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こちらには『blood red decadence』
ネタバレがあります。


本編見る!


2日目 夕方


佐倉 光
佐倉はリビングを探索します。
牧志 浩太
物置を探索します。
KP
物置は広く、あまり整理されていないようだった。
電気を点けても薄暗く、雑多な物の中で捜し物をするのはなかなか骨が折れそうだ。

物置には、掃除機や古い本、埃をかぶった家具があった。
また、部屋の中央には長持のような箱が置いてある。
〈目星〉
牧志 浩太
「うわ、結構広いな。家具まで押し込んである…… 何だ、あの箱?」
1d100 89〈目星〉 Sasa BOT 1d100→11→成功
KP
箱は大きく、まるで棺か何かのように見えた。
実際人一人入ることはできるだろう。

箱の中にはあなた方の持ち物が入れられていた。
スマートフォンやミニPCなどもそのまま入っている。
だがあの時着替えた服と、その時外したらしいCOMPはそこにはなかった。
牧志 浩太
「! あった!」
荷物だ。急いでスマートフォンが動くか、電波が来ているか確認する。
KP
スマートフォンは問題なく作動するし電波も来ているようだ。

KP
リビングには分厚いクッションが乗った広いソファ、リビングテーブル、暖炉がある。
テーブルには本が数冊乗っている。どれも吸血鬼を題材にした小説、オカルト雑誌の特集ムック、映画、漫画まで。
佐倉 光
創作の吸血鬼か……まあ確かに牧志の特徴は一般的なイメージに近い物があるな。
有益そうな本がないか探してみる。
KP
月刊アヤカシの別冊がある。

民話や伝説などに登場する存在で、生命の根源とも言われる血を吸い、栄養源とする蘇った死人または不死の存在とされている。
現在では様々な伝承や創作が混在し、厳密に定義することはほぼ不可能になっている。

多く見られる特徴として、不老不死、日光が苦手、鏡に姿が映らない、瞳が赤い、銀製の武器に弱いなどがある。
十字架が苦手という説は教会の威厳を示す目的や、元の人間の信仰心によるものが大きいとされるため現在の吸血鬼の特徴としてそぐわないこともある。
佐倉 光
実際にそういうものがいて、それを元に創作した……にしてはバリエーションが多いよな。
狂犬病かなんかだとは思うけど。
まあ……現実問題、牧志の牙は伸びてる、目は赤くなってる、何かに取り憑かれている。
狂犬病なんかじゃない。
中にいるのを追い出せば治る、ってんならいいんだけどな……
佐倉 光
それにしても少しくらい有益な情報があってもいいじゃないか。
KP
素で練炭と火鉢共有し忘れた気がするけど、今の牧志は焼き肉食えないしまあいいか!

KP
部屋の隅にワインを収納するためのラックが置いてある。
割と最近出された物らしい。周囲の家具とはホコリの付き方が違った。
急いで動かされたのだろうか、置いてある場所も「ちゃんと決められた位置」といった雰囲気ではなく、ひとまずそこに置いた、といった感じだ。

よく見ると、この部屋は奇妙だ。
外周はきちんと片付いているが、そこに新たに物を適当に置いたのだ、というのが見て取れる。

ただ、この部屋には他にあなた方の役に立ちそうな物は見当たらなかった。


ふと先ほどの箱の下を見ると、床に出っ張りがあった。
四角く飛び出ている。蹴りつけてみると虚ろな音がした。
ここには地下室があるのだろうか。
牧志 浩太
先程は気づかなかった違和感が目に入った。片付いた物置に後から物を急に入れたような感じがする。

この出っ張り、取っ手か?
引いてみて、地下室の扉が開くか確認する。
KP
地下の扉と思われる所には箱が乗せられているが、
どけてしまえば問題なく開きそうだ。
だが、扉に手をかけたとき、
あなたの腹の中で何かが蠢いた。


そろそろ腹が減らないか?
まずは食事を摂ろう。
餌はまだ元気だ。それほど拒否されてもいない。あれは喰らえる。
牧志 浩太
「あ……、」
そうか。もう、そんな時間なのか。
牧志 浩太
※地下室の扉を開ける前に夜になってしまう認識で合っていますか?
KP
ある、ということを知った時点で夜中です。
結構広くて見る物いっぱいあったからね、この物置。
牧志 浩太
OK、ありがとうございます。
KP
有益な本とかないかなと思ったらそれはもう隅々まで見なきゃいけないから……

佐倉 光
やけくそ気分で暖炉の灰の山を探ろう。
前にも灰の山に大事な物が埋もれていたことがあるのだ。
KP
暖炉の灰を丁寧にかき分け続けていると、
燃え残りらしき紙きれが出てきた。
佐倉 光
ビンゴ! こういう所に結構思わぬヒントがあるもんだよな!
焼き捨てようとした大事な書類とか、呪文の紙とかさ!
KP
紙は焼け焦げていて、ほとんど読めなかった。
辛うじて読めたのはこの程度だ。

『人間に強制■可■。何も■ない場■死■は■
時間がない■■ま計画を実■■』
佐倉 光
強制? 計画? 死……
紙きれに書かれた不吉な言葉が不安をかき立てた。
計画、ってなんだ。
俺達が置かれている、この状況のことか?

結局有益な情報は得られなかったという焦りだけを抱えて部屋に戻る。
KP
彼らこのヒントなんてなくても思いつくから大丈夫大丈夫! (もやした)
牧志 浩太
ふふふ これはいい燃やし方だなと思いました

牧志 浩太
感覚がひどく冴え、空っぽになった身体が飢餓感と裏腹に活性化していく。
外の光なんてこの物置に来てから見ていないのに、床に線を描く光の色が、冷たく変じていくのが分かるような気がした。

全身が夜の訪れを歓んでいる。
食欲が腹の奥で蠢き、のたうつ。這うように延髄から吹き出して、脳の中を飢えで埋めていく。

夕方にあんな話をしたからだろうか。
今更、自身が別のものに変わっていくような恐怖を覚えた。

ああ、だめだ、だめだ。
今のうちに寝室に戻って、血を、違う。
俺を縛っておいてもらわないと。
もし俺がまたああなってしまっても、あんなことができないように。

急いで寝室に戻る。佐倉さん、戻ってきているだろうか。
KP
人間牧志が「これなら大丈夫」と思う度に、吸血鬼牧志が吸血鬼的な利点を嬉々として思い付くのが面白すぎなんですけど。
牧志 浩太
あ~そういう そういう 面白すぎる
KP
佐倉が吸血鬼になっても「いつも通りの対応」をし続けた牧志、吸血鬼になっても「牧志」で居続ける。
さすがの我の強さ。
牧志 浩太
確かに。

KP
寝室では、佐倉が何冊かの新しい本を見ながら食事を摂っていた。
あの会食の残り物がそろそろ尽きる頃だろうか。
切って焼いただけの肉と適当に千切った野菜がラインナップに追加されていた。
牧志 浩太
「佐倉、さん」
距離を取って、慎重に声をかける。
佐倉 光
「ああ、お帰り。なんかあったか?
こっちは駄目だ。こんな紙きれとオカルト本があっただけ。
吸血鬼絡みばっかりだけど、暇つぶしにはなりそうだぜ。潰す暇なんかないけど……」
KP
佐倉はそこまで言って、あなたが一向に近づいてこないのに気付いたようだった。
佐倉 光
「どうした?」
牧志 浩太
「紙きれ? ……燃やされてるな。燃やしたってことは、処分したかったのか?
ほとんど読めないけど、一応心に留めておくか。

こっちは、物置で地下室の扉を見つけた。ちょっと、開ける時間はなかったけど。箱どかせば開きそうだ。
後は、俺達の荷物があった。COMPと服はなかったけど、スマホとか佐倉さんのミニPCもあって、電波も来そうだ。
佐倉 光
自分のスマートフォンやPCをちらりとチェックして安心した顔をする。
牧志 浩太
……佐倉さん。一つ、頼んでもいいかな」
もう、限界が近いのを感じ取っていた。
甘い匂いはこの距離でも絶えず自分を急かしていて、喋ろうとすると、もどかしそうに震える口の中でかちかちと牙が当たる。
佐倉 光
「ああ。何」
(限界、近いんだな。
夕方の宣言は反故かな……
やっぱり飲ませてくれ、ってとこか)
牧志 浩太
「拘束具、あったよな。俺を縛っておいてほしい。
手枷以外は自分でもつけられるけど、無意識に緩くしてしまうかもしれないから」
佐倉 光
「……えっ? あ、ああ。そうか。分かった」
昼間のことを思い出した。本気だったのか。
「けど、それでいいのかよ。辛いんだろ?」
心のどこかでほっとしながらも『余計な』問いかけをする。

余計? 当然の気遣いだろうが。
KP
いつもなら割と「牧志にこんなことさせるなんて!」って怒りが涌いたり気遣ったりできるんだけど、あまりにも襲われる恐怖が強すぎてカオス気味になってる。
牧志 浩太
牧志の心情もカオスなら佐倉さんの心情もカオス。
楽しい。
牧志 浩太
「いいよ。佐倉さんも、相当痛いって言ってただろ。それに……、俺がああなっても、何とかできる手段が欲しいんだ」

何とかできる手段があれば。
そうしたら、もしかしたら。

佐倉さんは逃げないでいてくれるんじゃないか。
制御可能であれば、そうしたら、もしかしたら。

少しくらいは吸わせてくれるんじゃないか。

違う。
違う、そうじゃ、ない。
心細さと痛みと飢えと食欲が脳の中でぐちゃぐちゃに入り混じって、何を考えていたのか分からなくなりそうになる。

「頼む」
辛うじて感情を捕まえて、一言。
微かに震える両手を差し出す。
佐倉 光
「分かった……」
KP
佐倉は手枷を手に取ると、あなたの手に装着した。堅い金属と革でできた手枷はあなたの手首をしっかりと固定し、思ったような動きがとれないよう括りつける。
試しに腕をひねったり引いたりしても、手枷は冷徹にその動きを封じた。

これならば、佐倉を襲わずに済むだろう。
これでは獲物が襲えない。

相反する想いが混ざり合う。

佐倉 光
これで吸われなくて済む。
けどこれでいいんだろうか。牧志が明日血が吸えなくて死んでいたら?
血が吸えないことで、何か悪い影響が出たら?

牧志 浩太
ああ、と息を吐く。
これなら、動けそうにない。

獲物はまだ近い距離にいる。噎せ返るような甘い匂いに、牙ががちがちと鳴る。
今なら、今なら手が使えなくても、噛みつけるんじゃないか。どうしてこんなことをしているのか、分からなくなりそうになる。

「牙を……、口を塞いで。鉄のやつ、あったはずだ。それから、首輪をかけて、鎖をそこの柱に。足枷を繋いで、あと、見ているとおかしくなりそうだから、目隠しも。

俺は、大丈夫だから」

それはもう、誰に言っている言葉なのか分からなかった。佐倉さんに言ったのかもしれないし、腹の奥から這い上ってくる自分自身に言ったのかもしれなかった。

大丈夫である確証なんてなかった。でも佐倉さんを殺してしまわない確証だって本当はない。

佐倉 光
「……そこまで?」
これは、付けた方が気分的に楽、ってやつだな……きっと。
けどフルセットで付けたら寝づらくないか。
っていうか床で寝る気かお前。

ふと、隣の部屋の魔除けのことを思い出した。
あそこが使えるか試した方が良かったかも知れない。
しかし……
「分かった。痛かったら言えよ」
牧志 浩太
頷く。

KP
佐倉の細い指があなたの首に革製の首輪を巻き付け、鎖を付け、ベルトで口を押さえつけ、足かせを繋ぐ。

あなたに目隠しをする前に、佐倉はベッドから枕と毛布と布団を引き剥がして柱の側に置いた。
「吸血鬼って風邪引くのかな?」
などと言いながら。

最後にあなたに目隠しをするとき、
あなたの鼻先を濃い血の匂いがよぎった。
牧志 浩太
細い指が身体の横で動く度に甘い匂いが動いて、身体が少しずつ動かなくなっていく。

何か応えようと口を動かしても、牙が無機質なベルトを噛むだけだ。
全身が封じられ、締めつけられていく。置かれた枕に頭を預けると、これで大丈夫だという安心感と、死の恐怖を纏った酷い焦りが頭の中を掻き乱して、全身を括られたまま身体を小さく震わせた。

最後に視界が閉じられるそのとき、鼻先を濃い香りが掠めた。

KP
あなたの目の前には、全身括られ、目隠しをされ口を塞がれた牧志がいる。
誘拐現場かSMかといった異様な光景だ。
佐倉 光
なんで俺、牧志をこんなゴテゴテに拘束しなきゃならないんだろうな……
とてもやりきれない気分になった。



2日目 深夜


牧志 浩太
自分の中のどろどろと入り混じった感情のことを考えながら、いつの間にか意識が一瞬、途切れていた。

ふと目を覚ます。
気づけば真夜中だ。

夜の大気のいい匂いが、甘い香りと混じって鼻に届く。
視界がない分、より獲物の動向に集中できた。

ひっきりなしに急かしてくる飢餓感さえ、極上の食事への期待感になって、胸が高鳴った。
KP
目が閉じられようと、あなたの鋭い嗅覚はあなたの唯一の獲物、佐倉の動向を逐一捉えていた。
しばらくPCやスマートフォンのチェックをして調べ物をする。
本を読む。
時たまあなたのことを気にしているのか手を止めこちらを見る。
服から何か金属製の物を出して、枕元に置く。かすかな火薬のにおいがする。あれは拳銃だ。

時折部屋を出て行っては戻るが、用を足しに行っているわけではなさそうだった。

随分と長い間、寝台で寝苦しそうに転がり、随分遅い時間になって寝息を立て始める。
寝息が徐々に深く、安定してゆく。
眠ってしまったのだろうか。

この程度の拘束で行動が制限できると思ったのだろうか。
好期だ。
牧志 浩太
次第に動きが減り、やがて寝息が安定してゆくのを、じっと待つ。じりじりと焦燥が延髄の奥を焦がしていく。

拘束を軽く揺さぶる。
何の動揺もなかった。
怖いのはあの銀の弾だけだ。

躊躇いなく動き出そうとして──
何かを思い出しかけた気がした。

※というわけで我慢を試みます。
KP
お、では判定をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 60 POW Sasa BOT 1d100→17→成功
KP
耐えた!
牧志 浩太
耐えた!
KP
拘束は、解けなかった。
あなたの力に何かが歯止めをかけて、人の粋に押し留めていた。
なんと窮屈なことか。
なんと理不尽なことか。
あなたの内であなたが叫ぶ。
こんな枷など意味のないはずの物なのに!

あなたは不意に、最後にあなたに目隠しをする佐倉の瞳に真っ赤な瞳のあなた自身がうつっていたのを思い出した。
彼の手が目隠しをくくる時に首筋に残る傷から甘い命の匂いがしたのを思い出した。
KP
※最終的に行くも戻るもお任せするけどね。
牧志 浩太
ふと思い出したのは、獲物が何か言っていたこと。

何か?
ああそうか、あまり痛くするなって。
さてそんなことができるのか。よく分からないけど試してみようか、そんな風に気まぐれを起こした。

そこから不意に記憶が蘇った。

痛みと葛藤を湛えて、こちらを見る眼。少し躊躇う、細い指の感触。

拘束をちぎろうとする腕が、なぜか、震えて。
何か理解しがたい感情が自分と獲物を繋ぐ線の間に詰まっていた。
拘束具がぎしぎしと鳴る。
こんなもの簡単に解けるはずの腕を、牙を、あの黒い眼が何かで縛っている。

何だ、これ?
その何かを引きちぎろうと牙に力を込める。
口は少しも開かなかった。
自らの内のそれと格闘している間に、朝になっていた。
KP
深夜処理

牧志 SAN値に1d3のダメージ
   HPに1d3のダメージ
佐倉 変動なし


3日目 朝


KP
牧志 HPに1d4のダメージ
佐倉 HPに1d2+1の回復
1d2+1 Sasa BOT 1d2+1→1+1→合計2
佐倉はダメージくらってなかったな、そういえば。

KP
血が欲しい、死にたくないとむせび泣くあなたの声は少しずつ力を失ってゆく。
牧志 浩太
血が欲しい。
すぐ目の前で無防備に眠るその首筋に食らいついて血を啜る自身ばかりが、繰り返し蘇る。
口内に溢れる暖かい血潮の熱が、味が、全身を痺れさせる恍惚が、すぐ目の前にあるのに。

どうして。

……死の恐怖がすぐ前に口を開けている。
真っ暗な場所で、たったひとり、何もできずにうずくまる塊になっていた。
KP
鋭い聴覚に鳥の声が突き刺さる。
焼けるような太陽の光が足元を躍る、その熱線を感じる。
あなたの居場所は急速に失われてゆく。

ああ、このままでは、このままでは。

嘆き悲しみ怒る声が、小さくしぼんであなたの腹の奥底でうずくまった。

あなたの飢えと渇きはもはや耐えがたいものになっていた。
だが嗅覚は弱まり、力は抜け、獲物を襲うどころではなかった。
乾く。乾く。乾く。
内側からひび割れてゆくような苦痛を抱えて、あなたは朝を迎えた。
牧志 浩太
鋭い聴覚に鳥の声が突き刺さる。
何も映らない視界の中、焼けるような熱に炙られて、空洞になった身体を抱えて、喉の奥で声にならない声を上げている。

四肢はもうなかった。
内臓は全部焼けてしまって、身体の中にあるのは空虚な洞だけだ。

でもどうしてか、
それでいいと思っていた。

KP
佐倉。
あなたが目覚めたとき、牧志は隣におらず、首にも吸われた形跡はなかった。
すこぶる気分は良く、久しぶりによく寝た、という気がする。
佐倉 光
昨日の夜は落ち着かなくて、何度も客間を確認に行ったな。
襲われないように使うかどうか、というより、
部屋の隅にぐちゃぐちゃに括られて転がっている牧志を見るのが居たたまれなくて。
KP
あなたは部屋の隅に、昨日と変わらない姿勢で転がっている牧志を見る。
彼は微動だにせず、呼吸音も聞こえない。

死んでいる。
佐倉 光
血の気が引いた。
やっぱり血を飲まないとやっていけなかったんじゃないか。
俺が付けた拘束具で、牧志が死んだ?
俺が牧志を殺したのか?

仕方ないだろう、そうしないとこちらが死んでいた。

いや、まだ余裕はあったはずだろう?
あと何日かは耐えられたし、昼間なら牧志もまともだった。
あと一日くらいは何とかなったし、その間に何か見つかったかも知れないのに!

そんな保証がどこにあった?
大体拘束具を付けるよう言ってきたのは牧志だ。
彼が判断を誤っただけのこと。
俺には正確にあいつの状態を確認することはできないんだから。

「ああ、畜生、畜生! 関係ねぇんだよそんなことは!」

慌てて駆け寄って声をかける。
KP
真っ白な肌の表面には皺が寄り、唇はこれまで以上に青く、
体は見るからに力を失って、実際に細くなったわけではないのに
骸骨のように見えた。
佐倉 光
銃を忘れた。
一日血を吸わなかったことで、人間としての牧志が死んでいて、
完全な吸血鬼が襲いかかってくる、そんな可能性も

「牧志!」

叫びながら拘束を外す。
KP
皮膚の表面には粉が浮き、皺の周囲がひび割れ、
目は落ちくぼんで酷い有様だった。
枷にこすれた形跡があった。
外そうとして力をかけた跡だった。
佐倉 光
良かった、危なかったな。

「ああもう違う! 違う!」

外した拘束具を投げ捨てる。
こんなの殺された方がマシだ!
牧志 浩太
1d3 Sasa BOT 1d3→1
1d3 Sasa BOT 1d3→1
1d4 Sasa BOT 1d4→3
SAN 71 → 70
HP 9 → 5
どうなる?
牧志 浩太
さすがに我慢するとダメージでっかいですねウフフ
それでも1d3で両方1出したのは意地ですが。
ちょっとお昼にイマイチ時間が無くて、これは気合を入れて描写したいのでレスポンス夜になります
KP
鍵、一応「いいタイミングまで隠蔽しちゃえ」ってやってるわけじゃなくて、「こういう理由があってここに移動した」って決めてあるから、特定のアクションで手に入るようになっているのです。
牧志 浩太
ほうほうほう。
どういう理由があってどこにあるんだろう、楽しみです。
とはいえ現状、まずは意味ありげな地下室を探しに行きそう。
KP
これは今晩が怖いぞー
情報タイミング的に、希望のある情報は今日は出ない!
いやー、どうかな。どうなるかなー。牧志のアクション次第かな。
牧志 浩太
ですよね! >ない
HP6ダメージかぁ、昼に無理矢理動くとワンチャン夜で佐倉さん自動気絶に追い込みますね。
無理矢理動かなくても夜の反転がすごそうで描写するのが楽しみ。
KP
コロサナイデ……
牧志 浩太
さすがにこの状況で無理は押さない……はず
KP
翌日は佐倉休養かなー
牧志 浩太
(俺、この仕事が終わったら海の見えるカフェでゆっくり描写を味わいながらレスポンス書くんだ)
KP
シヌナー!

牧志 浩太
「……さくら……、さん」

乾いた聴覚に佐倉さんの声が届いて、張りつく喉で辛うじて応えて、それでよかった理由をようやく思い出した。

佐倉さんを殺してしまいたくなかった。
佐倉さんに痛い思いをさせたくなかった。

目の前にいるのが、大事な友達だってことを、忘れたくなかった。
殺してしまってはじめて獲物の喪失を嘆くような俺でいたくなかった。
ごめんね
牧志 浩太
生きました!!
無事に海の見えるカフェならぬ海の見えるレストランに辿り着きました(ただし海側の席は空いてなかった)
KP
やった!!
牧志 浩太
やったぜ!
PLおいしいもの食べながらこの描写を書くのも牧志&佐倉さんゴメン感がつよいですね
KP
おいしいものたべたいだけなのにたいへんなおもいをしている牧志くん
牧志 浩太
ごめんな

佐倉 光
「牧志!」
声が聞こえた途端一気に力が抜けた。
「ああ、生きてた……」
視界がぐにゃぐにゃに歪んで何も見えなくなってしまった。
「生きてた……」
KP
何度も繰り返していた佐倉は、あなたの拘束を全て取り外し、
シャツの首元を開けて見せた。
佐倉 光
「血が必要なんだろう、飲めよ」
牧志 浩太
「佐倉さん……、」
その様子を見て、つられるように目元が震えた。
涙こそ出てこないが、一緒に泣いている気がした。
身体の渇ききっているのは何も変わらないのに、真っ暗な場所から助け出された気分だった。

さらけ出された首元にもたれ掛かる。牙を這わせ、とくとくと鼓動を感じる血管を、牙の先でつつく。

「ああ、ごめん……、せっかくそう言ってくれてるのに、噛みつく力もないみたいだ、口がうまく動かない……」
予定調和
牧志 浩太
ルール的な制限
KP
わかっててやった。ごめんな。
牧志 浩太
いいと思います
KP
ここまで言っといて逃げる、ってことは余程本能に来る恐ろしい事が起きるのか。
はたして逃亡イベントは起きるのか!?
牧志 浩太
どうするどうなる!
夜が楽しみですね

佐倉 光
「……そうか。無理をするな。
俺は地下を調べてくる。いかにも何かありそうだろ」
牧志 浩太
「うん……、頼む。ありがとう、佐倉さん」

泣きそうな、というよりも、もうすっかり泣いているような顔で、笑う。

飢えと渇きが頭の奥を叩き続けていても、心細くはなかった。
KP
では昼の行動はどうしますか?
牧志 浩太
昼は行動しません。寝室のベッドで眠ります。
KP
了解です。では佐倉は一人で地下を調べに行きます。
地下の調査テキスト長くなりそうだなぁ。
牧志 浩太
情報量多いですし衝撃的ですからね。ごゆっくり。


3日目 昼


KP
佐倉は手早く食事をとると、下に降りていった。
彼は外にできる限り連絡を取る努力をしたのだが、電話は繋がらないしネットもまともに繋がらないことが多いという。
佐倉 光
「最悪警察あたりにでも助けを呼べるかと思ったんだけどな。じゃあ、行ってくる」
KP
扉が閉じると、薄暗い部屋は静かになった。
佐倉が残していった吸血鬼の本が数冊、あなたが保ってきた呪文の本、その他他の部屋から保ってきた雑多な物がぽつんと残されている。
牧志 浩太
頷きを返して、重く沈んでいくような怠さに身を任せる。
身体が溶けて、意識が溶けて、ひとかたまりの赤い泥になるような頼りなさ。

本を読み返そうかと思ったが、その気力もない。身を起こしていることすら困難だ。

背を倒して、布団の柔らかさに溶ける。
自分の胃液でもはや自分を喰らいつつあるんじゃないかとでも思えるようなむかむかとした不快感、きりきりと臓腑を絞る痛み、その上で緩く蠢くことしかできない思考。

何もかもを投げ出して、目を閉じた。

KP
牧志が言っていたとおり、物置には地下室の入り口があった。
よく見れば物置入り口に電気のスイッチがある。
上に乗せられていた箱はまあまあの重さがあったが、なんとかどけられそうだ。
佐倉 光
力一杯箱を押してなんとかどかし、地下の扉を開く。
電気のスイッチを入れてみる。
KP
カチリと音がして下り階段が吊されている裸電球で照らし出された。
階段にはそれなりの広さがあり、手すりもついていて、かなりしっかりした作りだ。
下ったところにはひんやりとした部屋だが、階段横の壁にはいくつか明かりのスイッチがあるようだ。
真っ暗な空間からはかすかにブーンと機械の唸る音が聞こえる。
佐倉 光
しばらく様子を見て、スイッチを押してみる。
KP
そこにはコンクリート剥き出しなどではない、きちんと壁紙が貼られ床に木がはられた、綺麗だったに違いない地下室があった。
ベッド、上の蓋を開けるボックスタイプの巨大な業務用冷蔵庫、小さな本棚、机がある。

まずあなたの目に飛び込んでくるのはその異様な雰囲気だ。
ベッドは明らかにぼろぼろになっており、大きな獣が上でかきむしったのかと思える。
また、ところどころに血痕が残っていた。
佐倉 光
「隠れ寝室……吸血鬼が寝てたのか?」
朝の牧志の様子を思い出してぞっとした。
情報を統合するに、エリザは俺の立場で、ラヴァルは牧志の立場だったのだろう。
エリザは魔除けの部屋に眠り、ラヴァルはここで飢えに苦しんで寝ていた。

牧志が、エリザは大分重度の貧血だと言っていた。
血を吸われすぎて限界だったのだろうか。

ラヴァルはラヴァルでこんな部屋を作っていたところを見ると満足に血を吸えていなかったに違いない。
そのふたりがいなくなっていて、
自分たちが同じ目に遭っているらしい、と考えると、役割を押しつけられた、という推測ができるが……

「大した役者だな、あいつら」

迎え入れてくれたときの優しげな様子からは全くそんな悪意は感じられなかった。

まあ……夜の牧志も別人みたいになるし、あの程度軽いのかもしれないな。
牧志 浩太
牧志がこんなんなったせいで新たな可能性が! >別人みたいになるし
夜の牧志と佐倉さん会話させてみたいな
佐倉 光
機械の音はここからか。冷蔵庫に聞き耳を立ててから開ける。
KP
冷蔵庫の中からは物音はしない。
蓋を開けると、あなたは青ざめた男の顔と目が合ってしまう。
中にはぼろを纏ったみすぼらしい男の遺体が入っていた。
佐倉 光
「死体……!」
思わず身構える。
KP
その哀れな男が動くことはない。
本当にただの死体だ。
だが、その右腕が切り取られ、無数の赤い穴が開いた状態で胸の上に放り出されている。

【アイデア】と《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1d2》。
1d100 85 【アイデア】 Sasa BOT 1d100→43→成功
佐倉 光
1d100 71 《SANチェック》 Sasa BOT 1d100→28→成功
KP
これは恐らく、ここにいた吸血鬼が空腹を紛らわすために食っていた物なのだろう。
佐倉 光
「ぞっとしねぇな……」
おそらく、エリザを殺さないためだ。
しかしこの様子だとせいぜいガム程度にしか役に立たなかったんだろうな。

ふと、自分を誤って吸い殺した牧志が、
ここに自分の死体を保管して吸い続けようとする、なんて想像をしてしまった。

牧志が死ぬのは嫌だが、だからって俺が死んでもいいわけじゃない。
大体俺が死んだら牧志も終わりなんだって……
牧志 浩太
牧志がこんなんなったせいで新たな可能性が! >別人みたいになるし
夜の牧志と佐倉さん会話させてみたいな
この状況でかじられた死体見つけちゃうのが佐倉さんなの味わい深い
佐倉さんがえっらい想像してる
佐倉 光
大変憂鬱な気分になりながら机を見る。
KP
机には引っかかれた傷がつき、破れたノートなどもあり散らかっている。
その中に手記があった。
佐倉 光
中をざっと確認する。
KP
ひたすらに飢えと渇きに苦しんでいる様子が切々と綴られている。
佐倉 光
ラヴァルの物か。
今の牧志がこの状態、ということだな……
KP
血を吸えない苦痛。
愛するものを手にかけざるを得ない哀しみ。
愛するが故にその血しか飲めず、そのために妻が日に日に弱ってゆく事への恐怖。

「私の愛がエリザを殺すのだ!」

書き殴られた妻への愛の言葉には血が染みついていた。

最後の方のページはもはや字と呼べる物ではない。

「誰か私を殺してくれ!」

悲痛な叫びが文字と乱れた線となって刻まれる。
目を逸らしたくなるような狂気と悲哀と苦痛が溢れている。


あなたは嫌でも今朝の牧志の様子を思い出してしまうだろう。
この手帳の中身は、今の牧志の中にそっくりそのままあるに違いない。

SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1
佐倉 光
1d100 71 Sasa BOT 1d100→80→失敗
SAN 71→70
吐き気をこらえつつ、手記の最初の方へ遡る。
この事態を引き起こした物事について記載はないか?
KP
混乱が始まったところには、『朧げな燐光の中の黒い物質に触れた』とある。
以来吸血鬼のようになってしまったとの嘆きが記されている。
佐倉 光
そんなもの、俺達は見ていないな……
こいつとは別ルートって事か。
本棚を見てみよう。
いい加減役立つ情報が見つかってくれないと困る。
KP
オカルト本や、読めない言語で書かれた本が大量に入っている。
一冊、とくにすり切れている本があるが、それはあなたには読めない。
佐倉 光
牧志なら読める本があるかも知れないのか……
特に読まれた形跡や、栞が挟まれた本があれば持っていこう。
KP
気になる本は3冊ほどある。
佐倉 光
気になるものはこれくらいか。そろそろ上に戻ろう。
収穫は……ほぼないな。
KP
ニーオスコルガイの本、牧志にしか読めないのかぁ。
牧志 浩太
ああー、そういえば。
地下室の本どうだったっけと思ってたけど、地下室もそうだったか。
KP
生餌側が情報を隠蔽して一方的に殺害する事態を防ぐためかなぁ?
牧志 浩太
かなぁ? 行動できる回数は生餌の方が多いわけですしね。(血を吸われてダウンした時を除けば)

佐倉 光
「牧志、入るぞ」
声をかけてから扉を開ける。
牧志 浩太
随分、深く……、深く眠っていたような気がする。
何の夢も見ず、意識もなく、ふっと声が耳に届いて目を覚ます直前まで、完全に死んでいたような眠り。

渇ききった身体に、どうにか身を起こして動くだけの活力が戻りつつあった。口をもごもごと数度動かして確認する、昼よりは滑らかに動くようになってきている。

殆ど動かなかった思考にまた、佐倉さん、という認識と、吸いたい、という反射的な連想とが満ちつつあった。

「佐倉さん」
ベッドから身を起こし、声を返す。
佐倉 光
「残念ながらあまり収穫なしだ。
地下はラヴァルが寝ていたらしい。
ベッド持ち込んで、暴れながら寝ていたみたいだ」
牧志 浩太
「……地下、そうか……。きっと、閉じこもってたんだな。
なあ、そこってさ、家具とか上に載せれば、塞げそうだった?」
佐倉 光
「ああ、もともと上に箱が置いてあったしな、塞げるんじゃないかな」

「冷蔵庫もあって……死体が入っていた。
きっと殺しても身元がどうこうならないように、ホームレスか誰か。
かじった跡があったよ」
淡々と説明する。
牧志 浩太
「……かじっても、どうにもならなかったんだろうな、多分」

それはもはや確信といっていい実感だった。
血液製剤のことを思い浮かべたり、他の人のことを思い浮かべたりしても、自然と佐倉さんの首筋へと向いてしまう視線を、他へ逸らすことはできなかった。
佐倉 光
「それから、地下で本を見つけた。俺には読めないのがいくつかあったから、読んでみて欲しいんだ」
KP
佐倉が本を手渡してくる。
※この本の読解については、次の調査ターンで調査中にできることにします。
牧志 浩太
「分かった、読んでみる。前みたいに、俺になら読めるかもしれないしな」
佐倉 光
「それと……見るのはあまりお勧めしないけど、
ここにいた吸血鬼の手記。
有益な情報と言えば『朧げな燐光の中の黒い物質』が吸血鬼を作りだしたらしいってことくらいだ。
今それがどこにあるかも分からないし、あとは、読んでも辛いだけだよ」
牧志 浩太
「……黒い物質か。それが何か、分かればいいんだけどな」

手を伸ばして本を受け取る。
受け取るために近づいた瞬間、ざわりと背が震えた。
その一瞬だけで思考が食欲に埋め尽くされそうになって、歯を嚙みしめて首を振る。
KP
太陽の光を恐れていたあなたの感覚が徐々に取り戻されてゆく。
カーテンが閉じていても、刻々と世界が闇に包まれてゆくのが分かる。

忌々しい太陽はそろそろ山の端にかかるだろうか。
あれさえ隠れてしまえば。
牧志 浩太
もうその感覚にはどこか慣れてしまっていて、今更戸惑うこともなかった。
夜が来るのを心待ちにしている自分自身を怖れていた。

コメント By.KP
徐々に魔に飲まれてゆく牧志。
殺される恐怖と殺す恐怖に呑まれる佐倉。
昼間は何とかいつもの会話ができる。

太陽が沈んだその時は……?

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「いつ!? 何があったんだよ!?」
「あー……、そうなるよな。また何かに巻き込まれたみたいなんだ、俺達」

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「その腕輪もあまりいいものじゃないかもしれない、ってこと、だな……」
「全部、根は一緒なのかもしれない」

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人間の子供に対してはアリなんだけど、こういう存在に対してはナシの提案を考えついてしまった。

【クトゥルフ神話TRPG】
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