TRPGリプレイ【置】CoC『blood red decadence』佐倉&牧志 2

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こちらには『blood red decadence』
ネタバレがあります。


本編見る!
KP
曖昧な意識の中で、あなたは何か美味しいものを飲んでいる夢を見ていた。
芳醇な甘い香りが口の中から鼻へと満ちて、ずっと飲んでいたいような気持ちにさせる。
佐倉 光
舌先をくすぐり、喉を滑り落ちる液体を夢中で味わって飲み下す。
徹夜明けのモンエナのように効くな、と思うが、そんな尖った甘味ではなく、もっと自然な、味覚をぶち抜いて本能に訴えかける味だ。飲むと不思議と満たされる気がした。
口腔が、喉の全てが、全てに味蕾が生じたように分厚い味と、肉体に染み込む凝集されたエネルギーに我を忘れてしまう。

もっとくれ、もっと飲みたい。なんだこれは? 何でもいい……
KP
触れた舌先から喉、腹へと柔らかい熱が落ちて、あなたの腹をゆっくりと満たす。

そういえばあなたは、ひどく腹が減っていたような気がする。
それなら、もっと飲みたくなるのは当然で、もっと飲んでいてもいいに違いない。
佐倉 光
こんなに美味いものは飲んだことがない。
思考が痺れる。熱が心地いい。
欲が尽きるのが先か、熱が尽きるのが先か、どちらにせよそれを惜しいと思い、そんな意識の欠片のような思いさえもとける、とける……
KP
もっと、もっと。
ねだるように唇を動かした、そのとき。

それが微かに呻いた。

あなたの意識がはたと覚醒する。
口がずれ、それから牙がずるりと抜け落ちる。

ぼんやりと霞んでいた視界が、次第に焦点を結ぶ。
真っ先に目に入ったのは、あの甘い香りを漂わせる、二つの赤い跡。
次に目に入ったのは、特徴的な赤い痣。

最後にようやく目に入ったのが、
首筋の跡から僅かに血を流し、服を乱された格好で苦しげに眠る、牧志浩太の姿だった。

佐倉 光
「は?」
声が漏れた。

なんだよ、これ?
なんだよこれ?
なんだこれは?
分からない。分かるが分からないし分かりたくもない。
どう考えたって結論は一つしかないのに感情が理解を拒む。

目玉が飛び出そうに内側から膨れる思いがする。耳が痛くて奇妙な音がする。

俺が?
牧志の首に噛みついて? は? そんな馬鹿な、どうしてそんなことをする必要がある?

鼻先をくすぐる香しさと、舌先に残る甘さが、突然忌まわしいものに思えた。

だってそうだろ? 血を吸ってた?
まるで吸血鬼だ。悪魔だ。そんなのまともな人間のやることじゃない。
美味いと感じるのもおかしい。鉄臭いだけだ。血を吸ったからってそんなに暖かく感じるはずがない。体温大して変わらないんだぞ。大体血は甘くない。むしろ塩分でしょっぱい筈だ、そんなのよく知ってるし

舌が無意識に唇についた液体を舐め取った。

美味かった
牧志の 血は


頭が痛い。目玉が痛い。耳鳴りがする。指先が冷たい。
なんだこれは?
なんなんだよ、これは!
どうして俺が悪魔になっているんだ!

嵐のような思考に押し出されるようにえづくような声が漏れた。
もっと飲みたい、と誰かが叫んだ。
牧志を視界から追い出すために目を閉じて、自らの内の訳の分からない化け物を閉じ込めようと試みる。

いいじゃないか、もう少しくらい。400までなら生命の危険はない。少し疲れるくらいだ。牧志ならきっと許してくれる。
KP
もう少し、もう少しだけ。
甘えるように求め続ける思考は、まるで別の何かのように腹の奥で蠢いた。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D4
佐倉 光
1d100 74 Sasa BOT 1d100→68→成功
SAN 74→73
佐倉 光
ここは失敗して欲しかった気もするよ?
いつも以上に脳内がやかましいことになってる。
KP
KPとても楽しい 佐倉さんに吸血鬼側振ってよかったなーと思っています
佐倉 光
悪魔になりたい、と思ったこともあったな。
そう思った途端に背筋が寒くなった。
冗談じゃない!

胸元に手をやる。ヒランヤはあるかな。
KP
あなたは思わず、胸元に手をやる。

ヒランヤは変わらずそこにあり、あなたの指先に、変わらぬひやりとした感触を伝えた。

その感触に、また少し意識が覚醒し。
あなたは思い出す。思い出してしまった。

倒れて動かなくなったあなたに牧志が駆け寄った。
繰り返しあなたを呼ぶ声を聞きながら、あなたは彼を視界に捉えた。

赤く染まった視界の中心に彼を捉え、腹の底から渦巻くように熱が湧き上がった。

それは食欲だった。

甘い香り。
彼がどんな顔をし、何を言っているのかなど、もう聞こえなかった。
目の前の柔らかい袋から、どうやって食べものを貪るか、それしか考えていられなかった。

そのことばかりが意識の中で鮮明になっていた。あなたはもがく彼をいつにない力でねじ伏せ、壁際に押しつけると、冷静な指先で太い血管の位置を辿る。

そして一息に噛みついた。

あなたはその一部始終を、正しく冷えた意識で思い出してしまった。

SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3》。
佐倉 光
1d100 73 Sasa BOT 1d100→65→成功
SAN 73→72

記憶に物理的に殴られたような気分になった。
慌てて牧志から距離を取って背を向ける。
自分が牧志の抵抗を抑えつけて組み伏せたなんて、本当に悪い冗談だ。

あいつ、あの時なんて言っていたんだろうな。
どう思ったんだろう。

指が繰り返しヒランヤのエッジに触れる。
痛いほどに食い込ませる。
口元の牙に触れ、少し絶望的な思いになる。
ショックに呼吸が速まったが、それも深呼吸しながら力ずくで捻じ伏せてゆく。

よし、よく思い出したな。よし。いいぞ佐倉光。
現実から目を背けるのはおしまいだ。考えろ。

どうやらあの野郎のせいで今の俺は化け物だ。
こともあろうに牧志の血を吸って、これ以上美味いものはないと感じた。
感覚も普通の人間じゃない。反吐が出そうだ。
手の傷が塞がったのも勘違いじゃない。
俺は悪魔だ。

酷い冗談だ、悪魔使いが悪魔に成り果てるなんて。

いきなり落ち込みそうになる気分を、ヒランヤを握りしめて追い払う。
やめろ、感傷に囚われている場合じゃない、
下手を踏んだら俺が牧志を殺すことになる。

牧志の無事を確かめたかったが、今無防備な彼の姿を、
剥き出しの首から流れる血を見たら、再び正気を失いそうで怖かった。
いや、確実にそうなる。
今でも「血が美味かった、もっと啜りたい」という感覚は変わっていない。


牧志に背を向けたままで尖った牙で自分の腕を噛む。
血は出るだろうか。どんな味がするだろうか。

周囲はどんな状況だろうか。
佐倉 光
いちいち長いわ! 脳内大嵐なんだよ。
KP
とても楽しい! 佐倉さんの脳内たっぷり読ませて頂いています 楽しい
KP
あなたは彼に背を向け、自分の腕に歯を沿わせる。
尖った感触が皮膚に触れた。食事用のフォークを思い出すような、鈍い鋭さを感じた。

一息に噛み破る。

赤黒い色が流れ出た。あの香しい液体と同じ色。
しかし、そこから溢れ出るのはあの食欲を掻き立ててやまない香りではなく、果実が腐ったような甘怠い臭いだった。

あなたの舌に血が触れる。
気味の悪い淀んだ苦味が舌を刺し、あなたは思わずそれを吐き出す。
啜ることなど到底できそうにはなく、舌に残る味がまだ気持ちが悪かった。
佐倉 光
げっげっと口の中に残る不快な味と臭いを追い出そうとする。
くそ、自分の血で凌ぐのは無理かよ。知ってた!
KP
辺りを見回せば、薄暗い中にベッドのような影が見えた。どうやら、寝室かどこかにいるらしかった。
窓には分厚いカーテンがぴったりと閉じられ、その向こうから、細い陽光が微かに地面に線を描いていた。

どうやら朝になっているらしかった。
佐倉 光
カーテンの隙間から差し込んでくる光が見える。

雨が止んだ?
いや、朝が来た?
ちょっと待て。この得体の知れない所に一体どれくらいいたんだ?
だいたい、今の俺が本当に吸血鬼だとすると、太陽の光やべぇだろ
徹夜明けの比じゃねぇぞあの眩しさ。

そっとパーカーのフードをかぶる。
こんなのは気休めにしかならないが、ないよりはマシだ。

※日数経過処理[夜→朝]※
 佐倉: HP-1d4(日数経過)
 牧志: HP+1d2+1(睡眠+昨夜の夕食分)
KP
日数経過/HP増減ルールについては、探索開始時に詳細が出ます。
牧志 浩太
1d2+1 Sasa BOT 1d2+1→2+1→合計3
HP8 → 11
佐倉 光
1d4 Sasa BOT 1d4→1
HP 10→9
佐倉 光
吸わざるを得なくなるヤツかぁ~
KP
ヤツですね~

牧志 浩太
「う……、」
あなたの背後で、牧志が微かに呻いて身を起こした気配がした。
佐倉 光
牧志の声にびくりとして小さくなった。
隠れる場所はないだろうか、いやまず謝らないと。
都合良く忘れてくれる、わけねぇよなぁ!
それ以前にまたあいつ見て、正気でいられるのか俺は。

離れていても鼻腔をくすぐる、芳しい血の香りが。
鼻つまもう。そうしたら少しはマシかもしれない。

つーか俺に噛まれたことであいつも吸血鬼になってないか?
ゾンビじゃねぇんだからそれはないか。
吸血鬼って噛んだ相手を仲間にするとかなかったっけ?
いやでも俺は噛まれたわけじゃないし、
いわゆるヴァンパイアってヤツかどうかも分からないわけで
アナライズが必要か

いやそれどころじゃない、


とりあえず牧志に、状況確認と、事情説明と……

背を向けたまま鼻をつまんで、牧志に声をかける。
怖いから振り向かない。

「大丈夫か」
口を開くのは最低限だ。
口からも匂いが入ってくる気がする。
牧志視点
KP
あなたは呻きつつ、ふらつく身体とくらくらと揺らめく頭を感じながら身を起こす。
少しぼんやりする意識の霧を振り払えば、昨夜起きたことが明確に思い出された。

あなたの血を貪った化け物が、あなたに背を向けて背を丸めていた。
牧志 浩太
見慣れた背中に、一瞬ぞくりと怖気を覚えた。
それを振り払い、普段から猫背気味の背中を見遣る。

(佐倉さん)
その様子を見るに、今は正気に戻っているみたいだ。……よかった。
あれは、何だったんだろう。

その背中を見ていると、怯えさせたら逃げてしまうような気がして、
慎重に声を出す。
俺は大丈夫だよ、佐倉さん。大丈夫。

牧志 浩太
「俺は、今の所は大丈夫かな。
少し怠い気もするけど、それくらいだ」

あなたの問いに、牧志は慎重な声で応えた。
背を向けるあなたを怯えさせまいと、無理をしていると思わせまいとする、
慎重で穏やかな声だった。

「あいつら、気づいたらいなくなってたんだ。
ごめん、追いかける余裕がなかった」

室内に溢れ返る匂いが、少し弱くなる。
何かで傷を覆ったのだろう。
その様子からして、彼は自身に起きたことを覚えているようだった。
佐倉 光
少しほっとした。
その慎重な反応はいつもの牧志の思考から来る態度だと確信できた。
そうすると、おかしいのは俺だけか。

「あの……ごめんな、その、首の怪我とか」
喋り始めるともう止まらなかった。

「俺は明らかにおかしい。感覚も変だ。
お前の顔見ると危ない気がするし、太陽が怖いんだ。
光がか、時間がかは分からないけど、一般的なイメージなら光だよな。
どうしてこんな事になっているかは良くわからないけど、
あの刃物を刺されたところから何かが入ってきた。
俺の中に何かがいる。
たまに俺自身みたいな顔であれこれ要求してくる。
血が欲しいとか、
ちがう、あくまで望んでいるのは感覚を狂わされた俺自身かも知れないし、
ああ、つまり今俺はおかしいし、人間じゃないんだ」

鼻をつまんだままで混乱する思考を一気に吐き出す。
到底整理された情報とも言えなかったが、今はこれが限界だった。
わかりきったことを説明している自分が馬鹿に思えてきた。

そんなの、無理矢理血を吸われたってとこで
明らかにおかしいのは分かってるじゃないか。

「ああくそ、何なんだよ。
こういうのって二人とも化け物の餌食になるパターンだろ。
なんで俺が吸う側になってるんだよ!」

フードの上から自分の頭を目茶苦茶にかき回す。
物理でかき回せば何か見つかるとでも言わんばかりに。
KP
彼はじっと、まくし立てるあなたの言葉を聞いていた。
言葉を挟むことも、何かを問うこともなく、じっと。

そして、ぽつりと一言呟いた。
言うつもりではなく、意図せず漏れてしまったようだった。
牧志 浩太
「ああ、
よかった。ちゃんと佐倉さんだ」

深く安堵するような溜息だった。
牧志視点
牧志 浩太
(あ、しまった。声に出た)

佐倉 光
もー、泣いちゃうだろそんなこと言われたら!
400くらいなら吸ってもいいかなとか思ってごめんな!?
KP
また終了後にでも軽く牧志視点をと思っているので、牧志を襲ったときの佐倉さんがどんなだったかは、その時にでも。
佐倉 光
わーい
佐倉 光
「こんなのどこが俺なんだよ」
喉が痛くてもうそれしか言えなかった。

しばらく黙り込んでしまう。


それから思い出したように左腕に視線を落とす。
腕輪はあるか。《アナライズ》はできそうか。
KP
あなたの腕に、腕輪はなかった。
それどころか、荷物も粗方ない。
残っているのは、スマートフォンや携帯電話を除く、ポケットに入れていた物くらいだ。
佐倉 光
ポケットか。そうすると水分はなさそうだな。せいぜい小銭くらいかなぁ。
「俺の持ち物はほぼない。そっちはどうだ」

意識的に喋って思考と正気を保とうとする。
情報交換は必要だろうしな。
KP
ごそごそとポケットなどを探る音が聞こえる。
牧志 浩太
「俺もみたいだ。なんだか久しぶりだな、こういうの……。
ハンカチとティッシュと財布くらいしかない。あ、エネルギーバーが出てきた」
佐倉 光
「そうか、役に立つかもな……
首、なんかで巻いてる?」

牧志と会話していると少し落ち着いてくる。
状態はどうあれ、話せるのは上々だ。
作戦会議ができる。

巻いてるというなら鼻をつまんだまま少しずつ牧志の方を向くか。
ずっとケツ向けて喋らずにすむならその方がいい。
牧志 浩太
「ああ。ハンカチ、丁度大きめの持ってたから」
少しずつ牧志を視界に入れると、彼の首にハンカチが巻かれていた。
草原と牛を描いたそれは、あの高原で売っていた土産物のようだ。
佐倉 光
壁際にくっついて、深呼吸をする。
「よし……」
何とか気を落ち着かせる。
「お前が無事で良かった」

「けど本当に、どうして俺がわざわざ吸血鬼にされたんだ。
お前がそのまま置かれているのはたぶん、俺に……」

少し言葉に躊躇った。

「食わせるためだと思う。
だから、やっぱり駄目なんだ。
早く脱出しないと」
牧志 浩太
「ああ、現状分からないことだらけだ。
とりあえず、ここは見た感じ寝室かどこかに見える。
寝てるうちによそに連れてこられたとかじゃなきゃ、あの屋敷だ。

雨は止んでるようだけど、佐倉さん、太陽が怖いって言ってたな」

言葉を交わし、現状を整理しながら。
彼の声にもまた、少しずつ力が戻ってきていた。
牧志視点
牧志 浩太
(こうやって話していられると、なんだか安心するな。
……よし。今できることを考えよう)

佐倉 光
ダメージくらったしそうだろうって決め打ちで「太陽怖い」って言ったけど、
何か実感として、眩しいとか熱いとか嫌な感じがするとかあるかな。
KP
そうやって意識するならば、いくつか意識できることがある。

緩やかに地面に線を描く陽光が、外から僅かに漏れる光が、いやに眩しく感じる。

起きたばかりだというのに、徹夜した後のような眠気を感じ、目の前の寝床に横たわって眠ってしまいたくなる。

身体が、どこか怠く、重たい。

※探索ルールを開示します。
探索ルール
把握
佐倉 光
結構時間かかる感じだなー。
また行方不明になってしまう。
吸血しないペナが結構重いな。
KP
ですね。吸血しないと一方的にHPが減るし結構がっつりやられます。
佐倉 光
結局その分吸わざるを得なくなるし、やせ我慢する意味はRP以外にはあまりないなぁ。
一回くらい耐えてみるかw
KP
RP的にはとても見たいあれではある。
あ、ここでMAPも開示されます。
佐倉 光
お、予想はしてたけどガチ探索!

佐倉 光
今いるのは2Fの寝室で、時間は朝ってことかしら。
客室?
1F5部屋、2F3部屋、一日基本3回分探索可能、
吸血のこと考えるとあまり時間はかけられないな。
KP
今いるのは2Fの寝室。
現在は1日目の「昼」、行動前です。

あ、1日の探索回数は2回(2部屋)です。
また、1ターンごとに1部屋を探索できます。
(ちょっと書き方が紛らわしいんですが、1部屋に技能判定が2回あったから2ターン消費、とかにはなりません)
佐倉 光
うち1回は牧志一人で調べることにすればHP減らないって感じかな?
ヴァンパイア行動可能時間短けぇ!
KP
・うち1回は牧志一人で調べることにすれば、佐倉さんのHPは減りません。

・二人で手分けして別の部屋を調べる(1ターンでまとめて2部屋探索する)こともできます。

・窓から外の様子を確認する、玄関の様子を確認するなど、部屋以外の場所の確認はターン消費なしで行えます。
佐倉 光
ほー。外もアリなんだ。
うーん、佐倉のHPあまり一気に減らしすぎると危険なんだよな。
まるっと牧志にダメージ行くし。
KP
一応牧志は休養に専念することでHP回復できるので(【CON】ロール次第ではあるけど)思い切って行動して、ダイスが走ってHP減り過ぎたら休養専念するのもアリといえばアリ。
佐倉 光
まずは二人で手分けして調査するか。

佐倉 光
「まずは状況の把握に努めよう。それぞれで調べて、あいつらの狙いを掴むんだ。
まずは玄関のチェックして、逃げ道があるかどうかと、奴らがいるかどうか把握したいな」
一人で逃げてもいい、は言わない。
言うだけ意味がない。
牧志 浩太
「そうだな、賛成。どっちがどっち行く?」
佐倉 光
具体的にはゾーキング可能なとこ見てから二階の調査。
寝室・書斎をそれぞれチェックしたい。
KP
ゾーキング可能な場所は
 ・窓から外を見る
 ・玄関の様子を確認する

となります。

まずは、
・ここの窓から外を見る、ということで構いませんか? 
・外は牧志に見てもらうということで合っていますか?
佐倉 光
玄関は佐倉、牧志は外かな。
佐倉が外見ると碌な事にならなさそう。
KP
では、まず玄関から。

KP
あなたは怠く感じる身体を引きずり、玄関へと向かう。

豪華な絨毯が敷かれたエントランスホールは、今見れば少し薄暗く見える照明に照らされている。
昨夜あなた達は、ここから館に招かれてきたのだ。
雨に追われ、疲労と空腹にさいなまれながら。警戒する余裕さえ失って。

玄関の扉はあの夜と変わらず、ただ静かに沈黙している。
と、あなたはふと気づく。
玄関の鍵が、あれは開けられているのではないか。
佐倉 光
扉は開けないが、ノブを回してみる。
玄関は開いていて、いつでも出て行ける状態なのか?
KP
両開きの大きな扉を、押せば容易く開きそうに動いた。
もう少し力を加えれば、外の風景があなたの目に映るだろう。
ここに鍵は掛かっていないのだ。
佐倉 光
そこまででやめて、周囲の音を警戒しつつ寝室に戻る。

いい材料が一つ。だが不可解だ。
閉じ込めるつもりはないのか?
牧志視点
牧志 浩太
佐倉さんが扉の向こうへ去ったのを確認してから、カーテンを開けずに、カーテンの継ぎ目から向こうへ身を滑らせる。
KP
カーテンの向こうへ身を滑らせると、そこには穏やかな昼の光が満ちていた。
館の外には小さな庭が造られており、背の低い木が柔らかい葉を風にそよがせている。
庭の向こうは緩やかな下り坂で、遠く微かに、あなた達が訪れていた高原が見えた。

きっとあの坂を下れば、高原に戻れるのだろう。
高原に戻れば、あなた達が乗ってきた車が停めたままになっていて、
その車に乗れば、家に帰れるのだろう。
牧志 浩太
(雨は止んでる。外に見張りとか番犬がいる、ってこともないみたいだ。
……今の佐倉さんにとっては、この光が怖いんだな)
首に巻いたハンカチの下、傷が微かに痛んだ。

牧志 浩太
「佐倉さん」
あなたの気配に気づき、牧志はカーテンの向こう側からこちらへ戻ってくる。
「雨はもう止んでるみたいだったよ。外に見張りとか番犬がいる、ってこともなくて、普通に歩いて帰れそうだった」
佐倉 光
「そうか、玄関は開いてた。普通に出て行けそうだったな。
もう俺達への用が済んでいるのか、見た目では分からない出て行けない理由があるのか。
最悪夜なら何とかなるかもな……
あまりにもあからさま過ぎて気にいらない、ってのが正直なとこだよ」
牧志 浩太
「玄関もか。結界みたいなものがなければ、出ていけるってことだよな。
……俺も同感。トラップがありそうな気分だ。不用意に一歩踏み出したが最後、みたいなさ。

それにしても、何をさせたいんだ、俺達に……」
佐倉 光
「屋敷内にあいつらが見当たらない。
考えられるのは俺に入り込んだ何かを育てる、あたりか。
けどそれが目的なら、お前と二人で一部屋に閉じ込めておくだけでいいはずだ。屋敷を開けておく意味がない。
逃げようとしたらトラップ、なんてものを仕掛けるくらいなら、鍵でもかけておく方が確実じゃないか……」
しばらく考え込んで、
「この屋敷、調べてみよう。
あいつらが意図的に開けているのか、何かのトラブルなのかは分からないがいないんだ。何か見つかるかも知れない」
牧志 浩太
「だな。そもそも、俺達の荷物も、佐倉さんのCOMPも見つかってないわけだし」頷く。

佐倉 光
というわけで、書斎と寝室を調査しよう。
牧志って〈図書館〉いくつだっけ。
KP
牧志は〈図書館〉82〈目星〉89〈聞き耳〉92ですね。参考までに。
佐倉 光
そうか、じゃあこの部屋の〈目星〉頼もう。こっちは本を見に行く。


-【1日目:昼】-


牧志視点
KP
あなたは扉を押し開けて出ていく彼を見送り、室内の調査に入る。
重そうに自らの身体を引きずる彼は、ひどく調子が悪そうに見えた。
牧志 浩太
(調子が悪そうだ。やっぱり、吸血鬼だから昼は苦手とか、あるんだろうな)

KP
では、まず書斎から。
佐倉 光
体がだるい。頭がぼうっとする。
昼間だからか? 光に当たらなくても駄目なのか?
「くそ、不便な体だな」
KP
ぼんやりとした怠さを感じる身体は、引きずられるように重い。カーテンの合間から僅かに細い線を描く陽光が、酷く意識に障り、忌々しく、恐ろしい。

早くあんなもの空から消えてくれないものか。あなたは思う。

書斎の扉を引こうとしてあなたは気づいた。
鍵が掛かっている。

※このターンの調査先を、他の部屋に変更することができます。
佐倉 光
おや。じゃあ舌打ちしながら客室に行くか。
差し込む太陽の光からできるだけ距離を取りながら。

そういや、ここのカーテンは分厚い遮光。ここに住んでいるヤツも光が苦手だったのか。
KP
気づいてみれば、陽光はこんなに眩しいというのに、室内には光が入ってこない。

客室の扉には、他の扉と違って扉全体に細やかな装飾が彫られていた。

〈オカルト〉で判定。
佐倉 光
1d100 75〈オカルト〉 Sasa BOT 1d100→67→成功
KP
様々なシンボルを織り込んだパターン。模様に混ぜ込むように、古い英語と見知らぬ言語を交えて刻まれた文句。その言葉が何かは分からないものの、その様式には何となく思い当たる所があった。

これは、魔除けだ。
佐倉 光
「魔除け。つーことは……」
自分の掌を見て少し考え、触れるのをやめる。
おとなしく自分が悪魔だということを受け入れるべきだろう。

後で牧志に見て貰った方が良さそうだ。
KP
※室内に入らない場合、このターンの調査先を他の場所に変更することができます。
佐倉 光
あれ、できるんだ。じゃあ1Fも見よう。
佐倉 光
キッチンかな。
牧志には食事が必要だ。
俺には? あまり考えたくはない。
武器が手に入るかも知れないしな。
牧志視点
KP
薄暗い明かりに照らされた室内には、柔らかなベッドが二つと、細かな装飾の施されたベッドサイドテーブルがある。
それからクローゼットと、キャビネットが一つ。
牧志 浩太
ベッドサイドテーブルをまず見てみよう。
KP
テーブルの引き出しを開けると、コーン型のお香が一揃い入っている。
その奥を探ると、ふとあなたの手が重たい感触に触れた。
鉄の塊のような何かがある。
引き出してみると、それはこの場にある筈のないものだった。

あなたはそれを見たことがある。
引き金に掛かったままの、ちぎれた腕を思い出した。
あなたに向けられた銃口を思い出した。
微かに棚引く硝煙の匂いを思い出した。

それは、拳銃だ。
波照間はかつて異界で、銃を持ったままの、悪魔の犠牲者の腕を目撃したことがある。
牧志はその記憶を思い出したのだ。
牧志 浩太
(えっ? ここ国内だよな? え?)
……本物だろうか、弾は入っているのか。恐る恐る中を調べてみる。
KP
中には弾が入っていた。実弾だ、と気づくと、途端にその塊が重く感じるだろう。
鈍い白銀色に光るそれの先端は、凶悪な形をして感じられた。

と、その色合いに違和感があることに、あなたは気づく。
銀色。それは純銀の色だ。
銃弾に使うにも柔らかいはずのその金属の表面に、無数の文字が彫られている。

それは神への古い祈りの文句だ。
牧志 浩太
銀の弾丸、という言葉が浮かんだ。

そうだ。“僕”は似たような物を見た事があるし、使った事がある。
あの時は、敵に先に使われて酷い目に遭ったけど……。

これはもしかして、人間に向ける物じゃなく。
化け物。──吸血鬼に向ける物なんじゃないのか。

弾を戻し、安全装置を確認して銃を懐に入れる。
(……吸血鬼だけ殺して佐倉さんを元に戻すとか、そういうことができたらいいんだけどな)

KP
あなたは階段を降り、キッチンに踏み込む。

昨日の晩餐の痕跡はきれいに片付けられ、食器棚には見覚えのあるカトラリーが美しく並んでいた。

奥の方には見知ったメーカーの冷蔵庫があり、それだけがこの非日常的な屋敷を日常的なもののように見せていた。
佐倉 光
冷蔵庫をチェックしよう。
近づいてドアを開ける。
「何が善人だよ、くそっ」などと毒づきながら。
KP
冷蔵庫を開けると、ひやりとした冷気が肌に触れた。
どうやら、冷蔵庫は稼働しているようだ。

中には様々な食材が入ったままになっている。昨日のローストチキンの残りや、冷蔵、冷凍された未調理の肉。野菜。おっと、トマトジュースもある。

〈目星〉
佐倉 光
ついついいつもの癖で〈目星〉とか打ってチャットパレット出てくるの待っちゃう。
KP
わかる。
佐倉 光
1d100 85〈目星〉 Sasa BOT 1d100→40→成功
「良かった、この食料は使えるな」
少しほっとした。
こんな目に遭わされているんだ。
食材くらいもらったって構わないだろう。
KP
未調理の肉のパックの奥に、何か液体の入ったプラスチックの色。一瞬、あなたはそれをスープの作り置きかな、と思っただろう。

そうではなかった。
これはスープの作り置き、いや。
赤黒いそれは、人間の、まだ生きている血液の色だった。

幸い、幸いだろうか? 
それは悍ましい行為を予想させるようなものではなく、きちんとラベルの貼られた血液製剤だった。
こんなものをどこから入手してきたのかは、少々想像しがたかったが。
佐倉 光
「……ラッキー……か?」
こめかみに手を当てて、とりあえずトマトジュースを一本取りだして冷蔵庫を閉める。

まあ、ないよりはいい。ないよりは。
一瞬「血液パックまずそうだな」なんて思ってしまったことは。
何と比べてまずそうだな、と思ってしまったかは。
とりあえず棚上げにしておきたかった。

トマトジュースの蓋を開けて飲んでみよう。
KP
あなたはトマトジュースを手に取り口をつける。
赤い液体が舌に触れる。
塩気も、何の味も感じなかった。ただ冷たい何かが喉を滑り落ちていく。

それが腹に落ちた、直後。
胃袋が裏表にひっくり返り、あらゆる内容物を吹き出すのが見えるような、強烈な吐き気があなたを襲う。

あなたの肉体は、それを体内に留めておくことができない。最後の一滴まで吐き出しきるまで、吐き気は止まらない。
佐倉 光
げほげほと流しに残らず吐き出すと、随分惨めな気分になった。
「う……うう……ひでぇ」
血以外は受け付けない? なんて非効率的な体だ。
少しずつ追い詰められていく心地がする。

口元を目から流れるものと纏めて拭い、流しの水で顔を洗う。
▽血液製剤
消毒液と輸血セットまで一揃いに置かれた血液製剤。〈医学〉の判定に成功すれば輸血できるかもしれない。

輸血できた場合、HP を 1d3+3 回復することが出来るが、その日一日、あなたは牧志の血を飲むことが出来なくなる。

あるいは、あなたが飲んでみるのも自由だ。
佐倉 光
生き血じゃないと駄目そうなんだよなー!
佐倉 光
吐いて丁度いいから、昼探索のダメージ振ります。
1d3 Sasa BOT 1d3→1
HP 9→8
疲労が体中にのしかかってくる。思ったより余裕はないかも知れない。

佐倉 光
たのしい!
KP
やったー! KPもたのしい!
吸血鬼描写と思考みっちり盛って下さるから読んでてすごく楽しい
佐倉 光
やっぱりね、最初は理性で頑張りたいよね!!
HP減少かなり抑えられてるし、やせ我慢やってみることができそうです。
KP
わぁい、楽しみ。>やせ我慢
一度は見たいですからね!!
佐倉 光
飢えに負けてくのはやってみたいなー
KP
あああぜひ見たいな~~
牧志視点
牧志 浩太
キャビネットを調べてみる。
KP
キャビネットには細々とした日用品が入っている。
〈目星〉
牧志 浩太
1d100 89〈目星〉 Sasa BOT 1d100→83→成功
KP
引き出しの奥に鉄剤のパッケージを見つけた。3錠残っている。
牧志 浩太
(鉄剤か……。貧血に使ったりするよな。後で飲んでおこうかな)
鉄剤をポケットに入れて、クローゼットを確認する。

佐倉 光
調理器具やカトラリーが使えるかのチェック、武器になりそうな刃物はないか、
火はつくか、不審な物はないか。
KP
冷蔵庫から視線を戻すと、調理器具は鍋や包丁など、一通り揃っているようだ。

包丁を武器として使う場合、[小型ナイフ]扱い。

調理器具もカトラリーも問題なく使えそうであり、IH式のコンロも、電子レンジも作動する。ここで料理を作るのに不自由はしないだろう。
佐倉 光
調理用具、よし。
ざっと片っ端から棚を開けて確認し、
包丁を持ってみて一番手にしっくり馴染んだ物を拝借する。
カバーがあればそれを使うし、なければ適当な入れ物に突っ込んでひとふり持っていこう。

生肉の塊とか俺には塩胡椒して焼く程度しかできないが、一応まともな食事は作れそうだ。
昨日の極上の食事を思い出しても少しも食欲が湧かないどころか
胃袋まるごとひっくり返るような最悪の吐き気を思い出して気分が落ち込んでしまったが。

昨日の食事はもしかすると、
俺達を油断させる罠だったと同時に、
しっかり栄養を付けて健康な血を作らせるためだったのかも知れない、と思った。
牧志視点
KP
クローゼットには、女性用の華やかなドレスと、きっちりと仕立てられた男物の豪華なコート。
それから日常用のガウンや寝巻など、色々な衣服が揃っている。
〈目星〉
牧志 浩太
1d100 83〈目星〉 Sasa BOT 1d100→49→成功
KP
クローゼットの奥に、マズルガード、猿轡、手枷などの拘束具が吊るされているのが見つかる。
それなりに強度は高そうだ。
牧志 浩太
思わず、うわ、と声を出してしまった。目前で見ると何だか凄いな、こういうの。

KP
〈目星〉
佐倉 光
1d100 85 Sasa BOT 1d100→82→成功
いまのなし
KP
1d4 Sasa BOT 1d4→3
食器棚の奥に毒々しいラベルのエナジードリンクが3本、入っているのを見つけた。
▽エナジードリンク
「正気ではいられない貴方に!!」と書かれたラベルの貼ってある市販のエナジードリンクだ。

1d3 の SAN 値を減少させるかわりに、技能値へのマイナス補正を1 回分無視することが出来る。
佐倉 光
それ俺は飲めるのかなw
KP
試してみてもいいが、トマトジュースを飲んだときのことを考えると気乗りはしないだろう。
佐倉 光
だよねー。誰もまともに飲めないぞw
KP
あとHP減少で技能値にマイナス補正がかかるのは牧志だけなので、佐倉さんは飲めたとしても、データ的な意味はないですね。
佐倉 光
あー、そうか。
KP
そういや牧志はカフェイン駄目なので、エナジードリンクあっても飲めないな。
佐倉 光
そうなの
もうちょっとお腹に優しいやつがいいな!
KP
KPこれ出すまでうっかりしてたので、ちょっと変更します。

※※いまのなし※※

KP
食器棚の片隅にハーブティーのパックがあるのを見つけた。3パックある。

その傍らには金色の縁取りが施された美しいティーカップもあり、あの二人はさぞかし良いティータイムを楽しめたことだろう。
▽リラックス効果のあるハーブティー
使用することで、吸血される時のSAN 値減少が 1 緩和される。1回に1つしか使えない。

その香りは目の前で起こされることからの抵抗感を奪う。
佐倉 光
効能が変わった!
KP
ちょっと同じ効果でお腹にやさしいもの思いつかなかったので。
佐倉 光
なかなか難しいな~

佐倉 光
お茶か。
牧志は欲しがるかも知れない、覚えておこう。
もう何もないようなら、部屋に戻って牧志が帰ってくるまでフレーバー休憩します。
KP
他に不審な物などはないようだ。包丁はカバーがあり、持っていくことができる。
佐倉 光
体のだるさと眠気が限界だ。
少し休まないと、動けなくなってしまいそうだ……。

吸血鬼ってビタミンDやセロトニン要らねぇのかな。
そんなことを考えながら重い体を引きずって部屋に戻ると、ベッドの上に倒れ込んだ。
KP
あなたは引きずり込まれるように、柔らかなベッドの上に倒れ込む。
目を閉じれば、かろうじて少し安らいだ。
佐倉 光
帰ってくるまでって思ったけど牧志ココ調べてたんだった。
じゃあ何してるとか気にしないでふらふら戻ってきて寝た。
牧志視点
KP
あなたが声を出した辺りで、寝室の扉が開いた。
牧志 浩太
思わず驚いた顔のまま振り返ってしまう。
KP
そこにいたのは、蒼白な顔をした佐倉だった。
血を吸われたあなたよりも、余程血の気を失って見える。
目の下にくっきりと刻まれた隈は、彼をもう何日も眠っていないかのように見せていた。
彼はあなたの様子に気づくこともなく、しがみつくようにどうにかベッドに手をかけると、そのままベッドに倒れ込んで眠ってしまった。
牧志 浩太
(佐倉さん、しんどそうだな)
もう一つのベッドに腰かけ、佐倉さんが目覚めるのを待つ。

KP
あなたは曖昧な意識の中で、気だるい夢を見ていた。

どろどろとスープのように溶ける思考が、あなたの理性をかき混ぜていく。
あなたは赤いひとかたまりの泥になって、地面を這いずっていた。


ふと目を覚ますと、カーテンの向こうに線を描く陽光がオレンジ色に染まっていた。
身体の気だるさは和らぎ、意識がすっきりと晴れている。
牧志視点
KP
ふっと、ベッドに沈んでいた佐倉が眼を開いた。
肌にはまったく血の気がないままだが、目の下に刻まれていた隈は消え、眼に光が戻っている。
牧志 浩太
(よかった、元気そうだ。血の気がないのに元気そうって、不思議な感じだな)

牧志 浩太
「おはよう。
酷い顔だったけど、ましになってるようでよかった。

こっちはいくつか、役に立ちそうなものを見つけたよ」
佐倉 光
意識と感覚がはっきりしたためか、かすかに目の前の生き物から血が香るのを感じた。
椅子があるなら壁際に置いて、鼻と口を手で軽くおさえて腰掛ける。
「なんとかましになってきた。昼間は辛い。二徹の朝よりまぶしいししんどい」

自分が見てきたものを伝える。
「書斎っぽい部屋には鍵がかかっていた。
客間は俺には触れない気がするから、後で調べてみてくれ。
あと、一階の台所にはまともな食事も調理器具もある」
食材の内容やお茶、血液製剤のことも一応伝える。
KP
あなたは壁際に椅子を置いて腰掛ける。
牧志はちょっと輸血をする自信はないな、ハーブティーってノンカフェインなんだっけ、などと言いながら、あなたの報告を聞く。
佐倉 光
「……そうだ、これ」
下から持ってきた包丁を手渡す。
「一応持っててくれ。『何か危険があったら』使え」
KP
彼ははっきりと表情を曇らせた。
牧志 浩太
「……、ああ、分かった。何かあったら使うよ」
包丁を受け取り、少し迷ってベルトに差す。

「こっちは、サイドテーブルにお香と、それから鉄剤を見つけたんだ。エリザさんが使ってたものだと思う。

あと、クローゼットの中に手枷とか、猿轡とか、そういう拘束具が入ってた。
佐倉 光
「手枷に猿ぐつわ? 拉致用かな。俺達はつけられてなくて良かった」
牧志 浩太
「あー、本当にな。一つしかないみたいだったけど。
それから、」

彼はいちど、躊躇い、口ごもった。
佐倉 光
「なんだよ?」
うながす
牧志 浩太
「……サイドテーブルに、拳銃が入ってた。それと、弾が五発。自信はないけど、たぶん材質は銀」
KP
銀。
それは古く人狼に対する最大の武器とされた。闇から来たる“化け物”に対する最大の武器であると。

吸血鬼は狼に変ずる力を持つという。今のあなたに、それができそうな気配はなかったが。
佐倉 光
「へぇ……ナイフより役立ちそうだ」
最悪の場合はそれだな。そう思ってしまったのは事実だ。

「とにかく持っておいてくれ。
ここの奴らにも効くかも知れない。

普通に考えて俺達みたいなやつの鎮圧用なんだろうけど、カーテンがやたら分厚いことを考えてもここの奴らに使える可能性は一応ある。
まあ、特別な威力がなくても銃だしな、ないよりいいさ」
牧志 浩太
「……分かった、そうだな。もしかしたら、あいつらが吸血鬼の親玉かもしれないしな」

彼はその鉄塊をどうやって携帯すべきか少し迷いつつ、持っておくことにしたようだ。
▽お香
良い匂いがするお香。不安などを取り除き、リラックス効果をもたらす。
焚いている最中のみ効果がある。1回分。

二人ともに効果がある。
【POW】×5成功すれば、吸血時のSAN 値減少が 1 緩和される。
▽拳銃
中を調べると銀製の弾が入っている。弾数は 5 発。
ダメージ 1d10 初期値 20%
▽鉄剤
3錠ある。使えるのは牧志のみ。
鉄剤を内服し、【CON】×5成功することで HP+1 回復する。一日に一回しか効果がない。
牧志 浩太
「佐倉さんが見つけたお茶といい、何だか、不安をましにするような物が多いな……」
佐倉 光
「武器に回復薬。ゲームをさせられているような気分になってきた」
げっそりと呟く。
牧志 浩太
「ゲームか……。たちの悪い何かに遊ばれてるとかじゃないよな? これ」
佐倉 光
「ここの奴らが使ってたのかな。
わざわざ俺達のために置いといたって事はないだろうし」
牧志 浩太
「たぶん、そうだと思うんだけどさ。エリザさんのあの様子なら、鉄剤は使ってたんだろうし」
佐倉 光
「気に入らねぇけど、少なくとも俺は今のままじゃ外に出られない。
銀の弾丸俺の腹にぶち込んだら何とかならないかな。
さすがに俺が死ぬか」

ため息をついた。
牧志 浩太
「……それはちょっと試したくないな」
佐倉 光
「俺はもう少し一階を調べてみる。牧志は客間を頼む。
何かあったらすぐ呼んでくれ」
牧志 浩太
「分かった、その客間を調べてみる」
佐倉 光
というわけで夕方探索にGo
KP
方針を決めて別れるあなた達の背後で、線のような陽光が少しずつ色を失っていく。
辺りの温度が下がり、薄ら寒くなっていくのと逆に、あなたの意識は昼の不調が嘘のように冴え渡っていく。

コメント By.佐倉 光
自分の運命を呪い、悪魔と合体しても強くなりたいと願った日もあった。
だがそれはあくまで過去の話。
いざ感覚も欲望も人間とずれた存在になると、佐倉の脳内はひたすらに五月蠅くなるばかりなのだった。

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冷静で、冷酷で、冷徹な、いつもの佐倉さんだった。
ただ、俺の敵だってこと以外は。

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「勿論だよ」
「一度目も、二度目もね」

TRPGリプレイ【置】CoC『青に染色』 牧志&佐倉 3

考えてはならない。内容を聞いてはならない。口を閉じていなければならない。理由は分からない。忘れた。もう強迫観念になっている。

【クトゥルフ神話TRPG】
本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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