死にたがり電車
のネタバレがあります。
十分ご注意ください。

KP
※このシナリオには、リアル【アイデア】を前提とした特殊なクリア方法・グロテスクな表現、探索者に一時的な肉体欠損の可能性があります。
KP
本日は、唐突な思いつきのセッションへのご乗車、まことにありがとうございます。
ホラーシナリオがやってみたくなった。
羽生 慧
そのアイコンにはツッコまない
KP
突っ込んでくれても良いのよ?

死にたがり電車

ごんずい 様 作

KP
まずは、電車に乗ろうとしている貴方の、簡単な自己紹介を。


羽生 慧
文字色はこれでいこう
羽生 慧
中小の探偵事務所(オーナー同士は知り合い)で掛け持ちのバイトやってます
一件の事務所の給料だけじゃやってけないので、じゃぁ複数やればいいじゃん、て複数やってます
持ち前の好奇心で、今はいっぱしの探偵使いっ走りです

KP
あなたは今、仕事を終え帰路にある。
夕暮れから夜に移り変わろうという街は人でごった返し、烏の声が遠くに響いている。
あなたは、職場の最寄りで電車を待っていた。
羽生 慧
「あー、今日もよく働いたなー」
適当に散歩して、適当に経費でお茶して帰れるから楽と言えば楽
調査中に書き上げた箇条書きメモを提出して、口頭報告すればOKなので、頭も使わなくて良いのはいい限りだ
KP
特急列車が過ぎ去り、大量の人を乗せてゆく。
貴方が乗るのは、普通列車だ。
ここから普通列車に乗る人はそう多くない。
先ほどまで大量にいた人々は電車に乗っていってしまい、このあたりには売店もドリンクコーナーもないためか、人はまばらになった。
羽生 慧
「次の電車は何分かな……」
スマホで時刻表を確認
KP
あと1分ほどで到着するだろう。
羽生 慧
「なんだ、すぐじゃん」
KP
少々間延びしたアナウンスか、貴方が乗る電車の到着を告げる。
電車のライトがホームへと滑り込んでくる。
羽生 慧
上り方向なので、この時間でも混まないのはありがたい
なんとはなしに、その電車のフェイスを眺めながら、出迎える
KP
あなたは乗車位置へと一歩進み出た。
すると、背後からやけに耳触りの良い、どこか楽しげな声がした。

「命は粗末にするものではありませんよ」

羽生 慧
「お?」
KP
その直後、あなたの身体はホームから線路の上へ投げ出されていた。
背中と腕に衝撃。
轟音と、まばゆいばかりの電車のライトがすぐ目の前に迫っている。
羽生 慧
「へっ?」
頭の中を、様々な考えが駆け巡る
(意外に、昔のこととかって思い出さないんだな―――)
KP
その光に飲み込まれるように、あなたの意識は遠のいてゆく。
羽生 慧
最後には他人事のようにそう考えて、意識を手放した

KP
――貴方はなんだか心地の良い、慣れ親しんだ揺れと音に、暗闇の中で意識をゆっくりと浮上させる。
羽生 慧
「んが……」
KP
電車の走行音。
あなたは座席に座り、いつものように、居眠りでもしていたかのように目をつむっていたようだ。
羽生 慧
「あれ……」
「夢、かな?」
辺りを見回す
KP
ぼんやりした意識をたたき起こすのは強烈な臭気。
鉄臭いにおい。冷たい空気。
そこには何か、色とりどりのものが散らばっていた。
羽生 慧
マーブルチョコかな
KP
床を埋め尽くすように、ピンク色のもの、白いもの、黒い毛の束。
それが、かつて人間だったものの破片達であると、あなたはすぐに気付いただろうか。
羽生 慧
「は?」
それ、だいたい何人分くらいですかね?
KP
数え切れないほど。
踏まずに歩くのは少し大変そうだ。
本編見る!
羽生 慧
「うぇ」
足を引き上げ、座席に体育座りするようにして、汚れないように
KP
SANチェック成功時減少 1+1D2失敗時減少 1+1D4
羽生 慧
CCB<=90 SANチェック (1D100<=90) > 75 > 成功
1+1d2 (1+1D2) > 1+1[1] > 2
[ 羽生 慧 ] SAN : 90 → 88
「ちょちょ……」
KP
手足をちぎられたもの。臓物をまき散らしたもの。
首だけのもの、何かでメッタ刺しにされていたもの。
とにかく無残極まりない死体が床にも座席にも、荷物棚に至るまで大量に散らかっている。
この空間で、あなただけが異常だった。
羽生 慧
「何これ?」
KP
電車内のスピーカーから、よく通る無機質な声が響く。
「本日は当列車をご利用くださいまして、誠にありがとうございます」
「 途中、終点までに、3駅を通過致します。 お乗り間違えのお客様がいらっしゃいましたら、至急、乗務員にその旨をお伝えくださいますよう、お願いいたします」
アナウンスは沈黙し、あとには電車の走る音だけ。
羽生 慧
「いやいやいやいや」
「わけわからんわけわからんわけわからん」
とりあえず、ドアの上の電光表示と、車窓からの風景を確かめる
これは、間違いなく自身が普段利用している路線だろうか
KP
電光掲示板は時折ノイズのような光を走らせているだけでまともに読み取れないが、自分がいつも利用しているものとは違うように思える。
また、窓の外は真っ暗闇だ。
羽生 慧
内装は現代のもの?
KP
現代のものに見える。
しかし貴方が知るどの会社のものでもない。
羽生 慧
「あ、もしかして」
スマホを取り出し
『電車 お化け屋敷 イベント』
と入力し検索する
なんか、そうしたイベント列車があったような気がする
KP
スマートフォンは圏外表示だ。
薄暗い車内、あなたのスマートフォンだけが白々と光っており、眩しいほどだ。
羽生 慧
「地下だからって、今時……」
薄暗いのか
助かったような、そうでないような
「とりあえず、乗務員だっけ。下ろしてもらわなきゃ」
いやしかし、こんなものの乗務員が果たして真っ当だろうか
いやそれよりも、この状況は何だ
都市伝説でこういう話は聞いたことはあるが
いるのは自分だけですか?
KP
あなただけがこの空間で生きている。
この車両を埋め尽くす残骸が動き出したらむしろ恐怖の対象であると言えるだろう。
羽生 慧
ドア横の、車両数プレートを改める
ここは何両目だろうか
あと、最後尾か、先頭か
中ごろか
KP
3、とある。ここは3号車だ。
前後を見るなら、向こう側は薄暗いためよく見えないが、どちらにも車両が連結されているのが分かるだろう。
羽生 慧
窓は開く?
KP
ロックがかかっているが、外すことは可能だ。
開けてみる?
羽生 慧
まずは窓ガラスに手を当てて覗き込む
走行スピードを確認したい
KP
窓硝子を見るとそこには血で「しにたくない」と書かれている。
羽生 慧
「うぇ」
触れようとした手を引っ込める
KP
よく見るなら、壁にも、床にも。至る所にその文字はあった。
速度は真っ暗で分からない。
伝わってくる走行音から、そこそこの速度であろうということは分かるが。
羽生 慧
非常用ドアコックの有無も確かめる
「どのみち、この速さじゃヤバいだろーけど」
KP
非常用ドアコックはどうやら見当たらないが……
〈目星〉をどうぞ。
羽生 慧
CCB<=85 〈目星〉 (1D100<=85) > 75 > 成功
KP
ドアコックを探す貴方は、無数に書かれた「しにたくない」の文字の中に紛れるように書かれた「やつらは死に寄ってくる」という文字を見つけることができる。
羽生 慧
(周り、死しかないじゃん……)
引き攣った顔で、脳裏でつぶやく
「ここにいたらやべーってこと? いや、やべーか。充分」
「そだ」
思いつき
「非常通話ボタン!」
優先席近くの壁を改める
KP
通話ボタンはあった。
羽生 慧
ぽちぽちぽちぽちぽち
そういえば死体の状況なんですが
武器とかで破壊された感じ?
それとも食われたとか
KP
通話ボタンと死体、どちらについて先に聞く?
羽生 慧
どっちを先に、というか
ボタン押して、反応待ってる間に、改める感じかな
KP
ではボタンから。
アナウンスと同じ声がする。
「どうかゆっくりと旅をお楽しみくださいませ……」
羽生 慧
「いえあの! すみません、間違えて乗っちゃったみたいで!」
慌てて通話装置に張り付いて叫ぶ
(てか、気付いたら乗っちゃってたっていうか)
KP
貴方の声にはお構いなしに、通話は切れた。
羽生 慧
「おいっ!」
KP
もっかい押す?
羽生 慧
押せるのかな?
じゃぁ押してみるか
KP
プツ、と通話が繋がる音。そして、先ほどと全く変らない声。
「どうかゆっくりと旅をお楽しみくださいませ……」
録音ではなさそうだが、貴方の言葉に反応する様子はない。
羽生 慧
「非常用対応に自動音声ってある?」
少し心が疲労したが
仕方ない
とりあえず、乗務員とやらに会いに行ってみよう
KP
死体については?
羽生 慧
じっくり改めないといけない感じ?
KP
よく見てみるならば、〈医学〉判定となる。
羽生 慧
〈医学〉は振ってない!
〈目星〉で代用は無理か
KP
ちょっと難しいかな。「こいつぁひでぇや」の解像度が上がる。
羽生 慧
なるほど
じゃぁ乗務員で
KP
では車両を移動すると言うことでよろしいだろうか。
羽生 慧
はい
KP
どちらへ向かう?
羽生 慧
とりあえず車掌だよなぁ
後方車両かな
KP
あ、こちらから「○○を振ってください」と情報を差し出すことはあまりしないので、したいことがあったらどんどん宣言してみてね。

KP
後方車両のドア前へ行く。
こちらも血文字が乱雑に書かれていてよく見えないが、窓越しに向こう側の車内が見える。
どうやら最後尾の車両のようで、奥に乗務員室らしきものが見える。
暗幕が掛かっており、中は見えない。
羽生 慧
4両編成か
短いな
KP
車両内は比較的散らかっておらず、座席にスーツの男が一人、深く俯いて座っているのが見える。
男の顔は見えない。動く様子もない。
羽生 慧

比較的散らかっていない、というのは
結局残骸で散らかっている?
KP
数はかなり少ないものの、死体は転がっているようだ。
扉の向こうから物音は聞こえない……
羽生 慧
ドアを引き開ける
KP
がらがら、と音を立て扉が開く。
中は血臭がいくらか薄い。
ひんやりした空気が肌を撫でる。
羽生 慧
その空気を吸い込み
『人間の中身』が、あれほどひどい臭気を放つものだとは思わなかった
(そりゃそーか。ゲロとか大っきいのもちっさいのも詰まってんだもんなー)
なんて考えていたら、さっきの光景が蘇ってきそうで、考えるのをやめた
男は、何か持ってますかね?
要は武器とかそういうの
KP
いや、素手のように見える。
羽生 慧
では
「あ、あの~~。すみませーん」
扉開けてすぐのところから、距離を置いて声をかける
KP
近づくと、男が荒い息をしているのが分かる。
あなたの声に対する反応はない。
羽生 慧
負傷したりしてる?
KP
体には目立った傷はないのに、胸元に血がついている。
首から流れ出しているのだろうが、のぞき込むか男に顔を上げさせないと分からないだろう。
羽生 慧
男が座ってるのは、車両のどの辺り?
KP
中頃かな。
羽生 慧
では、その男と奥の乗務員室のドアを見比べて
しょうがないか……
そろそろと歩き、近づいて行き
男が近くなったら、なるべく距離をとって駆け抜けよう
KP
男を無視してゆくということかな。
羽生 慧
一応、その血の出どころとか様子は確認しながらだけど
いきなり立ち上がって襲われたら嫌だし
KP
下の方からのぞき込まないと、出血場所はよく見えないな。
羽生 慧
じゃぁとりあえず往路は気を払いながら駆け抜ける
KP
距離を取って前をそっと通り抜けるなら、男は反応しない。
羽生 慧
復路がないといいけど
じゃあ乗務員室の扉に取り付いて、ドアを叩く
走行音で聞こえないと困るので、強めに
KP
返事がない。
羽生 慧
ドアは鍵かかってる?
KP
貴方がいくら叩こうとも反応が返ってくることはない。
扉に鍵はかかっていないようだ。
羽生 慧
じゃぁ開けちゃえ
KP
扉は最初に微かな抵抗があったが、簡単に開く。
中は薄暗い。割とよく見る計器類が並んでいるのが見える。
羽生 慧
「あの、すみませ~ん……?」
KP
そこには、『人影』がいた。
羽生 慧
「……?」
KP
車掌服を纏ったなにかが立っている。それは分かる。
しかし、露出した肌の部分は全てが真っ黒なもやのようなものだ。
顔のパーツらしきものもなく、もやの上に車掌帽が乗っかっている。
人の形であるが人ならざるそれに、あなたは得も知れぬ恐怖を感じる。
羽生 慧
銀河鉄道999を思い出した
KP
あんなに可愛らしい感じではないだろうな。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D4
羽生 慧
CCB<=88 SANチェック (1D100<=88) > 32 > 成功
[ 羽生 慧 ] SAN : 88 → 87
「……」
一瞬、扉を閉めて立ち去ろう、とも考えたが
KP
『車掌』はあなたに背を向け、外を見ている。
羽生 慧
この異常事態でなら、このくらいの『異常』はもはや当たり前かもしれない
とにかく、乗務員に伝えなければならないのだ
そう思ったら、オーバーヒート気味の脳は開き直ったように行動をとらせていた
「あの! 間違えて乗っちゃったみたいなんですけど!」
半分の苛立ちも込めて、大きな声で伝える
KP
『車掌』は微動だにせず、窓の方を向いて立ち続けている。
羽生 慧
(ダメかいっ)
(走行中の客室対応は、車掌の仕事じゃないの!?)
KP
突然。
『車掌』が動き出した。
羽生 慧
「お」
KP
壁際からマイクを取る。
そして、それを口元に当て喋り始めた。
「ただいま『カバネ』を通過いたしました」
それだけ言うと、『車掌』はマイクを壁に戻し、元の姿勢に戻る。
羽生 慧
その間、車窓から駅は見えた?
KP
いや、真っ暗だ。
そうだな、〈目星〉を。
羽生 慧
CCB<=85 〈目星〉 (1D100<=85) > 70 > 成功
KP
『車掌』がアナウンスを行った際、『車掌』の口の部分だけが真っ赤に見えた。
羽生 慧
(なるほど)
と、心の中で頷いた
そっと扉を閉めた
口でアナウンスするだけが仕事なら、聞こえなくても仕方がない
なんとなく
腹が据わってきた
これが夢なのか何なのかはわからないが、とにかくこれは都市伝説と類するものの中の何かなのだ
両頬をぱちんと叩く
そのまま少し、頬をマッサージするようにもみほぐし
探偵業で色々な人間模様を覗き見る内、わかったことがある
それは、事実は小説より『とびきり』奇妙なものなのだ
何なら、都市伝説や伝承を真面目に信じ込んでそれを受け入れている人もいる
とはいえここまで『とびきり』のものにはお目にかかったことがないが
『師匠』の言葉を思い出す
『いいかぁ、慧。探偵てのは、呑まれたら負けよ』
『目の前にあるモノを事実として受け入れる。俺たちにできるのは、何であれそれをそのまま認識して、形にまとめることだけだ』
『考えるのは構わねぇ。だが、思うな。心を映すな。……呑まれるからな』
表頬を揉みほぐしながら、心の中で繰り返してから
「……よし」
両目を開いた
「これが都市伝説だってなら、ルールはある」
「とりあえず、乗務員に告げる、ってとこかな。……行ってみよう」
震えを払うように一歩を踏み出した
KP
この車両には、先ほどの男が座っている以外に、変わったものはない。
羽生 慧
「……3駅って言ったっけ……あと、2駅」
それが、タイムリミット
歩き、
男の前で足を止める
「あの、すみません。大丈夫ですか?」
警戒しながらも、声をかけた
KP
男はあなたの声に気付いていないのだろうか、反応がない。
首の下の血のシミが、先ほどよりも大きくなっているのが分かる。
男の呼吸は、荒くも浅く、かなり苦しそうだ。
羽生 慧
「! 大丈夫ですか!」
近寄って、傷の状態を確かめます
〈応急手当〉は持ってきたぞ
KP
出血部を確認する。
首が水平にばっさりと切り裂かれているのがすぐに分かる。
その傷口から、まだ血色のよいピンク色のものが飛び出している。
肉片? いや、舌だ。
SANチェック成功時減少 1失敗時減少 1D3
羽生 慧
コロンビアネクタイやんけ
マニアックな
KP
やっぱりリアル【知識】で知ってたなコヤツ。
羽生 慧
CCB<=87 SANチェック (1D100<=87) > 66 > 成功
[ 羽生 慧 ] SAN : 87 → 86
KP
羽生君自身、知っているかどうかは決めてイイヨ。
判定したい場合は〈歴史〉〈オカルト〉だ。
羽生 慧
どっちも持ってないが、まぁ探偵ってことで知ってたことにしようか
だがもちろん実物を見るのは初めてだ
「……!」
絶句する
KP
コロンビアネクタイ。
昔実際に行われていた処刑法の一種だ。
凄まじい苦痛、そして見た目の残忍さも合わさり、戦争で敵対勢力の戦意を喪失させるための見せしめに行われることもあったらしい。
この男にこの処刑を施した者は、何を意図したのだろうか。

あなたが下からのぞき込んだことで、男と目が合った。
男はあなたに気付いたのか目を見開く。
そしてしきりに口を動かし、ヒュウヒュウと息を漏らし始めた。
なにか、伝えようとしている。
【アイデア】を。
羽生 慧
喉に何かつかえたように、んぐ、と飲み込み
「何ですか? 大丈夫、聞こえてますよ!」
おそらくは自分の手で救うことは叶わないだろう、とは思いながら、反射的に意識を繋ごうと声を大きく尋ねる
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 73 > 成功
KP
『死にたい、死なせてくれ、殺してくれ』
男は、そう繰り返していた。
そして……男がそう口にした途端。
窓が割れた。
羽生 慧
どっちのだろう
前(リーマンの後ろ)後ろ(自分の後ろ)
KP
あなたの後からだ。
羽生 慧
咄嗟にそちらを向く
やっぱ戦闘のトリガーだったかー、この男
KP
そして、割れた窓から何かが飛び込んでくる。
何か棒状のものがあなたのすぐ横を通り過ぎ、男の顔面を貫いた。
男の頭が吹き飛ぶ。
割れた窓ガラスの向こう側に、てらてらと光る巨大な体のなにかがいる。
羽生 慧
「ぅおぉっ!?」
飛び散る飛沫に、思わず顔面を腕で庇って倒れる
KP
一瞬置いてべちゃべちゃと湿った音がした。
男の体が倒れる。
その胸元から、光るものがこぼれ落ち、涼やかな音を立てた。
窓の外の『それ』は、すばやく屋根の上へと跳び消えていった。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D3
羽生 慧
CCB<=86 SANチェック (1D100<=86) > 52 > 成功
羽生 慧
あれ
その後は何もなし?
※BGM止まった
KP
メタい。
静けさが戻った。
羽生 慧
「な、なんなんなん……」
思わずついた尻餅のまま、つぶやく
男の遺体は残ったまま?
KP
残っているよ。頭は……無惨なことになっているが。
顎から上はない。
羽生 慧
男の体から落ちたものは?
KP
男の体から落ち、床で輝いているのは血のついたナイフだった。
羽生 慧
それは男の懐から落ちたものなのかな
それとも刺さってたか
KP
懐、というか、服の中に入り込んでいた、といったほうが正しいだろう。
羽生 慧
入り込んでいた?
ワイシャツの中に?
KP
背広の内側にでも入っていたかな?
羽生 慧
てことは自分の持ち物か
ナイフって、どんなナイフ?
KP
「鋭利なナイフ」
<ナイフ>で判定を行う。 耐久値:9 ダメージ:1d4+db
羽生 慧
(ナイフなんて技能は)無いです
KP
見た目は、サバイバルナイフだ。
羽生 慧
サバイバルナイフぅ?
デカない?
〈目星〉で、これがその男に使われたものかどうかわかるかな
KP
〈医学〉〈目星〉どうぞ。出る情報に差はあります。
羽生 慧
CCB<=85 〈目星〉 (1D100<=85) > 11 > スペシャル
KP
そうだな、おそらく男の喉を切ったのはこの凶器であろう事が分かる。
羽生 慧
なるほど
シース(鞘)はあるかな?
KP
見える範囲には見当たらない。
羽生 慧
抜き身で持ち歩くの危なそうだな……
ショルダーバッグに入るかな
KP
バッグのサイズ次第だね。
羽生 慧
じゃぁポケットティッシュでしっかり血を拭って
「背に腹は変えられない……」
バッグに納めて行こう
で、先頭車両へ向かいます
KP
描写が不足していたように思うから追記しておこう。
男の頭を砕いたのは槍状のものだ。
白く輝くねじれた骨のようにも見えるそれは、座席に深く突き刺さっている。
羽生 慧
あ、残ってるの?
KP
残っている。
羽生 慧
ムーンビーストの投げ槍か
見た目は骨みたいなかんじなんだっけ
あ、書いてあるか
KP
(KPクトゥルフにあんまり詳しくないから間違ってたらゴメンだけどね!)
羽生 慧
それを改め
もう一度、ぱん、と両頬を叩いて早足に歩き出す
KP
現在地は4両目。
羽生 慧
「そのまま認識そのまま認識そのまま認識……」
「考える考える考える考える……」
ぶつぶつと呟きながら、歩く
その脳裏で、考えをまとめる
希望的観測や、必要異常の推測は絡めず、自分の手元の情報だけで、頭の中で箇条書きにまとめてゆく
1。
この車両の中には、あのサラリーマンの首にコロンビアネクタイを施したやべーやつがいる
2。
車両の外には、見た目も行動ももっとやべーやつがいる
羽生 慧
3。
「さん……3……三……」
都市伝説のルール
最初の車両で目にした書き置きが思い出される
3。
この車両の中で、死を求めてはいけない
羽生 慧
……求めてはいけない。
はて、そうだろうか、と意識のどこかが囁く
壁面中に書き連ねられた『死にたくない』の言葉を思い出す
考え、歩く内に頭が段々とスッキリしてくる
この異様な環境にあっても
『お前、探偵に向いてるよ』
苦笑まじりに師匠に言われたこともあったっけ
あれらの言葉は、『死を求めてはいなかった』
しかし、あの車両のあの惨状
『死』がやつらを呼び寄せる
やつら―――車両の外からサラリーマンに引導を渡した謎の影の姿がオーバーラップする
訂正
脳内のホワイトボードに書き込まれた3つ目の項目を消し
3。
この車両の中で、死を求めてはいけない
この車両の中で『死』をいうキーワードを持ち出してはいけない
羽生 慧
持ち出したら……
歩きながら、真っ暗な車窓に目をやる
その向こうに消えた異様な影
『あれ』に殺される
KP
闇の向こうには何も見えない。
だが、天井から何者かが移動する気配を感じる。
羽生 慧
ようやく落ち着いた表情が、その気配にサッと引き攣る
「と、とにかく」
4。
乗務員に乗り違えであることを告げることでクリア
羽生 慧
「……よし、これで行こう」
頷き、歩を早める

KP
では、これからどうしよう。
羽生 慧
最初の車両までは問題なく戻ってこられるかな?
KP
戻れる。
とくに何かが動くこともなく、不気味な沈黙だけが場を支配している。
相変わらず3両目は濃い臭気で覆われている。
羽生 慧
口元を抑えながら車両を縦断し、2両目の様子を扉ごしに改める
KP
扉の向こう、白々とした薄暗い明かりの下、先に続く扉が見える。
まだ先の車両があるようだ。
今までと比べれば比較的綺麗な車両で、座席いっぱいに人が座っているのが見える。
皆一様に深く俯いており顔は見えず、動く様子もない。
羽生 慧
「……!」
件のサラリーマンのような、負傷の様子がある者は?
KP
扉越しではよく分からない。
羽生 慧
「……よし」
扉に手をかけ、引き開ける
KP
扉が開く。
座席はうつむいた人で埋め尽くされている。
その性別、年齢、職業は様々で、とくに統一感などはない。
床や乗客の服には血がついている所もあるように見える。
羽生 慧
負傷の状態は、さっきのサラリーマンと同じ?
KP
そうだな、近くの乗客をのぞき込んでみるならそうであろう事が分かる。
羽生 慧
みんなコロンビアネクタイか
KP
見える範囲はそのように見える。
全員覗いて歩く、というならば、それら全てが喉を切り裂かれてそこから舌を引き出された無惨な状態で絶命している。
SANチェック成功時減少 0失敗時減少 1D2
羽生 慧
CCB<=86 SANチェック (1D100<=86) > 29 > 成功
KP
先頭車両近くに一席だけ空席があるのが見える。
その付近には大量の血がついているようだ。
羽生 慧
そんなに満席なのか
KP
満席だ。
羽生 慧
猿夢、という都市伝説を思い出す
KP
さて、乗客を覗いて歩いた貴方は
一人の女子高生が血まみれの可愛らしい便箋を握っていることに気づく。
KP
〈目星〉って書いてあるけど、まあ見て歩いたなら分かるだろう。
羽生 慧
彼女も絶命している?
KP
その顔は苦悶に歪んでいた。もはや息はない。
羽生 慧
眉を顰め、手を合わせてから
その便箋をそっと抜き取る
KP
便箋は血で汚れてほとんど読めないが、大まかな内容としては誰かを必死に励ましているように思える。
手紙の最後には「死ぬとか簡単に言っちゃダメだよ」と書いてあった。
羽生 慧
その文字に目を止めて、息を呑み、周囲を警戒する
件の異様の侵入とか無いかな
KP
窓の外からは電車の走行音が聞こえるばかりだ。
羽生 慧
(……文字なら、OK……?)
なおも、しばし警戒してから
脳裏のホワイトボードに書き加えた
KP
【アイデア】〈目星〉を。
羽生 慧
CCB<=90 【アイデア】 (1D100<=90) > 29 > 成功
KP
そういえば、とふと思った。
今まで調べた死体の多くに、首に痛々しい赤いあざや、手首の傷などがあったのではないだろうか。
また、隣に座っている男のきつく握り締めた手には、「遺書」の文字が見える紙が握りしめられている。
羽生 慧
「……」
(この人たちは……)
周りの席に座る者たちを、見渡す
5。
ホワイトボードに新たな項目
5。
この車両は、自殺者を乗せるためのもの
羽生 慧
なるほど、と頷く
都市伝説では、割とよくある話だ
まさか自分がそれに巻き込まれることになるとは思わなかったが
「こりゃ、いよいよ乗り間違いって言わないと」
と、そこまでホワイトボードに書き込んでから、手が止まる
待てよ
よくある都市伝説では、死者、あるいは自殺者など、特定の死因の者に限定されることもあるが、とにかく『あの世』へと魂を運ぶことが目的であるとされる
これが、自殺者限定のものであるとして
なぜ、更に首を裂く必要がある?
しかも、苦しみが長引くような殺し方で
KP
スピーカーからプツ、というノイズ。
アナウンスが聞こえた。
「『シシムラ』を通過いたします」
羽生 慧
アナウンスが、脳の表面を滑ってゆく
顎に手を当てて考える
改めて、視線を周りへと巡らせる
ここにある遺体は、すべて首の傷で絶命してる感じですね
KP
そうだね。
羽生 慧
もう、死が確定しているのに、苦しませる理由……
彼らの首の縄の跡や手首の傷は、命を落とすほどのもの?
KP
そう見える。
羽生 慧
先刻のサラリーマンの最期の言葉と、その死に際を思い出す
そして最初の車両の文言
目の前の女子高生を見やり
(自ら死を望んでもおかしく無いほどの、処刑方法)
意識のうちで、ホワイトボードに書かれた文言を眺める
(死は口にしてはいけない)
(死を求めた者に対して)
「……ひょっとして」
口を開く
(これは、自殺者の魂を運ぶためのものではなく)
(自ら死を選んだ、命を手放した自殺者を断罪―――もしくは更生させるためのもの)
「やっぱり生きたい、生きていたい……自らの過ちを認めさせるためのもの……?」
この車両にある者達は、少なくとも死は口にしなかった
だから、そのまま絶命した……?
だとすると
車両の前の方へと目をやる
(あの、空席は?)
KP
空席を見る。
その席は血まみれで、そこから引きずられたように次の車両の扉へ続く血の跡がある。
その席の隣に幼稚園くらいの小さな女の子が俯いて座っている。
血の跡が続いている、おそらく先頭車両であろう車両へ続く扉の窓は真っ赤に染まっており、中を伺い見ることはできない。
羽生 慧
「……!」
(あんな小さな子が……?)
そんな子が、自ら死を望むことなどあるだろうか
ふと脳裏を掠めた薄暗い閃きから、あえて意識の視線を逸らし、その子のところへ向かう
KP
少女はこの凄惨な状況の中、かすかな寝息を立てていた。
羽生 慧
首は?
KP
汚れていない。
ただ、服は少し薄汚れている。
羽生 慧
血で?
KP
袖周り、首元など、長く洗濯されていないのではないだろうかと思えるような状態だ。
血は、おそらく彼女自身のものはついていない。
隣の血が少しスカートについている程度だ。
羽生 慧
「……」
先刻の閃きが、再びちらつく
そっと、その子の肩を揺らし、起こそうとする
「ね、キミ。大丈夫……?」
KP
その体がとても細く、軽いことが分かるだろう。
羽生 慧
栄養失調とか?
KP
腕も細く痩せている。そう、栄養失調に見える。
「ん……」
少女はかすかに息を漏らした。
顔を上げたその両目から尋常ではない血が垂れており、瞼が変に平たい。
羽生 慧
「……!」
んぐ、と息を呑み込む
(『ネクタイ』の代わりってことか……)
KP
少女はそんな状態であるにもかかわらず、眠そうに目のあたりをゴシゴシとこすった。
見るだに痛みで背筋が凍るような状況だったが、少女は意に介する様子もなく欠伸をした。
その両目を閉じたまま。
「おにいちゃん、どうしたの?」
羽生 慧
「あまり、お目めに触らないで……」
KP
「んー?」
「もうついたの?」
羽生 慧
「あ、ごめんね、起こしちゃって。私は慧」
「お兄ちゃんと一緒だったの?」
KP
少女はいぶかしげに首をかしげた。
それから笑う。
「おにいちゃん、へんなの! なんのゲーム?」
「ごっこあそび?」
羽生 慧
女の子の耳を改めます
そちらもケガとかしてる?
KP
耳には特に異変はない。
しかし、頬に古いあざがあるのに気付くだろう。
〈医学〉〈応急手当〉をどうぞ。
羽生 慧
CCB<=73 〈応急手当〉 (1D100<=73) > 85 > 失敗
ダメか
「……どこか、痛いところはない?」
KP
「うん、こことここがいたいの」
彼女は腕とお腹を指す。
「でもね、足はもう痛くないの」
「またぶたれて痛いの増えちゃったの……」
「おにいちゃんは? だいじょうぶ?」
羽生 慧
お腹は無理だろうから、腕と足を改める
KP
足には黄色く変色した打撲の跡、腕には痛々しい赤いあざが。
そうやって調べるなら、全身に傷があるのが分かるだろう。
羽生 慧
「……誰にぶたれたの」
KP
「おとうさんだよ? 怖いから遠いところに行こうって言ったの、おにいちゃんでしょ?」
「痛いのはもういやだなぁ」
羽生 慧
「……!」
その言葉に、顔を顰め、目を強く瞑った
歯を食い縛り
ようやく目を開き
その子の柔らかい髪をそっと撫でる
KP
少女はくすぐったそうに笑った。
羽生 慧
「うん……お兄ちゃん……ぼ、僕は、大丈夫だからね」
KP
「まだかな? もうすぐ着く?」
羽生 慧
「もう少しだけ、かかるかも……」
その子のカバンに名前とか、名札とか無いかな
何か身元がわかるようなもの
KP
鞄に名前が書いてあった。
大塚のぞみ
彼女は、明らかに異常だ。
羽生 慧
狂気っぽいな
〈精神分析〉できるか……いや、とりあえず落ち着いているなら今はいいか
KP
〈精神分析〉できるよ。
彼女を襲っているのがどのような狂気か知ることができる。
羽生 慧
なるほど
では
CCB<=85 〈精神分析〉 (1D100<=85) > 92 > 失敗
おや
この出目が出てきたってことは、そろそろ大詰めだな
KP
子供だからちょっと難しかったかも知れない……
なかなか普段の仕事で子供と接することもなかったのだろう。
羽生 慧
まぁ、なんとなくわかった
KP
そうだな、名前が書いている物を調べたなら……
彼女のポケットにくしゃくしゃになった紙が突っ込まれているのが分かる。
羽生 慧
では、服を整えてあげるふりをして、それを抜き取る
KP
紙には、幼いが力強い字で、哀しい決意が綴られていた。
もう父の暴力に耐えられないこと、母の迎えを待っていられないこと、なにも知らせずに妹を巻き込んでしまうのはつらいけど、あんな奴のところには残しておけないこと。そして母と妹への精一杯の謝罪……
これは、遺書だ。
羽生 慧
しっかりと目を通すことが怖い
ざっと流し見て、それを握りしめた
この世の中は、ひどく歪だ
今の稼業で、それはもう幾度となく見てきた
握りしめた紙を額に押し当て、目を強く瞑る
その歪に歪んだ社会の瓦礫の下で、弱いものが押しつぶされていたのだろう
震える手で、その紙を自らのポケットに押し込んで
「のぞみちゃ……のぞみ、ちょっと退屈? 運転手さんのところに行ってみようか」
震える声で、呼びかけた
KP
「うん!」
少女、のぞみは嬉しそうに弾む声で応えると、席から立った。
羽生 慧
「だよね」
「よし、じゃぁお兄ちゃんがおんぶしてってあげるよ」
彼女の前で膝をついて背中を向け、彼女の細い腕を自らの肩、首へと誘う
KP
のぞみは嬉しそうに背中に負ぶさった。
あまりにも軽いその体は、楽に持ち上がる。
羽生 慧
その軽さに、涙が溢れそうになる
『心を映すな』
『情に棹を挿せば、ってな』
言葉が、幻聴のように聞こえた気がした
「いやちょっと……これは無理っす……師匠」
小さくつぶやいて、その軽い体を背負い直した
KP
細い腕がぎゅっと貴方の首にしがみつく。
強い信頼を込めて。
羽生 慧
その言葉にじんわりと目尻が湿っぽくなったが
それでも、無理に微笑んで
「よーし、それじゃ行くぞー」
微かに震える声を背後に掛けて、静かな死者たちの間を先頭車両へと向かった
KP
といったところで、本日はここまで。
陰鬱な話で……すまない。
羽生 慧
お疲れ様でした!
KP
お疲れ様でした!

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