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こちらには『スプーキィ・ポルカ』
ネタバレがあります。


本編見る!
KP
どうしたら気付いて貰えるのだろうか。

佐倉は相変わらずPCをのぞき込んで、近所の異変やあなたに関する目撃情報などがないかを探しつつ、渋谷の監視カメラへの侵入を試みているようである。

ついでにこのマンション近辺の情報も探り、
事故情報、GP情報などを見て首をひねっている。
あと一押しくらいでイベント起こしましょうか~
※もっとやってみたいことがあれば、もすこしゴチャゴチャしててもいい。

今のところ可能なのは、
・佐倉の肌が露出している部分に触れる
   ヒヤッとする
・工具箱に触れる
   動かせる
・佐倉を操る
   がんばれば大雑把な行動指示ができる
ですね!
牧志 浩太
のそりと立ち上がって工具箱に触れる。これだけは、少しなら動かせるらしい。

工具箱の中の工具を並べて字を書けないか試してみる。

これとあともう1回くらい何かやりたいですね
KP
工具箱の蓋は閉じているが、がんばれば何とか開けることはできるだろう……
佐倉視点
KP
突然、牧志の工具箱がカチャカチャと鳴り始めた。
細かく震えてぶつかり合っている。
明らかに何らかの力が作用しているようだ。
佐倉 光
野郎、牧志の大事な工具箱に触るんじゃねぇよ!
くそ、姿が見えればぶち殺してやるのに!

KP
蓋を開けようと四苦八苦していると、
佐倉がやって来て工具箱を手に取った。
佐倉はだいぶ殺気立っている。
この部屋にいると思われる不埒者に怒声を放つ。
佐倉 光
「ポルターガイストするなら他のにしろよ!
大事なヤツなんだぞ、これは!」
牧志 浩太
「あっ」
工具箱が目の前から消えた。
もうちょっとで開けられたのに!
牧志 浩太
大事に思ってくれるのは嬉しいような、それなら俺にも気づいてほしかったような…… 無茶か。無茶だよな。佐倉さん俺の現状知らないもんな。はぁ。

落ちた溜め息が思った以上に大きくてげんなりした。だめだ、次、次……。
牧志 浩太
考える。
工具箱は回収されてしまったし、操るのは相当しんどい。触っても寒く感じるくらいらしい。

ううん、伝えられることの情報量がない。COMPは反応するようだけど、俺だって伝えられる内容じゃない。言語なし視覚もなし音もなしで何かを伝えるのって難しいな。

あ、そうだ。
牧志 浩太
佐倉さんの頬に字でも書いてみるかと近づいて…… やけっぱちな悪戯心が湧いた。

全然気づいてくれないことに、ちょっと拗ねてなかったかというと嘘になる。佐倉さんは悪くないけど、拗ねるものは拗ねる。

佐倉さんの耳元に近寄って……
牧志 浩太
「佐倉さーん」

名を呼ぶついでに、ふーっと息を吹きかけた。
佐倉視点
KP
突如、耳に冷たいような生暖かいような、なんとも形容しがたい不快な風が吹き込んできた。
耳の中に生えている毛の一本一本が震え、悪寒が背筋を駆け巡る。
耳から侵入した恐ろしい気配は脳の奥へと忍び寄ってくる心地がした。
死の気配がする。

なにをするんだ
牧志 浩太
妙に冷静なすね方をする牧志でした。
KP
何してんのwww
牧志 浩太
危急な状況だけど半分ギャグシと聞くと中の人がふざけたくなってつい
KP
ギャグシだよ!!
牧志 浩太
やったぜ!!
あとこういうときに変な悪戯心出ちゃう牧志見たくて。
KP
牧志君は助けて欲しくて必死だし、佐倉は牧志を助けたくて必死だし。
行き違いが哀しいなぁ。
牧志 浩太
なんですよね。互いにすごく行き違ってる。その必死さが分かるから、せめて「ここにいる」と伝えたいのにそれができない。
あと孤独に弱い牧志にこの状況は地味に弱点攻撃。
KP
あっ。そっかー。ごめんね!(爽やかな笑み)
牧志 浩太
👍🏽 いいと思います!
KP
それ考えるとこれから割とヒドイ事するな!
牧志 浩太
ほっほー それは楽しみ

KP
効果覿面。
佐倉は目を見開いて《ムド》でも喰らったかのような顔をした。
耳を押さえてなんとも形容しがたい甲高い声を上げた。
止まる。凍る。震える。表情が消える。
ぷちん、と音がした気がした。
佐倉 光
「ぶっっ殺」
牧志 浩太
いつにない甲高い声を上げちゃう佐倉さんたのしいwwwwごめんwwww
KP
喉から絞り出した佐倉はCOMPに召喚コマンドを送った。
すみやかに召喚プロセスが走り、空中に魔方陣が現われる。

『SUMMON OK』

『キジョ ラミア』

ずどぉん! と地響きを立て、部屋の半分を埋め尽くすように蛇女が現われた。

「はぁーい……って何よここ狭いんだけど」
ラミアは迷惑そうに尻尾を曲げた。部屋の隅にあった本棚が倒れて崩れる。
佐倉 光
「この部屋にいる悪魔を排除しろ」
KP
「はいはい。異界じゃないじゃない。何怒ってんのよ……」
面倒そうに返事したラミアの蛇の目があなたをとらえた。
牧志 浩太
彼女の眼が、俺を捉えた。
そう見えた。
気のせいかもしれないけど、そう、見えた。

もしかして。
悪魔の彼女なら、俺が、見える?
「ラミアさん!」

彼女のすぐ近くまで駆け寄り、彼女に向かって手を振る。正直ちょっと怖い。あの尻尾を喰らったら死ぬ。一撃で。

この狭い部屋で距離を取るも何もない。それなら、尻尾を振れない距離に駆け込んだ方がましだ。噛みつかれたらやっぱり死ぬかもしれないけど、今の所彼女は冷静そうだし、その、なんとか。
牧志 浩太
あと佐倉さんごめん。そんな気はしてた。
KP
「……悪魔を排除、でいいのよねぇ?」
ラミアは小首をかしげた。
佐倉 光
「そうだ。見えないが何かいるだろ? 餓鬼か、ゴーストか、ポルターガイストか、そのへんのが」
KP
「うーん、まあ、ね」
ラミアはあなたをじろじろ見ている。
「いるには、いるわね」
その目が蛇の冷たさですっと細められた。
二つに割れた舌が、にぃ、とつり上がった口元でひらめいた。

彼女は間違いなくこちらを認識している。
やっと認識して貰えたのだ。
だというのに、とても嫌な予感がした。
牧志 浩太
「あ」
いやあな予感がした。
この眼に近い色を、俺も一度見た事がある。
僕は十分に知っている。この眼をする彼女の恐ろしさを。
牧志 浩太
「それは無理」
思わず佐倉さんの背後に逃げ込む。事態が悪化しそうだけど盾にさせてもらおう。
KP
彼女はあなたを目で追ってくすくすと笑った。
佐倉視点
KP
背中が少し寒くなった。
佐倉 光
ラミアは言うこと聞かないし、謎の悪魔はいつまでも邪魔してくるし、なんだ今日は厄日か!?

KP
ラミアは尾を揺らめかせると、肩を震わせて言った。
「ほっとけばぁ? 気にすることないわよ。
それに、そんなことしたら後で困るかも知れないじゃない?
ちょっとボーヤにしてはクールさが足りてないわねぇ」

その目があなたを見て笑っていた。
明らかに面白がっている。
佐倉 光
「何だと? おい、ラミア、命令を」
KP
「私もう帰るわねぇ?
ここ狭いし。そろそろ寝たいから目玉かたっぽ取っちゃったとこなのよ。ほら」

よく見ると確かに彼女の片目はウインクするように閉じられているのだった。
ラミアはひらひらっと手を振った。その指先が銀の霧のように急速に薄れてゆく。
佐倉 光
「おい、勝手に帰るな!」
佐倉の怒りの声にお構いなしにラミアは帰還する。
KP
「明日もいるみたいならまた喚んでね?
対処法教えてア・ゲ・ル。
明日、忘れちゃダメよ?」
あなたに投げキスをするようなアクションをして、ラミアは消え去った。

麻痺は起きなかった。
牧志 浩太
「あ」
揶揄われた。これは盛大に揶揄われた。
俺、普通にピンチなんだけど……。

でも、あの様子、ラミアさんには俺がちゃんと見えてるみたいだ。ちゃんとかは分からないけど、多分、分かってる。
牧志 浩太
……ああ、よかった。

見てもらえる。ちゃんと分かってもらえる。
それだけのことが、足元から気が抜けるような安心感をもたらす。
相変わらず腹はぺこぺこに減ってるし、喉の渇きはじりじりと焦りを呼んでくるけど、それだけで何とかなるような気がした。
KP
ラ「命令は『悪魔を倒せ』だもの、悪魔じゃないものは倒せないわよ?
別に命令無視なんかしてないわ」
牧志 浩太
ふふふ。しかし佐倉さんからしたら何だか分からないのであった。
佐倉 光
1d100 70 また忘れてた危機感 Sasa BOT 1d100→88→失敗

SAN 70→69
佐倉 光
耳フーはだいぶショックだった。
牧志 浩太
それどころじゃなかったか……
佐倉 光
「くそっ、もう、何なんだよ」
KP
わけは分からないながら、ラミアが『放っておいて大丈夫』と判断したことは信じることにしたらしく銃は片付けたが、大分不機嫌そうだった。
佐倉 光
「原因、これか……?」
KP
佐倉は呟いてテーブルの方に視線を送ると、手早く出かける準備を始めた。
牧志 浩太
「え、出かけるのか」瓶は持って行くんだろうか、置いてかれたら大変だ。玄関の扉の横に陣取りつつ、佐倉さんの言動を注視する。
KP
ふと、手を止める。
佐倉 光
「あいつ、変なこと言ってたな。後で困る?」
佐倉視点
佐倉 光
いや……ちょっと、待て。
ラミアは意味もなく命令無視はしない。
あいつは大体文句言いながらもやってくれる。そういうヤツだ。

ということは、『やらない理由があった』ということ。
『大したヤツじゃないから』とあいつは言っていた。
確かに謎の悪魔の力は弱そうだ。しかしラミアはその程度でボイコットするヤツじゃない。
面白がっているような反応。
あいつにとっては面白がるようなことで、重大事ではない、ということか?
『後で困る』?『明日忘れずに呼べ』?
その上で、対処は必要だ、ということだ。いや、『戦う、という方法で対処してはならない』という意味か? つまり、『敵ではない』?
更に明日呼ばなければならない、となると……
『戦ってはならない』『放置してはならない』『重大事ではない』『敵ではない』
動いたのは牧志の工具箱。
俺に何やら訴えかけるような……寒気。

KP
1d100 85 Sasa BOT 1d100→19→成功

「いや……まさか」
KP
佐倉は顔をしかめ、しばらく考えていた。
さっき取り上げた工具箱をテーブルに置いて、それに触れたまま空中に問いかける。
佐倉 光
「いるのか? 牧志」
牧志 浩太
「あ……、」

ぼろりと、眼から大粒の涙がこぼれた。
思った以上に、随分堪えていたらしい。
次から次へと涙が出てきて止まらない。実際に流れてるのか分からないけど、少なくともそんな感覚が絶えない。

「佐倉さん……、俺、いるよ。ここにいる」
急いで、応えるように工具箱をやさしく、とん、とんと叩く。
1d100 69 Sasa BOT 1d100→8→成功
佐倉視点
佐倉 光
牧志だ!
まず間違いない、牧志が実体のない状態でここにいる!
つーかそれ『重大事』だ! ラミアの奴、なんで教えないんだよ!

佐倉 光
「……何だよ、もう……」
佐倉は頭を抱えて呻いた。
「俺まるっきり馬鹿じゃねぇか……」
牧志 浩太
佐倉さんの姿がぼやけた。瞼が震えて、視界が潤んでよく見えない。ああ、気づいてくれた、ここにいるって、分かってもらえた。
それだけのことが、嬉しくてたまらない。
佐倉視点
KP
虚空に気配はなく、相変わらず《アナライズ》に反応はない。
佐倉 光
《アナライズ》に幽鬼として引っかからないって事は、本当に死んでいるわけじゃない可能性が高いな。
またトラブルに巻き込まれてるのか。
早いところ助けないと……でもどうしたらいい、どこへ行ったらいいんだ?
本人に訊ければ簡単だろうになぁ……!

佐倉 光
「しっかし……何がどうなってんのか分かんねーけど、意思疎通は難しそうだな。
できるならとっくにやってるだろうし、ラミアもマカミも召喚拒否しやがるし。ふざけやがって」
イライラしながら出かける準備を継続する。

「牧志はこの工具だけなら動かせるんだな?
それからさっき無理矢理キーボード打たせようとしたのもお前か。
あと何やってるのか知らねぇが冷気も出せる……」
佐倉 光
「耳ん中はやめろマジで最悪だから」
牧志 浩太
「あー、それはごめん」
普通に応えてしまってから、そういえば声が聞こえないんだと思い出す。工具箱をとん、と叩いて頷きの代わりにする。
牧志 浩太
腹が減るのも、喉が渇くのも変わらない。普通にピンチなのも、一緒だ。
それでも佐倉さんが俺に気づいてくれて、一緒に考えてくれる。
それだけで、何とかなる気がした。
KP
佐倉は工具箱を開け、テーブルの上に並べる。
佐倉 光
「この中身も動かせるのか? これで字を書いたりできるか?」
KP
中身は動かせる。字を書くなどの器用な動き・大きな動きは無理そうだ。
牧志 浩太
(さっきも試したけど、協力してもらえるだけで随分違うな。
でも、少し動かせるくらいか……)
何となく感慨を覚えながら試してみるが、難しそうだ。
佐倉視点
KP
工具はあなたの言葉に反応して動きはするが、意味のある動きはできないようだ。
佐倉 光
できるならとっくにやってるよな、そりゃ。
全く意思疎通ができないよりゃマシと思うしかないな。

佐倉 光
「……無理か。とりあえずこれでも持っていくか」
KP
ドライバーを一本取りだし、中央あたりに紐を括る。
それから割れた香水瓶のような物を手に取った。
佐倉 光
「この瓶、関係あると思う?」
KP
ドライバーは紐でぶら下げられてゆらゆら揺れている。
牧志 浩太
ドライバーをとんとん、と叩いてそう思うと伝える。関係がある、どころの話じゃない。あれがこの事態の鍵で間違いない。
KP
ドライバーはあなたにつつかれて大きく揺れる。
佐倉 光
「そうか、やっぱりそうなんだな」
KP
佐倉はPCに地図を表示してみせる。
佐倉 光
「この瓶、昨日お前を探してて工具箱の近くに落ちてたのを拾ったんだ。
もう一度探してみるか……」
牧志 浩太
無意識に頷きつつ、地図を覗き込む。
手段は限定的でも、意思の疎通ができるだけで、心細さがすっかり消えて感じられた。
佐倉 光
「あと……俺の体操るのってどの程度できるんだ?
完全に乗り移れるなら、字を書くとか喋るとかで何とかならないか?」
KP
ここから佐倉が協力的になるので、操り判定に+30入ります。
とはいえ、あなたはゴースト初心者なのであまり繊細なことはできません。
特定の方向指さす位なら何とか。
牧志 浩太
いいのか、と聞きたかった。あれだけ嫌がっていたのに。
けど、声が通じない。後で絶対に礼を言うと決めて、今は言葉に甘えることにする。

佐倉さんの腕に手を添えるようにして、試しに、あの瓶に入ったひびを指さそうとしてみる。
1d100 65 Sasa BOT 1d100→39→成功
KP
何故補正入るとはいえ判定が要るのかと言えば、やっぱり佐倉もシャーマン初心者だからだよ!
精神抵抗しないようにしようと思ったからってそう簡単にできるものではないのだ。
牧志 浩太
それは仕方ない。反射的に身構えてしまうでしょうしね。受け入れて操られるなんてそう簡単にできない。
KP
佐倉は何とか自分の体を外から操る力に身を委ねる努力をし、
あなたは他人の体を動かそうと試みる。
佐倉視点
KP
体に何とも言えずゾクゾクとするような冷気がしみこみ、体の動きを狂わせる。
それに全く抵抗しないようにしようとするなら、なんとなく一定の方向に動くようだ。
佐倉 光
さっきはびっくりしたけど、力自体は著しく安定性に欠ける。
あまりアテにはできないか。

KP
佐倉の脱力した腕がゆっくり動いて、ふらふらと揺れながら瓶を指さす。
やはり思ったようにすぐ動く、というわけにはいかないようだ。
佐倉 光
「お、おおー? なんか落ち着かない」
牧志 浩太
「やっぱり、思ったように動く、とまでは行かないか。ラジコンか何か操作してるみたいだな」
これ、結構難しい。世の幽霊はよくこんなことできるな、と微妙にずれたことを考えた。
佐倉 光
「よ、よし、方向指示くらいには使えるかも知れない」
佐倉は戸惑いつつも頭をぶるりと振って瓶を手に取った。
「なんかやっぱいまいちすっきりしないけど、手段が増えるのは、いいよな、うん」
KP
彼はもう、あなたがそこにいることを疑ってはいないようだった。
佐倉 光
「おし、出かけるぞ、牧志」
佐倉 光
「……って動けるのか?」
牧志 浩太
まだ姿は見えていなくても、俺の存在を見てくれている。
まだ声は聞こえていなくても、話せている。

もう孤独は感じていなかった。
佐倉さんの横に並ぶ。
応えるように、ドライバーをとん、と叩く。

ここで出られなかったら台無しだけど、あの瓶があれば大丈夫なんじゃないかな、たぶん。
佐倉視点
佐倉 光
今の返事だよな?
……多分。

KP
佐倉は瓶を手に部屋を出る。
あなたはどうやら彼の近くにいれば……いや正確にはあの瓶の側にいれば問題ない……
いや、さらに正確にはあの瓶の側にしかいられない、というのが実際の所のようだが。
佐倉はしばらくは進んではあなたの存在を確認してを繰り返し、
このまま進めば問題ないな、と確認。
最終的に、何かあったら操りか冷気で知らせて欲しいと提案してきた。
やはり耳は駄目だとかたく念を押された。余程ダメだったらしい。
牧志 浩太
(やっぱり、それで合ってるみたいだな)
進んでは感触を確かめ、頷き返す。
一度手に触れて、冷気を伝えられることを確認。

耳は、うん。悪かった。

よし、とうとう家の外へ乗り出すぞ。
さっきまで出ることなど考えもしなかった玄関の扉を見て、少し息を呑む。

俺が消えた? こうなった? らしい場所。
そこで、何か分かるといいんだけどな。

KP
佐倉はバスに乗ってあなたの家に近い所まで移動する。
佐倉 光
「こういう時に自転車かバイクでもあると楽なのかなぁ。
まあでも、片手塞がってると困るしな?」
KP
佐倉の左手にはあなたとの意思疎通用の剥き出しのドライバー。
道行く人やバスの乗客が物珍しそうにちらりと見ていく。
牧志 浩太
頷くように、存在を知らせるように、その手の中のドライバーを軽く叩く。
牧志 浩太
最初何気なく席に座って、途中からバスが混んできて慌てた。俺が居る所に普通に座ろうとされるんだもんな。
何度か弾き飛ばされて、結局佐倉さんの前に立つことにした。

道でも遠慮なくぶつかってこられて、数度よろける。一度人に阻まれそうになって、背筋がひやりとした。

佐倉さんとはぐれたらお終いだ。
佐倉視点
KP
なんとなく周囲が寒い。隙間風を感じる。そんな頼りない感覚が常に付き纏っている。
佐倉 光
いるんだよな?
たまには反応してもらわないと、一緒にいるのか確信が持てなくて困る。

KP
佐倉には見えないし感じないけど、なかなか大変な姿勢になっていそう。
牧志 浩太
なってそう。混んできたら佐倉さんにしがみついてそう。
佐倉 光
「料金は……いいよな別に、一人分で」
牧志 浩太
佐倉さんの後ろについて降りる。
KP
そのバス停で降りたのは佐倉一人だった。
バスの運転手は、呟いた佐倉と、その背後を二度見した。
KP
※佐倉は牧志幽霊らしいし実体ないんだろうなって思ってる。知ってたら近所でも車使ったね!
牧志 浩太
「うわっ」
人とすれ違う度に結構怖い。

弾き飛ばされたりするのが怖くなってきて、佐倉さんの腕にしがみつく。
どうせ工具に触ることくらいしかできないんだし、しがみついててもいいよな?
寒そうなのは悪いけど、ちょっと我慢しててほしい。
佐倉さんとはぐれないように、腕にしがみついておきます。
牧志 浩太
結局しがみついた。
佐倉 光
「うわっ!?」
KP
佐倉はあなたがしがみつくと叫んでから小声で呟く。
佐倉 光
「どうしたんだよ、何かあったのか?」
KP
あなたがしがみつき続けていると、なんとなく事情を察したらしい。
少し道の広い方を確保して、ゆっくり歩くようになった。
佐倉 光
「自転車と人混み気をつけないと。にしても寒……」
KP
とか呟いて、ホットの缶コーヒー買って指を温めながら歩く。
佐倉 光
「瓶から離れられない……でもってもしかして実体はある? うーん」
牧志 浩太
実体があるのか、と佐倉さんが口にしたのに合わせて、反対の手でドライバーを叩く。
そう、そうなんだ。実体はあるらしいんだよ、不便だけど。

気づいてもらえてよかった。
……幽霊っていうより、紙飛行機か何かみたいだな。
佐倉視点
佐倉 光
今横にいるのが確実なら、意識して集中して、なんとか触れたり会話することはできないだろうか。

KP
あなたがひっついている腕をもう片方の腕で触ろうとするが、
それをされるとあなたは押しのけられそうになる。
なんと軽い貧弱な体か!
牧志 浩太
「って、わ」
押しのけられそうになって、慌てて佐倉さんの背中にしがみつく。

ここまで軽くはなかったけど、内臓を取られた佐倉さんを思い出した。
俺はこの瓶に捕まってて、瓶が割れたせいで微妙に漏れ出してる、って所かな。

でも、だとするとなんで、俺を捕まえた奴は瓶を放り出していったんだ?
しかも、そのせいで瓶が割れて、俺が漏れ出したりしている? わけだし。
割れて漏れ出すとか、スライムみたいだな……。
佐倉 光
「おっとと、そうか、あるのか実体。
全然触れねーけど。
それまずいな。自転車とか通行人とかやべーじゃん」
KP
佐倉は背に移動した冷気に気付いたか、慌てて手を引っ込めた。
佐倉 光
「ひょっとしてものすごく軽いのか。
風で飛んでっちゃったりしないだろうな?
いるかいないかもすぐわかんないから、事故にでも遭ったら本当に不味いな。
さっさと解決しないと」
牧志 浩太
ものすごく軽いのか、と言われた時に、またドライバーを軽く叩く。
KP
佐倉も段々あなたの状態について強い危機感を抱き始めたようだ。
佐倉 光
「どういう状態なんだ? ただのゴーストじゃないんだな。
体から抜かれてるのかな。体が無事だといいんだけど。
そもそもどうして瓶なんかに……」
KP
佐倉は足を止めた。
『水道工事のためご協力をお願いいたします』
そんな看板が道を塞いでおり、迂回路として裏道が描かれている。
牧志 浩太
事故か、そんなことになったら一瞬で吹き飛ばされそうだ。逆に軽すぎて無傷、とかならないかな。
……試す気は起きないけど。

という所で、看板に気づいた。
そういえば、通行止めのお知らせがあったな。
牧志 浩太
……裏道か。
誰かが俺をこうしたんだとすれば、俺、捕まりかけたってことなんだよな。

用心したいけど、用心のしようがない。とりあえず、少ししっかりめに佐倉さんの腕にしがみついた。
佐倉 光
「俺がお前の工具箱拾ったのはこのあたり。
昨日夕方に電話して、会おうって話になったのに
全然来やしねぇから探してたら、ここに落ちててさ。
佐倉 光
お前が普通にこれ落とすってまずないだろ。
肝が冷えたわマジで」
牧志 浩太
「そうか……」
佐倉さんの腕にしがみついたまま、その場所を見渡す。
夕方に電話があったことを覚えているだろうか。
その後に何があったか、改めてこの場所を見てみて、何か思い出せるだろうか。

何か残っている物はないだろうか。
KP
佐倉は路地の奥に入っていく。
左右に人気のないアパートが建っており、日光は入ってこない。

【アイデア】をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 90 【アイデア】 Sasa BOT 1d100→79→成功
KP
言われてみれば、朧気に夕方に佐倉と話したような記憶がある。
このあたりにさしかかった頃に電話していただろうか。
丁度近くにいるし、話が弾んできたから直接会って飯でも食いながら話そう、
ということになった、ような気がする。
気がする。
いまいちはっきりとしない。

そういえばこの路地、通った記憶がある。
昨日も同じように工事をしていて、迂回したのだ。
牧志 浩太
「そういえば……、そうだ、電話しながら歩いて……。昨日もここを通った」

朧げに記憶が蘇ってくる。
そういえば。
牧志 浩太
辺りを見回す。薄暗い路地だが、ここに街灯など、夜の暗さを何か照らしてくれるものはあるだろうか。
KP
今は午前。あの時よりは明るい。
昨日よりは捜し物には向いているかも知れない。
佐倉視点
佐倉 光
単に通りが寒いのか、牧志が側にいるのか、良く分からなくなってきた。
あいつちゃんと側にいるのか、それともはぐれてるのか、全然別なところで捜し物でもしているのか……

佐倉 光
「瓶を拾ったのは、このあたりだ。
道の端に転がってたんだけど、なんとなく気になってさ……
一応この辺は昨日も探したんだけどな」
KP
佐倉は瓶が落ちていた路地を注意深く調べ始めた。

〈聞き耳〉をどうぞ。
牧志 浩太
1d100 92〈聞き耳〉 Sasa BOT 1d100→53→成功
KP
どこの部屋からだろう。
かすかにクラシック音楽が聞こえてくる。
短い小曲が延々とリピートし続けているようだ……。
牧志 浩太
「……音楽?」
その曲に聞き覚えはあるだろうか。
そういえば、姿を見せない音楽家の話があったな。

曲がどこから聞こえてくるかは分かりますか?
KP

『ショパン作曲 ノクターン 第2番 変ホ長調』。
曲名は知らずとも一度や二度は聴いたことがあるだろう。
名の知れた演奏家の手によるものだ。

聞こえてくるのは右側のアパートのどこかの部屋だろうか。

どこの部屋から聞こえてくるのか、とあなたが上を見上げていると、

「おや、こんにちは」
背後から老人の声が聞こえた。
牧志 浩太
「あ、こんにちは」
思わず振り返って返事をしてしまってから、そういえば見える筈も聞こえる筈もないことに気づく。
KP
温厚そうな老人がにこにこしながらあなたを見ている。
佐倉は彼に気付いた様子はなく、路地に何か落ちていないかと調べ続けていた。
牧志 浩太
老人の方を向いたまま、とん、とんと数度ドライバーを叩いて、佐倉さんの注意を促す。
この人、俺が…… 見えてる?
佐倉 光
「あ? どうした?」
KP
佐倉はあなたの合図に反応して立ち上がったが、全く見当違いの所をキョロキョロしている。
佐倉 光
「何か見つかったのか?」
佐倉視点
KP
あなたの視界には何も変わったところはない。
佐倉 光
牧志が何か見つけたのかな……
俺もこのあたりをもう少し注意して見てみるか。
くそ、不便だな……

KP
老人はあなたに言う。
「ああ、彼には見えないでしょう。生きておいでだ。
あなたのお連れさんは生きておられるのに、
あなたがそこにいると知っておられるんですねぇ。
なかなか珍しい方々だ。

それにしてもあなたはそんなにお若いのに亡くなるなんてお気の毒にねぇ」
牧志 浩太
「お邪魔してます。近所の方ですか?」
老人に話しかけて様子を見る。
KP
「私ですか? このあいだ持病で死んでしまいまして、この辺りを徘徊していた者ですよ」
よく見ると老人は透けていた。
牧志 浩太
「え……、」
思わず、言葉を失う。
幽霊だっていうのか? この人が?
牧志 浩太
違う、俺は死んでない。佐倉さんの腕に縋りついたまま、首を振る。

「そう……、ですか。その……」
言葉に詰まり、吃りながら、どうにか聞きたいことを声に出す。

「腹が減ったり、喉が渇いたりしたとき、あなたはどうしていますか?
俺、それで困ってて、聞きたくて」
この人が幽霊だっていうのなら、きっと腹も減らないし、喉も渇かないんじゃないか。そんなことを確認したかった。
KP
「この姿になってから、とんと腹も減らねば喉も渇きませんね。
あなたお若いから、まだ生きていたときのことを
覚えていらっしゃるんですかねぇ。

ここしばらく閉じ込められておりましたから、
食欲などなくて幸いでしたよ」
牧志 浩太
「閉じ込められて? 何か、あったんですか?」
KP
「ええ、ここ最近ですねぇ、このあたりで
妙な場所に引っ張られて閉じ込められてしまいましてね。
昨日の夜になって解放されたんですよ。
とはいえここから遠くへは行けないんですがね。
ここから離れようとすると体が重くなって動けなくなってしまいますから」
牧志 浩太
「それは、大変ですね。引っ張られた場所はどこですか? 何か原因があるなら、探してきますよ」

それは大変だな、と思ったのも本当だった。
俺も同じような状況だから。
この人が死んでしまったのなら、ずっとこんな場所に縛られているなんて、辛いんじゃないかって思った。
牧志 浩太
何でもいいから手掛かりが欲しいのも、本当だった。
生きてたときのことを覚えてるだけなんて、酷いことを言う。ずっとそれに縋って、俺は生きてるって思い続けてきたのに。
牧志 浩太
ぐるぐると回る思考の上で、意識して出す穏やかな声が上滑りする。
この人は、俺と同じ目に遭ったんじゃないか。知りたい。教えて欲しい。手掛かりだ、このまま逃がすわけにはいかない。
KP
おじーちゃんから見ると牧志さん只野幽霊なんだもの。
牧志 浩太
でも牧志からすると、腹が減ったりすることと実体があることで「生きてる」って信じ続けていたのに、そんなこと言われちゃうんだもの。
KP
「ああ、お連れさんがお持ちの瓶。
丁度あんな感じですよ。
何かの拍子で少し割れましてね。
場所は……そう、あそこですね。音楽がずっと聞こえるんですよ」

老人が指したのは3Fの窓。
窓は開いており、白いカーテンが風に揺れている。
佐倉 光
「おい、牧志、どうしたんだよ?」
KP
ずっと腕にしがみつかれて、一体何が起きたのかと
《マッパー》だの《アナライズ》だのひととおり試していたらしい佐倉が困ったように呟いた。
佐倉 光
「なんかゴーストはいるみたいな反応があるけど、
反応が弱すぎて全然見えないし」
牧志 浩太
「ありがとうございます。後で行ってみますね」
穏やかに言った声と、揺れるカーテンを睨む表情が、きっと全く合っていなかったことだろう。
KP
「ああ、どこかでと思っていましたが、思い出しましたよ。
私を捕えた人間が、私が置かれた部屋にあなたを運び込むのを見ました、ええ。
あれがあなたのご遺体だったんですかねぇ、お気の毒に」
牧志 浩太
「!」
続いた言葉に、穏やかな声も何もかも吹き飛んだ。
そいつだ! 俺を捕まえたの!

「どんな奴でしたか、そいつ。金髪に碧眼の若い男でしたか。何か言ってませんでしたか。何かしてませんでしたか」
焦りのあまり、一歩踏み出す。

佐倉さんの腕を掴む手に力が籠ったような感覚があるが、きっと実際は力を込められてなんていないだろう。
佐倉視点
KP
何だか急にゾクッとした気がする。気のせいかも知れないが。

佐倉 光
「おい、何なんだよ? 何か興奮してるのか? 何か見つけた?」
KP
佐倉が身震いする。

老人は驚いたように目を丸くする。
「ええ、ええ、そんな男でしたかね。
部屋ではずっと音楽が鳴ってましたよ。
これで成り代われるとか、なんとか……」
牧志 浩太
「成り代われる、だって……」
愕然と呟く。
それは恐ろしい内容に聞こえた。
そいつが俺の身体を奪って、俺になろうとするだって?

そんなの、なんて、なんて。
──俺がここに置いていかれて、その代わりに、なんて。

「……あの時僕はよく、その可能性を考えずにいられたな。俺の人徳かな」
想像してしまった恐ろしい未来を打ち消そうと、愚にもつかない冗談を小声で呟く。

「ありがとうございます、行ってみます。他に、気づいたこととか、見つけたものとか、ありましたか」
気づけば少し早口になっていた。
KP
そんな疑いを持っていたら協力していなかったかも知れないもんな……
またギャグというかドタバタシナリオなのに本人シリアスになっちゃう流れ。
牧志 浩太
そんな疑いを持っていたら協力してなかったかもしれませんし、あそこまで心を通わせられなかったかもしれませんからね。

>ドタバタなのに当人シリアス
牧志が何かと真面目に受け止めすぎるせいで……。
KP
「ゆかれますか。
これ以上お役に立てるようなことは存じませんが、
ゆかれるのでしたら一つお願いがあるのですよ。
もしあなたが自由になる方法を見つけましたらね、
私もどうにか解放していただけないかと思いましてね」

老人は疲れたようなため息をついた。

「いくら死んでしまったとはいえ、
いくら幽霊だとはいえ、
理由も分からず閉じ込められ、何処へも行けなくなってしまうというのは
あまり嬉しいものではありませんからね」
牧志 浩太
「ええ、勿論」
強く、頷いた。巻き込まれたこの人を解放したいと思うのも、間違いなかった。

「お元気で」
きっと俺が元に戻れたら、この人のことは見えなくなってしまうだろうから。そんな願いをちょっと込めた、別れの挨拶だった。

「ごめん、佐倉さん」
佐倉さんの方を振り返る。
佐倉 光
1d100 69〈聞き耳〉
Sasa BOT 1d100→54→成功
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→71→成功
KP
佐倉はアパートの白いカーテンが翻る部屋を見て何か考え込んでいたようだった。
佐倉視点
佐倉 光
そういえば、朝に見た行方不明者、演奏家だったな。
あの部屋、中に人気は無いようだし、あの男の住居とは違う住所だが……近所ではある。

牧志 浩太
「聞こえたのか。そう、それ」
佐倉さんの腕を少し借りて、その部屋を指ささせようとする。
KP
では65で操り判定どうぞ。
牧志 浩太
1d100 65 Sasa BOT 1d100→67→失敗
おおっと。
KP
佐倉は突然のことに驚いたのか、つい戦闘モードになってしまったらしかった。
あなたの「動け」という意思を跳ね返す。
佐倉 光
「……あっ、悪い、牧志か。ごめん、つい。
そうか、あそこが怪しいっていうんだな?
行方不明になった男がこのあたりに住んでいた筈なんだ。
あの部屋か?」

ちょっと疲れた。MPを1消費します。
牧志 浩太
MP 11 → 10

強調するように二度、ドライバーを叩く。
あの人からは随分と色々なことを聞けたけど、佐倉さんに伝える手段がないのが、ちょっともどかしい。
佐倉 光
「Ok、あそこに乗り込むか。
家族か誰か……いねぇかな。開けっぱなしだし、ずっと同じ曲が流れている。
普通に考えれば留守だ。
まあ行くだけ行ってみて、誰かがいて話が聞けるようならラッキーだな」
KP
とある理由でドシリアス系になっちゃいそうだ。
牧志 浩太
なんだろなんだろ。
KP
終わったら……
また対の棲みかみたいなことしてるなって思いました。
牧志 浩太
ああー、確かに。あの時は対話できるけど傍にいない状況で、今度は場所こそ同じだけど互いに対話できない状況で。
KP
どっちかっていうと近いのは猫事件か。
牧志 浩太
そう、なんとか対話しようとする所とか、気づいてくれー! って祈るあたりは猫事件の時を思い出すなとも思っていました。

コメント By.KP
すれ違いまくる二人。
しかし心はある程度通じることもある。
通じ合えるって素敵なことだね!

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