こちらにはVOID
ネタバレがあります。

一日目

PC4 春

本編見る!
ハンドアウト説明
HO4 旧型アンドロイド/〈拳銃〉推奨
貴方は犯罪組織から送られてきたスパイロボットだ。型番はX000。貴方の任務は警察の情報を組織の本部へと送ることである。芸術(ハッキング)の初期値を80とする。

貴方はスパイとして忠実なロボットであるはずなのだが、HO3と過ごすうちにこの行為に人間でいう罪悪感を覚えてしまった。HO3にこのことがバレた場合、強制で1/1d6のSAN値チェックがはいる。
【過去】
3年前、貴方は薄暗い施設でアンドロイドとして覚醒した。その時貴方の目の前にいたのは、組織のリーダーであるキョウであった。

彼は貴方が目覚めると、貴方に協力してほしいと話を持ちかけてきた。
彼の話によれば、10年程前からこの街では連続殺人事件とそれと併発して誘拐事件が起こっているらしい。これらの事件は現在(2050年)おきている事件とも関係があるのではないかとキョウは推測している。

しかし未だこの犯罪の具体的な目的は判明しておらず、また今現在起こっている事件の詳細も世間には公表されていない。そんな事情があり、ハッキング技術を持った貴方が抜擢されたのだ。

2年もの間を貴方は彼らと共に過ごした。彼らはテロリストと呼ばれるのは似合わないほど仲間想いで正義感の強い人物達であり、貴方はそんな彼らに忠誠を誓ったのだ。
【HO3との出会い】
貴方は2年後(シナリオ日時の1年前)警視庁へスパイとして送られることとなった。しかし運送中、何者かによる襲撃で車は横転し、貴方は廃品置き場に放り出されてしまったのだ。

そんな時自分に手を差し伸べてくれたのがHO3だ。貴方がその手を取ったとき、キョウと同じような暖かさを感じたのを覚えている。

貴方はとっさに記憶がなく困っていると嘘をついた。その後貴方はHO3によって警視庁へと運ばれ、奇妙な巡り合わせか、それとも仕組まれたことなのかHO3のパートナーロボットに任命された。

その後貴方達は1年間共にあらゆる事件を追ってきた。そんな時間を過ごしていく中で貴方は彼に情が沸いてしまったのだ。(+の感情であれば友慕でも恋慕でもその他でも構いません)

今自分がしているこのスパイ行為はHO3に対する裏切りである。貴方はこの罪悪感と葛藤することとなった。自分の正体がバレれば廃棄は免れないだろう。
【組織】
組織名はスパロー(SPARROW)。
主な活動は失業者の支援や虐待を受けるVOIDの保護だが、警察のネットワークのハッキングや、VOIDが起こした事件現場に乗り込み犯罪を起こしたVOIDからデータのチップ(スタック)を集めるなど、法にふれる行為もしている。(スタックに関しては中のデータを確認次第戻している)

とはいえ、あくまでも目的は事件の解決であり、テロリズム目的はない。しかしネットの噂が広がり、犯罪行為をしていることもあってかテロ組織として認知されてしまった。
組員の個人情報や過去は探らない、お互いを呼ぶ時はコードネームで呼び合うのが暗黙のルール。

コードネームに関してはシナリオで指定がある為、キャラシートには警察で使う名前だけ記載すること。
【目的】
1.事件の首謀者を見つけ出す為、他PCに気づかれないようスパイ行為を続行すること。
2.HO3を守りながら事件を解決すること。
【NPC】
□キョウ
組織のリーダー。不愛想で生真面目な性格。彼の指示はいつも的確でまわりから慕われている。

□ニト
貴方のメンテナンス係。自称マッドサイエンティストだがよく貴方の部品を入れ間違えキョウに怒られている。貴方やキョウによく懐いている。

□リト
ニトの双子の姉。貴方のハッキングの手伝いをしている。ニトとは違いしっかり者でよく弟を注意している。

キャラクター作成
KP
以上。キャラメイクに特記事項があるため、ご注意ください。
また、このシナリオ独自の特徴表をお送り致します。こちらで1D6をお振り頂き、結果をこちらでお知らせ下さい。
秘匿ありがとうございますー!
なかなか大変そうな立ち位置……わくわくしちゃうな……!
特徴表は1でした!
KP
そう、とても面白い立ち位置です! 楽しんでいってください。
>特徴表
Carl
あなたは芸術を好ましく思っている。自らが創り出すことは出来ずとも。

芸術(楽譜通りの旋律)、芸術(模倣絵画)の初期値を50%に設定する。
ありがとうございますー!!
芸術大好きなタイプのアンドロイド……!!
KP
ですね! 芸術家! どう好きなのかはお任せします。
はーい!ありがとうございます!どう調理すれば美味しくなるかな……!
KP
どんなふうに調理されるのかとても楽しみですね……!
ふふふ、良い感じのポジションなのでこう、むくむくと【アイデア】が湧いてきてます(ろくろ)
草案として纏まったらここで相談させて頂きますねー!
KP
はーい! その時は是非!
ステータスや技能振りによってまた細部は変わると思いますが、大まかな性格設定ができたのでチェックしてもらいたく!
文章そのままコピペするのと、メモアプリからスクショを取ってくるのとならどちらが良いですかね?
KP
おおー、早い!どちらでもKPが確認できればOKです!
はーい!ありがとうございますー!
ではとりあえずコピペで持ってきますねー!
・HO4キャラ設定表書き(草案)
 厚底をこっそり履いている(特徴表3-6)警視庁所属人型アンドロイド。
いつも糸目で柔和な笑みを浮かべ、博愛の精神を標榜しているが、大袈裟な言動や煙に巻くような言葉を好んで使うせいでめちゃくちゃ胡散臭い。
音楽や絵画といった芸術を好み、書類仕事中でもしょっちゅう音楽データを詰め込んだ端末のバッテリー残量を気にしている。
【裏書き】
 博愛の精神を謳っているのは本心からであるが、それは「そうあれと造られたから当然に抱く被造物としての愛(対人間)」「道具として同じように作られた同胞への親愛(対アンドロイド)」として本人が位置付けたものだ。その理念と合致するようなスパローの活動は心地が良く、彼らに恭順するのは自然な流れと言えた。
スパローのスパイとしての活動も警視庁所属としての活動も本人にとっては矛盾した行いではなく、せいいっぱいの愛を振り撒く過程として成立していた……はずだった。
しかし、一年の時を経てHO3への情を自覚するにつれ、同時にスパローの仲間たちへのそれもまた自覚していくに至る。
平等なものであった筈の愛に特別が生まれ、またその特別同士が相反する立場にあることで葛藤と罪悪感というものを初めて知った。味わったことのない迷いに戸惑いながらも、どちらを決定的に裏切ることも出来ずにずるずると板挟みの生活を続けてしまっている。

「ロボット(労働者)」として作られた自身とは製造企図を根本から異にする芸術作品に対して少しばかりの憧憬を抱いている。それらはいずれも「表現」であり、作者の感性、意志の代弁者として生み出されたものだからだ。機能性に関わらず価値のあるその在り方はいずれ───あるいは既に───型落ちとなる身からは輝いて見えるのだ。
KP
最高では???????????
うわ…… 最高では……? 

OKです!! 問題ありません。
というか、めちゃくちゃハマると思いますね。当日が楽しみになってきました。
やったーー!!!ありがとうございます!!!!!
めちゃくちゃ美味しい立ち位置だったのと、割と事前にやりたいなーと思ってたことが上手く噛み合ってくれたのが嬉しかったですね……!(ろくろ)
KP
事前に想定していたこととHOが噛みあうと嬉しいですよね……!
ですね!めちゃくちゃ嬉しい!!
性別、名前なんかはてんまさんと相談しながら決めようと思ってます。
厚底の理由はステで決まる!
KP
特徴表の厚底めちゃくちゃかわいくて好きです
わかる。特徴名が権謀術数なのも大げさ過ぎてかわいいですよね……
KP
うん……。
(握手)
KP
(がっしり)
この特徴表、名前がほんとにおもしろくて好きです
それぞれ(たまにネタもあるけど)名前がおしゃれですよね!わかる……(深い頷き)
KP
あ、そうだ。質問があったので。
秘匿はシナリオ上で明かされるまで、明かしてはいけません。
公開HOの範囲で分かる内容は明かしても構いません。
はーい!了解です!
一応一般タブでの発言は「秘匿に絡まない外見、言動、立ち絵などから分かる範囲は明かして良い」という注釈を元に行ってますー!
KP
はい! 秘匿に絡むこと以外は明かしてOKという認識で大丈夫です。上記は他窓で質問があったため、全窓に貼っています。お騒がせしました。
了解です!ありがとうございます!

秘匿の心情的に頑なに制服着てなくてもおいしいですねこれ……私服OKのありがたさが出ている……!
KP
芸術と表現を愛していらっしゃいますもんね どんな服着てくるのか楽しみです
ふふふ!ピクルーさん頼りになると思うので良い服のあるメーカーさん探しておかねばですね……!(わくわく)
KP
楽しみですね……! 面白Tシャツだったら笑う
んふふふ、クソTも表現性という一点においては最高峰ですからね……!(?)
KP
SUZURIを見ていると思わず吹くTシャツ多過ぎて笑うんですよ
調べてみたら実用性皆無で笑いました
こ、これは……!時代を先取りし過ぎている……!www
KP
でしょう??www あそこは魔窟

ふふふ、厚底のくだりと【SIZ】がうまく噛み合ってくれました。
あと指を突っ込む端子、ロマンですよね……
KP
うん… 機能といい設定といい浪漫の塊でわくわくします
旧型だからこそ利便性より夢いっぱい詰め込んでいきたい……そう、ここはHENTAIと名高き国NIPON……!
KP
これが!HENTAI力……!
うなじの差し込み口も実に浪漫でうふふ
レトロだからこそのロマン、みせてやりますよ……!
差し込むときにわざわざ頸を露出するの、良いですよねうふふふふ
KP
ああーーーわざわざ髪をかきあげて頸を露出する 最高

持ち物に「欺瞞コネクタ(仲介することで機器へのアクセス時にVOIDのID的な何かを誤魔化す)」とか書いてますが何かハッキング用の道具あるとかっこいいかなと思って雰囲気で書いたものです。もし支障があれば消しますので……!
KP
お、分かりました!
どちらもOKです。欺瞞コネクタかっこいいな~~~!!!
包帯と消毒液のとこが雑な理解で笑いました
やったー!チェックありがとうございます!!
こう……メンテ班にバレないように外付けで用意したツールとしてポッケに仕込んでおこうかなって……!(ろくろ)
ヒトの体むずかしいからねしかたないね(めそらし)
KP
しかたないね巻けばなおるさ ファンブったら面白そう
傷口より末端側を縛ってしまって悪戯に傷つけるとかなりそうですね……www
もしくはふしぎな絡まり方をするか(
KP
「ああ~~~!」すごい絡まり方
巻いた本人の髪まで巻き込んで大騒ぎ!!
KP
楽しいww
んふふふふ
鉄火場を抜けて所内で応急処置してる時にやっててほしいなあ
KP
大変なときにファンブると大変ですからね
ギャグ時空の時のファンブルさんはむしろ味方ですがシリアス時空の時のファンブルさんは強敵……!
KP
楽しいファンブルがありますように(?)
愉快なファンブルなら歓迎ですからね!(?)

既にイヤホン所持してたけど気分で付け変えようかな…と思ってヘッドホンも所持品に追加しました!
KP
ヘッドホンだ!ヘッドホン姿ってサイバー感あって似合いそう
追加了解です!
イェーイ!小型化もできるだろうところにあえてのヘッドホン!
ありがとうございますー!!
KP
イエーイ!


HO4 春(はる)

職業:刑事(基本ルルブ)
年齢:3年 / 性別:女性型
出身:どこかの施設
身長:157cm(150cm)
体重:ひみつ

■能力値■
HP:18
MP:14
SAN:70

STR  CON  POW  DEX
8    8   14  17
APP  SIZ  INT  EDU
14  12  15  13

■技能■

●《回避》  80%  ●《拳銃》  80%

●《応急手当》64%  ●《聞き耳》 80%
●《目星》  35%

●《機械修理》50%

●《言いくるめ》80%

●《芸術(ハッキング)》●《コンピューター》 90%
●《芸術(楽譜通りの旋律)》50%
●《芸術(模倣絵画)》50%
●《芸術(自然な笑顔)》6% 

■所持品■
型落ちの音楽プレイヤー
わざわざ物理媒体を持ち運ぶ形式の半骨董品。相棒に拾われた日、廃品置き場で見つけたもの
無線イヤホン
旧式音楽データチップ
最新のものよりもサイズが一回り多い型落ち品。
簡易工具キット
鉄火場でVOIDの応急修理をこなせる程度の共通規格工具セット。本格的なメンテなどには向かない。
欺瞞コネクタ(ハッキングツール)
指先のUSB端子と対象機器の間に装着。アクセス時に通すことで自身のIDをでたらめなものに偽装する。
厚底ブーツ
7cm
包帯と消毒液
大抵の場合、適切に縛って消毒しておけば人間の傷は応急処置可能という雑な理解の賜物
警察道具一式(手帳や手錠など支給物品)
携帯電話
ヘッドホン

■その他■
※シナリオの特殊処理として職業技能に「コンピューター」「機械修理」「拳銃」が入っている。
職業選択技能:〈回避〉
特徴表:厚底を履いている(SIZ+2、HP変動なし)
秘匿特徴表:芸術を好ましく思っている(芸術(楽譜通りの演奏)、芸術(模倣絵画)を50%で所持)

警視庁所属人型アンドロイド。
いつも糸目で柔和な笑みを浮かべ、博愛の精神を標榜しているが、大袈裟な言動や煙に巻くような言葉を好んで使うせいでめちゃくちゃ胡散臭い。
音楽や絵画といった芸術を好み、書類仕事中でもしょっちゅう音楽データを詰め込んだ端末のバッテリー残量を気にしている。
女性としては平均的な身長……に、見えるがその実こっそりと7cm程の厚底ブーツを履いていたりする。
本来の小柄な体躯を本人なりに気にしているらしい。

【裏書き】
 博愛の精神を謳っているのは本心からであるが、それは「そうあれと造られたから当然に抱く被造物としての愛(対人間)」「道具として同じように作られた同胞への親愛(対アンドロイド)」として本人が位置付けたものだ。その理念と合致するようなスパローの活動は心地が良く、彼らに恭順するのは自然な流れと言えた。
スパローのスパイとしての活動も警視庁所属としての活動も本人にとっては矛盾した行いではなく、せいいっぱいの愛を振り撒く過程として成立していた……はずだった。
しかし、一年の時を経てHO3への情を自覚するにつれ、同時にスパローの仲間たちへのそれもまた自覚していくに至る。
平等なものであった筈の愛に特別が生まれ、またその特別同士が相反する立場にあることで葛藤と罪悪感というものを初めて知った。味わったことのない迷いに戸惑いながらも、どちらを決定的に裏切ることも出来ずにずるずると板挟みの生活を続けてしまっている。

「ロボット(労働者)」として作られた自身とは製造企図を根本から異にする芸術作品に対して少しばかりの憧憬を抱いている。それらはいずれも「表現」であり、作者の感性、意志の代弁者として生み出されたものだからだ。機能性に関わらず価値のあるその在り方はいずれ───あるいは既に───型落ちとなる身からは輝いて見えるのだ。

なお、厚底ブーツを履いているのは元の身長で博愛の笑みを浮かべた所、あまりにも頼りなさそうに見られた事から。
自身をデザインした製作者のセンスは嫌いではないがもうちょっと身長がある方が威厳もあろうという判断に基づく。

【追加機能】
・味覚・痛覚追加
・うなじに情報メディア差込口増設
・音声データチップ再生機能(発声機構を使用するため再生中は自由に喋れない)
・ラジオ受信/再生機能(欠点は上記と同様)
・両手人差し指にUSB端子増設(機器に差し込んで直接データをやり取りする。指を展開して露出、使用する)

HO4 個別導入

本編見る!
KP
暖かい日差しが降り注ぐ中庭で、子どもたちが笑っている。
その中央にいる少女の歌声に懐かしさを覚える。ここはどこだろうか、記憶はおぼろげだ。
彼らに手をのばそうとするがその手は届かず、映像にノイズがはしった。
〈3年前/PM 7:00〉
3年前!
KP
:システム起動中
:システムチェック開始
:システムデータベースへ接続中
:ネットワークへ接続中
:地形データ リンク開始
:システムオールグリーン

 --これより、起動を開始します--
KP
ゆっくりと目をあける。

まず目に入ったのは、コンクリートの壁と床、地面に転がる廃品の数々、そして貴方の目の前に立つ男と、その後ろから顔を覗かせるよく似た少年少女だ。
状況を解析しようとするがうまく思考がまとまらない。自分がなぜここにいるのか、自分は何者なのか、目の前にいる彼らは何者なのか。辛うじて分かるのは自身がアンドロイドであるということのみだ。
無愛想で鋭い目つきのその男は、貴方をまっすぐ見ると
「X000、起動しろ」
と、言った。
茫洋と視線を周囲へと巡らせていた。
突如として突き落とされた───いや、生まれ落ちた未知だらけの環境。X000。そう呼んだ彼らであれば、答えを知っているだろうか。
機械の身であるというのに、半ば本能的に無垢な信頼を向け始めていた。
「起動、とは、なんでしょう」
「ここは、どこ、でしょう」
「わたし、は……?」
キョウ
「お前はアンドロイド、X000だ。ここは、“スパロー”、俺達の根城だ」
「頼む、協力してほしい。……事件を止める為に」彼は貴方をまっすぐ見つめて、そう言った。

そこで、再び貴方の意識はシャットダウンする。
KP
──翌日。
 :腹部に衝撃を確認。至急確認してください。
ボスン。
貴方が目を開ければ、そこには貴方の腹部で勢いよく跳ねる昨日の少年がいた。どうやら貴方を起こそうとしているようだが、このままではいくらアンドロイドといえど機体に損傷ができてしまう。
「……ええと」
「腹部への攻撃はおやめ下さい。これ以上の外力は当機の故障を誘発する恐れがあります」
ニト
「あ、やっと起きた? キョウが呼んでるぞ」と笑った。少年は悪びれずに笑う。
リト
「ちょっとニト、あんたまた機械を乱暴に扱って! そんなんだからいつまでたっても半人前なんでしょ!」
その近くでは同じく昨日見た少女がおり、少年に言っていた。
「うーん……」
ニト、というらしい少年と、それを叱る少女。彼らの容貌を視界に収め、少し考え込む。自身はアンドロイドで……そうなると彼らは所有者、ということになるのだろうか。
「……了解しました。では、どちらに向かえば良いのですか」
彼らを見ていると、どういうわけかよくわからない衝動のようなものが内に生ずる。それにどういう名前を付けるべきなのかは、まだ理解していないけれど
ニト
「こっちこっち!」少年はあなたの手を取り軽快に歩き出す。
貴方は少年に手を引かれ施設内を歩いていく。地下にあるというこの施設は所々に設置してある電球があたりを照らしていた。
地形データを取得。各種センサーから受け取った情報は複合的な関連付けをされてマップデータへと変換されていく。
「地下施設……あまりヒトの居住には適していないのでは?」
ニト
「いやー、結構住みやすいよ。キョウが頑張ってるし」
リト
「ニトも頑張りなさいよ、料理からなにからこっちに任せるんだから」
ニト
「僕は将来の世界を揺るがすマッドサイエンティストとして頑張ってまーす」
「マッドサイエンティスト」
ニト
「……ああ、そういえば自己紹介がまだだったな。僕の名前はニト! 将来世界を揺るがすマッドサイエンティストだから、お前も仲良くしておいたほうがいいぞ」
リト
「あたしの名前はリト。そこにいる“自称”マッドサイエンティストの姉。そいつの言うこと、本気にしなくていいから」
ニト
「お前の名前は?」
KP
そこであなたは気づく。名を、覚えていない。あなたは何者で、ここは何処で、あなたはどこにいたのだろうか。現状、あなたに名はない。
「………」
詰め込まれるように与えられる情報と、問いかけに言葉が詰まる。
処理しきれない心境を表すように眉が寄り、曖昧な笑みを浮かべた。
「なんでしょうね。わたしにもわかりません」
ニト
「ふ~ん、そうなんだ…… じゃあ僕がつける? ポコ太郎なんてどう?」
リト
「ちょっと、やめなさいよ。心配しなくても、キョウがつけてくれるわ」
「そのキョウという方がこの場のリーダー、なのでしょうか。わたしを呼んでいる、ということでしたが」
名前―――善し悪しがわからない。
一応、自身の機体が女性型として造られていることは理解している。しかしどうせ被造物なのだし、どんな名前を付けても特段おかしなことはない、と。そう感じてしまう。
リト
「そうよ。キョウが私達のリーダーなの」
そんな会話をしながら歩いているとやがてとある一室に辿り着く。ニトはその扉をノックもせずにあける。
KP
中に入るとそこはたくさんのモニターに囲まれた管制室のような場所だった。モニターには監視カメラやドローンから映像を拾ってるのであろう、外の世界が映し出されている。
その部屋の中央、モニターを見ていた男はこちらに振り返る。
キョウ
「来たか。ニト、リト、助かった。もういいぞ」
ニトとリトは男の両隣に立ち、男はそんな彼らの頭を軽く撫でる。
「昨日は大した説明もなしにすまなかった。俺はキョウだ。一応この組織をまとめている」
「どうも。当機は……ええと、実はまだよくわかってないのですが。わたしの助力が必要と言うことでしたね」
やっぱり、曖昧な笑みを浮かべ―――敵意がないと示すにはこの表情が無難であると、なんとなく理解して―――首を傾げる。
キョウ
「ああ、そうだ。……俺は世間話があまりうまくない。早速だが本題に入らせてもらう」
「俺たちの組織名はSparrow(スパロー)。普段は人間から逃げてきたVOIDの保護や、失業者の支援なんかをやってる」
「……といっても、俺たちはボランティア団体じゃない。とある事件を追っている」
「事件、ですか。警察組織というわけではなさそうですが」
目的に対し、子供達がいるのがあまりに不可解だ。それに、これが全てでないにしてもあまり人員がいるようにも見受けられない。
キョウ
「そうだ。……警察組織では追えない内容だ。続けるぞ」
「10年程前、とある一家の両親が惨殺死体で発見され、その家の子どもが行方不明になった」
「それから短期間で、似たような事件が多数発生した」
「その後も事件は続き、警察も犯人を掴めずにいる。ここ数年は落ち着いたように見えたんだが、また最近似たような手口の事件が起こり始めてな」
「……ここにいるのは俺達だけだが、別室には保護されたVOIDたちを含め、組織の連中がいる」
「この組織の人間、アンドロイド達はこの事件を止める為に集まっている。みんなそれぞれ事情は違うが、目的は同じだ」
随分と悲惨な事件が起きているらしい。
警察組織で追いきれないとなると、民間の中で動こうとするものが出てくるのも当然、ということなのだろう。
「状況は把握しました。追加でわたしを起動したということは、いまだ身分の定かならぬ状態を利用したい、ということで良いのでしょうか」
キョウ
「ああ、そうだ。だが、それだけじゃない。自覚はないのかもしれないが、お前の性能も頼りたいんだ」
「性能?」
他機種のスペックは未だ知り得てない。なにかしら特殊な型番なのだろうか。
キョウ
「お前はかなり古い機体のようだが、それとは裏腹に性能は他のアンドロイドに劣らないどころかそれ以上。こんなアンドロイド、初めて見た」
KP
“初めて見た”彼は言う。それなら彼はあなたを購入なりしたわけではないのだろうか。
じ、自分の身が既にうさんくせえ~~~~~~~~
「わたしと同型は……珍しいのでしょうか。普及していない以上、一般に販売はされていないようですが」
キョウ
「珍しいだろうな。X000なんていう型番も初めて見た」
「この地下施設は、元々あった物を俺達が使っていてな。調べていたら、お前を見つけた」
ニト
「どこから来たんだろうな~、ポコ太郎」
キョウ
「ポコ太郎? なんだそのふざけた名前は。勝手に変な名前をつけるな」
偶に挟まるとぼけた会話は、いまいち恐ろしい事件を追っている緊張感に欠ける。
「特に名前に拘りはないのですが……」
やっぱり、困ったように笑みを浮かべて。
「実際の所がどうであれ、この施設が出所ということは何かしら資料も見つかるんじゃないですかね」
「自分で言うのもおかしな話ですが……いまいちよくわからないものを、それでも使用するというのであればもちろん従います」
なにもかもわからないことだらけではあるが、特に気にすることはない。
求められていることがわかった。なら、それに応えればいいんじゃないかな。
キョウ
「ああ、こちらで改めて調べてみる。それで、話がそれたな」
「近々、日本の警察組織にもVOIDが導入されることになった」
「そこに俺達が介入する。お前には、そのVOID達に混ざって警察に侵入して、警察内部から情報を得てきてほしい」
ニト
「すっげー、スパイだ!」
リト
「もう、茶化さないの!」
「構いませんよ。もちろん、そうして流した情報を悪用するつもりなら困りますけど……違うのでしょう?」
要求されるコトに対して、あまりにも軽い調子で承諾する。
キョウ
「悪用はしないと誓おう。俺達は、あの事件を止めたい」
「それだけだ」
「なら安心です。それに、なんだかわかりませんけど、わたし」
「皆のためになるならやってみたい……そんな気がしています」
「そういう風に、造られたんでしょうね」
にこり、と。よく見なければ分からない程に微妙な歓喜の色を笑みににじませる。
キョウ
「そうか……、ありがとう」彼はどこか、あなたを眩しそうに見た。
「そういえばお前……、名前を憶えていない、そう言っていたな」
「はい。正確に言えば型番にも未だにピンと来ていません」
キョウ
「そうか」彼は少し考える。
「そうだな……。レナ、はどうだ。00で、零、null、のレナ」
「構いませんよ。わたしは、造られたものです。お好きに呼ぶのが一番よろしいかと」
ニト
「えぇー、ポコ太郎は?」
「そう呼びたいのであれば、やはりお好きなように。事前に教えて貰わなければ反応は出来ませんけどね」
ニト
「やった! じゃあお前ポコ太郎な!」
リト
「やめなさいよ……」
キョウ
そんな様子を見て、アンドロイドよりも不愛想に見えるその男は、少しだけ口元を緩めた。
「これからよろしく、レナ。ようこそ、スパローへ」
「よろしくお願いします、キョウさん。ご用命はご遠慮なくどうぞ」
相棒に貰ったもの以外に、裏の名前も持つのいいなぁ。オリジン。
KP
そうしてあなたは、その男、キョウと契約を交わした。
握手した手の感触が、あなたの初めてのメモリーのひとつとして、記憶の中に刻まれたことだろう。

KP
導入終了。
次回はHO3&4のペア導入になります。

他HOの導入がまだ終わっておりませんので、
 本編部屋に戻ってお待ちください。
はーい! ありがとうございます!
もうひとつの名前有るのめちゃくちゃわくわくしちゃいましたね……うれしみ