人それぞれじゃん)
東浪見 空
「なんなら練習見に来るか?」
昼まで……
KP
昼までどうしようかな。散歩でもしますか。
誰かの家で遊んでもいいけど。
牧志 浩太
いいですね。練習行く東浪見と別れていつもの街を散歩かな。二人の日常を味わう感じにもなるし。
と思ったら東浪見が第三の提案をしてきた
KP
なるほどそれもアリ。

緋寒
「行きたい!!」
緋寒は元気いっぱいである。
東浪見 空
「お、じゃあ来い来い! 牧志と佐倉さんと深山さんは?」
深山
「ボクは科学技術館行ってみたいかなー」
佐倉 光
「昼までに戻ってこられないなそれは」
牧志 浩太
「じゃあ、ちょっとだけ東浪見の練習見に行って、パンでも食いながら練習見て、開く時間になったら科学技術館でどうだ?」
佐倉 光
「まあ、1時までと考えて……見られるの1時間くらいかな。
それでも良ければ」
深山
「それでいいよー! 練習もちょっと見たいし」
のびるのびる
KP
科学技術館は11時30分からです。
牧志 浩太
おおっと案外始まるの遅い。
あとで訂正されますが、正しくは9時30分です。
KP
ここもダイジェスト気味で。
思ったより伸びてるエンディング。
牧志 浩太
何かと楽しくて&案外話すことがあってつい。
あと二人に名前をつけた時点で存在感が上がってしまって。>話すこと増える
KP
それはそうですね!
牧志君(紅さん)と似た立場だって事と、個人趣味でつい。
牧志 浩太
そうそう、1日だけってことも人間ではないことも含めて立場が似てるし、それに何だかんだで楽しい二人なので、名前で呼べて一緒に遊べて楽しいです。

最初の映画見てる所、牧志がちょっとシリアスだったので存分に遊びきれてなかったですしね。

緋寒と深山
【コピー二人について】

■緋寒(赤)
STR・CONが高く、戦闘技能に長けている。
佐倉の精神力・知性・察しの良さはというと、素材の関係でだいぶ弱められて人並みである。
ベースが佐倉なのにほとんど佐倉らしさがないのは、正反対に振っているため。
素材と同様火に弱いので、たぶん穂坂さんには弱い。
別に戦いが好きというわけではないのだが、力を押さえるのに苦労をしているため、『全力で戦っていい』のは嬉しい。
東浪見と遊びたい。体動かしたい。楽しいこと大好き。性格は意外と穏やか。

■深山(青)
APP・INTが高く、交渉系、ハッキング能力に長ける。
思考は割と佐倉に近いが、基本善人であり悪意もない。
ちなみに執着がないのは元々『自分たちのリミットについては受け入れている』『性格が綺麗な佐倉』という理由もあるが、佐倉が得ているダオロスの知を抑制なくそのまま使えるからでもある。
では肉体は佐倉並みに弱いかというと、素材の関係で肉体の力も普通にそこそこある。目立つのは佐倉より低いDEXだろうか。
ハッキングで大抵のことはできるわ本気で相手に命令しようとすれば大抵のお願いは聞いて貰えるわで、実は緋寒より危険な存在である。彼に悪意や強い欲が入り込まなかったのは幸いと言うほかない。

牧志 浩太
なるほどダオロスの知!! そういう!
そりゃ超越的にもなるわけだ。

あれをそのまま使えて、本気でお願いすれば何でも聞かせられてハッキングで何でもできる深山、思った以上に恐ろしい存在……!

本当に「二人ともいい奴でよかった」んですね。制限付きとはいえ、深山に悪意や強い欲が入り込んでいたら最終的には牧志にも緋寒にも止められないだろうし(お願いが強すぎる)。

>研究所脱出時
「投げた」「説得」の内訳!
それは勝てない。


コメント By.KP
実はシナリオ本編は2でほぼ全部終わっています。
茶番はここまでだ!

3と4はほぼ全部超ボリュームのエンディングです。
KPC増えたんだからエンディングも増えるさ!

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何だかちょっと、死を受け入れるまでの古い儀式のようにも思えた。

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