突発フリートークのお時間です。
オリジナルシナリオについての裏話など。

このシナリオ、牧志と佐倉が体験したシナリオほぼ全てにおいてのロストの可能性を体験するシナリオですので、必然的に彼らが体験した全シナリオについてのネタバレ入ります。
いや、完全って訳ではないんですけど(言わずもがなでネタバレ配慮不要だったり、そもそもアレンジ強すぎて原形留めてなかったり)いちいち一個ずつ提示するの面倒なので「全部に対するネタバレがある」と思ってください。特に『1100』は最大特大のネタバレかまします
この時点でただの俺得記事。
自分用メモ兼アフタートークみたいなもんです。


始まりのきっかけ

『死にまくる相棒を必死に足掻いて助けようとする話』すごく楽しそうじゃない?
ってところからこの話は始まっています。
で、折角なら『過去に体験した事件で、彼らが失敗したり、また全然別の流れになってしまい、ロストエンドにたどり着いたif』が見られたら楽しいよね! ということで、ロストのシーンが連続する話になっています。

何度もKPCが死ぬ夢を見る、それによりKPCが疲弊するが、なんとかぎりぎりの所で助ける、という骨だけはずっとありました。
あとは、基本はヒロイックだが、できるだけクトゥルフ神話TRPGであることの意味を出す、ということ。

最初はこんな感じでした。
未来側の話から始まって、そこで「死ぬ」と、その先彼はいなかったことになり少しずつそれ以降の記憶が消える。
それを繰り返して少しずつ過去の事件に遡ってゆき、最終的に子供の頃まで戻るが、そこでのPCの行動によって全てが元に戻る。ただ、ずっと過去に彼を救った誰かの記憶だけは朧気に残る。 みたいな。(ありがち!!)
そういう話が最初にある状態で、どんな神話生物をどう使うか、みたいな話が全然決まらず(何しろ私はクトゥルフ知らなかったので!)、長いこと棚上げになっていました。
んでうまいこと汎用性のあるシナリオにできたら、ちゃんとした形にして公開するのもいいかなとか思ってました。

テーマ曲がDreams of an Absolution(新ソニック シルバーのテーマ)になったのこの頃です。
何度も何度も実は救えなかった人を救う夢を見続けるという切なすぎる歌ですね。テーマに合ってるようで合ってないな!
まあ、KPCがPCを救おうとした結果そうなっちゃったって話も面白いかも、と思いつつ、いい案思いつかないままでした。
白状します。この歌が大好きなだけです。


練り込み

でも棚上げになっている間に色々なシナリオを遊ぶことになり、佐倉は流れで「隻眼の牧志」を抱え込むことになります。
あと、『対の棲みか』やった頃から、私自身いいかげんクトゥルフ知識真面目に必要だろう、ということで、原作ちょっと読んだり、いつでも読めるアプリ版ルルブ契約したりで、神話生物の知識なんかを得たわけです。

で、死にまくる描写や、それに伴う感情のアレコレ描写するなら置き卓がいいよね、ということになり、そろそろいい加減ちゃんとつくらなければなぁ、となりました。

あと、最初の案だとただただ死ぬシーン見続けて、なんとなく判定いれて、最後だけがんばれみたいな構成だったので、それはゲームとして面白いのか? それただの劇じゃん? と思ってしまったので、PCの干渉できる要素を増やそうと思いました。

チャットGPTさんに、「時間を操る神話生物を教えて」って質問したら、なんか聞いたこともない面白そうな神話生物について教えてくれたので、「くわしく!!」って言ったらどうやらGPTさん得意のデタラメだった、なんてのも良い想い出です。こういうのをChatGPTさんに訊いてはいけないのだ。
オリジナルでもまあ良いけど、最初はやっぱりちゃんと原典にいる奴にしたいじゃん!

隻眼の牧志君について「アッタに『何だか分からん異物取り除いてやろうか』と言われて佐倉が拒否する」なんてネタが出てましたので、そのへんを土台にできたら面白そうだなと思いました。

というわけでマレモン読んで神話生物色々見た結果、「精神寄生体」が良かろうということになりました。
異世界の存在である隻眼牧志はある意味精神寄生体と同じ。アッタに同じ物と見なされてしまったら。
そして精神寄生体は気付かれずに皆に取憑いているもの。
隻眼の牧志を意識しようとした佐倉がもし、自分の中にいるなにかに気付いてしまったら。存在を悟られた精神寄生体は宿主を操り、暴力行動に走らせたり、自殺に追い込むこともあるそうです。(精神不安定になったりするの全部こいつらのせいだっていうテーマでしたっけね)
ある程度自分の精神を守る術を持っている佐倉を、変化球で追い込むために死の夢を使うのはおかしいことではないよね。

一つ前の話ラストで、牧志くんが『人間離れした洞察力を持ってしまっている』というネタが出てましたので、取憑かれている本人にも見分けがつかない精神寄生体と隻眼の牧志を、彼と繋がりがありかつそんな超能力持ちの牧志だけが見分けられる って面白くない? と思ったわけで、そこでやっとお話の骨ができました。

このネタ思いついてから、割と隻眼の牧志君について佐倉が意識するような発言を多めにするようになっています。


でもこの時点でもう汎用性なにそれ美味しいの? って感じですね。

あと最初は、牧志以外にも彼が見えるようにするため「人間に取憑いている異世界の生き物を見えるようにする薬」を作ってアッタを説得する材料にする、という案もありました。夢見る薬の材料に『100年以上前の鏡』なんて謎の触媒があるのはその名残です。
結局、シナリオ開始してから「説得するための薬作りって地味」「それだと佐倉にも彼がはっきり見えちゃうしそれだとつまらん」「大体材料探しがシナリオに入ってくるとなんかとっちらかる」というわけで急遽変更されました。


背景と真相

自分の中に異世界の人間の精神 なんてものを取り込んでしまった佐倉は少し不安定になります。が、それは自分の妄想だったと信じかけていました。隻眼の牧志が入り込んだ影響は皆無だったからです。
それは彼が異世界の存在である事もそうですが、『佐倉の一部』でもあるからです。
人は何かを通してでしか、自分の瞳を自分で見る事はできません。佐倉が彼を認識するには、隻眼の牧志が何らかの方法で外に働きかけた結果を見るしかないのです。
佐倉は隻眼の牧志を認識できるわけでもない、ただ自分の経験と記憶のみが彼の存在を信じる根拠ですから、『自分が狂っているだけなのではないか』という迷いを捨てきれませんでした。

しかし牧志から、『隻眼の牧志は間違いなく存在するのだ』と信じて良いと言って貰えたことにより、自分の中のもうひとりを強く意識するようになります。
ですが不幸にも彼が『見つけて』しまったのは、『彼』ではなく、ずっと前から彼にひっそりと取憑いていた精神寄生体でした。

精神寄生体とは、月に棲み、ほぼ全ての人間に取憑いて、精神力を喰らい影から操り続けているという存在ですが、人はそれを基本知りません。
それらは存在を知られていなければずっと、ひっそり精神の片隅ですこしずつ精神力を喰って、大きな害をもたらすことなく寄生し続けていたでしょう。ですが、宿主に存在がばれてしまった精神寄生体は活性化し、自分たちの存在が外に漏れぬよう、宿主の精神を喰い、壊し、操り、自殺に追い込んだり破壊的な行動に走らせたりします。

アッタは佐倉が奇妙なものを抱え込んで、それを妄執に駆られ守ろうとし続けているのは彼にとって良い状態ではない、と判断します。アッタにとっては、活性化してしまった精神寄生体も隻眼の牧志も、同じく佐倉の精神を蝕む異物だったからです。

精神寄生体はそんな佐倉の精神を悪夢を通じて少しずつ壊して食い始めます。しかし佐倉のガーディアンであるオニと隻眼の牧志が彼を守り、少しの間ダメージを弱めていました。
また、その頃の夢はただ何度も死ぬだけの夢。佐倉にとってそれほど大きなダメージではありませんでした。

佐倉は一刻も早く『治療』しようとするアッタから逃げだし、自分に取憑いているものの正体を見極めようとします。ラミアの力を借りて異界に逃げ、独自の調査をしてついにその正体にたどり着いてしまいました。
牧志と波照間の力を借りて、存在するはずの隻眼の牧志の魂を救い出し、その間にアッタに託そうと考えていた佐倉は、これは「彼ら自身に憑いているかもしれない精神寄生体を意識させるきっかけになり得る」ことに気づき、すぐさま行動できずに頭を悩ませます。

ともあれ彼は三つの魔法で対抗するつもりでした。
門を作る魔法
 寄生体を吹っ飛ばすのに使います。が、コスト高すぎ&情報不足で調査が間に合わなかったようです。ここについては早々に諦め、最終的にはアッタに託そうと決めたようです。そもそもがぶっ飛ばされそうになって逃げてきたわけですし。
 ※マレモンには「精神寄生体の影響から出るには月から離れる必要がある」と書いていたので、本体は月にいて、人間に差し込んだストローでチューっと吸うみたいにちょっかいかけてくる系かと思ってこういう手段にしましたが、単にその辺が生息地域だよって意味かもしんないよね! まあ今回は月から離れるのを嫌って離れたってことにしといて!!
魂の束縛
 人間の魂を入れ物に封じ込めて抵抗力を奪って、からっぽの肉体にイケナイことするための魔法です。今回は隻眼牧志の魂の一時避難に使いました。今回は魂を避けておけるようなものなら何でも良かったんですが、この魔法は
・閉じ込める魂をきちんと見つけておく必要がある
・解放が簡単
・使うのに時間がかかる
というのがミソです。
※今回入れ物を作る儀式に全コストをかけ、発動にも正気度コストを二重取りするというちょっと高コスト運用でしたが、術者が二人で、しかも対象が異世界人とか言うわやくちゃっぷりなので、まあそこは許してください。時間はかかるけど意外とお手軽な魔法でびっくりした。
ちなみにもし波照間が今後これ作ろうとしても基本できません。なぜならアッタが用意してくれたのは小規模ながら結界であり、こっそりある程度のサポートがされていたからです。雑音の遮断しかり、MP補強しかり、生理現象の抑制しかり。
普段は絶対入れてくれない部屋だし、入ってもただの倉庫でしょう。
夢の薬
 夢を共有する薬です。これを使って佐倉の夢の中に入り込んで隻眼の牧志を探す事になります。
 作成時の触媒に鏡が出てきますが、これ、本当は必要ありません。前の案の必要アイテムをうっかり出しちゃったので、「異世界の魂を探すため、異世界への門を開くのに必要なんだよ!!」とかいう屁理屈をこねてここで使用しました。
ちなみに今回の薬の消費期限は一週間くらい。一回分余っちゃったね。

さて、隻眼の牧志はこのままでは遅かれ早かれ佐倉が殺されてしまうと焦り、かといって佐倉を守り続けるのは無理と判断。この世界で佐倉以外に唯一繋がりがある存在である牧志に呼びかけ、自分の夢を共有して異変を知らせます。
これはあくまで佐倉の見る夢をそとから見ているだけなので、干渉することはできませんし、隻眼の牧志とそれ以外の区別がつきません。

精神寄生体は一日につき4D6のMPダメージを与えてきます。このシナリオにおいてはひとつの夢につき1D6計算で算出、何も対策をしない場合、一晩で四つの死を体験する計算になります。(内容によって変動します)
MPダメージが5蓄積する度に1d3の正気度減少が起き、最初にこのダメージによる現象が起きたときの正気度の20%が同様のダメージで失われた場合、佐倉は精神寄生体に精神を操られます。突然破壊的な行動に出たり、自害衝動に駆られることでしょう。

この時佐倉が見た夢は、
・ボール・ルームで踊れども踊れども湧くアドゥムブラリに喰われる(努力の甲斐なく事象に押しつぶされる)夢
・自室でくつろいでいたら現れたシャンに喰われる(突然災難のように襲われ殺害される)夢
です。だれかの存在は一応夢の中に出てくるものの、まだそれほどウェイトは大きくありません。

佐倉が自分に取憑いている精神寄生体をがっちり認識してしまったため、正気度を大幅に失うことによって長期の狂気に陥って記憶を数日間の間失ってしまいます。効果は『親しい人の記憶から消える。多くの事について記憶の整理がうまくできず、本当に忘却するわけではないが、思い出せなくなる』。これにより自分が何と戦おうとして、どういう作戦を立てていたかも思い出せなくなってしまいます。
同時に精神寄生体は、この頑強な宿主を倒すには、記憶を元にした夢、とくに他者が関与した夢の方が効率が良いのだと気付きます。

記憶を失った佐倉はラミアの姿を見て、悪魔に異界に拉致されたと勘違いしてパニックになり逃亡。慌てたラミアに取り押さえられます。
ラミアは正気だった佐倉が言っていたことなどから、アッタより牧志に託すことを佐倉は望んでいただろうと判断、牧志の元へ佐倉を運びます。

ごたごたの中で佐倉は
・猫になってしまい、助けを求めに行く途中事故に遭う(突然の災難で死ぬ)夢
・悪魔と戦おうとしてラミアを呼び出したら反逆され絞め殺される(使おうとした者に裏切られる)夢
をみます。

正気の佐倉が残していた情報からある程度の行動指針を得た牧志は夢を共有する薬を作ります。それにより、牧志は佐倉の夢に入り込むことになります。影響を与えることができるようになると同時、彼自身もダメージを受け、また精神寄生体も他者の干渉を知って更に活性化するのです。

ところで牧志くんが初めて精神寄生体(本当は隻眼牧志)を目撃したときの《クトゥルフ神話知識》技能で成功してしまっていたら、シャン経由で得たダオロスの知識で、それが精神寄生体である事を知ってしまっていました。
それで追い出す手段が分かったり、隻眼牧志と見分けやすくなったりもしますが、かわりに『自分にもそれが潜んでいる可能性がある』と気付いてしまい、POW判定で成功してしまうと、彼もMPダメージを受けたときに正気度減少処理が入り、SANチェックやら
自害の可能性やらで「とりあえず牧志が身代わりダメージを受けていれば安全」な初期状態と比べてハードモードになるところでした。ここで【自分の中の精神寄生体】に気付くと正気度に最大1D10のダメージですが、【他人の寄生体】に気付いただけなので1D5で済んでます。知らぬが仏。

佐倉が見た夢は、
・星の教団のリンクをクリックしてしまい、精神を吸い上げられる(他者とともに変容して消える)夢
・佐倉の夢の街で映画館に行こうとする(他者の指示によって変容して消える)夢→回避。牧志は闇に呑まれる
です。だれかの存在は一応夢の中に出てくるものの、まだそれほどウェイトは大きくありません。
ただ、佐倉にとって人と関わる夢はただ死ぬ夢よりダメージが大きいのだと精神寄生体は学習します。
また、牧志のもとには佐倉の精神内で何とか悪夢を止めようと、オニとともに奔走している隻眼の牧志も現れます。
彼は何とか牧志に事情を伝えようと試みますが、佐倉の精神と記憶の混乱、精神寄生体の活性化と妨害などにより、彼もまた精神寄生体の一つにしか見えません。

システム的には、彼を見分けるには悪夢イベント終了後の判定に成功する必要があります。悪夢を観ると大体その後に隻眼牧志が現れ、逃げ出したり攻撃したりといった極端な行動を取らなければ、伏せ判定が発生します。
伏せ判定の内容は《目星《聞き耳。悪夢に抵抗するのに失敗しているとマイナス修正かかります。成功する事で、言うなれば解析度が上がり、☆が増えます。

隻眼の牧志は、牧志が呼びかけに答えてくれたことに気付き、積極的に接触しようと試みます。しかし精神寄生体もまたそれに気づき、本格的な妨害と牧志への攻撃も始まります。具体的には、佐倉が死を回避した場合、夢の中のシーンが連続して牧志を殺しにかかり、彼の精神にダメージを与えます。邪魔者排除のためですね。

佐倉は夢から目覚めたときに、ダメージで記憶の繋がりが切れて、記憶を繋げられなくなってしまっています。正確には完全に忘れたわけではありませんが、必要な記憶を引き出せなくなっているという感じでしょうか。

二日目。この日の佐倉の夢は以下。
・猫に変身して、そのまま精神が完全に猫になってしまう(変容の)夢
・胸に刺した悪意の鍵に乗っ取られる(誰かを救うための行動による、悪意による変容の)夢
二つ目は牧志によって回避されましたが、
 ・回避した佐倉が夢から消える
 ・身代わりになった牧志がコラジンに喰われる
この二つが重なることにより、隻眼の牧志の記憶が刺激されてしまい、彼が世界を滅ぼしたときの悪夢を呼び起こしてしまい、その世界での佐倉消滅の瞬間が見えてしまいます。
このときのイベントは色々大きかったので、夢のダメージ判定はコラジンだけで3回行われています。

三日目。

記憶を破壊された事により、悪魔召喚師としての強さ、自分や世界や人への信頼を失ってしまった佐倉は、別人のようになってしまいます。

牧志が眠っている間に見たのは

・機械になって、誰もいない世界に取り残される(犠牲と変容と孤独の)夢

牧志が一緒に寝て見たのは

・瓶に閉じ込められて(牧志の責任で死ぬ)夢
 ・付随して、紅が生まれると同時に死ぬ夢
・牧志に心臓をえぐり出される(牧志に殺される)夢→回避。結果、牧志が『妻』に喰われる
・いきなり後ろから射殺される(牧志と波照間に殺される)夢

結構牧志君に数値上も設定上も大きめのダメージ入ります。
それに伴って佐倉に覚醒イベントはえたので、折角だから四日目は一応完全回避可能にしてみました。

四日目。
・けものに変身した牧志が佐倉を襲う(牧志に殺される)夢→完全回避
・不信感で逆上した佐倉が腕輪をたたき壊そうとして死ぬ(佐倉が牧志を殺す)夢→完全回避
・隻眼の牧志が世界を崩壊させる夢(EX.)

時間(DD)が余っているのに☆が5っ集まってしまいました。
まあこのまま佐倉のダメージを回避し続けてもいいっちゃいいんですが、それはまあつまらんよね、ということでエクストラステージが発生しました。

『Dreams of an Absolution』。ここでこの曲。といっても彼は救う夢を見続けているわけではなく、世界を救えない夢を見続けているわけですが。
ミッション内容は、「発狂状態からなんとか正気を取り戻し、世界の崩壊状態での再生を防げ」
クリアには関係ないので比較的高難易度です。
ここで判定に使う数値は、隻眼牧志のPOW(『1100』より)と牧志のPOW、あとは☆を彼らの繋がりとして加算して、一緒に抵抗できるようにしてみました。

もし成功していたら、別に過去は変わらないものの彼の悪夢は終っていたでしょう。もしかするとドリームランドに彼が救えたかも知れない世界が発生していた可能性もありますね。ただ、失敗したからと言ってペナルティはありませんし、救おうと試みてくれただけで隻眼牧志くんはある程度救われたと思います。

追記
ここで隻眼牧志君「君ならきっと、俺にできなかった事を」って言ってますが、これはけっして「俺の悪夢を終らせてくれ」という意味ではなく、単純に「君の佐倉さんを助けてやってくれ」程度の意味でした。


さて、牧志が必死こいて悪夢パートを回避している間に、波照間さんには魂の入れ物を用意していただきました。

佐倉が壊れておらず、隻眼牧志もちゃんと見つけてあるので、あとはスパッと魂吸引して宇宙キター! するだけです。

二人を宇宙にぶっ飛ばした術は『窓の創造』です。通る人はノーコストで旅ができます。その上着いた先がどんな所でも平気です。(たぶん門から離れるとアウト)
Bar所属のどなたかチート魔術師さんがちょっとの間頑張ってくれたらしいですね。お疲れ様。

今回の事はとりあえずめでたしめでたしなんですが、地球に戻ってきたことでまた佐倉も牧志も遅かれ早かれ精神寄生体に憑かれます。が、知らなければ良いのです、知らなければ。


分岐について

ぶっちゃけ行き当たりばったりにやってた感が強いので、想定していたものってのはそんなに詳しくなかったりはしますが。
また、元ネタのシナリオには存在しないロストも数多くあります。

牧志が干渉できるようになってからの夢

・星の教団のリンクをクリックしてしまい、精神を吸い上げられる(他者とともに変容して消える)夢

これは基本回避不能です。牧志が夢に本格的に入り込んだ、という認識をする回です。

・佐倉の夢の街で映画館に行こうとする(他者の指示によって変容して消える)夢

これは劇中では回避してました。この時は回避した牧志へのダメージは単純に数値的なもので、黒い霧にボッシュートされるだけです。
回避できなかった場合、佐倉は映画を見て、それにより正気を失って『あちら側』へ行ってしまいロストします。

・猫に変身して、そのまま精神が完全に猫になってしまう(変容の)夢

これは状況的に回避不能でした。
ある程度、回避不能の夢は存在します。
ちなみに猫の鳴き声を聞いたときの言葉が通じる判定が近かった場合、「牧志?」「おまえは」などといった佐倉の言葉を聞いていました。(影が何者かというヒント)夢の中の佐倉は認識してもここで佐倉は猫になってしまう、つまり佐倉としては死んでしまうので、この知識は引き継がれません。
※あとで「夢の佐倉は全部覚えてる」設定生えちゃったので、佐倉がここで隻眼牧志認識してると整合性が……まあ……結局猫の言葉分かんなかったし、敵意ない、で情報十分じゃない?(匙投擲)

そういえば、最初のバージョンだと、牧志が長年飼ってる黒猫なでなでしてるシーンから始まり、「あれこれ実は完全に猫になった佐倉では?」みたいなパターン考えましたが、これだとメイン視点が牧志になっちゃうので没りました。あくまで佐倉を殺す夢に同行しちゃうってコンセプトですしねー。

・胸に刺した悪意の鍵に乗っ取られる(誰かを救うための行動による、悪意による変容の)夢

まずこれが回避されなかった場合。
佐倉は悪意の鍵に精神を書き換えられ、牧志を生贄にあげようとしていた狂信者になります。で、牧志を襲ってコラジンへの生贄に捧げるというダブルキルになるところでした。
それに抵抗して、佐倉と話をある程度している内に佐倉が倒されるか牧志が悪意の鍵に探り当てられるかしてシーンが終る予定でした。
が、牧志君が「隻眼の牧志に会いに行く」というクレバー発言をしてくれたので、ボーナスステージに突入しました。
そういえば444(ここの牧志)と036(隻眼)と悪意の鍵が三本とも刺さっているという最高のシチュエーションだったじゃないの!
ということでイベントがアレコレ変更されて盛られました。
その結果、隻眼牧志くんが崩壊の時に見たシーンを見ることになりました。
これ最高の伏線だったじゃん!!

・機械になって、誰もいない世界に取り残される(犠牲と変容と孤独の)夢

機械になってしまった佐倉が一人で壊れていく夢。
これは牧志君が関わっていないのでどうしようもないんですが、もし関わっていたら《機械修理》あたりですかね。
その後で立場を交換できる予感がして、触れると肉体が交換されて佐倉が返されるとか多分そんな感じ。

・瓶に閉じ込められて(牧志の責任で死ぬ)夢

夢の悪意がはっきりしてきます。
夢に関わってくる牧志を使って佐倉を殺す事でダメージを増やせるんじゃないか、ついでに邪魔な牧志にも嫌がらせして追い払おうって感じです。

瓶詰め佐倉は、バトルでダメージを喰らうと瓶が吹っ飛ばされる可能性があったり、攻撃ファンブルするととり落としたり。基本瓶破壊エンドの流れです。瓶が割れたら佐倉は叩きつけられ切り刻まれてあっさり死にます。
あとはエントランスに逃げた場合は妖精さんエンド(佐倉が瓶から出られなくなり牧志以外から見えなくなる)でした。
基本デッドエンドしかありません。万一広間に殴り込んで成功出しまくってたら、突然牧志に戻ってしまって力が出なくなって死、なんてのも考えてました。

本編では判定失敗が連続した事により、瓶を持ってきた蛇人間に封印され、それによって佐倉の瓶が落下、絶望に陥った紅が自分が生まれると同時に死ぬ悪夢を観るという「そうくるか!!」っていういい流れでした。

・牧志に心臓をえぐり出される(牧志に殺される)夢

佐倉の心臓抉るのを踏み止まることもできました。それで辻を襲うなり自分の心臓を抉って差し出すなりで分岐します。
自分の心臓抉ったら死んじゃいますし、辻を襲ったら二人して機械化絶望エンドでしたね。
また、佐倉の蘇生に失敗していたら普通に佐倉にダメージで終了でした。
劇中では佐倉蘇生した牧志が『妻』に襲いかかって反撃でバリムシャされてましたね。

・いきなり後ろから射殺される(牧志と波照間に殺される)夢

諸事情により後で追加されたシーンだったりします。大人の事情で佐倉の死亡回避は不可。
牧志の指示ミスと無謀な行動が死の原因になりますが、いきなりすぎて佐倉には何が何だか分かんなかったでしょうね。
しかし、指示ミスがまさかの中の人のガチミスだったとは……

・けものに変身した牧志が佐倉を襲う(牧志に殺される)夢

理性を呼び起こせなければ、破壊衝動に駆られた牧志が爪で佐倉の肉体を引き裂いて喰ってました。
あと佐倉が恐怖で逃げ出す事でも肉食獣の獲物を追う習性が刺激される的な事になってましたね。追い回して狩りをしてたでしょう。
華麗に回避されました。チッ。

・不信感で逆上した佐倉が腕輪をたたき壊そうとして死ぬ(佐倉が牧志を殺す)夢

シーン的に余程の事がなければ失敗は想定していませんでしたが、ファンブルでも出ていれば、(精神寄生体の働きで)いきなり激高した佐倉が腕輪をたたき壊し、毒針でふたりとも死んでました。
このシーンはやっぱりラストにすべきだろうと思っていたのに、どうしてけもの牧志のシーンで隻眼と会わせちゃったんだ私のバカ。
と思いましたが最終的に良い流れになったから結果オーライ。


その他分岐・ロスト危機など
 まあ牧志君そんな極端行動とらないし、あくまで可能性ですが、こんなのがありました。

・アッタや波照間に助けを求めず再度逃げ出した場合
 正直ふたりだけだと手が足りないので、割と無理ゲーになります。佐倉や牧志のダメージも大きかったでしょうし、多分佐倉の健康状態悪化による、肉体的な死の可能性にも迫っていたでしょう。

・隻眼の牧志を見捨てる
 彼はアッタによって精神寄生体とともに排除されます。その行方は分からなくなってしまいます。もしかすると取憑いていた寄生体とともに月に行く事になるかも知れません。

・宇宙でぼんやりする
 なんか見ちゃイケナイ物が見えちゃったりして大ダメージくらったり、帰還不能になったりします。宇宙ヤバいので仕方ありません。

・佐倉/牧志が精神寄生体の影響で自害する
 リアルで死んだらロストなのよ……

・佐倉/牧志が精神寄生体の影響下にある状態で魂の束縛を行う
 寄生体は宿主を操って術を邪魔します。排除されたくないし。隻眼牧志がいれば手を出せないっぽいのにももう気付いてますので。
格闘スキルとか使って組んずほぐれつしっちゃかめっちゃかの間に、折角作った箱が壊れちゃうなんて展開もあったかも知れませんね。

・魂の束縛に失敗する
 関係ない精神寄生体をゲットだぜしちゃったり佐倉をゲットだぜしちゃったりします。いずれの場合も佐倉はもう限界なのでアッタによって強制的に窓に放り込まれて治療されます。サヨナラバイバイ。


最終的に、女神転生全開でありつつヒロイックかつクトゥルフ風味というまあまあ良いバランスで行けたんじゃないかなと自画自賛しております。
おかげで多数のシナリオのネタバレ全開になり汎用性はゴミ箱にダンクされましたが、自キャラ特化の話の方が楽しいもんね!!

良いセッションでございました。(書いてるときまだ終ってないけど)


大事なこと書き忘れてたんだよ!

なんで佐倉がリアルではボッケボケだったのに夢だとちゃんと覚えてたか、ですね。
隻眼牧志君とオニがあっちこっち走り回って記憶の断片集めて守ってたから、です。そもそも悪夢になると彼らがいたのは、悪夢の元になってる記憶の断片集めしてたからです。
最初の案だと、夢の中でずっと冒険する感じで、「佐倉は謎の黒い影に囚われてるから救出に行こう」→「あれ、この影他のと違って悪い奴じゃないっぽい?」→「むしろ佐倉守ってた」→「片目、おまえだったのか」
みたいな流れになる予定でした。これだと基本牧志君単独で悪夢を彷徨う感じです。

ずっと夢だったらメリハリがなくなるとか、折角だから佐倉と会話して欲しいとか、そんな感じで没になった気がします。

まああと、夢の中の佐倉は全部覚えてるよ設定は、実はやってる途中でなんとなくノリで生えたから、整合性は割ととれてない。
俺は雰囲気でTRPGを遊んでいる!!
 まあ、いつものリアルタイム出任せよりはちょっとはマシだと思うよ、今回!

窓について

そういえば力業解決に使った窓について。
「魂吸引したらすぐ二人を窓に蹴り込まなきゃいけなかった理由」

精神寄生体の不意を打つためです。
あと演出的にその方が面白いかr

「すぐ戻らなきゃいけなかった理由」

窓の維持大変だからです。窓の影響下から離れると死ぬし。

あと、本編でもちらっと言ってましたが、「本来の肉体をこの世界に持たない隻眼牧志」が、仮の宿の佐倉の肉体から長いこと離れるのは、隻眼牧志・佐倉双方にとって良い影響があるわけないから、ですね。
魂の束縛、自分の肉体から離されると一定時間ごとにCON判定入りますが、たぶん隻眼牧志君は凄い勢いでスリップダメージくらうので。(ベースになってる佐倉のCONもゴミですし)

「波照間が入らなかった理由」

波照間はそんなに詳しく事情を知らないし、悪夢を共有したり影を目撃したりしていないからですね。
本編で言ってた「ストッパーがいないと危険」も理由の一つ。
っていうか波照間さん宇宙に送り出したら帰ってこられなくなるんじゃないの!?

実は……

他者の干渉により活性化し、夢のダメージが増える。みたいなことを書きまくってますが、数値的なダメージは一切増えていません。(一応判定回数増えていたりとかはするけど)
色々描写が増えて嫌がらせ力が上がるだけですね。
あ、あと一応夢が新ジャンルに入る度にSANチェックって設定あったんですが、ちゃんとやってたか自信ない。
一応牧志が夢に干渉し始めるまではDD回数少なかったりはしてます。

使われなかった唯一のシナリオ

死因の元になった事件は彼らが体験したシナリオですが、唯一死因にならなかったシナリオが『ワンナイトショット』です。
呑んで騒ぐだけの話で死因っつったら、急性アルコール中毒くらいしかなくて……
まあ、未成年バーに連れてって酒呑ませてたら相手が死んだってのは、牧志君にダメージ与えるなら割と優秀な気がしますけど……あと、変な酒呑んで宇宙見て発狂死したり、子供になって記憶飛んで戻らなくなっちゃった、とかもまあ、お話としては面白いですけど……どれもシナリオの雰囲気にいまいち合わないのでスルーされました。

かかった期間

10/7~10/18かな。結構コンスタントに密度の高いやりとりしてましたね。

結局レミングス関係あった?

ないんじゃない?


  • TRPGリプレイ【置】CoC『レミングス・ドリーム』牧志&波照間&佐倉 1
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    「オマエ、あのバカがどこにいるか知ってるか」

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    「いい加減死ぬのにも慣れてきたけどな」 「……慣れたくないな、それは。俺も一度しか死んだことなんてないしさ」

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    「お前が悪いんじゃない」

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    「名前……すみません。 やっぱり僕たち知り合いなんですよね? そんな気は、します。ごめんなさい」

  • TRPGリプレイ【置】CoC『レミングス・ドリーム』牧志&波照間&佐倉 5
    TRPGリプレイ【置】CoC『レミングス・ドリーム』牧志&波照間&佐倉 5

    動けたのに。動くことができたのに、何もできなかった。 何度切り抜けてきた危機だって、一歩間違えればああなってい…

  • TRPGリプレイ【置】CoC『レミングス・ドリーム』牧志&波照間&佐倉 6(終)
    TRPGリプレイ【置】CoC『レミングス・ドリーム』牧志&波照間&佐倉 6(終)

    この確信が伝わるように。 そこにいたあいつが、佐倉さんにも“見える”ように。

  • 『レミングス・ドリーム』について
    『レミングス・ドリーム』について

    特定PC特化オリジナルシナリオについて裏話とぐだぐだ語るフリートーク