こちらには
『AND/HAND』および
『地獄はやさしい』
ネタバレがあります。

本編見る!
KP
リストビル──
郊外に当たる寂れた場所にぽつんとそのビルは建っていた。テナントの看板はどれもかすれて読めなくなっている。ボロボロの外観は、廃ビルそのものだった。
エレベーターは使用できず、外階段から上っていくことになるだろう。錆びた素っ気ない鉄の板に、二人の足音がカンカンと響く。
佐倉 光
(あの物騒な男が、被害者を助けるつもり、ならいい。問題は……)
(俺たちごと、この手の中のヤツを処分するつもりだった場合、だ)
(おとなしく処分される気はないが、かといって他に行く場所もない。選択肢はあるようでない、か)
階段をのぼる。
とりあえず情報を得るのが第一だ。
何を判断するにも情報がなさすぎる。
KP
男が指定した4階のフロアには1つだけ出入り口があり、ドアスコープとインターフォンがついている。
牧志 浩太
「ここか。……隠れ家、ってやつなのかな」
佐倉 光
「随分と効率の悪い隠れ家だな……これじゃ外からまる見えじゃねぇか。
まあ、侵入者が来ればすぐ分かる、という利点を取ったのかもな」
電気メーター動いてんのかな?
KP
メーターは扉の近くには見当たらない。どこかに集積されているのだろうか。
佐倉 光
ピンポーン
KP
インターフォンを鳴らせば、ほどなくしてドアが開き、昨日遭遇した男が無愛想に出迎える。
佐倉 光
どっかの誰かみたいに乱打はしないぞ。
拝島 不二
「来たか。……入れ」
男はところどころに怪我をしているが、自分で手当てをした様子だ。
佐倉 光
「どーも。
一人でやっつけたんですか。すごいなぁ」
言いながらエントリー。
拝島 不二
「まあな。一度じゃない」男は誇る様子も悪びれる様子もなく、淡々とあなたたちを招く。
玄関をくぐり、さらにひとつ奥の部屋に通される。
「散らかっているが、適当に座ってくれ」
KP
ボロボロの事務所のような一室には、よくわからない書物やダンボール箱などが雑多に置かれている。
あなたたちをソファに座るように促し、男は窓から外を確認してドアに鍵をかけたあと、事務椅子をひっぱりだしてあなたたちの向かいに座る。
佐倉 光
ではすすめられるままに着席。
牧志 浩太
「お邪魔します」
その横に着席する。
拝島 不二
「……そのなりじゃあ街で注目されたんじゃないか」
男は真顔で揶揄してくる。
牧志 浩太
「まあ……、それなりに」
佐倉 光
「やむを得ないでしょ。見ての通りどうしようもないんですから」
疲れてるせいか、素が出がちだ……
拝島 不二
「そうだな」
佐倉 光
前回寝る前に喋って疑念を晴らしておいたお陰で、ちゃんと寝られたなって思いました。
たぶんこいつ疑念晴らしてからじゃないと知らない人の横でなんて寝られない。
牧志 浩太
それはそうなんだよなぁ>疑念があったら寝られない
しかも明らかに怪しい相手でしたしね。
KP
後ろにある小さなテレビでは、ニュースが流れていた。
──昨夜未明愛豊山で火災、全焼した研究施設で約10名の死体が発見された。発火の原因は現在も調査中である──
佐倉 光
「俺の財布も燃えたかなぁ」
(追加調査は無理、と……まいったな)
牧志 浩太
「俺のスマホもかなぁ……」
拝島 不二
「昨日のやつらは民間人を二人ずつ無差別に拉致して……、簡単に言えば人体実験をしていたようだ。災難だったな」
財布については言及してこない。うーん。
佐倉 光
じゃあ持ってきた資料をテーブルか何かあれば上に置こうか。
「何か持ち出せた物とかないですか。僕たちこれが精一杯で」
拝島 不二
「あの施設のものか。取ってきたのか? 危なっかしい事をする」
佐倉 光
「こっちだって必死なんですよ。
一生男と手を繋いで生きる気はないですから」
女ならいいか? そんなこともないけど。
拝島 不二
「こちらも大差はない。だが、その手をなんとかしてやることはできる」彼はあなたたちの癒着した手を見て、自分の手を差し出す。
「手を見せてくれ」
佐倉 光
言われるままに手を出す。
牧志 浩太
頷いて、手を出す。
拝島 不二
彼はひとつの肉の塊となった手を軽く改め、頷く。
「やはり、皮膚が癒着しているな。
 信じられないと思うが、これは魔術の一種だ」
佐倉 光
「魔術……?」
こんな魔法、聞いたこともないが。
恐らく、俺たちが知っている『魔法』とは全く別系統の、呪術めいた物なのではないだろうか。
そう考える。
牧志 浩太
「魔術、か」微かに得心がいったように頷く様子は、魔術なるものの存在を知っていたようでもある。
佐倉 光
なんと魔術については牧志くんの方が詳しいのである……! クヤシイッ
牧志 浩太
なのである!
拝島 不二
「少し待っていろ」
彼は部屋の隅にある金庫のロックを開け、手帳のようなものを一冊取り出し、戻ってくる。
佐倉 光
「なんだよ、知ってるのか」
二人ともに投げかける疑問。
牧志 浩太
「ああ……、そうか。昨日話した話があっただろ。あの時に、そういうのが絡んでたんだ」
背を向ける男の様子を少し気にしながら、言葉を選んで言う。
「『普通』の魔法の範囲じゃないだろ、昨日話したようなことってさ」
佐倉 光
「……ふーん……(確かに不用意に口に出すことじゃないかもな。後で訊こう)」
拝島 不二
「俺は個人的な恨みで、ああいうのを殲滅して回っている」彼はあなたの言葉に、言葉少なくそう応えた。
佐倉 光
「巻き込まれた僕たちには、とても有り難いことですね」
男の持つ手帳に興味津々である。
拝島 不二
手帳のページをめくりながら、しばらく思案し、あなたたちに向き直る。
「いまからそれをとく。……しばらく目を伏せていたほうがいい。おそらく正気を損なう」
あなたは言う通り目を伏せても伏せなくてもいい。
佐倉 光
ほっとした。なんとかなるらしい……
牧志 浩太
「分かりました」
あなたの傍らで、素直に目を伏せる。
佐倉 光
うーん。見るかなー? どうしようかなー。
どの程度のダメージなんだろなーw
KP
それは見てのお楽しみ。
佐倉 光
見とこう。ここは見ざるを得ないだろう。
ファンブルだけは出てくれるなよ!
KP
──彼がぶつぶつと何か唱えると、その握っている手が熱を帯びるのを感じる。
不意に、形の無かった手指の感覚が、戻ってきたように感じた。
手指の感覚が鋭敏になり、神経を虫が這いずりまわるような、皮膚が溶け落ちてしまうような──、気が遠くなるほど不愉快な感覚に襲われる。
牧志 浩太
「う……、」
佐倉 光
「……」
(俺から色々奪って、命令しやがったやつのツラ見てやる)
KP
目を伏せなかったあなたは、目の当たりにするだろう。
融合していた皮膚が、溶けては泡立つ。まるで個別の生命あるように、蠢きながら収縮していく。
それはまるで、生き物を酸のプールに放り込んだかのようだった。
佐倉 光
「うわきっしょ」
KP
SANチェック》なしで、固定で正気度が減少します。
牧志は1d6、佐倉くんは1d6+1d3。
佐倉 光
1d6+1d3 (1D6+1D3) > 6[6]+1[1] > 7
おー吹っ飛んだな。
[ 佐倉 光 ] SAN : 69 → 62
牧志 浩太
1d6 (1D6) > 1
[ 牧志 浩太 ] SAN : 49 → 48
KP
佐倉くん、一時的発狂です。【アイデア】ロールどうぞ。
佐倉 光
CCB<=85 【アイデア】 (1D100<=85) > 18 > 成功
佐倉 光
自業自得なんだけど、見ざるを得ないよなー。
佐倉ってCoCでは長生きできないタイプだ。
KP
でもそれでこそ探索者らしいタイプでもある。
牧志 浩太
牧志くん、探索者というには実感をもってその危険を知りすぎているし、そちらに寄り過ぎた存在だったから、危険を分かっていて素直。
KP
あなたは目の前の光景を、それと同期する途方もない不快感を実感し、理解してしまった。
目の前で皮膚が溶け、泡立ち、姿を変えようとしていることも。
短期の一時的狂気、
 ・1d10+4で持続ラウンド数
 ・1d10で種別
をどうぞ。
佐倉 光
1d10+4 (1D10+4) > 6[6]+4 > 10
120
にじかーん
KP
あ、短期だからにじかーんじゃなくて普通に10ラウンドです。大丈夫。
佐倉 光
あ、12秒か。
何故か12分で計算してたよ
1d10 (1D10) > 7
KP
種別は── “幻覚或いは妄想
佐倉 光
腕が弾ける。折れる、中から、想像もつかない、あの異界で見た、なにかが、飛び出して
「うわ、あああっ!」
牧志 浩太
「佐倉さん、」あなたの叫び声に彼が腰を浮かせる。
佐倉 光
「見るな」
辛うじて叫んだ。
牧志 浩太
「あ、ああ」
佐倉 光
(くそ、知ってたはずだろう、この程度の物! 腕がなくなるかも知れないことくらい、覚悟していただろう!)
遠くで正気の自分が叫んでいるが、想像は止まらない。
長い長い二分の間、自分の腕が変形し、悪魔のようになる姿を、折れてちぎれる光景を、見続けた。
拝島 不二
「見てしまったか。……落ち着け。大丈夫だ。見てみろ、何もない」
彼が、低い声で静かにあなたを制止する。
〈精神分析〉
CCB<=80 〈精神分析〉 (1D100<=80) > 5 > 決定的成功/スペシャル
わお。クリティカル特典で、1d3+1点SAN回復してください。
佐倉 光
1d3+1 (1D3+1) > 2[2]+1 > 3
[ 佐倉 光 ] SAN : 62 → 65
「……」
くそ、大して知らない奴の前で取り乱すなんて、俺としたことが。
KP
あなたは思わず手を振ってしまうだろう。離れた手は確かに、見慣れたあなたの手の形をしていた。
佐倉 光
「!?」
牧志 浩太
「うわっ、」
佐倉 光
「外れた!?」
KP
そのとき、溢れ出た透明な液体とともに手の中からぬるりと何かがすべりおち、べしゃりと音を立てて床に落ちる。──びくりびくりと床の上で蠢くそれは、白く丸く、ぱんぱんに太った巨大な虫の幼虫のようだった。
二人とも、《SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1》。
牧志 浩太
CCB<=48 《SANチェック》 (1D100<=48) > 40 > 成功
佐倉 光
CCB<=65 《SANチェック》 (1D100<=65) > 65 > 成功
踏んでいいかな。
拝島 不二
あなたがそうする前に、彼が動く。
彼がすかさずそれをぶちゅり、と足で踏み潰した。
「これについては、理解しようとしなくていい。
……孵化する前でよかったな」
佐倉 光
「……
ありがとう」
言って掌を眺める。
KP
あなたたちは互いの手を見るだろう。外れた掌は、まだ腕輪につなぎとめられている。
佐倉 光
そういや腕輪はまだあるんだったな。
「やれやれ……
ひとまず安心、か」
拝島 不二
彼は小さな冷蔵庫から取り出した缶コーヒーを二人に出してくれる。自分も缶コーヒーを開ける。
「問題は、その腕輪だな」
牧志 浩太
「あ、ありがとうございます」
佐倉 光
「これは魔法じゃないんですね」
もらったコーヒーを指引っかけて開ける。
右手が不自由とはいえ使えるって素晴らしい。
牧志 浩太
少しほっとした様子で、同じようにして缶コーヒーを開ける。
拝島 不二
「そうだ。それはあくまで、狂った連中が技術力と機械で作り出したものだ。もっとも、人間の技術とは限らないが」
佐倉 光
腕輪に継ぎ目やスイッチのような物は見当たらないかな。
KP
それは、つるりとした厚みのある銀の腕輪のようにしか見えない。調べてみても、継ぎ目もスイッチもなく、まるで最初からそのような形に削りだしたかのようだ。──あなたは、瓶の中に入った林檎を思い出すだろう。
拝島 不二
「資料によると毒針が内臓されている、だったな。おそらくは即効性のものなのだろう」
佐倉 光
「どうやって付けたんだこれは……」
じゃああの部屋で見たビデオの話をしよう。
「壊すわけにもいかないんだっけな……
衝撃を与えるな、とだけ書いてあったな」
拝島 不二
「こちらでも、あの研究所で見つけた資料を当たった。射出される条件は、それ以上分からない。
無理に外そうとしたり独自に分解しようとすれば、その瞬間に……という可能性もある」
佐倉 光
「だいぶ気は楽になったとは言え、大して状況は変わってねぇな……
電子制御だったらハッキングで壊せるのになー」
牧志 浩太
「何かに食べられてしまう可能性はなくなったけど、結局外す方法は分からないのか……」
拝島 不二
「……」
彼はコーヒーを一口飲んで、あなたたちに向き直る。
「考えうる方法は、一つしかない」
彼は、自分の脇に置いていたトランクケースを開けてみせた。
その中には拳銃に鉈、斧、ハンティングナイフなどどこから収集したのか、様々な武器が雑多に収納されている。血が付いているものもある。
佐倉 光
「あんま、考えたくねぇなぁ……
腕輪がダメなら、もっと柔らかいとこをってんでしょ?」
牧志 浩太
「……」
拝島 不二
「そうだ。手首を落とすしかないだろうな。
片方を落とせば隙間ができるから、もう片方はなんとかそこから手を引き抜くことはできるだろう。
悪いが、合理的に考えてそれしか方法を提案できない。
幸いここには、刃物や応急用具はたくさんある」
牧志 浩太
「気楽に言ってくれるなぁ……。」
佐倉 光
「やれやれ……ツイてねぇな、お互い」
牧志 浩太
「ほんとにな。……」少し黙って、じっ、と繋がれた手を見る。
「……」
KP
ふと沈黙が流れたそのとき。
硝子が割れる音、銃弾らしき音。
佐倉 光
おや
外からの銃撃っぽいな。
拝島 不二
彼がぴくりと顔を上げ、にわかに立ち上がる。
「悠長にしている暇はなさそうだぞ」
直後、ドカン! と入口側から派手な音がして、何者かの襲撃があったことを知らせた。
牧志 浩太
「うわっ!?」
佐倉 光
「えぇー」
拝島 不二
いくつかの武器をつかんだ彼は、様子をうかがいながらあなたたちを振り返る。
「内側から鍵を閉めて、隠れておけ。もし俺が戻らなければ、そこの金庫のロックを“0625”で開けて、……なんとか隙を見て逃げろ。そんな状態でこっちを手伝おうなんて真似は間違ってもするな」
彼はそう言うと、武装して速やかに扉の向こうへ消える。
KP
バタン、と扉が閉ざされ、あなたたちはふたりきりで取り残される。
閉ざされた扉の向こう側からは激しい銃撃戦の音がする。
佐倉 光
「言われたとおりにするぞ、牧志」
もし持っていっていいなら斧を手に取ろうか。
KP
あなたが斧を持ち上げた時、腕輪からピーーーーと警告音のような甲高い電子音が鳴り響いた。
牧志 浩太
「あ、ああ!? いや、でも、ちょっと」
KP
液晶を見れば、

「ERROR:BABY NOT FOUND!! COUNT START」
と表示され、ピ、ピ、ピと馴染みのあるテンポの秒刻みの音とともにカウントダウンが始まる。
残り時間は、5分を切っていた。
佐倉 光
「無駄に高性能!」
言って、斧を左手で持ち上げる。
一撃で決めたいが……無理だろうなぁ、俺非力だし。
斧ってどのくらいのサイズかな
KP
手斧から大振りな斧まである。
佐倉 光
変に大ぶりだと、腕輪に衝撃を与える恐れがある。
「……ああーもー、くそ!」
牧志 浩太
「な……、なあ。手首って、すぐ病院行けばくっつくかな……!?」
慌てるその様子は、波照間と重なっては見えなかった。
佐倉 光
(どう考えたって、痛ぇことにしかならねぇ。
何発か叩かなきゃならないだろうし、そうするとくっつく希望もねぇな)
「牧志。俺の腕を括れ。
あと、俺が気絶したら続き頼む」
牧志 浩太
「い……、いのか?」括れ。その言葉に、あなたの意図に気づく。微かに声が震えた。
佐倉 光
「いいもクソもねぇんだよ。俺は痛みに慣れてる」
言って、自分の服の端をできるだけ多く口に入れてかじる。
牧志 浩太
「そういう問題じゃ……、いや。分かったよ」
言い争っている暇はない。電子音が否応なしに急かしてくる。躊躇えば揃ってゲームオーバーだ。
「……」佐倉の手首の細い所を、強く縛る。
佐倉 光
「……(よし、焦るな。し損じたらふたりとも死ぬ)」
狙いを定めて思い切り斧を振り下ろす。
KP
では、思い切って実行できたかどうか、【POW】×5+10%で3回判定をどうぞ。
佐倉 光
「……(クソが、クソが!)」
佐倉 光
CCB<=(15×5)+10 【POW】 (1D100<=85) > 44 > 成功
CCB<=(15×5)+10 【POW】 (1D100<=85) > 41 > 成功
CCB<=(15×5)+10 【POW】 (1D100<=85) > 8 > スペシャル

佐倉 光
叫び出したいほどの激痛で視界が歪むが、頭を空にして再び斧を振り下ろす。
肉が裂ける。骨が砕ける。
KP
──己の手首めがけて、体重をかける。

一瞬の僅かな躊躇いを、勢いで振り切った。
一度実行に移してしまえば、重力が完遂を助けてくれる。
体重をかけた刃物がドン、と重い音を立て肉と骨を断ち、床へ到達する。
一瞬、熱い、と思った。
しかし直後、正しい感覚がじわじわと芽生えてくる。
佐倉 光
「!!!」
KP
それが想像を絶する痛みへと変わっていくのを脳の防衛本能が拒絶するかのように、あなたの意識はぐるりとまわり、反して心臓は警笛を鳴らすごとく体を強く早く叩く。
牧志 浩太
「……!」
KP
呼吸は震え、短くなるだろう。
──切り離されてしまった手はどれだけ念じようとも、もうあなたの意志で動くことはない。
二人に精神的なダメージが発生する。
佐倉 光
「何ぼっとしてんだ、腕輪を外せ!」
痛みを誤魔化すように声を上げる。
牧志 浩太
「あ、ああ……!」
腕輪から腕を引き抜き、あなたの腕に手を伸ばす。手首を強く縛って止血しようとする。
KP
床に転がり落ちた腕輪から、カシュ! と針の射出される音がした。対象を失った針が凶悪にきらめきながら、何もない場所を貫いた。
佐倉 光
じゃあ止血だけは頼もう。
出血多量で死ぬのはごめんだし。
急激に寒くなってきた。まずい。これはまずい兆候だ。
意識が揺らぐ前にここから逃げなければならない。
今襲ってきているのは、あの施設の関係者か、それともあの男が前に潰したものの残党なのか。
どちらにせよ碌なものではないだろう。
牧志 浩太
「佐倉さん……!」祈るような声であなたに呼びかけながら、手首を縛る。
KP
先に「縛っておく」宣言があったため、応急手当+30%で成功すれば適切に止血ができます。
佐倉 光
処置せずに手首切り落とす、は自殺行為でしょうよぅー!
痛いし。
牧志 浩太
CCB<=30+30 〈応急手当〉 (1D100<=60) > 17 > 成功
佐倉 光
「……サンキュ、お前、処置上手いな」
言って、手首を拾う。
牧志 浩太
「あ……、ああ。何か、湿らせておこう」布か何かあれば濡らして手首をくるむ。
KP
水道はあるようなので可能だ。>くるむ
佐倉 光
希望は捨てないでおきたいな。できる限りの処置はして貰おう。
「0625……」
呟いて金庫を見る。
牧志 浩太
「あ……、金庫!」やり終えると、あなたの声に気づいて金庫にとりつく。
佐倉 光
「頼んだぜ……」
牧志 浩太
「分かった!」
[0625]と入力。
KP
電子ロックが解除されると、中には一冊の手帳が入っている。中には手書きで意味不明な文章や言葉の羅列が、日本語や英語まじりでぎっしりと書かれている。
佐倉 光
「これで何しろってんだ、あいつは……」
KP
〈図書館〉で判定。見るなら二人とも判定してよい。
佐倉 光
CCB<=85 〈図書館〉 (1D100<=85) > 56 > 成功
牧志 浩太
CCB<=75 〈図書館〉 (1D100<=75) > 48 > 成功
「何かないか、何か、なにか──、」
佐倉 光
ページをめくる牧志の横から目をこらす。
KP
──あなたたちは、意味不明な文章の羅列の中から、あるものを見つけ出すだろう。
あなたたちはその呪文の規則性を知っていた。
いや、知っていたのではない。
あなたたちはその無秩序に見える言葉の羅列を知らない。
しかし、あなたたちの知識が、その呪文と──あなたたちが知るものの共通性を、見つけ出すことができる。
佐倉 光
融合?
KP
あなたたちは、【治療】の呪文を。〈ディア〉の系譜に連なるあらゆる呪文祈祷が、どういうパターンで綴られるのかを知っている。
手帳の中から「治療」と題された呪文を見つけることができた。
佐倉 光
あ、そっちかー。
別世界の俺が知ってたヤツだ。
◇治療
この呪文をかけると傷・病気・毒による症状がただちに2D6耐久力分回復する。
通常の値を超えるところまで回復することはできないので、越えた分は無視する。この呪文は死んだ者を生き返らせることはできない。

呪文をかけるためにはMPの半分とSAN1のコストがかかる。
【POW】×5をチェックし、失敗すれば呪文の負荷により気を失う。
牧志 浩太
「……なあ、佐倉さん。これ」
佐倉 光
「ラッキー」
言うなり呪文を読み始める。
切断された腕に手首を近づけ
MP切れたら気絶するよねこのシステム。
KP
しますね。コストはMPの半分なので、使い切りはしないはず。ルルブP.272の「治癒」とは違う呪文です。
佐倉 光
じゃあここは牧志にお願いしよう。
呪文を口にして、ふらつく。
手首がずれる。
って正気度もかかるかー。
「牧志、悪いけどこれ持ってて。あとその手帳」
牧志 浩太
「佐倉さん、僕がやる」
呪文を唱えます。
佐倉 光
「っておい」
正気度も減るならこっちがやろうかと思ったんだけど
牧志 浩太
「酷い顔をしている。耐えててくれ」
[ 牧志 浩太 ] SAN : 44 → 43
[ 牧志 浩太 ] MP : 12 → 6
佐倉 光
始まってしまったものを止めるのは恐らく良くない。
おとなしく口をつぐんで、手首の保定に力を注ぐ。
牧志 浩太
彼が呪文を口にすれば、それに呼応するように痛みが引いてゆく。切断面が粒子のように瞬いて見え、それに目がくらんだかと思うと──、分断された手は元通りにくっついていた。
KP
何事もなかったかのように手指を自由に動かすことができるが、切断した部分には薄赤い跡が残っていた。
大きな爆発音とともに、あなたたちのいる部屋へ通じるドアが爆破によって半壊する。
粉塵が渦巻き、何者の姿も見えない。
銃撃音は止んでいる。
今なら出入口まで駆け抜けることができるかもしれない。
佐倉 光
「うぇ、一難去ってまた一難」
牧志 浩太
「出よう。今しかなさそうだ」
佐倉 光
「走るぞ!」
牧志 浩太
「ああ!」
佐倉 光
「……(生きてろよな!)」
あの男に別れを告げる。
KP
──ふらつく体であなたたちは、息巻いてビルから走り去った。郊外から街まで走れば人々の往来に紛れ、身を隠すことができる。
そうしてやっと、非日常から抜け出すことができた。
その先では、いつも通りの生活があなたたちを迎えてくれるはずだろう。
佐倉 光
公園のベンチに座ってひっくり返ってる。
いや、さすがに服に血がついてそうだし、のんびりはしてられんか。即行帰ったかな。
KP
後日、ニュースでリストビルの火災が短く報じられた。身元不明の4名の死体が発見されたということだった。
愛豊山での火災についても、出火の原因や研究所の素性、事件性について明かされることはないまま、やがて、世間に忘れられていった。
取り戻した日常がこのまま穏やかに続くかどうか、誰も保証してはくれない。
ともかく、ふたりで過ごしたあの奇妙な2日間のことは簡単には忘れられそうにはないと、あなたたちは自分の手を見るたびに思い出すことになるだろう。
佐倉 光
あの後また帰るまで大変だったのだ……服は血だらけだし、まともな連絡手段も金もなく。
男ふたり、腕も繋がってないのに手を取り合って途方に暮れる、なんて事態に……
は、なってないけど。
牧志 浩太
財布や家の鍵まで燃えてなくなってしまったものだから、まあ苦労した。タクシー拾おうにも金が無いし電車も使えない。
佐倉 光
後日、ハッチャンに案内して貰ったホテルには、宿泊代を届けた。
「いっそ魔界経由した方が……」
牧志 浩太
「COMP動かないのに、魔界経由して大丈夫か?」
佐倉 光
「交渉だけならまあ何とか。……いや、やめとこう。仲魔喚べねーし」
牧志 浩太
「それがいいと思う。……体力でなんとかする、しかないなあ……」
佐倉 光
何度も何度も、右手の指を意味もなくひらひらと動かす。
やはり動くのはいい。
覚悟したとはいえ、なくならなくて良かった。
牧志 浩太
その様子を、目を細めて見ている。
ああ、よかった。COMPを操る彼の手をなくさせてしまわなくて。一度は覚悟したけど、夢も思い出さないうちに手を失うことにならなくて。
佐倉 光
「牧志。この一件、『貸し』な」
牧志 浩太
「ああ。大きな借りになったな。いつかこの借り、ちゃんと返すよ」
佐倉 光
「真面目だねぇ……」
つづける
佐倉 光
実際、昼日中にどうやって帰ったんだろうw
あとこういう展開だったら、「前に出ようとしないで逃げろ」ってビルに入る前に言っとくべきだったな。
KP
ちょっと畳みかけちゃいましたね、最後の方。
さて、シナリオとしてはここでおしまいなのですが、反省会もしたいし、佐倉くんとの関係性も続けたいし、後日談、しませんか?
佐倉 光
しましょう。
KP
ワーイ では一度シナリオをしめます

KP
──そう言ってあなたたちは、再び街へと戻っていく。
ひとつの縁を噛みしめながら。


「 AND/HAND 」
end.


報酬など


AND/HAND
──後日談──


KP
どうにかしてあなたたち二人がそれぞれの住処に帰り尽き、持ち物を諸々失ったドタバタをどうにか解決し。
思いっきり疲れた身体を休めて、数日後。
佐倉 光
COMP壊した件でアッタにめたくそ怒られた。
あと、波照間さんの事情について、波照間さんから根掘り葉掘り聞こうとしてる。
波照間 紅
彼はちょっと驚きながらも、その日の事情を話してくれるだろう。秘密にすることでもないし。牧志くんと会ったことも言う?
佐倉 光
自分に起きた出来事も説明するからその時に言うかな。
「へーーーーーいいなぁ。
一人でめちゃくちゃ楽しそうなことしてるじゃないですか」
波照間 紅
「佐倉さんからそう言うかな、と少し思ったよ。もう少し時間があれば、一緒にいてくれたら心強かっただろうな」
そう彼は苦笑する。
佐倉 光
基本牧志は、家族と同じく自分たちと違う世界の人間だと思っているから関わらないようにはしてるけど、
それはそれとして後で牧志とワンシーン欲しいな。
牧志 浩太
ぜひともワンシーン欲しいなぁ。
佐倉 光
「その時発生した異界がまたシケてましてねー。
時期のせいなのか、そっちでの出来事のせいなのかわかんねーけど、ヒーホー族ばっかいて、頭痛くなりそうだった」
波照間 紅
「あー……、ハロウィンのせいかな。ジャックランタンなんかは誘われるだろうしな。
逆の方がよかったかもな」と、苦笑。
佐倉 光
「んでなんとか外に出たら朝になってて、不在通知と留守電届いたから、電話かけても出ねーし、行ってみたら。
なんか濡れ場の真っ最中でした、と。
俺それなりに心配して行ったんだけどな~」
波照間 紅
「ああうん、すまなかった……」
佐倉 光
「まー、俺もあいつと赤子育ててましたし。そういう運命の奴なのかもなぁー。
難儀な奴」
波照間 紅
「運命、か……」彼は少し目を伏せる。
牧志 浩太
一方、こちらは家の鍵をどうにかするまで、しばらく友人の家に世話になった。ほとんど忘れてしまって態度も変わってしまっているだろうに、いいやつだ。……友達は大事にしたいな、とやっぱり思うのだった。
「へっくしょん」
誰かが噂をしている気がする。
佐倉 光
簡単に今回の事件のことを説明する。
あまり詳細は聞かれなければ語らないが、牧志のことはしみじみ「底抜けですよねー」と感想を語る。
「こっちに来たら長生きできないよ、あいつ」
佐倉は牧志のことを語る時、何故か少し楽しそうにしているだろう。
波照間 紅
「少し、前のめりなのかもな。お人好しというか、いいやつなのは、本当にそう思う。
僕を恨むことも、あの一日に何か言うことも、なかったしな……」
その様子を目を細めて眺めながら、何かを少し気にしているようだった。
佐倉 光
「……何か気になるんですか」
波照間 紅
「いや。……本当はあまり、あの後会ったり話したりするべきじゃなかったんだろうな、と。そう反省していた」
佐倉 光
「そうですね。
あいつはいい奴だ。だからこそ、親しくなるべきじゃない。情が移ると」
しばらく言葉を探す。
「……面倒だ」
言ったその目は右手に落ちている。
波照間 紅
「……ああ、分かってる。……分かっているん、だけどな……」
その言葉に込められた意味を受け取って、重く息を吐いた。
あの時、自分は嬉しかったのだ。“紅”が、戻ってきてくれて。

彼をその一日に留めておくべきじゃないと、分かっていても。
佐倉 光
「俺は『紅』ってやつのことは知りませんよ。
ただ、あいつは……危なっかしいけど、俺の話を聞いて理解して、ちゃんと判断してくれた。
……そう、頼りになる奴でした。
頼りになる、といっても、波照間さんとは大分違う方向だったかな」
最初に事情を説明した時に、混乱しながらもついてきてくれたこと。
自分が腕を落とす判断をした時に、動揺しながらも適切な処置をしてくれたこと。
そういった、『牧志』のことを少し詳しく語ろうかな。
「いちいち慌ててましたけどね」
波照間 紅
「そうか。……頼りになる奴なんだな」
姿を脳裏に浮かべるように、一度目を閉じて、あなたの言葉を噛みしめる。
「少し、浮かぶような気がするよ」
佐倉 光
「ただ……
……いや、もう関係ないんだ」
波照間 紅
「ただ?」
佐倉 光
「……あいつ、その、『紅』だったときの記憶なのかな。
たまに無鉄砲なのが気になるってだけです」
(ま、俺も人のことは言えなかったし)
波照間 紅
波照間はデビルバスター以外の人間ともそこは気にせず絡むんだけど、あの一日の思い出話をすることは、どうしても牧志くんを本来の彼の記憶じゃなく、「紅さん」の記憶の方に寄せてしまうことになるから、そっちを気にしている感じですね。
佐倉 光
そうなのかなぁとは思うんだけど、こっちはそのことについてはどうしたって伝聞だからね。
波照間 紅
それはそう。
互いに彼の別々の一面をそれぞれ知っている。
波照間 紅
「ああ……、彼は強かったからな。もしかすると、僕の記憶のせいかもしれないが」
佐倉 光
「……尚更関わっちゃ駄目ってことだ。
じゃあ、俺、帰ります」
波照間 紅
「ああ。お疲れさま」
佐倉 光
たぶんどっかの飲み屋とかで飲みながら話してた。
波照間 紅
「……」寂しげに目を閉じて、手元に残ったグラスを傾けた。からん、と氷の音。
「牧志、浩太、か」改めてちゃんと彼と、大学の先輩と後輩として、それからの近況の話ができたら。そんなことを思った。

佐倉 光
どこで遭遇しようかなー
KP
関わらないって言ったのにバッタリ遭遇する感じですかね? どこにしよう
佐倉 光
例のホテルにお礼届けに……は、直では行かないよなー
火事の現場に戻る?
KP
現場に戻ったら工具セット探しに来てた牧志くんがいる?
佐倉 光
なるほど。

佐倉 光
そこそこ時間が経ってから、あの謎の施設があった場所に戻ってみた。
果てしなく遠く思えた道のりを、シェアカーで走れば、何のことはない距離だった。
KP
──火災現場。
あの男が燃やしていったのか、すっかり燃えてしまった元研究所には、何だか分からない瓦礫の山が残っているだけだった。警察の現場検証も終わったのだろう、そこには人影はない。
佐倉 光
「今更何が遺ってるってこともないかもしんねーけど……」
KP
先にいたら佐倉くん足を踏み入れなさそうだから、最初気づかなくて、佐倉くんがうろうろしてたらばったりしちゃう感じで
佐倉 光
そうだね、牧志が居たら近づかないな。
佐倉 光
あの腕輪にしろ、研究資料にしろ、価値ある物があるかも知れない。
灰と瓦礫の中を探る。
何しろ、『宝探し』には自信があるのだ。
厚手の革手袋、革のブーツで身を守り、注意深く探る。
あの毒針でも出てきたらたまったものではない。
KP
研究資料があったらしいところは、念入りに焼却され、処分されていた。あの腕輪や機械類も見当たらない。あの男は、そういったものが誰かの目に触れることを望まなかったのだろう。
佐倉 光
「ちぇ……生きてんのかな、あいつ」
KP
あの男がどこへ行ったかは分からない。生きているのかも。
と、燃え残っている小さな金属製の箱を見つけた。箱は少し歪んでいるが、開かないことはなさそうだ。
佐倉 光
「お、何だこれ」
力を込めて開いてみる。
KP
ぱこんと音がして箱が開く。中に入っていたのは、携帯工具一式だった。箱があったことが幸いしたのか、中身は無事なようだ。
佐倉 光
「……なんだ……」
がっかりして蓋を閉じようとする。
KP
工具のグリップにはテープが貼られており、テープは熱で半分溶けているものの、微かに名前が読み取れた。
“K. Makishi”
牧志 浩太
「あ。……よかった、あったんだ」
不意に、あなたの横から、穏やかな安堵の呟き。
あなたが探し物をしている間に、近づいてきていたらしい。
佐倉 光
「……なんで、ここに」
牧志 浩太
「久しぶり、って程じゃないか。探してたんだ、その箱。
金属製だから、もしかしたら残ってるんじゃないかと思ってさ」
佐倉 光
「お前のか……」
渡す。
牧志 浩太
「ああ。……ああ、よかった」彼は大切そうにそれを受け取って、中身を改める。
佐倉 光
「危ないだろうが。あいつらの残党でもいたらどうするんだ」
牧志 浩太
「ごめん。でも、これだけは失くしたくなかったんだ。残ってるかもしれないって思ったら、置いとけなくてさ」
佐倉 光
「……大事な物なのか」
馬鹿なことを訊いてしまった。
こんな質問、イエス以外にどんな返答がある。
どうしてこんなことを問うてしまったのか。
牧志 浩太
「うん。……覚えてないんだけどな、どこから来た物なのか」
佐倉 光
「覚えてない?」
牧志 浩太
「ああ。これが俺の将来の夢に関わってたことだけ、覚えてるんだ」
佐倉 光
「ああ、記憶……
そうか。見つかって良かったな。
これで貸し2だぞ」
牧志 浩太
「うん。このまま天文やるのもいいかなって思うんだけど、やっぱり思い出したくてさ。……ああ、そうだな。ありがとう。増えちゃったな、貸し」
佐倉 光
自分の記憶がないとは。
自分の欲望の源がないとは、どういう気分なのだろうか。
「じゃあもうここには用はないだろ。
さっさと帰れよ……」
牧志 浩太
「いつか返すから、聞いていいか? 連絡先。今日はスマホ、持ってきてるんだ」
佐倉 光
「……」
考える。
「俺の電話番号、知ってるんじゃなかったっけ? 一回かけてきたろ」
牧志 浩太
「それはそうだけど、改めてちゃんと聞きたくてさ」
佐倉 光
情が移ると面倒だ。
波照間に言った言葉を思い出す。
教えるべきではない。世界が違う。
じゃあねー、意味不明の文字をメモにさらさらっと書いて、押しつける。
で、「じゃあなっ!」
と一言だけ言って帰る。
牧志 浩太
「ああ、またな!」
佐倉 光
【知識】ロール!
牧志 浩太
CCB<=75 【知識】 (1D100<=75) > 28 > 成功
佐倉 光
それは謎かけだ。
解き明かすことができれば連絡先が分かるだろう。
佐倉 光
めんどくせぇな佐倉w
関わりを切るべきだけど、関わりは切りたくないからって責任を牧志に押しつけたよw
関わりたくないなら『貸し』とか言わなきゃいいんだよねー
KP
なんですよねー。
牧志 浩太
「──ありがとう!」
きっとそれは彼の、彼らの優しさで、ちょっと考えすぎで面倒くさい所なのだ。
紅の態度が急に何だかぎこちなくなったこととも、きっと関係しているのだろう。心配されているのだ、と気づいて照れくさい気持ちになった。
佐倉 光
超難易度だからなぁ、解いたら一目置いちゃうぞ。
牧志 浩太
それならそんな心配よりも、自分が、「俺」が友達になりたいと、そう思っているのだと。
たっぷり時間をかけて、そのことを知らしめてやろう。
──よし、遣り甲斐がありそうだ!
無事解き明かしたら、まずやることは一度実家に帰って、あの辺の美味いものを仕入れて二人の所へ持っていくことだな。そんなことを考えながら、うきうきと謎解きに取り掛かった。
彼が無事謎を解けたかどうかは、それからの話。
佐倉 光
その後のシナリオ次第だな!
KP
牧志くんの今後に乞うご期待

佐倉 光
おつかれさまでしたぁー!
KP
お疲れさまでした!
佐倉 光
面白かった。
腕落としてすぐくっついたからびっくりした。
あとくっつける手段は、ふたりの手をくっつけた呪文でも利用すんのかなって思ってたよ。
KP
あそこわりとあっさりくっついちゃうんですよね ああー、改変にはなっちゃうけどそれもなんだかおもしろい>くっつける手段
佐倉 光
だから「知っている」って言われたのかと思ったら、牧志は知ってるし、佐倉は別世界の俺の記憶だった。
KP
今は技能にはないけど佐倉くんディア使えるしな、ってそういう方向の知っているでした
佐倉 光
あ、そうだ確かにディアって言ってた。
あの時KPの理解不足で顔の傷治して貰えなかった紅くん……
KP
顔の傷…… でもかっこよかったですし演出的にもファンブルのあれこれとか色々楽しかったですし
あ、牧志くんと波照間の関係性まで後日談で整理させてもらって、ありがとうございます
佐倉 光
波照間さんも引きずってそうだし、何より当事者だからな
カード番号もあんなサイトやこんなサイトのパスワードもまるっと漏れてる。
いやー気の毒だなwwwって佐倉ちょっと面白がってる。
KP
なんと、大変なことがまるっと共有されているwwww
牧志くんの性癖とは一致するのか……??? >あんなサイトやこんなサイトのパスワード
佐倉 光
どうなんだろうなぁー。
記憶があるからって好きとは限らないしなー
そのへんについては外野なんで俺~
KP
記憶の中の性癖と自分の性癖が齟齬ってたらたいそう何かとやりにくそう
佐倉くんとの後日談、味わい深かったです。素直には関係を残せないけど、それでも可能性を彼に託すような。
佐倉 光
次、なんか会わざるを得ないようなシナリオねじ込みたいなぁw
牧志君に助けて貰わないといけないやつとかかな。
KP
いいなー、ぜひぜひやりたい>会わざるを得ないような
変な縁でまた出会ってしまうのも非常に味わい深いと思うのです 因果。

牧志 浩太
こちらこそありがとうございました! 
イベントのところはちょっと畳みかけちゃったけど、後日談の流れがとても好きです
佐倉 光
波照間さんのモヤモヤが聞けてちょっと得した気分だ。
そして結局「力ないものとしての行動しろよ」って話はできずじまい。
そういう助言は、牧志がある程度関わることを覚悟した後かなw
今は「見るな聞くな関わるな」と言いたい段階かも。
牧志 浩太
次回以降のお楽しみですね。
関係を切るべきだけど切りたくない佐倉くんの微妙な機微の結果の行動が楽しい
佐倉 光
女々しいなこいつって思いながらやってたw
自分に守れる力は無いので、好意を持った人間巻き込む覚悟なんぞできておりませんし、相手を思って関係を切れる強さもございません。
しかしCoCの世界では対等なのである!
牧志 浩太
好意を持ってくれているし評価してくれている、でもそれだけに悩んでしまって結果そうなるの、とてもニコニコしながら見ておりました。
そう!しかしながらここはCoC!遠慮なく巻き込まれるしまた会っちゃうし対等にもなる
佐倉 光
波照間さんとは別方向に仲良くなりたいなぁー
悪魔とか魔法とか異界とか関係ないとこで馬鹿な話とかしたいよ。
牧志 浩太
なりたいなぁー。異界関係なくなんでもない話ができる、「同年代の友達」になれそうな可能性。
佐倉 光
佐倉って、人との関わりは多いけど、純粋な友達っていないから……
それもあって手を離すのは嫌だなーって無自覚に思ってるんだよね。
牧志 浩太
だいたいデビルバスターがらみですもんね……
手を離したくないで終わるAND/HAND、いい。
佐倉 光
最後握手できる雰囲気じゃなかったので、心の中で無意識でそう思った。
牧志 浩太
謎を解けたら実家のお土産持って握手しに行きますよ。
佐倉 光
その途中で事件に巻き込まれると!?
牧志 浩太
巻き込まれると。
これが探索者
佐倉 光
難儀な奴ー(同時に巻き込まれつつ)
牧志 浩太
また貸し作っちゃったな(巻き込まれつつ)
波照間も佐倉くんも牧志くんとの関係性について悩んでいるけど、牧志くん当人はなんだかんだで85%と15%と一日の自分を受け入れているので、遠慮なく手を繋ぎにいくある種の強引さは牧志くんの方が強そう。事件に巻き込まれちゃうけど。
佐倉 光
そうそう、佐倉が心配しているほど牧志君て弱くないんだよ。
そこはさすがにあの夜を越えた『PC』だけある。
牧志 浩太
彼もまた探索者。
夢や家族への感情を思い出せないことを悲しみこそすれ、どの記憶もこれからの自分も大事にしているあたり、強いんですよね。あと佐倉くんが「波照間さんよりやりづらい」って言ってたあたりの、結構強引さがあるところとか。
アンバランスなとこは危なっかしいけども。

牧志 浩太
牧志はやろうと思えば電話番号覚えてなかったとしても波照間から聞き出すなりBARの前で張り込むなりいくらでも佐倉くんと連絡取る方法はあるのに、それでも「改めて」「佐倉くんから」連絡先を聞こうとするのは彼のけじめなんだなぁ、と。
佐倉 光
だから謎かけとはいえ自分で教える気になったんだろうな、佐倉
牧志 浩太
彼がちゃんとけじめをつけようとしてきたからこそ。
佐倉 光
多分仕事仲間に教えてる、なんかあったら変える方のアドレスじゃなくて、ガチ寄りの奴。
仕事柄連絡手段なんかはコロコロ変えるし、仲間には都度伝えてる。
仕事仲間はいつでも会えるし便宜上そっちのほうがいいから変える方教えてるんだけど、牧志とは『会わないことにする』という意思と、『大事にしたい』という意思かなー
牧志 浩太
ああー…… 仕事仲間も知らないやつ。
解いたらびっくりするかもしれない。
必要があっての関係性じゃなく、佐倉くんの方からそんな思い入れを持ったというのは、何気に初めてなのかな
佐倉 光
多分初めてでしょうねー
悪魔使い佐倉としてじゃなくて、佐倉光として興味を持った相手は。
牧志 浩太
ですよね…… 面白い関係性だなぁ。
なんというか、尊さがある

佐倉 光
どーでもいいネタですが、佐倉が自分の腕を落とすのを即決したのは、その方が生き残れる確率が高いと計算したためです。自己犠牲精神ではありません。
腕を切り落とすにはそれなりの手間と決心がいる。言い争ったり譲り合ったりして時間を浪費する暇はない。変に話し合えば時間切れで死ぬかもしれない。
なら自分のを落とした方が確実だ!
というわけですねー。
これで腕がなくなってたら、それを使って牧志君に貸しを作って色々利用してやればまあ元は取れるかも、なんて思ってました。
KP
なるほど!
計算高さ故だったわけですね。生き残れる確率を上げるために躊躇無く目の前の痛みを取れるのは凄いし、らしいなぁ。
でも実際、やりきって腕輪を抜くまで五分もないんだから、それが最善手なわけですしね。

今回はああだったわけですが、本当に腕がなくなってたら牧志はきっちりと佐倉くんを助けていたでしょうね。淡々と、静かに。

コメント By.

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本作は、「 株式会社アークライト  」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。

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